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2014/10/11

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  • 俳句殺人事件

    ―巻頭句の女―齋藤眞爾編/光文社文庫2001年4月20日初版。12人の俳句に絡むアンソロジー。ミステリー短編集。俳句は自己消失の、沈黙の、無の文学。究極の文学。無音、沈黙、死の闇が周囲を覆い、俳人は廃人となる。先ず一発目は、その道の大御所から。Ⅰ・松本清張「巻頭句の女」・戸坂康二「句会の短冊」・五木寛之「さかしまに」・結城昌治「紺の彼方」・佐野洋「紙の罪」・泡坂妻夫「恋路の吟行」Ⅱ・笹沢左保「虻は一匹なり」・高橋義夫「殺すとは知らで肥えたり」・新宮正春「旅の笈」Ⅲ・塚本邦雄「囀りのしばらく前後なかりけり」・中井英夫「目をとぢて・・・」・勝目梓「死の肖像」五七五の俳句はトンと縁が無いが、ミステリーと聞けば読まない訳にはいかない。何とこの一冊で十二人もの作家が登場する。何とも豪華なアンソロジーである。更には偶数ペー...俳句殺人事件

  • 辻風の剣

    牧秀彦/光文社文庫2005年1月20日初版、2005年12月20日第三刷。久々の時代小説。居合を修行する著者の作品である。剣捌き、体捌き、一挙手一投足の説明がちょっとくどいかもしれないが、リアルな、迫力ある描写である。時代小説の読み所はキッチリ押さえている。その他の読み所としては単なる悪党の始末屋ではなく、細かな人情の機微もある。どの時代小説でもそうだが、この時代武士の活躍の場が無くなって、官職を持たないものは本当に苦しい時代だったのだろう。傘張りをして、或いはヤクザの用心棒をして。武士の矜持を曲げずに一体何ができたであろうか。何かの拍子に流浪の身になってしまった人間にとって「辻つながり」ほど、心強いものはない。そんな理想を描いた作品である。辻風の剣

  • 侠飯

    福澤徹三/文春文庫2014年12月10日初版、2016年6月15日第7刷。グータラな大学生が、本気モードになるまでの覚悟作り。暴力団抗争に巻き込まれた形で、柳刃と火野という二人の男にアパートに居座られているうちに形成される、という真に道徳的な話しである。人生哲学、仕事とは何か、世の中の表裏、物事の本質に至るまで人間にとって食事とは何かを通して、いろいろと。いかにもこれからアクティブなバイオレンス・アクションが始まるかに思わせた導入だったが、途中からすっかり「料理本」に変身してしまった。食生活は人間を変えてしまう。仕事をするなら、その支度をしっかりしなければならない。食事はその基本の基。数々の旨そうな料理が登場するが、いくつか自分も本気で挑戦してみようと思う。・・そう思わせるのが著者の策略だろう。柳刃と火野という...侠飯

  • 木曜日にはココアを

    青山智子/宝島社文庫2019年8月20日初版。東京の某所、とある住宅街、川沿いの桜並木が切れる端に隠れるように一軒のカフェがある。ここが最初の舞台だが、何故か次の舞台は、オーストラリアはシドニーとなる。それは著者がかつて仕事をしていたところであり、勝手知ったる街だからなのだろう。どこまでが本当でどこが創作なのかは判らないが、グルっと一回りして物語は終わる。あまりにも都合のいい「つながり」だが、悪くはない。正にホットココアのそれだ。作品としては私小説の雰囲気がある。しかし、あまりに優しい人達ばかりが登場してリアリティを損なう。世の中はもっと汚れた部分もあって、酷く落ち込むときもあるのに、そんな部分はサラリとかわしてしまう強かさ。HappyEndはいいけれど、悪党が一切登場しないという一抹の寂しさは隠しようがない。木曜日にはココアを

  • きみの世界に青が鳴る

    河野裕/新潮文庫2019年5月1日初版。著者の作品は初めて読むが、この作品は「階段島シリーズ」というものがあって、その完結編に当たるらしい。一応、ミステリーということになっているが、あまりミステリアスな感じがしない。また随分観念的でリアリティも無く、場所の設定も階段島と対岸の大陸のみ。取材費も不要で初期投資不要な、現実世界と魔法世界の行き来を描く作品である。エンターテイメントという意味でも今一つ満足感が感じられない。・捨てるべきものを捨て、諦めるか・何も捨てずに、諦めずに進み続けるかこれは大人へのステップ、或いは成長、その心模様ということなのか。主人公の七草と真辺、安達、堀そして時任等の魔女たちの存在意義の有無、或いは是非といったものの確認作業が延々と続き一人の少年の仲介によって典型化する。・大地少年の幸せのた...きみの世界に青が鳴る

  • 垂れ込み

    ―警視庁追跡捜査係―堂場瞬一/ハルキ文庫2020年1月18初版。シリーズNo.9。同シリーズの「謀略」を読んだのは8年も前の話しで、主人公(西川)や相棒(沖田)の名前もすっかり忘れており、思い出しもしない。現実的にそうなのだから、登場人物も年取るはずだが、作品上でそんな雰囲気は少しも無い。今回は、新しく起きたばかりの刺殺殺人事件と15年前、10年前の刺殺(通り魔)殺人事件の追跡が交差する。「垂れ込み」は、警察活動の難しさを話の基本にして、日頃何食わぬ顔をして暮らしている人間の心の闇に迫る。どんでん返しは、被害者であったはずのマイホームパパが、実は通り魔殺人犯を相手に10年間も強請を続けていた人間だったという衝撃。通り魔殺人を無差別に何度も繰り返す犯人の「狩り」も相当に不気味だが、その犯人を強請るというのもまた別...垂れ込み

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