chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
つむじ風
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2014/10/11

arrow_drop_down
  • 情夜

    鳴海章/実業の日本社文庫2019年6月15日初版。おそらく著者の最新作。履歴を拝見すると著者は、やたらありとあらゆるジャンルで書いており、どれでも可ということか、単なる試行錯誤の一環なのかは判らない。確かに世の中にはマルチな作家も居るのだが、どうなのだろう。著者の作品は初めて読む。「浅草機動捜査隊」シリーズというものがあるのかどうかは不明。これから続きを書くのかもしれないが、以外にシリーズ作品は少ない。「情夜」などと気張ったお題になっているが、およそ関係のない内容だった。新宿、池袋を背景にした刑事モノはよく見掛ける。時代小説作家は浅草をよく使うのだが、浅草を舞台にした刑事モノは意外に少ないように思う。今回の主人公は研修中ながらも警官なので、刑事モノ或いは警察モノということになると思うが、主人公の幼馴染を思う人情...情夜

  • しまなみ幻想

    内田康夫/光文社文庫2006年9月20日初版、2011年8月20日第三刷、シリーズNo.90。今回の「旅」は「しまなみ海道」、大小九つの島を十本の橋で結ぶ「街道」ならぬ「海道」である。訪れたことは無いけれども、その印象は決して薄いものではない。一度行ってみたいと思うのは読者なら誰でも考えることだろう。その中の大三島にある大山祇神社は全国に1万1千の分社を持つ、いわゆる神社の総本山なのだとか。Netで見ると出雲大社と伊勢神宮が神社の双璧のように言われているけれども、これとはまた位置づけが異なるのだろうか。日本総鎮守、ありとあらゆる人間の営みの守護神として極めて庶民的ではある。神社本庁など詳しくも無いのだけれど、祀られているのは天照大神の兄、大山津見神なのだとか。もう一つの「歴史」は「村上水軍」である。その末裔とも...しまなみ幻想

  • 黄金の石橋

    内田康夫/講談社文庫2005年11月15日初版、2011年6月1日第7刷、シリーズNo.81。九州南部、八重山山中に源流を持って鹿児島湾に注ぐ甲突川、その河口に掛かる5つの石橋、その中で最も古い新上橋は160年以上も昔の建築物である。何しろ石橋なので、適当な保守も無かったのではないかと思われる。近くには桜島もあり、地震もあったであろうと思うが、随分長持ちするものである。今回の作品は、この5つの石橋を舞台背景にした話である。九州は火山が多く、昔から温泉や鉱山が多い。今回も一攫千金を狙って金山に群がった兵たちの姿が事件の背景にあった。放射線をまき散らす危険なものではなかったけれど、人間の欲望をたぎらせるには十分危険なものだった。頭を冷やしてみれば、なんでそんなことをと反省しても始まらない。生涯その罪を背負って生きて...黄金の石橋

  • 遺譜(上下)

    ―浅見光彦最後の事件―内田康夫/角川文庫(上)2017年9月25日初版、(下)2017年9月25日初版、シリーズNo.115。100冊以上に及ぶシリーズであるが、ランダムに読んでいるため最終章が先に来てしまった。残りはいつの間にか30冊ほどになっている。なんとなく「あとがき」を先に読んでしまったような感覚だが、残りを考えると寂しい気もしてくるから不思議なものである。このようなシリーズは必ず終わりがあり、多くの作家はその最終作をいろいろな形で残しているが、今回は実に著者らしい作品になっていると思う。本人もさぞかし安堵しているに違いない。最後というだけあって、光彦34歳の誕生パーティには今まで登場した多くのマドンナ達が集まった。例え小説であっても全くもって羨ましい。それと同時に兄の陽一郎が課長時代にかかわったドイツ...遺譜(上下)

  • 北の街物語

    内田康夫/中公文庫2016年8月25日初版、シリーズNo.114。「北の街」というからには北海道に違いないと、勝手に思い込んで読んでみたら、どうやら東京の「北区」のことらしい。浅見光彦の地元である。風呂屋の娘やケーキやの娘、元名主の娘が登場して華々しい。団子の平塚屋は勿論、風呂屋、ケーキ屋、蕎麦屋、鰻屋、商店街など、結構にぎやかで庶民的、気取らない赤羽界隈を楽しむことが出来た。「殺人事件が無いミステリー」を目指したとのことだが、ストーリーの脇で大下良二の知人、瀬野光夫が死んでいるが、確かに本筋ではない。今回の騒動は彫刻家とその女房にある。亭主が彫るやたら艶めかしい作品であれば、やはり何回も、長時間Modelを務めた娘に何かしら心波立つものが起きるのも判らないではない。それが今回のブロンズ像盗難騒ぎの根源であった...北の街物語

  • 他殺の効用

    内田康夫/祥伝社文庫2007年9月5日初版、シリーズNo.95。タイトルは最初の作品から採用、以下5遍の短編集になっている。肝心の浅見光彦が登場しない作品もある。〇他殺の効用〇乗せなかった乗客〇透明な鏡〇ナイスショットは永遠に〇愛するあまり「他殺の効用」「乗せなかった乗客」「愛するあまり」の共通点は必然の殺人。窮地にある人間の当然の権利、正統性のようにも思われる。正当防衛に近い。まして、人の弱みに付け込んで脅迫しようとする者に対しては何の遠慮も無い。天に代わって誅されたと言いたげな話しだが、どうやらこれが、著者が考える美学というものらしい。必然の殺人はこれを黙認するということになるが、この指向性には作品同様に極めて怪しげな雰囲気がある。ヤ印が大嫌いというのは判るけれども。浅見光彦が登場する「透明な鏡」についてこ...他殺の効用

  • 鄙の記憶

    内田康夫/新潮文庫2016年3月1日初版、シリーズNo.78。今回の「旅」は静岡の寸又峡と秋田の大曲、この二ヵ所は特別関連がある訳ではなく、新聞社の記者が大曲から島田市へ異動したという経緯設定である。大曲の住田というロクデナシを寸又峡に呼び出して殺すという偶然が重なることで今回のストーリーが成り立つ。寸又峡も大曲もバブルに浮かれることも無く、時の流れに忘れ去られたような「鄙」びた所である。事件の根底には十数年前の傷害事件があった。犯人にとっては忘れてもらいたい記憶であり、フタをしたはずの過去であったが、一人の記者が「面白い人」を探しに記憶をたどり始める。両親が居て、その子供がいるというのは自然というか当然の帰結であるが、時にそうではない場合がある。それでも養子縁組であったり、里親であったり、その出自が明確である...鄙の記憶

  • 坊ちゃん殺人事件

    内田康夫/中公文庫1997年6月18日初版、2001年2月10日再販、シリーズNo.59。今回の「旅」はお題の通り四国松山の文学散歩である。道後温泉、子規記念博物館、夏目漱石、種田山頭火、内子座・・・。自由律の俳句のゴーストライターが実は麻薬密輸の元締めだったという話し。俳句に取引の場所と日時を織り込んで同人会報で発表するという、この連絡手段が現実的かどうかは別として、随分手の込んだものである。松山にゆかりの人物が登場するのは「旅」の面白さではある。子規や漱石はあまりに有名だが、種田山頭火という人物は新鮮であり、ちょっと衝撃的でもあった。自由律という俳句が、何の規則性も順序も、決まりも無いことで、尚の事難しくなること、しかしながら感性に訴える作品の良し悪しはある。既存の俳句が季語、文律、順序などによって一見制限...坊ちゃん殺人事件

  • 風葬の城

    内田康夫/徳間文庫2000年10月15日初版、シリーズNo.56。この作品で素材として使用しているのは漆器工芸、会津の歴史、そして歯科国家試験の漏洩問題である。一見何の相関もないようだが、実にうまくジグソーパズルのピースがピタッと嵌り込むように出来ている。それぞれの問題は史実あるいは現実に即しており、只その組み合わせだけが創造的なのである。社会派的な側面もあるのだが、今回の作品では何より衝撃的なのは「風葬」である。縁あって福島に一年ほど暮らしたことがあるけれども、遂に会津を訪れる機会は無かった。しかし、白虎隊や戊辰戦争の舞台であることは心の隅にいつもわだかまっていた。福島市から見て、あの山の向こうに会津があるといつも思っていた。勿論、折に触れて断片的な知識はあったものの、改めて会津の悲哀を知ることになった。多く...風葬の城

  • 金沢殺人事件

    内田康夫/講談社文庫2007年8月10日初版。シリーズNo.32。この作品では例によって「旅」として金沢情緒というのはあるけれども、牛首紬という手織りの特産に注目させて話が展開する。しかし、シリーズの中では珍しく「不倫」が本筋となっている。不倫の話しは作品の中でまま散見されることではあるが、終始背景に採用する作品は希かと思う。もっともその関係が明らかになるのは最終章になってからなのだけれども。著者にとっては、普段の浅見の行動からして、あまり得意な分野ではないようで、命懸けの不倫らしさがあまり伝わってこないという印象がある。この程度で人を殺すのかとも思うのだが、それは当人にしか判らない。その辺の描写がほとんど皆無である。それはともかく、「不倫」というものにはつくづく未来が無いものだ。著者は作中の永瀬義治について、...金沢殺人事件

  • 城崎殺人事件

    内田康夫/徳間文庫1992年6月15日初版。シリーズNo.29。この作品の主なネタは金先物取引詐欺の保全投資協会の残党と天日槍を信仰する城崎という地域の伝承である。古く大和朝廷との確執以来、かたくなに一線を画してきた土蜘蛛族と蔑視される人々の結束、いつか日の目を見るものと密かに願い信じて暮らす。そんな地域があること自体信じがたいことだが、現代人にとっては、昔からの地元の習慣の一つであり、八百万の神々の一つなのかもしれない。しかし、そこには鉄器文化を持ち込んだ渡来人としての誇りのようなもの、天孫族のプロパガンダに怯むことのない自尊心さえうかがえる。一方で、崇高なはずの信仰の中に、詐欺で得た巨額の資金と、子を思う母親の悲哀が交差する。天日槍信仰の権化のような祖父にとって、この結果は立ち直ることが出来ないくらいの衝撃...城崎殺人事件

  • 鬼首殺人事件

    内田康夫/光文社文庫1997年5月20日初版、1999年9月5日第刷。シリーズNo.62。この作品は秋田県の横堀が舞台。ここには小野小町に関係する史蹟や、実際に「鬼首」という名前が付いた地名もある。横堀・雄勝町は著者が中学生時代を過ごした場所でもあり描写が詳細である。作品の中に出て来る銀坑(院内銀山)なるものがあるのかどうかは判らない。まして、本土徹底抗戦の資金を隠したという話、軍用弾丸道路建設計画などという話も創作かもしれないが、それを、さもそれらしく書くところが面白い。著者の作品はどこまでが本当で、何処が創作か、つなぎ目がシームレスで、ついその気になってしまうから怖い。例によって、隠したはずの資金はその後どうなったかは語られていない。羽後街道(R108)は仙台(太平洋)から秋田・由利本荘(日本海)まで東北を...鬼首殺人事件

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、つむじ風さんをフォローしませんか?

ハンドル名
つむじ風さん
ブログタイトル
つむじ風
フォロー
つむじ風

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用