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2014/10/11

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  • 御堂筋殺人事件

    内田康夫/講談社文庫1998年2月15日初版。シリーズNo.39。先に結果(犯人)を設定しない著者ならではの作品。とにかく皆目証拠がないのである。関係者のつながりも切れ切れで、「何かがおかしい」のだが、その先が一向に見えてこない。今回ばかりはさすがの浅見光彦も読み切れず、最後の最後、苦肉の策でフェイントをカマした。それでどうにか事件の端緒を捕まえることが出来たようだ。ミステリーとしてこのような終わり方が正しいかどうか、それは別にしてとにかく意外というほかはない。仕舞にはウォーターライドの事故で「重体」にしてしまうことで、意匠返しをしているから面白い。ただ、主人公、畑中有紀子の存在が、今一つ薄い。「復讐してやる---」というのは、どうもその場の一時的な感情に過ぎなかったようだ。意外といえば、「旅と歴史」の御堂筋は...御堂筋殺人事件

  • 菊池伝説殺人事件

    内田康夫/角川文庫1991年2月10日初版、1998年4月10日第36刷。シリーズNo.36。いつもながら面白い。今回の旅は武州街道、秩父も小海も訪れたことはある。甲州街道や青梅街道は通ったことがあるけれども、この街道は通ったことがない。関東にもこんな秘境のような所があったのかと思う。いつか機会があったら通ってみたい街道である。菊池一族の事はこれもまた新鮮な話しだった。確かにルーツ発掘的な話しであるが、某国営放送の「日本人のお名前・・」というTV番組の文庫版のような気がしないでもない。著者の作品の方が20年ほど先行しているのだから、TV番組がヒントなどということは勿論ないのだが。菊池武春が自分の戒名「雪心院仙洞宝禅居士」に織り込んだ宝物の隠し場所は、著者の作品「不等辺三角形」とよく似ている。秘密の場所を示す方法...菊池伝説殺人事件

  • 隠岐伝説殺人事件(上下)

    内田康夫/角川文庫上・1990年11月25日初版、2000年12月30日第30刷。下・1990年11月25日初版、2000年10月10日第33刷。先日読んだ「佐渡伝説殺人事件」と同様、隠岐もまた流刑の地、しかし、こちらは政治犯、思想犯が比較的多いらしい。背景には金が採れなかったことがあるのかもしれない。更に先日読んだ「後鳥羽伝説殺人事件」では、その前段の出雲までの行幸を題材にしているから、何だか続きを読んでいるような気にもなる。隠岐まで持ち込んだであろう宝物の「源氏物語」を絡めて、話が面白く展開する。旧陸軍の笑気ガスは意外な小道具だが、そうでもしなければ収拾のつかない話であった。読み所はいろいろあるのだろうが、自分としてはやはり「旅」かもしれない。勿論、隠岐には行ったことがないので(佐渡にも行ったことは無いが)...隠岐伝説殺人事件(上下)

  • 本日は大安なり

    辻村深月/角川文庫2014年1月25日初版、2014年5月30日第三刷。著者の作品は「ツナグ」で最近初めてお目に掛かり、今回で二度目になる。作風は確かに連なるものがある。出だしは何かモタモタして、登場人物も次々変わり結婚式場の話らしいが、何だろうと思いながら読み進む。どうやら四組の結婚式らしい。それぞれ他言できない悩みを抱えている。確かに結婚式は本人だけでなく、周りを盛大に巻き込んでの一大イベントであることは間違いない。しかし、それがどうした。このままドタバタ終わる訳ではないだろうと思いつつ読んでいくと、双子姉妹のシャレにもならない悪巧みや、既婚者でありながらだらしなく引きずられて結婚式を挙げる羽目に、中止したいばかりに式場に放火しようとする男など、実際に厨房でボヤが出て、とんだ「大安吉日」になってしまう。ここ...本日は大安なり

  • 恐山殺人事件

    内田康夫/角川文庫1989年12月10日初版、2000年8月20日第47刷。シリーズNo.21。今回の「旅」は青森県の恐山、秋田県の角館。この関連で宇曾利湖、十和田湖、田沢湖など、各カルデラ湖を訪れる。印象が強いのはやはり恐山。正津川や荒涼とした賽の河原である。先日読んだ「佐渡伝説殺人事件」の「願」の賽の河原に引けを取らない。「賽の河原」が立派なというのはおかしいけれども、「いかにもそれらしい」という意味である。浅見光彦が事件の最終結論に至りすべてが終結する時、多くの作品で「武士の情け」が登場する。このような結末は、既に初期の作品から採用されているようだ。それは今回もご多分に漏れない。変わっていることは、3件の殺人事件を実行した犯人に「自分の手を汚さずに断罪しようというのだから。まさに正義の人、しかも狡猾な偽善...恐山殺人事件

  • 平家伝説殺人事件

    内田康夫/角川文庫1985年6月10日初版、1993年11月20日第40刷。シリーズNo.2。今回は保険金詐欺事件をベースにしたもの。高知の山奥(隠れ里)から出てきた二人の若者が辿った運命、そして伊勢湾台風という史上最悪の自然災害に隠れて、画策した死体無き殺人。著者としては気張った密室トリック、船上トリックも含めて、いかにも推理小説らしい作品となっている。主題は平家落人の村「隠れ里」ということになっているが、実質は保険金詐欺事件。伝説が「保険金詐欺」となれば、平家落人ロマンは一気にナマナマしい現実味を帯びてくる。実際に浅見が訪れた平家落人の「隠れ里」は確かに山間深くそれらしいところだが、伝説的に平家落人の部落と称されるところは九州、四国を中心に実に100以上あるらしい。しかし、それは作られたものだと言われている...平家伝説殺人事件

  • 後鳥羽伝説殺人事件

    内田康夫/角川文庫1985年1月25日初版、2000年6月30日第61刷。シリーズNo.1。前作に「死者の木霊」があるが、シリーズはこの作品から始まって30年以上続く。いつまでも歳をとらない主人公ではあるけれども、この作品で妹(祐子)の悲運が語られる。もう一人の妹(佐和子)の話しはたまに登場するのだが、こんなことがあったとは想像すらできなかった。そんなこともあってか確かに妹(祐子)の話しが登場するのは希である。少なからず浅見の人生観に影響を与えたであろうことを納得した。今回の旅は後鳥羽法皇が政治闘争に敗れて隠岐へ流されたとき、通ったであろう道の話し。海路で瀬戸内まで来て、尾道あたりに上陸、そこから凡そR432線で王貫峠を越えて日本海側の松江・出雲までのルートである。「旅と歴史」から見ると、ほとんど伝説的な話しな...後鳥羽伝説殺人事件

  • 佐渡伝説殺人事件

    内田康夫/角川文庫1987年2月10日初版、1991年2月10日第19刷。シリーズNo.5。100以上ある作品の中でも初期のものだが、すでにこの時点で「浅見光彦」はすっかり定着しているようだ。以来、このスタイルを維持しているのは並みのことではないと感嘆する。この頃、浅見家の地元、滝野川警察署にはなじみがなかったようで、他の作品を既読しているものにとっては納得のいくものだった。佐渡の金山の話しも「願」の賽の河原、海府大橋の話しも新鮮で、旅情たっぷりの描写だった。いずれも行ったことは無いけれども、充分その気持ちになることが出来た。勿論、実際に行ってみたいと思うのは当然のこととして。佐渡は金山の他に流人の島という顔もある。今回の犯人にはその末裔だと過剰に自認する人間の狂気がある。実行犯のこの認識が恐ろしい。圧し潰され...佐渡伝説殺人事件

  • シベリア鉄道殺人事件

    西村京太郎/朝日文芸文庫1996年12月1日初版。久々の「トラベルミステリー」、十津川、亀井コンビの登場。海外にまで捜査範囲を広げたものが多いかどうかは、つまみ食いしているものにとっては判らないことだが、今回は壮大といってよいと思われるシベリア鉄道の旅だ。時節は十一月十五日、まだ晩秋なのだが、これが厳冬期であったら一体どうなるのかと恐怖さえ感じるシベリア鉄道だった。どうにかモスクワまでたどり着き、マフィアと元・KGB、警察とCIAの暗躍する中で何とか解決できたのだからすばらしい。ザルキンが日本人二人を殺した動機については最後まで判らなかったが、米大使館の書記官の机上に新宿歌舞伎町で殺されたイザベルの写真があったことが、全てを物語っているようだ。最初のプロローグが突然呼び起こされるようなショックがあった。ロシアの...シベリア鉄道殺人事件

  • 札幌殺人事件(上下)

    内田康夫/光文社文庫1997年9月20日(上、下)初版。シリーズNo.68。11月の中、人探しの依頼で、浅見が札幌を訪れた。1週間から10日の出来事である。しかし、まあ北海道の事情をよくつかんでいること。本当にさもありそうな話でありまったく違和感がない。インフラ開発、公共工事に関わるカネの流れや、事業者の思惑、ロシアとの関係。道警本部も自前のスキャンダルで忙しい。そんな中で発生した殺人事件である。今まで、相当数の作品を読んできたが、今回の作品に登場する「国際刑事警察機構」なるもの或いはその外郭団体というのは初めての登場である。いかにも何かの諜報活動、スパイモノのような雰囲気だが、その正体は最後まで定かではなかった。公安のような感じもあるが、もっと市民レベルの、そう、まさしく「草」のような存在らしい。著者としては...札幌殺人事件(上下)

  • 珠玉

    開高健/文春文庫1993年10月10日初版、2010年2月5日第六刷。遥か昔、あれはウィスキーのCMだっただろうか、「天に感謝、地に感謝」を懐かしく思い出す。著作より冒険家のような印象が残っている。それは作品を読んだことが無いからかもしれない。大手術の後、書き残したようなものがこの作品になるらしい。もう、30年も昔になることがとても信じられない。「珠玉」は本当に宝石と酒と料理の短編で、独自の「宝石と酒と料理」を割り当て、作家の主人公と関係者を適所に登場させており、それぞれ味のある話になっている。著者がいかに「宝石と酒と料理」に拘りがあり、憧憬が深かったか判るというものである。宝石が放つ光彩とイメージもさることながら、マティーニを作る描写だけでも、何だかその味が口の中にピリピリと広がり伝わって来るようだから困る。...珠玉

  • 藍色回廊殺人事件

    内田康夫/講談社文庫2002年2月15日初版。シリーズNo.79、416pの力作。今回の「旅と歴史」は四国(阿波の国)、吉野川流域、「藍色回廊」はまさしく「藍」の国のこと。そのことも含めて、その歴史、変遷を知る。四国で有名なお遍路さんは、体力勝負が不得意な浅見さんとしては(ほんのさわりだけで)あまりそれに近寄らない。それでも、吉野川上流の山懐、渓谷と眼下の流れの描写は「旅」を充分満喫させた。あの有名な蔦の吊り橋はここにあったのかと改めて想像した。地方における人口減少、インフラの老朽化、産業の斜陽などの問題は珍しくも無いが、箱物建設、道路新設、ダム建設、飛行場建設、工場誘致といった公共投資型でなく、既存のものを利用して町おこしに成功したところがあることも確かだ。この作品では、斜陽の「藍」と十堰の破壊、可動堰の新設...藍色回廊殺人事件

  • 流しのしたの骨

    江國香織/新潮社文庫1999年10月1日初版、2005年2月25日第12刷。著者の作品は初めてお目に掛かるけれども、これは私小説なのだろうか。著者は「変な家族」というけれど、どこが「変」なのか判らない。世の中「変な家族」の集合体だから、真っ当な家族など、何処にもいない、と思う。それに、家族は時と共に変化し、変貌していくもの。どこまでが「変」で、どこからが「真っ当」ということもない。確かに「異常」な家族というのはあるかもしれない。それと同じくらいに正常な家族というのは希なのではないだろうか。何人かが寄って、お互いの変な部分を許容し合い一つ屋根の下で暮らしているのが家族なのだから。例え、お父さんがいかに律儀な人であっても、お母さんが一生懸命な人であっても、こうなのだから家族というのは思ったようにはならないものだ。ま...流しのしたの骨

  • 不等辺三角形

    内田康夫/講談社文庫2013年3月15日初版。シリーズNo.109。今回は珍しくコンパスは無かったが、地図を使ってオリエンテーリングもどきの「お宝さがし」。このような幾何学的推理は数ある作品の中でも初めての登場ではないだろうか。浅見光彦シリーズに多用される「その土地の富豪」が今回は愛知名古屋の正岡家と宮城丸森の岩澤家、この二つの家の盛衰に関わる事件だったが、著者がこれまたよく使用する「血筋」「縁戚関係」の歪みとでもいうような仕組みが隠されている。エンディングは、やはり「武士の情け」であった。「これでいいのか」と常に振り返って見る間もなく、人が、その人生の大半を懸けて果たしてきた役割が、突然その矜持を失ったときの衝撃は計り知れない。もし、そのような状況に陥った時は、最悪「人生を投げる」ことだってあり得ることだと思...不等辺三角形

  • 鎌倉流鏑馬殺人事件

    斎藤栄/徳間文庫2000年12月15日初版。著者の作品は2014年「河童殺人事件」でお目に掛かっているが、作品の雰囲気(淡々と話を進める作風)自体は同様のものがある。今回の「鎌倉流鏑馬殺人事件」は「日美子シリーズ」の中の十作目にあたるらしい。主人公は二階堂日美子、タロットで未来を見るのが得意。夫は現役の警部。事件捜査の不足を妻が視点を変えて補足するような関係なのだが、多くの警察小説では家族にも捜査情報は漏らさないのが一般的。どうも、現実的とは言えない。勿論、小説なのだから、非現実的な創作があっても悪くはないのだが、面白味に欠ける。タロットカードをめくる毎に現れる人間の未来という意味では、その占い情景描写に多少なりとも緊張するが、作品全体としてはどうも平穏過ぎて盛り上がりに欠ける。その割に殺人事件は頻繁だ。死体損...鎌倉流鏑馬殺人事件

  • 不知火海

    内田康夫/講談社文庫2003年9月15日初版、2007年4月15日第二刷。シリーズNo.86。452pの長編を感じさせない面白さ、推理サスペンスだった。「骸骨」が効いたのかも知れない。それとやはりモザナイトの存在が大きい。不知火海(八代海)は九州本土と天草諸島に囲まれた内海。「不知火」自体の正体は結局何も判らなかったが、放射性物質が放つ放射線とかけて「得体の知れないもの」として扱うことでその不気味さを際立たせている。原発にしろプルサーマルにしろ、廃棄物にしろ何に付けても人類は放射性物質を完全に掌握、制御し切れていない。それが出来るものなのか出来ないものなのかさえ判らないのが実情だ。人類を含むあらゆる生命体にとってその危険性と脅威は少しも薄れていない。米村資裕(相川公一)の存在は随分ミステリアスで最後の最後まで伏...不知火海

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