御堂筋殺人事件
内田康夫/講談社文庫1998年2月15日初版。シリーズNo.39。先に結果(犯人)を設定しない著者ならではの作品。とにかく皆目証拠がないのである。関係者のつながりも切れ切れで、「何かがおかしい」のだが、その先が一向に見えてこない。今回ばかりはさすがの浅見光彦も読み切れず、最後の最後、苦肉の策でフェイントをカマした。それでどうにか事件の端緒を捕まえることが出来たようだ。ミステリーとしてこのような終わり方が正しいかどうか、それは別にしてとにかく意外というほかはない。仕舞にはウォーターライドの事故で「重体」にしてしまうことで、意匠返しをしているから面白い。ただ、主人公、畑中有紀子の存在が、今一つ薄い。「復讐してやる---」というのは、どうもその場の一時的な感情に過ぎなかったようだ。意外といえば、「旅と歴史」の御堂筋は...御堂筋殺人事件
2019/05/31 10:41