chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 怪物も怨霊も大集合/浮世絵お化け屋敷(太田記念美術館)

    〇太田記念美術館『浮世絵お化け屋敷』(2024年8月3日~9月29日)歌川国芳や月岡芳年の名品をはじめ、妖怪や幽霊を描いた浮世絵約170点を紹介する。前後期で完全展示替えだったので、前期に続いて後期も見てきた。いや楽しかった!浮世絵といえば、伝統的にコレクターに愛されてきたのは美人画や役者絵だと思うが、いま一番人気があるのは、スペクタクルな怨霊・妖怪画ではないかと思う。会期末にあたるこの週末、小さな美術館は大混雑で。若者や外国人の姿も多かった。後期の見ものは歌川国芳『相馬の古内裏』。一度見たら忘れない、背を丸めて覗き込む巨大な髑髏が巨神兵みたいなやつ。しかし私はこの原作にあたる山東京伝作『善知鳥安方忠義伝』は、いまだ機会がなくて読んでいない。昨年、歌舞伎座で見た『新・陰陽師』に将門の復権を企む滝夜叉姫が登...怪物も怨霊も大集合/浮世絵お化け屋敷(太田記念美術館)

  • 付藻と松本/眼福(静嘉堂文庫美術館)

    〇静嘉堂文庫美術館特別展『眼福-大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋』(2024年9月10日~11月4日)三菱第2代社長・岩﨑彌之助とその嗣子で第4代社長の岩﨑小彌太の父子二代によって収集された茶道具の名品展。静嘉堂としては8年ぶりの茶道具展で、将軍家、大名家旧蔵の由緒ある茶入や名碗をはじめ、著名な茶人たちの眼にかなった、格別の名品が一堂に会する。ギャラリー1は、建窯の油滴天目(デカい)に始まり、灰被天目、井戸茶碗、楽茶碗、織部、高取などが1~2点ずつで、茶碗の種類を学ぶ教科書の趣き。私は、いわゆる井戸茶碗は、持ち重りしそうであまり好きでないのだが、つるっとした玉子手茶碗(銘:小倉山)は触ってみたいなと思った。ギャラリー2は茶入。それぞれ仕覆やら木箱やら、大量の付属品が一緒に並んでいて面白かった。本展は、すべて展...付藻と松本/眼福(静嘉堂文庫美術館)

  • 鉄道と家族の現代史/中華ドラマ『南来北往』

    〇『南来北往』全39集(中央電視台、愛奇藝他、2024年)「南来北往」は、あちこち、せかせか動き回ることをいう成語である。ドラマの始まりは1978年、主人公の汪新は中国東北地方の寧陽駅の管区内で「乗警」として働き始めたばかりの若者。私は80~90年代によく中国旅行に行っていたのだが、長距離列車に乗ると、必ずこわもての乗警(鉄道警察官)が乗っていて、身分証や切符をチェックにまわってきた。今は知らないが、なつかしい。汪新(白敬亭)は幼い頃から父親と二人暮らし。父親は列車長で、鉄道関係者の社宅のようなところに住んでいる。機関士見習いの牛大力、牛大力の憧れである服務員の姚玉玲らもご近所住まい。汪新は、中学の同級生だった馬燕(金晨)のことをいつも気にかけていた。馬燕の父親・馬魁は経験豊富な乗警だったが、あるとき犯人...鉄道と家族の現代史/中華ドラマ『南来北往』

  • 伴大納言絵巻上巻を見る/物、ものを呼ぶ(出光美術館)

    〇出光美術館出光美術館の軌跡ここから、さきへIV『物、ものを呼ぶ-伴大納言絵巻から若冲へ』(2024年9月7日~10月20日)休館を控えたシリーズ展もいよいよ最終章になってしまった。本展は、同館が所蔵する2つの国宝、『伴大納言絵巻』と古筆手鑑『見努世友』をはじめ、やまと絵、風俗画、仏画、文人画から古筆まで、書画コレクションの粋を展観する。私は2016年の展示以来となる『伴大納言絵巻』をゆっくり見たくて、日曜の朝イチに入館しようと計画を立てていた。ところが家を出るのが遅れて、到着したのは開館の10分後くらい。展示室内が見るからに混雑していたので、あっマズい!と思った。ところが、人混みを突っ切って先に進むと、奥はまだ人がいない。みんな、冒頭の若冲と江戸絵画で滞留しているのだ。私のお目当て『伴大納言絵巻』は、第...伴大納言絵巻上巻を見る/物、ものを呼ぶ(出光美術館)

  • お伊勢参り2024:松浦武四郎記念館

    お伊勢参り旅行最終日、地元の友人が朝から車を出してくれることになって、三人で松浦武四郎記念館へ。東京を発つ前にいろいろ調べたのだが、公共交通によるアクセスがかなり限られる立地で、今回はあきらめようと思っていたところ、念願が叶ってうれしい。稲穂の揺れる田園風景をドライブして無事到着。■松浦武四郎記念館企画展『武四郎の晩年』(2024年7月26日~9月29日)「北海道の名付け親」として知られる松浦武四郎(1818-1888)は伊勢国一志郡須川村(現・松阪市小野江町)生まれ。同館は、松阪市(旧三雲町)が、松浦武四郎の功績を偲び、松浦家で代々大切に保存され、寄贈を受けた武四郎ゆかりの資料を展示する博物館として1994年に開館したもので、今年が開館30周年になる。2022年にリニューアルされたこともあり、映像やビジ...お伊勢参り2024:松浦武四郎記念館

  • お伊勢参り2024:外宮、下宮界隈

    お伊勢参り2日目は久居駅で友人2人と落ち合って伊勢市に向かうはずだったが、友人たちは改札で待っていたのに、私は先にホームに降りており、ひとりで予定の列車に乗ってしまうというアクシデント。それでもなんとか外宮の入口で落ち合うことができた。■式年遷宮記念せんぐう館朝からすでに暑いので、下宮の入口にある展示館で少し涼んでいくことにする。伊勢神宮の歴史、特に式年遷宮と御装束神宝の調製にかかる技術を紹介する展示館。下宮正殿東側の原寸大模型が見どころで、実際には近づけない距離から細部を観察することができる。欄干に「五色の座玉(すえたま)」が置かれていることを初めて知った。調べたら、伊勢神宮と丹後の籠神社(このじんじゃ)にしかないそうだ。「伊勢神宮のふるさと」とも呼ばれる籠神社、成相寺に行ったときに寄ったことがあるかも...お伊勢参り2024:外宮、下宮界隈

  • お伊勢参り2024:本居宣長記念館、石水博物館

    三連休はお伊勢参り旅行へ。初日は夕方、友人たちと落ち合う間ではひとりで観光。名古屋から近鉄週末フリーパスを使って松阪へ向かった。駅に下りると「ベルタウン」という不思議なかたちの商業施設が目についたが、人影は少なかった。観光ルートをたどって、松阪城跡にある本居宣長記念館へ。■本居宣長記念館令和6年秋の企画展『もののあはれを知る~宣長とひもとく「源氏物語」~』(2024年9月10日~12月8日)今年の大河ドラマにちなんだ『源氏物語』がテーマとは言いながら、展示品はほぼ文献資料で、華やかな絵画や服飾資料はないので、辛気臭いだろうなあと思ったが、意外と面白かった。『源氏』を読むには一語一語の意味を正しく理解すべき、というような提言があって、古典研究の基本的な方法論は、この頃から変わっていない気がした。読みたい本を...お伊勢参り2024:本居宣長記念館、石水博物館

  • お伊勢参り2024お酒と食べたもの

    三連休を使って、友人と二人で、三重県に住んでいる元の同僚に会いに行った。初日は夕方、久居駅で落ち合って、藤ヶ丘食堂へ。とり焼・とり鍋・から揚げのお店。地元の家族連れが次々にやってきて、焼き網のセットされたテーブルで、さっと食べて帰っていく。家庭料理の延長みたいな素朴な美味しさで大満足。2日目は3人でお伊勢参り。外宮、内宮を参拝した。お昼は伊勢市駅近くのまめやさんで、伊勢めひびうどんをいただいた。伊勢地方では、刻みめかぶをめひびというのだな。伊勢うどんは、さすが本格派。私は東京人だが、たまに食べたくなるのである。内宮参道の赤福本店でひとやすみして赤福をいただく。赤福氷も期待していたのだが、大混雑・大行列を見てあきらめた。今回は、久居グリーンホテルに2泊。「お茶漬け朝食」が売りで、初日は松阪牛入りしぐれ茶漬け...お伊勢参り2024お酒と食べたもの

  • おいしい町歩き/東京の喫茶めし(ぴあMooK)

    〇ぴあMooK『東京の喫茶めし』ぴあ2024.8東京の喫茶の名店と名物メニュー、スパゲッティ、サンドイッチ、カレー、オムライス&オムソバ、モーニング、さらにスイーツは、パフェ、ホットケーキ、プリンアラモード、あんこ、コーヒーゼリー、クリームソーダなどを紹介する。全体にマホガニー色(深みのある赤)を基調とした写真ページが多いのは、取り上げられているお店の内装トーンがそうなのだろう。若い頃から喫茶店に行く習慣はほとんどなかった。大人になると、チェ-ン店のカフェが急速に普及してきたので、安いし入りやすいし、時間のかからないチェーン店ばかり利用していた。それが最近になって、その店にしかないメニューと雰囲気を求めて、レトロな喫茶店を訪ね歩く楽しさがだんだん分かってきた。と言っても、本書掲載のお店で、私が実際に訪ねた...おいしい町歩き/東京の喫茶めし(ぴあMooK)

  • 陶芸家の息子/昭和モダ-ン モザイクのいろどり(泉屋博古館)

    〇泉屋博古館特別展『昭和モダ-ンモザイクのいろどり板谷梅樹の世界』(2024年8月31日~9月29日)昭和のモザイク、特に興味ないなあ…と思っていたが、本展が取り上げるモザイク作家・板谷梅樹(いたやうめき、1907-1963)が、陶芸家・板谷波山(いたやはざん、1872-1963)の息子であるという情報をネットで見て、興味が湧いて、見て来た。エントランスホールに展示されていたのは、縦長の巨大なモザイク壁画。遠景には三角形に立ちあがった富士山、雲海と山並み・森林を挟んで、清流が手前に向かって流れている。近代水道発祥の地・横浜市の依頼で制作され、日展に出品されたのち、横浜市水道局に納められた『三井用水(みいようすい)取入所風景』(1954年)という作品である。その後、1987年に近代水道100周年を記念して開...陶芸家の息子/昭和モダ-ンモザイクのいろどり(泉屋博古館)

  • ファンダムの可能性/実験の民主主義(宇野重規)

    〇宇野重規;聞き手・若林恵『実験の民主主義:トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ』(中公新書)中央公論新社2023.10宇野先生の著書は『〈私〉時代のデモクラシー』『民主主義とは何か』などを読んできたので、だいたいどのような内容が展開するか、想像ができた。本書は、まず19世紀の大転換期を生きたフランスの貴族トクヴィルが、1831年にアメリカに旅行し、まさに民主主義がゼロから作られていく様子を目にして考えたことの検証から始まる。旧著『民主主義とは何か』でも紹介されていた論点である。トクヴィルは「平等化」という概念を手がかりに19世紀の世界を覆うことになる趨勢を読み解こうとした。平等化は必然的に個人主義をもたらし、人々は孤立化する。そこで社会を解体から救う、もう一つのベクトルが「結社=アソシエーション」...ファンダムの可能性/実験の民主主義(宇野重規)

  • 神さまの乗りもの/神輿(國學院大學博物館)

    〇國學院大學博物館企画展『神輿-つながる人と人-』(2024年6月29日~9月16日)国学院大学が所蔵する祭礼を描いた屏風、絵巻、刷り物などから「神輿とは何か?」を紐解き、さらに「祭りの力」についても考える。絵画資料が多くて、視覚的におもしろかった。展示パネルによれば、神輿が歴史の舞台に登場するのは、天慶8年(945)志陀羅神などの神輿が摂津の国から移動したときのことだという。図録の解説はもう少し詳しくて、『続日本紀』によれば、天平勝宝元年(749)宇佐八幡宮の八幡神は東大寺の大仏建立を助けたいとの託宣を下し、約1ヶ月かけて平城京へ上京したが、神輿を使用したかどうかは明確でない。神輿の明確は記事は、『本朝世紀』天慶8年(945)7月28日の条になる。はじめは志陀羅神など3基の神輿と記されていたものが、自在...神さまの乗りもの/神輿(國學院大學博物館)

  • 深川江戸資料館を訪ねる

    〇深川江戸資料館(江東区白河)門前仲町の住民になって8年目、ようやくご近所・深川江戸資料館を見てきた(コロナ禍でなかなか機会がなかったのだ)。こじんまりした施設ではあるけれど、天保年間頃の深川佐賀町の町並みの「情景再現、生活再現展示」が見どころである。私が展示場に入ったときは夜の設定で、夜空に月が浮かんでいた。舂米屋の土蔵の隣り、長屋の屋根でぶち猫が眠っている。その下は三味線のお師匠さんの住まいという設定。八百屋の店先。青物だけでなく、卵やコンニャクも商う。棒手振りの住まい。深川らしく、桶の中には貝がゴロゴロ。私は子供の頃、夏休みになると、深川森下町の従兄弟の家(母親の実家)に泊まりにいくのが楽しみだったが、昭和40年代でも、朝早くアサリ売りが町を歩いていた。「ア~サリ~シ~ジミ~」という売り声を覚えてい...深川江戸資料館を訪ねる

  • 理想の推し活/高畠華宵が伝えてくれたこと(弥生美術館)

    〇弥生美術館開館40周年生誕祭!『大正ロマン・昭和モダンのカリスマ絵師高畠華宵が伝えてくれたこと』(2024年7月6日~9月22日)1階展示室では、大正末から昭和初期にかけ、絶大な人気を誇ったイラストレーター・高畠華宵(1888-1966)の作品を展示。私はさすがに華宵の人気をリアルに知る世代ではないのだが、2015年の『橘小夢展』を見に行ったとき、常設エリアの華宵に関する展示があまりに面白かったので松本品子編『高畠華宵』を買って帰り、ますますその魅力に引き込まれてしまった。華宵の描く少年・少女は、いずれも訴えるような三白眼が印象的で、現実離れした美形だが、肉体が生々しい実感を持っている。女性は、意外とむっちりした肉付きが魅力的。このイラストは手塚治虫の『リボンの騎士』に影響を与えているんじゃないかと思っ...理想の推し活/高畠華宵が伝えてくれたこと(弥生美術館)

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、見もの・読みもの日記さんをフォローしませんか?

ハンドル名
見もの・読みもの日記さん
ブログタイトル
見もの・読みもの日記
フォロー
見もの・読みもの日記

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用