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  • 2023年9月関西旅行:青池保子展(小磯記念美術館)、高島屋史料館

    ■神戸市立小磯記念美術館夏休み特別展・漫画家生活60周年記念『青池保子Contrail航跡のかがやき』(2023年7月15日~9月24日)9月の関西旅行、最終日は神戸に足を伸ばして、青池保子先生の回顧展を見て来た。なぜ神戸で?と思ったが、青池先生は山口県下関市出身なので、故郷に近いといえば近い。それと中世の航海や帆船にゆかりの物語を描いているという点が、港町・神戸にふさわしいと言えなくもない。デビュー作「さよならナネット」から少女漫画界に衝撃を与えた「イブの息子たち」、大人気作「エロイカより愛をこめて」、中世3部作「アルカサル-王城-」「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」まで、緻密なカラー原画とモノクロ原画を300点以上、8章構成で紹介し、60周年の仕事を記念する最大規模の展覧会という謳い文句は伊達ではな...2023年9月関西旅行:青池保子展(小磯記念美術館)、高島屋史料館

  • 2023年9月関西旅行:みちのくのいとしい仏たち(龍谷)、京都水族館

    ■龍谷ミュージアム秋季特別展『みちのくいとしい仏たち』(2023年9月16日~11月19日)小さなお堂や祠、民家の仏壇や神棚などには、その土地の大工さんやお坊さんたちの手による、素朴でユニークな仏像・神像がまつられ、人々に大切に護られてきた。本展は、青森・岩手・秋田の3県に伝わった約130点の仏像・神像を展示し、みちのくの厳しい風土の中、人々の暮らしにそっと寄り添ってきた、やさしく、いとしい仏たちの、魅力あふれる造形を紹介する。展示の主要部分は江戸時代の民間仏だが、古代から中世に作られた仏像・神像も複数来ている。岩手・天台寺の如来立像(平安時代)は、頭髪や衣紋の表現を省略しているが、かなり頑張った仏像らしい姿。膝を揃えて座り、両手を胸の前で交差させた尼藍婆像・毘藍婆像(平安時代)は複製が来ていた。「花巻市...2023年9月関西旅行:みちのくのいとしい仏たち(龍谷)、京都水族館

  • 2023年9月関西旅行:常設展(京博)、若冲と応挙(承天閣美術館)

    ■京都国立博物館特集展示『日中書の名品』(2023年8月8日~9月18日)+常設展示三連休2日目は京博から。楽しかったのは『異国の仏教説話』(2023年8月22日~9月18日)で『羅什三蔵絵伝』『華厳宗祖師絵伝・義湘絵』『真如堂縁起』の3件が出ていた。『羅什三蔵絵伝』は鳩摩羅什の物語。料紙の大きさに比べて人物が小さいが、胡粉や金彩が美しく、やわらかな印象。持ち帰った経典の翻訳に励む長安の寺院、写経用の紙(絹?)を洗濯ものみたいに干す人々が描かれていて面白かった。『華厳宗祖師絵伝』は、ほぼ全面的に開いていて、冒頭ではめそめそ泣いている善妙が、仏具の箱とともに海に身を投じると、巨大な龍が立ち現れる、この変化の迫力がよく分かった。龍に守られる船中の義湘は、きょとんとした表情である。あと、冒頭の街中の犬の親子がか...2023年9月関西旅行:常設展(京博)、若冲と応挙(承天閣美術館)

  • 2023年9月関西旅行:文人サークルへようこそ(大和文華館)

    〇大和文華館特別企画展『文人サークルへようこそ-淇園・鶴亭・蕪村たちがお出迎え-』(2023年8月18日~9月24日)中国の明・清時代に隆盛した文人文化の影響を受け、日本にも誕生した文人サークルを紹介し、交流が育んだ清新な絵画作品を展示する。はじめに元祖ともいうべき明清の文人画。陸治、徐枋、高其佩など。中国の文人とは、身分的には高級官僚であり、治国・修身のための幅広い知識を持ち、詩書画に優れることが理想とされた。彼らの作品は、第一に刊行された画譜によって、第二に黄檗宗の僧侶たちを介して、17~18世紀の日本に流入した。入口の単立の展示ケースには、安徽省太平府の地理書の景観図を抜粋した3つの「太平山水図」が並んでいた。清刊本(紙本墨刷)『太平山水図集』の細密な描写は、中国の版画もなかなかやると思わせる。これ...2023年9月関西旅行:文人サークルへようこそ(大和文華館)

  • 2023年9月関西旅行:金峯山の遺宝と神仏(MIHOミュージアム)

    〇MIHOミュージアム2023年秋季特別展『金峯山の遺宝と神仏』(2023年9月16日~12月10日)三連休は欲張って、滋賀・奈良・京都・大阪・神戸を周遊してきた。いかに安価に効率的にまわるかを考えた結果、初日は京都から石山に出て、いつもの路線パスで同館へ。本展は、古代より修験道の聖域とされてきた奈良県吉野の金峯山を参詣した平安貴族の「御嶽詣」に伴う金峯山経塚の出土品を一堂に展示し、平安貴族の金峯山への信仰と憧憬の一端を紹介する。冒頭には、銅製の多様な出土品の数々。東博所蔵の『錫杖頭』や奈良博所蔵の『三鈷杵』はどこかで見たことがある気がした。小さな小さな『菩薩手』(唐時代)は大峯山寺の所蔵。水瓶を握った手首から先だけが展示ケースの中に浮いているように見えた。同じ室内には風雪に耐えてきた木像もいくつか展示さ...2023年9月関西旅行:金峯山の遺宝と神仏(MIHOミュージアム)

  • 忘れられた労働者/家政婦の歴史(濱口桂一郎)

    〇濱口桂一郎『家政婦の歴史』(文春新書)文藝春秋2023.7『働く女子の運命』や『ジョブ型雇用社会とは何か』の濱口さんの著作なので、きっと面白いだろうと思って手に取った。ありそうでなかったテーマで、初めて知ることが多かった。かつて(近代初期)中流以上の多くの家庭には女中さんがいた。いや実際には知らないけれど、明治や大正の文学を読んでいると、当たり前に出てくる。女中と呼ばれる存在の直接の先祖は江戸の奉公人としての下女であるというのも納得。それとは別に、1918(大正7)年に大和俊子(おおわとしこ)という女性が始めたのが「派出婦会」である。派出婦会は、家庭で臨時に人手が必要になったとき、女中代わりの女性労働者を供給(=派出=派遣)するビジネスだった。この派出婦という言葉は、私は「サザエさん」とか「いじわるばあ...忘れられた労働者/家政婦の歴史(濱口桂一郎)

  • 初めて知る素顔/文楽名鑑2023(人形浄瑠璃文楽座)

    〇福山嵩郎編集;塩川いづみイラスト『文楽名鑑2023』人形浄瑠璃文楽座2023.8いま個人的に大注目の1冊。一般社団法人「人形浄瑠璃文楽座」が、全座員86人のプロフィールを掲載した「文楽名鑑」を発行した。「好きな演目は」「初舞台から現在までを振り返って一言」といった真面目な質問があれば、「カラオケの十八番は」「好きな動物は」「モテ期はいつ?」なども。約70項目のアンケートから、それぞれの個性がにじむ、えりすぐりの回答が掲載されている。私は文楽を楽しむようになって、すでに40年近くになるけれど、座員のみなさんについて知っていることは、毎回の公演プログラムに掲載されている「文楽技芸員の紹介」ページの白黒写真と芸名がほぼ全てである。実は年齢(年代)もよく存じ上げなかったので、本書を見て、え!この方、もう80代(...初めて知る素顔/文楽名鑑2023(人形浄瑠璃文楽座)

  • 絵画の中のイケオジたち/楽しい隠遁生活(泉屋博古館東京)

    〇泉屋博古館東京企画展『楽しい隠遁生活-文人たちのマインドフルネス』(2023年9月2日~10月15日)理想の隠遁空間をイメージした山水・風景や、彼らが慕った中国の隠者達の姿を描いた絵画作品、細緻な文房具などを通して、中国の士大夫や日本の文人たちの多様な隠遁スタイルを提示する。登場する著名人は、孔子、許由、達磨、諸葛孔明、陶淵明、竹林の七賢、日本でが西行、芭蕉、鴨長明など。日本人が中国の理想の隠遁者を描いた作品も多くて、橋本雅邦の『許由図』(木の枝に掛けた瓢が風に吹かれる音がうるさいので捨ててしまったところ)はカッコよくて惚れ惚れした。森寛斎の『陶淵明象』もなかなかの「イケオジ」で、中国ドラマの俳優さんを当てるなら誰だろう?と考えたりした。石渓という画家は記憶になかったが、『面壁達磨図巻』は(たぶん京都の...絵画の中のイケオジたち/楽しい隠遁生活(泉屋博古館東京)

  • 自分たちで決める/病が分断するアメリカ(平体由美)

    〇平体由美『病が分断するアメリカ:公衆衛生と「自由」のジレンマ』(ちくま新書)筑摩書房2023.8新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、アメリカは多くの死者を出した。本書は、アメリカの公衆衛生が抱えるジレンマを歴史的経緯を踏まえてひもとく。公衆衛生とは、地域やコミュニティを病から防衛し、住民の健康を維持するための公共的な取り組みをいう。個人よりも集団を対象とし、病を発症した人の治療よりも、病の拡散を防ぎ、健康な人を病に罹患させない対策に重点がある。そのため医療とは異なる仕組みが必要で、病院よりも政府と行政が大きな役割を担っている。公衆衛生の三要素は「数を数え分析すること」「健康教育を行うこと」「行動制限を行うこと」だという。三要素にはそれぞれの困難がある。さてアメリカは「自由の国」と...自分たちで決める/病が分断するアメリカ(平体由美)

  • 初代国立劇場の思い出

    半蔵門の国立劇場が、老朽化に伴う建て替え工事のため、2023年10月で「閉場」することになった。いまの劇場は1966年11月に開場したものだという。私が初めて国立劇場に入ったのは、高校生のときだ。高校1年生のときに歌舞伎教室で『俊寛』を見て、高校2年生のときに文楽教室で『伊賀越道中双六』を見た。歌舞伎はわりあい面白かったが、文楽は全く面白くなくて、実はずっと演目を忘れていた。馬が出てきた記憶だけはあり、塩原太助もの?などと思っていたが、文化デジタルライブラリーの「公演記録を調べる」で検索したら、どうやら『伊賀越道中双六』らしい。高校生には地味すぎて退屈だった。しかし、大学院生時代に「文楽を見たい」という留学生に付き合って『近江源氏先陣館』を見たら面白くて、文楽ファンになってしまった。以後、ちょっと観劇を離...初代国立劇場の思い出

  • (たぶん)さよなら初代国立劇場/文楽・寿式三番叟、菅原伝授手習鑑

    〇国立劇場人形浄瑠璃文楽令和5年8・9月公演第2部(2023年9月2日、15:00~)建て替えに伴う「初代国立劇場さよなら特別公演」。2022年の9月公演からこのカンムリが付いていたので、慌てて見に行ったら、休館はまだ先と分かって拍子抜けしたが、いよいよ文楽は、今期が本当の「さよなら公演」になるはずである。演目は、第1部と第2部が『菅原』の通し。第3部が人気の『曽根崎心中』。私は『寿式三番叟』のおまけつきの第2部を選んだが、これがとんでもなく贅沢なおまけだった。・『寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)』私の席は下手の端で、床(ゆか)から遠かったが、開演前、ずらり並んだ三味線の数で、これが「特別公演」であることが感じられた。プログラムの記載に従えば、鶴澤燕三、鶴澤藤蔵、野澤勝平、鶴澤清志郎、野澤錦吾、鶴澤燕...(たぶん)さよなら初代国立劇場/文楽・寿式三番叟、菅原伝授手習鑑

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