【第42話】KO負け

運命の女神は、通りすぎていった。いや、オレが通り過ぎていったのか。残念ながら、気になる彼女は左3つ斜め前にいる。距離的に、Fが声かけることもできない。席移動のとき、ちょっとだけ牛歩戦術を利用したが、ささやかな抵抗に過ぎなかった。いっそのこと、5つ動いたフリして目の前に座ってやろうかと思ったが、さすがにその勇気はなかった。もう、席替えはないだろう。このまま終わってしまうのか。目の前の女性も素敵な方だが、年齢はかなり若そうだ。いかん、いかん、こんな態度は失礼だ。と自分の心を再度奮い立たせ第3ラウンドを戦った。しかし、一度離れて行った勝利の女神がオレに微笑むことはなかった。レフリーが「では、そろそろ終わりになります。荷物などお忘れにならないようにお帰りください。」と終了のゴングを鳴らす。・・・・・・完敗だった。自由解...【第42話】KO負け

【第41話】女神降臨

第1ラウンドで緊張がほぐれたのか。思いのほか、好調な出だしだった。相手とのファイティングスタイルもマッチしたのか、軽快なフットワークでトークが弾んだ。目の前の女性は2人組で来ているらしく、4人で楽しいひと時を過ごしていた。今度は、必ずアドレスを交換しよう。どのタイミングで聞けばいいのか。周りを見渡しても、交換しているヤツらは見当たらない。そのときだった！ふと見た右斜め前の女性に釘付けになった。女神だ。オレのハートは鷲掴みにされた。もちろん、見た目だけだが・・・・その女性には失礼だが、オレは周りからあまり趣味がいいとは言われない。なので、決して美人というわけではないのかもしれないが・・・・・・ショートカットのメガネちゃんだ。オレは小学校の初恋のせいか、このスタイルにめっぽう弱い。年齢は同じくらいだろう。久々に心が...【第41話】女神降臨

【第40話】第1ラウンド KO負け寸前

酔っぱらってきた。結構飲んでしまった。やはり、試合の緊張と疲れで水分が欲しくなる。料理もまずまずだった。これまでと比べれば通常の料理が出てくる。話も弾む。4人でのトークはちょっとした合コンだ。でも、今日はこの2人とだけしか話さないのだろうか。ここで会ったのも運命か。結構、目の前の女性は好みのタイプだった。どうやって、連絡先交換とかするのだろうか。と考えていたときだった。レフリーから声が掛かる。「すみません。そろそろ、席替えの時間です。男性に動いてもらいます。今座っている席から右側に5つ動いてください。飲み物とお皿を持って行ってくださいね」ん、なんだ。席替えがあるのか。ということは目の前の女性とはどうなるんだ。もう終わりなのか？周りを見渡すと、さっそく常連の選手たちは立ち上がり移動し始めている。「これで終わりなん...【第40話】第1ラウンドKO負け寸前

【第39話】ゴング

男性が15人くらいいるだろうか？横並びに席についている。目の前には女性がちょっと少ないが、同じように横並びで座っている。会話をしている男女もいる。もう始まっているのだろうか？・・・と、ここで受付の女性が現れた。「では、これから始めます。まずお手元のメニューから飲み物を選んで店員さんに注文してください。」「飲み物がそいろいましたら、乾杯の合図で飲み会を始めます」やはり始まってはいなかったのね。オレは生ビールを注文した。「・・・・・・・・」「・・・・・・・・」オレもFも無言で注文が来るのを待つ。離れたところでは、男女がすでに盛り上がっているが・・・・フライイングじゃないのか？と思いながら、気まずい空気を感じながらひたすら待つ。早くビールよ来い。「・・・・・・・」やっと、飲み物が来た。「では、飲み物揃ったようなので、...【第39話】ゴング

【第38話】お見合いパーティー戦闘準備

お店に時間に直接集合とのこと。Fともお店で待ち合わせることとした。場所は洋風の居酒屋だった。「すみません。○○ってイベントでここでやってますか」と店員に尋ねると、場所に案内された。受付の女性がいる。「お名前お願いします」「○○です。友達と申し込んだんですが・・・・」「あ、はい。身分証明書はありますか」「あります。」免許証を提示。ペーパードライバーのオレ。ここ8年くらい身分証にしか使ったことないな。「ありがとうございます。5500円になります」参加費を支払うと、あちらの席に座ってください。・・・と指さした方向にはすでに何人かの男女が向かい合って座っていた。「あのー。友達も一緒なんですが・・・・」「一緒の席がいいですか？」そういうもんなのね。バラバラに座る選択肢もあるのか。でも、初心者には怖い。「できれば・・・・」...【第38話】お見合いパーティー戦闘準備

【第37話】次なる戦い・・・・それは「お見合いパーティー」

こないだは、惨敗だった。婚活パーティーのようなオシャレな代物はオレには向かない。じゃ、どうすればいいのか？後輩Fにリサーチをさせた。結果、婚活パーティーならぬ、お見合いパーティーというものがあるらしい。なんでも、立食ではなく着席型の食事会だそうだ。ハッキリいって、婚活パーティーやお見合いパーティーなど呼び名は数あれどどれがどう違うのかはよくわからないが、前回惨敗を喫した立食パーティーと違い、比較的少人数の合コンチックなものとのことらしい。とにかく、何事も経験だ。Fにお願いして申込みをしてもらった。前回の失敗を教訓に事前に服装の確認もして、格式ばった感じではないとのこと。いつものジーンズにポロシャツでの参戦を決めた。どうせ、センスはない男さ。婚活を始めて、このようなイベント参加は三回目だ。本当なら、身近な合コンあ...【第37話】次なる戦い・・・・それは「お見合いパーティー」

【第36話】婚活パーティーの終焉

獲物・・・いや、女子二人組を追いかけているオレたちは、どんな形相なんだろう。気持ち悪いので考えないようにしよう。とにかく、彼女たちが落ち着いた、その瞬間を狙うんだ。このチャンスを逃すと今日はもう誰ともに出会えない。彼女達は年齢的にもちょうどいい気がする。カウンターで飲み物を取る二人を近くで確認しながら、チャンスを伺っていた。すると・・・・その二人は飲み物を取ると、なんとオレたちの隣に来たではないか。神様ありがとう。勇気を振り絞って声を掛けようとするオレよりも素早く、なんとあのFが声を掛けた。「こんばんは」・・・・・F君もよほど、お腹がすいてたらしい・・・・「あ、こんばんわ」「いま、来たんですか？」・・・そのトークは大丈夫か？オレたちがいままでストーカーしてたことバレないか？「そうなんです。ちょっと仕事で遅れちゃ...【第36話】婚活パーティーの終焉

【第35話】ハイエナのプチストーカーが始まった

「お前、行けよ」Fよ、スマン。オレには勇気がない。「ボクですか。ホントにですか」「ムリ？」「いやー、緊張します」「その格好ならイケるよ」「やめてくださいよー」「オレも、声かけたことないからなー」なんて、二人で押し付けあっていると・・・「あっ」「あーあ、行かれちゃった。」そんなことしてる間に、他の男子が声を掛けてしまった。そりゃ、そうだ。今日は女性が少なめだから、獲物を狙うライバルのオスたちはあふれているんだから。こりゃ、ハイエナ作戦かコバンザメ作戦か。それしかないな。「とにかく、こんなんじゃお金も時間ももったいないから、誰か女性が空いたらすぐ行ってみよう」「そうですね。頑張りましょう」「・・・・・・」「・・・・・・」誰も空かない。これは街コンのように相手を代えたりしないのだろうか？すると、隣にいた男性2人組が声...【第35話】ハイエナのプチストーカーが始まった

【第34話】場違いな二人

受付を済ましたオレら二人は会場に恐る恐る入った。オシャレな雰囲気のダイニングバーで会場内は暗い。やはり、スーツ男子しかいない。すでにパーティーは始まっているようだ。なんでもスタッフの話によると、格好は限定はしていないが、「スーツかジャケットなど落ち着いた感じの清潔感ある服装で・・・・」と参加の注意事項に書いていたらしい。「すまん。全く見てなかった」「いや、入れたから良かったですけど。明らかに場違いな気が・・・・」苦笑いのF君・・・・本当にごめんなさい。「あっ、あそこにもオレらみたいな服装の奴がいます。」「ほんとだ」笑った。ものすごく可笑しかった。すでに当初の目的を忘れているが・・・。「とりあえず、飲まなきゃやってられないな」「そうですね。飲みましょ」カウンターに飲み物入りのプラスティックカップがズラッと並んでい...【第34話】場違いな二人

【第33話】ああ、悲しき婚活パーティー・・・

「婚活パーティー」とネットで検索すると、いろんな会社が主催していることがわかった。こんなにもやってるんだと驚いた。どれがいいのだろう。よくわからないので、とりあえず適当に決めてしまった。これが、悪かったのか。結論から話せば不発に終わる。先日誘っていた後輩Fと参加した。土曜夜19：00～六本木駅「悪い。遅くなった」「今日はよろしくです」「こんな、格好でいいんですかね」「いいと思うよ。」後から気づくのだが、この時点でオレたちは終わっていたのだ。「いくらでしたっけ」「男は6,500だったかな。高いけど大丈夫」「大丈夫です。でも、なんか緊張します」「そうだよな。オレも初めてだからよくわからんし」駅から会場に向かいながら、緊張をほぐすように話し続けた。「どんな、感じなんですかね」「なんかHの話だと、立食式で自由に女性に声...【第33話】ああ、悲しき婚活パーティー・・・