シーズン9 第七話 航路(2) 有能な魔術師であれば、魔術で万事を解決できるか。決してそんなことはない。むしろ、精進すればするほど魔術で成しうることの限界が見…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
もうとっくに秋だったはずなのに夏がいつまでもこちらを見ていた強い視線に怖じたかのように秋の諸々が駆け去っていく優雅さも静謐さもたなびかせることなくただ足早に(…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)(キマワリ)とんでもなく暑かったんだ(アオドウガネ)かんかん照りばかりだったし 生きているように見えますが、どちら…
アポロンの火矢はあまりに強すぎた万物は陽光の恩恵を受けきれず逆に熱を持て余して焼け焦げただから私は陰が欲しかったのだ火矢を遮ることのできる陰をだがようやく得ら…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)秋空になったから掲げられた旗に気づいたんじゃない(シマトネリコの翼果)旗が掲げられていたのはずっと前からわかってい…
《ショートショート 1487》『染まる、映す、帯びる』 (カラー・ミー 2) ガーデニングなんてわたしのがらじゃないんだけど、新居に猫の額ほどの庭ができたらち…
食べ方というのは個々人に流儀がございまして。 お行儀云々はともかく「こういう食べ方が好きー」というのは厳然と存在するのであります。 ソフトクリームを必ずコー…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)「なんだかんだ言っても、もうすぐ十月だもんなあ。雲がすっかり秋仕様になった」「気のせいだ。今日も猛暑日。かなわんわ…
わたしはこてこてのマクロユーザーです。 なにせど近眼ですから、遠景を撮るとか離れたところから表情や動きを確かめながらアクティブに撮るというのが極端に苦手。ぎ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)薄暗く希望の乏しい世界にいるから天使の群舞は美しく見えるのだ美しく澄み渡った世界にあればいかな天使と言えどその一部…
読書ノートの287回めは、恩田録さんの『ブラザー・サン シスター・ムーン』(2009年発表。文庫版は河出文庫)です。 恩田さんの作品はこれまで何度か取り上げ…
他人のそら似と言いますが、まるっきり違う種なのにそっくりに見えることがあります。これからご紹介する二種類のきのこ。特に幼菌のうちはおそろしくよく似ているんで…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ さて。 みなさまよくご存知の樹木の画像を二つ並べます。それぞれ何かを当ててみてください。どちらも赤系の…
《ショートショート 1486》『エリア・レッド』 (カラー・ミー 1)「ミスター・サトムラ。私はフェンドと申します。エリア・レッドにようこそ」 車を降りると、…
えとわの総和数がぼつぼつ1500話に近づいてまいりました。区切り直前の十話はフリーに書き下ろすつもりなので、その前に一つ、久しぶりに新しいサブテーマを投下し…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「ねえ、パパ。家族でお出かけはいいけど、外はまだぎんぎらぎんなんでしょ? あたし、肌焼きたくなーい」「し…
第九話 台風一過(6) ぐずり始めたこのかちゃんをあやしながら、敬士さんがふっと吐息を漏らした。「ただ……」「うん?」「ゆーちゃんが人になんでも押し付けようと…
第九話 台風一過(5) 俺としては、由仁に最大限の怒りと拒絶を突きつけたつもりなんだが、こういう強い警告は本人の面前で直接ぶちまけないと効果が薄い。これまでも…
第九話 台風一過(4) 「ふう……」 台風一過で涼しくなってくれればいいんだが、地球温暖化のせいなのかまだまだ残暑が厳しい。孫娘の愛理(あいり)がまだゼロ歳児…
第九話 台風一過(3) くそ部長は親と雅美さんを離縁させ、生計面で生殺与奪の権利を握り、大吾という枷をはめることで雅美さんをカネのかからない若い愛人……という…
第九話 台風一過(2) 雅美さんの台風がでかかったから、牟田さんの退職という台風は社にはともかく俺には大きな影響がなかった。牟田さんはきっとカレシとの結婚に踏…
第九話 台風一過(1) 優と雅美さんの一件は、孫の世話が絡むだけに対応を急ぐ必要があった。鈍臭い俺が何から何まで調べて立ち回ることはできないので、知り合いの弁…
散らばるのはよくないことか。 いや、必ずしもそうではないと思うのだ。(ベビーサンローズ) 思考が散らばる。うまくまとまらない。確かにいらいらさせられる時もあ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 鮮やかな色が好きという人もいれば、抑えめの色が上品でいいという人もいる。 夏を彩る赤にも、そうした個々…
読書ノートの286回めは、森博嗣さんの『もえない』(2007年発表。文庫版は角川文庫)です。 森さんについては、先だって『どきどきフェノメノン』を取り上げた…
赤は活力の色、情熱の色、生命の色だ。 真夏の赤は暑苦しいと敬遠する人もいるが、赤ほど夏をぴったり装飾できる色は他にないと思う。 ただ……。 赤にはもう一つの…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^) 以下の画像には間違いがあります。 間違いを探してください。(1)(2)(3) お解りになったでしょうか。実は、三…
《ショートショート 1485》『救えないが掬うことはできる』 (オーバーテン 11) 「すくう」という動作には二種類ある。救済する「救う」と水から引き上げる「…
八月は あまりに暑過ぎたぼくは ひたすら日陰に 隠れているしかなかった九月は 暑さが少しましになったけどそれでも 日向を歩くのは辛かったぼくは 日陰を選んで歩…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「大人ってやーね。子供だからってすぐバカにしてさ」「しゃあないだろ。大人ってのは図体のでかい子供なんだか…
読書ノートの285回めは、深木(みき)章子さんの『猫には推理がよく似合う』(2016年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 深木さんは、初読みの作…
ちち。いえ、ファザーの方ではなく、ミルクの方です。乳ですね。わざわざ言うまでもないと思いますが、わたしたちヒトも哺乳動物の一員ですから、乳児の時には乳で育ち…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 別物に見えても、実際には個性の幅の中に収まる……生物の世界には結構見られることです。ナミテントウの背中…
《ショートショート 1484》『大車輪と補助輪との違い』 (オーバーテン 10)「辞めるって……そんな」「すみません」 激しく狼狽していた社長から、新採の滝野…
あと少しの間、子供のままでいたい。(オヤブジラミの未熟種子) 子供は大人の前段階。今大人であれば、必ず子供を経ているのだ。子供が大人にまで成長できずに潰えて…
どくしょのーと 284 それほどおしゃれじゃないとうきょうすとーりー
読書ノートの284回めは、小池真理子さんの『東京アクアリウム』(2010年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 小池さんは小説家藤田宜永さんの奥様…
最初に言っておこう。この世に完全なものなんざ一つもないよ。もしあると言い張るやつがいるなら、そいつのどたまが不完全なんだ。 完全であってほしいという願望は、…
季節画像のための臨時増刊です。(^^) 何が残暑だ! 残り物に福があるのは食い物と籤(くじ)だけでいい! 暑さなんか残されたって厄介なだけだ! ふざけやがっ…
シーズン8 第九話 飛翔(2) 話し合いを終え、私と男児二人はこれから世話になるオルソー師匠の元に出向いた。 レクトがオルソーじいさんと呼んでおったゆえ、さぞ…
シーズン8 第九話 飛翔(1) 変化には、ゆっくりひたひたと生じるものもあれば、突然起こるものもある。どちらがいい悪いというわけではなく、事実として二種類ある…
九月、長月。 長月の語源は、夜長月に由来するという説がある。だが近年の九月を鑑みるに、違う見方もできると思うようになった。 暦の上では九月は秋。それも真っ盛…
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シーズン9 第七話 航路(2) 有能な魔術師であれば、魔術で万事を解決できるか。決してそんなことはない。むしろ、精進すればするほど魔術で成しうることの限界が見…
シーズン9 第七話 航路(1) 巨竜との戦いは、能うる限り短時間で終わらせねばならなかった。事実その通りになった。だが滅したのは巨竜だけだ。月にあるオストレク…
底は天上よりも涼しいのだだから望んで底にいる底にいれば光が当たらない卑屈になるそれはあながち誤りではないんだがよく考えてみたまえ本当に光が届かない暗所ならば底…
田水が引かれる前。乾いた圃場のそこここに不規則な水たまりができていた。それが六月の始まりだった。 田ではなく畑であっても、まとまった雨が降ったあとに水たまり…
《ショートショート 1512》『流紋』 (ラフ・キャンバス 7)「ううー、うまく描けないなあ」 通っている高校の近くに結構大きな公園があって。そこの中央噴水周…
一面に敷き詰める。 敷き詰められることで面の印象は単調になるはずだが、我々はなぜかその光景を愛でる。(クリーピングタイム)「一面ピンクっていうのはエロくない…
全国一千万のもふもふファンのみなさま。 お待たせいたしました。 ごちゃごちゃ面倒くさいことは申しません。 心ゆくまでもふもふをご堪能くださいませ。 ひあうい…
いや……事実そのものなので、コメントのしようがございませぬ。ナデシコ科の園芸植物は、ほとんどが外来のお客様ですね。しかも。どういうわけか濃いピンクの花が多い…
先だっての記事でもちょこっと触れましたが。 長らくユリ科という寄り合い所帯に同居していた一族は、分子生物学的系統分類の進化に伴って、現在ばらばらに解体されて…
太陽を天空から下ろし夜に仕舞うまでのわずかな時間帯その間だけ太陽は偽物になる地を温めることはできず闇を焼き尽くす力もなくまといつく夕雲を払い除けられずぼんやり…
干してあったパンツが風で飛ばされてしまうのは、事故だから仕方がない。 だが、これみよがしに路上に捨てるのは、趣味の悪い軽犯罪だ。 そうだろ? 気づいた人が見…
映画は、明るいタイトルで男前が主演なのにどろっどろのミステリーでしたが。 冬から春にかけてのお寒い時期に地を照らすキク科の太陽たちは、ミステリー抜きの『太陽…
春花のまとめもなかなか画像在庫が減っていきません。六月いっぱいは引っ張ろうかな。 で、此度登場の面々はキンポウゲの仲間です。美しい花を咲かせる園芸植物が多い…
先日、運転免許証を更新してまいりましたが、毎度のこと写真がひどい有様で。(笑 まあ、年も年やし、身繕いもいい加減なので、最初から盛りようがないと諦めておりま…
シロツメクサの葉は三枚でワンセット。 四つ葉を見つけたらラッキー……ですね。 三枚でなければならぬという規則があるでなし。葉っぱなんか何枚セットでもええやん…
スイバ(酸葉)はごくありふれた雑草だ。 冬の間は地面に張り付いて寒さに耐え、春の足音が聞こえてくると同時に花穂を上げる。スイバという名を知らない人でも、咲き…
サザンカも含め、ツバキの仲間は晩秋から翌春までの花の少ない時期を彩る花木だと思われている。 だが、ナツツバキやヒメシャラのように夏に咲くものもあり、交配の進…
季節は夏に向かってまっしぐらなので、春花の画像消化を急ぎます。同系統の記事を連投しますが、どうかご容赦くださいまし。◇ ◇ ◇ 人間は、何かと分けたがるもの…
抑えていた感情が溢れて涙に変わる涙はいつまでも流れ続けるわけではないだが誤解してはいけない涙は止まったわけでも涸れたわけでもないただ乾いたのだ 涙はいろいろな…
散歩中にすごく甘い匂いがするなあと思ったら、タイサンボクのでかい花がばかっと咲いていました。 タイサンボクはモクレンの仲間ですね。管理しやすいように高さを抑…
シーズン8 第七話 鷲羽(2) 「手出し無用もなにも、私の出る幕などどこにもないわい。ビクセン公もよう言うわ」 あまりに鮮やかなビクセン公の作戦行動に呆れてぼ…
シーズン8 第七話 鷲羽(1) ケッペリアが酷暑に侵される真夏がやってきた。もちろん、暑さが天敵であるソノーの機嫌はずっと悪い。だが、その機嫌の悪さは暑さがも…
木陰で憩うといい涼しいよ君はそう言ったああそうだね葉群に解き漉かれた優しい光は夏の棘を優しく丸めるきっと木陰は他の誰よりも優しいのだろうでも木陰で憩うことがで…
雨筋が見えない弱い雨にすら隠されてしまう内情がある雨滴の重さを感じられないのに無情にのしかかる定めがある降っている時間はわずかなのに雨音がいつまでも止まない洗…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ちょい興味があって、野生タヌキのおトイレを定期的にチェックしております。タヌキの溜め糞と言って、彼らは…
読書ノートの275回めは、桂望実さんの『嫌な女』(2010年発表。文庫版は光文社文庫)です。久しぶりにボリュームのある紙本を完読したなあ。(笑 桂さんについ…
「警報ってのは、迫り来る危機に速やかに備えなさいと鳴らされるものだろ?」「ああ」「その危機が来なかったら、俺たちは言うわけだよ。なんだ、脅かしやがってと」「ま…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「野菜が高くてかなわん」「特にブロッコリー。ついこの前、国の指定野菜に格上げされたんだろ? 安値で流通さ…
《ショートショート 1473》『俯くやつは嫌いだ』 すぐに俯くやつは嫌いだ。卑屈だとか意気地がないとか決めつけているからじゃない。俯くのはコミュニケーション遮…
夏の花が全て白いわけではない。 だが、気づけば白い花を追い、白い花ばかりを集めている。 ああ、そうだよ。 色なんかいつでも着けられる。 自分の色を選ぶまでは…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ずうっと待てるのはちゃんとメリットがあるからよ。 無目的にぼけっと待ってるなんて阿呆のすること。 そう…
読書ノートの274回めは、窪美澄さんの『いるいないみらい』(2019年発表。文庫版は角川文庫)です。電子本での読書。 窪さんについては『晴天の迷いクジラ』を…
花束と寄せ植え。 どちらも様々な花々の集合体だが、微妙に異なる。 花束はもらうと嬉しいけど、寄せ植えはびみょー。だって、花束は花がダメになったら処分できるけ…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ ナズナにしてもタネツケバナにしても、春を代表する野草のはずなんですが、そういう季節感をさっくり無視…
《ショートショート 1472》『涙袋』「朝もはよから何をやっとるんだ、ちみは」「ほっといてんか」 部活の朝練明け。制服に着替えて教室一番乗りーと踏み込んでみた…
「鍛え方が甘いのか、最近は未熟者ばかりじゃのう」「時が来ればちゃんと一人前になりますよ」「尻の青い連中ばかりで頭が痛いわい」「未熟なのにもう赤かったら、尻の叩…
ストック画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 変なやつだと言われて喜ぶ人はあまりませんよね。 いたとしたら、その人がリアルに変なのでしょう。(笑…
第六話 涙雨(5) しばらく黙っていた男が、俺にではなく自分に言い聞かせるようにしてぼそっと呟いた。「俺は……どうすりゃいいんだ」「さあ。それはあんたにしか決…
第六話 涙雨(4) 男は、俯いたまましばらく口を開かなかった。髪や髭に溜まっていた雨滴が、まるで涙のように一斉に男の足元に降り注ぐ。俺は男が何か言い出すまで黙…
第六話 涙雨(3) 忌憚なく言わせてもらえば、俺は浮浪者……ホームレスが嫌いだ。不潔だとか汚いとかだらしないとか、そういう生理的な嫌悪感ではない。社会の端っこ…