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コトバの試し斬り=(どうぶつ番外物語) https://blog.goo.ne.jp/s1504

斬新な切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設17年目に入りました。

自然と共生しながら、生きてきました。 ここでは4,000字(原稿用紙10枚)程度の短い作品を発表します。 <超短編シリーズ>として、発表中のものもありますが、むかし詩を書いていたこともあり、コトバに対する思い入れは人一倍つよいとおもいます。

正宗の妖刀
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2010/09/26

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  • 紙上『大喜利』(36)

    〇「中国の秦剛前外相が解任されたらしいな」「習近平首相の信頼が厚くせっかく抜擢されたのにね」〇「原因は香港のテレビ局女性司会者との不倫関係とか言われてる」「石田純一だったらまた不倫は文化といいますかね、政治がらみの気がしますが」〇「アジア大会卓球女子団体戦決勝で日本は中国に惜しくも負けたな」「早田ひなも平野美宇も張本美和も力及びませんでしたね」〇「引退したカスミンこと石川佳純が観客席にいただけで中国のファンが大騒ぎしたらしいぞ」「美人の誉れが高いですからね。現役選手がカスんじゃいますよ」〇「めぐみのところでも不倫問題勃発だな」「ご隠居、中国絡みの話題かと思っていたら不倫ピックの選考会じゃないですか」〇「藤井聡太7冠が永瀬拓矢王座との第二局に勝って8冠に王手をかけたな」「ヒフミン(加藤一二三元名人)が将棋に...紙上『大喜利』(36)

  • 川柳復活5 『じじいの時事ばなし』

    〇十両は獅司(ウクライナ出身)が狼雅(ロシア出身・)を上回る<獅司=9勝6敗・狼雅=8勝7敗>〇十両筆頭狼雅は来場所幕内へ(十両8枚目獅司は幕内までは・・・・)川柳復活5『じじいの時事ばなし』

  • ポエム371 『乳歯のドラキュラ』

    パソコンゲームを一緒に観ていたらいきなり孫に腕を噛みつかれた痛いよおまえはドラキュラか!引き幅して腕をさするぼくに小学校1年生の彼は顔を近づけニーっと歯をむき出しにして見せたおや?上の歯並びがどこか変だ一部分だけ空き歯で色も冴えないそうかひょっとしてムズガユイのかウンと首を縦に振るしぐさもうすぐ残った乳歯も生え変わる時期なのだろう永久歯が歯茎の下から乳歯を持ち上げているのだハハハドラキュラの正体は分かった僕らの子供時代には歯に糸を巻いて引っ張ってもらったりしたがあれは野蛮に見えて野蛮じゃなかったのだお手伝いしてやればドラキュラになることもない噛まれた跡を指で確かめながらもう一度笑ったポエム371『乳歯のドラキュラ』

  • 紙上『大喜利』(35)

    〇「柔道女子で吉田沙保里の連勝記録を超えた藤波朱里って知ってるか」「知らなかったですが世界選手権でも負け知らずなんですね」〇「吉田沙保里二世ならコーチを肩車してリングを歩くんだろ?」「新・霊長類女子最強といっても乗ってくれる栄コーチがいないことには・・・・」〇「なでしこジャパンがチリ相手に8-0で勝ったな」「チリのイレブンは途中から散り散りバラバラになってましたね」〇「長谷川唯や宮澤ひなたが有名なのか」「他にもいっぱいいますけど、今シーズン限りで引退の熊谷紗希がダントツでしたね」紙上『大喜利』(35)

  • 川柳復活4 『じじいの時事ばなし』

    〇十両の狼牙(ロシア出身〉が獅子(ウクライナ出身〉を投げ飛ばし〇温泉に浸かって富士は銭湯か(優勝目指す熱海富士は10勝2敗でトップだが〉〇御嶽海(山梨県出身〉海なし県の憧れか(山があっても山梨県ともいう)〇彼岸花土手削られて悲観花(護岸修復工事中)〇コロナ下火もインフルエンザ夏場から(感染症に警戒)〇プール熱プール好きでも敬遠し(こちらも感染症)〇物価高庶民は生かさず殺さずか(どうする家康)川柳復活4『じじいの時事ばなし』

  • 紙上『大喜利』(34)

    〇「おい、トミー・ジョンて奴は信用できるのか」「大谷翔平は二度目の手術を受けるんですかね」〇「二刀流復活の可能性は50パーセントぐらいらしいな」「とりあえず打者として復帰を目指すんでしょう、頑張ってほしいな」〇「心配は無用、なにせショーヘイは宇宙人だから」「世界中のファンがみな同じことを思っているんじゃないですか」〇「そろそろ錦木を登場させてもいいか」「きょうは大関霧島に勝ったけどまだ5勝5敗ですよ」〇「んだな、新小結での勝ち越しが目標だな」「ご隠居、謙虚になりましたね」〇「路線価の話題も触れておくか」「都心部も地方都市も軒並み地価上昇で不動産バブルの始まりかもしれませんよ」紙上『大喜利』(34)

  • ポエム370 『白湯は潔白』

    白湯はむくみの原因などとたわけた説が出回ったととがあるちょっと待ったは縁台将棋白湯は大昔から健康長寿の源と・・・・江戸時代の殿様が鷹狩の帰路に農家に立ち寄り白湯をふるまわれて甘露甘露茶を飲めない民百姓の日常はたしかに白湯を飲むしかないだがソレデイイノダ赤塚不二夫ときわ荘でも白湯は湯冷まし回し飲み水道水でも沸騰させれば不純物ゼロ茶の湯を探す逸話も霞む御茶ノ水太田道灌さんに萩一枝を差し出して蓑(実の)一つだに無きぞ悲しき白湯一杯を差し出して何の意もなし掛け値なし鷹狩の殿様にさtyに勝るもてなしナシ白湯にまつわるお話はアーユルベーダのインドでも秘術・秘薬の誉れも高く中国バイタン白スープ世界は回るよ白湯歴史ほんとにぼくは白湯リスト(小百合スト)ポエム370『白湯は潔白』

  • ポエム369 『落雷』

    夕ご飯の支度にかかる頃から遠くでゴロゴロやっていた雷鳴が稲光と共に近づいてきたそういえばテレビのテロップで横浜に大雨注意報が出ていたがまさか落雷を伴なうとは思ってもみなかったピカッと窓いっぱいに光があふれ続いてドドーンと足もとが揺れるあッ落ちた「怖いよー」と悲鳴が上がる生まれて初めて落雷を体験する孫の興奮ジイジに突進してきてすがりつくカミナリよりオヤジの方が強いと承知してのことかちょっと待って!ぼくはパソコンのある部屋に走る電源コードを引き抜きひと安心久し振りだな自然への畏怖の気持ちはコマーシャルベースのモノや言葉にウンザリしていたがカミナリ一発でストレス解消ああ自然はいいなあ忘れかけていた故郷の野山を思い出す怖いけど台風や地震や山火事を思い出すポエム369『落雷』

  • 紙上『大喜利』(33)

    〇「おい、新大関豊昇龍は3連敗だったが今日は勝ったな」「土俵際が脆いですよね、ケガでもしてるんですかね」〇「錦木は立ち直ったな、昨日は朝ノ山にも勝って3勝2敗ぞ」「ご隠居、先場所の事を思い出して自重しましょうね」〇「セリーグは阪神タイガースが独走で優勝だな」「最初は半信半疑だったんでしょう?ご隠居だけじゃないですよ、そのダジャレ封印したのは」〇「サッカーの親善試合で日本がドイツにまた勝ったな」「4対1ですからね、ドイツの監督が首切られるほどの衝撃ですよ」〇「ロシアと北朝鮮が手を結んだな」「ロシアまで北朝鮮がキタ~なんちゃって」紙上『大喜利』(33)

  • 新企画『ととのいました』(23)

    〇「結婚指輪」と掛けまして「孫の成長記録」とときますその心は「最初はきちんと付けていたのに次第にどうでもよくなる」でしょう〇「小学生の二学期開始」と掛けまして「終戦間際のビラ」とときますその心は「どちらもスムーズな登校(投降)を」呼びかけています〇「大谷翔平のケガの程度」と掛けまして「迷宮入り寸前の犯人」とときますその心は「真相が不明で結局出てこない」でしょう新企画『ととのいました』(23)

  • 思い出の連載小説『<おれ>)という獣への鎮魂歌』(52) 最終回

    ミナコさんは、手料理でおれをもてなしてくれた。鶏肉と玉ねぎにシシ唐辛子を使った洋風のスープが、胃を刺激した。疲れた体に、国産のワインがよく効いた。辛味を多く使った苦心の献立が、アルコールの回りをいっそう早くした。「あなた、だいじょうぶ?」ミナコさんが、心配そうにおれを覗き込んだ。「なんだか、腑抜けになったような気がして、頼りないんだ」「疲れたのね。・・田舎って、疲れるものなのよね」「普通の田舎じゃないからな」おれの呟きに、ミナコさんが一瞬、口をつぐんだ。「でも、長い間気になっていたこと、全部済んだんでしょ・・」「一応はね。だけど、それって簡単に捨てたり、置いてきたりできるものじゃないからね。知らず知らずのうちに、力んでいたみたいなんだ」ミナコさんが、うなずいて見せた。食べ終わった食器の片付けもそこそこに、...思い出の連載小説『<おれ>)という獣への鎮魂歌』(52)最終回

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(51) 最終まであと1回

    宿に入って、一眠りした。おれも、だいぶ能登の空気に慣れたようだ。能都で生まれ、七尾で育った人間が言うことではないが、懐かしさよりも緊張を強いられる旅だったから、いまになって、ほっとした気持ちになれたのかもしれなかった。夕食に呼ばれるまで、一時間ほどの昼寝で、体にべったりと張り付いていた疲れが取れた。頭の中の霧状のふわふわしたものも、鼻や口から寝息とともに出ていったようだ。おれは、階下の食堂に降りていって、他の客と一緒に宿の女将のもてなしを受けた。能登の魚は旨い。まぐろ、甘鯛、真アジの刺身の他に、キスの天ぷら、サザエのつぼ焼き、イカの煮つけが出た。シーズン真っ盛りなのに、値段の設定は良心的だ。はったりを言えない能登気質が、何よりの宝だった。『恋路火祭り』は、ポスターには午後二時からのスタートと記されている。...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(51)最終まであと1回

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(50) 最終まであと2回

    いくつになっても、男は駄目なものだ。おれの脚はまだ健在なのに、おれの頭は思考の瓦礫でいっぱいになっていた。おれは、賄いの主婦に気兼ねしながら、宿のおそい朝食をとった。同宿の者たちは、疾うに出発したらしい。ここから、オートバイや自家用車で木ノ浦海岸や伝統の揚げ浜塩田を回っていくのだろう。平時忠一族の墓を詣でる者もいるかもしれない。せっかく奥能登に来たからには、あれもこれも観て帰らねば、損をしてしまう。普段のおれなら、若者たちに対抗して、早起きしていたはずだ。だが、この日は、老夫婦にまで後れを取って、冷えかけた味噌汁を啜っていた。自由な足を持たないおれは、鉢ヶ崎から路線バスに乗って、昨日降り立った蛸島駅まで引き返した。そこからは、国鉄能登線が一日数便の運行を行っている。眠りながら回復するには、願ってもない路線...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(50)最終まであと2回

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(49) 最終まであと3回

    須須神社への道は、海岸沿いの道路に降り立って、すぐに分かった。西に向かって森を望むと、神域を示す鳥居の先から、一筋の参道が人をいざなうように奥の暗がりへと伸びていた。ここは、穏やかな内浦が尽きて、ほどなく外浦に回り込もうかという場所に位置している。海は波光を集めて砕け、燃え立っていた。あたかも俗世からの侵入を阻止して、目くらましを仕掛けているかのようだった。それにしても、視線を転じた先の、この森の暗さはどうだ。おれは、同じバスから降り立った観光客を尻目に、ひとり参道をずんずんと進んでいった。重なるように繁った、樹齢数百年の木々たち。それらの樹木と同化するように年古りた二つ目の鳥居が、訪れる者にさらなる覚悟を問いかける。(ここから先は、おろそかな心を持っての立ち入りは許しませんよ)おれは、ふと立ち止まり、自...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(49)最終まであと3回

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(48) 最終まであと4回

    例年より少し遅れて、梅雨が明けた。おれは、たたら出版社長に事情を話して、七月末までの一週間、夏の休暇を取らせてもらった。上野駅を八時過ぎに出発する特急『白山』に乗り込んだ。この愛称を持つ列車を発見したからには、乗らないわけにはいかなかった。おれが、七尾を出て東京を目差したときには、上越線経由の特急『はくたか』のみで、越後湯沢で別の電車に乗り換えて上野に向かった記憶がある。三年ほど前に『はくたか』の兄弟列車とも言うべき『白山』が投入され、いまは信越本線の長野回りで金沢に向かうコースが主流となっていた。その後、昼行特急列車として便数も増え、一日三往復で運行されているとのことであった。初めての里帰りは、感傷に満ちた旅となった。鉄路をひた走る新型車両の心地よいひびきに身を任せていると、過ぎ去った日の思い出が甦って...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(48)最終まであと4回

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(47) 最終まであと5回

    プロ野球巨人軍の長島茂雄引退に続いて、田中角栄、ハイセイコーと、それぞれの分野で最も話題性を帯びた大物の退陣が相次いだ。昭和四十年代最後の、しかも秋から年末にかけての数ヶ月の間に、波瀾に満ちた昭和の一サイクルが、あわただしく幕を閉じたのであった。明けて昭和五十年を迎えても、景気は一向に回復せず、人びとは散見する明るいニュースに群がって、不満の代償を得ようとしていた。統一地方選挙で、東京、大阪、神奈川の知事が、いずれも革新系の候補者の勝利に終わって、多くの有権者が溜飲を下げた。五月には、英国エリザベス女王夫妻の来日があり、続いて田部井淳子が女性初のエベレスト登頂を果たして、連日マスコミを大騒ぎさせていた。おれも、ご他聞に漏れず、他人の活躍にわが身の幻想を背負わせて、ああだこうだと一喜一憂していた。ミナコさん...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(47)最終まであと5回

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(46)

    ミナコさんは、浴室に消えたようだ。ひとり取り残されて、おれは横たわっていた。急速に萎えて、左の太腿に寄りかかった塊を、おれは鼻翼越しに眺めていた。十分前までは、王侯貴族のように威張っていたのに、いまは使い捨てられたボロ雑巾のように張り付いている。ミナコさんが、特別の手品を使ったわけではない。これは、オスの身に施された、約束ごとなのだ。三月にミナコさんが失踪して以来、ずっと持続してきた渾身の計画が、いま、おれの中で、力を失っていた。ミナコさんを支え、帰還したミナコさんと結婚して、幸せな人生をおくる。・・確信に満ちた、万全の計画のはずだったったが、当初の張り詰めた緊張が後退していくのを、ぼんやりと感じていた。おれの心身に、変調が忍び寄っていたのだろうか。ミナコさんとの再出発を期して、愛を交わしたはずなのに、こ...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(46)

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(45)

    母親が亡くなったことで、ミナコさんの立場は弱くなった。それは、当然なことだと、おれは冷静に考えた。姉夫婦の親切の一部は、母親からの送金にあったのだろうと、邪な想いが頭の中で泥のように動いた。口には出さないが、ミナコさんは早晩横浜を離れることになると、おれも思っていた。幾部屋あるのか分からないが、夫婦のもとで長期に居候することなど、出来るはずはない。そのことは、ミナコさん自身が承知していて、手紙の中でほのめかしていたことだった。「ミナコさん、これからは、ぼくが身元引受人になります。なんなら、ぼくがお姉さんたちにお会いして、了解していただきます。そうしたら、その足で、区役所に婚姻届を出しに行きましょうよ」おれは、紅茶のカップを置いた瞬間のミナコさんを、真正面から見つめた。「うーん、執行猶予なしに?」ミナコさん...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(45)

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(11)省略した回を復活

    おれは、ミナコさんの脚の間に片膝をつき、斜めに体を重ねた。すべるような白さに見えた肌が、ずり上がっていくおれの腹に吸い付いてきた。腕の付け根に口をつけ、そこから首筋へと位置をずらした。顎の裏側にもぐりこむと、ミナコさんはのけぞったまま声をあげた。おれの中に、得体のしれない男の影が忍び入ってきた。大塚の飲食店街からアパートに戻る途中、暗がりの道で売りつけられたエロ写真の男だったろうか。純情なはずのおれが、いま、女神のようなミナコさんをいたぶっている。思ってもいなかった展開に、こんなはずではなかったと戸惑う自分がいる。おれは、おれの貪欲さに気付かされていた。欲望が膨らみ、大きくなったまま意識の底に沈潜していくのも異様だった。膝に当たる部分が熱をもち、薄物を透して汗を噴き出していた。おれの手が、そこを目指して追...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(11)省略した回を復活

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(44)

    ミナコさんとの、もどかしい通信状況に耐えかねて、おれは電話を引くことを決意した。ミナコさんに電話番号をどう知らせるのか。名案が浮かばないまま、おれは日本電信電話公社に出向いて申し込みの手続きをした。半月もすれば、おれの部屋には電話が引かれているはずだった。ピカピカの黒電話を、どこに置こうかと胸が高鳴った。本箱の上がいいか、それとも坐り机の端か。電話がついたら、まず誰にかけようか。想像ばかりが先走って、肝腎のミナコさんに伝える手段は、なかなか湧いてこなかった。大家には、家賃支払いの際に了解を取っておいた。逮捕されたパチプロのその後を、格好の話題として待ち構えていた夫人は、騒動で蒙った被害を織り込みながら、堰を切ったようにしゃべった。「いまどきの若い娘は、親に相談もなく、すぐに男とくっついてねえ。・・あげくに...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(44)

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(43)

    身辺に騒がしいことが起きて、巣鴨地蔵通り商店会主催の『こども相撲大会』を観にいけなかったことが、心残りとなっていた。数日後、チラシの校正を担当してくれた若手事務局員に連絡を取ってみると、イベントは成功裏のうちに終了し、打ち上げの席では、来年もまた継続して催しを盛り上げることで意見の一致をみたとのことだった。「それは、よかったですね。おめでとうございます」「はい、今回はいろいろとご協力いただきまして、ありがとうございました」実働の事務局員から、素直な感謝の言葉をもらうのは、おれにとってもうれしい成り行きだった。「いやあ、大したことはできませんでしたが・・」たたら出版から経費を出してもらって、健康祈願、学業成就の鉛筆セットを五十組、事務局に届けておいたのだ。同時に、多々良の顔で、返品になった少年雑誌の付録を譲...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(43)

  • 紙上『大喜利』(32)

    〇「ブリゴジンが死んだらしいな」「ご隠居、ついに執行されたんですかね」〇「大谷翔平はミナシアンに不信を抱いているな」「ああ、エンゼルスオーナーの欲の深さにうんざりしてるんでしょ」〇「藤井7冠が王座戦で長瀬拓哉七段との対戦で先に負けたな」「今まで勝つのが当たり前と思っていたからショック大きいですね」〇「福島原発汚染処理水の放出がはじまったな」「放出海域でとれた魚の刺身を岸田総理が食べてたから問題ないんでしょう」〇『いろいろあったが今夏の猛暑が一番のニュースだな」「ほんと、8月一か月間ぶっとおし29℃以上は史上初めてだそうですよ」紙上『大喜利』(32)

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(42)

    北千住で東武伊勢崎線に乗り換え、小菅駅に着いた。プラットホームの時計は、八時少し前を指していた。前回の経験を踏まえて少し早めに家を出たせいか、ここまでの行程はうまくいっていた。あとは、ゆっくりと歩いていけばいい。おれの気持ちに余裕が生じた。おれは、ホームに立ったまま大きく息を吸い込んだ。湿った空気が、肺の中に入ってきた。雨足は、衰える様子を見せなかった。トップグループを形成するマラソン選手の一団が、激しく競り合いながら駆け抜けていく足音のように、低気圧が荒い息遣いを残して通り抜けようとしていた。時おり吹き込む雨が、おれの足下を濡らした。おれはベンチのあたりまで後退りして、雨に煙る風景を眺めた。見通しの好いプラットホームからは、線路を囲う塀越しに、東京拘置所の建物が見渡せた。広い敷地のあちこちに、さまざまな...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(42)

  • 思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(41)

    ミナコさんの業務上横領事件に関連して、共犯を疑われた不愉快な経験が、おれのなかに、心の傷となって残っていた。(今度は、なんなのだ?)自然に、身構える姿勢になっていた。「いや、内容を知らずに、頼まれて保管している物があるんじゃないかと思いましてね」刑事は、遠まわしな言い方で鎌をかけてきた。「知り合いといっても、顔見知り程度ですよ。・・ぼくに、モノを預けるなんて事は、ありえませんね」「へえ、そうですか。けっこう深い付き合いらしいと、情報が入っているんですがねえ」ミナコさんを担当していた刑事と、どこかで繋がっているのだろう。思わせぶりな口調が気になった。世間では、一度犯罪者の烙印を押されると、一生警察に付きまとわれると信じられている。せっかく更生を果たしたのに、事件が起きるたびに疑いの目を向けられ、それが原因で...思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(41)

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