先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
タイタンはセレニセレウスの交配種,毛むくじゃらの蕾が伸びるとツルッとした花被片が見えるようになります.今年は結構早くから多くの蕾が見えて来ました. 4月下旬,久しぶりの恵みの雨が降っていました.夜遅くにハウスに入りことは滅多にありません.ボクはハウスに外部エネルギーを入れない方針なので,電気も暖房もありません.それでもそんなに不都合はないのです.サンダルでは濡れるので長靴を履いてハウスへ.懐中電...
兜錦は花を楽しむものではありません.タネマキ人にとっては自ら良斑を得るために種子を蒔きたい,しかもたくさん蒔きたい.そのためには次々と斑入りとなっているアレオレに花がついて欲しいのです. 兜の蕾は小さい時は毛に覆われていますが,少し膨らむと灰色がかった色になります.しかし斑ものの場合,アレオレが斑入り部分にある時,こんなふうに赤みを帯びたマダラ模様になるものが多いのです. ただ花はごく普通です....
春らしい天気が続く中,今年も次々とレブたちが咲いてゆきます.多くのものは何度かに分けてパッと咲くので,結果として結構長期間咲いているなという印象を受けます. ボクは温かみのある橙色の花が大好きです.このワルテリ(Aylostera walteri WR784)はもう長いことウチにいるのですが,春の定番のようになっています. 多くのレブファンは,ごく普及種である翁宝丸(R. senilis)を大事に維持しています.その理由はこの...
もう4月も終わろうとしています.毎年春は駆け足,ついこの間までコタツのお世話になっていたのに,人は半袖でハウスに入り,サボテンの暑さ対策を気にかけ始めています. 4月に咲いた花の写真を撮ったのに,個別には取り上げられずにスルーしそうな花を載せておきます.まずは大豪丸錦,一昨年に交配して得た種子から低率ながらも斑入りが出たことを記事した大豪丸錦,錦はさておいても綺麗な花です. 次は黒竜(Pterocactus ...
小人の帽子(Epithelantha bokei)が花を咲かせていたので,覗き込んでみました.花を観賞するサボテンではないのですが,他のエピより一層儚げな感じの花です. 小人の帽子はありませんか?と時々聞かれるので,今年は交配してやるかと思っていたのですが,開花が合いません.この株はダンマリを決め込んでいます. 以前にもらった実生苗はそれなりに成長していますが,実にのんびりですね.これでは皆さんに貰っていただける...
随分と前にもりもり咲く緋牡丹のことを記事にしました.昨年袖に接木した緋牡丹錦がモリモリと蕾を上げています.袖の威力はさすがです.自根ではこんな風には咲きません. 以前に記事にした緋牡丹の花は,蕾も花も完全に葉緑体が抜けてピンク一色でしたが,これは程よい斑柄の緋牡丹錦,花はごく普通の牡丹玉と同じ感じです.全く斑柄を反映した花とはならないのはどうしてだろう?と思いつつ咲き始めた花を眺めました. 特に...
昨年実生接したエリオシケ達の中で目を引いたのはこのPyrrhocactus kunzei RS2304でした.実はこのFNの情報は,ヒルホsp.クンゼイ?と疑問形になっています.姿形からして多分そうなのだと思います.早いうちから白い刺が球体を覆い,紫の肌色と相まっていい雰囲気を出しています. 蕾の様子はこんな感じ,ほとんど毛を纏わず緑の蕾が特異です. 花を見て正直驚いてしまいました.これはなかなかのもんじゃない?渋さの中に華...
精巧丸(Pelecyphora aselliformis)の良さはかなりサボテンに入れ込んでからではないとなかなか理解されないようです.覗き込まないとそのユニークな姿は見えてこず,ただ単に小さく地味なサボテンとしか見えません.種小名は,イボと刺の様子がホンワラジムシ(Oniscus asellus)に似ているからなのですが,よくぞこの名前を付けたと拍手です.日頃は忘れられたように栽培棚の隅で暮らしていますが,花は意外と美しいものです....
昨年,カクタスクラブの方からテネブリカ(Eriosyce tenebrica)の種子をいただきました.播種して間もなくキリンにいくつか乗せてみました.生育が遅いと聞いていたので,せっかちなボクは早く花がみたくて乗せちゃいました.スクスクと大きくなり,キリンの園で花を上げてきました.刺の様子、肌の色合いなとナピナの変種(E.napina var.tenebrica)と見る見方もあるのが頷けます.花色の変異はどれほど出るか,それも楽しみの...
独特の雰囲気を持つ眠り獅子は,少しマニアックな人向けのテロらしいです.そうなのかなー,ボクは好きだけどなーと思いながら,毎年花を楽しみにしています.なんとなくユーモラスな顔つきも好きだし,花も好きです.種子を採りたいと思い昨年もう一株手に入れました. なおこの眠り獅子は,Thelocactus phymatotheleという学名でしたが,今はT. rinconensisに統合されています.同じ種で,刺の強いのが鶴巣丸,短いのが眠り獅...
ハウスでは,何事も外よりひと足さきにやって来ます.アマガエルは年中活動していますが,この時期よく目に着くのが小さな虫たち,特に小さなカマキリはいたる所にいます.特にサボテンに悪さをするわけでもないので,眺めて楽しんでます.ヘキランの肩に乗って何を見ているのでしょうか. 兜の果実にぶら下がって小さいながらも戦闘モードでじっと何かが来るのを待っています. 実際のところカマキリの赤ちゃんはハウスの中で...
白花の太平だということで,以前から気になっていた太平丸変種サビキ(E. horizonthalonius var. subikii).ようやく種子を手に入れ蒔いてみました.キリンのおかげであっという間に顔が見えて来ました.この顔つきを見るとどうやら,いわゆる小平丸系の太平丸だとみました. そして花が咲いてみると,これは白花というよりは薄いピンク花です.これでは白花とは言えませんね. どうやらサビキは、花色の薄い小平丸の系統のよ...
外に地植えしている葉ウチワに防寒のためにビニルを被せたのは11月のことです.その時にうまく囲いの中に収まるように幾つか枝を払いました.その時,いくつかの茎葉を挿し木しておきました.春に芽吹いたら欲しい人もいるんじゃないかと思ってのことです.ハウス内に置いていたので2月になって盛んに芽を吹いて来ました.その芽が少し大きくなって来たのをよく見るとどうやら多くは花芽のようです.へーこんなになるんだと驚く...
白刺が美しいロビです.これは今年の初春,咲玉園さんの福袋に入っていたものです.ロビと書きましたが,Echinopsis aurea var. . quinesensis WR112です.故郷は,アルゼンチン San Luis州 Quines,変種名はこの地名から来ているようです.なおこの変種(var.)は,今はオーレアに統合されているようです. 力強い花芽が上がって来ました.蕾の形態は確かにエキノプシスです. 暖かさに後押しされ,あっという間に花開きました...
ウチには通称カニというなかなか優秀な紅葉ヘキランがいます.このカニを手にした13年前の姿を彷彿とさせる形をした実生がいます.その紅葉具合はどうでしょうか. 今年1月下旬の様子,頂部が少し色付いています. 2月下旬になり,色付きは進みましたが,イマイチです. 3月初旬に育苗バットから個鉢へ植え替えてやりました.関取になって大部屋から個室に移るようなものです. 4月上旬,このぐらいの紅葉が精一杯でしょう...
暖かさがますとアストロ達の開花は急に始まります.同時に繁殖苗の移植も急ピッチ.特別自分で必要なわけでもないのですが,兜はありませんか,と聞かれることもあって少し実生をしています.そのついでにちょっとお遊びの交配も.白ラン兜×赤花兜,この組み合わせには結構色々な形が出ます.加えて兜系雑種に特有と言うべき斑が出ます.ただこの斑は組織が陥没して醜い肌になるので,実生の小さい時に斑のない整ったものを選び...
どんどんと色々なサボテンたちの花が咲き,諸々の園芸作業も忙しい季節.じっくりと一つの花を見つめる時間的余裕がなくなります.4月に入ってなおたくさんのマミが咲いていますのでいくつかを紹介しておきます. この清楚な花はエステバネンシス(M. estebanensis).昨年初花を紹介しましたが,株が育っていい感じで花が咲くようになりました. 次は澄心丸(M. backebergiana).いかにもマミラリアらしい花輪を作ります.こ...
Acharagma roseanum SB4599を昨年蒔いてみました.キリンに乗せるとスクスクと成長しました.美しい金色の刺を密生し,なかなか美しい種です.和名は金盃とされています. 初めてアカラグマをみたのは2度目にメキシコに行った時でした.美しい金刺の小型サボテンだなと思いましたが,全く馴染みのない属で何者やらわかりませんでした.エスコバリアに近縁の属で,エスコバリアに統合するとする見解もあるようです.なおKEWはこ...
インターテクタス(Echinomastus intertextus SB120),が綺麗に咲いていました.実に穏やかで気品ある花姿です.長らくエキノマスタスとして慣れ親しんで来ましたが,今はSclerocactus intertextusとすべきでしょうか. SB120の故郷はNew Mexico州,Los Pinos Mountains, Socorro County ということです.Gmapでみると低木の点在する何もない荒野のようです. これはどちらか言えば英丸系なのでしょうか.全体を覆うように刺...
マミ棚をふと見ると見慣れない小さな花がありました.Mammillaria sphacelata FO65です.一応白星山という和名を頂いていますが,まず流通していません.また名前ほど白いわけでもありません. 覗き込んでみると健気に小さな花輪を作っています. 親指ほどの太さの茎の基部から仔を出して自然に群生になりかけてます.Pilbeamの本では8年で20−25cmになると,佐藤さんの本では50cmにもなると書かれています.小さいながら大群...
紅葉ランポーといえばヘキランに紅葉が入るのが普通です.通常の白点のあるランポーに紅葉系がないのは不思議でした.コロンさんが,紅葉のしっかり出る白点ありのランポーにマグマと名付けて出しておられます.紅葉の起源はよく知りませんが,紅葉と紅葉をかけるとその実生はほぼ紅葉になります.しかし紅葉と青物をかけるとその後代にはまず紅葉は出ません.紅葉の血が入ったはずの青物の後代にも紅葉はほぼ出ません.まるで潜...
ある朝,地味な小型サボテンの棚で,マグドガリーの鮮やかな黄色の花がパッと目に飛び込んで来ました.ああもう咲いて来たんだねと,しばし覗き込みました.見た目はかなり特異なサボテンですが,種子が採りにくく,かつ成長も遅いので,実生苗を作っている人はそれほど多くありません.この株も2018年播種でこのサイズです.とは言えもうすっかり大人で盛んに花を咲かせます.昨年はこれらを交配して無事種子を採りました. も...
雷帝と名付けられて太平丸は,今なお人気です.サボテン趣味を再開した15年前,ボクが子供の頃には雷帝なんかなかったよなーと少し前のめりになって幾つかの雷帝を買い求めました.そこですぐに気が付いたことは雷帝とは何か?がはっきりしておらず,名前先行で取引がなされていることでした.それは今も変わりません. 太平丸達の先陣を切って,雷帝の一つが早々に蕾をあげてきました.これは雷帝の顔をした6稜の太平丸です....
寒さが和らぐと綾波が動き始めます.赤い刺の先端が覗き始めると,おおっ今年もお目覚めかと嬉しくなります.いつものように今年は凄い刺が出てきたのではないか?と人の心を惑わせながら,幾つもの蕾もあげてきます.この時が最も楽しみな時間ともいえます.他人様が作った大株も良いけれど,やはり自分で種子を蒔いたものが愛おしい. この赤い蕾が開くまで,それほど時間を要しません.春の日の急な昇温に導かれ,あっという...
毎年2月も後半になると月宮殿の赤いぽっちりが見えてきます.これは春をつげる嬉しい兆し,いつもそろそろかなと思いながら月宮殿の頭を観察しています. この赤いぽっちりはやがてハッキリとした蕾として刺の間からつのを出すかのように伸びてきます. そして約一月かかってようやく一斉に花を開きました. ウチにいるもう一つの大株の開花はこんな風でした. 今年は嬉しいことに白の月宮殿が仲間入りしました.どこかに白...
昨年このチレンシス(Eriosyce chilensis FK3)が育苗バットの中で開花する様を記事にしました.旧ネオポルの中には花弁がたくさんあって最後まで開き切らないタイプの花をつけるものと,蕾から開花までは同じような姿をしながら花弁数が少ないがために花が開ききって雄ずい,雌ずいがすっかり露出するタイプの花をつけるものがあります.このチリエンシスは後者のタイプで,開いた花も良いのですが,この写真のような開きかけの...
昔はWilcoxiaと呼ばれていた珠毛柱(Echinocereus schmollii)はなかなか素敵なサボテンなのですが,格好よく作りあぐねていました.以前は支柱を立てて縛り付けていたのですが,どうにも格好がつきませんでした.フニャフニャしたいのならいっそ吊り鉢で作ろうかと昨年から吊すことにしました.水が切れるとグニャリと垂れ下がり,水を吸うと少し戻ります.それでも茎の先端は常に上向になろうとします.そんな感じで蕾を着けて...
今年もネオポルの季節が盛りを迎え,ハウスでネオポルがある一角を眺めるのが楽しみな時間が続いています.このNeoporteria nigrihorrida FK22(syn. Eriosyce subgibbosa subsp. clavata)は,もう長いことウチに居ます. まだ小さい2代目も花を咲かせています.多分最初にウチに来た初代はこれよりさらに小さい頃だったのでしょう.ウチに来て2年目に開花したことを記事にしています.花を初めて咲かすサイズぐらいが一番可...
弥生から卯月へとまたがるこの時期,エビたちも次々に開花してきます.今年も咲いてきたなという記録のためにアンソロジーとして紹介しておきます.まずはチソエンシス(E.chisoensis).相変わらずの美しい花です.これは一昨年蒔いてキリンに乗せたもの,エビとキリンの相性もかなり良いですね.花色,模様にはほぼ個体変異はありませんでした. そして定番の美しさは宇宙殿(E.knippelianus). 特にこの個体の花はキレイなので...
この紅梅殿(Turbinicarpus horripilus),ラベルを見ると10年前に西武屋上で手にしたことがわかります.ブログに初めて登場したのは その2年後,その頃は小さな単幹の株でした.そのうち基部から仔をふき始め,ゆっくりとそれが増えて行き,だんだんと群生株に近づいています.実生自根でどれくらいまで大きな群生株になるのか見極めたいなと思っています. 蕾や花の様子はこの仲間によくある形で,花の拡大を見せられると他種...
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先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはMammillaria glochidiata var. xiloensis ML45です.故郷はメキシコ イルダゴ州AlmolónとGiloの間付近とのことです. 肌色が黄緑に近くカギ刺の色が黄色なので,全体としてボヤッとした印象です.小型のマミで,花は大変小さく覗き込まないとよく分かりません.草姿とともに大変地味ですね. このグロチディアータM. crinita のシノニムという見方もありますが,KewはM. glochidiataを認めています.佐藤さんの事典に...
ヤヨイアーナという種小名をみて弥生を連想するのはボクだけではないはずです.しかも女性の弥生さんを勝手に連想するのは行き過ぎでしょうか.紅傘丸なんて色気のない名前は好きになれません.Lobivia jajoianaはのど黒系ロビの代表選手,この春にL. jajoiana var. glauca WR218の花が咲いたことを報告しました.その後もいくつか連続して花を咲かせてくれましたが,今はすっかり成長の方に力が入っているようです. そんな中...
これはMesaから入れたMammillaria meridiorosei RAR34です.故郷はアリゾナ州Madera Canyon,このFNは検索サイトでヒットしないのですが,Mesaのカタログでは使っています.かなりの大輪で,ピンクの細弁がスッキリ伸びてとてもよく目立ちます. 横から見ると長いカギ刺を持っていることが分かります.側刺は白いので全体として優しい雰囲気でもあります. このメリディオロゼイはM wrightii subsp. wilcoxiiとされたり, Kewは...
春に咲いたマミラリアの実が見えるようになりました.少し繁殖しておこうと思ったものは積極的に手交配しますが,そんな意図とは関わりなく生まれた果実は眺めるだけに留めます. アルビコマは果実の様子を確かめたくてきちんと手交配をしました.記載では果実は赤いとされていたのですが,本当にそうだっけ?と不安になり,実際に見てみたかったのです.なるほど赤い果実でした.アルビコマはダラダラとずっと先続けるので,こ...
6月中旬には梅雨がどこかに行ったような日が続き,その後やっぱり梅雨だったのねと言った天気に戻りました.そして昨日,異例の速さで梅雨明け宣言.そんな天気の気まぐれに左右されず,夏マミたちが始動しました.全体としてマミたちの成長がひと段落して花も少なくなるこの時期にしっかりと主張してくる彼らの花を見るとおおっと思います. まずは舞衣ことライティーくん,小さいながらも立派な花をグンと広げています.仲間...
曇天の日は黄色い花を観賞するのに良い日です.黄色い花がとても綺麗に見えるとともに写真に撮ってもあまり違和感を感じない黄色に写ります.まずはロビビア(エキノプシス)オーレア(Echinopsis aurea var. quinesensis WR112).これまでなんとか咲いてくれましたが,やはり曇りの日が良いですよね. 次は旧トリコテレ金星(Mammillaria longimamma).子供の頃から馴染みのサボテンですが,今ウチにいるのはごく幼い株です...
昨日アストロの接降ろしを話題にしたのですが,コピはどうやってんの?って聞かれたので,ご紹介しておきます.コピは基本キリンで育成するので,キリンの降ろし方そのものです.残すキリンの茎の長さは3cmほど.決して長くしません. カットした後は乾かすことなく6cmポリポットに普通の用土を入れてそこに挿して,最初の1−2週間ほどは新聞紙をかけておきます.用土が乾かないように水はきちんとやります.高温期なので腐る...
梅雨の中頃,季節のお仕事がやって来ます.いわゆる接降ろしです.柱類もキリンもこの高温の時期に一斉に接降ろしすることにしています.なぜこの時期なのかって聞かれるのですが,第一には作業の都合上そうなっているだけですが,高温期は勝負が早いというのも理由の一つです. アストロは基本もぎ取りで,台木を付けずに降ろします.もぎ取った面に台木の維管束が残っている時は彫刻刀などできれいに取り除きます.1週間ほど...
あるサボテンに人気が出る,これは末端の趣味家にとってみると実に不思議な現象です.誰もが知ってはいるが,決してメジャーではなかったコピアポアが注目され始め,黒王丸,孤竜丸そして栗星玉(Copiapoa griseoviolacea)へと広がりました.サボテンを始めたばっかりの方からグリセオはありませんか?と聞かれ,何でそんなもんが欲しいの?と驚きました.それじゃ種子を蒔こうかと思っていたら,友人から実生苗をいただきまし...
しばしば花を着けたサボテンが人の顔に見える事はいろんなサボテンの項で書いて来ました.あるところでサボテン話をした時に「Human-face cactus」としていろんな写真を見ていただいたのですが,面白いと喜んでいただきました.ヒトの脳にある顔認識機能は共通するようで,誰かからこれは顔に見える!と言われた瞬間に本当に顔に見えてくるのです.実に面白いことですね. さて,この春から撮った「顔」の写真を見ていただくこ...
鬱陶しい天気が続きましたが,気温はそれなりにあるので,プシスの仲間は,色々と蕾を上げて来ます.レウカンサ(Echinopsis leucantha HUN409)が,まるでカタツムリのように2本の蕾をあげていました. お天気が不安定でいつ咲くのか気をもみましたが,なんとか無事開花しました.すっかりカタツムリの面影はなく,シャキッと目を見開く様は,何か別の生き物の顔のようでもあります. 梅雨時に花の写真を撮ろうと待ち構えてい...
月影丸には古くから綴化が知られています.ウチにいる綴化株はすでに古参の仲間入りをするほど古株で,これまで素晴らしい開花を見せてくれたり,死にかけたりしましたが,今もなんとか生きています.その株と普通の月影丸を交配して得られた種子を何度か蒔いてみました.出てきた苗の大半は,こんな感じのごく普通の株です.大きくなってから綴れ出すのが理想です.なので我慢して待っていましたが,なかなかそんな風にはなりま...
ウチには大してギムノはいませんが,梅雨時にハウスで何かしらが咲いているとすればギムノだったりします. このホルスティは,2012年に鶴仙園さんで手にしたものです.当時はまだ駒込の本店が自由に入れた時代でした.時を経てそれなりに大きくなったのですが,肌もやや汚れ歳をとった風体になりました.でも相変わらず大きな花をポツポツと咲かせます. 次は子供の頃から馴染みのバッテリー.最近やたら強刺のバッテリーが出...
曇天の日は,黄色の花の写真を撮るのに最適な日です.明る過ぎる光条件ではカメラに収まった黄色の花は,人の見た目を大きく異なる色に写ります.後で画質調整はできるのですが,なにもする必要のない曇天での撮影がやはり最高です. このマグドガリーは随分前から居るのですが,上に伸びることもなく扁平な群生株に仕上がりつつあります.一昨年から交配相手ができ,開花時期がなかなか合わない中でもなんとか種子を得られるよ...
曇り空が続く中,ハウスのマミ棚では小さくもとても目につく緑の花が健気に咲いていました.M.heidiae L1154です.3年前にまだ本当に小さな株だった姿を紹介しています.あれから2回りほど大きくなり,元気に過ごしています. この黄色とも緑ともつかない花は,晴天下より曇天のもとで見た方が,幾分蛍光色のようにも見えて綺麗です.また写真を撮る際も晴天日より明るい曇天日の方が黄色の発色が良くなります. このヘイディ...
鬱陶しい天気が続く中で,風蓮丸(M.fraileana = Cochemiea fraileana)など夏マミが咲き始めています.この個体はREP580で,カリフォルニア半島の先端ラパス付近が故郷です.毎年比較的早い時期から咲いてくるのですが,ウチに古くからいる国内実生の個体は完全に夏咲きです.開花特性においてかなりの系統間差があるようですね. バハ付近に分布するマミはいずれも先端が長く割れた特徴的な雌しべを持ちます.これを覗き込ん...
この時期フェロたちが花をあげて来ます.特に緑花とも言える黄花のフェロはとても目につきます.この紅裳竜は2011年サボテン趣味を再開した直後に西沢サボテン園さんから通販で手に入れたものです.小さな株でしたが,時間の経過とともに大きくなりました.でも小型のフェロなので場所を取ることもなく,それなりの刺ものらしい姿になり,花も咲かせるので良い種だと思います. もう一つは偉壮玉.これもまた2011年にヤフオクで...
紅葉ヘキランを初めてご覧になった方は,たいていその派手な色合いに驚かれます.そしてこれが初夏になると色を失い緑のヘキランに戻るというとなお驚かれます.ただ,どうしてそうなるのかという原理についてはちゃんとした説明がなされていません.そして成長するに従い紅葉が現れにくくなるものが多いことも面白いことです. さて昨年接木した紅葉亀甲ヘキランの3月の様子はこんなでした.他ものも綺麗に紅葉しています. ...
これは御旗です.いつものようにこの時期に花を上げてきました.ふと見ると小さい方の蕾が何か変です. まるで体の中から突き出ているかのように見えます.下から覗いてみるとまさに表皮を突き破って蕾が出てきているようです.これはどうしたことでしょうか. 花は最初こそ楕円形でしたが,花弁は正常に開き,特に形態的異常は見られません. 花が終わり,花ガラをとって改めて観察してみました.取り出した花ガラは普通の花...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...
梅雨の最中,ウチにいくつか居る神竜太平の一つが開花しました.実に綺麗な花です.神竜×太平は,用いた太平のタイプが異なるためでしょうか,それぞれ花の様相が少しずつ違うのが楽しいですね. この株は神竜×翠平と言うことで入手したものですが,ただどんな翠平なのかの情報はありません.しかし,神竜×太平は大概このような形態のサボテンになります.肌は燻んだ緑で,稜の数は多く,刺は太平と神竜の中間型ですが,大抵は...
この3月にカクタスクラブのツアーでお邪魔しましたので,それほど間が空いたわけでもありません.ただボクの気分は随分久しぶりのような感じがしていました.ハウスの入り口には多肉の寄せ植え、こんな寄せ植え置いてあったっけ?と見つめてしまいました. ようやく梅雨入りした三河地方,曇りがちなのでハウスも過ごしやすい温度でした。遮光のない強刺類のハウスでは,フェロの大株たちが気持ちよさそうに過ごしていまし...
前年に採種したパキポジウムの種子は,いつも気温が上がる6月以降に播種しています.パキポの芽生えが揃った様子はなかなか可愛いものです.この段階では全く普通の双子葉類の芽生えですが,この後下胚軸が肥大して,あのパキポになってゆくのですから面白いことです. 今年はプラグトレー育苗にも挑戦してみました.箱蒔きに比べて生育はどうか,植え替えが楽になるかどうか見ておきたいと思います. 今年の3月に交配したパキ...
いよいよ関東も梅雨入りしたようですね.何事も東京中心のこの国では,お天気の話でも東京の暑さや風雨,そして雪に至っては国の一大事のようにテレビで盛んに伝えられます.梅雨入り直前の西武屋上を覗いてみました. しばらくぶりの西武屋上です.あの騒動以降,屋上のベンダーさんの多くが店を閉めてしまい,かつての賑わいはありません.でも嬉しいことに鶴仙園さんは現在です. いつもながら,幅広い品揃えはビギナーから...
3年前にフレーム1号を作り,ウチに居るほとんどのテフロをその中に移しました.最初は少し焼けたのですが,だんだん慣れたのか今はごく普通に過ごしています.ここに置くことで長らく咲いたことのなかった白狐が咲いたことを以前に記事にしました. 今年もいくつかのTephrocactus articulatusたちが花を咲かせたり,気まぐれに新しい茎節を伸ばしたりしています.アルティクラータスたちは,刺の有無を始め, 刺の形も実に様々...
全国的にようやく梅雨に入ったのかと思われる天気になっています.先日,梅雨の中休みを狙って,ハウスに遮熱遮光資材ふあふわを掛け,夏の備えも完了しました.ハウスは陽が射すと40℃に迫る状態ですが,サボテンたちもだんだん慣れてきています.幸い今のところ最低気温は20℃以下まで下がるので,まだ暑さはあまり心配する必要はない状態です. ハウスでは夏マミが咲き始めており,朝のうちにハウスに入る楽しみを作り出してく...
Frailea buenekeri var. densispina の花が綺麗だという記事を書いたのはもう3年も前です.当時3株あったのですが,だんだんと調子を崩して今は一株になっています.株自体はそれほど大きくはなっていませんが,以前と変わらない綺麗な花です.フライレアの仲間は花を開かずに種子を残す性質があり,花が咲かずに種子ができてしまうことがあります.このデンシスピナは比較的よく咲いてくれます.今ウチのフライレア達の多くは少...
昨年秋にFNの着いたグラウカム(Acanthocalycium glaucum=Echinopsis glaucina)種子由来の初花を記事にしました.春になり幾つもの個体が花を着けました.それぞれ特徴があることが分かりましたので,記録しておきます. 最初はFR970,爽やかなレモンイエローの花です.アカントカリキウムは大体球体の側面のアレオレに花芽が着き,花筒は短いのが特徴です.FR970の故郷は,アルゼンチンCatamarca州North of Belenです. グラ...
早春に咲いたマミたちが赤い果実をあげています.中には花よりもこっちの方が観賞価値があるんじゃないかと思われるものもあります.花と実,2回楽しめるのは嬉しいですね. 景清(M.sempervivi).この時期白い綿毛に赤い身が突然生えてきてしばらくこの姿を楽しめます. 小型のマミ,コロンビアナ(M. columbiana)です.花時もやや地味な彼らですが,赤い実を着けた今が一番の見頃なのかもしれません. 小型のタイプのグラ...
この偉壮玉は,〇〇偉壮玉と岡山のO氏の名を冠につけたものとして随分前に入手しました.長い間ゆっくりと成長していましたが,ここ数年で急に大きくなってきています. 偉壮玉にはFerocactus acanthodes var. rostiiという学名が使われ,鯱頭の変種とされていましたが,現在ではF.cylindraceusの1タイプとされています.花を見ると確かに鯱頭と同じなのだなと思えてきます.鯱頭といえば,赤やオレンジのうねる刺が特徴ですが...
この紅裳竜は2011年に西沢さんのところからきたウチに居る古参のフェロです.毎年元気成長して花も咲かせていますが,株の下側がだんだん萎縮するのか,この十数年で大してサイズは伸びていませんが,すっかり大人顔.これはある意味フェロの理想形です. この紅裳竜はFerocactus viridescens subsp. littoralisすなわち竜眼の変種とされます.littoralisとは海岸に生えるという意味で,バハカリフォルニア北部の西海岸が主な生...
サボテンの花に赤や黄色があるのは,花弁の中にベタシアニン系の色素があるためです.生体内で前駆物質から様々な酵素により修飾され最終的に色のついた物質になります.その過程で何らかの突然変異が起こる,多くの場合はある酵素の機能が欠損すると色がつかない花,すなわち白花になります. これは太陽の白花変異品種.太陽の特徴である赤紫の雌しべも色が抜けて緑になり,大変印象的な白花になります. 次は白花テレサエ....
テレサエ(Mammillaria theresae)は,軟質マミの代表選手.水を吸うとぐっと伸び,成長が止まると思いっきり縮みます.なんといってもその刺の奇妙な形態と柔らかさが彼らの最大の特徴でしょうか.あるサイトでテレサエの刺はクラゲのようだと書いてありました.なるほどクラゲねーと眺めて感心しました. まずは咲き始めの写真.花は柔らかな雰囲気で,開いてまもない時間に最も色が濃く,二日目になるとより柔らかな色合いに...