先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
メンゼリー(Pediocactus peeblesianus f. menzelii)が咲いてきました.3年前に播種し,すぐさまキリンに乗せ,翌年初夏に短いキリンの茎をつけて降ろしました.その時の様子を記事にしましたが,降ろしてからしばらくは気を使い過ぎて灌水も控えめ,成長もわずかでした.この春に植え替えたのですが,キリンの根はやはり灌水控えめだったので,なんとなく貧弱でした.植え替えが刺激になったのか,これまで全然開花の兆しがな...
これはM. guillauminiana TL45,故郷はデュランゴ州El Carrizoということです.この種はM.mercadensis(鳩目丸)のシノニムとなっています.このTL45は何年か前に蒔いたのですが,一株だけ生き残り大きくなって来たものです.典型的なカギ刺マミの風貌しており,ピンクの花もまたマミらしいマミと言えます. このメルカデンシスには初桜,鳩目丸,妙麗丸,名華殿などいくつもの和名が与えられています.どうしてこうなったのか...
Rapicactus beguinii は,Turbinicarpus mandragora subsp. beguiniiとされることもあります.日本ではこの比較的大きなピンクの花をつけるタイプを白狼(琅,こちらが正しいか)玉と呼んでいます.ウチの双頭の白琅玉は今年植え替えてやり元気にしています.これからかなりの時間をかけてたくさんの蕾を次々と開花させます. Rapicactus beguinii にはいくつか亜種が提案されており,その中の一つであるRapicactus beguinii su...
ようやく安定した暖かさがやってきました.2月3月と気温が低く,足踏みをした感のある春が本格的に動き始めています. 夢幻城,M. magnimammaの1タイプです.この強く湾曲したコルク質の刺が魅力的,そこにピンクの花がよく映えます. M. rekoiには色々なタイプがいるのですが,このML370はよく目立つ真紅の花を咲かせます.レプタカンサはこれの変種ですが,なるほどねと思わせる花色です. この雲峰はもう10年以上ウチに居...
毎年ソメイヨシノのサクラの便りよりずっと早くにこちらの桜は咲いてきます.蕾がたくさん見えるとああ春が近いなと嬉しくなります. 3月の中旬になると毎年咲いてくるのですが,桜丸(Echinomastus intertextus)の花は上品な美しさとでも言いましょうか,見るものをホッとさせるような美しさです.自分で交配して実生した苗たちもすっかり大きくなり,もう新たに種子を蒔く必要はすぐにはなさそうです.でも種子は必要って人...
以前にMesaからワルノッキー(Echinomastus warnockii SB452)だと思って蒔いた種子,その後このSB452については,Echinomastus mariposensisだとしたり,Echinomastus hispidusだとしたり色々な情報がweb上に流れていました.現在のMesaのカタログではSB452をヒスピダスとしています.でもFNの検索サイトでは未だにワルノッキーとしており,Kewはヒスピダスそのものを認めていません.SB452はクアトロシネガス産とのことですが...
ドクロのポットにアルビコマ綴化を植えたのはおそらく2年前だと思います.面白がって何度か展示したりしていました.いつの間にかパンパンになって植え替えてやらねばならないと思いつつ先延ばししていました. ドクロのポットもサボテンに押されてヒビが入って来ました. これはもう限界だろうということで植え替えることに.どうにかこうにかポットの破壊も最小限に抑えて,なんとか引っ張り出しました.当初このポットは排...
2月の終わりから3月にかけて,テロカクタスも次々と花を咲かせてきます.穏やかなで気品のあるテロカクタスの花は,見るものを安心させます. この鶴巣丸(T. rinconensis)はもう長いことウチにいるのですが,最初にここに登場したのは12年前のことでした.毎年春一番に咲くテロです. 武者影(T. hexaedrophorus subsp.lloydii)の小株です.ガタイをすっかり覆う花,テロらしい花です. これは鶴武者,上の2種の種間交雑種...
これはMammillaria thomsonii F83とされるものです.チェコの業者からの種子ですが,このF83というFNは検索サイトではヒットしません.故郷はデュランゴ州 Canyon de Caballoということです.まだ正式に記載されていない種であり,M. nazacensisやM. brachytrichionに近く、おそらく近縁種と考えられています.要するに陽炎系の種ということです.とにかく小さい時からよく咲くという特徴があるようです.昨年初夏に播種したもの...
夕凪丸(M. melanocentra)は子供の頃から知っていました.華やかなピンクの花は憧れの存在でした. このメラノケントラSB557は,白花です.まだ若苗ですが,それらしい姿になっています.故郷はヌエボレオン州 Huesteca渓谷,何度か歩いたことのある地域です. これはピンク花で,FNはMK 136.425, 故郷はコアウィラ州Sierra de la Pailaとのこと,FNの情報ではこれを M. rubrograndisとしています.うーんこれがメラノケン...
ウチには以前に手にした強刺緋冠竜が居ましたが,ウチの環境に合わず,早々に調子を崩しました.それでもウチに古くから居る赤刺の美しい個体と交配して,できた実生を3つだけキリンに乗せてみました.3個体とも少し顔つきは違いますが,いずれもまあまあ赤い刺を出しています.これは接木して1年が過ぎた昨年夏の様子です. そして年が明け,そこそこの刺を出しながら,早々に咲いて来ました.緋冠竜らしい花だなと感心するの...
ガッセリアーナの多頭株を作ろうとしてなかなかうまくはいかないもんだといく記事を書いたのは去年の夏のことでした.それぞれが開花期を迎え,姿形が異なることよりそれぞれの花色が違うことが気になりました.この3個体は,花色の薄めの個体と濃いめの個体との交配からの後代なのですが,花色は個体ごとに微妙な変化がありました. このガッセリアーナ(M. gasseriana)というマミは,ラシアカンサに含めるとする見解もあり...
2月の中頃から白閃(Cleistocactus strausii)の蕾がたくさん見えて来ました.だいぶんと落ち着いて大人顔になり名前に相応しい白い柱サボテンになっています.綿毛を纏って伸びてくる蕾はなかなかいい雰囲気です. この蕾は柱の東面に集中して着きます.この株は冬になる前に鉢を少し移動させましたが,大きくは回転させていません.一体いつの時期の方角がこの花芽分化を決定させるのか興味のあるところです. 花は独特の形を...
3月中旬,暖かかったり肌寒かったり春らしい天気でした.マミラリアたちは次々と咲いてきます. ピコ(M. spinosissima 'Pico'),風貌は全く違いますが,花が咲くとああスピノッシシマだなと思わせます.大きくなるとなんとなく可愛さが失われてしますので,小株がいいなと思っています. この金洋丸錦は随分と前からウチに居ます.毎年春になるとこの花を眺めながら,子供の時にワクワクして眺めた小さなフレームの中のサボテ...
ようやく春らしくなって来ました.今年の1,2月は低温の日が多かったような気がしていました.春になって周りを確認すると例年以上に外組のサボタニたちが被害を被っています. アロエ医者いらずと名前不明なアガベ.昨年はこれほどでもなかったのですが,両者とも相当葉が溶けました. 一方その横で,プシス,エビサボのレイケンバッキーと青王丸などは縮ながら耐え忍んだようです.彼らは本当に強いですね. 予め弱いこと...
三月をさす弥生という言葉は,「木草(きくさ)弥(いや)生(お)ひ茂る月」に由来するそうです.3月に入りサボテンたちの開花もスピードアップ,全てを追いかけていられません.アンソロジーでいくつか載せておきます.ドドソニー(M.deherdtiana subsp. dodsonii),去年もアンソロジーで取り上げられてました.いくつかある株が決して同時に咲かないという仲の悪さが災いしてます. ダシアカンサ(Mammillaria laui subsp....
春のハウスをボーッと眺めていると大多数の花たちはピンク系の花であることに気が付きます.そんな中でわずかに咲く白花は否が応でも目につきます. 白花バラ丸,ピンクのバラ丸が咲き誇るそばで,負けじと花宴を開いています.この株は接木で養成した多頭株ですが,豪華に咲くと悪くないなと思います. これは白花縮玉という名で手にしたもの.そもそも縮玉と呼んでいるサボテンが多様なので,これが本当にマルチコスタータな...
このカルメナエは,始めは綴化株でした.長く伸びた成長線上に次々と小さな普通の分枝のようなものができて,今はまるで石化のようになっています.綴化のままが良かったのですが,こればかりは制御のしようがありません.マミラリアの綴化ではこんな風になるものが結構あります. 花はごく普通なのですが,これまで幾度も挑戦したのに実ができません.どうしたことでしょうか. 綴化株から小粒の多頭株が生まれるのは白鳥など...
陽炎というネーミングセンスにはいつも感心させられます.この陽炎はM. pennispinosaという学名をいただいており,羽毛のような刺という意味です.この種の特徴はたくさん伸びるカギ刺ではなく,羽毛のような側棘を持って種小名にしたのはなかなか目のつけどころが良いと言えます.さらにこれを陽炎と名付けた日本人のセンスも光ります.ゆらゆらとしたところでもよし,春の季語になっている点でもよしです. たくさんの花を一...
以前にも書きましたが,ダビシー(Echinocereus viridiflorus subs. davisii)は春告げエビです.丁度毎年ひな祭りの頃に咲き始めるようです.エビの仲間たちはかなり暖かくなってから咲くものが多い中で,ダビシーはいつもエビの一番乗りです.ダビシーの蕾の発達は大変早く,最初蕾が小さい時は地味なので目立たないこともあって,気が付いたら咲いているってことになりがちです.でも咲いているのを見つけると,そっと顔を寄...
小型のキャンディダであるナナは4年前からウチにいます.確かに小ぶりではあるのですが,まだ単幹です.キャンディダの仲間は10数cmになってから分枝を作り始め,その後主頭は成長を止め,分枝がどんどん成長して最終的には半球状の多頭大株になります.このような性質を持つため,この小型のキャンディダでも早々に分枝すればなと思っていました. 上の写真の株の相互交配から種子を採り,実生を育成しています.そんな中で3c...
菊慈童は10年以上前からウチにいます.Mammillaria cowperaeという学名が広く使われていますが,M. moelleriana var. cowperaeという位置付けで,今はモエレリアーナに包含されています.しかし,濁りのない黄色のカギ刺は大変美しく,菊慈童はよく普及しています.ですから学名は消えても園芸的には菊慈童が消滅することはないと思います. 一方の紫光丸は,M. moellerianaに対応する和名で,並べてみると確かによく似ています...
これはMammillaria amajacensis ML46です.このアマヤケンシスには和名はありません.FNの情報によれば,ML46の故郷はヒダルゴ州アクトパン Puente de Dios, 標高1800mとされます. ご覧の通りの金平糖マミです. 刺色,刺の長さには若干個体差があるように見受けられます. この植物をHuntはM.hahniana subsp. mendeliana(鶴裳丸)とし,Sanchez-MejoradaはM.lloydii(星恋)に,Charles GlassはM.senperivivi var. tetraca...
一月半ばになるとムルチコスタータたちの成長点付近に蕾が見えて来ます.あー今年も今季節がやってくるなとワクワクする眺めです.旧エチノフォッスロカクタスが大好きなんです. 振武玉タイプ,年明け早々から蕾が見え始め,2月中旬には咲き始めました.長い刺を押しのけ精いっぱい咲いています. 縮玉,サカテカエンセと呼ばれるSB492です.2月に入って蕾が見えて来ました.この個体の花は実に綺麗です.やはり紫のストライ...
春が近づくとアリが目立つようになります.花を観察しているとアリがよく動き回っている花と何遍見てもアリが来ていない花があります.これは一体どうしたことでしょうか.何かアリを惹きつける香りを出しているのでしょうか.もちろんサボテンの花にも蜜線があり,ミツバチ,夜蛾,コウモリなどをよんで受粉してもらっています. エリオシケの中でも旧ネオポルの花なに特にありがよく来ます.普段はほとんど花粉が外に出ない花...
朝霧・夕霧は昔からあるマミラリアの普及種で,サボテン趣味を始ると遅かれ早かれ出会うどこにでもあるサボテンです.両者は同じ学名に対応しており,M. microheliaがそれです.どうして朝霧・夕霧という和名ができたんだろうかと思っていました.夕霧は黄花で,朝霧は赤花です.子供の頃,この区別を「朝焼けは赤い」と言って覚えていました.このネーミングの経緯は以下のような記述があります. 『昭和30年ごろ,賀来得四郎...
頭の部分だけ見ているとエスコバリアか?と思えるような刺です.これはMammillaria pottsii v. multicaulis SB1062.故郷はデュランゴ州 トレオンの郊外Lerd付近です.ポトシの1タイプに大和錦という和名が与えられています. ポトシはこのような小さくやや半開きの赤い花が特徴です.花型はミクロへリアなどに似ています.いくつかの個体を見てみましたが,あまり個体変異は認められませんでした. このmulticaulisという...
バラ丸は実生が難しいサボテンではありません.でも成長が決して早くなく,いつまで経っても小さいままです.でもそれは彼らにとっては普通の成長過程をとっているだけ,もともとごく小型種なのです.先月記事にしたように接木をすると結構なサイズに育ち,全く違った姿を見せますが,本来は小さなサボテンなのです.年明けごろに小さな蕾を発見すると嬉しくなります.1円玉にも満たない小さなものでも花を咲かせるのです. こ...
先月2月のハウスを彩ったツルビニたち.備忘録のような感じで載せておきます.彼らは決まった開花期があるというより,機嫌さえ良ければいつでも咲いている感があるのは,彼らの長い開花期間によるものでしょう. 長城丸(T. pseudomacrochele ),今ウチにいるツルビニの中では最も大きく綺麗な花をつけます.昨年蒔いた実生もしっかり育ってきているので,楽しみにしています. パストリザとして種子をもらったものですが,...
今年も魅惑の花,舞星が咲く時期になりました.ボクはこの花が大好きです,でも決して栽培容易というマミではなく,大きくなると気難しく調子を崩しがち.そこで実生苗を禁断のキリンに乗せた株をいくつか作ってみています.キリンの根であれば,そうした気難しさは無くなるのではないかと期待しています.特段大きくなることは求めていません,ただただ丈夫でいてくれたら良いのです.以下の写真はキリン根の株ですが今の所いい...
ザラゴザエがたくさん咲いています.Gymnocactus subterraneus var. zaragosaeは、ツルビニカルプスに編入されるも,再び分離独立,Rapicactus zaragosaeという学名をいただいています. 最初にウチに来たザラゴザエは,このようなピンクの花とややアンバー色の花を咲かせました. すぐに交配して種子を採り,増やし始めました.最初にキリンに乗せたものはもう咲いています.花色は両親の中間型です.数がないのでバリエーシ...
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先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはMammillaria glochidiata var. xiloensis ML45です.故郷はメキシコ イルダゴ州AlmolónとGiloの間付近とのことです. 肌色が黄緑に近くカギ刺の色が黄色なので,全体としてボヤッとした印象です.小型のマミで,花は大変小さく覗き込まないとよく分かりません.草姿とともに大変地味ですね. このグロチディアータM. crinita のシノニムという見方もありますが,KewはM. glochidiataを認めています.佐藤さんの事典に...
ヤヨイアーナという種小名をみて弥生を連想するのはボクだけではないはずです.しかも女性の弥生さんを勝手に連想するのは行き過ぎでしょうか.紅傘丸なんて色気のない名前は好きになれません.Lobivia jajoianaはのど黒系ロビの代表選手,この春にL. jajoiana var. glauca WR218の花が咲いたことを報告しました.その後もいくつか連続して花を咲かせてくれましたが,今はすっかり成長の方に力が入っているようです. そんな中...
これはMesaから入れたMammillaria meridiorosei RAR34です.故郷はアリゾナ州Madera Canyon,このFNは検索サイトでヒットしないのですが,Mesaのカタログでは使っています.かなりの大輪で,ピンクの細弁がスッキリ伸びてとてもよく目立ちます. 横から見ると長いカギ刺を持っていることが分かります.側刺は白いので全体として優しい雰囲気でもあります. このメリディオロゼイはM wrightii subsp. wilcoxiiとされたり, Kewは...
春に咲いたマミラリアの実が見えるようになりました.少し繁殖しておこうと思ったものは積極的に手交配しますが,そんな意図とは関わりなく生まれた果実は眺めるだけに留めます. アルビコマは果実の様子を確かめたくてきちんと手交配をしました.記載では果実は赤いとされていたのですが,本当にそうだっけ?と不安になり,実際に見てみたかったのです.なるほど赤い果実でした.アルビコマはダラダラとずっと先続けるので,こ...
6月中旬には梅雨がどこかに行ったような日が続き,その後やっぱり梅雨だったのねと言った天気に戻りました.そして昨日,異例の速さで梅雨明け宣言.そんな天気の気まぐれに左右されず,夏マミたちが始動しました.全体としてマミたちの成長がひと段落して花も少なくなるこの時期にしっかりと主張してくる彼らの花を見るとおおっと思います. まずは舞衣ことライティーくん,小さいながらも立派な花をグンと広げています.仲間...
曇天の日は黄色い花を観賞するのに良い日です.黄色い花がとても綺麗に見えるとともに写真に撮ってもあまり違和感を感じない黄色に写ります.まずはロビビア(エキノプシス)オーレア(Echinopsis aurea var. quinesensis WR112).これまでなんとか咲いてくれましたが,やはり曇りの日が良いですよね. 次は旧トリコテレ金星(Mammillaria longimamma).子供の頃から馴染みのサボテンですが,今ウチにいるのはごく幼い株です...
昨日アストロの接降ろしを話題にしたのですが,コピはどうやってんの?って聞かれたので,ご紹介しておきます.コピは基本キリンで育成するので,キリンの降ろし方そのものです.残すキリンの茎の長さは3cmほど.決して長くしません. カットした後は乾かすことなく6cmポリポットに普通の用土を入れてそこに挿して,最初の1−2週間ほどは新聞紙をかけておきます.用土が乾かないように水はきちんとやります.高温期なので腐る...
梅雨の中頃,季節のお仕事がやって来ます.いわゆる接降ろしです.柱類もキリンもこの高温の時期に一斉に接降ろしすることにしています.なぜこの時期なのかって聞かれるのですが,第一には作業の都合上そうなっているだけですが,高温期は勝負が早いというのも理由の一つです. アストロは基本もぎ取りで,台木を付けずに降ろします.もぎ取った面に台木の維管束が残っている時は彫刻刀などできれいに取り除きます.1週間ほど...
あるサボテンに人気が出る,これは末端の趣味家にとってみると実に不思議な現象です.誰もが知ってはいるが,決してメジャーではなかったコピアポアが注目され始め,黒王丸,孤竜丸そして栗星玉(Copiapoa griseoviolacea)へと広がりました.サボテンを始めたばっかりの方からグリセオはありませんか?と聞かれ,何でそんなもんが欲しいの?と驚きました.それじゃ種子を蒔こうかと思っていたら,友人から実生苗をいただきまし...
しばしば花を着けたサボテンが人の顔に見える事はいろんなサボテンの項で書いて来ました.あるところでサボテン話をした時に「Human-face cactus」としていろんな写真を見ていただいたのですが,面白いと喜んでいただきました.ヒトの脳にある顔認識機能は共通するようで,誰かからこれは顔に見える!と言われた瞬間に本当に顔に見えてくるのです.実に面白いことですね. さて,この春から撮った「顔」の写真を見ていただくこ...
鬱陶しい天気が続きましたが,気温はそれなりにあるので,プシスの仲間は,色々と蕾を上げて来ます.レウカンサ(Echinopsis leucantha HUN409)が,まるでカタツムリのように2本の蕾をあげていました. お天気が不安定でいつ咲くのか気をもみましたが,なんとか無事開花しました.すっかりカタツムリの面影はなく,シャキッと目を見開く様は,何か別の生き物の顔のようでもあります. 梅雨時に花の写真を撮ろうと待ち構えてい...
月影丸には古くから綴化が知られています.ウチにいる綴化株はすでに古参の仲間入りをするほど古株で,これまで素晴らしい開花を見せてくれたり,死にかけたりしましたが,今もなんとか生きています.その株と普通の月影丸を交配して得られた種子を何度か蒔いてみました.出てきた苗の大半は,こんな感じのごく普通の株です.大きくなってから綴れ出すのが理想です.なので我慢して待っていましたが,なかなかそんな風にはなりま...
ウチには大してギムノはいませんが,梅雨時にハウスで何かしらが咲いているとすればギムノだったりします. このホルスティは,2012年に鶴仙園さんで手にしたものです.当時はまだ駒込の本店が自由に入れた時代でした.時を経てそれなりに大きくなったのですが,肌もやや汚れ歳をとった風体になりました.でも相変わらず大きな花をポツポツと咲かせます. 次は子供の頃から馴染みのバッテリー.最近やたら強刺のバッテリーが出...
曇天の日は,黄色の花の写真を撮るのに最適な日です.明る過ぎる光条件ではカメラに収まった黄色の花は,人の見た目を大きく異なる色に写ります.後で画質調整はできるのですが,なにもする必要のない曇天での撮影がやはり最高です. このマグドガリーは随分前から居るのですが,上に伸びることもなく扁平な群生株に仕上がりつつあります.一昨年から交配相手ができ,開花時期がなかなか合わない中でもなんとか種子を得られるよ...
曇り空が続く中,ハウスのマミ棚では小さくもとても目につく緑の花が健気に咲いていました.M.heidiae L1154です.3年前にまだ本当に小さな株だった姿を紹介しています.あれから2回りほど大きくなり,元気に過ごしています. この黄色とも緑ともつかない花は,晴天下より曇天のもとで見た方が,幾分蛍光色のようにも見えて綺麗です.また写真を撮る際も晴天日より明るい曇天日の方が黄色の発色が良くなります. このヘイディ...
鬱陶しい天気が続く中で,風蓮丸(M.fraileana = Cochemiea fraileana)など夏マミが咲き始めています.この個体はREP580で,カリフォルニア半島の先端ラパス付近が故郷です.毎年比較的早い時期から咲いてくるのですが,ウチに古くからいる国内実生の個体は完全に夏咲きです.開花特性においてかなりの系統間差があるようですね. バハ付近に分布するマミはいずれも先端が長く割れた特徴的な雌しべを持ちます.これを覗き込ん...
この時期フェロたちが花をあげて来ます.特に緑花とも言える黄花のフェロはとても目につきます.この紅裳竜は2011年サボテン趣味を再開した直後に西沢サボテン園さんから通販で手に入れたものです.小さな株でしたが,時間の経過とともに大きくなりました.でも小型のフェロなので場所を取ることもなく,それなりの刺ものらしい姿になり,花も咲かせるので良い種だと思います. もう一つは偉壮玉.これもまた2011年にヤフオクで...
紅葉ヘキランを初めてご覧になった方は,たいていその派手な色合いに驚かれます.そしてこれが初夏になると色を失い緑のヘキランに戻るというとなお驚かれます.ただ,どうしてそうなるのかという原理についてはちゃんとした説明がなされていません.そして成長するに従い紅葉が現れにくくなるものが多いことも面白いことです. さて昨年接木した紅葉亀甲ヘキランの3月の様子はこんなでした.他ものも綺麗に紅葉しています. ...
これは御旗です.いつものようにこの時期に花を上げてきました.ふと見ると小さい方の蕾が何か変です. まるで体の中から突き出ているかのように見えます.下から覗いてみるとまさに表皮を突き破って蕾が出てきているようです.これはどうしたことでしょうか. 花は最初こそ楕円形でしたが,花弁は正常に開き,特に形態的異常は見られません. 花が終わり,花ガラをとって改めて観察してみました.取り出した花ガラは普通の花...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...
梅雨の最中,ウチにいくつか居る神竜太平の一つが開花しました.実に綺麗な花です.神竜×太平は,用いた太平のタイプが異なるためでしょうか,それぞれ花の様相が少しずつ違うのが楽しいですね. この株は神竜×翠平と言うことで入手したものですが,ただどんな翠平なのかの情報はありません.しかし,神竜×太平は大概このような形態のサボテンになります.肌は燻んだ緑で,稜の数は多く,刺は太平と神竜の中間型ですが,大抵は...
この3月にカクタスクラブのツアーでお邪魔しましたので,それほど間が空いたわけでもありません.ただボクの気分は随分久しぶりのような感じがしていました.ハウスの入り口には多肉の寄せ植え、こんな寄せ植え置いてあったっけ?と見つめてしまいました. ようやく梅雨入りした三河地方,曇りがちなのでハウスも過ごしやすい温度でした。遮光のない強刺類のハウスでは,フェロの大株たちが気持ちよさそうに過ごしていまし...
前年に採種したパキポジウムの種子は,いつも気温が上がる6月以降に播種しています.パキポの芽生えが揃った様子はなかなか可愛いものです.この段階では全く普通の双子葉類の芽生えですが,この後下胚軸が肥大して,あのパキポになってゆくのですから面白いことです. 今年はプラグトレー育苗にも挑戦してみました.箱蒔きに比べて生育はどうか,植え替えが楽になるかどうか見ておきたいと思います. 今年の3月に交配したパキ...
いよいよ関東も梅雨入りしたようですね.何事も東京中心のこの国では,お天気の話でも東京の暑さや風雨,そして雪に至っては国の一大事のようにテレビで盛んに伝えられます.梅雨入り直前の西武屋上を覗いてみました. しばらくぶりの西武屋上です.あの騒動以降,屋上のベンダーさんの多くが店を閉めてしまい,かつての賑わいはありません.でも嬉しいことに鶴仙園さんは現在です. いつもながら,幅広い品揃えはビギナーから...
3年前にフレーム1号を作り,ウチに居るほとんどのテフロをその中に移しました.最初は少し焼けたのですが,だんだん慣れたのか今はごく普通に過ごしています.ここに置くことで長らく咲いたことのなかった白狐が咲いたことを以前に記事にしました. 今年もいくつかのTephrocactus articulatusたちが花を咲かせたり,気まぐれに新しい茎節を伸ばしたりしています.アルティクラータスたちは,刺の有無を始め, 刺の形も実に様々...
全国的にようやく梅雨に入ったのかと思われる天気になっています.先日,梅雨の中休みを狙って,ハウスに遮熱遮光資材ふあふわを掛け,夏の備えも完了しました.ハウスは陽が射すと40℃に迫る状態ですが,サボテンたちもだんだん慣れてきています.幸い今のところ最低気温は20℃以下まで下がるので,まだ暑さはあまり心配する必要はない状態です. ハウスでは夏マミが咲き始めており,朝のうちにハウスに入る楽しみを作り出してく...
Frailea buenekeri var. densispina の花が綺麗だという記事を書いたのはもう3年も前です.当時3株あったのですが,だんだんと調子を崩して今は一株になっています.株自体はそれほど大きくはなっていませんが,以前と変わらない綺麗な花です.フライレアの仲間は花を開かずに種子を残す性質があり,花が咲かずに種子ができてしまうことがあります.このデンシスピナは比較的よく咲いてくれます.今ウチのフライレア達の多くは少...
昨年秋にFNの着いたグラウカム(Acanthocalycium glaucum=Echinopsis glaucina)種子由来の初花を記事にしました.春になり幾つもの個体が花を着けました.それぞれ特徴があることが分かりましたので,記録しておきます. 最初はFR970,爽やかなレモンイエローの花です.アカントカリキウムは大体球体の側面のアレオレに花芽が着き,花筒は短いのが特徴です.FR970の故郷は,アルゼンチンCatamarca州North of Belenです. グラ...
早春に咲いたマミたちが赤い果実をあげています.中には花よりもこっちの方が観賞価値があるんじゃないかと思われるものもあります.花と実,2回楽しめるのは嬉しいですね. 景清(M.sempervivi).この時期白い綿毛に赤い身が突然生えてきてしばらくこの姿を楽しめます. 小型のマミ,コロンビアナ(M. columbiana)です.花時もやや地味な彼らですが,赤い実を着けた今が一番の見頃なのかもしれません. 小型のタイプのグラ...
この偉壮玉は,〇〇偉壮玉と岡山のO氏の名を冠につけたものとして随分前に入手しました.長い間ゆっくりと成長していましたが,ここ数年で急に大きくなってきています. 偉壮玉にはFerocactus acanthodes var. rostiiという学名が使われ,鯱頭の変種とされていましたが,現在ではF.cylindraceusの1タイプとされています.花を見ると確かに鯱頭と同じなのだなと思えてきます.鯱頭といえば,赤やオレンジのうねる刺が特徴ですが...
この紅裳竜は2011年に西沢さんのところからきたウチに居る古参のフェロです.毎年元気成長して花も咲かせていますが,株の下側がだんだん萎縮するのか,この十数年で大してサイズは伸びていませんが,すっかり大人顔.これはある意味フェロの理想形です. この紅裳竜はFerocactus viridescens subsp. littoralisすなわち竜眼の変種とされます.littoralisとは海岸に生えるという意味で,バハカリフォルニア北部の西海岸が主な生...
サボテンの花に赤や黄色があるのは,花弁の中にベタシアニン系の色素があるためです.生体内で前駆物質から様々な酵素により修飾され最終的に色のついた物質になります.その過程で何らかの突然変異が起こる,多くの場合はある酵素の機能が欠損すると色がつかない花,すなわち白花になります. これは太陽の白花変異品種.太陽の特徴である赤紫の雌しべも色が抜けて緑になり,大変印象的な白花になります. 次は白花テレサエ....
テレサエ(Mammillaria theresae)は,軟質マミの代表選手.水を吸うとぐっと伸び,成長が止まると思いっきり縮みます.なんといってもその刺の奇妙な形態と柔らかさが彼らの最大の特徴でしょうか.あるサイトでテレサエの刺はクラゲのようだと書いてありました.なるほどクラゲねーと眺めて感心しました. まずは咲き始めの写真.花は柔らかな雰囲気で,開いてまもない時間に最も色が濃く,二日目になるとより柔らかな色合いに...