逃す必要そうな顔で迫ってきた情報を逃す撮らねばならぬと思っていた瞬間を逃す言葉にしなきゃと思っていた心を逃す鳥かごを開き未知の空に逃す釣り針を外し実感の海に
月明かりをほのかに感じつつ爪を切るすいたお腹に言い聞かせるように歯を磨く明日の予定を頭で箇条書きしながら肌を愛でて午前6時の自分に目覚ましを仕掛けて完成やっと…
僕の知らない悲しみにはみ出そうとする蔦へ憂う僕より先に雲は水をやってしまう僕の知らない未来に絡まろうとする蔦へ戸惑う僕より先に陽は光で導いてしまう蔦は伸びる僕…
誰もが去りゆく街であなたは奏で続けた誰もが忘れた風景とあなたは暮らし続けた巡る季節を見つめている時が止まったかのようなこの場所でもう語られることもない者たちへ…
何も知らないで僕らは扉を開ける何も知らないことを鍵にしてその先にあるものに僕らは開かれてしまう心の奥底にある禁断の箱を美しい音が意味に聞こえる輝く景色が情報に…
宇宙私の声が響かない宇宙あなたの声だけが聞こえる宇宙届かなくても私はあなたに語りかける私が私であり続けられるように祈るように見下ろした地球がどんなに美しかろう…
さっきまで泣いていた水滴が微笑み出す 仕舞い込まれていた花々が軒先で輝き出す空は静けさで虹を迎える活気づく街の上虹はそっとそこに
にわか雨の乾かぬうちに夜 虫の声が耳に点滅する 筆を止め伸ばす背 満月孤独が心地よい
どこへ消えた熟さないうちに持ち去られてしまった心の果実は 問いかける前に差し出された答えあなたが望むものはおそらくこれです 言葉たちはもう待たない鈍くさい心な…
放たれる鳥収まる鳥溢れ出す緑隠し合う緑 美しい花が咲く誰の目にも触れずに美味しい実がなる誰の口にも入らずに 何本切り倒そうと触れられはしない捉えようとするほど…
追い詰めても問い詰めても見えない私 二重線でも修正液でも消せない私 暗闇まで伝えようとする欲張りな心で 光まで飾ろうとする空っぽの心で
木々から剥がれ落ちてゆく蝉たち始業式へと向かう子どもたち涼しい風に急かされて夏じまい 窓際から消えた風鈴の音夜どこからか点りだす鈴虫の音耳の中で季節は移り行く…
500mlのペットボトルからあっという間になくなる水とそれでも乾く喉とたぷついたお腹と 扇風機のない路地でかよわい風を何度も頬に手招きしてる 蝉の声が耳に焦げ…
いっそ忘れてしまおうくだらない真相など今日は眠ってしまおう明日に戻って同じ謎解きを楽しめばいいヒントをあげよう明日の自分に今日よりも素敵な真相にたどり着くよう…
解けかけの魔法が時を溶かしはじめる借り物の翼が背中から剥がれようとしている待ってせっかく描いた未来が幻になるなんて許せない待って理想ばかりが美しい世界に私はき…
大人ぶって過ごした日々は無惨に砕け散り初めての恋の前で赤子のように泣きじゃくる求めるままの体赴くままの心触れても残る虚しさが露にする命の姿恋に落ちて恋に溺れ浮…
誰にも俯瞰できない空に重たい雲が広がっていく地面に吸い込まれていくように雨が急いで窓を通り過ぎる部屋の中にいる濡れるのが嫌な訳じゃない動き出せない旅人たちも思…
君の肌のない日々が過ぎ花の香りのない春が過ぎぼんやりと画面を見つめるばかりで時は流れ今日のシャツに吹き抜けるのは少しぬるくてたるんだ風僕らは引き離されることで…
まだ見つけられない「死にたい」という強い言葉で覆われたとても小さくて情けない願いをまだ見つけられない「死にたい」という乱暴な言葉にさらわれたとても切実でみっと…
僕の見てないところで桜が咲いていて僕の見てないところで地球がなおも青いということ暗闇にこの街が包まれる夜もどこかの街に陽が差していてそれは寂しくもありただ一つ…
そんなに隠さなくても誰も探そうとはしやしないこの感覚はおそらく一生言葉になりはしない越えられるものではないからただ待ってる冷たい空に締め付けられてだんだんと麻…
よく練って叫ばなくちゃ悲鳴も聞いてもらえない高い代償を払わなきゃ同情も買ってもらえない作為的でないようにだけど戦略的に心に残るように重くなりすぎないように足し…
舞い上がっていた時に君の冷たい言葉の一刺し 落ち込んでいた時に君の軽い冗談の一押し 操られているように浮き沈みしたあの頃 僕はまだ求めているのか君のまなざしを…
十一月の空はきっと覚えていないだろう 燃えさかる太陽を抱いていたこと叫び終えた蝉を羽ばたかせたこと 十一月の空はきっと覚えていないだろう 騒がしい台風を連れて…
切り替わらない場面何だか乗らない気分停滞する前線予報では明日も降るらしい 突然の豪雨に慌てて買ったビニール傘馴染めずも使い続ける行き当たりばったりの性 乾く間…
雨の午後感傷が掻き集める取るに足らない出来事の数々 窓の外打たれる土の音香り立つ木の葉 戻れない時間が戻ってきた少しの狂おしさを乗せて あの温もりに近づけばあ…
眩しい光が闇に溶けて夜全体を柔らかく包む 掴み損ねたと思っていたものすら幻だったのだと知る霧の中で 寄り添うように水は触れ花々たちは密やかに潤う 絶え間ない流…
部屋に横たわる無意識が掴んでしまった こんな真夜中に迷惑でしかないほんとうの気持ち 遅すぎたくせに急かそうとするほんとうの気持ち どうせ朝が来れば収まりの良い…
寂しさにもたれかかっていた無力さに身を任せて沈んでいたかった 悲しみと無意識の間を行ったり来たり生きているのか死んでいるのか分からないくらい逆らえない眠気 い…
吹かずともやがては散る花なのに 風は吹き届けられる虚ろな瞳にも 去り行く姿さえ咲いているような乱舞 その儚さは心には永遠の爪痕
今が全てだったから未来なんて本当に来ると思わなかったから 舞い上がり息詰まり移り気激しい一瞬一瞬を抱きしめるよりほかはなかった 僕は生きていくだろう過去の自分…
冷たい廊下を温もらせる差し込む光が誘いかける逃げ込んだ部屋から出ていこうとする足 泣きじゃくるほど欲しがっていた自由を前に再び溢れそうになるこの感情は何? 心…
春になればきっと分かる縮こまった体が守ろうとしていたものが 春になればきっと分かる凍り付いた土が隠し持っていた芽が 春になればきっと分かる風に揺れる枝のこぼし…
救いを求めて祈るように取りつかれたように眠るそんな時が必要で 生活必需品でもないおやつを一つ買うことで満たされていく帰り道 長年連れ添った骨よりも後から付いて…
透明よりも透き通った空の青 淀みは解かれ葉のない木々に開かれて 見えない明日まで見えてきそうな素肌の午後 淡い日差しが浮かび上がらせるくっきりとした雪山 寒空…
入り組んだ街だからただ単純に濡れていたくて誰も近寄れないくらいびしゃびしゃに濡れていたくて春の気配を打ち消すような重たい雨に 半端な憂鬱が別の何かに変わるまで…
「分かってるよ」と言いたくなる北風がその存在を窓越しに知らせてくる 布団を一枚重ねて寝る閉ざしても冷たさはどこからか上り込んでくる 時計の針が0時に近づく責め…
登り切った坂を振り返ってみた延々と続く緑の並木上り坂の始まりはもう遠い過去のよう 下り坂を見下ろしてみた色違いの屋根の間から街の営みが見える吸い込まれたくなる…
もう戻らないと思っていた苦い思い出の街を行くついでだからと自分に言い聞かせて 道の途中で幾度も見かける自分の心の残像無視してもまた横切ってもまた なんとなく選…
空に忍び込んだ風がそそのかす眠りについたはずの雪が息を吹き返す 沈黙の額縁を一瞬で砕いて解き放たれたように空を飛ぶ 命ある者には死の景色でも景色にとっては待ち…
失くしたように振る舞っていた初めからなかった翼を 汚れ過ぎて映らなくなった鏡を見つめるまぎれもない私 とっさに誰かを傷つけてしまう自分に向けて握りしめた刃なの…
アラームの音で途切れるいびき連れ出されたのは極寒の朝どうしてこんなことに目覚めたら冬だなんて 迫りくるタイムリミットに毛布にて応戦敗北して起き上がるまでが一連…
転がる地球の上で立ち止まることを愛してさざなみの前にうずくまる棒になる 鳥は地面から離れ空から地球に近づく僕は水面を前にして見えない地球に張り付く 仕方なかっ…
荷物を持たずに家を出て最終列車に乗り込んで引き返せない心臓の鼓動と旅立ちたい 見えない夜に外に出て知らない場所まで歩いてどんな朝の風景が広がるのか楽しみに待ち…
隠したんだいつか失くすために物置きのタンスの裏に禁じられた感情を 捨てるには痛すぎてここに置いておくんだ持っておくには熱すぎるから冷めてゆくのを待つんだ この…
そよげなくて人々は怯むばかり 鋭い風に見つけられた寒がりな肌 かすめとられた温もりは過去へと移ろう 行き場のない震えに立ち止まる塵舞う中で
外に出ると薄らいだ街の境目午後四時過ぎの空がもう暮れる気でいる 止め時だろうかやりかけの用事にまだ余力ある背中に西陽が差す 焦っている間に呆れている間に太陽は…
歩き出したい外の光を浴びて浮足立った気持ちを全身にまとわせて 靴音を奏でたい足跡を残すより景色を感じたい意識に囚われるより ゆるやかな時と吐息をともにして流れ…
しんとしていようか言葉どころか体も発さないで ぼうっとしていようか画面や見出しに心を傾けず ちいさなスペースで一日を広く使ってみようか なにもしないで散らかし…
今年が終わる未練はあるが異存は特にない 株価が止まる普段より長く店舗が閉まる普段より早く ネオンが消える灯がともる老人の家に孫らが来る 数が減る大勢の観衆の指…
抱きしめられた感触が遠ざかっていく 拒んだはずの言葉に締め付けられる 顔を上げた先には過ぎ去りし季節を覆う雪景色 凍てついた昨日に放り出されたままの胸
ずっと 見とれていよう見とれるだけで満たされてゆくから 昼のおぼろげな光と夜のあからさまな光と 心 奪われていよう奪われることで満たされてゆくから 厳しくも大…
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