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  • 告白五ノ五の10年後の出来事

     田舎の細いバス通り沿いに建つ数軒の家の間を曲がる。 「婦長は実家で痴呆の父親を介護しながら暮らしている」とそう聞いて来た。緩やかに段々になった田んぼの中の一…

  • 滝つぼに落ちた黒い石の黒い告白 五ノ五

      院長が学の手を取って自分の手に包みながら、ぼんやりそれを見つめ、「痛かったろう」とつぶやいた。 学のガーゼで押さえられた左目から血の混ざった涙が頬を伝って…

  • 滝つぼに落ちた黒い石の黒い告白 五ノ四

      幼い学は私を信頼し切っていて私の言葉を疑わなかった。 「何でも出来るようにならなくっちゃね」と私は機嫌よく言って、食器洗いや洗濯物の干し方を教える。 学は…

  • 滝つぼに落ちた黒い石の黒い告白 五ノ三

       伯父である院長が学を養子にすることになったが、学は院長夫婦に懐かなかった。 それもそのはず、私は前々から学に院長だけでなく院長妻の悪口を吹き込んでいたの…

  • 滝つぼに落ちた黒い石の黒い告白 五ノ二

      妊娠を告げた途端逃げ出した男に、彼女は未練の切れ端も見せなかった。 彼女が「学」を身篭った当時、寮にはたくさんの独身看護婦が住んでいて、身寄りのない彼女の…

  • 滝つぼに落ちた黒い石の黒い告白 五ノ一

       私は何十年かぶりに実家のある村に戻って来たが、田舎に引っ込んだからと言って反省していると思わないでほしい。 たとえ加害者の私の出番は終わりでも、私が付け…

  • ブログ再開のご挨拶

     お久しぶりです。又は、はじめまして。 当ブログのブランクは長すぎの約10年間。 その間、リアル生活には色々ありましたが、妄想物語を書くことからはすっかり離れ…

  • 7 <義父>

    ほとんど廃業と同然の病院に併設された廃屋のような寮の一室に、一人住まいしている高校生がいる。学の母は病院の看護婦をしていが、付き合っていた院長の弟に逃げるよ…

  • 6 <踏み出す一歩>

      学の母には、頼る親族と言う物がなかった。 母は苦労して看護婦になったが、誰を恨む事もうらやむこともなかった。 思い出の中の母は、ただ実直に日々の仕事をこな…

  • 5 <囚われ者の安穏>

    そんな学がなくした物は、日常の臨場感だ。学は、日々をとりえず難もなく過ごしているが、心がその場にいることがない。蚊帳の外で傍観しているような態度で、頑なさを…

  • 4 <クール>

      頬に熱いような小さな痛みを感じると、学は惨めな気持ちになり、そしてまた、思い出す度に古傷は熱くなる。 「そんな目で見ないでよね。」 そう言った婦長の言葉と…

  • 3 <静かな時間>

       高校生になってからの学は、傷のある左頬を隠して髪を伸ばし、いつも無表情である。 学は、自分が何かを成し遂げる人間だとは思えなかったし何にも夢を持てない無…

  • 2 <熱い頬>

    「そんな目でみないでよね。」そう言われた小学生の僕は、いったいどんな目をしていたのだろう。これまで学は、婦長と過ごした数ヶ月のことをあまり思い出さなかった。…

  • 1 <かわいそうな子>

    学は、自分が色々と噂されていることは知っていた。「小学生の頃から、なんでも自分でやっていて偉い」とか、「義父の屋敷にクリスマスでや誕生日でさえ入れてもらえな…

  • 凍りついた時間の中で7-7 とけない呪縛

    7 とけない呪縛 辛いのは、冬のこんな日なの。  北海道の山奥、湖畔の町へ一人で旅行に行った私は 偶然入った居酒屋で、女将の身の上話を聞くはめになった。二年前…

  • 凍りついた時間の中で7-6 息子の行方

    6 息子の行方 その時の私は、一人でふらりと入った凍りつく湖畔の居酒屋で 女将の身の上話を聞きながらなんだか妙な事に気付き始めていた。女将は初め、高校生の子供…

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北海道の空へ
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