ほとんど廃業と同然の病院に併設された廃屋のような寮の一室に、一人住まいしている高校生がいる。学の母は病院の看護婦をしていが、付き合っていた院長の弟に逃げるよ…
学の母には、頼る親族と言う物がなかった。 母は苦労して看護婦になったが、誰を恨む事もうらやむこともなかった。 思い出の中の母は、ただ実直に日々の仕事をこな…
そんな学がなくした物は、日常の臨場感だ。学は、日々をとりえず難もなく過ごしているが、心がその場にいることがない。蚊帳の外で傍観しているような態度で、頑なさを…
頬に熱いような小さな痛みを感じると、学は惨めな気持ちになり、そしてまた、思い出す度に古傷は熱くなる。 「そんな目で見ないでよね。」 そう言った婦長の言葉と…
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