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白い花の唄 https://blog.goo.ne.jp/aquamarine_2007

銀河連邦だのワームホールだののある遠未来の宇宙時代。辺境の惑星イドラで生きる人々の物語。

オリジナルSF小説『神隠しの惑星』第一部です。

karicobo
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2009/08/10

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  • 星の幽霊 その4

    結局俺はそれから3日寝込んでしまった。次の日に熱が出て、フィルが病院に連れて行ってくれたが、それも夢うつつでよく覚えていない。肩と両膝のケガを治療する時、フィルは写真を撮っていたらしい。病院でそれを見せたら学校に知らせが行って大騒ぎになってたそうだが、それも知らない。目を覚ます度に、違う顔が俺をのぞき込んでいた。フィルや大家さん。担任の先生も来た。翌日の夕方には出張から帰って来た母が、枕元で泣いていた。何か母が安心するようなことを言いたかったけど、熱のせいかうまく言葉が出て来なかった。母が仕事を休めないので、結局俺はそのままフィルの家で療養することになった。フィルとサクヤは父方の曾祖母が南米で身を寄せていた村から来たことになってて、驚いた。母に信用させる方便じゃないのか。でもこのうちで父の夢を見た。父と曾祖母が...星の幽霊その4

  • 星の幽霊 その3

    トラがもぞもぞするので目が覚めた。布団から出してやると、首輪の鈴をチリチリ言わせて耳の後ろをかき始めた。寝る前に、トラが帰りたがって縁側で鳴いたらガラス戸を開けてやって、とフィルから言われていた。トラの本宅には猫用扉があって夜中でも出入り自由らしい。「帰る?それともイリコ食べる?」塩抜きした猫用イリコの場所も聞いていた。しかしトラは縁側には目もくれず、自分専用の皿も素通りして、居間の出口で思い切り伸びをすると階段の方に歩き出した。トイレかな。階段の下に猫トイレが作ってある。だがトラはトイレも素通りして階段の一段めに足をかけると、ついて来た俺を振り返った。そこで初めて気がついた。二階から音と光が漏れてくる。ガラスの風鈴のような、水の中のラムネ瓶のようなチリンチリンと涼しい音。幻灯のように光が動いている。トラはさら...星の幽霊その3

  • 星の幽霊 その2

    親切なお化けが貸してくれたTシャツとスパッツは、サイズは合わないものの清潔だった。バスタオルもいい匂いがする。水分摂れ、と麦茶のコップを渡されて、言われるまま飲んだ。髪乾かせ、とドライヤーも渡された。金色の目のお化けは人の世話に慣れてる感じだ。「俺はフィル。お前は?」「照です。天宮照」「それでてるてるボーズか。でも別にハゲてないよな?なんでイジメられてんだ?」フィルは慣れた手付きで肩と両膝の傷にワセリンを塗って、ラップを貼り付けると手際よく包帯を巻いた。「知らない」ホントにわからなかった。ある日、突然始まったのだ。お前、父ちゃんいないからこんなの見たことないだろう、とエロ本を見せられた。やたら恩着せがましく言うので、"こんなのバカが見るもんだ"とか何とか言って席を立った記憶がある。それからだ。「まあ、いいや。お...星の幽霊その2

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