『サンショウウオの四十九日』朝比奈秋(新潮社) 病気の主人公の小説というのは、昔からけっこうあるといえばありますよね。よく考えたら、多分いくつも挙がってくるように思います。 その病気も、身体のものと
「純文学」読み始めはや数十年。病膏肓に入る状態。でも、「純文学」以外が嫌いなわけではないんですがね。
補助テキストは高校の日本文学史教科書です。ブック○フで105円で買いました。 明治以降の小説作品を、ランダムに、かつブルドーザー的に読むというのが、コンセプトです。 ただし条件。 1・コンセプトはあくまでコンセプトである。 2・所詮シロートですけん、許してつかーさい。 以上
『カンガルー・ノート』安部公房(新潮文庫) 本文庫の解説をドナルド・キーンが書いていて、おおよそ褒めてありますが、解説文のおしまいあたりにこう書かれています。 『カンガルー・ノート』は文字通り
『土に贖う』河崎秋子(集英社) 友人からの薦めのような形で、本書を読んでみました。 人から薦められるとか読書会の課題図書だとかがないと、なかなか新しい作家の本に手が伸びないのは、なんとなくいかんなあ
『ここはとても速い川』井戸川射子(講談社) 私は本ブログに、去年の2月に本書の読書報告をアップしています。この度また読んだのは、私が参加している読書会の課題図書になったからです。 以前読んだとき
『女のいない男たち』村上春樹(文芸春秋) 何と言いますか、とても便利な世の中になってきまして……と、いきなり何のことだとお思いになられた貴兄、まー、いつものことながら、どうもごめんなさい。 何の
『御社のチャラ男』絲山秋子(講談社) 本書を読み始めて4章めくらいまで行った時、ふとこんなことを思いました。 ……で、チャラ男は、誰なんだろう? そして続けて私が思いついたことは、実に陳腐なが
『橋ものがたり』藤沢周平(新潮文庫) かつてたまーにしか「時代小説」を読んでいなかった時は、わたくしもの知らずだったせいで(もちろん今でも十分もの知らずですが)、時代小説と歴史小説の違いがわかり
『ある男』平野啓一郎(文春文庫) 実は本作を読んだきっかけは、近所の文化ホールの様なところで本作を原作とする映画を上映していて、それを見たからなんですね。 最近私はけっこうたくさん映画を見ていて
『阿弥陀堂だより』南木佳士(文春文庫) 本文庫の解説文を書いているのが、小泉尭史という映画監督の方で、わたくし寡聞にして存じ上げなかったのですが、本書を原作とした映画を撮った監督であります。 映
『「私」をつくる』安藤宏(岩波新書) もう10年以上前になりますか、いろんな本をやたらに乱読していた(それもカルめの本を)のを反省し、心機一転、今後は近現代日本文学を中心に読書しようと、今となっ
『墨東綺譚』永井荷風(新潮文庫) この作品は2度目の読書報告をするのですが、前回同様、最初に一言申し添えます。 「墨」の字が、違うんですね。 本書の最後に「作後贅言」と銘打った筆者のあとがきのよ
『出世と恋愛』斎藤美奈子(講談社新書) 筆者は、筆者紹介によると文芸評論家となっています。 まー、そうでしょうねー。私としても、デビュー作の『妊娠小説』を面白く読んで以来、なかなかフェイヴァレットな
『百年泥』石井遊佳(新潮文庫) 近代日本文学に哄笑できる作品は少ない、というのは、別にわたくしのオリジナルな発言ではありません。多くの方がお考えのことにわたくしも賛同しただけのことであります。 こ
『海』小川洋子(新潮文庫) 知人に薦められて本書をネット経由で手に入れました。私は、同筆者の本は今までに何冊か読んでいます。 それはそんなにたくさんとは言わないまでも、短編集なら、芥川賞受賞作の
『名もなき「声」の物語』高橋源一郎(NHK出版) 本書の奥付の前のページにこう書かれています。 本書は、「NHK100分de名著」において、二〇一五年九月に放送された「太宰治『斜陽』」のテキ
『日本映画史110年』四方田犬彦(集英社新書) わたくしのもうひとつの拙ブログにも同様のことを書いたのですが、10カ月ほど前から、いろんな映画を見るようにしました。 60本くらい見たのですが、も
『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子(講談社) 2022年の夏の芥川賞受賞作です。 女性作家です。 令和元年上半期から同5年上半期までの芥川賞受賞作家をちょっと調べてみたら、全部で12
『俺の自叙伝』大泉黒石(岩波文庫) さて、大泉黒石であります。 って、果たしてどれほどの方がこの名前をご存じでいらっしゃったでしょう。 自慢ではありませんが、もちろんわたくしも全く存じ上げません
『二百十日・野分』夏目漱石(岩波文庫) この文庫の解説の冒頭に、これらの作品がいつ書かれたかが述べられてあります。解説を書いているのは、小宮豊隆です。 それによりますと、明治39年の9月に4日間
『芽むしり仔撃ち』大江健三郎(新潮文庫) 実に、約半世紀ぶりの再読であります。 半世紀も前に読んだ本なんて、何も覚えていなくたってそれは私の記憶力に問題があるとは思いませんが、この度は、なんとな
『街とその不確かな壁』村上春樹(新潮社) さて、村上春樹の不思議な新作長編であります。 不思議なというのは、作品一部(本作品の第一部のところですね)が2回目の書き直し発表、つまり最初の作品から合
『晩年様式集』大江健三郎(講談社) 本書は奥付によると2013年10月に第一刷が発行されています。 一方初出は「群像」誌で、2012年1月号から2013年8月号までの連載です。つまり、2011・
『田紳有楽』藤枝静男(講談社) 少し前、たまに足を向ける神戸の街で、たまたま古本屋があったもので(神戸の街も結構古本屋さんのたくさんある街です)、ぶらりと入ろうとしたら、入口の横、道に面して設置
『いずれ我が身も』色川武大(中公文庫) ひさしぶりにこの筆者のエッセイを読み直しました。 以前は、丸谷才一なんかと並んで、私はかなり熱心にこの作家のエッセイを読んでいたように思いますが、丸谷氏も
『森』野上弥生子(新潮文庫) さて、『森』であります。 そのご高名は以前よりつくづくと伺っておりました。 何のご高名かとは、申すまでもないのかも知れませんが、筆者野上氏の、99才の作であること。数日
『鴎外随筆集』森鴎外(岩波文庫) 久しぶりに古本屋さんを覗いたら本書が目に入りまして、思わず、あれっ? 鴎外って随筆書いてるんや、という、まー、その後すぐ自分でも愚かしい思い違いと分かるような感
『渦――妹背山婦女庭訓 魂結び』大島真寿美(文春文庫) 確か数年前に、この筆者がヴィヴァルディについて書いていた小説を読みました。詳しい内容は忘れてしまったのですが、きちーんとしっかり描いていたような
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『サンショウウオの四十九日』朝比奈秋(新潮社) 病気の主人公の小説というのは、昔からけっこうあるといえばありますよね。よく考えたら、多分いくつも挙がってくるように思います。 その病気も、身体のものと
『アンソーシャル ディスタンス』金原ひとみ(新潮社) 以前何かで読んだんですがね、と、またもや今回も出所不明の無責任文から始まって申し訳ありません。とにかく、そんな話なんですが、安部公房のエピソ
『かわいそうだね?』綿矢りさ(文芸春秋) 前回の続きです。詳しくは前回のところをご覧いただくとして、とりあえず、下記の本の内容を報告いたします。この本です。 『大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の
『かわいそうだね?』綿矢りさ(文芸春秋) まず、タイトルの意味がなんとも分かりません。 というか、もちろん書かれていることは分かるのですが(それは分からないはずはないやろ)、「かわいそうだね」に
『少将滋幹の母』谷崎潤一郎(新潮文庫) 以前から本ブログで何度か同じことを書いたように思いますが、こうして一応日本近代文学限定の読書報告をしていて、好きな作家が3人いますと言い続けています。 今
『水車小屋のネネ』津村記久子(毎日新聞出版) さて、前回の続きです。 前回は、ここで突然本小説のテーマ、と書いたところで終わりました。 では、以下に続けたいと思います。 と、ここで突然、私が考
『水車小屋のネネ』津村記久子(毎日新聞出版) 長編小説であります。 私が読んだ新刊書では482頁もありました。 本作は毎日新聞連載で、2021年7月1日から2022年7月8日までとなっていて、ほ
『蛇にピアス』金原ひとみ(集英社文庫) 先日、住んでいる地域の公民館のようなところで映画会をしていたので見てきました。 上映していたのは、『狂った果実』という日本映画で1956年の作品です。 石
『沖で待つ』絲山秋子(文春文庫) わたくし、このお話は二度目の読書なんですね。 前回読んだ時の読書報告もありまして、ちょっと読み直してみると、基本的にはこの度の私の感想と同じようなことを書いてい
『共に明るい』井戸川射子(講談社) 前回の続きです。 前回で私は、本短編集は、いかにも芥川賞受賞後第一作に相応しい、新しい作家の文体上の実験がたくさんなされていると書き、そのうちの「外堀」の実験
『共に明るい』井戸川射子(講談社) 本書は短編集で、5つのお話が収録されています。 筆者は、2022年に芥川賞を受賞されており、それを挟んで、21年発表の作品が1つ、23年発表の作品が4つとなっ
『海峡の光』辻仁成(新潮文庫) 私はこの文庫本を、古本屋さんで見つけました。筆者については少しは知っていたのですが、裏表紙の文章に、芥川賞受賞作と書いてあって、私は芥川賞受賞作にも少々興味があっ
『さようなら、ギャングたち』高橋源一郎(講談社文芸文庫) 筆者高橋源一郎氏については、私は拙ブログで再三とっても好きな作家と述べています。本書も、単行本が出版されてほぼ直後に買いました。裏表紙に
『しょっぱいドライブ』大道珠貴(文春文庫) 実は我が家の本棚の隅っこに隠れていた(隠れていたってことは、ないでしょうが)文庫本でありました。 手に取ってホコリを拭いて見てみますと、薄っぺらいし、
『間違いだらけの文章教室』高橋源一郎(朝日文庫) さて、高橋源一郎氏であります。 現役の文学者の中で、私がとっても信頼している方のひとりであります。 そんな作家の文章教室を読むのですが、タイトル
『苦役列車』西村賢太(新潮文庫) えー、困った事やねー、と思いながら書き始めました。 それは、まー、何についても同じでしょうが、小説についても(作家についても、と言ってもいいかもしれません)、や
『日の砦』黒井千次(講談社文庫) まず、タイトルが、純文学っぽいではありませんか。 『日の砦』ですよ。何の意味なんでしょうね。雰囲気はいかにもありますが、具体的には何を表しているのかよくわかりま
『ワーカーズ・ダイジェスト』津村記久子(集英社文庫) 「ワーカーズ・ダイジェスト」って、どんな意味なんでしょう? そう思って、少しネットで調べると「ワーカーズ」はともかく、「ダイジェスト」について、
『琉球処分・上下』大城立裕(講談社文庫) タイトルに「琉球処分」とありますが、この語は本小説独自のものではなく、歴史用語であるようです。例えばネットの本屋さんで検索しますと、この単語をタイトルに
『雪の練習生』多和田葉子(新潮文庫) 多和田葉子といえば今は飛ぶ鳥を落とす勢い、というのは、わたくし、自分で書いておきながら何を書いているのかよくわかりません―。どうもごめんなさい。 ガセネタ
『カンガルー・ノート』安部公房(新潮文庫) 本文庫の解説をドナルド・キーンが書いていて、おおよそ褒めてありますが、解説文のおしまいあたりにこう書かれています。 『カンガルー・ノート』は文字通り
『土に贖う』河崎秋子(集英社) 友人からの薦めのような形で、本書を読んでみました。 人から薦められるとか読書会の課題図書だとかがないと、なかなか新しい作家の本に手が伸びないのは、なんとなくいかんなあ
『ここはとても速い川』井戸川射子(講談社) 私は本ブログに、去年の2月に本書の読書報告をアップしています。この度また読んだのは、私が参加している読書会の課題図書になったからです。 以前読んだとき
『女のいない男たち』村上春樹(文芸春秋) 何と言いますか、とても便利な世の中になってきまして……と、いきなり何のことだとお思いになられた貴兄、まー、いつものことながら、どうもごめんなさい。 何の
『御社のチャラ男』絲山秋子(講談社) 本書を読み始めて4章めくらいまで行った時、ふとこんなことを思いました。 ……で、チャラ男は、誰なんだろう? そして続けて私が思いついたことは、実に陳腐なが
『橋ものがたり』藤沢周平(新潮文庫) かつてたまーにしか「時代小説」を読んでいなかった時は、わたくしもの知らずだったせいで(もちろん今でも十分もの知らずですが)、時代小説と歴史小説の違いがわかり
『ある男』平野啓一郎(文春文庫) 実は本作を読んだきっかけは、近所の文化ホールの様なところで本作を原作とする映画を上映していて、それを見たからなんですね。 最近私はけっこうたくさん映画を見ていて
『阿弥陀堂だより』南木佳士(文春文庫) 本文庫の解説文を書いているのが、小泉尭史という映画監督の方で、わたくし寡聞にして存じ上げなかったのですが、本書を原作とした映画を撮った監督であります。 映
『「私」をつくる』安藤宏(岩波新書) もう10年以上前になりますか、いろんな本をやたらに乱読していた(それもカルめの本を)のを反省し、心機一転、今後は近現代日本文学を中心に読書しようと、今となっ
『墨東綺譚』永井荷風(新潮文庫) この作品は2度目の読書報告をするのですが、前回同様、最初に一言申し添えます。 「墨」の字が、違うんですね。 本書の最後に「作後贅言」と銘打った筆者のあとがきのよ
『出世と恋愛』斎藤美奈子(講談社新書) 筆者は、筆者紹介によると文芸評論家となっています。 まー、そうでしょうねー。私としても、デビュー作の『妊娠小説』を面白く読んで以来、なかなかフェイヴァレットな
『百年泥』石井遊佳(新潮文庫) 近代日本文学に哄笑できる作品は少ない、というのは、別にわたくしのオリジナルな発言ではありません。多くの方がお考えのことにわたくしも賛同しただけのことであります。 こ
『海』小川洋子(新潮文庫) 知人に薦められて本書をネット経由で手に入れました。私は、同筆者の本は今までに何冊か読んでいます。 それはそんなにたくさんとは言わないまでも、短編集なら、芥川賞受賞作の