あいつが振れば俺も振る。あいつが振らなければ、勿論俺の方が振るまでだ。棒銀でも穴熊でも左美濃でもミレニアムでも、何だって俺は振ると決めている。鬼殺しでも、筋違い角でも躊躇わない。条件に左右されるようでは本物のアーティストにはなれないし、例外を作る暇があるなら美濃囲いを築きたいと思う。銀冠の小部屋を用意して敵玉を寄せきるビジョンを描いていきたい。俺はこの四間飛車道場できっと成り上がってみせる。雨の日も、嵐の日も、お祭りの日も、マラソンの日も、花火の日も、どんな日も俺は動じない。世間の浮き沈みに惑わされることなく、俺は常にノーマルな四間飛車の姿勢を貫くと決めていた。(四間飛車のない人生に意味などない)きっとあいつだって同じハートを持っているに違いない。約束を2時間過ぎて、あいつはまだ道場に現れない。俺は封じら...振ってこそ命