細い空気が頬を撫でる未知の点へ向かって伸びる街道に朝刊を咥えた灰色のシャッターが連なるタクシーが通り過ぎていった青になりきれない空へ遠くで団地が不機嫌に伸びる信号機は悪戯に点滅を始めたが孤独に屈して騒ぎをやめたタクシーが通り過ぎていったまた
ドアが閉まる鍵を落としたフローリングに逆らって響き渡る金属音玄関と隣り合うキッチンで好き好きの方向を向く食器革靴を脱ぎ捨てる勢いでひっくり返ったのを背中で聞いて振り向かないリビングの電気のスイッチを入れる干し忘れのシャツ出しっ放しの古本形だ
携帯電話を持った右手の指から甲が冷えていく耳の奥にいるあなたにどうしてもさわれない昼間は気づかぬ街灯の下空っぽのタクシーだけが動く品川ナンバーを探す遊びをさえぎってあなたのため息を電波が運ぶ猫背を直さない今は右耳が聞こえればいい「どうして?
自動扉が閉まることりと走り出す電車はまたひとつ街を離れていくホームを滑るように過ぎるときれいにまとめた彼女の髪が窓ガラスに映し出された車内の景色とネオンが交わるグレイのパンツスーツが街を撫でる二本の高いヒールが強まる車両の振動を確かに受け止
モニュメントの傍ら警察でもスタッフでもなく二人や四人が集う夕食後の人々の中にあなたあなた立っている格好の定められた帽子右腕に確かな腕章木々は無数の明かりをまとい高層ビルは図らずも景色となるその中で腕時計を確認し世の中の時刻を知るあなたあなた
町子銀杏の海に浮かんで橙色のマフラー膝にかけたコート小さなサンドウィッチ町子の少し前屈みの胴体と平行に並ぶ左右の細い足無言で包む銀杏いっぽん町子の背から流れる風僕の頬に冷たい風よけて戻れば時計は十三時を回って町子の昼休みまたあした「町子」↑
目蓋が思いのほか軽くひらいた天気予報は音を立てず映像だけを室内に伝える六畳の入り口にあなた身長と同じ高さの鏡の前首元でネクタイを踊らせるテーブルに残る昨日の食器があなたの大きな背中を隠す毛布の脇から眺める平凡な会社員の朝首を傾けて見つめる特
ナイロンに着地した空の落し物が六つの点から地面に落ちる時にそれはスニーカーの先端を濡らす鞄を体に寄せ付けた今朝更新の最低気温手袋を忘れた右手が冷える強く握り締める白い息は届かず消える車一台分の小道踏切が閉まる音がする対向して近づく二、三の学
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