読書録20~落ち着かなさの訳
秀逸な表紙カバーデザインだ。カバーを外せば下のようになる。書名活字の中心が微妙にずれていたり、端が欠けていたり、重なっていたりする。目にしてと何かしら不快感を持つ人も少なくないはずだ。不快とまで言わなくとも、心にどこか落ち着かなさを覚えないだろうか。この著を読み進むと、似たような感覚になる。雑誌「群像」連載がもとになった一冊。連載時タイトルは「『近過去』としての平成」だという。もともとその雑誌に掲載された橋本治の絶筆「『近未来』としての平成」の続編になるような内容を編集部は考えていた。書籍化にあたって筆者は、「自分が行きついた『なんかいやな感じ』」というテーマ?を前に据えた。そのことは「あとがき」に詳しいが、橋本が語った時代認識にそった形で進んだと著者は考えているようだ。橋本は、平成や現代について、もう前...読書録20~落ち着かなさの訳
2025/04/30 16:23