希望はどこから生まれてくるか
『月の満ち欠け』は実に印象深い小説だったが、それ以来書いていなかったのだろうか。図書館で見つけたRe60『冬に子供が生まれる』(佐藤正午小学館)を読んだ。これもまた、ある意味で幻想感に包まれる作品だった。作家のこのテンポは懐かしく、最初は分かりづらく厄介な展開に思えて、後半に揺さぶられる。話者の正体が終盤で明確になったのは仕掛けなのか。とすれば、ほぼ同齢の元教師を設定し、どうしようもない「悲しさ」に泣き続ける場面で終えた意味はどう受け止めたらいいか。様々な記憶を持ったり、消したりするのは愚かしいことか。そんなふうに「泣く」行為で振り切れば、そこに希望は生まれるか。『希望学』(中公新書クラレ)に続けて読んでみたRe61『希望のつくり方』(玄田有史岩波新書)。同時期に出版された2冊なので、当然内容は似ているが...希望はどこから生まれてくるか
2024/07/15 17:01