chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
spring
フォロー
住所
秋田県
出身
秋田県
ブログ村参加

2005/08/02

  • 桜日記2023.04.19

    勤務を終えて帰宅してから、孫を連れて傍の中学校グラウンドにいく。たまには、夕景の桜もいいかと撮ってみた。これらもだいぶ古木になってきているが、様々な箇所に芽吹く。枝折れしていて地面近くに倒れそうな樹もある。孫がしゃがんで手にする。暮れゆく西日に照らされて、春を惜しむ日が続く。おまけ、近所にある小さい梅の一本伸びた枝。夕刻の晴れた青空に映える。桜日記2023.04.19

  • 参参参(十七)かなしみの満開

    満開の時期に天候に恵まれない年は今までも何度かあった。今年は開花が早いだけに、感覚もいつもと少し違う。なんだか桜が可哀想に思えたりする。外に出られない分、軽読書は捗る。『小泉放談』(小泉今日子宝島社)2015年末から2018年にかけて『GLOW』という雑誌に連載された対談集。小泉が50歳になる時期、「先輩」方と50代以降の生き方について語り合うという趣向。女優のYOUを皮切りに、仕事上関わりの強かった女性たちが多く、全部で25名。最終は小池百合子だったが、締めの意図でふさわしかったか。「放談」として組みやすい相手、そうでない相手がいるようだ。ただ脱アイドルを貫いてきた小泉の持ち味は、十分堪能できる。それはある意味、一歩引いた眼差しを持っていることが特徴だろう。歌手としては正直魅力が今ひとつだが、女優として...参参参(十七)かなしみの満開

  • 桜日記2023.04.16

    今日も天気は悪いが、ちょっ合間を使って近所の桜を撮った。少し遠景を意識しながらのショットここは晴れたら絶妙になる川沿いの遊歩道反対側から撮るとこんな感じになる昨日行った公園へ、もう一度。天気はよくならないが、並木っぽいのを一葉。桜日記2023.04.16

  • 桜日記2023.04.15

    例年より10日は早い感じがする。毎年かかさずここだけは撮っている、町内の公園。ほんの少しだけ陽が射してねらったように親子連れもちらほら。廻ってみると、いろいろな形状の樹木があって楽しい。今年は開花時期や天気、様々なタイミングがずれて残念だ。淋しがっているのは人間だけじゃないだろ。桜日記2023.04.15

  • 狸に笑われちまえ!!

    ちょうど去年の今頃、こども園に通い始めた下の孫が3日目にしてコロナに罹った。世話を手伝う私たちも濃厚接触者として判定され、自宅待機になった。その一週間を「濃厚接触者日記」とPC内に残していた。何故かここにアップしていない。それは人目を気にしたからか、あまりに苦々しいからか。今年は一応沈静化しているし、みんな揃って花見でも…と開花の早さに合わせて心積もりしていたが、休日がなかなか揃わない。しかも天気が悪くなる一方だ。黄砂も流れてきているし、風も強い。はてはJアラートであたふたする朝もある。こういうときこそ落ち着いて、日常の興味を持ったことに思いを巡らそう。まず「黄砂」だ。天気予報やニュースで説明して、だいたいのことは理解しているつもりだが、念のため辞書を引く。すると「霾(ばい)」という字が目についた。10年...狸に笑われちまえ!!

  • 参参参(十六)いかなる自足か

    「花よりも読む本ありて来い図書館」(字あまり、しかもパクリ)とFBに書き込んで、品のなさに呆れつつ、最近の読了本アップ。『運転者』(喜多川泰ディスカバー)著者の本を一度は読んだことがあるはずと検索したら、案の定軽かった(笑)。この著は自己啓発的なドラマのようなイメージだった。後半がくどく感じたのは、言いたいことが見えているので、念押しされている印象を持ったからか。「運転」という語を乗り物や機械の操作ではなく、字の構成から「運を転じる」と解釈させたのは、なかなかの知恵者だ(笑)。「運は、いいか悪いかで表現するものじゃないんですよ。<使う><貯める>で表現するものなんです」を処世訓として捉えたとき、自らの生活をどう切り替えていけるか。結局は方向が利己であるか、利他であるか…に収斂され、行動を規定する。『もたな...参参参(十六)いかなる自足か

  • 心はレモンのスポンジだ

    「心が重い」という表現がある。「重い心」という言い方もある。もちろんこれらが比喩であることは誰しも知っている。ところが、先日館のブログを書くためにメートル法に結び付けて「はかる」というキーワードで調べていたら、ある書籍の「心にも重さがある」という見出しが目に入った。うん、なかなか面白い。気になって、ネット検索をしてみるとそれに類した学説などもあることがわかった。「魂には重さがあるか?」をアメリカのある学者が調べました。方法は単純明快。息を引き取る前の人間の体重と、その後の体重を計って比較したところ、わずか数グラムだけ死後の体重が減っていることがわかったのです。「魂の重さはレモン一個」と同じであると発表され、話題を呼んだことがあります。国立情報学研究所にPDF文書「魂の重さを測った人」(宗像恵)という記述も...心はレモンのスポンジだ

  • 見逃せない映画、周りの愚痴

    ためらいなく「今回は見逃せないな」と思っていた。まあ、さほどの映画ファンとは言えないが、映画化の話は昨年から知っていたし、いくらアニメと言ってもやはりJazzが関わるとなれば音響のいい映画館で…。ということで久しぶりにシネコンへ出かけ『BLUEGIANT』を観てきました。いやあ満足でした。発刊済の全巻を二回り以上読んでいるので筋は頭に入っている。むろん2時間弱に収めるのだから別物とも言えるが、かなり忠実に場面をピックアップしつつ、クライマックスを大きくアレンジ(それ自体は、あまり違和感がなかった)して結んだ作品だった。原作と登場人物の持つ「熱」は十分伝わってきたと思う。Jazzに関しては素人同然、ただ音楽を担当した上原ひろみなら知っている。メロディックなフレーズと映像の絡み、演奏場面の迫力はなかなかの出来...見逃せない映画、周りの愚痴

  • 参参参(十五)人は人によってしか

    気温は少し下がりましたが、木の芽は赤くなり始めましたね。でも、まだちょっとしか浮き浮きしない…『「つなみ」の子どもたち』(森健文藝春秋)東日本大震災から二か月後に、文藝春秋が被災した子どもたちの綴った作文を「つなみ」と題して臨時増刊号を発刊したのは印象深かった。その年度の地域文集の巻頭言にそれをもとに「作文」の意義について少しだけ触れたことも覚えている。読み直したら当然とはいえ、そこには「所詮は当事者性を欠いて」いる自分の姿があった。この本は年末に発刊され、震災からおよそ半年間のことが、作文を書いた当人というより家族全体の物語を描き出している。衝撃的な出来事がリアルに迫ってくるだけでなく、人間の受け止め方の多様さが滲み出てくる。最終的に「人」は「人」によってしか救われない…多くのエピソードが物語っていた。...参参参(十五)人は人によってしか

  • つつがなく入学式は

    町にある4つの小学校、唯一の中学校では今日が入学式。残念ながら小雨模様になった。昨日はそれを意識し蔵書紹介をアップする。振り返れば10回入学式で挨拶した。誰が行っても大方の流れは似ているだろう。最初は新入生に語りかけ、それから保護者や周囲に向けることになる。前半はちょっとした工夫が欲しい。小道具を使ったり、小規模校では一人一人と握手してみたり、在校生に返事の模範を示させたり、しかし色々目先を変えてはきたが伝えたい内容に相違はない。楽しい学校生活にするために仲よく安全にといった心得が中心だ。従って普通は記憶に残らない。あるとすれば個人的な失敗、もしくはアクシデントだろう。教員として列席した入学式はほとんどつつがないものだった。思い出せるのはある分校でのこと。遅れそうになった母親が、派手ないでたちで自転車の後...つつがなく入学式は

  • 令和五年清明日録

    桜の開花が早まっている。気温が高くなる傾向はずっと続いていて、春はあっという間に過ぎ、すぐに夏感覚になることに体も心も慣れてしまったか。この国の社会良識と同様に風情も失われていく。月曜朝刊「評伝・坂本龍一さん死去」の中に書かれた一節「日本はまた一人、ものを言う自由人を失った。」が重い。日当たりのいい場所ではもう芝桜が…振り払うことは簡単ではない。とは言え今日は「清明」。「草や木、水などが清く明らか」であることは守り続けていきたいものだ。新年度の挨拶などを恒例儀式的なことと捉えられず、螺子を巻くいいチャンスにするべきだ。なんと今日は「デビューの日」だと言う。この由来が面白く、館のブログに書き込んでみた。思い立ったがデビューの日「〇月〇日は何の日」というサイトは多くあり、蔵書紹介のネタとして紹介している。今日...令和五年清明日録

  • 参参参(十四)少々のブラッシュアップ

    先月末までに読了した3冊。どれもささやかなヒントをもらえた気がする。『明日の子供たち』(有川浩幻冬舎)児童養護施設を舞台とした小説。営業職のサラリーマンを3年で辞め指導員になった三田村の着任から書き出されている。施設の職員、子どもたち、それぞれの現実と背景を織り込みながら話が進む。三田村の認識は、多くの読者と共通するだろう。施設の子を「可哀そう」と感じ優しさをかけたいとごく自然に思う者の言動は、個別的な関わりだけでなく、将来の展望や国の施策にまで影響を及ぼしていると知らされる。「親に捨てられた」のではなく「子供を育てる能力のない親がいる」という現実をシビアにみること。そしてその連鎖。実にわかりやすく、ささやかな希望も見いだせる一冊だった。『生きづらさについて考える』(内田樹毎日文庫)2019年の単行本発刊...参参参(十四)少々のブラッシュアップ

  • 今年の四月馬鹿日記

    土曜はイベント開催時しか出勤しないシフトだが、何しろ年度初日なので担当しているエントランス掲示を仕上げに出向いた。毎回ながらタイトル貼り付けに難儀し、2時間以上も掛かる。予定では1時間ぐらいで済ませ、帰宅しタイヤ交換をと目論んでいたが、初っ端から狂う。仕方ない。昼風呂読書でもするか。今年の図書館掲示はこんなタイトルで今、読んでいるのは2冊。図書館から借りてある『銀河鉄道の父』と、まとめ買いした一冊50円の『「つなみ」の子どもたち』。どちらもなかなか面白く、比較的落ち着いた読書をしている。半面、未読本だらけの状態で、借りてある単行本が2冊、ネットで注文した11冊、古書店で5冊、積読ばかりが充実する。午後からは録りためたドラマなどを観る。NHK『幸運なひと』…がん患者の教師を取り上げた話は興味深かった。「幸せ...今年の四月馬鹿日記

  • 不自由な顔で腑に落ちる

    吉田拓郎の「知識」という曲がある。『今はまだ人生を語らず』というアルバムに入っている。その発売は1974年だ。引退もあってか昨年末に復刻されていた。その歌詞に「自由を語るな、不自由な顔で」という一節がある。今どき「自由とは…」と声高に言う者は多くないだろうし、やはり昭和だなあと感じてしまう。「自由」は時代が変わっても頻出する語だ。そもそも明治期に翻訳されたことは有名であり(当然、古典文学にはない語だ)、それが脈々と活躍していることは下衆にいえば見栄えがいいし使い勝手が良い、組織の名づけ等にはぴったりだろう。それゆえ「自由とは何か」と青臭い質問は、今でも十分に通用しそうだ。大谷君、ありがとう。貴方の活躍で地元のビールがこんなに安く手に入りました。髪を伸ばしていた頃(笑)は、ただ漠然と「自由になりたい」と思っ...不自由な顔で腑に落ちる

  • 参参参(十三)重症患者日誌

    言うまでもなく、「健康病」重症患者の記録だな、こりゃ。それでも読書は心の栄養になるか。『健康という病』(五木寛之幻冬舎新書)およそ5年前の発刊で、『日刊ゲンダイ』紙の連載を集約した一冊。当時から「~~~~という病」という書名は流行のようになっていたので、売れ筋をねらったのだろうが、「健康」と「病」をつなぐのはいかにも逆説的だ。一文で表わせば帯文にあるように「健康を過度に気遣うことは、深刻な病気である」。具体的には、まさに洪水・津波のような健康情報に溺れることがないように、という戒めである。類書の多くも言いたいことは一貫している。「健康情報には定説はあっても、唯一の解はない」「自分の身体の声を聴け」…それが出来ないまま、健康オタクと自認することは「健康病」に罹っているという診断だろう。『免疫力を高める生き方...参参参(十三)重症患者日誌

  • 「かべ」に阻まれた一冊

    読み聞かせは、通常期に教室で行う場合と放課後子ども教室等の時とは勝手が違う。集まっている子ども層の雰囲気があるし、担当者の考え方も左右する。自由度が高かった(つまり関心を示さない子が複数)今回、なんとか語りで惹きつけようとしたが「壁」を感じ、準備したが読むのを控えたのがこれ。『かべのむこうになにがある?』(B・テッケントラップ/作風木一人/訳)BL出版2018.3中表紙に、ある一節がある。「勇気ある人たちにそして、壁のない世界に」。こうした箇所の文章はよく「○○へ捧ぐ」のような形が多い。そう考えると、勇気ある人たちに捧ぐと考えられなくもないが、少しニュアンスが違うのではないか。個人的には「勇気ある人になれ、壁のない世界にしよう」の提言に見える。「おおきなあかいかべがありました」から物語は始まる。その中に住...「かべ」に阻まれた一冊

  • 今年度の読み納め一冊

    今年度、読み聞かせをした中で印象深い一冊を挙げるとしたら、これだろうか。岩崎書店が出している「恋の絵本」シリーズで、この本以外の著者は桜庭一樹、辻村深月、白石一文、村田沙耶香というラインナップである。小説好きなら興味が湧くだろう。そうでない自分もたまたま書架から見つけて読み入ってしまった。『まっくろいたちのレストラン』(島本理生/作平岡瞳/絵)岩崎書店2020.5一人きりで暮らすまっくろいたちが始めたレストラン。ある日、川向うから訪れたうさぎのおじょうさまに恋をする。しかし婚約しているうさぎの王子様が現われ、食事を終えた帰りにワシに襲われるところを…という展開の末に…。筋に若干飛躍があり、大人なら容易にわかるが…と少し迷いつつ練習を続けた。高学年へは機会がなくドーカナアと思いつつ3年生で語ってみた。PPT...今年度の読み納め一冊

  • 参参参(十二)生きる日常

    いい陽気になったが、花粉症の超ベテランは外出制限中で、読書ははかどる。『無人島のふたり』(山本文緒新潮社)著者の『自転しながら公転する』は印象深い一冊だった。しかしその後は読者にはならず、今回は角田光代の書評を目にして手に取ってみたくなった。小説ではなく日記。余命4ヶ月と告げられた作家が喘ぐような毎日を送っている。先日、夫婦で誰かの言葉に頼って「がんで死ぬことは案外幸せかもしれない」と話したばかりだったが、所詮当事者ではなければ深刻さも生まれない。その意味では相変わらず軽薄な口を恥ずかしく思う。「逃げても逃げても、やがて追いつかれることは知っているけど、自分から病の中に入っていこうとは決して思わない」…これが現実だ。「闘病記ではなく逃病記」を淡々と読んだ。『コトづくりのちから』(常盤文克日経BP社)ビジネ...参参参(十二)生きる日常

  • 本物の時代遅れ

    あるバラエティ番組で若手俳優が好きな曲として『時代遅れ』を挙げたのは意外だった。好みは人それぞれだろうが、20代前半で♪一日二杯の酒を飲みさかなは特にこだわらず…♪は、到底似合わない。あえて言えば♪目立たぬようにはしゃがぬように似合わぬことは無理せずに♪という箇所への共感なのか。「時代遅れ」という語で済ます文脈が問われるほど、時代はスピードを増している。WBCの試合はTVで見るのではなくネット視聴であることは、ごく普通になっている事実を、週末に二人の娘夫婦と会話していて知った。機器ごとの放映時間の僅かなズレを楽しんでいる様子は新鮮でもあるし、疎外感もある。「時代」に「遅れる」とは、つまり現実を把握できない、現実に見合った言動ができないという意味と解釈すれば、典型的なのは先日の夜のこと。ここ数年ずっと感じて...本物の時代遅れ

  • 参参参(十一)心の免疫を…

    免疫力を読書でつけることは可能か…ないとは言いきれまい。『人生100年、長すぎるけどどうせなら健康に生きたい』(藤田紘一郎光文社新書)免疫学の権威でもある著者が前書きで言い切っている箇所が、この新書の肝である。曰く「免疫力は腸で約70パーセント、心で約30パーセントがつくられます」。本の構成は100項目中、食事編として69、生活習慣編として31が記されている。健康オタクとしては、食事編の総括はバランスよく、生活習慣編は自然治癒の強調とまとめたいが、あまりに平凡か。しかし、一つ一つの知識は無駄にはならない。「免疫力というものは、学力と同じです」という一言は結構重い。頑張って勉強しているうちは伸びるけれど、自ら鍛えていくことをやめれば衰える…だそうです。『あなたのいない記憶』(辻堂ゆめ宝島社)初めて読む作家。...参参参(十一)心の免疫を…

  • 嗤える現実笑える噺

    久しぶりの落語鑑賞。春風亭一ノ輔は一度しっかり聴いておきたかったので、早々に予約しいい席(4列目中央)がとれた。その後、数日経ってからなんと一之輔が「笑点」レギュラーになるという驚きの知らせがあり、その効果は絶大で大ホールはほぼ満席という状況だった。一之輔のマクラも予想通りその顛末で…。全国各地で行われている落語の会で、観客動員が多いのは笑点メンバーだという事は以前から聴いていた。数人いる私のお気に入りはそこではないので、「通」(笑)好みの会に足を運んだことは多い。そうやって地道に落語会を作ってきた(徐々に観客を増やした)噺家も少なくない。一之輔のその一人だったようであり…。初めは数十人の小ホールも満席にならず、各地の愛好する主催者たちの努力によって一歩ずつ積み上げてきたのだ。だいぶメジャーになったここ数...嗤える現実笑える噺

  • 今さらの落穂ひろい

    2016年に買った初めてスマホの機種は、シャープのアクオス。そこに「メモ帳」という機能があった。当時(今も)なかなか使いこなせないこともあり、おそらく文字打ちに慣れるために、思いつきをメモしてみようと試みたのだろう。別活用するためにデータを見直し削除していたら、短い文章が8つ残されていた。良いことを集めると、運気があがるという。とにかく試してみよう。2017/04/21里山資本主義を読み始める。刺激的な考えである。2017/04/23深呼吸大事な決断その前に2017/07/18歩幅見てその子の背中そっと押す2017/07/18今差し伸べる手は未来の貴方に届きます2017/07/18感情のコントロールが、快や幸を決定づける2017/09/07東京単独行から何を学ぶか?〇集中した設定がその時を充実させる。おま...今さらの落穂ひろい

  • 参参参(十)諦念とはつまり

    何かを選択していくことは、何かを諦念することだと…今さら嚙みしめる。『諦念後男の老後の大問題』(小田嶋隆亜紀書房)「定年」を冠した書籍はあふれるほどだが、「諦念」と掛けた著者のセンスは流石としか言いようがない。コラムニストのモットーとしてきた「取材をしない・文献を読まない」という原則を捨てて、自身の老化の現実と、世に蔓延る様々な啓発的な物事(そば打ちやら終活やら)の実際を付き合わせてみて、類まれな文章力で綴ったこの著は実に面白かった。説得力が半端ではない。例えばSNS、「居心地の良い匿名の地獄を選ぶのか。それとも本当の名前で美しいことだけを申し述べる窮屈な天国を選ぶのか」…諦念とは、つまりこのふたつにひとつの選択肢しかないと知ることだ。『仕事。』(川村元気文春文庫)「仕事に丸をつけて肯定し、人生を楽しくす...参参参(十)諦念とはつまり

  • 啓蟄から日記

    3月6日(月)啓蟄。今年はあまり雪が降らず、土中の虫たちも少しは早く動き出す準備をしているのだろうか。この頃やや過食気味なので、お昼はカップヌードル1個に留めた。久しぶりに食べるとこれも良し。今晩のWBC強化試合には大谷らが出場する。楽しみでならない。二打席目の片膝をついたホームランにはドデンした。3月7日(火)午前中は、消防記念日のネタで図書館ブログをアップ。その後読み聞かせに向かう。今回のこども園は年少組も入るので正直少しやりづらい。語りとしては収まったにしろ、多様な反応になるので今年度最終回の出来としては不満が残るなあ。午後からは2月末より取りかかった紙芝居整理。ひとまずリストが出来た。3月8日(水)今日は国際女性デーということで、関連蔵書をピックアップしてみた。その後、館内で打ち合わせ。読み聞かせ...啓蟄から日記

  • わかったような気になるな

    「物語」という語は「散文の文学作品」が最も一般的な意味だが、「ある事柄について話す、語り伝えられてきた話」という語義から、物事全般のストーリーもしくはヒストリーという点が強調され使われている。例えば「商品を買うことは、背景にある物語を買うことなんだよ」などという言い回しをよく聞く。ある雑誌で文筆家千野帽子の「物語の力とは?」という文章を読み、一つ考えが深まる気がした。千野は「何かの出来事を理解しようとする時」に「時間の概念とセットして捉えないと、ちゃんと理解できない」と、ごく当たり前の論理ながら、「世界を物語としての理解」することの人間の習性について語っている。つまり「因果関係」を明らかにして物語を「なめらかに」すること。それによって出来事はわかる感じがする。「どうやら私たちは、出来事の意味を『わかりたい...わかったような気になるな

  • 参冊参校参稽(九)

    先週から読み始めた三冊。併行して寝床や風呂場などでページをめくっていた。それぞれかなり異なる内容でありながら、なんだかつながってしまうのはただ自分に引き寄せているだけか。『現代生活独習ノート』(津村記久子講談社)8つの小説からなる短編集。著者の本はいくつか読み、印象深いものもあるが、どこかすっきりしない読後感も残っていた。今回、三つ目まで読み、その正体がなんとなく言葉として浮かんできた。「不機嫌」…登場する人物もそうだが、全体を覆う雰囲気がそれだ。四つ目からはほとんど飛ばし読み状態の中でもう一つ浮かび上がってくる。「不穏」…筋立てそのものより人物の動き、心持ちにそれを感じる。そもそも「現代生活独習」という熟語がそんなイメージではないか。たぶん「不機嫌」も「不穏」も小説を成り立たせる重要な要素だろうけど、好...参冊参校参稽(九)

  • 心折れないで、Birthday

    いつだったか雑談中に「今年は百歳の三分の二の年だ」と口にしたら、周りに笑われた。もちろん百歳まで生きられる保証もないし、検査数値からみれば到底無理な話だし、そして強く願いもしないが(そう言いつつ微かな望みも持っていたりして)、そんなふうに数的な区切りを求める心ってなんだろうなと自問する。朝の寝床で、昨日から読み出した『諦念後~男の老後の大問題』(亜紀書房)を読了する。コラムニスト小田嶋隆の文章である。彼の斬り口が冴えまくる一冊。「死ぬことに関しての特段の心構えはいらない。生きてさえいれば必ず死ねる。心配は無用だ」となんと痛快なことよ。私より一歳年下の切れ者は昨年亡くなった。実は先週生まれて初めて「数独(ナンバープレイス)」に挑戦してみた。家人が新聞を見てやっていたのでオレならもっと…というゲスな考えが湧い...心折れないで、Birthday

  • その選手の姿は利用される

    図書館ブログの蔵書紹介のネタ探しで、「今日は何の日」というサイトをよく検索する。3月2日分をみていて、面白いなあと思ったことがある。3と2の語呂合わせで「ミニ」はごく普通だが、さらに探したら「野球用語の日本語化」が決められた日とあり思わず読み込み、WBCと合わせ野球本紹介の導入にした。戦時下でそういう出来事があったことは有名だし、ストライクを「よし」と審判が叫ぶのも間抜けな感じがして記憶に残っている。簡単に競技を禁止できないほど野球人気が高かったことも頷ける。戦前からの脈々とした歴史が戦後の大人気につながり、多少陰りが出てきたとはいえ、スター選手の輝きは失われない。さて、用語の日本語化だけでなく、実に興味深いルール改正もあったことを知った。「打者は球をよけてはいけない」「選手の途中交代禁止」「Xエックスゲ...その選手の姿は利用される

  • 参冊参校参稽(八)

    2月下旬に読了したのは次の三冊。ますます娯楽的だがメモを残すことは悪くない。『本の読み方スローリーディングの実践』(平野啓一郎PHP新書)この新書は再読。もう書棚にはないはずなので古本屋でまた買い求めた。4年前にここに感想メモを残している。最近、ますます読み方が雑になっている気がするが、再読自体はスローリーディングと言っていいし、その意味では教えを守っている(笑)か。「とにかく、大切なのは、立ち止まって、『どうして?』と考えてみることだ」…この一節は芯の一つ。読者の立場からいうと、そうならざるを得ない本との出逢いを求めているのだが…。それは受動的と言えるかもしれない。価値あるものを見逃さないためにゆっくり歩く習慣こそ肝要、と書いてしまうと生活全般に通ずると合点する。『矜持警察小説傑作集』(今野敏、佐々木譲...参冊参校参稽(八)

  • 生きる力の衰えに嘆く日

    今時、教育界では「生きる力」など口にしないだろう。90年代後半から繰り返し聞かされてきたはずだが、内容が一体何だったかは忘却の彼方にある。今そう問われて(いや以前から)一番ピッタリするのはかのウチダ氏が語る「何でも食べられる」「どこでも寝られる」そして「誰とでも仲よくなれる」だと思ってきた。別に教育のことを語りたいわけでなく、つくづく「自分」の生きる力の衰えを感じる出来事があったので書き出した。コロナ感染対策絡みの全国旅行割は終了が近いということで、前から一度はと思っていた隣県のある温泉旅館に泊まりに出かけた。「食べる宿」を標榜し、売り物は「すっぽん」のフルコースである。すっぽん料理の店は以前は町内にも2軒あり、飲み歩いていた30代に何度か食した記憶がある。それ以来ご無沙汰であり「羽後のたべびと」を自認し...生きる力の衰えに嘆く日

  • 読み聞かせの後先で…

    先週は月曜の小学校3年生に始まり、火、金とこども園二つへ。小学校は今月で終了であり、総決算(笑)として『おぼえていろよ、おおきな木』をメインとする。何度か読み込むうちに、ポイントはおじさんが泣く場面だと把握し、ページをめくる前に冒頭部を語る演出としたが、本番でその接続詞を間違ってしまう。ああ。なんと、読み込み不足を反省しながら「おぼえていろよ」と密かに思う。どこかでリベンジしたい。こども園では、紙芝居『とりのみじっちゃ』を初めに行い、後は絵本をTVに写す形で行う。紙芝居の筋はよくある隣家の爺婆もので、ユーモラスな絵と、オナラの出てくる筋が楽しい。そこにある泥臭さがいいのだ。読み聞かせを終え館の前へ帰ってきたら、ちょうど目の前を一人の老女が大きな段ボールを抱えて通る。向う側から知り合いが来て陽気に話し始める...読み聞かせの後先で…

  • 能率、効率いつも度外視

    「能率」と「効率」の違いなんて意識したことがなかったと思う。ごく普通の類義語であり、例えば広辞苑の語義②が示すように「効率」は「一般に、仕事の能率。」と捉えていた。しかし、ある雑誌に環境倫理の研究者が寄せている文章を見て、んっと興味が湧いてきた。曰く「この二つ(能率と効率)は反比例の関係にある」能率とは「時間当たりの仕事量」であり、効率とは「資源当たりの仕事量」という解釈だ。「環境」を基に考えてみると、そういった使い方となるのか。「回覧板」の例が出されている。それは情報を周知させるための手段として時間がかかり能率は悪い。しかし紙1枚で足りることを考えれば、効率はいいと言える。「資源」の設定がポイントか。時間も資源に含めれば一般的な使われ方だろうと思考を止めることができる。しかしひとまず、それはさておく。人...能率、効率いつも度外視

  • 新聞連載に立ち止まる

    朝刊の日曜連載「明日も花まるっ!」で久々に(笑)内館牧子さんが良いことを書いていた。「政略結婚の深意」と題したその文章は、作家永井路子の著書『山霧毛利元就の妻』に描かれている戦国時代大名でよくあった家同士の結びつきを取り上げている。そこにあるのは決して「負」や「暗」だけではなかったとする。・・・・・周囲の人たちをステレオタイプで、つまり固定観念で見てはならない。・・・(略)・・・世の固定観念では測れない「陽」の一面が、あらゆる事象にある。当事者は周囲が期待するほど淋しくもなく暗くもなく、むしろ幸せに思ったり、力が湧く場合さえあるのだ。・・・・・なるほど。60代夫婦の会話に時々登場する巷の噂話にもそうした要素がいっぱい詰まっているとギクリとする。子ども相手の仕事をしていた時に、家庭環境に絡んだことで、その子...新聞連載に立ち止まる

  • 如月雨水の頃

    先週は、通常休館の月曜から図書館の蔵書点検が始まった。この作業も三度目となり、だいぶ慣れはした。専用のハンディでバーコードを読み取っていく作業は、担当した絵本や郷土関係の版型が様々なので書籍をひっくり返したりするのが、量的に多いとなかなか辛い。手首への負担に気づいたのは最初の年だった。その後結構痛みが長引いたので昨年はかなり警戒し、サポーターを装着したのであまり感じなかった。ところがその学習が定着せず、今年はスタートでそのケアを忘れ、若干痛みが走った。翌日からがっちり固定したが、今度は右手の方も繰り返す単純作業で気になっている。結局老化なんです…としごく当然の結論。作業の方は熟練の館員たちがいるので、無事終了。私は勤務シフト通り休みに入ることができた。そして家では、4年目を向かえる確定申告でPCと向き合う...如月雨水の頃

  • 大変な時代に覚悟を持つ

    「いま現在がそうであるように、大変な時代というのはしばしば予告もなしに、われわれに襲いかかってくるものです。それは容赦もなく、あっという間に、あるいはじわじわと、呑気に暮らしていたわれわれを、非常に困難な状況へと突き落とします。」城山三郎は1980年代の講演で冒頭こんなふうに切り出している。『よみがえる力は、どこに』(城山三郎新潮文庫)今思えば、呑気にみえた昭和終期であってもそうした認識が主流だったわけで「大変な時代」の基準などないと考えさせられる。「最後の戦中派」世代と呼べる城山が語るからこそ重みがあり、続けられた一言「でも、そんなことは珍しいことではありません」は、「覚悟を持つ」重要さに置き換わると言ってよいだろう。この文庫は表題となった講演記録、そして亡き妻に捧げた著『そうか、もう君はいないのか』の...大変な時代に覚悟を持つ

  • 参冊参校参稽(七)

    新刊やら昔の本やら、いろいろ読む如月となっています。『審議官隠蔽捜査9.5』(今野敏新潮社)単行本一気読み。年に二、三冊あるだろうか。やはりこのシリーズだからだろうか。ここ3,4年の文芸誌に掲載したスピンオフ作品+一本という構成だった。大森署の残った者たちが竜崎にアドバイスを求める展開が複数あり、結局そうかと思うのも仕方ない。今回際立ったように思う言い方は「放っておけ」だろうか。結局、つまらぬことに神経を砕いている人物(それは読者も似ている)がいかに優先順位を組み立てられないものかを痛感する。そして、自らの経験則を信じることも大切だ。最後の書下ろし「信号」で語る竜崎の「屁理屈」はさすがだ。『荒地の家族』(佐藤厚志新潮社)めったに読まない芥川賞受賞作品。いつ以来かというと『おらおらでひとりえぐも』だから5年...参冊参校参稽(七)

  • 気球とマスクと

    ♪時にはなぜか大空に旅してみたくなるものさ気球に乗ってどこまでいこう♪教員になった1970年代後半から90年代頃までずいぶんとこの歌は歌われた。教科書にもあったし、明るい曲調とハミングは当時の小学生にはぴったりだったと思う。何より「気球」の持つイメージが希望とつながっていた。空を飛ぶ乗り物といっても飛行機やロケット、まして軍用機とは大きく異なるし、どちらかと言えば平和な世界の象徴のように感じる部分もあったのではないか。それが今はどうだ。「気球」といったときに何を思い浮かべるのか。数多くのニュースが報じる、情報収集のため?の飛行体か、安全を妨げる危険な飛来物か。もちろん、宇宙への夢を乗せた人工衛星であっても大型ミサイルとの区別がないこの世界情勢であれば、そうした従来からあった感覚は塗り変えられている。話は一...気球とマスクと

  • 参冊参校参稽(六)

    まさに軽読書の見本のような参冊だった。でもそれぞれに味わいもある。『上野千鶴子のサバイバル語録』(上野千鶴子文春文庫)編集者が選んだ語録とはいえ、まえがきに書くように「女であることを愛してもらいたい、女でよかったな、と思ってもらいたい」と意図して発信してきた著者が、鉄砲でも撃ち込むようなテンポに仕上がっている。撃ち込まれる相手であろう男の一人としては、やられっぱなしだ。14「男はどちらかと言えば、自分を実力以上にかさばらせて見せたい動物だ」はお見事。15で「男性のすてきな年齢の取り方」とあり、それは「おばさん化」だと記す。いつぞや知り合いに「女性目線」と称されたことがある自分としては、少し救いがあるかな。その他、「家族」「親」という視点はまさに実弾だった。『死ぬまでボケない1分間“脳活”法』(帯津良一×鳴...参冊参校参稽(六)

  • 想像の汚れた翼が…

    先月、隣市の宝くじ売り場で10億円!!という話題があった。その折も「もし自分だったら…」などと語りあったし、誰しも似たようなことを考えがちだと思うのだが…。今回またその件についてある噂(あくまでも噂と強調しておこう)を聞き、再び夫婦で話題にした時、改めて「とんでもない」ことだと思い浮かべる。当ったらどこ(誰)まで知らせるかが非常に難しい。一人の胸に秘めておくことなど到底無理だろうし、仮に家族以外に知らせた時「秘密」保持が成り立つのか。周囲に福をもたらしたい気持ちがあっても安易にしてもいいのか。話に聞くと様々な団体から寄付要請が続くらしい。連続する訪問・詰問に耐えられるか。知れ渡った時点で警備員など雇ったときに、その警備員が悪に手を染めている可能性だって十分あるのではないか。お金はおろか、命さえも狙われる危...想像の汚れた翼が…

  • 参冊参校参稽(五)

    2月の新着本を3冊借りて読む。いずれもお気に入りの作家たち。それなりにふむふむと読んだが、いずれも今一つという感じだったなあ。『日々憶測』(ヨシタケシンスケ光村図書)ヨシタケの絵本は読み始めた時から、密かに「妄想大王」だなと思っていたが、本人は「憶測」のつもりだったか。妄想だと「あり得ない」や「淫ら」が強く、憶測だと「根拠なし」「勝手」の方が主なのかな。いずれにしても重要なのは「観察」と「連想」だ。格好つけていうと「複眼的視点」だろう。ヨシタケの描く世界は微少から広大を行き来しているイメージがあり、読者に反感を抱かせない。巷に流行る「それってあなたの感想ですよね」と突き放したりしない。いいじゃないのと笑ってページをめくられる。『べつに怒っていない』(武田砂鉄筑摩書房)お気に入りのライターの一人。著書も買っ...参冊参校参稽(五)

  • 2時間遅れのスノームーンへ

    いつものように5時過ぎに目が覚めて、読みかけの本に手を伸ばし残った数ページを読み終えた。ああ今朝も雪は積もっていない感じだな…とベッドを脱け出し朝刊を取りに行く。念のためと思い玄関戸を開けて、ふっと空に目をやると、向かいの家の屋根の上に、霞みつつボーっとオレンジ色に光るものが見えた。「月か…」。この時間帯にこんな色味を見るのは珍しいと、寝間着のままダウンジャケットを羽織り、長靴を履いて出てみた。道は凍っていて、かなり気を付けないと転倒しそうだ。隣家の横の小道を少し進み、電線が邪魔にならない位置まで行く。コンパクトカメラでパチリと収めた。家々にはもう灯りが点り始めた。寒かったあと言いつつ家へ戻り、パソコンをつけFBを開いてみると、「スノームーン」という文字が飛び込んでくる。そうかあ、満月だった。〇〇ムーンと...2時間遅れのスノームーンへ

  • そのハコもそのマメも

    いくつになっても知らないことは多い。一応、言語に携わる仕事をしていても、首を傾げることが少なくない。先日もある漢字がよめず…。一月で終了した図書御籤を最後に引いてみたら、下欄に書かれているお薦めブックの書名にある「匣」という文字。館員に訊いたら、あっさりと答えたので益々えっと思った。今年も届けていただいて無事に味わえる幸せを嚙みしめる。立春大吉「はこ」だそうである。言われれば部首は「はこがまえ」。その書名は「魔眼の匣の殺人」であった。普通は「箱」だし「函」は知っている。匣には何か特別な意味があるのかと調べたら、「ふたがついてぴったりかぶさるはこ」とあった。なるほどイメージがわく。「甲」は「よろい」だし、硬質な姿が見えてくる。定番ながら節分には「豆」の話題を…と思い、豆という字と「まめ」(健康)という意味を...そのハコもそのマメも

  • 参冊参校参稽(四)

    大寒に読んだ本。真面目に向き合えば、いずれも何かしらの形で突き刺さってくる。『神々の食』(池澤夏樹・文垂見健悟・写真文春文庫)著者は約10年沖縄に住んだ。この文章は、島の空を飛ぶ航空機の機内誌に連載された内容という。正月の沖縄へ旅行したのは20年以上前。食に関しては、海ブドウや豆腐よう、泡盛古酒などそれなりの記憶が残っていて、「食」について少し書き散らしてみたい欲望が湧きあがったりするが、池澤のような深みは表現できない。「人間にとって食べ物は分かつものである」…とそんなふうに著せるのは、向き合い方の「真剣さ」によるものだろう。食物を取り上げることは、結局人間を描くことにほかならない。『老いる意味』(森村誠一中公新書ラクレ)若い頃新幹線車内でその細身の姿を見かけたことがあった。著作を読んでいたわけではないが...参冊参校参稽(四)

  • 卯年正月回顧

    年明け前から天候に恵まれ、雪があまり積もらないのでずいぶんとラクさせてもらった。四日の仕事始めからの図書館正月企画は、例年にも増して順調で中旬過ぎだったがTVニュースの話題にも取り上げてもらった。図書御籤の「大吉」景品に惹かれて我が孫はこども園の帰りに何度も立ち寄り、くじを引いていた。イベントは毎週土曜にあった。特に中心となって進めた「子育て・教育講演会」は定員超になるほどだった。縁のある方が多く、この縁をつなぎながら微力でも幼少教育に関わっていきたいと思う。講師の照井先生が挙げた資料も充実していたし、自分も準備のために本館蔵書を読み込むことも出来て、有意義だった。読み聞かせはこども園が4回、学校が2回。子ども園は学級閉鎖もあったなか、予定通り実施できた。小学校2年生相手に選んだ『まっくろいたちのレストラ...卯年正月回顧

  • リンゴ売りの真似ができない

    日曜日の朝刊一面コラム欄は、井上陽水の「氷の世界」というアルバムのことから書き出されていた。連日の寒波と重ね合わせ、温かい食べ物の話題を絡めていた。さて、日本初のミリオンセラーを記録したこの一枚。当時高校生だった自分も買った、印象深いジャケットのこのLPは、何度も何度も繰り返し聴いた。全ての曲を歌えるはずだ。もちろん、歌詞は必要だけれど(笑)。朝に読んだそのコラムと全く偶然だが、夜たまたま年末に録画していたままになっていたBSの音楽番組を視聴した。我々のような世代を意識したフォークロックが中心の内容であり、その冒頭かの曲『氷の世界』が流れたのだった。ギターの印象的なイントロから「♪窓の外ではリンゴ売り、声をからしてリンゴ売り♪」という唄い出しを聴き、久しぶりにブルッとふるえた。テロップにある「1973年」...リンゴ売りの真似ができない

  • 参冊参校参稽(三)

    積雪が例年並みとなり、寒さは厳しい。毎年のことと言えば…それまでだが。『教科書名短編人間の情景』(司馬遼太郎、他中公文庫)「中学校の国語教科書に掲載された文学作品のなかから、歴史・時代小説を中心に人間の生き様を描いた作品」が編集されている。司馬を初めに9名が執筆し、ほとんどが大家と称される方々だ。自分が中学生時に読んだという記憶はないが、『高瀬舟』(鴎外)や『鼓くらべ』(山本周五郎)などどこかで読んでいただろう。掲載された年代は幅広いが、全体的に重さ、暗さが強い。今さらだが周五郎の『内蔵允留守』の筋に感心し、菊池寛『形』に人間の本質を学んだ。『あんちゃん、おやすみ』(佐伯一麦新潮文庫)著者は、数年前ある文芸誌で「ミチノオク」と題した連載第一回に「西馬音内」を取り上げていた。文庫のもとになる『少年詩篇』とい...参冊参校参稽(三)

  • 「RUN」が沁みてくる

    今月最後のこども園読み聞かせは、山間部の園だったので峠道を上った。今日は比較的状態がよいが、今週はずいぶん冷えたし、いくらか緊張感を持って運転することになった。教員時代とはずいぶん違う。なんといっても勤務した期間が長い。数えてみたら5つあった小学校の4つに務め全部で19年。うち3年は教員住宅に泊まった経験があり、16回は冬の峠通勤をしたのだ。立ち往生の記憶は少ない。ただ、朝早く出勤したら直後にその峠が危険で通行止めになり、他の職員は回り道して遅くなったなんてことはあったなあ。一度だけ、出勤時に半年も経たない新車に衝突される目(過失割合は0%だった)に遭った。これは痛かった。いずれ雪道は慎重さが身に付いているはずだが、やはり運転する頻度が少ないとストレスを感じるとしみじみ思った。実は昨日は「道の駅」に出向い...「RUN」が沁みてくる

  • 四つの原則から母を想う

    昨日は母の命日。ここ数年は兄夫婦と一緒に慎ましやかに偲んでいたが、体調を崩した孫がおりそちら優先ということで神前に手を合わせる形に留めた。もう七年が過ぎた。亡母にとって4人しかいない孫は全員母親となった。「祖母ちゃんはなあ…」と語ってやることも大事な相続だと、かの本を読みそう思っている。先日の小宴で、図画コンクールの話題になり某市では「〇〇式は認めない」というお達しが出ていた話に驚いた。造形には門外漢の私が1年間だけ図工の授業を続けさせてもらったことがある。もう15年前になる。その〇〇式である酒井式が中心だった。指導の四つの原則は、今でも時々思い起こす大事な指針だ。これは、子育て上非常に有益な心がけだと思う。世の中の組織や世間の目はほとんどダブルスタンダードになっており、政治家や上司等が語る典型的な建て前...四つの原則から母を想う

  • 参冊参校参稽(二)

    今年は「参冊参校参稽」と名づけて、三冊ずつ軽読書メモをアップしてみようと思う。「参校」も「参稽」もあまり見かけない語だが、つまりは「参考」ということである。まあ、これもどこまで続くものか。気まぐれはいつものことだから。『こころの相続』(五木寛之SB新書)物質の相続ではなく精神の相続について語っている。考え方や所作、振舞など、自分も確かに誰かから受け継いでいる部分はあるはずだ。早くに父親を亡くしたが母や祖母から躾けられ(そこまではいかないか)いまだに守っていることや、徐々に薄れていることを数えあげれば…いかにも中途半端な世代、出自であることは否めない。しかし、齢からすれば明らかに「相続する側」。いったい何を意識して伝えるべきか。ほんの少しでも価値あるものを磨くしかない。『不機嫌のトリセツ』(黒川伊保子河出新...参冊参校参稽(二)

  • おいつかないこの頃

    ニュースに取り上げられるのは当然だと思うが、電気料金の値上げには恐れ入った。確かに予告はされていた。しかしどうにも複雑な説明だったし、これほど上昇するとは。ネット上の議論も多種多様だ。「そもそも恵まれすぎ」「原発の再起動しか」「機器買い替え」。どこを起点に考えるべきか。現実に追いつかない。ある方にスマホで電話をかけようとした。しかし連絡先がなかなか見つからない。もちろん登録してあるし先月も電話したのに…。徐々に削除しているとはいえ、300件が整理されていないとこの様だ。急いで焦っているということもあるが、緊急時に役立たない状況を知り、テクノロジーに追いつかない現況を知る。しばらくぶりに家人と一緒にある健康施設を利用することにした。でかける日の朝、何気なくTwitterを観ていたら、その施設が2月末限りで廃...おいつかないこの頃

  • 影を見失わず生きる

    こども園の読み聞かせで使った『うさぎをつくろう』という絵本。以前にメモは残しておいた。表紙の折込部には、谷川俊太郎の600字ばかり文章が載っている。レオ・レオニのシリーズはほとんどあるようだ。今回のタイトルは「影の意味」。二匹のうさぎが影を持ち、「ほんものだ!」と叫んで終わる展開だ。さすが稀代の詩人は深いことを語る。「本当に実在しているものには、影があるのだということは、私たちも実際の人生でよく経験します。」当然、ここでは物理的な影だけではなく、それ以上?の意味も持たせているようだ。「光りあるところには常に影(陰)がある」…処世訓ともいえる。まあ光が薄ければ影も薄いか。「影は人生を立体的に豊かにするということを、レオニは見事な技術で造形しきっている」と言われればそういう気もするが、この寓話の意味を子どもは...影を見失わず生きる

  • 鏡開きから日記参戦

    1月10日(火)昨日は祝日で開館したので今日は閉館日。しかし、こども園の読み聞かせは曜日の原則も決めてあるので計画通りに向かう。今年初の読み聞かせは「うさぎになったゆめがみたいの」だった。雪は少ないし、お天気もよく気持ちいい。午後からは休養。日曜から始まった大相撲初場所は横綱休場で戦国時代という様相、楽しみだ。今年になって読んだ本の感想メモをブログに残す。1月11日(水)土曜日の講演会準備を一気に進める。頼りになる知人たちのお陰もあり、定員一杯になり安心した。昨日に続いてこども園読み聞かせを行った。反応が良かった。それから小学校へ行って講演会用の書画カメラを借りる。午後から実際に会場で機器セットしてやってみる。覚悟はしていたがやはり鮮明に映らない。こうした設定で実施する難しさだ。リサイクルの雑誌を持ち帰る...鏡開きから日記参戦

  • 「虚構」を参照せよ

    文藝春秋古本(2011.8)の特集が面白い。1990年前後の講演記録で、松本清張から司馬遼太郎まで大物がずらりと10人並んでいる。なかでも、作家藤本義一の話が心に入って来た。藤本は「日常の言葉というのは、三種類あるんですよ。それは事実の言葉と嘘の言葉そして虚構の言葉、この三つです」と語っている。授業参観に行って帰ってきた母親が子どもに声がけすることを例に、その三通りと説明していた。「一番多いのが嘘つきのお母さん」で、教師から言われたことにしてもっと頑張るようにはっぱをかけるのだと言う。そういう場合、子どもの心理としては先生から親への告げ口と受けとめ、徐々にやる気をなくしていく。「次は、事実ばかりのお母さん」で、そのまま教師の様子に関しても良くも悪くも思ったままに口にする。大人の見方や感覚を押し付けられたま...「虚構」を参照せよ

  • 面倒くささを参考にする

    雑誌リサイクルコーナーに残った『文藝春秋』を数冊持ち帰った。まず開いたのは2011年4月特別号。発売は、あの3.11の前だった。この号の特集として「これが私たちの望んだ日本なのか」という企画がある。各界から125名が原稿を寄せている。政権交代から一年半が過ぎ、進まない改革に様々な考えが示された。特集の問いに真正面から答えている鹿島茂(フランス文学者)の文章が小気味いい。「『その通り、これが私たちの望んだ日本なのだ』と答えるほかありません。犯人は自分なのです」と、理由として次のように記す。「戦後日本が上から下まで、全員で『面倒くさいことは嫌いだ』と考え、それを国是としてきたからです。」これは12年後の今にも多く当てはまる。政治の動きについては置くとして、経済はその努力が「面倒くさいことの省略」に注がれてきた...面倒くささを参考にする

  • はじめの参冊として

    年初め、スローリーディングだ。『復路の哲学』(平川克美夜間飛行)2017年に買い求めた時に読み、一昨年に再読し、また書棚から取り出して読むことになった。今が「復路」であるとずっと意識してきたつもりだが、やはり自覚いや諦念というべきか、希薄な気がする。後は、その責任をとるしかないのだ。「まだまだ、観念の世界では右肩上がりの時代を生きている」…歴史的にこの国の没落30年以上前に始まっていた。その指摘を理解しながら、利己的な世界観に囚われた経済と政治が進む中で翻弄されていた心身。これをどうにか動かす。『愚者のうた』(柴田鉄郎イズミヤ出版)町で長く議員を務められ、勇退した方が書かれた詩やエッセイ。直接的なつき合いはないが、よく見知った方々も登場している。最後の長編詩「ふるさとのうた」は、書かれた当時(おそらく19...はじめの参冊として

  • 三つ目を探して暮らす

    家族揃っての書初め。今年は少し遅れ七草の日となった。1年に一度イベント的に続けて写真も撮っている。十分に思案する時間はあったが、逆に余裕があり過ぎたためか、候補が浮かばなかった。硯で墨を擦りながら思いついたのが「参」。珍しくはないが、自分自身のキーナンバーにしているのは「3」。行動や思考のためにも役立つように感じているし、「三」の大字としての参もよくないかと思った。いわば心構えとしての一字というより、機能としての一字という考えで…。書いてから改めて「参」を心掛けにできないかとぼんやり考え、辞典を調べてみる。字源として象形、会意の二つの説がある。しかしどちらも「三本のかんざし」は共通している。数字の三の意味を主に「あつまる・ふぞろい」が重なる。新明解国語辞典に面白い記述があった。参の意味の第一義として、こう...三つ目を探して暮らす

  • 自立も依存も現実だ

    今年の正月は…と書き出せば、まずは穏やかな天候に安堵の気持ちが湧く。全国的にみると大雪のところもあったようだが、我が横手盆地の方々にとっては過ごしやすかったろう。ちなみに昨年はごく普通に降ったし、一昨年はもう雪下ろしで「ヘロヘロ」と記していた。積雪172㎝とある。このままで…それは甘いか。箱根駅伝、今年は見応えがあった。デッドヒートが多かったからか。それにしても1区ではこの先どうなるかと思ったが、やはり収まる所に収まる。「最初で最後の」と冠言葉をつけられた選手が名門にも少なくなかった。そこで力が発揮できなかった者は、この時をどんな糧にしていくだろう。そんなことを考えた。駅伝を見つつ、ノートPCのメンテをする。確か6,7年前の購入。Windows10でcorei7なのだが動きが鈍く最近あまり使っていない。や...自立も依存も現実だ

  • そのバランスってイツモ?

    依頼されている短い原稿を書き始めようとネタ探しをして、去年1月に書いていた読書メモを読んだ。『親子のための地震イツモノート』という防災関連本である。次の文章を引用していた。「地震が起こる可能性は、モシモではなくイツモ。イツモしていることが、モシモのときに役立つ」うん何事にも当てはまる。「いつも」を辞書で調べるが、意味は言うまでもない。日本語大辞典に「子見出し項目」と載っている慣用句が面白い。「いつも正月」は「年中楽しく暮らすさま。また、気楽なさまをいう」とある。「いつも月夜に米の飯」も想像できる。「年じゅう月夜と米の飯が続けば申し分ない」だ。幸福感の原型のようだ。イツモはモシモに通ずるという考えは非常に大切だ。漢字にすると「何時」となるが、書初めに選ぶ一字とすれば「常」になるだろうか。もう少し辞書を読み進...そのバランスってイツモ?

  • 考えて、姿を立ち上げる

    元日のブログ更新をずっと続けていることに、我が事ながら少々驚いた。最近は「紅白」ネタが多く、しかも途中で寝て、翌朝に続きを見る老人的?な視聴をしているのに、勝手に評価めいたことを書き連ねている。結局「好き」なんだね。この手のことが…。いろいろ言われても大晦日の夜は、まだ紅白が風物詩だ。それにしても「初めて見た人・グループ」が三分の一ぐらい。高齢者の認知度としては平均的だろう。選考基準はあるはずだが公開されてはいないし、要は「視聴率」ということか。だから「後付け」で話題性のある者や大物(笑)などを引っ張ってきて、年齢高めの視聴者にも配慮するわけだ。とっくにわかっているよ!!と、「人生幸朗のボヤキ漫才」のような調子になってしまった。口が滑るままに悪態をつくと、ブラボーは出過ぎだし、往年の歌手らの選曲が今一つ良...考えて、姿を立ち上げる

  • 最後に一杯、お注ぎします

    今年の書初めに選んだ一字は「撚」だった。「撚る(よる)」を取り上げた訳は、1月3日に「新しいシフォン主義とは何か」と題した拙文に書いてある。今、改めて読み直し、「ねじり合わせる」という意から「禍福は糾える縄の如し」という句が浮かぶ。ここ数年のうちで最も「禍」が多かった年であったからだろう。その一部をこの場に記した時もあり、日記的叙述が増えた。私的な事柄を露出するのは趣味がよくないが、少し吐き出したい気分にもなった。年頭に「平凡な『なんでもない日々』が、ただ流されるままの『なんにもない日々』にならぬよう努めたい」と書き、結果「なんでもない日々」の貴重さを知ったことになる。さて、滞りが目立った当ブログだが、いつものごとく勝手に締め括りたい。自分自身ずいぶん医者にお世話になった一年だ。数えたら6つの医療機関。齢...最後に一杯、お注ぎします

  • うさぎを探して館内を歩く

    今年の読み聞かせが終わり、ゆっくりする暇なく来年のことが浮かんだ。館内の読書案内展示がすでに「うさぎモード」に入っていることもあるからだろう。今はこども園の方が回数が多いので、紙芝居で何かないかと探してみたら、『うさぎなぜなぜみみながい』というタイトルがあった。ちょっと絵が気に入らず却下。では、絵本へ。まず浮かんだのがレオ・レオニのコーナーだった。面白いと記憶している一冊が『うさぎをつくろうほんものになったうさぎのはなし』がある。はさみと紙で作られた「うさぎ」が、本物の人参を食べて、本物のうさぎになってしまう愉快な話だ。短いがなんとなく味があるなあと感じる。候補だ。レオ・レオニが並んでいるなかで、『うさぎたちのにわ』という一冊があった。冒頭「人参は幾ら食べてもいいが、木の上のりんごに手を出すな。狼にやられ...うさぎを探して館内を歩く

  • 師走っぽい諸事日記も了

    12月22日(木)冬至。こども園読み聞かせの今年最終日となる。山間部にある園へ向かう。道路に雪はほとんどないが、倒木で通れなくなっている箇所があった。雪の重さを感じる冬だ。帰館してから「一陽来復」を題にして、関連本や読み聞かせ絵本を紹介したブログアップ。帰宅し、ゆず(バブですが)の香りをする風呂につかる。12月23日(金)高校生の職業体験学習が今日から三日間。最初に館の歴史や心構えなどを少し話す。はきはきして良い子たちだ。「わが家のおすすめブック」の2回目作品紹介をブログアップする。親子読書もこのままだと廃れていくのか、少し不安になる。私用があり1時半前に退勤。用事を済ませてから、賀状デザインに没頭する。12月24日(土)勤務予定はないが、自宅から明日イベントPRをアップする。その後、一気に賀状を完成させ...師走っぽい諸事日記も了

  • あったら面白いに寄せていく

    つまり「独り視聴者委員会」『鎌倉殿』編である。三谷脚本のファンでありごく普通に楽しめた一年間だった。当然『新選組』や『真田丸』と共通したテイストがあったが、改めて「味が濃くなった」印象をうけた。描いた時代が前の二作に比べ、少しだけ馴染みが薄い分、思い切った味付けをしたというところだろう。その味付けで、あまりに印象的であった場面が二つある。一つは義経の本格的な登場シーンである。平泉から鎌倉へ駆けつける回、山中で猟師に弓矢へ遠く飛ばす勝負を持ちかけ、あっさり裏切って殺してしまう件だ。悲劇のヒーローとして名高い義経をこんなふうに描くとは…。義経像をぐらぐら揺さぶってみせた。もう一つは、三代将軍源実朝が北条泰時に思いを寄せていたという展開。泰時が贈られた歌の意味を解せず返した後、実朝が代わりに詠んだのが、かの「大...あったら面白いに寄せていく

  • 自分を引っ張る文庫たち

    今月はずいぶんと再読モードだ。何か、引っ張られるように読んでいる。『月の満ち欠け』(佐藤正午岩波書店)ちょうど3年前に文庫本で読了した小説だ。再読であっても引き込まれるような感じがあり、改めて名作だと思った。映画化された話題を知ったことがきっかけになったわけだが、さて、見たい欲求とイメージが壊されるかもしれない不安がせめぎあっている気分だ。不可思議な「命」「魂」の存在へ憧れを持ち続けている自分を認識する。そうあってほしい願いとともに、あるはずはないのだという諦念が拮抗する。それにしてもこの一冊、無人島行きの小説ベスト5(笑)には必ず入るなあ。『現実入門』(穂村弘光文社文庫)13年前に読んでいる。その時の感想メモと似たことを思いつつ、今回も読了した。それ以後、数々エッセイ集を中心に穂村を読んできたが、ああこ...自分を引っ張る文庫たち

  • また師走っぽい諸事日記

    12月15日(木)師走も半分が過ぎた。朝刊で高校同期のHの訃報を目にする。地域は違っているのだが、小学校の修学旅行時に列車内で喧嘩し合った仲だ。懐かしい時代が蘇る。合掌。いよいよ雪が降り出す。久しぶりに除雪後の出勤。年末残務を確認し、段取りづくり。帰宅後久しぶりに泊まる孫相手に奮闘。ペースを乱される。12月16日(金)天気予報通りに結構な雪が降った。出勤し実務的事項をこなした後、1月講演会のPRを進める。学校現場の方々を中心に頼もしい知人がいるので心強い。午後から、今年最後の学校読み聞かせ。1年生を相手に大好きな「おそろしいよる」を語る。喜んでくれた。退勤時に、財布を見えなくして焦る。結局車中に…。12月17日(土)一週繰り上げての「絵本とあそぼ」の会。担当者が一人足りず、飛び入りで「おそろしいよる」を読...また師走っぽい諸事日記

  • 歳末大読み聞かせ

    天気予報通りに雪が降り続いて、結構な量となった。湿り気が強いのか、玄関前の木々の枝がずいぶんと垂れ下がる。いよいよ、本格的な冬。そして歳末だなあと気がしてくる。今年はずいぶんと読み聞かせの回数が多かった。その振り返りはいずれしたいが、あと3回残しているので、丁寧に締め括りたいと思う。今日金曜は某小学校の一年生。上旬に他校の一年生で選書した本を使おうと考えていたが、思い直して次の2冊を選んだ。一つは「おそろしいよる」、3年前に見つけた時に気に入って何度か読んだ本だ。PPTを使っていなかった頃で、今回は大きな画面でやったら栄えるのではないか。画面変換も付けられるし、楽しみだ。もう一冊は「ちいさなもみのき」。クリスマスネタであり、この時期にはふさわしい。昨年のブックフェスタで「絵本クイズ」で取り上げたが、自分で...歳末大読み聞かせ

  • 赤い目の見えない敵

    週4,5回のペースで更新している図書館ブログのPRとして発信しているFBに、昨日はこんなことを書きつけた。今年の漢字は「戦」。前に選ばれたのは2001年で、その時のコメントが「すべての出来事に、『戦いの世』を実感。見えない明日、見えない敵、自分自身とも戦った年」というものでした。個人的には今年にぴったり。同感の方も多いかな?では、この21年間何していたかってことか!21年間はともかく、今年は様々なアクシデントも多く、「戦」は実感する。「病三昧」のことは先日も書いたばかりだ。このブログ更新も沈滞している。やはり様々な「敵」が多くなったということなのか。正直な実感はその日の朝もあった。3時台に目覚めなかなか眠りに戻れず、あきらめて再読している小説『月の満ち欠け』を読み出した。5時半過ぎにようやく眠気が出て10...赤い目の見えない敵

  • 仕合わせはつくりごと

    著者が小説家で、ずいぶん長生きをしたことぐらいは知っていたが、作品は読んだことがない。古本屋の文庫コーナーで何気なくカゴに入れてしまったのは「幸福論」的な書名が引っ掛かったのだと思う。「色が黒い」と家族に言われ続けた幼少期、そして化粧への目覚め、作家たちとの交流…なかなか変化に富んでいた。『幸福を知る才能』(宇野千代集英社文庫)しかし、この本が貴重だったのは次の一節を見つけたことに尽きる。小説やエッセイでは、そんなに頻繁にはめぐり逢えない、まるで詩のような響きを持つフレーズがあった。「神さまはいるか」と題された短い文章の中で、人に愛される善良な人であっても、不幸が続いたりして嘆くことがあるけれど…といった話だ。すぐ身近なところに、気ぜわしく、神さまを探したりしてはいけない。もし、一かけらでも仕合わせになり...仕合わせはつくりごと

  • 先生が「あのね」と語ること

    コロナの予防接種5回目で会場の待ち時間に読もうかなと思い、館の新着書架で目についたこの一冊を、表紙だけ見て借りてみた。受付て早速椅子に腰かけ開いては見たものの、あまり内容が頭に入ってこず(書いていることは理解できるのだが)、ついこんな思考に…。いったいどんな人がこれを読もうとするのか?『先生のあのね』(ほたろうワニブックス)その①として「本の体裁に惹かれる者」というのはあるかもしれない。第一、自分がそうだもの。もちろん書名が語る「教師の本音」部分と相乗効果を出している。ノートを意識したデザイン、青罫線を引いた紙面にはイラストと直筆文字。活字は目次やタイトルやポイント部分で登場する。教育書とみれば斬新だ。その②として「同業者や保護者」が、仕事や子ども理解の参考にしたいという真っ当な理由で手にする場合もあるだ...先生が「あのね」と語ること

  • 初冬の独り視聴者委員会

    『独り視聴者委員会』は朝ドラ「ちむどんどん」の悪態を最後までついた以来か。春以降、惹かれる番組の数が少ないと感じていたが、10月クールのドラマはなかなか見所があるように思う。もちろん個人的所感の露出にすぎないが、同様の評価・感想を見かけたりすると、少し納得して嬉しいものだ。フジ月10『エルピス』は録画していて週遅れで見始めたがハマった。まず何かというと大友良英の音楽が格好いい。長澤まさみは好みというわけではないが、この役は似合う。真栄田郷敦も役柄にぴったり、さらに岡部たかしが絶妙だ。冤罪の行方を蛇行しながら追っていくうねった展開は、予測が少しずれて魅力的だ。フジ月9『PICU小児集中治療室』は、医療モノとしてはありがちな展開だけれど、北海道が舞台、主題歌が中島みゆきという「背景」を上手に生かしている気がす...初冬の独り視聴者委員会

  • 師走っぽい諸事日記

    12月2日(金)師走は学校関係の見学体験等が多い。小学佼から高校まで計4件。最初が今日。2年生の生活科見学の定番でもあるので、予定通りに流れていた。それにしても未明から降り出した雪が止まない。湿雪で重く、除雪車も一部しか出ておらず通りづらくて仕方ない。退勤してから、車庫や玄関前の融雪水を出すことにする。12月3日(土)朝のうち、メモしておいた図書館ブログアップ。今日は青少年健全育成大会があり朝から記念撮影、賞状伝達、発表本番と続く。10時過ぎに終了。いったん自宅に帰り昼食をとって花巻へ向かう。一年数カ月ぶりに師匠の話を拝聴。セミナーで後席の先生方の反応を耳にし現役時代を思い出す。久々の反省会が楽しい。12月4日(日)窓を開けるとJR線が見えるホテルではなかなか寝付かれなかった。それでも8時半過ぎに出発し、...師走っぽい諸事日記

  • 繰り返しに身を委ねよう

    「マンネリ」は多くの場合、否定的に捉えられる。「一定の技法や形式を反復慣用し、固定した型にはまって独創性や新鮮さを失うようになる傾向」(広辞苑)という意味を読めば、ついそう判断しがちだ。しかし居直りではなく、それで何が悪いか、とも言える。「独創性や新鮮さ」の価値はいかほどか、と考え直す著だ。『マンネリズムのすすめ』(丘沢静也平凡社新書)「バッハはなぜ偉いか」から始まる文章は、よく聴く音楽やジョギング、水泳など毎日著者自身が続けている運動のことを例に出しながら、いわば「繰り返し」の美学的な面を強調していると言える。そして「『がんばって』が挨拶として通用」する現況を、痛烈な一言で批判する。「がんばらないことが、教養なのだ。」「からだ」に対して「競争社会の競争原理」を当てはめる異常さを指摘し、近代産業社会の代表...繰り返しに身を委ねよう

  • 読み通して見える何かが

    結局、ゴダール式読書とはならないまま、ここ一週間少しでだらだら読了した文庫本たちのメモ。やはり読み通すことで見える全体像、芯は確かにあるようだ。『たった一人の熱狂』(見城徹幻冬舎文庫)堀江貴文と藤田晋が立ち上げたというSNS「755」に、著者が発した言葉をもとにした書籍化。「ユーザーと見城徹によるガチンコの人生問答」的な内容をトピックでまとめ、再構成したものだ。著者の本は何冊か読んでいるが、まあ「圧が凄い」と括ることができるだろう。それを今どきの若い世代がどう受け止めるのか。イメージは幕末期の勤王志士のようである。おそらく大きな仕事をする人の思考回路として、この考えは一つの典型ではないか。「全ては無知と無理・無茶・無謀から始まった」だからこそ切り開ける。『運命を引き受ける』(佐々木常夫河出文庫)学校に勤め...読み通して見える何かが

  • そして師走となる日記

    11月25日(金)午前、今月最後のこども園読み聞かせ。紙芝居「ないたあかおに」は迷いつつ選書したが、食い入るように見つめてくれるので、やって良かった。午後から明日のブックフェスタの準備&リハーサル。昨年まで違うのはひと月早い実施。どうやら天気の心配をしなくていいようで一安心。自分の出番も多く「ゆっくり、笑顔で」と決める。いったい何年前から変わらぬ目当てか(笑)。11月26日(土)イベントの日。近隣のコロナ感染が収まらないので、参加者数は予想通りに昨年より微減した。それでも高校生の読み手がいたり、クラフトバック作りがあったりで楽しいイベントとなった。お手玉入れという単純なゲームも良かったと思う。午後は、図書館だよりを仕上げて、イベントのブログアップをして早めに退勤する。数日、ちょっと張りつめていた気持ちが緩...そして師走となる日記

  • 不良、反骨、いやいやズボラ

    「晩秋」は暦通りに今週中盤で終わりを告げ、本当の「初冬」となるようだ。こんな読み方でいいのかという乱読法にすがって、三冊読む。『不良のための読書術』(永江朗ちくま文庫)ちょうど2000年発刊で、90年代までのことが主となっている。デジタルの勢いは留まることなく出版界を変貌させているように見えるが、それでも新刊書が「洪水状態」で出し続けられていることも事実だ。第一章「いったい誰が本を読んでいるのか」では読書に関する分析めいた内容が載っている。結論は「カミは物体だからエラい」にあるだろう。今もって「本」の存在感は残っている。そして過剰な供給状況に対応して、著者は第二章で「ゴダール式読書法のススメ」を提示する。その方式の基本とは「適当にページを開き、20ページから30ページ読む。それだけである」ということ。一つ...不良、反骨、いやいやズボラ

  • ヤバい病三昧

    先月末かかりつけへ定期通院した翌日に、町立病院の整形を受診した。5月に痛めた右足の膝部分がどうにも気になる。もちろんその時の痛みとは違うが、時折ズキンとすることがあり、何が原因なのか知りたかった。初診となるのでやはりレントゲンから…骨には異常がないのでさらにMRI検査をすることになった。じん帯か何かと予想したが、結局齢相応に軟骨が減っているだけで特に異常なしというお達し。これは喜ぶべきことなのか。結局「老化」現象の一端が痛みになるとすれば打つ手なし…「だましだまし」で暮らしていくと決意したはずの自分を励ますしかないか。そんな日々のうち、首に出来た吹き出物が腫れてきた。手元の軟膏などを塗り付けてはみたけれど、捗々しくないので皮膚科を受診することに。写真を撮られ、エコー検査をし、「切開」が妥当と判断された。そ...ヤバい病三昧

  • 食欲の秋も暮れてゆき…

    今朝もいい小春日和で、たまには「羽後の食べ人」バージョンでも書き連ねますか…このひと月ぐらいで撮っている「食」はというと、まずはひと月前に隣市の食堂で食べた「あんかけ焼きそば」。これはボリュームいっぱいで、久しぶりに一皿で満腹となった。町中華とは、最近よく言われるが、この店は自信を持って推せるな。次は、この一葉だけで、わかる人はわかる「日本一」のそば、うどんである。すぐに「自販機かあ」と気づくだろう。秋田港そばにある、例の「ドキュメント72時間」で歴代ナンバーワンに輝いたあの作品である。一回は食べてみるべきだろう。人もいっぱいだった。お札や500円玉が使えないので要注意。そして、以前書いた小旅行でのお刺身盛り合わせも載せておこう。こうしたお皿を刺身に使うのもなかなかいい。味もよろしく、ぴったり日本酒にあっ...食欲の秋も暮れてゆき…

  • 人気者を読んでみる

    だんだんと新しいモノゴトやヒトへの関心が薄れていくのは、脳の退化か。ここは意図的に直木賞作家やインフルエンサー?を読んでみようか。晩秋の夜から朝。『夜に星を放つ』(窪美澄文藝春秋)短編集だからということもあるのか、いやそれだけではない。実にすらすら読める。流れるような文体という言い方があるが、きっとリズムがいいのだと思う。(才能か秘訣か、興味あり)テーマそのものに強い個性があるとは感じなかった。しかし実際、直木賞の受賞作なので、読解力の弱い自分を露呈しただけかもしれないな。題名にあるように星や星座がモチーフや背景にある。描く風景は極めて私事、個別的な出来事といえる。ただ、それらと対照的に、あるいは饗応するように夜空に散らばる遠景を位置づけるような点が巧みでありますわな。『人生が好転する100の言葉』(ひろ...人気者を読んでみる

  • 「今、ここ」で終わるために…

    暖めておいたわけではないが、ようやく読み聞かせの機会に恵まれた『3つのなぞ』。モニターに絵を映しながら、絵本から書き写した本文を読む形で小学校6年生を相手にした。それなりの回数は読み込んだのでトチリは少なかったが、広めのホールだったので声が届いたかどうか。内容は理解できたとは思うのだが…。それにしても…とつい考えたこと。読み聞かせの時に「感想」を子どもたちに求める活動についてである。現役教員の頃から私自身は必要なし派であった。読書するたびに感想文を求めている感じもするし、読んで(聞いて)すぐに反応を求めること自体いかがなものか、と思っている。パターン化に陥っていないか。語る立場とすれば、ちょっと余韻に浸ってほしいのが正直なところである。感想を語る活動を設定する多くの学校、教員に立場はおそらく、思いや考えを...「今、ここ」で終わるために…

  • 脳は動くためにある

    この本を閉じたら、今すぐ動け!!『運動脳』(アンデシュ・ハンセンサンマーク出版)著者の提言はたった一つ。「運動をして脳の機能を高めよう」である。それについての科学的知見が網羅され、説得力の高い論述が続いている。「身体を動かすことが健康にいい」という常識中の常識を、脳に特化して語っているのか。いや、そうではない。人間の、動物の「脳」そのもの本質に直結させて、導き出す。象徴的、かつ刺激的フレーズは次の文章。「脳」の最も大事な仕事は「移動」。そう考えると、「動物」と「植物」の根本的な違いにはっと気づかされる。そして問題なのは、我々人間の多くは動かなくともいい社会を作り上げてきたことだ。ベストセラーになった『スマホ脳』と同様、ここでも繰り返されている重要な認識は「生物学的には、私たちの脳と身体は今もサバンナにいる...脳は動くためにある

  • 晩秋の乱読期に突入

    読書の秋もスパートで、時々やってくる「乱読期」に入った。『続・孤独のすすめ』(五木寛之中公新書ラクレ)先日の続編。国の政策として「孤独・孤立対策」が推進される世の中なので、この著書を読むと、何か変だという気になる。著者が強調するのは「時機相応の思想」つまり考え方が時代の状況、流れの中で変わってくるのが当然という思考だ。孤独・孤立は悪いと決めつける志向が社会にあるとすれば、それが問題であると気づく。もちろん周りの支えは否定しないが、もっと大事なのは誰しも持っている「孤独」をきちんと見つめることだ。『日本人には二種類いる』(岩村暢子新潮新書)著者には「食卓」に焦点をあてた著書があり、注目して読んだ記憶があった。この新書は副題に「1960年の断層」とあり、その年を境に日本人は「60年型」と「旧型」の二種類に区分...晩秋の乱読期に突入

  • 細く暗いぞ、立冬!

    ガラケーからスマホへの買い替えを家人に勧め、購入したものの詳しくないから悩まされた。機種変更だけでこんなに苦労するのに…。自分では普段あまり手を出さないアプリインストールを、久しぶりに行う。PPT製作のための効果音が欲しかったからだ。用途に合う玩具はないか百均に行ってみたが空振りだった。そこで検索すると、いやいやいろいろとあるものだ。広告は入るが無料だし取り合えず簡単に完了。しかし、これをスマホからPCに移す段取りがなかなか複雑で、結局は効果音の別サイトを探してそこからPCへダウンロードすることに。最初からこうすれば良かったという結論に、やはり知識・活用力不足を痛感。その自覚がありずっと手をつけていなかったWindows11の導入。詳しい方のサイトでは「早い方がよい」と奨めていたので、11月だし(笑)比較...細く暗いぞ、立冬!

  • 神々が戻る頃の日常

    10月29日(土)慌ただしかった神無月を県内小旅行で締め括ろうと計画を立てた。10年ぶりくらいの男鹿半島行きだ。注目していた道の駅はさすがに魚の品揃えがよい。日帰りなら即買いだ。宿に着き「全国旅行割」の手続き不備を言われたが、配慮してくれた。それにしてもこのクラスのホテルで、週末の客は二組5人だけである。10月30日(日)経営が変わり名称も違うが、実はこの宿は30年ほど前に泊まった経験がある。絶好のロケーション、なかなかのメニューなのに、やはりコロナ禍は大きいか。大潟村や三種町を周り、サキホコレも買い求めて(笑)次の温泉宿に…。一人旅の高齢者がレストランでタブレットを鳴らしながら食事している。まさしく老害か。10月31日(月)旅行割もそうだが各市町村の地域振興クーポンもずいぶんと役立つ。買い物はほとんどそ...神々が戻る頃の日常

  • オオカミは様々な場に…

    オオカミの登場する絵本はずいぶんと読んでいる。いわゆる西洋ものに割合として多くあるのだろう。ハロウィンという意識も多少持ちながら、月末と11月一週目で4つの子ども園をまわり4冊ずつ読んだ。オオカミの出てくる本がそのうち3冊。バラエティに富んでいるなあと改めて思う。紹介は図書館ブログの方で⇒https://ugotosyokan.hatenablog.com/entry/2022/11/03/083720最初は「おおかみだあ」。これは、「しかけ絵本」で本を傾けたり、ひっくり返したりして、楽しませる類だ。小さい版だがデータ取り込みしてモニターに映せるものではない。だから結構練習した。本をまるごと使って読み聞かせるのはタイミングが肝心だし、間のとり方なども工夫がいる。緩急を声と手と目で行う。次はなんとグリム童話...オオカミは様々な場に…

  • 神が出かけている間に

    ずいぶんと長いひと月だったように感じる。月初めは前月のコンクールまとめや掲示があり、三連休にワークショップの連続開催、翌週には三年ぶりの絵本ライブということで、その準備・運営が慌ただしかった。特に個人的に読み聞かせとブックトーク合わせて、計9回も子どもたちの前に立ったことが大きいか。何かしら役に立てることがあれば、という気持ちを仕事上で表現できるのは幸せだ。時代が激しく変化し、自分がしていることの意味づけに疑問を感じるときはあるが、結局のところ大人のエネルギーこそが、年少者の心に響くという考えに変わりはない。もっとも食い入るような子らの眼にパワーを得てのことだが。さて、実は昨日、電話で何気なく話したあることについて、久しぶりに自己嫌悪に陥った。それは他者に影響を与えるものではないが、自らの貧しさ、厭らしさ...神が出かけている間に

  • もののはずみで買う決心

    この本のキーワードは「物心」。普通に「ものごころ」と言えば「人情・世態などを理解する心」(広辞苑)を意味する。また「ぶっしん」と読めば、それは「物質と精神」(同)を表す。しかしそれらとは違う「『もの』じたいが持っている心」もしくは「所有者、製造者らの顔、匂いなど」と解し、このエッセイは書かれた。『もののはずみ』(堀江敏幸小学館文庫)「主としてフランスで出会った『もの』」たちが描かれている。読み手である自分とは縁遠いと思いながら読み進めたが、さすがの文筆家は落とし処が上手い。「時間について」と題された章に陶芸市のことが記されていて、不満を覚え、考え気づく「ありきたりのものを美しくする『時間』」という一節に、不変さを感じた。「靴屋の分別」という章も心に残る。靴屋の店先で目に留めた「古びてへたった人形」を買い求...もののはずみで買う決心

  • 歴史に学べば、見えてくる

    「歴史に学ぶ」という点で共通項があり、現状の乗り越え方について考えさせられる新書を二冊読んだ。『生贄探し暴走する脳』(中野信子・ヤマザキマリ講談社+α文庫)世界史、中世の知識がもう少しあればより楽しめたかもしれない。多様な心理模様を語る脳科学者と、イタリアと日本を行き来する人気漫画家の対談はシビアだ。「魔女狩り」を切り出しに、現代日本社会の闇を突く。人間の脳は他との比較によって楽しみを得ようとすることを止められないという結論にどう対するか。ヤマザキは異質なものに対して「まずはそれを興味深く、面白い現象として受け入れてみればいい」という。つまりは好奇心と想像力。個人的には衰えをどう食い止めるかが焦点か(笑)。「生贄」で浮かんだのは、先日NHKで放送されたドラマ『山女』。飢饉にあえぐ東北寒村で追いつめられた人...歴史に学べば、見えてくる

  • 読書の秋、息を吹きかける

    霜が降りて、いよいよ秋も深まる。読みたい気持ちの、その熾火に一息吹きかけて過ごしたい。『食堂つばめ③駄菓子屋の味』(矢崎存美ハルキ文庫)3年前にシリーズ②を読んだ時はいろいろ考えさせられた。今回の設定は少しわかりにくい気がした。「食」がテーマなので手にとった文庫だったが、美味しさがあまり伝わってこなかったからかと思う。ただ、巻末のショートショート「もんじゃの神様」はなかなか小気味いいし、「人につく食事」の深さのような想いが浮かんだ。『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽Discover)2年前に書名に惹かれて読んだ本の再読。何度読んでも「言うことはわかるけど、実際には…」と思っているようではいけない。肝心なことは「ぜんぶ」とは何か、である。この「ぜんぶ」の中身を自分が明確にできることだ。比喩としての「ぜんぶ」は、...読書の秋、息を吹きかける

  • いつの間にか二回り

    久々にコミックにハマった。そこからの、何年振りか思い出せないほどのジャズCD購入である。最初に『BLUEGIANT』のコミックを購入したのは、春にほぼ日の「今日のダーリン」を読んだからだと思う。紹介されていたのは『BLUEGIANTSUPREME』というヨーロッパ篇で、あまり考えず中古で1~5巻注文したのだった。最初それらを読み通したとき、実はそんなにぴんと来ず読み流した感じだった。ところが、8月になってからなんの拍子か読み直したとき、なんだか妙に惹きつけられた。ヨーロッパ篇を6巻から11巻まで注文し、あっという間に読みきった。そしたら、そもそもの『BLUEGIANT』つまり日本篇は読まなくちゃとなる。舞台は仙台。我が青春(笑)の地でもある。懐かしい気持ちも湧きつつ、全10巻注文して読みきる。そして、第3...いつの間にか二回り

  • 今さら、かなり重いぞ

    2019年に開催した大きなイベント二つ(絵本ライブ、朗読コンサート)は、それまでの段取りとか確かに難儀な面は多かったが、今となってみればそれほど問題はなかった。コロナ前に内諾をとった2020年の大物絵本作家さんとは、何度も延長を重ねたが結局実現できずじまい。昨年度もかなり前から交渉をして作家側も非常に積極的だったが、秋の時点で県外講師はOKが出なかった。そして今年、招聘して行うことに対して制限が緩まったが、まだまだ課題は大きかった。一つは会場確保。当初、押さえていた広い施設は何の因果か予防接種会場となりってしまい…主対象とした小学校低学年も2年生だけに絞り込み、一般参加は呼びかけない形で、それも2回に分散して行うことで準備を進めた。そして迎えた本番前日、一校から連絡があり学級に陽性者が判明、濃厚接触者も数...今さら、かなり重いぞ

  • 早送り、倍速では展望できない

    「大いなる違和感」と題された序章は、昨年3月のあるビジネスサイトのネット記事。映画等の「倍速視聴や10秒飛ばしに対する違和感の表明」は話題を呼び、賛否両論が寄せられたという。記事を目にしたのは最近だったが、読書活動推進の仕事に携わっている身として抱いていた問題意識にも強く響く内容だった。『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史光文社新書)若い世代の、いわゆる読書離れについて詳細なデータは掴んでいない。しかしよく話題になるし、勤めている図書館にあってもその傾向は顕著だ。実際に接した子たちの声を拾っても「忙しい」「面倒」が溢れる。ゲーム等も含めた映像文化に染まっていることが大きな理由だろうと感じていた。しかし、現実はその上にあるようだ。この新書に添えば、書籍であれ映像であれ、「作品」というより「コンテンツ」とい...早送り、倍速では展望できない

  • 余所人の楽しみは…

    今日で10月も半分過ぎた。半月でこれだけ読み聞かせ等を行ったのは初めてである。数え上げたら7回。内訳はこども園が2回、小学校が4回、館内が1回ということになる。もっとも2年生向けのブックトーク風絵本紹介が4回あった。それは来週のイベントへ向けて企画したもので、複数本を少しずつ読んでいくパターンだったが、それなりに新鮮だった。それにしても、数多く足を運べば、改めて感じるのは「教室の空気」の違いだ。もちろん同じ地域なわけだから、きわめて特徴的な差というわけではない。ただ、おそらくどこに居る活発な子、反応が積極的な子らに対する大人の所作によって、その場の空気が醸成されていくことには違いない。余所人で訪問者である自分は、その空気を楽しめれば理想だ。そのためにはやはりある程度慣れが必要であり、これだけ回数をこなした...余所人の楽しみは…

  • 三代(台)目の使命

    スマホに切り替えたのはずいぶんと遅い方で、学校を退職してからだった。時間はあるだろうし手慰みになるかしらんと思ったが、うまくいかなかった。買いたての頃、音声認識が通用せず笑い話になったことも思い出である。結局使いこなせないまま、といっても電話、メール、検索ぐらいはできるわけだが、4年ぐらい過ぎた。機器に飽きたということもあるし、ちょっと写真をきれいに撮りたいなという気持ちが湧いてきて、安価なモデルでと探して手頃なものを見つけた。これが2年前の6月だった。デジカメもコレクションとまでは言わないが結構あるのに、最近はスマホの方が圧倒的に頻度が高いということは、ある面では手に馴染んだわけだ。しかし、物欲とは怖いものだ。またぞろ新しいモノに手を出した。もちろん機器代金であり、それも言い訳にはなるが、それ以上の理由...三代(台)目の使命

  • 今、実っているのは何か

    この三連休は毎日午前中に2時間ほど出勤し、イベントの様子を見守った。ハロウィンパーティーと称して、工作ワークショップとちょっとしたゲームなどを取り入れた内容である。結構な時間と労力を割いて、職員が準備してくれたものだ。10月8日(土)10月9日(日)10月10日(月)まずは無事に終了し、ほっとしている。今月はこの後も大きなイベントがあるし、来月には「こどもブックフェスタ」が控えていて、図書館の落ち着いた雰囲気の裏には別のせわしなさもあるのだ。先週末からぐっと気温が下がり、秋の深まりを実感する。秋と言えば…冬が近づく、齢を重ねるとそんな思考になりがちだ。しかし、「今、実っているのは何か」を忘れず、腰を落ち着けて見つめてみたい。今、実っているのは何か

  • 抽象度の塩梅がいい本

    図書館では小さい子向けの書架に収められてしまうが、ヨシタケシンスケの絵本には「これはどちらかと言えば…」と思うものが結構ある。例えば『もしものせかい』などもそうだ。同じ出版社から発刊され、同サイズのこの絵本もそうだ。紹介されているサイトには「4歳/5歳/6歳/7歳以上」とある。「以上」だからいいのだが、幼児向けを意味している。しかしなあ、と思う。左ページに文章、右ページに絵が中心なスタイルで進む。その1ページ目が、「よのなかには、いろんなひとがいる。」描かれている絵は全員が後ろ姿。これは4歳ならば4歳なりに、18歳ならば18歳なりに受け取るに違いない。もちろん80歳であっても。結局「読む」もしくは「与える」者が何を期待するか、ということになるのかな。これは絵本全般に言えるのかもしれない。パッとみて小学校高...抽象度の塩梅がいい本

  • 密から遠ざかってはいけない

    TVニュースでドイツのオクトーバーフェストの話題が流れた。もちろん本場のそれには行ったことはないが、20年以上買い続けている盛岡のクラフトビール工場のイベントに参加したことがある。もう7年が経つ。9月の連休時だった。飲み放題はもちろんで、歌を歌い、隣席の方々と談笑した記憶がまだ離れない。楽しかったあ。それはやはり「密」だったから、なのだなあとつくづく思う。人として生きる楽しさの一部は、確実に密にある。食べ、飲み、喋り、時には肩を組み、手を握り、叩きあったりする…妙に寒くなった一日の終わりに、久々にその時のジョッキを出してみる。密から遠ざかってはいけないと、一気に飲み干してみる。密から遠ざかってはいけない

  • みそネギ、ココ始め

    BASSOどりるまん商店の中華そばは好きなので、こちらが休業中となったので本町「蔵しこ」に行ってみた。実はあまり近い距離にあるので、開いて一年過ぎたが初めて足を運ぶ。(蔵しこ自体は、ちょっと思い出深いものがあるが…)開店直後にガラガラッと戸を引いてみたら「みそラーメン」という文字が…さらに「みそネギ」もあるではないか。なんとっ。どの店にいってもかなりの確率で「みそネギ」を注文する者としては捨ておけない。1000円と値ははるが、+50円の中盛にしてもらい、届いたのが白髪ネギ好きとしては、ちょっと残念。しかしなかなか魅せるビジュアルである。実食…んーーーつ、スープはよろしいが麺が今一つ好みではない。やっぱり、普通の中華そばがいいかなというのが本音。(味噌は先週からのメニューなのでした)みそネギ、ココ始め

  • 山法師の実のように

    昨日と一昨日は午前中にこども園の読み聞かせに出向いた。昨日訪れた園では、年長組が遠足ということで、年中の子たちが聴いてくれた。年中ぐらいだと必ず黙って聞いていられない子が数人いる。しかし、それも絵本への反応であり、実はいいことでもある。帰り際に積極的に抱きついてくれたりするのも、そんな子だ。絵本や紙芝居などへの対し方は、一律である方が変だろう。それは幼児でも小学生でも同じだ。表面上はどうあれ、その姿勢だけはいつも心に留めておきたい。今年は山法師の実がたくさんついている。小鳥は啄みにやってくるし、夜な夜な狸!!も出没し、下に落ちた実を平らげている。山法師の実のように

  • 久々、独り視聴者委員会

    終了した朝ドラ『ちむどんどん』の出来が悪いと書いたのは6月。そこに絡んだら面白くそうな人物を挙げておいたのだが、その通りにはならなかった。またその後も様々なキャラクターが登場した。どう関わり合ってくるのだろうと思わせておき、素通りしてしまう展開が最後まで目立つ話だったな。いわば回収なし、アレレッと肩透かしの連続。最後はそれに慣れてしまった。「失敗作」で盛り上がるのは世の中のいじめ体質なのか。「一番嫌いなキャラクターは」というランキングまで出るのだから…。コラムニストの堀井憲一郎の記事は、全体を振り返ってよくまとめてあった。直観的な感想として「「食卓前の小さな物語」を目指していたのはたしかだとおもう。ただ、コメディ部分があまりうまく機能しなかったのではないか」とある。納得できた。夏からのクールで見続けたドラ...久々、独り視聴者委員会

  • 秋空、ヤラカシちまった爽快感

    最近は正直「慌しいなあ」と感ずることは少なくなってきていたが、ここに来て久しぶりのビジーモードになっている。そのあれこれは、実は並べるまでもないことだ。しかし、齢相応に注意力が衰えると、チョンボを誘発しそれはまた連鎖する。ああ、ヤラカシちまったと空を見上げたのは久しぶりだった。ただ、それが何か一種の爽快感にもつながっているようで笑えてくる。紹介文コンクールがあって、入選者一覧や審査員の短評を整理・清書するのは自分の役割だ。一覧を一応仕上げ、職員に確認をしてもらった。一箇所の漢字の間違いを指摘され、まずまずかと思い、図書館だよりや町広報原稿、そして賞状作りデータなどほぼ完了したときだった。優秀作品(原版)を台紙に貼り付ける段階になって、「あれ、この名前は…」と気づいたのだった。ひらがなもおぼつかない低学年氏...秋空、ヤラカシちまった爽快感

ブログリーダー」を活用して、springさんをフォローしませんか?

ハンドル名
springさん
ブログタイトル
すぷりんぐぶろぐ〜陥穽から風穴をさがす
フォロー
すぷりんぐぶろぐ〜陥穽から風穴をさがす

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用