読書録27~皐月末に読み浸る
「アルプス席の母」の筆力に惹かれてもう一冊と考えた。図書館にも近年の作品が揃っているが、検索してみたらミステリがあったので、この一冊を購入した。日本推理作家協会賞受賞作にふさわしく、読み込ませる内容・構成だった。最後の話者として設定された女性刑務官に同調していくような心持ちになった。本編読了後に、解説の辻村深月の文章にはっとさせられた。多くの読者が評した「暗い」あるいは「救いがない」という声に、異を唱えている。それは「生きる意味」を問うていたし、さらに言えば「書く意味」を自問し続ける作家の矜持を感じた。小説の読み方は自由だが、その自由とは結局自分の反映と思い知る。この書名の指す方向は何なのか。著者の本を結構読んできた者として、いくつか気づくことはある。それを具体的な語に置き換える作業を、時々してみるがいつ...読書録27~皐月末に読み浸る
2025/05/31 10:39