○6-1DeNA(25回戦:横浜スタジアム) 23年前の今日、星野仙一が神宮球場の夜空に舞った。守護神・宣銅烈がペタジーニをセカンドフライに打ち取り、立浪和義が大事そうにボールをキャッチした瞬間、ドラゴンズは11年ぶりの優勝を果たしたのである。 あれが物心ついて初めて経験する優勝だったという方もおられることだろう。かく言う私もその一人である。優勝するのに11年間もかかったのは、球団史を紐解いても'54年から'74年までの20年間に次ぐ歴代2位……。いや、歴代2位 “だった” と表現するのが適切だろう。 前回優勝から今年で11年。残念ながらドラゴンズは優勝どころか最下位という結果に沈み、待望の立…
●1-6DeNA(24回戦:横浜スタジアム) 我々は今夜、高橋宏斗が打ちのめされる光景を初めて目にしたことになる。5回6失点。エラー絡みとはいえ、4点を失った5回表の投球は集中力が切れ、ボールが制御できていないように見えた。これまで驚くべき安定感を維持してきた高橋が、このような状態になるのも19度目の先発登板で初のことだ。 DeNAとは今日の対戦が6度目となる。1勝3敗(試合前時点)と負けが先行するが、言うまでもなく味方の無援護に泣いた結果である。32.1イニングに投げて防御率1.95、奪三振率10.86、WHIP(イニングあたりに何人走者を出したかを表す指標)は驚異の0.93を記録する。 D…
慌ただしい朝だった。と言っても私自身のことではなく、スポーツ紙面上の話だ。まず飛び込んできたのはヤクルト・内川聖一、嶋基宏の現役引退を伝える記事だった。2010年代を代表する両プレーヤーの引退に、時代の移り変わりを感じずにはいられない。続いて目を引いたのが阪神・藤浪晋太郎のメジャー挑戦。新監督の内定が報じられたばかりだと言うのに、果たして球団はポスティングを容認するのだろうか? だが、一番のサプライズはその次だ。 「ソフトバンク・松田宣浩 構想外れる」ーー。 目を疑い、二度見した。松田といえば常勝ホークスの象徴ともいえる存在。巨人における坂本勇人、西武における栗山巧のようなスペシャルな選手とし…
●3-8DeNA(22回戦:横浜スタジアム) 昔ティモンズという外国人がいた。オジー・ティモンズ。5位に終わった2001年はドラゴンズの球団史でも語られることが滅多にないシーズンなので、あまり知名度の高くない選手に分類されるだろう。 前年まで在籍したゴメスの後釜として期待され、開幕戦には「4番・レフト」で出場。しかし2週間足らずで7番に降格するなど星野監督の信頼を失い、後半戦に入ると出場機会すら与えられなくなった。いわゆる “ハズレ助っ人” の一人である。打率2割代前半で12本塁打では4番と目された外国人としては寂しい数字ではあるが、このレベルの選手でさえ今のドラゴンズなら余裕でクリーンアップ…
転職で地元・愛知を離れ関東に移り住んで4年目。最後にナゴヤドームを訪れたのは2018年の10月。荒木雅博と岩瀬仁紀の引退試合の日だった。あれから4年、久々にドームへと足を運んだ。3試合連続の試合観戦は2008年9月14~16日以来14年ぶり、またカード3試合全て観戦するのは人生初となった。 福留孝介の引退試合、小笠原慎之介のキャリアハイとなる9勝目、そして大野雄大と菅野智之のマッチアップの3連戦を見届け、埼玉県の自宅へと戻ってきた。充実感を遥かに凌駕する疲労感。その裏には壮絶なドラマがあった。 これはマズい 9月18日の深夜5時前、38.2℃という数字を表示した体温計をテーブルに置き、しばらく…
○7-1巨人(25回戦:バンテリンドーム) 立浪ドラゴンズの初陣は、ちょうど半年前の巨人戦だった。3月25日の東京ドーム。奇しくも先発は大野雄大と菅野智之。新しい時代の幕開けに胸躍らせたのも遠い過去のようだ。あれから半年、ドラゴンズは最下位という順位でホーム最終戦を迎えることになった。 「秋からもう1回出直します」。試合後、満員の観衆の前で再出発を誓った立浪監督の顔にはシワやほうれい線がくっきりと刻まれ、髪にもずいぶん白いものが目立っていた。まるで玉手箱を開けた浦島太郎のような急激な変化は、それだけ強いストレスの表れでもあろう。 プロ野球監督は男が憧れる三大職業のひとつだとも言われる一方、半年…
○2-1巨人(24回戦:バンテリンドーム) 「小笠原慎之介vs.戸郷翔征」 昨夜、場内に予告先発がアナウンスされた時、中日ファンからは一様に「明日も負けだがや〜」と悲鳴のような声があがった。 勝利数、奪三振数でリーグトップに立つ戸郷を相手に苦戦は織り込み済み。ドラゴンズの勝ち筋としては、小笠原が耐えてロースコアの展開に持ち込むのみ……。グダグダだった昨夜の一戦とはうってかわり、この日は大半のファンが予想した通りの息詰まる投手戦が繰り広げられた。 予想外だったのは打線の奮起だ。2点どまりでは “奮起” と言えるのかは微妙だが、取ったタイミングがよかった。初回の先取点と、同点に追いつかれたあとの3…
●3-9巨人(23回戦:バンテリンドーム) 強い選手だった。弱音を吐いているところなど見たことがない。外野手に転向した2002年以降は球界を代表する強打者として君臨。その後、落合監督の就任と共にスタートした “黄金時代” にはリーグMVPを受賞するなど華々しい活躍をみせた。メジャー挑戦、阪神移籍を経て'21年に14年ぶりの古巣復帰。しかし今季は不振に陥り、6月以降は灼熱のナゴヤ球場で若手と共に汗を流す日々が続いた。 スターの宿命を背負い、走り続けた24年間。自らのエラーで試合に負けてもどこ吹く風という生意気な若造は、気が付けばプロ最年長選手になっていた。今夜、福留孝介が惜しまれつつも現役生活に…
○3-0東京ヤクルト(25回戦:明治神宮野球場) このごろ世間に流行るもの。56号、三冠王、マジック4にヤクルト1000……。朝、ニュースを付けたら「村上新記録なるか」という話題が流れていてびっくりした。大谷翔平ならともかく、プロ野球の一選手がこうして脚光を浴びるのはめずらしい。もはや「村上宗隆」は野球ファンの枠を越えた国民の関心事なのだ。 何日か前には「ヤクルト1000」の増産に踏み切るという記事も見かけた。物が売れない時代にあって品切れ続出の乳酸飲料は、今年を代表する大ヒット商品のひとつだ。加えて優勝目前とくれば、ヤクルト社内はさぞかし活気に満ちていることだろう。 かたや6年ぶりの最下位が…
●2-6東京ヤクルト(24回戦:バンテリンドーム) 世間で40歳手前と言ったらいわゆる働き盛りにあたるわけだが、プロ野球の世界でこの辺りの年齢は引退適齢期である。昔、和田一浩がドラゴンズでバリバリ活躍していた頃は風格が漂いまくり、誰しもが「和田さん」と “さん” 付けで呼んでいたものだが、冷静に振り返るとMVPを獲った2010年で38歳。サラリーマンの世界での38歳は、まだギリで「若手」の範疇に入る年齢だ。 引退といえば長嶋茂雄がユニフォームを脱いだのも39歳のことだった。40代になっても第一線で活躍する選手は当時はめずらしく、“不惑” という言葉を世に広めた門田博光、村田兆治あたりから徐々に…
◯5-3広島(24回戦:マツダスタジアム) 出てくる選手というのは、さほど時間をかけなくてもきちんと出てくるものだ。言うまでもなく、岡林勇希のことである。 5打席目まで併殺打を含む無安打といいところのなかった岡林だが、11回表に絶好のチャンスで6打席目が回ってきた。2死一、二塁。とはいえマウンドに仁王立ちするのは守護神・栗林良吏。そう簡単に打ち崩せる相手ではない。ただ、この回先頭の高橋周平に9球粘った末に四球を与えるなど、さしもの栗林といえどもイニングまたぎの影響は少なからずチラついていた。 直前の大島洋平に対しても変化球を叩きつけ、捕手が身を挺して止める場面もあった。結局これでカウントを悪く…
△3-3東京ヤクルト(23回戦:バンテリンドーム) 「え、勝負すんの?」 正直驚いたのは12回表、この日5度目の村上宗隆との対戦だ。このイニングさえ凌げば負けは消えるという局面。6番手・藤嶋健人がテンポよくツーアウトを取り、打席には4番・村上。5番のオスナは既に退いており、ネクストには今季2本塁打の内山壮真、ベンチでは川端慎吾が待機していた。 もし一発打たれれば致命傷に繋がるわけで、セオリーに従うならば敬遠一択だっただろう。しかしベンチは勝負を選択した。左の福敬登をあらかじめ用意し、万全の態勢でこの日最後の “神様退治” に臨んだのである。先発・小笠原慎之介がカーブで翻弄して最初の2打席こそ三…
○8-0東京ヤクルト(22回戦:バンテリンドーム) 息子がライオンズ戦を見たがっていたので週末のベルーナドームのチケットを取ろうとしたところ、目ぼしい並び席はすでに完売。ひとり席がちらほらと残っているだけだった。 あぁ、そうか。優勝を争うチームにとって、この時期は激しい首位攻防戦の佳境も佳境なのだ。秋風吹けば消化試合というシーズンを10年も続けているうちに、季節感を失っていたことにハッと気付かされた。本来ならプロ野球観戦が最も楽しい時期だというのに……。 この時期のバンテリンドームは、最終戦を除いて閑古鳥が鳴くのが恒例となっている。ところが今夜はプレイボールがかかって間もなく7,8割が埋まる活…
「よっしゃー!!」 1995年のドラフト会議にて、近鉄・佐々木恭介監督の声が会場に轟いた。しかし7球団の抽選の末、この年の目玉である福留孝介(PL学園)の交渉権を獲得したにもかかわらず、その声にはどことなく虚しさが漂う。 話題の超高校級スラッガーはドラゴンズ、もしくは巨人入りを熱望。それ以外は入団を拒否し、社会人入りする意向を表明していたのだ。 翌日のスポーツ紙には、高校の先輩・清原和博がプロ入りを勧める見出しが踊り、逸材の動向は国民的関心事となった。近鉄も必死の説得を続けたが、18歳の意志が揺らぐことはない。 「初志貫徹」 少年の拘りを思えば驚くことではない。特にドラゴンズは憧れの立浪和義が…
○3-2DeNA(21回戦:バンテリンドーム) 日々辛辣なバッシングを受け続ける立浪監督だが、若手の積極起用に関しては素直に評価すべき点だろう。誰が監督でも頭角を表していたであろう天才・岡林勇希は別として、土田龍空がショートで50試合近く先発出場という状況は、思い切りのいい立浪でなければ難しかったのではなかろうか。 怪我が惜しまれるが、石川昂弥と鵜飼航丞の起用も明確な意志を感じるものだったし、二軍暮らしが長かった石橋康太を二番手捕手まで引き上げたのも貴重な功績だ。そしてこの日久々に先発出場した石垣雅海もまた優先的にチャンスを与えられた選手の一人である。 昨年までの最多出場は2020年の25試合…
●0-1DeNA(20回戦:バンテリンドーム) なぜ投手の一世一代の好投を、高揚感ではなく苛立ちと共に見守らなければいけないのか? 完全試合をやりかけた大野雄大の時もそう。マツダスタジアムで8回途中まで無安打無失点ペースだった高橋宏斗の時もそう。そして今夜、高橋は再び偉業に向けて快進撃を続けていた。パーフェクトこそ5回表に四球を許して途絶えてしまったものの、依然として “ノーノー” は継続。投げるたびに進化するハタチの凄みにファンは酔いしれ、「今夜こそ」という期待と機運は高まるばかりだった。 しかし、どれだけ高橋が圧巻の投球を見せようとも味方が点を取らなければ水泡に帰してしまうのが野球のルール…
2006年のドラゴンズは分厚い選手層を背景として圧倒的な強さを見せつけた、と語られがちだ。まあ間違いではないし、擦りに擦られてきた「10.10」の優勝試合を振り返れば、あの年の強さはリアルタイム世代ではないファンにも容易に伝わるはずだ。 確かに強かった。あの強さは球団史上最強といっても過言ではない。ただ、決してペナントレースを “圧倒” したわけではなかった。それは優勝時期が10月10日までずれ込んだことにも表れている。それどころか、8月12日に早々とマジック40を点灯させながらも2位阪神とのゲーム差はじわじわと狭まり、9月29日には遂に後半戦以降、最接近となる2.0差まで追い詰められてしまう…
●0-5阪神(24回戦:甲子園球場) 負けた。勝野がまた負けた。いや、また勝てなかったと言うべきか。これで昨年から続く勝野昌慶の「連続先発機会白星なし」は19登板に伸びた。最後に勝ったのは昨年4月28日の阪神戦。6回1/3を無失点という文句なしの投球でチームトップとなる3勝目をマークしたのが、この日だった。 勝野のキャリア最多は2020年に挙げた4勝である。春先に幸先よく3勝したことで誰もが更新を確信し、更なる飛躍を期待した。同期入団の根尾昂があまりにも話題を集めたため隠れがちだが、勝野も即戦力と目されてのドラフト3位指名であり、3年目ともなれば二桁勝利くらいは堂々と狙ってもいい立場だ。 その…
○5-2巨人(22回戦:東京ドーム) 好投するたびに褒めるのも芸が無いが、それだけ小笠原慎之介の覚醒はドラゴンズファンにとってスペシャルな出来事なのだ。 前回のヤクルト戦では8回途中まで投げて8安打1失点と、粘りの投球で7勝目をマーク。2年連続の規定投球回到達、そして自身初となる二桁勝利も視野に入ってきた。小笠原といえば以前からビジターでの強さが持ち味だったが、今季もホーム防御率3.68に対してビジター2.24と極端な差が表れている。 この日は東京ドームの今季ラスト試合。小笠原にとってはプロ初完封を記録した思い出の地だが、今季は19登板目にして初お見えとなる。奇しくも相手先発は同じサウスポーで…
●1-3巨人(21回戦:東京ドーム) 誰にだって相性の良し悪しがあるが、それはプロ野球選手とて例外ではない。ただし彼らの場合はグラウンドでのコミュニケーション、すなわち対戦成績という形で表れる。 古くは1998年、川上憲伸が同じルーキーの高橋由伸を相手に22打数1安打とほぼ完璧に封じたことがあった。シーズン成績は両者互角ながら、この “直接対決” の戦績が決め手となり、川上が新人王を受賞。圧倒的な人気を誇る巨人の新スターを破っての受賞は、中日ファンに大きな希望と勇気をもたらした。 一方、その川上がプロ生活を通じて苦手としたのがヤクルト時代のアレックス・ラミレスだ。最優秀防御率を獲った'02年で…
◯2-0広島(23回戦:バンテリンドーム) 涙をこぼすわけでもなく、情に刺さるようなフレーズもなく。飾らず、気取らず。飄々と、淡々とした受け答え。これぞ福留孝介という引退会見だった。 多くの人たちにとってそうであるように、福留は私にとっても非常に思い入れの強い選手の一人だ。1999年の鮮烈なルーキーイヤー、'02年の松井秀喜とのデッドヒートを制した首位打者獲得、'06年の優勝を決めた一打、'07年の旅立ち、そして'21年の14年ぶり古巣復帰……。 その全てを “中日ファン” として共有できたのはとても幸せなことだし、福留は間違いなく21世紀のドラゴンズにおける最大のスターだった。 会見で福留は…
●1-3広島(22回戦:バンテリンドーム) 転がり込んだツキをみすみす手放すことほど悔しいものはない。今夜のゲーム、ツキはどう考えてもドラゴンズに向いていた。初回、岡林勇希の四球から暴投、タイムリーで鮮やかに先制し、さらに阿部寿樹も6球粘って四球。制球のままならない森翔平を攻め立て、この回いったい何点取れるのだろうかと胸躍らせたのは私だけではないはずだ。 ところが歴史的な貧打にあえぐ打線は、ここで急ブレーキをかけてしまう。ビシエド、アリエル、木下拓哉が倒れて追加点ならず。このシチュエーションで4,5,6番に回り、攻略どころか相手を蘇生させてしまう打線は球界広しといえどもドラゴンズくらいのものだ…
●2-4広島(21回戦:バンテリンドーム) 西日本スポーツが来年3月末で紙面発行休止へーー。日本列島を駆け巡った衝撃の一報はたちまちトレンド入りし、多くの野球ファンを動揺させた。 古くは1950年に一年間だけ「西日本パイレーツ」というプロ球団を持ったこともある老舗中の老舗。その後は長きにわたり西鉄ライオンズの報道を主軸に据え、'89年の福岡ダイエーホークス誕生以降は一貫してホークス情報に力を入れてきた。まさしく九州におけるプロ野球の歴史そのものとも言える存在だ。 その西スポが、他誌に先んじてウェブ一本化を図るという。新聞絶滅の危機が叫ばれるようになったのは何もここ数年というわけではなく、既にゼ…
基本的に月曜日はゲームがない移動日、と言うことで「先週のナイスプレー!」という企画を行っている。今回は8/30~9/1のDeNA戦、9/2~4のヤクルト戦の中からピックアップした。 投手部門:全球ストレート!プライドで抑えたR.マルティネス(9/4 ヤクルト戦) 首位をひた走るヤクルトの原動力となっているのは、言うまでもなく4番の村上宗隆だ。この3試合でもしっかり2本塁打を記録し、令和初の三冠王に向けて着実に数字を伸ばしている。 その村上に対して2夜連続9回の先頭打者として対峙した竜の絶対的守護神・R.マルティネス。前日3日の試合では5球ストレートで押した後、勝負球のスプリットを打ち返されてし…
○6-3東京ヤクルト(21回戦:明治神宮野球場) 狙って三振を取れる投手は強いと、高橋宏斗の投球を見ながらつくづくそう感じた。 ハイライトは4回裏だ。この回無死から2連打を浴びて失点。なおもランナー二塁という場面で打席には村上宗隆。第1打席ではストレートの四球を与えているが、ここでも無理せず勝負を避けるという選択肢は十分考えられた。いくら後続の打者が強力とはいえ、それで痛い目に遭ったことがこれまでに何度あっただろうか。 ピンチでの村上勝負が無謀であることは分かりきっている。ましてリードは1点。一発出ればたちまち逆転という場面だが、それでも高橋は果敢に挑むことを選んだ。高橋20歳に対して村上22…
○5-1東京ヤクルト(20回戦:明治神宮野球場) 人間誰しもがいずれは老いる。老いれば思い通りに身体が動かなくなり、おのずとモデルチェンジを図らなければならない時がやってくる。野球は選手寿命が比較的長い競技ではあるが、20代の時と同じパフォーマンスを30代半ばに求めるのは酷だし、スピードボールを武器とする投手は一度でも肩肘を故障してしまうと、同じスタイルをその後も貫くのはほとんど不可能に近い。 そうは言っても「スタイルを変える」というのはとても勇気が要ることだ。何しろ過去のやり方を否定するところから始めるのだから、プライドや成功体験が邪魔をして意固地になるのも無理はない。 “中年”と呼ばれる年…
●0-5東京ヤクルト(19回戦:明治神宮野球場) 「行ったああああああ」 打った瞬間それと分かる打球が夜空に舞い上がった瞬間、私の心の内では悔しさよりも何か、晴れやかさの方が優っていた。不思議な感覚だった。敵軍の先制本塁打に対して、こうした気持ちを抱くのは初めてのことかもしれない。まして消化試合ではなく、順位未確定のガチ勝負だ。本来ならあり得ない感情だが、相手チームのファンすらも魅力してしまう……それだけ村上宗隆が特別な存在だという証でもあろう。 事前の取材では「勝つためには逃げる」と宣言していた大野雄大だが、最強打者に立ち向かうという投手本能には逆らうことができなかったか。推測だが、30日の…
●DeNA(19回戦:横浜スタジアム) 雨曝しの横浜はどう考えても試合を続行できる環境ではなかったが、“大人の事情” というのはどんな時でも無理を押し通すものだ。計60分に及ぶ2度の中断を経て再開のコールがかかったとき、時計の針は既に19時を回っていた。 この調子だと試合終了は22時過ぎ。ブログを書き終えたら23時かぁ。「ジョジョ」6部を見るのは明日に延期かな……という私個人の都合なんかどうでも良くて、心配だったのは上田洸太朗の肩である。まだ19歳の上田にとって、これだけ長い中断は人生を通して初めての経験だったに違いない。 再開と中断を繰り返す不規則な状況で、約55分間の中断を経て再度プレイボ…
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