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2014/10/06

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  • ドストエフスキー『罪と罰(下)』(200~230p)

    罪と罰〈下〉(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/25マルメの妻カテリーナと家主のアマリアの口論が続く。この二人、一緒に葬式の運営をしていたのに何でこんな仲たがいしているのかよくわからない。故人と子供と来客の前でいったい何やってるんだ。唐突にアマリアの父称の話題になる。イワーノヴナかリュドヴィーゴブナなのかはっきりしないらしい。本人はアマリ・イワンだと言う。フョードロヴナやリッペヴェフゼフはどこにいったのか。メモを間違えたのか。ルージンが突然ソーニャを呼び出した意味がわからなかったが、彼の策略だったことが判明する。姑息。この雑な作戦が通るんじゃないかと思ってしまうところが残念。今までも理不尽なことを言って強引に通した経験があるんだろう。ラスコがかっこよくソーニャを助けるシーンではあるけど、そもそ...ドストエフスキー『罪と罰(下)』(200~230p)

  • 中村元『みんなが知りたい水族館の疑問50 イルカは楽しんでショーをしているか? 水槽が割れることはないのか?』

    みんなが知りたい水族館の疑問50イルカは楽しんでショーをしているか?水槽が割れることはないのか?(...中村元SBクリエイティブ2025/3/21水族館プロデューサーの著者が、水族館に関する素朴な疑問に答える本。水族館の水槽は割れないのか、どうしてシャチは人を襲わないのか、という本当に素朴なところから、水族館の水はどこからどうやって運んでくるのかという言われてみれば一筋縄ではいかなそうなところまで、色々ひとつまみずつ紹介されている。動物園のように種類ごとではなく、地域ごとに展示されているというのは言われるまで意識してなかった。海獣ショーのくだりで餌のことを代償とか賄賂とか言っていたり(報酬でよいのでは)、ちょっと筆者の言葉選びが独特な感じはあるけど、読み始めると止まらない興味深い話題が収録されている。イル...中村元『みんなが知りたい水族館の疑問50イルカは楽しんでショーをしているか?水槽が割れることはないのか?』

  • ドストエフスキー『罪と罰(下)』(140~170p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/23妹の婚約者(元かも)のルージンと、彼が後見人となっているレベジャーニコフの会話。この人、ずいぶん前に出てきたのですっかり忘れていた。ソーネチカを侮辱してカテリーナを殴ったとメモにある。酷い。そのレベジャーニコフが迷惑系インフルエンサーみたいなことを言い出している。あの女のほうから飛びかかってきた、自分はちょっと押しただけ、あいつらは最初は怒るだろうが後に利益をもたらしたことに気づくはずだ、とかSNSでよく見る残念な人のような言い回しで自己弁護をはかっている。残念男性は古今東西似たような発想になる。今だったらすぐ男女平等パンチとか言い出しそう。目くそ鼻くその二人の会話が長い。それはともかく、とかく男が突飛なことを言いがちな話なので、三人称「彼」...ドストエフスキー『罪と罰(下)』(140~170p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(110~140p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/22疑心暗鬼の殺人犯ラスコが覚悟を決めて法律家ポルフィーリイと対峙する。もう早く楽にしてやったらいいのに、ポリフィは全然ラスコを疑う様子を見せない。ラスコが動揺して不安定な状態になっても、神経症で自身が殺人犯だと妄想している人の話を始める。とぼけているようにも見えるし、まったく疑ってないようにも見える。錯乱して全てをさらけ出す一歩手前まで追いつめられるというか、ゴールまであと少しだったのに、解散になる。そして、上巻の最後でラスコを殺人犯だと喝破した町人が現れる。いよいよかと思ったら、いきなりの謝罪。上巻最後の迫力はどこへやら。話をたたもうとしたら、意外と人気が出たので引き延ばしをはかるかのような展開。殺人現場の詳細や推理の過程にあんまりついていけ...ドストエフスキー『罪と罰』(110~140p)

  • ジョン・M・チュウ監督『ウィキッド ふたりの魔女』(2回目)

    2025/3/22・2回目。今回も字幕版だけど、声出しOK上映。・シングアロング仕様。歌唱シーンになると英語歌詞が表示され、歌の進行にあわせて該当部分がキラキラする。・歌詞の日本語訳は出てこないので、すでに歌を聴き込んでいる人や、一度は別ver.で見た人向け。・歌詞は長くないので事前に調べておくべきだった。・本仕様にあわせて、開演前に、シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデによる特別映像。エルファバじゃない時はこんな感じなんだと少し得した気になる。・アトロクの映画時評を聞いて、1939年の『オズの魔法使』も見たので、少し落ち着いて見ることができた。・発声OKと言っても、一緒に唄うような雰囲気の曲でも映画でもないのでほぼ普通の映画として見る。・序盤、エルファバが崖のふちまで出てきて歌ったところで客席から最初...ジョン・M・チュウ監督『ウィキッドふたりの魔女』(2回目)

  • ドストエフスキー『罪と罰(下)』(80~110p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/21ラスコをはやく逮捕してあげてほしい。本人が苦しいのは自業自得なんだけど、真相を知らず、わけもわからず彼に振り回される人たちがかわいそうだ。このパートではまずソーニャが被害を受ける。いきなりやってきて聖書を読めと言ったり、人の信仰や人生にダメだししたり、「大きなお世話だ」ということしか言っていない。急に「きみに頭をさげたんじゃない、人類すべての苦悩に頭を下げたんだ(下82)」とか、大した親しくもない人に言われたら怖い。金を渡したことが暗に効いている。頼まれると断れない。本作に出てくる登場人物のほとんどが、有害な男性性にとらわれている。調べてないけど、そういうのと『罪と罰』の関連する論文は山ほどありそう。次にポルフィーリイのところに出向く。自首し...ドストエフスキー『罪と罰(下)』(80~110p)

  • 「苫小牧市科学センター/ミール展示館」

    2025/3/18・ウポポイついでに調べてみたら、苫小牧市科学センターの隣に宇宙ステーション「ミール」の予備機が展示されているという。入場は無料。立派。・いまはISSが有名だけど、世代的なこともあって、自分にはミールのほうが馴染み深い。・日本がバブル期のころ、売り出されていたミールの予備機を、苫小牧の建設会社が買い取ったそうだ。・勢いのある国がやることって、こういうことだと思う。・苫小牧でロケット関連の実験も行われていたそうなので、全く脈略がないわけでもない。・入館すると、別々のスタッフさんから「写真や質問OK、記念写真撮るときは声かけて」と、二回言われる。やさしい。・実際に宇宙に行ったわけでもないし、展示用に直したところもあるそうだが、行こうと思えばこのまま宇宙に行ける機体はである。すごい。・最近、宇宙...「苫小牧市科学センター/ミール展示館」

  • ヴィクター・フレミング監督『オズの魔法使』(1939年)

    2025/3/19・農家の娘ドロシーが家出して魔法の国に紛れ込んでしまい、かかし、ブリキの木こり、ライオンとともに、オズの魔法使いを訪ねる話。・タイトルロゴ、羽の生えた猿みたいな動物、気球、オズの魔法使いがハッタリをかますところ、ウィキッドに転用されている要素が多い。・悪い魔女の妹の扱いが酷い。・黒幕であるはずの悪い魔女が思いのほか前線に出てくる。遠見の水晶あるのに。・テンプレ的な悪党の笑い方。カメラ目線で笑ったり、消えるときに説明しながら消えていったり、ウィキッド見たせいもあるけど、もしかしたらこの人、真面目なんじゃないかという気持ちになる。・悪い魔女と水の関係がよくわからない。最後のほう、何か説明を見落としたのかなと思うくらい唐突。吸血鬼は流水がダメみたいなルールでもあるのかな。あんなので退けられるの...ヴィクター・フレミング監督『オズの魔法使』(1939年)

  • 「ウポポイ(民族共生象徴空間)」

    2025/3/19・2回目。1回目は寝不足で頭が回らなかったのと、近くのホテルが開業記念で引くほど安かったので、前乗りした。・10:00文化解説プログラム「ウパㇱクマ」→衣裳体験プログラム「アミㇷ゚」→10:30芸能体験「ウポポアキロ」→11:00口承文芸実演「ネウサㇻアンロ」、伝統的コタン内でここまで一気に体験する。・最初の「ウパㇱクマ」は座り歌、鶴の親が子に飛び方を教える舞踏、口琴の実演。・かなりフリーダムなお子さんが実演中ずっと座布団と戯れていたし、後ろの一般男性がずっと唸り声をあげていた。お子さんはともかく、後ろの人はなんだったんだろう。・口琴は伝統的なアナログ楽器なのに、マイクを通すと電子音楽みたいになる。ヒューマンビートボックス感。・衣裳体験もやる。前回は似合わないだけではなく、額あても曲がっ...「ウポポイ(民族共生象徴空間)」

  • ドストエフスキー『罪と罰』(40~80p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/18風向きが怪しい。ラスコの一家三人と娘の婚約者ルージンが対立。その時の社会の風潮はわからないので、侮辱した、されたという感覚が良くわからない。わからないが、たぶんラスコがややこしくしている。ルージンの言い分は身勝手だけど、ラスコに誘導されたところもあるし、自分に酔いがちな気の良い中年男性で在り続けることもできたはず。内心の描写ではなく、地の文章でルージンをなじっているのはあんまりフェアではないような気がする。実際、作者まで敵に回ってしまったら、彼にはどうすることもできない。それはともかく、「彼」という指示語、男が二人以上いると文脈で読み取りにくい。パワハラセクハラじいさんと、モラハラおじさんに言い寄られ、ふんわりした理由で人を殺してしまう兄を持...ドストエフスキー『罪と罰』(40~80p)

  • ドストエフスキー『罪と罰(下)』(5~40p)

    三浦春馬帯付き罪と罰下巻(新潮文庫ト-1-19)ドストエフスキー/〔著〕工藤精一郎/訳三浦...三浦春馬帯付き罪と罰下巻(新潮文庫ト-1-19)ドストエフスキー/〔著〕工藤精一郎/訳三...ノーブランド品2025/3/17下巻、そして第四部はじまり。古本屋でセット販売していたのをそのまま買ったら上巻と下巻でデザインが違う。内容は繋がっていたようでほっとする。スヴィドリガイロフはやっぱり妹に言い寄ってきたあいつだった。というか、ラスコを人殺しだと喝破した&夢の人間と、目の前に現れた人間は別人だった。明らかに誤読だった。加害者がしらじらしく被害者の席に座ろうとする理屈は、古今東西どこも一緒。妻は死んでいるし、彼の言っていることに一切の裏付けはない。「敵の敵は味方作戦」はラスコに通用するのか。今のところは突っぱ...ドストエフスキー『罪と罰(下)』(5~40p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(462~488p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/17上巻の最後のパート。上下巻の境目を意識しているわけではないだろうけど、ちゃんと中間地点でガツンとインパクトあるエピソードを入れてくる。つい見たばかりのウィキッドを思い出してしまう。結果、人を殺したという現実が、初めて現実としてラスコの意識上に浮かびあがってくる。今までは心身の不調として間接的に表出していただけだったが、はっきり罪悪感と自己嫌悪と保身で錯乱している。最後に出てきた名前がスヴィドリガイロフ。ドーニャに言い寄ったおじさんと同じ名前。そういえば、たしかに奥さんは亡くなったという話はあったが夫がどうなったのかは語られていない。同一人物にしても唐突な気がするが、たまたまよくある名前というのもありうるのか。最悪の運命を...ドストエフスキー『罪と罰』(462~488p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(432~462p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/15ラスコは、ラズの仲介で法律家のポリフィーリイを訪ねる。陽気なキャラで行ったら、以前かなり強めの気鬱キャラで接したザミョートフが同席していて、気まずいラスコ。極端なキャラを演じてしまうと後々つじつま合わせに苦労する。立場的にラスコを疑ってもおかしくない二人の懐に飛び込む。内心ドキドキしていると、インテリ四人で社会論的な議論が始まる。緊張と緩和。内容は正直よくわからない。ラスコが書いた論文が話題になる。彼の平凡な人間と非凡な人間の二元論は、素人目にもかなり危なっかしい。反面、雑誌に載るくらいの論文を書いていたり、ちゃんとインテリっぽいところあったんだとなぜか安心する。調子よく語っているけど、次のパートで上巻も読み終わりだし、...ドストエフスキー『罪と罰』(432~462p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(400~432p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/13上巻の終わりが見えてきた。娘の婚約者の件でラスコと母娘が対立。どうしてここまでラスコが強気なのかは理解しにくいところ。なんでもかんでも気に食わないラスコと、経済的現実的なところばかり見ている母親の間で、妹はまだバランスを取ろうとしているように見える。ラスコの反対は理屈というより言いがかりに近い。「長男」の強みなんだろうか。彼の援軍にソーニャがやってくる。彼女は、父の葬式代を出してくれたラスコにお礼を言う。苦労して手に入れたお金を、すくなくとも自分のために使ったわけではないということがはっきりする。落語の文七元結みたい。この二人がくっつくことはなさそうだが。とは言え、かなり衝動的なものだし、ラスコを信頼できるほどでもないが...ドストエフスキー『罪と罰』(400~432p)

  • ジョン・M・チュウ監督『ウィキッド ふたりの魔女』

    2025/3/14・生まれつき皮膚が緑色の女性エルファバが、学校の新生活やオズの魔法使いへの反発から、魔法の才能を開花させる話。・演劇で有名な作品とのことだけど、未見。・それどころか「オズの魔法使い」すらウロ覚えだったことに、見始めてから気づいた。・体の特性起因で消極的だった若者が、外ならぬ自身の能力で解放されていくというシンプルな話として見た。・ラジオ番組のアトロクで「元トモ」映画だと強調されていたのがノイズになってしまった。二人のシーンを観ていると頭の中に流れてもいないあの曲が流れる。・父親や黒幕組はひどいけど、雰囲気に流されるままのクラスメートもだいぶんひどい。思ったよりエルファバいじめの時間が長い。・ささいなことで距離がぐっと縮まるのは若者らしくて好き。・エルファバに対するグレンダの言動は、最初失...ジョン・M・チュウ監督『ウィキッドふたりの魔女』

  • ドストエフスキー『罪と罰』(370~400p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/12ラスコーリニコフが豹変している。薄汚い貧乏学生くずれだったのが、なんだか小奇麗になっている。ただし見た目も態度も言葉使いも表層だけ。馬脚を現すまでが早い。彼が不機嫌で周囲をコントロールしようとする人間になりかけている。みんなに嫌われるけど、本人はわりと自分の思い通りに行動できるから、改善しないどころか、どんどん悪化していく。引きこもりの息子と接するかのようにビクビクしている母親が不憫。妹は相変わらずペースを崩していない。妹が周囲の男連中を振り回している。というより、男どもが勝手に振り回されている。もう少しでラスコーリニコフと妹の婚約者の第2ラウンドが始まるのかも。それはともかく、ラスコの殺人がいつ判明するのか(しないのか...ドストエフスキー『罪と罰』(370~400p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(340~370p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/11ラズミーヒン、暴走からの反省。反省も過剰で重い。許しを請わず、行動で示そうと考えているのはちょっと見直す。無理っぽいけど。親友認定されたら面倒でも、あまり親しくない母娘から見るとかなりの善人に見えるらしく、どんどん二人からの信頼を得ていく。不安になるくらいぐいぐい食い込んでくる。息子の気持ちがわからず戸惑う母親の様子は万国共通の悩みらしい。一方で、妹のドーチャはつかみどころのない兄の言動にも振り回されている様子がない。良くも悪くも対等。妹の見た目が美しいという話が出てきたけど、ポジティブな意味には捉えにくい。美しい見た目は、良くも悪くも周囲に振り回されやすい。次のトラブルへの助走に思える。ラズミーヒンが自分のことを「ドミ...ドストエフスキー『罪と罰』(340~370p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(310~340p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/10マルメラードフ死す。ロクでもない男だったが、死んでしまうと寂しいものだ。今までより30p読み終わるのが早かった。前のパートでは、奥さんが気の毒だし、こんな状態の夫を連れてこられても迷惑だろうと思ったが、彼女は気丈だった。ラスコーリニコフのやっていることも立派だし、ちょっと捻くれすぎたようだ。ラズミーヒンが悪い。あれだけ悪事に対しては、うじうじ悩んで実行したのに、このときのラスコーリニコフは実に俊敏だった。自分に酔っている感じはあるものの、彼の本質は善なのではないかと思ってしまう。たぶん違う。ラスコとラズとの関係性はよくわからない。あそこで(人の)お金を渡してしまうところが、見栄っ張りで生活力の無さを感じさせる。第三部のは...ドストエフスキー『罪と罰』(310~340p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(280p~310p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/8ラスコーリニコフは常に自首が念頭にあるので、バレてもいいやと行動がどんどん大胆になっていく。ただ、実際に逮捕されることを自分のこととして認識できていないように見える。人殺しの妄想をしているうちに実行してしまうし、実行したらしたで心身のバランスを崩してしまう。行動の結果、自分がどうなってしまうのか、本当の意味で想像できていない。最初はラスコーリニコフの言動が不規則すぎると思っていたけど、極端な犯罪を起こすような人の行動としては生々しさを感じるようになってきた。ラスコの目の前で身投げがあったり、馬車に轢かれた人がいたり、とかく物騒なパートになっている。と思ったら、まさかのマルメ再登場。ラズのおせっかいを責め立てていたのに、まっ...ドストエフスキー『罪と罰』(280p~310p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(250p~280p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/7ラスコとルージンの対峙。何やら小難しいことを言い合っているが、結局ラスコはルージンが嫌いなので、決裂することが前提になっている。ラスコはもともと精神不安定なところに殺人やら妹の結婚やらでどんどん心を病んでいるが、気の毒とも思えない。いくらなんでも他人を巻き込み過ぎている。ラスコの地に足のついていない非合理的な手口がかえって捜査を惑わせている感じ。そこに気づくのは相変わらずの名探偵のラズ。本人もそれほど強く隠そうとしていないから、この方向でもう少し進むんだろうか。それまでの反動なのか、急にラスコは外に出てあちこち歩き始める。特に目的もない様子。目に付いた人に話しかけるし、話しかけられたら、普通に対応する。このあたりの一貫性の...ドストエフスキー『罪と罰』(250p~280p)

  • ストスパ『キロキロ』

    2025/3/7・ピン芸人、都市伝説ネタ、カラオケボックスの従業員の顔を持つ青年が、本命のピン芸ではなく、都市伝説ネタでスター発掘番組の審査を勝ち進んで葛藤する話。・カラオケボックスの一室が舞台で、彼が高校生時代に好きだった人の結婚式の二次会で使われることになる。・ほとんどの登場人物は仕事と出産育児と夢のバランスが不安定な人たちで、35歳はそういう生々しい年齢なんだと思う。ぎりぎりシンプルな恋愛が入る余地もある。・客の吐しゃ物を掃除するところから始まる。・営業の人も大変そう。ハーブの人は別途バイトもやっているらしいし、だいぶんグレー。買ってあげることがホントに応援になるのか心配。30%オフに説得力がない。・関係性が微妙になりかけている嫁に聞く質問でないのはホントそう。・大変な環境で生活を続ける人たちがいる...ストスパ『キロキロ』

  • ドストエフスキー『罪と罰』(220p~250p)

    2025/3/5だんだんラズミーヒンがうっとうしくなってくる。ラスコが避けるのも何となくわかる。特に体調悪い時に付きまとわれるのはちょっとイヤ。帽子や靴を仕立ててあげるのも本当に面倒見がいいだけなのかなんなのか。親しいらしい医者のゾシーモフにも何となく距離を置かれているように見える。ラズミーヒンは質屋の姉妹が殺された事件について自説を熱弁する。うっとうしいけど、間違ってはいない。名探偵ラズ。悪いのはラスコーリニコフだし、こんな悪党は早く捕まったほうがいいし、罪のないペンキ職人が疑いをかけられているというのに、主人公効果なのか、よわよわしい病人効果なのか、ラズが真相に近づいていくとハラハラする。いいタイミングで、妹の婚約者が訪ねてくる。ラスコがどうなってもかまわないけど、彼の母と妹がかわいそうなことになりそ...ドストエフスキー『罪と罰』(220p~250p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(190p~220p)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/4情緒が不安定ならラスコーリニコフは旧友のラズミーヒンを訪ねる。訪ねたと思ったらすぐに出ていく。施しの金を川に投げたり、情緒不安定すぎる。鞭でぶたれるのはかわいそう。彼の家に副署長がやってきて、下宿のおかみに狼藉をしているという夢。あるいは幻聴。犯罪者の器でないのがよくわかった。ほんとにどうしてやってしまったんだ。今度はラズミーヒンがラスコーリニコフを訪ねる。いいやつなんだろうけど、彼の話のなかに知らない固有名詞がいっぱい出てくる。知らない事務官と一緒に話す内容が本当によくわからない。「三十五ルーブリをあなたにお渡しすることになっています、と申しますのは、セミョーン・セミョーノヴィチがアファナーシイ・イワーノヴィチから、あな...ドストエフスキー『罪と罰』(190p~220p)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(160~190P)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/2本パートの話題は3つ。・警察署からの呼び出し。・盗品を処分する。・級友を訪ねる。ラスコーリニコフが警察署に呼び出される。精神を病むくらいビクビクしていて、いっそのこと自白しようとするが、別件だと知ってやめる。なんというか、周囲に対するの反射だけで行動しているように見える。自分の意思が感じられない。警察署に居合わせた人たちがたくさんいる。前回、登場人物をまとめたのに、まだまだ出てくる。ラスコは盗品を手元から遠ざけようとする。捨てるにしても隠すにしてもそれなりの痕跡は残る。ぐだぐだ。無事、盗品を隠してプラプラしているうちに旧友の家を訪れる。家庭教師のあっせんを頼んだり頼まなかったりする。もともと彼が大学を辞めたのは学資が続かな...ドストエフスキー『罪と罰』(160~190P)

  • 吉村愛監督『ベルサイユのばら』(歌唱付き上映会)

    2025/3/2・18世紀のフランス、男装の騎士オスカルが、自身の特異な生い立ちや、奔放なマリーアントワネット、荒廃していく民衆に翻弄されながらも、自身の正義を全うしようとする話。・フランス革命という人類史屈指の大イベントを描いた少女漫画の古典中の古典。・原作、アニメ、舞台など、色々なジャンルに翻案されているのにほとんど接したことがなかった。・それでも登場人物の役割や個性がはっきりしているし、ナレーションも手厚いので初見でも迷子になることはない。・ショックなときに目のあたりに縦線の影ができたり、眼球が小宇宙みたいになっていたりと、半世紀前の少女マンガの絵柄を前面に出す一方で、衣服などの装飾がびっくりするくらい細かい。認知できないところでも色んな工夫が入ってそう。・見せ場であるはずの歌唱はやや線が細め。・民...吉村愛監督『ベルサイユのばら』(歌唱付き上映会)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(130P~160P )

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/3/1まだまだ序盤だけど、ついにラスコーリニコフが事件を起こす。何が起きるかは知っていたのに、おまけがついていて、結局驚いてしまった。罪の上塗り。でも、ここまで読む限り動機がよくわからない。金を盗もうとしていたのはわかるけど、そこまでの執着が感じられない。金目のものなんて盗んでも換金時にバレそうだし。19世紀末のロシアの話だから、今の日本人の感覚と比べれば、死や人を殺すことが身近にある世の中ではあると思うけど、それにしても。単に自覚無く精神が病んでいるのかもしれない。妹の婚約者がかなりストレスになっていたようだし。あとは「意図せず準備ができてしまった」というのが、無視できない要素だったような感じ。千載一遇のチャンスという幻想。リ...ドストエフスキー『罪と罰』(130P~160P)

  • ドストエフス キー『罪と罰』(100~130P)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/2/28登場人物ラッシュは落ち着いたものの、新たに発覚することや思い込みによる間違いが多い。○リザヴェータ・イワーノヴナ:金貸しの義理の妹、35歳。ようやくフルネームが出てきた。○ポコレフ:ラスコーリニコフにアリョーナの質屋を教えて、ハリコフに帰った。なんだこの名前。多分、もう出てこないような気がする。リザヴェータの姉のアリョーナは時々「老婆」と書かれている。義理の姉妹とは言え年が離れすぎている気がする。昔の人は50でも老人扱いされていたというし、老婆と言っても意外と若いのかもしれない。このパートのポイントは4点。・ラスコ、馬が虐待される夢を見る。・リザヴェータという女。・ラスコ、知らない大学生と討論する。・殺人小道具できるかな...ドストエフスキー『罪と罰』(100~130P)

  • ドストエフス キー『罪と罰』(70~100P)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/2/27このパートのポイントは主に3点。・妹の婚約者に怒り心頭。・酔っ払いの不良少女と出会う。・ウォッカ飲んで寝たら変な夢を見た。主語はすべてラスコーリニコフ。彼は学生だと思っていたけど、元学生だった。こういう思い込みからくる勘違いはたくさんありそうなので、都度修正していきたい。学生時代はまあまあ優秀だったものの、友人らしい人はほとんどいなかったという。面倒臭そうな人柄は学生からのようだ。今はどうやって暮らしているんだろう。まさかほんとに仕送りオンリーなんだろうか。ラスコーリニコフが言葉を尽くして妹の婚約者に対して怒っている。執拗に否定的な言葉が続く。その理屈の妥当性は正直よくわからないけど、その熱量が逆に怪しい。自分自身の後ろ...ドストエフスキー『罪と罰』(70~100P)

  • ドストエフス キー『罪と罰』(35~70P)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/2/26最初の30Pで落ち着くかと思ったら、まだまだ人物名が出てくる。何となく読んでいたらすぐに迷子になる。○セミョーン・ザハールイチ:たぶんマルメのこと。○コーゼル:錠前屋。金持ち。○ナスターシャ:ラスコーリニコフの住む下宿の女中。○プラスコーヴィヤ・パーヴロヴナ:ナスターシャ曰く、ラスコーリニコフを警察に訴えようとしているらしい。○アファナーシイ・イワーノヴィチ・ワフルーシン:商人。ラスコーリニコフの母に金を貸した。○ドゥーニャ:ドゥーネチカ。ラスコーリニコフの妹。家庭教師もしていて浮気の冤罪をかけられた。○スヴィドリガイロフ:ドゥーニャを乱暴に扱った挙句、言い寄ってきた。のちに反省。○マルファ・ペトローヴナ:スヴィドリガイ...ドストエフスキー『罪と罰』(35~70P)

  • ドストエフス キー『罪と罰』(~35P)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社2025/2/25何度目か忘れたがまた『罪と罰』を読み始めた。忘れた序盤に戻って読み返すのがもう嫌になってきたので、30ページずつ感想を書いていくことにする。テキストは工藤精一郎訳の新潮文庫。本編は5ページから始まるので、5~35Pまで。登場人物が結構出てくる。覚えたつもりでも読み進めていくうちに忘れてしまい、無理やり進もうとすると話についていけなくなる。まずはその点を何とかするべく、ここまでの登場人物をメモしておく。○ラスコーリニコフ:本編の主人公。学生。○アリョーナ・イワーノヴナ:質屋の老婆○リザヴェーダ:(おそらく)アリョーナの妹○マルメラードフ:九等官。官吏崩れ。酒場の酔っ払い。「貧は罪ならず」というこの人が言ってさえいなければ名...ドストエフスキー『罪と罰』(~35P)

  • デビッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』

    2025/2/23・女優になるべくハリウッドにやってきたベティが、マルホランド通りの追突事故で記憶を失ったカミーラと出会い、行動を共にする話。・デビット・リンチ作品は初めて。古典感はあるけど2002年の作品。わりと最近。・好きな人の感想ですら、難解とかよくわからないとか言われがちで、自分には合わないなと避けていた。・見てみると、話の筋のようなものもあるし、身構えていたほどは混沌としていない。・考えてみると、成功しているのか失敗しているのかもよくわからない小劇場系の観念的な作品と比べれば、巨匠の代表作という一定の評価があるぶん安心感はある。・オープニングの事件に事故を重ねて混沌を上塗りしていく感じも、うまく機能している。・とはいえ、ベティとダイアン(+ファミレスの店員)の関係性とか、わからないことも多かった...デビッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』

  • THEATRE MOMENTS『フランケンシュタイン/怪物』

    2025/2/23・ビクター・フランケン博士が、自身の生み出した怪物によって大切な人々を次々と失っていく話。・前説でお客さんを交えてシアターゲームが始まる。・本作は本編への導入も担っていたけど、作品によっては、客席の空気作りのために取り入れてもよさそう。・ただ、インプロ以外ではあんまり見たことないから実際にやろうとすると難しいのかな。・舞台装置としての人体の使い方がおしゃれ。・実際に物を用意するよりフットワーク軽く色んな場所を表現することができる。深い森の表現も他の方法では難しい再現力とスピード感がある。・ただ人体の椅子は、拷問感と言うかなんというか、別の意味が生まれてしまってソワソワしてしまう。・椅子→怪物になるところもズルいと思ってしまう。・他には透明なボックスとロール状のフィルムを使用。・実際、よく...THEATREMOMENTS『フランケンシュタイン/怪物』

  • 岡本喜八監督『EAST MEETS WEST』(1995年)

    2025/2/21・1860年、使節団の一員としてサンフランシスコにわたってきた武士の上條健吉が、強盗に父親を殺されたサム少年の敵討ちを手伝う話。・チャンバラと西部劇、東洋文化と西洋文化の融合と言うとわかりやすいけど、そんな単純な構図ではない。・色々あって上條自身も追われる立場になるので、追っているのが少年の仇なのか、強盗に盗まれた三千両なのか、追っているのか、逃げているのか、案外複雑。・忍者の為次郎や、原住民の女、元士官の教師、街のゴロツキたちもそれぞれの思惑で行動を共にする。仲間とも言い難い属性の違う人たちが、真の悪党と戦うというのがおもしろい。・上條役が真田広之。立っているだけでもかっこいいし、喋っても動いてもかっこいい。白人の老婦人が「いい男だ」と言っても、違和感がない。・江戸時代末期の話なので、...岡本喜八監督『EASTMEETSWEST』(1995年)

  • 劇団なのぐらむ『SPARE ME』

    劇団なのぐらむ『SPAREME』2025/2/16店主が亡くなった小さなバーに、閉店を惜しむ人々が集まる話。こじんまりとした題材のわりに登場人物が多い。店員、元店員、建物のオーナー、遺族など、90分強で15人。話の進展よりも新しい登場人物が出てくるほうがはやい。役者さんの起用方法がとても贅沢。あらすじを見る限り、しみじみ方向の話なのかなと思ったら、それぞれが話したいことを話すし、人の話を遮りがちだし、デリカシーもないし、わりとギスギスしている。奥様連中が、関係性の近い人が集まっている場所で、亡くなったばかりの人のゴシップを想像してニヤニヤしている。残された彼女が、店を続けるのを固辞するのも当然だなと思ってしまう。たかが三十路で年齢マウントを取られるのも面倒すぎる。タイトルは「勘弁して」だけど、「予備として...劇団なのぐらむ『SPAREME』

  • 札幌座『民衆の敵』

    札幌座第62回公演「民衆の敵」2025/2/12・街の温泉施設の危険性を訴えた学者が、実の兄である町長らの反感を買い、集会で民衆の敵と認定される話。・作者は『人形の家』で有名なイプセン。・1882年に書かれた。140年以上前の作品なのに、扱う題材が完全に現役。イプセンがすごいのか、世間が進歩していないのかはよくわからない。・本作は主に学者だけど、大手マスコミの記者とか、違法建築を目の当たりにした技術者とか、パンデミックを予見する医者とか、いくらでも今の構図に置き換えられる。・一般的な民衆には、学者とインチキ学者の対立があった場合に、なかなか判別できない。・そういうときって、学者は油断しているし、インチキ学者は必死だから、逆転現象も起きやすい。・町長の主張も正直妥当性がわからない。・この傾向はSNSのある今...札幌座『民衆の敵』

  • 田中慎弥『共喰い』

    共喰い(集英社文庫)田中慎弥集英社2025/2/10表題作と『第三紀層の魚』の二作品。『共喰い』は、川辺の町で暮らす青年が、暴力と性欲で生きているような父親の影響下にいることに悩む話。田中慎弥作品は初めてだし、現代作家の純文学もほとんど読んでいない。年代的に作者の青年時代の実体験もそれなりに入っているんだろうなと思いつつ、描写の細かさと事象の非現実感とのギャップに戸惑う。陰鬱とした話だなと読んでいるうちに、後ろから表題が追いかけてくるような構成。文字だけでここまで描けるのはすごい。説明と描写はだいぶん違う。『第三紀層の魚』は、同じように少年と曾祖父との交流と別れの様子を描いた話。交流と言っても心温まるようなものではなく、他の家族との距離感の違い、人を亡くしたときの心の動きが細かく書かれている。作者=主人公...田中慎弥『共喰い』

  • アリ・アッバシ監督『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

    2025/2/10・青年ドナルド・トランプが辣腕弁護士のロイ・コーンとの出会いをきっかけに不動産業界で成功していく話。・たくさんの人が行き交うなかで微動だにせず、トランプへ視線を向けてくるロイ・コーン。いかにも運命の出会いという感じ。・こういう強調の仕方、ヒッチコックの『見知らぬ乗客』にもあるらしい。観てないけど。・最初はオドオドしていたトランプ青年が、彼の三か条の教えにどんどん感化されていく。「攻撃攻撃攻撃」「絶対に非を認めない」「勝利したと主張し続ける」(大意)・トランプが賢そうに描かれているし、特に批判的な表現も多くないので、一昔前の伝記マンガのような印象。・「自分に都合の悪い科学は信じない」と言い切ったり、女性の扱いはほんと酷いけど、今さらそれでトランプのイメージダウンになるとは思えないし。・表舞...アリ・アッバシ監督『アプレンティスドナルド・トランプの創り方』

  • ジェシー・アイゼンバーグ監督『リアル・ペイン~心の旅~』

    2025/2/7・アメリカ在住でいとこ同士のデヴィットとベンジーが、かつて祖母が住んでいたポーランドの家を訪ねる話。・ざっくり言うと、堅物の人間が奔放な人間と一緒の時間を過ごすことで影響を受ける、よくある話ではある。・祖母がホロコーストのサバイバーで、二人はアウシュビッツの収容所をめぐるツアーにも参加する。・ベンジーが奔放担当。とにかく自分に正直。その奔放さで、他のツアー参加者との距離を軽々と縮めていく。・一見、細かいところは全然ダメだが、本質をとらえるタイプのように見える。・ただ、それにしても雑なところが多すぎるし、たくさん失敗して傷ついて、このバランスに落ち着いたんだろうなという感じがする。・実際、隣にいたら楽しいけど、面倒を見ろと言われたらとてもイヤ。・その面倒を見る役が同行するデヴィット。そして、...ジェシー・アイゼンバーグ監督『リアル・ペイン~心の旅~』

  • イチニノ『千年後の冒険』

    イチニノ『千年後の冒険』(無料)2025/2/5病気を他人に引き渡す技術と法律のある世界で、病気を渡した側の女性が、渡された側の人にあいさつする話。映像内に医者が一人、舞台上に病気を引き渡した女性一人がいて会話する。加えて、作中には登場しない、話すこともできない引き渡された一人もいる。VRとして近くに存在しているらしい。無観客配信という上演形式に合わせた設定。病気を引き渡す、引き渡されるという制度がどういう事情でどういう理屈をもって成立しているのかよくわからず。それによって、だいぶん渡し手と受け手にどう感じていいのかが変わってくると思う。渡した側の女性の話し方。切実さが声に乗る感じで引き込まれる。演者は梅木沙羽さん。ただの石でも長く継承していくことで意味が生じるという考え方はおもしろい。病気を引き渡すこと...イチニノ『千年後の冒険』

  • ソイ・チェン監督『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』

    2025/2/5・香港に亡命してきたチャンが、マフィアから逃れて九龍城砦で暮らすようになるが、すぐに新しいトラブルに巻き込まれる話。・1980年代の設定。九龍城砦が立体迷宮化している。・チャンは、九龍城砦のリーダー格であるロンの庇護を受け、そこの生活に馴染んでいく。・九龍城砦には様々な事情を抱えた人々が暮らしている。無法地帯のようで、その中には秩序がある。・アクションを楽しむ映画なのかと思っていたけど、九龍城砦内部の生活描写にかなり重きを置いている。・龍も理髪店を営んでいる。叉焼丼おいしそう。・九龍城砦は行き場を失った人を受け入れてくれる場所と言われている。現実もそういう場所だったのかな。・わりと最近の話なので、九龍城砦とそれを取り囲むような近代的な建物のギャップ。この場所がやがて淘汰されていくことが予感...ソイ・チェン監督『トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦』

  • 畑博之監督『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』

    2025/2/5・ある初音ミクが自らの表現に限界を感じて若い人間の歌い手たちに教えを乞う話。・初音ミクのことはほとんど知らない。どちらかと言うとゆっくりボイス派(たぶんそんな派閥対立はない)。・SNSで結婚したと言い張る人を見て、みんなの共有財産に対してひどいことをするなあと思ったくらい。・本作では、さまざまな初音ミクとボーカロイドたちが人間たちと交流しながら、人に届く音楽を模索する。・初音ミクの協力者たちが各所で活動する群像劇のような見せ方。・人数が多いわりにアニメにしか登場しないようなステレオタイプが多く、発声や会話のテンポがなかなか肌に合わない。・ただ、そこに初音ミクのより人工的な会話が加わることでかなり緩和される。むしろ、おもしろくなる。・ただ、初音ミク以外のボーカロイドは聞いてられないくらい人工...畑博之監督『劇場版プロジェクトセカイ壊れたセカイと歌えないミク』

  • 「鳥羽水族館」

    2025/1/30・始発移動が続いたので、3日目はダラダラするぞと決めた結果、朝のラッコのお食事タイムを見逃す。・到着は10時半。ハイイロアザラシのお食事タイム。平日かつチューブトンネル調整中なのに人が多い。・続いてセイウチの解説とパフォーマンス。・伊勢シーパラとあわせてセイウチのイメージが変わる。・牙がごつくてヒゲだらけで1トン前後もある生物がとてもかわいい。鰭の拍手が極端に遅いのもいとおしい。・進行担当のお姉さんと実演解説担当のお兄さん。軽口をかわしながら進めていくスタイルが目新しい。・お兄さんはポイポイと餌を与えつつ、「20キロあげないと僕の仕事がおわりませんからね。わんこそばですね」などとベテラン芸人のような安定感。水族館とは別に何か人前で話す経験があるのかも。・女性スタッフさんも、進行の隙間に合...「鳥羽水族館」

  • 「ゼロ距離水族館 伊勢シーパラダイス」

    2025/1/30・屋内なのに土と植物が豊富で水族館の館っぽさがない。・早々にゴマちゃんタッチが始まる。どんな感じかなと思っていたら単に指定の場所に来て並べばいいらしい。・最初はそんなに人がいないのかなと思ったら、自分の後ろにどんどん列が伸びていく。単に早かっただけ。・順番がきてゴマフアザラシの背中のあたりをそっと触ってみる。濡れた毛のぐっしょりした感触。・スタッフさんに写真を撮ってもらう。一生懸命、表情を作ったが我ながら被写体として魅力がない。・アザラシのほうは子犬っぽい表情でかわいい。・アシカショーのミニプールに移動。ショーの時間ではないのに、なぜかフンボルトペンギンが一羽だけひょこひょこ出てきて飼育員さんと戯れている。・こういうイレギュラーが結構あるみたい。・ケープペンギンは土と植物の中でくつろいで...「ゼロ距離水族館伊勢シーパラダイス」

  • 「伊勢神宮(伊勢むすび工房ガイド)」

    ※正宮は写真NGなので猿田彦神社。2025/1/28・旅行の主目的ではないにしろ、伊勢にまで行って伊勢神宮スルーはダメな気がした。・そんな消極的な気持ちなのでわざわざ行って楽しめなかったらイヤだなと、プロの力を借りることにする。・伊勢むすび工房さんというプライベートガイドを予約。一人旅向けのプランと明記されているのがありがたい。一人だと頼むほうも気を遣うので。・コースは3時間。いくら伊勢神宮が広いとは言え、神社でそんな長時間何をするんだと半信半疑ではあった。・予約直後から門外漢には面倒な前後の移動手段を提案していただいて助かった。バスを調べるのは苦手。・ガイドさんは自分と同じかちょっと年上くらいの女性。関西のイントネーション。全く不思議なことはないのに全然想定していなかったので少しびっくりする。・猿田彦神...「伊勢神宮(伊勢むすび工房ガイド)」

  • 「名古屋港水族館」

    2025/1/27・中部国際空港に着いて一直線に常滑空港線に乗り込み、名古屋港水族館に向かう。・到着時点でシャチの公開トレーニングが始まっていたので、心の準備ができないまま北館スタジアムへ。・スタジアムはメインプールの他にいくつかプールがあって、このときのトレーニングは客席から離れているところで行われていた。見にくい。・代わりに巨大なスクリーンがあるので、何をやっているかはわかる。・トレーニングだから遠いのかと思って、シロイルカ系の2種類のイベントは「トレーニング」ではなく、「不思議な食べ方」のほうを選ぶ。・プールを側面からみられるようになっていて、スタッフさんがガラス越しに指示を出している。・クジラの仲間では珍しく首がカクカク動くのがかわいいし、脂肪で顔や体がぐにょぐにょしているのも愛嬌があるように見え...「名古屋港水族館」

  • グレン・R・ミラー監督『シーワールドZ』(2021年)

    2025/1/26・システムダウンで水族館内に閉じ込められた人々が、ゾンビ化した生物に襲われながら脱出を試みる話。・これから実際に水族館めぐりをするから、何かしらの関連がありそうで時間短めの作品を選んだ。・最初に巨大タコがゾンビ化して人を襲う。・このときもそうだけど、襲われている瞬間がほとんど映らない。・音楽で煽る→ゾンビ生物が映る→恐怖に顔をゆがめた人間が映る→次のシーンみたいな感じが多い。・ゾンビ生物自体もなかなか出てこない。・なけなしのCGのリソースで作ったと思われる、ゾンビワニが全く同じ動きで作中何度も迫ってくる。・タコもワニも一緒の鳴き声。・カニとヒトデに関しては、作中の活躍ぶりでも、CG的にも頑張っていたんだと思う。地味だけど。・結果、グロ描写がほとんどなく、苦手な人でもかなり大丈夫なほうのホ...グレン・R・ミラー監督『シーワールドZ』(2021年)

  • 日穏-bion-『月の海』

    日穏-bion-『月の海』(観劇三昧)2025/1/23・認知症かつ寝たきりの母と暮らす静の家に、5年前に行方不明になった兄そっくりの泥棒が現れる話。・累計は結構ありそう。・本作では、母は兄のことを気にかけていたため、偽物なのに介護の上では重要な役割を担うことになる。加えて、介護疲れ気味な静の精神的な支えになっていく。・なので、バレるバレないという話については、話の焦点にはあんまりなっていない。・バレてない前提で話は進みつつ、演技でバレているんだろうなとわかるくらいの塩梅。むずかしい。・行方不明の兄と、彼にそっくりな泥棒を同じ俳優が演じる。別人だから演じ分けはするけど、やりすぎると騙される周囲がバカっぽく見える。特にバレていないという前提なので加減が難しい。・「匿ってやるから母の介護をしろ」という展開もあ...日穏-bion-『月の海』

  • ロバート・モーガン監督『ストップモーション』

    2025/1/18・ストップモーションアニメ作家の母親を手伝う娘が、自身の表現を追求するあまり、取り返しのつかないことになってしまう話。・オープニング。娘の顔に光が当たるたびに、本人なのか母なのか人なのか人形なのかよくわからなくなっていく映像が怖い。あと、最初から目が疲れる。・彼女は、病気で精密な作業ができなくなった母親を手伝って、パペットを動かす。・母の操り人形が、人形の実物を扱う構造。そして、家族としても作家としても母親の強い影響下にあって、常に精神的な檻に閉じ込められている状態。・ご丁寧に劇中劇のストップモーションアニメも、少女が小屋に閉じ込められる話。・ワックスで作られた少女。汚いし、素直に見た目が怖い。ボコボコに殴られたような顔。・ピングーはコウテイペンギンらしいけど、ワックス人形ならフンボルト...ロバート・モーガン監督『ストップモーション』

  • 『ダイアナ:ザ・ミュージカル』(2021年)

    2025/1/16・王室に嫁いだダイアナの泥沼の結婚生活とその顛末を描いたミュージカル。・積極的に気にしたことないけど、当時は「ダイアナ妃」としてテレビから勝手に情報が入ってきたので、作品を見ると素直に「似てる!」と思える。・有名な話なんだろうけど、開始早々、プロポーズはするが、好きな人は別にいるという言動不一致な皇太子のねじれ方に戸惑う。・当然、うまくいくはずもなく後に破局する。・立場もあるのに、なんでそんなに軽率なのか理解しがたいけど、要するに彼はダイアナを大人しくコントロール可能な女だと勘違いしていたという話。・本作には彼を取り巻く三人の女が出てくる。それぞれ立場は違っていても、自分の意思や主張ははっきりしていて見ごたえがある。・「世が世なら断頭台送りだ」みたいなことを言うエリザベス女王が物騒。・反...『ダイアナ:ザ・ミュージカル』(2021年)

  • 「江別市郷土資料館」

    2025/1/15前に見た演劇作品『博士と過ごした無駄な毎日』について、もう少し知りたくなる。江別駅で降りたのは初めて。千歳川と石狩川の合流地点を見たかったが、意外と遠い。見れず。河岸の工場から白い煙がモクモク出ている。モダンな建物の郷土資料館。受付でどちらから来たのか聞かれる。親しみやすい雰囲気。受付前のホールで「むかしの衣類展」開催中。軍服でもサイズが小さめな印象。先史時代からの江別の歴史。二階の壁一面に展示されている土器。北海道は単純に縄文→弥生ともちょっと違う。というより、細分化されているのかな。ヤツメウナギが食べられるのは聞いたことあるけど、漁としても獲られていたことを知る。お目当ての木製戦闘機の資料もあった。例の腐食した金属の箱や、回収された資料と、それを転記したファイルもある。専門知識はない...「江別市郷土資料館」

  • 筒井康隆『残像に口紅を』

    残像に口紅を(中公文庫)筒井康隆中央公論新社2025/1/13・小説家の佐治が、ランダムに選ばれる一文字とその文字を含むものが徐々に消去されていく小説を書いて、作者自身がその登場人物となり、仕事や日常生活を続けようとする話。・例えば「あ」という文字が消えれば「朝」がなくなるので、「昼、夕方、夜に続く一定の時間を表現することばでさ、四季を通じて爽やかさ、新鮮さを伴うたいへん好ましい時間のこと」と言い換える。・文字に余裕のある序盤のうちは、念入りにそのルール作りに充てられている。読者の先手先手を打っている。・それでも無理はあるはずなんだけど、小説の場合、受け手は書かれていないことに意識が向きにくいという特性があるので、なんとなく押し通されている。・文字とその文字を含むものが消えていく世界に自分がいたらどう行動...筒井康隆『残像に口紅を』

  • 青年団『ちっちゃい姫とシャベルン博士』

    青年団『ちっちゃい姫とシャベルン博士』(観劇三昧)2025/1/11ちっちゃい王国のちっちゃい姫が、イチゴの呼び名をサンゴやイチヨンに変えるという話から、言葉の意味について学んでいく話。隣国の王子たちはホントにしょうもないけど、すぐに軌道修正できるのは見どころあるのかもしれない。メロンの種類や、湖、池、沼、水たまりの違い、シャベルとスコップの違いなど、意味のグループわけを紹介する。並行して、お化けがやってきて、伝統の「志村後ろ」をやったりする。子供の反応が活発で、この古典的な演出がいまだに現役で通用するというのが発見だった。そこから、お化けと幽霊と妖怪がどう違うのかという話。関係ないようで繋がっている。特別な物には別の名前が付くという話できれいにまとめられたと思うけど、子供たちにはちゃんと伝わったんだろう...青年団『ちっちゃい姫とシャベルン博士』

  • 北野武監督『その男、凶暴につき』(1989年)

    2025/1/10・暴力刑事の吾妻が、薬物取引の事件で死んでしまった同僚の仇を討とうとする話。・北野映画は好んで観ていたのに、ある意味、一番大事な作品が未見だった。・その暴力刑事を演じるのは北野武。35年前の作品なのでかなり若々しい。暴力にも説得力がある。・一方でクセのある歩き方や、くだらないジョークでニコリとしたり、ギャップ起因の愛嬌もある。・もう長いことテレビを見てなくてテレビタレントとしての印象が薄くなっているぶん、俳優としての魅力を直接感じることができる。・映っているいるだけで画面の見栄えがよくなる。・警察の同僚たちは暴力に慣れているし、何なら仕事ができる男という印象さえ持っているように見える。・酷いけど、暴力に対する認識が今と比べてはるかに甘い時代の話なので、フィクションならありそうな範囲ではあ...北野武監督『その男、凶暴につき』(1989年)

  • 青年団『ちっちゃい姫とハカルン博士』

    青年団『ちっちゃい姫とハカルン博士』(観劇三昧)2025/1/6ちっちゃい王国の小ささが不満な姫を、従者と博士がなだめようとする児童劇。姫がなぜ不満なのかを客席の子供たちに予想してもらったり、クイズを出したり、積極的にコミュニケーションをとっている。実際、子供たちの反応もいい。おおきいちっちゃい、ひろーいせまい、たかーいひくいという印象的な曲がリフレインされる。やはり児童劇に音楽は欠かせない。「サンドイッチは自由です。いくら王様と言えどもサンドウィッチの自由を奪うことはできません」という、よくわからないけど、かっこいいセリフ。姫と博士は色々なところを回って、色んなものを測る。測れないものもある。途中でまばたきガマン競争に参加したが、真剣にやったのに3秒も持たなかった。大きさはあくまで相対的なものだという方...青年団『ちっちゃい姫とハカルン博士』

  • 「札幌市円山動物園」

    2025/1/4・何回かは行っているものの、じっくり見たことなかったなとドニチカきっぷを利用して入ってみる。・北海道神宮への参拝目的で地下鉄がとても混雑している。「そんなにみんな動物園に行きたいのかな?」と勘違いしていた。・園内もそれなりに混んでいる。特に外国人と思われる人が多い。レストスペースも高確率で混雑している。・特にお目当てがあるわけではないので、正門に近い方から順番に見ていく。・旭山ほどの知名度はないが、後半ぐったりする程度には広い。ちょっと見に行く感覚だと面食らいそう。・どの館の展示も工夫されていて文字情報も多い。・おそらく前に見たのが2015年。冷凍ダイオウイカが展示されたとき。10年ぶり。・その時と比較して、やたらエンリッチメントという言葉が目に入る。最近読んだ『シャチ学』でも見た。・文字...「札幌市円山動物園」

  • 竹林亮監督『大きな家』

    2025/1/1・東京のとある児童養護施設で暮らす子供たちを年少から順番に撮影して構成したドキュメンタリー。・見たばかりのMONDAYSの監督が地味なタイトルの映画を撮ったと知って興味を引かれる。・施設がきれい。子供たちは結構しっかり食事できるし相応の学校にも行っている。自分の中の養護施設のイメージがずいぶん古臭いものだったことに気づく。・最初に、ピクサーの映画に出てきそうな見た目と喋り方の女の子が出てきて、建物の中を案内してくれる。・屈託なくてかわいい。だからこそ、不特定多数の目に晒される映像作品で見ることに後ろめたさも感じる。・親がそばにいる子役タレントならともかく、複雑な事情を抱える子供のプライバシーは別物だろうし。・作り手側はそのあたり百も承知だろうし、配慮も感じる。・この見せ方でなければ伝えられ...竹林亮監督『大きな家』

  • 『リズと青い鳥』(2018年)

    2024/12/26・吹奏楽部ののぞみとみぞれとの関係が、ソロパートの掛け合いをきっかけに崩れそうになる話。・「響け!ユーフォニアム」のほうは全く見ていない。本作を観たあとにスピンオフだと知った。・みぞれ登場からタイトルまで。大した事件がなくても、音楽と人のちょっとした仕草だけでシーンが持つ。アニメ映画らしい堂々とした冒頭。・オーボエのリードを削るところ、分解してケースにしまうところ、フルートの口元、大会が近くなると増える顧問、吹奏楽の知識はないけど、細かい情報がそれっぽくて楽しい。・床に毛布のようなものを敷くところや、糸で作業しているところも、何なのかはよくわからなかったけど、そういうもんなんだろうなという感じがする。・登場人物が可愛らしくて小奇麗な女子高生しか出てこないところは、作り手の好みが表に出過...『リズと青い鳥』(2018年)

  • 竹林亮監督『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022年)

    2024/12/26・広告の下請会社のスタッフたちが、修羅場の一週間のタイムループから抜け出そうとする話。・評判がいいのは聞いていたけど、タイムループものはかったるいなって思って敬遠していた。・見てみると確かにテンポがいい。映画好きの社員が即座に解決に向けて仮説を出してくるし、見せ方も二回目以降のループはだいぶん端折ってくれる。・社畜らしくみんな目は死んでいるし得手不得手はあるけど、それぞれ頭がよく、計画を邪魔してくる身内がいない。気持ちよく見られる。・全体の尺が82分。軽い。・「考えようによっては、うまくいくまで仕事を何回でもできるってことですからね」と、タイムループ脱出を目指しながら、仕事の精度をどんどん上げていく人。・スライドのシーンで笑ってしまう。・ちょうど全体の半分くらいで新展開が始まる。・キー...竹林亮監督『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022年)

  • 村山司『シャチ学』

    シャチ学村山司東海教育研究所2024/12/23シャチを見る機会がありそうなので読んでみる。海獣類全般の紹介、シャチとはどのような生物か、人間とのかかわりなど。素人向けに細かく項目を区切りながら解説してくれるので、とても読みやすい。海牛類のジュゴンとマナティがごっちゃになっていたので違いを説明してくれてよかった。水族館の話で環境エンリッチメントという言葉が出てきた。いくら動物でも、場所と食べ物だけ与えていればいいというものではない。シャチならシャチなりに野生の環境に近づけないと、異常行動の原因になる。AOAOのペンギンを思い出す。ずっと屋内の閉鎖空間にいるから心配されがちだけど、足場や照明で変化をつけようと工夫している。それで十分かはわからないけど。シャチが遊んでいるように見える行動が人間の感覚で遊んでい...村山司『シャチ学』

  • 野村大×上田龍成×長谷川恒希合同公演「ショートプレイバック ’24」

    2024/12/2030分程度の短編演劇と幕間の映像によるショート企画。長谷川恒希『市長選』・市長選にジャンボタニシ撲滅を公約として立候補した根本氏の妻が、田んぼで実際にジャンボタニシを駆除しつつ、自ら演説したり夫のフォローをしたりする話。・ジャンボタニシの語感はファニーだけど、外来種の問題はわりと深刻なので茶化しにくい話題だったりする。・撲滅への抵抗感に対しては外来種を駆除しないと在来種に悪影響が出る話をしてほしいなとか、現職がその公約をもらっちゃえば根本氏の票も取り込めるなとか、ワンイシューで戦うなら市長よりも市議会議員がいいのではとか、わりとまじめに考えてしまう。星くずロンリネス『ポーキーポーキーズ』・彼女と同棲中の男が、彼女の出張をきっかけにパチスロ形式で自身の残念な秘密が明かされていく話…でいい...野村大×上田龍成×長谷川恒希合同公演「ショートプレイバック’24」

  • ウディ・アレン監督『レイニーデイ・ イン・ニューヨーク』(2019年)

    2024/12/20・地方の大学に在籍しているギャツビーが、そこで知り合った恋人アシュリーと一緒に、地元のニューヨークに戻ってきて自らの人間関係を整理する話。・彼は、頭がよく金持ちの家に生まれ育ちがいい。賭け事に強く、ピアノも弾ける。彼女も家柄よく美人。演者はティモシー・シャラメだから見た目も完璧。・必ずしも誠実な人間とも言えず、とても共感できる要素のないはずの人間なのに、見ていて不思議と嫌な感じはしない。恋人のアシュレーも同じ。・恵まれている人にも恵まれている人なりの苦労があるという単純な話ではなく、全体に漂う「人間とはこんなもの」という諦念、人間を俯瞰で見ている感じが強い。・アシュレーの行動も不用心すぎるけど、スター俳優に抱かれる千載一遇の機会があったら、恋人がいたとしても、いっぺん抱かれてみるかと思...ウディ・アレン監督『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2019年)

  • 小泉徳宏監督『線は、僕を描く』(2022年)

    2024/12/16・巨匠のもとで水墨画を学ぶことになった大学生の霜介が、作品との向き合い方や一門の人々との交流を通して、自身の忘れがたい過去を乗り越えていこうとする話。・10分に1回以上は何かしらの事件が起きる。多少の唐突さは引きに利用している。会話の中の話題をあえて完結させず中だるみを避ける。・見やすさに特化したテクニックが満載で、エンタメとしての完成度が高い。・三浦友和、横浜流星、清原果耶、江口洋介、主軸の配役の的確さに凄みを感じる。・特に江口洋介の江口洋介力みたいなものがさすがだった。気のいいおっちゃんから気鋭の存在まで、いつもの江口洋介のままで役割の変化に完全に対応している。・筆で線を引くというフィジカル要素の強い描写を、少なくとも素人目には嘘臭く感じさせないように見せてくれる。どういうバランス...小泉徳宏監督『線は、僕を描く』(2022年)

  • リチャード・カーティス監督『ラブ・アクチュアリー』(2003年)

    2024/12/16・クリスマス時期に複数の男女が概ねカップルになる話。・各人の出会いとその関係性を描きつつ、それぞれのエピソードがふんわり関係しあうおしゃれな構成。・出会いは素晴らしいと臆面もなく言う話でもある。・世の中はそんなに単純なものではないけど、クリスマスだし、フィクションなんだし、たまには無邪気に世の中を肯定していこうという意気込みを感じる。・構造そのまま真似して別の何か作れたらよいけど、日本人でやると生活感が強くなりすぎそう。・庶民的な首相。アメリカに毅然とした態度をとることで人気が出る。ということは、現実の首相はそういうことができてないということなのか。・セックスシーンの段取りを確認しながら世間話をする二人の独特の距離感が好き。全体的にほどほどに下品なのもいいバランス。・セックスしたいだけ...リチャード・カーティス監督『ラブ・アクチュアリー』(2003年)

  • 森田芳光監督『家族ゲーム』(1983年)

    2024/12/14・家庭教師が担当の中学三年生を指導して地域トップの学校に合格させる話。・原作は柳美里だとずっと勘違いしていたが全然違う。・主演は松田優作。薄気味悪い家庭教師役。・父親役が伊丹十三。斬新なキャスティングだと思ったら、当時はマルチタレントだったようで、映画を撮り始めたのは本作出演のあと。・空宙空地の短編『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常』で関戸さんがちゅうちゅうしていた目玉焼きのオマージュ元をようやく見れた。・本家では言い返せてなかった。気の毒。・森田芳光監督の代表作と言われているけど、公開当時の時代感覚が絶妙に肌に合わない。・家政婦扱いの専業主婦、暴力をふるう家庭教師、セクハラ味の強い身体接触、不機嫌を垂れ流す体育教師。・意図的に気持ち悪さや斬新な表現を狙っているのはわかるけど、そ...森田芳光監督『家族ゲーム』(1983年)

  • 中村 眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』

    なんでそうなの札幌のカラス中村眞樹子(NPO法人札幌カラス研究会)北海道新聞社2024/12/13カラスに昼ご飯を奪われたり、何かと嫌がらせを受けがちなので読んでみる。著者はNPO法人札幌カラス研究会の主宰で、札幌で生まれ、18年間札幌のカラスの観察と記録を続けていたそうだ。初心者向けに限ってもカラスの本はたくさんあるが、札幌に特化しているのは著者の本だけだと思う。当たり前のようにすすきのや中島公園、豊平川河川敷、北大植物園など、馴染み深い地名が出てきてイメージしやすい。植物園や道庁前がねぐらになっているのはわかりやすい。たしかにあのへん、夜間は締めているし寝やすそうだ。カラスの寿命が10~30年くらいはあるというのは初めて知った。ゴミをあさっているところから、なんとなくカラスは不健康=短命という偏見を持...中村眞樹子『なんでそうなの札幌のカラス』

  • 「ブルーピリオド展 アートって才能か?」

    2024/12/6・マンガ『ブルーピリオド』の東京藝大受験編がテーマ。・白い恋人パークの隣にある別館。初めて行った。・マンガは今ある分は全部購入して読んでいる。・入場特典はネームのポストカード。あとは受験票を模したもの。「最後に合格発表がある」と言われたけど、番号は覚えているのでどうなるかはわかる。・作中、実際の作家や芸大生の作品が利用されているので、展覧会なら、その実物や複製品を見ることができる。他のマンガにはない特徴。・重要な位置づけにある天使の絵と溶鉱炉の絵はインクジェット出力による複製。・複製も質は高いようだけど、実物は違うと思えるのか、そうでもないと思うのかは気になるところ。・溶鉱炉の絵の隣にある、作中ではダメな例として登場していた丸い口の油絵は実物だった。・丸い口に合わせられた横線と縦線がナイ...「ブルーピリオド展アートって才能か?」

  • 「札幌市豊平川さけ科学館」

    2024/12/5今は北海道内の水族館をスタンプラリー感覚でめぐっているが、そういえば札幌市内にまだ行っていない施設があった。芸術の森帰りに立ち寄ってみる。展示物は結構しっかりしているのに、なんと無料で入れる。それほど大きな施設ではなくて、12月で雪も積もりかけているような時期なのに、ちゃんと泳ぐ鮭と鱒が見られる。思っていたより展示されている鮭と鱒の種類が多くてびっくりする。ただ、同じ種類でも呼び名が違っていたり、成長度合いで名前が変わったりで覚えられそうにない。ここ半世紀ほどの豊平川に鮭を遡上させようとする運動が10分ちょっとの映像で見られるんだけど、普通に勉強になる。稚魚がなかなか取れず、千歳川に依存している現状も、教えてもらわないとわからないところ。今すぐ何かがよくなるようなことでなくても、地道に活...「札幌市豊平川さけ科学館」

  • 「ロートレック展 時をつかむ線」

    2024/12/1・ロートレックは1864年生まれで1901年に死去。・拠点はフランス、パリのモンマルトル。歓楽街の歌手や芸術家を題材にした作品が多い。・同じ時代や地域で活躍した画家はたくさんいるが、その中でも独特の立ち位置にいる。と思う。・今回も山田五郎さんの動画を見て臨む。・若くして大腿骨の骨折という大怪我により、父親のような軍人になることができず、絵に熱中する。・両大腿骨の骨折と言うから、大きな一回の事故でそうなったのかと思っていたら、異なる時期に左右それぞれの大腿骨を折ったらしい。そんなことあるのか。・若い頃からの素描が多く展示されている。・動物画家のルネ・プランストーに師事しているせいか馬の絵が多い。当たり前にうまい。単純な線で躍動感のある動き。・約150年前の異国の鉛筆画なのに、どことなく既視...「ロートレック展時をつかむ線」

  • yhs『四谷美談』

    2024/12/1・歌舞伎俳優の伊右衛門が、元恋人への愛に執着する妻に苦しめられる話。・同じ演目で3回目の観劇。2013年と2016年。・断片的な記憶はあるもののほとんど覚えていなかった。新鮮な気持ちで人間関係の把握に難儀する。・前回までは客席が舞台を挟む変則的な形式になっていたけど、今回は一方向で目に付くのは映像用のスクリーンのみ。余計な飾りつけはない。内容勝負。・伊右衛門役が能登英輔くん。今まであまり感じたことのないタイプの貫禄を感じる。影のある渋さ。・岩→祝への役名の変換が好き。・ギャグでお客さんを映像に慣らしてから、本命のシーンをぶち込んでくる。細かいことだけど手際がいい。・敵役の与茂七役を演じた佐藤亮くんをはじめとして、新しく加わったメンバーはみんな好演だったと思う。・与茂七が死んでから次のシー...yhs『四谷美談』

  • 劇団・木製ボイジャー14号『ドララ・キュララ』

    2024/11/30・札幌から離れた小さな町で、吸血鬼による多数の失踪や殺人事件が起き、住人たちが混乱する話。・中心人物は大学で知り合って長く親友関係にある女性二人。演じるのは寺地ユイさんと山崎亜里沙さん。・以前、二人芝居を書いたことのある二人。久々にコンビで見られて懐かしい気持ちになる。・複数のカラフルなボックスが並ぶ舞台美術がきれいで、特に十字架型の装置はモチーフに密接に結びつくだけでなく、自動車やベッドにもなる。汎用性が高い。・ドラキュラという、たぶん世の中で最も有名な架空の存在が題材。・本作のドラキュラ観は、どちらかというと悲劇的な存在として描かれているようにも見えるけど、そうでもない者、全然そうでもない者もいて、どう受け止めていいのか迷う。・少なくとも三人の吸血鬼が出てくるけど、それぞれ全然ジャ...劇団・木製ボイジャー14号『ドララ・キュララ』

  • ゲイリー・マーシャル監督『プリティ・ウーマン』(1990年)

    2024/11/27・実業家の仕事人間エドワードが、娼婦のヴィヴィアンと一緒にいるうちに人間らしさを取り戻していく話。・今まで見てきたどのリチャードギアよりも若い。・ヴィヴィアン役はジュリア・ロバーツ。もともと娼婦にはあんまり見えないんだけど、素っ頓狂な衣装や動物みたいな行動で育ちの悪さを表現していた。・たしかにあの衣裳はどんな人でも娼婦っぽくしてしまう。かっちりしたホテルの人々とのギャップが激しい。・格差そのものという序盤の絵面が痛々しい。・シンデレラのハリウッド版と言われがちな作品だし、実際、底辺女が資産家男に見出されて幸せになる。・価値観の違う二人が交流してお互いに影響を受け合う話という言い方はできる。・彼女は服装や仕草のような表面的な変化で、彼のほうは精神面の変化。・とは言え、エドワードの財力が前...ゲイリー・マーシャル監督『プリティ・ウーマン』(1990年)

  • ロジャー・ミッシェル監督『恋とニュースのつくり方』(2010年)

    2024/11/19・人気低迷中のモーニングショーのプロデューサーになったベッキーが、偏屈な老ジャーナリストをメインキャスターに据えて、立て直しを図る話。・脚本家が「プラダ~」と同じというのは知っていたので、ちょっと身構えながら見始める。・どちらもホーカーホリックな若い女性がクセの強い年寄りに振り回されながら自らの地位を確立していく話なんだけど、プラダの時のような嫌な感じがしない。・たぶんファッションと報道の違い。同じ生き馬の目を抜くような業界でも、ニュースと言うくらいだし、報道は事件を追うリアルタイム性が本質にある。・半面、ファッションの多忙さは業界内部の自家中毒感がある。・もう荒み切った番組制作現場の雰囲気。・「次は歌うのか」というセリフ好き。・『王様のレストラン』と似た雰囲気を感じる。・ヒロインが有...ロジャー・ミッシェル監督『恋とニュースのつくり方』(2010年)

  • パブロ・ベルヘル監督『ロボット・ドリームズ』

    2024/11/14・主人公と通販の人型ロボットが仲良くなっていくが、いろいろあって離れ離れになってしまう話(ネタバレ回避のふんわりあらすじ)。・ごくシンプルな絵柄の長篇アニメーション。・ロボ以外の登場人物は擬人化した動物。・主人公は犬。表札はDOG。・うれしくなると尻尾をフリフリするのかわいい。・ただ犬要素が話に関わるのは海開き後の砂浜だけ。・見た目は動物でほぼ衣服を身に着けていない。・ギャグっぽく見せてはいるけど、海のときだけ水着をつけていたり、グンゼっぽいパンツが干してあったりするのを見ると、この世界の衣服の概念がよくわからない。・食料事情も。肉とか食べるのかな。・主人公はどうやって生計を立てているんだろう。・『オッドタクシー』みたいに、擬人化に意味があるような作品のほうが異端だとは思うけど、以降の...パブロ・ベルヘル監督『ロボット・ドリームズ』

  • ローレン・ワイズバーガー監督『プラダを着た悪魔』(2003年)

    2024/11/13・最高峰のファッション誌で働くことになったアンドレアが、激務に適応していくにつれ、元々の自分らしさを失っていることに気づき、最後にある決断をする話。・何かを得て何かを失う話の亜種。・絶対的な権力者ミランダの存在が強力で、すべてのスタッフが彼女に合わせて行動しなければならない。・抑揚のないポソポソした喋り方の威圧感。・アンドレアも彼女の仕事のサポートはもちろん、飲み物の用意から娘の機嫌取りまで何でもやる。・世界中に働きたい人がいる職場で、代わりがいくらでもいるのはわかるけど、雇っては潰すような新人の扱い方って本当に効率がいいんだろうか。・アンドレアが、ファッション誌で働く以上、きちんとファッションに向き合う姿勢が大事なんだと気づいてから、一気に見た目がきらびやかになる。・いろんな服装でさ...ローレン・ワイズバーガー監督『プラダを着た悪魔』(2003年)

  • ロバート・ルケティック監督『キューティ・ブロンド』(2001年)

    2024/11/12・金持ちで容姿も派手なエルが、政治家志望の元カレとヨリを戻すため、彼と一緒のハーバード大学のロースクールに進学して大活躍する話。・あらすじを書いてみるとスッカスカな話に思えるが、女性蔑視という裏テーマがあって油断ならない。・エルがフラれたのは、金髪でスタイルもいいという見た目が代議士の妻にふさわしくないという理由。・SNSで「容姿の良い女性は男からチヤホヤされて得だと言われがちだが、むしろハイリスクハイリターンの人生を強要されるから大変なんだ」という投稿を見た。・自分には縁のない話だけど、好きでもない男に付きまとわれる煩わしさや危なさぐらいなら想像できる。・本作では、「金持ちで容姿がいい女は頭が悪い」という身もふたもない偏見がベースになっている。・エルの派手さは学問としてファッションを...ロバート・ルケティック監督『キューティ・ブロンド』(2001年)

  • 安田淳一監督『侍タイムスリッパー』

    2024/11/11・幕末、会津の侍である高坂が、闇討ちのさなかに140年後の未来に飛ばされ、時代劇の斬られ役に転身する話。・本物の侍がタイムスリップして、現代の時代劇に紛れ込むというコンセプトは誰でも思いつく範囲。・アイディアは凡庸でも具現化するのは簡単ではない。・時代劇の役者と140年前の侍を、フィクションの枠組みなかで差別化して見せなければいけない。・そのあたり、主演の侍を演じた山口馬木也さんの演技力で何とかしていた。・最初はメイクと衣裳の違いでわかりやすいけど、だんだん生活に馴染んできて、髪の毛、服装、行動までも現代化していくので、どんどん演技の難易度が上がる。・髪の毛も服装も行動も現代人なのに、それでも幕末の人っぽい雰囲気を残せるのがすごい。・本物の侍→時代劇の斬られ役に転身という、話の根幹部分...安田淳一監督『侍タイムスリッパー』

  • 「宗谷丘陵フットパス(ロングコース)」

    2024/11/3・宗谷丘陵フットパスのロングコースに臨む。・フリーペーパーの「稚内の楽しみ方50」で詳細を知った。この冊子の情報は意外と参考になった。・宗谷丘陵は、約1万年前、氷河期の凍結と融解の繰り返しによって形成された。・明治期の山火事で森林が失われたことにより、起伏の激しい丘陵風景をダイレクトに楽しめる。・個人的には氷河期跡にそそられる。・ロングコースが11㎞で約4時間らしい。観光名所「白い道」もコースに含まれる。・結論、歩いてみたら2時間半くらいだった。・休憩時間を含む目安だと思われるけど、歩いている間、休憩するような場所はほとんどなかったような。・終盤の「白い道」を除いて、すべて舗装されている。アップダウンはあるものの極端に険しい道はない。・天気は曇り。風を遮るものがないのでやや寒い。・旅館に...「宗谷丘陵フットパス(ロングコース)」

  • 「わっかりうむ ノシャップ寒流水族館・稚内市青少年科学館」など

    2024/10/30・深夜バスで稚内へ。バスターミナルから徒歩で北上し「ノシャップ海流水族館」に行く。・到着早々、アザラシorペンギンのショーは10月初旬に終了していたことが判明。いきなり誤算。・飼育員の方がアザラシに取り囲まれながら餌を与えているところは見られた。・餌くれるまで離れてぼうぼう鳴いている(そしてなかなか餌をくれない)アザラシが切なくてかわいい。・餌の時間が終わるとみんな水に潜る。解散のスピードが早い。アザラシにとっては地面より水の中のほうの居心地がよいらしい。・フンボルトペンギンは二羽だけ展示。子供アザラシたちと一緒に、小さめのプールでたたずんでいた。・そのプールには、滑り台や、バスケ風のゴール網とボールもあったが、もう今期は使われない。哀愁。・もう一つの売りである回遊水槽では、イトウとオ...「わっかりうむノシャップ寒流水族館・稚内市青少年科学館」など

  • ブライアン・デ・パルマ監督『キャリー』(1976年)

    2024/10/22・日常的にいじめと虐待を受けている女子高校生キャリーが、参加したプロムで大変なことになる話(一応ネタバレは回避する方針)。・北大の北図書館で視聴したので、冒頭のシャワーシーンがとても気まずい。・後半の布石とはいえ、いじめが直接的で不快。「もう最後わかるよね?」という作り手の目配せを感じる。・生理を知らず、半狂乱でクラスメイトに助けを求めるシーンが痛々しく、それに対する反応も酷い。・自分の恋人にキャリーを誘わせて、プロムに連れ出そうとするスーの気持ちが全くわからない。・特に彼女が心変わりするようなシーンもなかったし、嫌がらせチームの準備シーンと並べて見せられるので、当然共謀していると思っていた。・先生が疑っていたのも理解できるし、一緒に「なにとぼけてるんだ」という感じ。・なので、最後のと...ブライアン・デ・パルマ監督『キャリー』(1976年)

  • 劇団words of hearts『博士と過ごした無駄な毎日』

    2024/10/18・戦時中、江別で木製戦闘機の開発に携わった人々が満足な成果を得ることなく終戦を迎える話。・初演も見ているので、同演目二回目の観劇。・「博士」は当時作られていた戦闘機の愛称。・「無駄」というのは、実戦に間に合わなかったという時期の話でもあり、木製戦闘機で戦おうとする発想そのもののことでもある。・戦争の悲惨さをセンセーショナルに見せるような作りではなく、地続きのはずの戦場と目の前の作業に追われる日常との乖離を見せる方針。・戦場で肉親が死んでも死んだという情報しか残らない。・大規模な自然災害もそうだけど、誰でも有事に直面するまでは平時。ネット社会の現代ですら、平時に有事のことを想像するのは難しい。・滑走路を組み込んだ美術がかっこいい。上部のガラス部分の曇りも味がある。高村由紀子さんの舞台美術...劇団wordsofhearts『博士と過ごした無駄な毎日』

  • 北星学園女子高等学校『ホット・チョコレート』

    2024/10/15・自分の詩に曲をつけてくれた親友が転校することになり、引っ越しの荷造りを手伝っているうちに、自身の環境の変化を受け入れていく話。・今の生活が充実しているほど、その時間を失うことが怖くなってしまうことはある。・特に大人と比べるとタイトな時間制限のある高校生(or高校生経験者)は共感しやすい題材だと思う。・平凡と言えば平凡な題材でもあるので、どうやって表現するかが腕の見せどころ。・本作では、直接的な表現や大袈裟な事件などは採用せずに、親友の引っ越しだったり、幼馴染に彼女ができること、進路とジェンダーギャップ、昔のままではいられない環境を丁寧に表現していた。・ほとんど「時間が過ぎゆくのが寂しい」だけで説得力のある一本の話ができている。強い。・微細な心理表現が必要な主役の二人が好演だった。・演...北星学園女子高等学校『ホット・チョコレート』

  • 山口香『スポーツの価値』

    スポーツの価値(集英社新書)山口香集英社2024/10/14柔道家であり、日本オリンピック委員会の理事経験もある著者が、スポーツにはどのような価値があるのかを考察した本。山口香さんは、権威のかなり近いところにいるわりに言動が共感しやすい人というイメージ。実際、JOC内部の人間でありながら、東京五輪関係で真っ当な発言をしていた記憶もある。2021年6月までJOC理事だったそうなので、本当に色々あったんだろうなと邪推する。女性が柔道をやること自体おかしいという時代から柔道をやっていたこともあって、理不尽な状況には敏感に反応できている感じが頼もしい。日本人選手への過剰な注目、旧体育会系的思想からの脱却、差別とアスリートの社会的発言についてなど、内容自体にはそれほど新味はないけど、こういう立場の人が発言することに...山口香『スポーツの価値』

  • 札幌西高校『誰そがれ』(たれそかれ)

    2024/10/11主人公が母親の残した数々の写真を見つけて、友達と撮影された場所を探す話…だと思うけど、仕事で3分くらい開演に遅刻してしまったので違うかもしれない。主人公とその友達、若いころの母親とその親友、二組のシーンを交互に見せる進行。転校なんてどこにでもある別れだけど、だからこそ平凡な日常を特別なものに変える写真という媒体に意味が出る。演出効果や舞台美術にこだわりを感じる。スマホのタップ音まで出しているところ初めて見たかも。写真を飾る複数のハンガーラックも、教文の広い舞台をしっかり彩っていた。ホリ幕を使った照明効果は高校演劇で多用されがちだけど、その中でも見せ方がうまい。花火も見られるとは思わなかった。憧れの作家先生とあった時のリアクションより、シシャモについて語るときの熱量が高くてそれでいいのか...札幌西高校『誰そがれ』(たれそかれ)

  • 阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

    2024/10/10・殺し屋女子のコンビが、出張先の宮崎でモグリの殺し屋を粛清しようとする話。シリーズ三作目。・殺し屋としての有能さと、それぞれ違うベクトルで世間に馴染めないというギャップのある二人が、お互いの弱点を埋め合うように暮らしている。・今回は主張先が舞台とあって、殺し屋としての仕事シーンが多く、日常要素は抑えめ。・それでも打撃、関節、乱戦、タイマン、銃に刃物、色々なバリエーションでアクションを楽しむことができる。・特に刃物を使った戦闘は見ていて本当に緊張する。・スピード感は他と変わりないし、他の戦闘シーンの撮影より事故率が高そうな感じがしてしまう。・まひろ役の伊澤彩織さんは、実際に動きが早いし、体格のいい男性と一対一で戦っても遜色なく動ける。ここまで戦闘に特化している役者さんは少ないと思う。・年...阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれナイスデイズ』

  • KUROGOKU『DOLL』 《Team R》

    KUROGOKU『DOLL』《TeamR》2024/10/6・宿舎のルームメイトになった高校生五人が入学して高校生活を送り、結果入水事件を起こす話。・1983年の戯曲。もう古典と言ってもいい有名作だけど、上演しているのを見たのは初めて。・年代は作中でも言及される。・今は技術の変化が目まぐるしくて通信機器ひとつでもノイズになりかねないので、変に濁すよりもはっきり年代に触れたほうが書きやすいのかもしれない。・髪型も1983年時を意識している。・それぞれ全く異なる個性の生徒たちが同じ部屋で生活をするので、軋轢もあるが、なんだかんだでお互いを許しながら暮らしている。・今の感覚だと、仮に校則や法律が許したとしても、自分以外は非喫煙者しかいない室内でタバコを吸うのは論外なんだけど、そのあたりもなあなあになっている。・...KUROGOKU『DOLL』《TeamR》

  • 阪本順治監督『北のカナリアたち』(2012年)

    2024/10/4・元教師が、かつての教え子が殺人事件を起こしたことを知り、他の教え子たちを訪ね歩く話。・その元先生役が吉永小百合。・実写映画で、定年退職したヒロインの役を演じられる人は貴重。・船から先生が現れるとき、フェイクで出てくる怖そうな顔のおばさん。そのためだけに出てきたっぽくて、もっと出番あげてほしかった。・話は教え子が殺人事件を起こした理由を探るような体で進行するが、実際には別の目的がある。・教え子たちの思い出は、彼女が教師をやめるきっかけになった事故の話に集約していく。・それぞれの視点で事故を振り返ることで、どんどん事故の解像度が上がっていくし、生徒たちの当時の思惑が明らかになっていく。・子供たちの演技が様式的なのはご愛敬として、合唱が始まると普通にうまくてびっくりする。・そういう設定はない...阪本順治監督『北のカナリアたち』(2012年)

  • STORIA法律事務所・他『60分でわかる! 最新 著作権 超入門 』

    60分でわかる!最新著作権超入門STORIA法律事務所技術評論社2024/10/3前半は著作権とは何か、権利の詳細、制限規定など、入門書らしい内容がコンパクトにまとまっている。復習にちょうどいい塩梅。後半はデジタルコンテンツ、SNSなどのWEBサービス、AIにおける著作権の扱い。これらに紙面を多く割いているのが本書の特徴だけど、なかなか横文字が多くて難しい。各項目コンパクトにまとまっているが、逆にもうちょっと説明ほしいと思ってしまう。NFTコンテンツと著作権の説明のところも、自分の中でそもそもNFTとは何かがぼんやりしているし、AIと生成AIの違い、RAG(検索拡張生成)、LoRA(Low-RankAdaptation)までくると何が何やらわからない。これから重要になる分野なのは確かなので、こういうよくわ...STORIA法律事務所・他『60分でわかる!最新著作権超入門』

  • おぎぬまX『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』

    キン肉マン悪魔超人熱海旅行殺人事件(ジャンプジェイブックスDIGITAL)ゆでたまご集英社2024/10/2キン肉マンの世界で起きる超人殺人事件に対して、ミートくんが真犯人を突き止めようと推理する話。一応、ジュニア向けの推理小説の体を取っていて、真相が明かされる前には、神様的な存在からの状況整理とヒントが提示される。なので、最初は考えればわかるものだと真面目に犯人を予想していたが、真相が明かされると「そんなもんわかるか!」という気持ちになり、後半はそこまでがんばらないようにして読む。そもそも超人の設定がデタラメで、巨大化、透明化、瞬間移動は当たり前、あげく超人は殺されても生き返らせることができる。明らかに推理小説向きではない。被害者は殺されるとき律義に断末魔あげるし、主語がなくても笑い声で誰が喋っているの...おぎぬまX『キン肉マン悪魔超人熱海旅行殺人事件』

  • 中平康監督『月曜日のユカ』(1964年)

    2024/9/25・男を喜ばせることを生きがいにしているユカが、パトロンのパパを喜ばそうとして空回りする話。・冒頭の灯台みたいな場所で男女二人がいちゃついているところに、巨大な船が通り過ぎていくシーン好き。・ユカ役は加賀まりこ。不自然なほど時代感のない美人。ちょっとしたオーパーツだった。・彼女にはパトロンと恋人がいる。・特別、悪女でも計算高いというわけでもない。・男を喜ばせようとする信仰に近い信念を持っている。・純粋なぶん、危なっかしい。・誰が見ても成功しそうにない人形作戦を楽しみに計画しているところも、不安をあおられる。・誰とでも寝るが、キスだけは拒否する。それが現実的に有りうるのかはよくわからない。・相手を喜ばせるという目的が、どこまでも相手次第になってしまうので、どう転んでも幸せになれない。・母親の...中平康監督『月曜日のユカ』(1964年)

  • 「長沼町旅行」

    2024/9/25・有給消化旅行で初めての長沼町。人口1万人の内陸の町。・JRで苗穂→北広島→バス移動。宿泊先の少し手前、長沼町役場で下車して40~50分ほど歩く。・このあたりは実家のある遠軽町に似た規模感。・途中、ネット評判のいい「あいチュらんど」でソフトクリームをいただく。大きい。さっぱり、おいしい。・だんだん畑が増えてきて貯水池も見えてくる。・のどかと言えばのどかだが、自然そのままではなく土木工事の変遷を感じさせる地形が多い。・早めに宿泊先の「ながぬま温泉」に到着したので、建物近くの芝生で過ごす。持ってきた読み物を読む。・予約時間より少し早めにチェックイン。館内、年期を感じるが要所要所はきれいで不快感はない。・温泉は源泉かけ流しで全道屈指の湯量とのこと。日帰り利用もできるので、平日昼間でもそれらしき...「長沼町旅行」

  • 劇団柿喰う客『にんぎょひめ』

    【演劇】柿喰う客『にんぎょひめ』(こどもと観る演劇プロジェクト2020)2024/9/25人魚の娘が王子さまと陸上の生活にあこがれて、海の魔女との契約で足を得るが、王子さまからの愛を得られず、窮地に陥る話。配信専用作品として公開。それ用の演出というか、サービスもしてくれる。他の子供向け作品と同様、独特の抑揚と反復を使う語り口。相変わらず中毒性がある。中盤終盤の障害に対して姉二人が覚悟を見せるところ、ぎょっとする。いくらおとぎ話でも、王子の愛が得られなかったら泡になって消えるって理不尽すぎて戸惑う。何の得があってそんな面倒くさそうな魔法の仕様にしているんだろう。最初に視聴者向けに語り掛けたところが、最後にもうまく繋がっていて、悲劇が悲劇ではないかもしれないというところに着地するアレンジが上手くいっていた。話...劇団柿喰う客『にんぎょひめ』

  • 『P wave』(2021年)

    2024/9/22基本的には三人の出演者による地震をモチーフにしたパフォーマンスだと思うけど、おそらくもう少し抽象的な概念を表現している。作・演出・振付はハラサオリさん。上演時間は36分。最初の懐中電灯の使い方や、影の見せ方で、うまく人の残り香のする廃墟っぽい雰囲気を作っている。動き自体はそれほど難易度の高そうなことをやっているわけではないし、はっきりとした物語があるわけでもない。何を取っ掛かりにして見ていいのかわからないので、見ている間、ずっと自分と対話しているような気持ちになる。中盤、三人の絡み合っているところ、言っていることはバラバラなのに、体の動きで会話しているように見えてくる。言葉による説明もあるけど、基本的には言葉と動きによる様々な種類のリズムを味わう表現なんだと思う。演劇にかかわる人間から見...『Pwave』(2021年)

  • 田嶋陽子・アルテイシア『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』

    田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?田嶋陽子KADOKAWA2024/9/16・田嶋陽子さんと言えば、昔「ビートたけしのTVタックル」で、惚けたことを言う男たちを叱り飛ばすパワフルなおばさんというイメージ。・人気番組だったし、良くも悪くもフェミニストの象徴的な存在になっていたと思う。・今の感覚だと人権問題をエンタメとして消費するのは色々ありそうだけど、当時は世間に笑い飛ばしながら伝えていくしかないと自覚的に矢面に立っていたそうだ。たしかに居場所を作らないと話にならない。・おかげでフェミニスト=怖いおばさんみたいなイメージができた一方で、対談相手のアルテイシアさんのように田嶋さんの言動に人生を救われた女性も増える。・功罪で言えば明らかに功のほうが大きい。というか、罪の部分って彼女自身...田嶋陽子・アルテイシア『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』

  • ゲイビー・デラル監督『アバウト・レイ 16歳の決断』(PARCO TOP CINEMA 2024)

    2024/9/15・トランスジェンダーの子供を持つ母親が、彼の性適合手術の同意書にサインするため、自身の過去の過ちと向き合わざるをえない状況になる話。・初めてのPARCO屋上。壁にスクリーンが貼られている。アウトドアチェアと人工芝シートがある。・人工芝シートを選択。雨の影響か、スペースに余裕があったので両足を伸ばせる。解放感。・一般的なチケット代なのに、ワンドリンクorホットドッグがついていた。ホットドック旨い。・原題は「3Generations」。レズビアンの祖母とトランス息子の間で、母親が振り回される。・さらに同意書へのサインを渋る元夫との対決。・レイはうまくいけば歓喜するし、うまくいかなければ露骨に機嫌が悪くなる。決して優等生というわけでもなく、親の気苦労がうかがえる。・レイ自身の結論は動かないので...ゲイビー・デラル監督『アバウト・レイ16歳の決断』(PARCOTOPCINEMA2024)

  • 「さっぽろレインボープライド2024」

    2024/9/16・前々から気になっていたものの、今年はじめて仕事やら他の用事やらが重ならずに参加できた。・大きく分けて、ブース展示、ステージ、パレードの三つの要素がある。・多すぎてよくわからないので、とりあえず飛び込んでみるかとパレードに参加。・実際のところは、雨で受付締切5分前くらいに到着したので、考える時間がなかった。・参加資格不問ということだけ確認して受付完了。・にじいろ談話室というブースで、ナノブロックでできた虹色のキーホルダーを購入してリュックに付ける。・ペンギンの缶バッチもいただく。かわいい。・あんまり派手な格好は自意識的に辛くなってしまいそうだったので、そこは無理しない。・今思えば、タオルくらい買えばよかった。・メイクアップやドラァグクィーンの方々のパフォーマンスを眺めたり、展示のパンフを...「さっぽろレインボープライド2024」

  • 「知の種」展

    2024/9/15斎藤雅彰さんの絵画、別府肇さんの抽象画、金内俊静さんの詩文。赤平出身の三人の作家さんのギャラリー展。無料。斎藤さんと別府さんは会場にいらしていたので、直接お話を伺うことができた。もちろん斎藤雅彰さんは俳優として知っていたけど、描かれた絵を見て驚く。ほんのり野性味を残したような猫の絵がかわいい。同じ写真からでも感じの違う絵ができるという話が印象的だった。別府さんの抽象画は、色が褪せてくることも効果として利用するくらい、時間をかけて作られた作品とのこと。生活と芸術を両立させる日々芸術を実践されている。それぞれの絵画に金内さんによる詩文が添えられているのは三人展ならでは。各作品に深みを加えていた。結果、部屋に飾りたいポストカードを二枚買った。(9/15ビストロカフェ+ギャラリーオマージュ)「知の種」展

  • 野村芳太郎監督『砂の器』(1974年)

    2024/9/10・刑事が殺人事件の捜査を続けていくうちに、ある音楽家の奇妙な半生が明らかになっていく話。・脚本家橋本忍の代表作はたくさんあるが、その筆頭候補となる作品。・映画史的な評価は高いが、地味で重そうという先入観もあったので、不安な気持ちで見始める。・わざわざ東京から秋田に出張して捜査をしている様子から始まり、その前段となる殺人事件とその捜査の様子が描かれる。なぜか時系列を入れ替えている。・そのあとは、その刑事が島根、大阪、伊勢、石川と事件に関係の在りそうなところをめぐっていき、じわりじわりと新しい事実が判明していく。・刑事役の丹波哲郎が若い。自分の中では大霊界のイメージが強すぎて、普通にかっこいいことに戸惑う。・部下と飯を食べるときの距離が妙に近い、個人情報の扱い方、食堂車、舗装されていない道、...野村芳太郎監督『砂の器』(1974年)

  • 「エスコンフィールド北海道」

    2024/9/11来年、母親が日ハムの試合を見に来るらしいので、下見も兼ねて行ってくる。試合もないし、大きなイベントもない日。そのわりに結構お客さんがいる。下調べで「温泉」「スタジアムツアー」「ゲーム」「食事」のどれかかなと思っていた。ゲームはサンダル、ノーゲームデー限定メニューは売り切れ、風呂は面倒臭いということで、スタジアムツアーが残る。受付枠の残っていたスタンダードコースを申し込む。プレミアムは来年でいいだろう。解説はファイターズガールの原藤由衣さん。あとで調べてみると、色んな動画が出てくる。ふだんはステージ上の人が、同じ目線の高さで話してくれるのは思いのほかうれしい。スタジアムの中に入ったり、年間パス所有者用のダイヤモンドシートや選手用のベンチに座ってみたり、球場にまつわる蘊蓄をうかがったりする。...「エスコンフィールド北海道」

  • 「サケのふるさと千歳水族館」

    2024/9/10・青春18きっぷの最後の一枚を利用して行ってみる。・行ったことのある「千歳さけますの森情報館」と長らく混同していて、完全にノーマークだった。・こちらの水族館は地下で千歳川と繋がっていて、館内から直接川の中が見られる。何それおもしろそう。・二階の学習ゾーンから。鮭にまつわる文化と歴史。水族館というより博物館の雰囲気。チェップは魚。・解説が聞けるアプリをダウンロードする。・若干、録音時と情報がズレているように感じるところもあるが、過不足ない解説と鑑賞ポイントの内容がおもしろい。おすすめというより必須。・サーモンゾーン。たくさんの稚魚、シロザケなどの群れ、アルビノのベニザケ。建物の隣の千歳川で捕獲したシロザケをそのまま展示している。豪快。・やはり鮭とその仲間が多いが、大水槽にチョウザメがいる。...「サケのふるさと千歳水族館」

  • 「ウポポイ(民族共生象徴空間 ウアイヌコㇿ コタン)」

    2024/8/30・そのうち行こうと思っているうちにかなり時間が経ってしまう。・青春18きっぷを使うのにちょうどいい距離だとわかって、急に思い立つ。・各種プログラムが充実していることは知っていたものの、ほぼ下調べなし、極度の寝不足で挑んでしまう。・東博のときもそうだったけど、博物館はエンタメ施設ではないので、こちらの体調は結構重要。・そういう意味でまた失敗してしまった。・午前10時半ごろ白老駅を降りて歩く。平日の昼間なのに同じような人が結構いる。・施設入口前にフードコートやカフェがあるが、とりあえず中に入ってみる。オハウ(アイヌの具沢山スープ)がちょっと気になる。・パンフを渡される。表面の半分と裏面全部がプログラムのタイムテーブルになっている。・わかりやすいけど、数が多すぎるし、寝不足で頭が動かない。・ま...「ウポポイ(民族共生象徴空間ウアイヌコㇿコタン)」

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