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2014/10/06

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  • ゲイリー・マーシャル監督『プリティ・ウーマン』(1990年)

    2024/11/27・実業家の仕事人間エドワードが、娼婦のヴィヴィアンと一緒にいるうちに人間らしさを取り戻していく話。・今まで見てきたどのリチャードギアよりも若い。・ヴィヴィアン役はジュリア・ロバーツ。もともと娼婦にはあんまり見えないんだけど、素っ頓狂な衣装や動物みたいな行動で育ちの悪さを表現していた。・たしかにあの衣裳はどんな人でも娼婦っぽくしてしまう。かっちりしたホテルの人々とのギャップが激しい。・格差そのものという序盤の絵面が痛々しい。・シンデレラのハリウッド版と言われがちな作品だし、実際、底辺女が資産家男に見出されて幸せになる。・価値観の違う二人が交流してお互いに影響を受け合う話という言い方はできる。・彼女は服装や仕草のような表面的な変化で、彼のほうは精神面の変化。・とは言え、エドワードの財力が前...ゲイリー・マーシャル監督『プリティ・ウーマン』(1990年)

  • ロジャー・ミッシェル監督『恋とニュースのつくり方』(2010年)

    2024/11/19・人気低迷中のモーニングショーのプロデューサーになったベッキーが、偏屈な老ジャーナリストをメインキャスターに据えて、立て直しを図る話。・脚本家が「プラダ~」と同じというのは知っていたので、ちょっと身構えながら見始める。・どちらもホーカーホリックな若い女性がクセの強い年寄りに振り回されながら自らの地位を確立していく話なんだけど、プラダの時のような嫌な感じがしない。・たぶんファッションと報道の違い。同じ生き馬の目を抜くような業界でも、ニュースと言うくらいだし、報道は事件を追うリアルタイム性が本質にある。・半面、ファッションの多忙さは業界内部の自家中毒感がある。・もう荒み切った番組制作現場の雰囲気。・「次は歌うのか」というセリフ好き。・『王様のレストラン』と似た雰囲気を感じる。・ヒロインが有...ロジャー・ミッシェル監督『恋とニュースのつくり方』(2010年)

  • パブロ・ベルヘル監督『ロボット・ドリームズ』

    2024/11/14・主人公と通販の人型ロボットが仲良くなっていくが、いろいろあって離れ離れになってしまう話(ネタバレ回避のふんわりあらすじ)。・ごくシンプルな絵柄の長篇アニメーション。・ロボ以外の登場人物は擬人化した動物。・主人公は犬。表札はDOG。・うれしくなると尻尾をフリフリするのかわいい。・ただ犬要素が話に関わるのは海開き後の砂浜だけ。・見た目は動物でほぼ衣服を身に着けていない。・ギャグっぽく見せてはいるけど、海のときだけ水着をつけていたり、グンゼっぽいパンツが干してあったりするのを見ると、この世界の衣服の概念がよくわからない。・食料事情も。肉とか食べるのかな。・主人公はどうやって生計を立てているんだろう。・『オッドタクシー』みたいに、擬人化に意味があるような作品のほうが異端だとは思うけど、以降の...パブロ・ベルヘル監督『ロボット・ドリームズ』

  • ローレン・ワイズバーガー監督『プラダを着た悪魔』(2003年)

    2024/11/13・最高峰のファッション誌で働くことになったアンドレアが、激務に適応していくにつれ、元々の自分らしさを失っていることに気づき、最後にある決断をする話。・何かを得て何かを失う話の亜種。・絶対的な権力者ミランダの存在が強力で、すべてのスタッフが彼女に合わせて行動しなければならない。・抑揚のないポソポソした喋り方の威圧感。・アンドレアも彼女の仕事のサポートはもちろん、飲み物の用意から娘の機嫌取りまで何でもやる。・世界中に働きたい人がいる職場で、代わりがいくらでもいるのはわかるけど、雇っては潰すような新人の扱い方って本当に効率がいいんだろうか。・アンドレアが、ファッション誌で働く以上、きちんとファッションに向き合う姿勢が大事なんだと気づいてから、一気に見た目がきらびやかになる。・いろんな服装でさ...ローレン・ワイズバーガー監督『プラダを着た悪魔』(2003年)

  • ロバート・ルケティック監督『キューティ・ブロンド』(2001年)

    2024/11/12・金持ちで容姿も派手なエルが、政治家志望の元カレとヨリを戻すため、彼と一緒のハーバード大学のロースクールに進学して大活躍する話。・あらすじを書いてみるとスッカスカな話に思えるが、女性蔑視という裏テーマがあって油断ならない。・エルがフラれたのは、金髪でスタイルもいいという見た目が代議士の妻にふさわしくないという理由。・SNSで「容姿の良い女性は男からチヤホヤされて得だと言われがちだが、むしろハイリスクハイリターンの人生を強要されるから大変なんだ」という投稿を見た。・自分には縁のない話だけど、好きでもない男に付きまとわれる煩わしさや危なさぐらいなら想像できる。・本作では、「金持ちで容姿がいい女は頭が悪い」という身もふたもない偏見がベースになっている。・エルの派手さは学問としてファッションを...ロバート・ルケティック監督『キューティ・ブロンド』(2001年)

  • 安田淳一監督『侍タイムスリッパー』

    2024/11/11・幕末、会津の侍である高坂が、闇討ちのさなかに140年後の未来に飛ばされ、時代劇の斬られ役に転身する話。・本物の侍がタイムスリップして、現代の時代劇に紛れ込むというコンセプトは誰でも思いつく範囲。・アイディアは凡庸でも具現化するのは簡単ではない。・時代劇の役者と140年前の侍を、フィクションの枠組みなかで差別化して見せなければいけない。・そのあたり、主演の侍を演じた山口馬木也さんの演技力で何とかしていた。・最初はメイクと衣裳の違いでわかりやすいけど、だんだん生活に馴染んできて、髪の毛、服装、行動までも現代化していくので、どんどん演技の難易度が上がる。・髪の毛も服装も行動も現代人なのに、それでも幕末の人っぽい雰囲気を残せるのがすごい。・本物の侍→時代劇の斬られ役に転身という、話の根幹部分...安田淳一監督『侍タイムスリッパー』

  • 「宗谷丘陵フットパス(ロングコース)」

    2024/11/3・宗谷丘陵フットパスのロングコースに臨む。・フリーペーパーの「稚内の楽しみ方50」で詳細を知った。この冊子の情報は意外と参考になった。・宗谷丘陵は、約1万年前、氷河期の凍結と融解の繰り返しによって形成された。・明治期の山火事で森林が失われたことにより、起伏の激しい丘陵風景をダイレクトに楽しめる。・個人的には氷河期跡にそそられる。・ロングコースが11㎞で約4時間らしい。観光名所「白い道」もコースに含まれる。・結論、歩いてみたら2時間半くらいだった。・休憩時間を含む目安だと思われるけど、歩いている間、休憩するような場所はほとんどなかったような。・終盤の「白い道」を除いて、すべて舗装されている。アップダウンはあるものの極端に険しい道はない。・天気は曇り。風を遮るものがないのでやや寒い。・旅館に...「宗谷丘陵フットパス(ロングコース)」

  • 「わっかりうむ ノシャップ寒流水族館・稚内市青少年科学館」など

    2024/10/30・深夜バスで稚内へ。バスターミナルから徒歩で北上し「ノシャップ海流水族館」に行く。・到着早々、アザラシorペンギンのショーは10月初旬に終了していたことが判明。いきなり誤算。・飼育員の方がアザラシに取り囲まれながら餌を与えているところは見られた。・餌くれるまで離れてぼうぼう鳴いている(そしてなかなか餌をくれない)アザラシが切なくてかわいい。・餌の時間が終わるとみんな水に潜る。解散のスピードが早い。アザラシにとっては地面より水の中のほうの居心地がよいらしい。・フンボルトペンギンは二羽だけ展示。子供アザラシたちと一緒に、小さめのプールでたたずんでいた。・そのプールには、滑り台や、バスケ風のゴール網とボールもあったが、もう今期は使われない。哀愁。・もう一つの売りである回遊水槽では、イトウとオ...「わっかりうむノシャップ寒流水族館・稚内市青少年科学館」など

  • ブライアン・デ・パルマ監督『キャリー』(1976年)

    2024/10/22・日常的にいじめと虐待を受けている女子高校生キャリーが、参加したプロムで大変なことになる話(一応ネタバレは回避する方針)。・北大の北図書館で視聴したので、冒頭のシャワーシーンがとても気まずい。・後半の布石とはいえ、いじめが直接的で不快。「もう最後わかるよね?」という作り手の目配せを感じる。・生理を知らず、半狂乱でクラスメイトに助けを求めるシーンが痛々しく、それに対する反応も酷い。・自分の恋人にキャリーを誘わせて、プロムに連れ出そうとするスーの気持ちが全くわからない。・特に彼女が心変わりするようなシーンもなかったし、嫌がらせチームの準備シーンと並べて見せられるので、当然共謀していると思っていた。・先生が疑っていたのも理解できるし、一緒に「なにとぼけてるんだ」という感じ。・なので、最後のと...ブライアン・デ・パルマ監督『キャリー』(1976年)

  • 劇団words of hearts『博士と過ごした無駄な毎日』

    2024/10/18・戦時中、江別で木製戦闘機の開発に携わった人々が満足な成果を得ることなく終戦を迎える話。・初演も見ているので、同演目二回目の観劇。・「博士」は当時作られていた戦闘機の愛称。・「無駄」というのは、実戦に間に合わなかったという時期の話でもあり、木製戦闘機で戦おうとする発想そのもののことでもある。・戦争の悲惨さをセンセーショナルに見せるような作りではなく、地続きのはずの戦場と目の前の作業に追われる日常との乖離を見せる方針。・戦場で肉親が死んでも死んだという情報しか残らない。・大規模な自然災害もそうだけど、誰でも有事に直面するまでは平時。ネット社会の現代ですら、平時に有事のことを想像するのは難しい。・滑走路を組み込んだ美術がかっこいい。上部のガラス部分の曇りも味がある。高村由紀子さんの舞台美術...劇団wordsofhearts『博士と過ごした無駄な毎日』

  • 北星学園女子高等学校『ホット・チョコレート』

    2024/10/15・自分の詩に曲をつけてくれた親友が転校することになり、引っ越しの荷造りを手伝っているうちに、自身の環境の変化を受け入れていく話。・今の生活が充実しているほど、その時間を失うことが怖くなってしまうことはある。・特に大人と比べるとタイトな時間制限のある高校生(or高校生経験者)は共感しやすい題材だと思う。・平凡と言えば平凡な題材でもあるので、どうやって表現するかが腕の見せどころ。・本作では、直接的な表現や大袈裟な事件などは採用せずに、親友の引っ越しだったり、幼馴染に彼女ができること、進路とジェンダーギャップ、昔のままではいられない環境を丁寧に表現していた。・ほとんど「時間が過ぎゆくのが寂しい」だけで説得力のある一本の話ができている。強い。・微細な心理表現が必要な主役の二人が好演だった。・演...北星学園女子高等学校『ホット・チョコレート』

  • 山口香『スポーツの価値』

    スポーツの価値(集英社新書)山口香集英社2024/10/14柔道家であり、日本オリンピック委員会の理事経験もある著者が、スポーツにはどのような価値があるのかを考察した本。山口香さんは、権威のかなり近いところにいるわりに言動が共感しやすい人というイメージ。実際、JOC内部の人間でありながら、東京五輪関係で真っ当な発言をしていた記憶もある。2021年6月までJOC理事だったそうなので、本当に色々あったんだろうなと邪推する。女性が柔道をやること自体おかしいという時代から柔道をやっていたこともあって、理不尽な状況には敏感に反応できている感じが頼もしい。日本人選手への過剰な注目、旧体育会系的思想からの脱却、差別とアスリートの社会的発言についてなど、内容自体にはそれほど新味はないけど、こういう立場の人が発言することに...山口香『スポーツの価値』

  • 札幌西高校『誰そがれ』(たれそかれ)

    2024/10/11主人公が母親の残した数々の写真を見つけて、友達と撮影された場所を探す話…だと思うけど、仕事で3分くらい開演に遅刻してしまったので違うかもしれない。主人公とその友達、若いころの母親とその親友、二組のシーンを交互に見せる進行。転校なんてどこにでもある別れだけど、だからこそ平凡な日常を特別なものに変える写真という媒体に意味が出る。演出効果や舞台美術にこだわりを感じる。スマホのタップ音まで出しているところ初めて見たかも。写真を飾る複数のハンガーラックも、教文の広い舞台をしっかり彩っていた。ホリ幕を使った照明効果は高校演劇で多用されがちだけど、その中でも見せ方がうまい。花火も見られるとは思わなかった。憧れの作家先生とあった時のリアクションより、シシャモについて語るときの熱量が高くてそれでいいのか...札幌西高校『誰そがれ』(たれそかれ)

  • 阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

    2024/10/10・殺し屋女子のコンビが、出張先の宮崎でモグリの殺し屋を粛清しようとする話。シリーズ三作目。・殺し屋としての有能さと、それぞれ違うベクトルで世間に馴染めないというギャップのある二人が、お互いの弱点を埋め合うように暮らしている。・今回は主張先が舞台とあって、殺し屋としての仕事シーンが多く、日常要素は抑えめ。・それでも打撃、関節、乱戦、タイマン、銃に刃物、色々なバリエーションでアクションを楽しむことができる。・特に刃物を使った戦闘は見ていて本当に緊張する。・スピード感は他と変わりないし、他の戦闘シーンの撮影より事故率が高そうな感じがしてしまう。・まひろ役の伊澤彩織さんは、実際に動きが早いし、体格のいい男性と一対一で戦っても遜色なく動ける。ここまで戦闘に特化している役者さんは少ないと思う。・年...阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれナイスデイズ』

  • KUROGOKU『DOLL』 《Team R》

    KUROGOKU『DOLL』《TeamR》2024/10/6・宿舎のルームメイトになった高校生五人が入学して高校生活を送り、結果入水事件を起こす話。・1983年の戯曲。もう古典と言ってもいい有名作だけど、上演しているのを見たのは初めて。・年代は作中でも言及される。・今は技術の変化が目まぐるしくて通信機器ひとつでもノイズになりかねないので、変に濁すよりもはっきり年代に触れたほうが書きやすいのかもしれない。・髪型も1983年時を意識している。・それぞれ全く異なる個性の生徒たちが同じ部屋で生活をするので、軋轢もあるが、なんだかんだでお互いを許しながら暮らしている。・今の感覚だと、仮に校則や法律が許したとしても、自分以外は非喫煙者しかいない室内でタバコを吸うのは論外なんだけど、そのあたりもなあなあになっている。・...KUROGOKU『DOLL』《TeamR》

  • 阪本順治監督『北のカナリアたち』(2012年)

    2024/10/4・元教師が、かつての教え子が殺人事件を起こしたことを知り、他の教え子たちを訪ね歩く話。・その元先生役が吉永小百合。・実写映画で、定年退職したヒロインの役を演じられる人は貴重。・船から先生が現れるとき、フェイクで出てくる怖そうな顔のおばさん。そのためだけに出てきたっぽくて、もっと出番あげてほしかった。・話は教え子が殺人事件を起こした理由を探るような体で進行するが、実際には別の目的がある。・教え子たちの思い出は、彼女が教師をやめるきっかけになった事故の話に集約していく。・それぞれの視点で事故を振り返ることで、どんどん事故の解像度が上がっていくし、生徒たちの当時の思惑が明らかになっていく。・子供たちの演技が様式的なのはご愛敬として、合唱が始まると普通にうまくてびっくりする。・そういう設定はない...阪本順治監督『北のカナリアたち』(2012年)

  • STORIA法律事務所・他『60分でわかる! 最新 著作権 超入門 』

    60分でわかる!最新著作権超入門STORIA法律事務所技術評論社2024/10/3前半は著作権とは何か、権利の詳細、制限規定など、入門書らしい内容がコンパクトにまとまっている。復習にちょうどいい塩梅。後半はデジタルコンテンツ、SNSなどのWEBサービス、AIにおける著作権の扱い。これらに紙面を多く割いているのが本書の特徴だけど、なかなか横文字が多くて難しい。各項目コンパクトにまとまっているが、逆にもうちょっと説明ほしいと思ってしまう。NFTコンテンツと著作権の説明のところも、自分の中でそもそもNFTとは何かがぼんやりしているし、AIと生成AIの違い、RAG(検索拡張生成)、LoRA(Low-RankAdaptation)までくると何が何やらわからない。これから重要になる分野なのは確かなので、こういうよくわ...STORIA法律事務所・他『60分でわかる!最新著作権超入門』

  • おぎぬまX『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』

    キン肉マン悪魔超人熱海旅行殺人事件(ジャンプジェイブックスDIGITAL)ゆでたまご集英社2024/10/2キン肉マンの世界で起きる超人殺人事件に対して、ミートくんが真犯人を突き止めようと推理する話。一応、ジュニア向けの推理小説の体を取っていて、真相が明かされる前には、神様的な存在からの状況整理とヒントが提示される。なので、最初は考えればわかるものだと真面目に犯人を予想していたが、真相が明かされると「そんなもんわかるか!」という気持ちになり、後半はそこまでがんばらないようにして読む。そもそも超人の設定がデタラメで、巨大化、透明化、瞬間移動は当たり前、あげく超人は殺されても生き返らせることができる。明らかに推理小説向きではない。被害者は殺されるとき律義に断末魔あげるし、主語がなくても笑い声で誰が喋っているの...おぎぬまX『キン肉マン悪魔超人熱海旅行殺人事件』

  • 中平康監督『月曜日のユカ』(1964年)

    2024/9/25・男を喜ばせることを生きがいにしているユカが、パトロンのパパを喜ばそうとして空回りする話。・冒頭の灯台みたいな場所で男女二人がいちゃついているところに、巨大な船が通り過ぎていくシーン好き。・ユカ役は加賀まりこ。不自然なほど時代感のない美人。ちょっとしたオーパーツだった。・彼女にはパトロンと恋人がいる。・特別、悪女でも計算高いというわけでもない。・男を喜ばせようとする信仰に近い信念を持っている。・純粋なぶん、危なっかしい。・誰が見ても成功しそうにない人形作戦を楽しみに計画しているところも、不安をあおられる。・誰とでも寝るが、キスだけは拒否する。それが現実的に有りうるのかはよくわからない。・相手を喜ばせるという目的が、どこまでも相手次第になってしまうので、どう転んでも幸せになれない。・母親の...中平康監督『月曜日のユカ』(1964年)

  • 「長沼町旅行」

    2024/9/25・有給消化旅行で初めての長沼町。人口1万人の内陸の町。・JRで苗穂→北広島→バス移動。宿泊先の少し手前、長沼町役場で下車して40~50分ほど歩く。・このあたりは実家のある遠軽町に似た規模感。・途中、ネット評判のいい「あいチュらんど」でソフトクリームをいただく。大きい。さっぱり、おいしい。・だんだん畑が増えてきて貯水池も見えてくる。・のどかと言えばのどかだが、自然そのままではなく土木工事の変遷を感じさせる地形が多い。・早めに宿泊先の「ながぬま温泉」に到着したので、建物近くの芝生で過ごす。持ってきた読み物を読む。・予約時間より少し早めにチェックイン。館内、年期を感じるが要所要所はきれいで不快感はない。・温泉は源泉かけ流しで全道屈指の湯量とのこと。日帰り利用もできるので、平日昼間でもそれらしき...「長沼町旅行」

  • 劇団柿喰う客『にんぎょひめ』

    【演劇】柿喰う客『にんぎょひめ』(こどもと観る演劇プロジェクト2020)2024/9/25人魚の娘が王子さまと陸上の生活にあこがれて、海の魔女との契約で足を得るが、王子さまからの愛を得られず、窮地に陥る話。配信専用作品として公開。それ用の演出というか、サービスもしてくれる。他の子供向け作品と同様、独特の抑揚と反復を使う語り口。相変わらず中毒性がある。中盤終盤の障害に対して姉二人が覚悟を見せるところ、ぎょっとする。いくらおとぎ話でも、王子の愛が得られなかったら泡になって消えるって理不尽すぎて戸惑う。何の得があってそんな面倒くさそうな魔法の仕様にしているんだろう。最初に視聴者向けに語り掛けたところが、最後にもうまく繋がっていて、悲劇が悲劇ではないかもしれないというところに着地するアレンジが上手くいっていた。話...劇団柿喰う客『にんぎょひめ』

  • 『P wave』(2021年)

    2024/9/22基本的には三人の出演者による地震をモチーフにしたパフォーマンスだと思うけど、おそらくもう少し抽象的な概念を表現している。作・演出・振付はハラサオリさん。上演時間は36分。最初の懐中電灯の使い方や、影の見せ方で、うまく人の残り香のする廃墟っぽい雰囲気を作っている。動き自体はそれほど難易度の高そうなことをやっているわけではないし、はっきりとした物語があるわけでもない。何を取っ掛かりにして見ていいのかわからないので、見ている間、ずっと自分と対話しているような気持ちになる。中盤、三人の絡み合っているところ、言っていることはバラバラなのに、体の動きで会話しているように見えてくる。言葉による説明もあるけど、基本的には言葉と動きによる様々な種類のリズムを味わう表現なんだと思う。演劇にかかわる人間から見...『Pwave』(2021年)

  • 田嶋陽子・アルテイシア『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』

    田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?田嶋陽子KADOKAWA2024/9/16・田嶋陽子さんと言えば、昔「ビートたけしのTVタックル」で、惚けたことを言う男たちを叱り飛ばすパワフルなおばさんというイメージ。・人気番組だったし、良くも悪くもフェミニストの象徴的な存在になっていたと思う。・今の感覚だと人権問題をエンタメとして消費するのは色々ありそうだけど、当時は世間に笑い飛ばしながら伝えていくしかないと自覚的に矢面に立っていたそうだ。たしかに居場所を作らないと話にならない。・おかげでフェミニスト=怖いおばさんみたいなイメージができた一方で、対談相手のアルテイシアさんのように田嶋さんの言動に人生を救われた女性も増える。・功罪で言えば明らかに功のほうが大きい。というか、罪の部分って彼女自身...田嶋陽子・アルテイシア『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』

  • ゲイビー・デラル監督『アバウト・レイ 16歳の決断』(PARCO TOP CINEMA 2024)

    2024/9/15・トランスジェンダーの子供を持つ母親が、彼の性適合手術の同意書にサインするため、自身の過去の過ちと向き合わざるをえない状況になる話。・初めてのPARCO屋上。壁にスクリーンが貼られている。アウトドアチェアと人工芝シートがある。・人工芝シートを選択。雨の影響か、スペースに余裕があったので両足を伸ばせる。解放感。・一般的なチケット代なのに、ワンドリンクorホットドッグがついていた。ホットドック旨い。・原題は「3Generations」。レズビアンの祖母とトランス息子の間で、母親が振り回される。・さらに同意書へのサインを渋る元夫との対決。・レイはうまくいけば歓喜するし、うまくいかなければ露骨に機嫌が悪くなる。決して優等生というわけでもなく、親の気苦労がうかがえる。・レイ自身の結論は動かないので...ゲイビー・デラル監督『アバウト・レイ16歳の決断』(PARCOTOPCINEMA2024)

  • 「さっぽろレインボープライド2024」

    2024/9/16・前々から気になっていたものの、今年はじめて仕事やら他の用事やらが重ならずに参加できた。・大きく分けて、ブース展示、ステージ、パレードの三つの要素がある。・多すぎてよくわからないので、とりあえず飛び込んでみるかとパレードに参加。・実際のところは、雨で受付締切5分前くらいに到着したので、考える時間がなかった。・参加資格不問ということだけ確認して受付完了。・にじいろ談話室というブースで、ナノブロックでできた虹色のキーホルダーを購入してリュックに付ける。・ペンギンの缶バッチもいただく。かわいい。・あんまり派手な格好は自意識的に辛くなってしまいそうだったので、そこは無理しない。・今思えば、タオルくらい買えばよかった。・メイクアップやドラァグクィーンの方々のパフォーマンスを眺めたり、展示のパンフを...「さっぽろレインボープライド2024」

  • 「知の種」展

    2024/9/15斎藤雅彰さんの絵画、別府肇さんの抽象画、金内俊静さんの詩文。赤平出身の三人の作家さんのギャラリー展。無料。斎藤さんと別府さんは会場にいらしていたので、直接お話を伺うことができた。もちろん斎藤雅彰さんは俳優として知っていたけど、描かれた絵を見て驚く。ほんのり野性味を残したような猫の絵がかわいい。同じ写真からでも感じの違う絵ができるという話が印象的だった。別府さんの抽象画は、色が褪せてくることも効果として利用するくらい、時間をかけて作られた作品とのこと。生活と芸術を両立させる日々芸術を実践されている。それぞれの絵画に金内さんによる詩文が添えられているのは三人展ならでは。各作品に深みを加えていた。結果、部屋に飾りたいポストカードを二枚買った。(9/15ビストロカフェ+ギャラリーオマージュ)「知の種」展

  • 野村芳太郎監督『砂の器』(1974年)

    2024/9/10・刑事が殺人事件の捜査を続けていくうちに、ある音楽家の奇妙な半生が明らかになっていく話。・脚本家橋本忍の代表作はたくさんあるが、その筆頭候補となる作品。・映画史的な評価は高いが、地味で重そうという先入観もあったので、不安な気持ちで見始める。・わざわざ東京から秋田に出張して捜査をしている様子から始まり、その前段となる殺人事件とその捜査の様子が描かれる。なぜか時系列を入れ替えている。・そのあとは、その刑事が島根、大阪、伊勢、石川と事件に関係の在りそうなところをめぐっていき、じわりじわりと新しい事実が判明していく。・刑事役の丹波哲郎が若い。自分の中では大霊界のイメージが強すぎて、普通にかっこいいことに戸惑う。・部下と飯を食べるときの距離が妙に近い、個人情報の扱い方、食堂車、舗装されていない道、...野村芳太郎監督『砂の器』(1974年)

  • 「エスコンフィールド北海道」

    2024/9/11来年、母親が日ハムの試合を見に来るらしいので、下見も兼ねて行ってくる。試合もないし、大きなイベントもない日。そのわりに結構お客さんがいる。下調べで「温泉」「スタジアムツアー」「ゲーム」「食事」のどれかかなと思っていた。ゲームはサンダル、ノーゲームデー限定メニューは売り切れ、風呂は面倒臭いということで、スタジアムツアーが残る。受付枠の残っていたスタンダードコースを申し込む。プレミアムは来年でいいだろう。解説はファイターズガールの原藤由衣さん。あとで調べてみると、色んな動画が出てくる。ふだんはステージ上の人が、同じ目線の高さで話してくれるのは思いのほかうれしい。スタジアムの中に入ったり、年間パス所有者用のダイヤモンドシートや選手用のベンチに座ってみたり、球場にまつわる蘊蓄をうかがったりする。...「エスコンフィールド北海道」

  • 「サケのふるさと千歳水族館」

    2024/9/10・青春18きっぷの最後の一枚を利用して行ってみる。・行ったことのある「千歳さけますの森情報館」と長らく混同していて、完全にノーマークだった。・こちらの水族館は地下で千歳川と繋がっていて、館内から直接川の中が見られる。何それおもしろそう。・二階の学習ゾーンから。鮭にまつわる文化と歴史。水族館というより博物館の雰囲気。チェップは魚。・解説が聞けるアプリをダウンロードする。・若干、録音時と情報がズレているように感じるところもあるが、過不足ない解説と鑑賞ポイントの内容がおもしろい。おすすめというより必須。・サーモンゾーン。たくさんの稚魚、シロザケなどの群れ、アルビノのベニザケ。建物の隣の千歳川で捕獲したシロザケをそのまま展示している。豪快。・やはり鮭とその仲間が多いが、大水槽にチョウザメがいる。...「サケのふるさと千歳水族館」

  • 「ウポポイ(民族共生象徴空間 ウアイヌコㇿ コタン)」

    2024/8/30・そのうち行こうと思っているうちにかなり時間が経ってしまう。・青春18きっぷを使うのにちょうどいい距離だとわかって、急に思い立つ。・各種プログラムが充実していることは知っていたものの、ほぼ下調べなし、極度の寝不足で挑んでしまう。・東博のときもそうだったけど、博物館はエンタメ施設ではないので、こちらの体調は結構重要。・そういう意味でまた失敗してしまった。・午前10時半ごろ白老駅を降りて歩く。平日の昼間なのに同じような人が結構いる。・施設入口前にフードコートやカフェがあるが、とりあえず中に入ってみる。オハウ(アイヌの具沢山スープ)がちょっと気になる。・パンフを渡される。表面の半分と裏面全部がプログラムのタイムテーブルになっている。・わかりやすいけど、数が多すぎるし、寝不足で頭が動かない。・ま...「ウポポイ(民族共生象徴空間ウアイヌコㇿコタン)」

  • ラボチプロデュース のと☆えれき『葉桜とセレナーデ』

    2024/8/29・娘が出産する病院の駐車場で、実の父親と育ての父親がやり場のない感情を発散しあう話。・初演も見ているので二回目。・正直、見た演劇の内容はすぐ忘れてしまうので、細かいことはわからないけど、だいぶ印象が変わった。・たぶん情報の出し方の調整が効いていて、かなり見やすくなっていたと思う。・具体的には実の父親が警察を名乗るウソの回収と、育ての親夫婦に子供ができなかったくだり。・初演時には、身分を偽ることによるハラハラが軸になりそうなところを途中で方向転換した感じだったけど、今回は自然に展開、着地させていたと思う。・出産に立ち会うシミュレーションをしている時に、バレる前の段階なのに「お父さん」って言っちゃってるけど、能登くんの役が瞬時にそれらしい設定を考えたのか、うすうす気づいていたのか、どちらも可...ラボチプロデュースのと☆えれき『葉桜とセレナーデ』

  • ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

    2014/8/21・サハリンにある、かつて劇作家チェーホフが訪れた家を中心に、1890年から1980年代頃に至るまでの間に起きた出来事を四幕に分けて見せていく話。・戯曲は北海道戯曲賞の大賞作品。・縁あってご招待いただく。上演直前で指定席だと気付いてあわててしまう。申し訳ない。・大きく分けて4幕。1890年、1945年8月、1945年12月1980年代および戦中の回想。・ある地域の長期間の歴史を追うにあたって、単に網羅的ではなく、どのポイントをどう区切ってどのくらい膨らませるのかという加減はとても難しい。・チェーホフ本人は一幕に出てくるだけ。・それでも本作では、チェーホフが著書を通して時代を超えた登場人物たちにほんの少し影響を与え続けている、としている。ほんの少しだけど、大事な何か。・こういうところは、戯曲...ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

  • 室蘭民報みんなの水族館(室蘭市立水族館)

    2014/8/25・実は北海道で最も早く営業を開始した水族館。・前々から気になっていたが、青春18きっぷで日帰りができるらしいことが分かって行ってみる。・入場チケットは400円。購入して敷地内に入ると、メリーゴーランド、コーヒーカップ、観覧車などの遊具が目に入る。初めて来たのに懐かしい感じがする。・少し奥に行くと、ペンギン、アザラシのオスとメスで三つに分けられたプールがある。・フンボルトペンギン。比較的温かい地域に生息している種類で、屋外かつ暑い日でも元気そうだった。・建物内にはシンボルキャラクターであるアブラボウズをはじめとする近海の生き物など。数は少なめ。・調理法と味に関する飼育員の方の解説がおもしろい。・目つきが危なっかしいボウズギンポは全身大トロ。・ペンギンウォークは所定のコースを往復する。・ハー...室蘭民報みんなの水族館(室蘭市立水族館)

  • 春日太一『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』

    鬼の筆戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折(文春e-book)春日太一文藝春秋2024/8/21・脚本家の橋本忍の生涯を様々な資料や本人への聞き込みをもとにまとめたノンフィクション。・橋本忍は『七人の侍』『切腹』をはじめとする数々の代表作があり、日本で最も偉大な脚本家のひとり。・ただ、黒澤明という大きすぎる存在の陰に隠れがちで、一般的な知名度はそれほどでもないように感じる。・自分も作品自体はそんなに観ていないので、本書を読むまでは人となりが想像もできなかった。・幼少期の父親との関係、戦時の療養所で若くして余命宣告を受けていること、会社員と修業時代、七人の侍と黒澤明との関係性、松本清張作品、自身のプロダクション設立とその後、最晩年の様子まで。・著者が製作エピソードにまつわる事実確認をしていくくだり、考古学者...春日太一『鬼の筆戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』

  • 福島県立福島南高校『放課後クエストーセノオモエ彷徨編ー』(春フェス2023年度)

    福島県立福島南高校『放課後クエストーセノオモエ彷徨編ー』2024/8/15たった一人で活動する文芸部生徒が、文化部の最大派閥である合唱部に活動教室を奪われ、あちこち彷徨っているうちにいろんな人とその思いに触れて気づきを得る話。「滅びる(た)存在に価値はないのか」という、高校生があまり好きそうではない迂遠なテーマ設定に味わいがある。歴史の栄枯盛衰に、休部になっていく文化部を重ねている。「演劇部、つぶれた」という、肉声で聴くと悲しすぎるフレーズ。生物部あたりを追加して、長篇にしたほうが題材的にあっているような気がする。先生がOGだったとかで、元イモリヤモリ部が活躍するのもアリだと思う。最後の方、急にみんないい人になってしまって唐突に感じる。合唱部、色んな意味でゲス過ぎて改心していても飲み込みにくい。1時間の制...福島県立福島南高校『放課後クエストーセノオモエ彷徨編ー』(春フェス2023年度)

  • 群馬県立伊勢崎清明高校『(株)カンパネラ工業』

    群馬県立伊勢崎清明高校『(株)カンパネラ工業』2024/8/13職場体験中の高校生女子二人が控室で愚痴を言い続ける話。会社の変な慣習イジリが楽しい。「大谷のことばっかり言っているぴちぴちのスーツを着たソフトモヒカン野郎」という作中には出てこない社長。描写力が強い。裏ではぐちぐち言っていても、社員の人が来ると機械的に姿勢を正す。古典的なリズムだけどおもしろい。まさか朝の体操を見せてくれるとは。実際見てみると、踊りに限っては意外と悪くないのかなと思ったりした。似たもの同士の二人ではあるけど、温度差はある。それに対して、ギスギスすることなくその違いを受け入れるのはよかった。大人。お笑いのコントのような軽いノリの話ではあるけど、生き方を選べない就職間際の高校生の悲哀と重ねているところが本作の個性になっていた。群馬県立伊勢崎清明高校『(株)カンパネラ工業』

  • 「プチ鹿島&春日太一の気ままに昭和トーク21」

    2024/8/12・時代劇・映画史研究科の春日太一さんと、時事芸人のプチ鹿島さんが、昭和から今に至るまでの政治、プロ野球、プロレスなどを語るトークショー。・ポンセという人名を久しぶりに聞いた。・最近買った春日さんの著書が面白かったので、ツイキャスのチケットを購入。・最初は春日さんの大矢壮一賞のパーティの話。「猪瀬スルー」が最高。・猪瀬さんのそういう人となりは、こういう場でないとなかなか聞くことができない。・思ったよりひどかった。・迎合すべきでないところは毅然と対応する。こういうことができるから信頼できる。あやかりたい。・「わかりやすいとおもしろいものは危ない」「世の中、そんなにエンタメ性は高くない」。・星野仙一さんのNHK解説員時代の話。「星野はずっと人を殴っていたわけではない」。・星野の政治家としての資...「プチ鹿島&春日太一の気ままに昭和トーク21」

  • 岡山学芸館高等学校『ゴリコン』(春フェス2023年度)

    岡山学芸館高等学校『ゴリコン』2024/8/13数名の大学生が、渓流キャンプをしつつ、普段の研究対象であるヨシノボリを捕まえて調理したり、酒を飲んだりして親睦を深める話。演じているのは高校生なので、自分たちのちょっと未来の姿を演じている。大学生なのでお酒を飲むシーンや、ちょっと突っ込んだ恋愛のシーンもある。同じ大学生でも研究対象によってふんわりした派閥ができているところがいいアクセントになっている。どういう経緯でできた作品なのかは分からないけど、異性間の距離感覚や、専門用語を世間話に流用している感じが、ちゃんと等身大の大学生らしく見える。あんまり飲み会のシーンをリアルにやられても困るけど。大きな事件が起きるような話ではなく、人間関係のちょっとした変化を表現するような細部が見せ場になる作品だった。あと、擬人...岡山学芸館高等学校『ゴリコン』(春フェス2023年度)

  • 福岡県立戸畑高校『私こしひかり』

    福岡県立戸畑高校『私こしひかり』2024/8/12美術の授業の補修で、学校祭の映像作品を作ることになった高校生四人が、一人しか部員のいない合唱部を題材に撮影を始める話。タイトルは米米CLUBの曲名。普段は無口、その無口に一目ぼれする生徒、映画好き、それらをテキパキと仕切る主人公。わりとステレオタイプで個性のわかりやすい四人。クライマックス一歩手前をプロローグに使う構成、嘘と恋愛を推進力にした進行で、ストレスなく見ることができる。特に合唱部米田の独唱は、わちゃわちゃしていた周りの人間を急に静かにさせるだけの説得力がある。設定の甘さや自分語り、状況説明でテンポを損なっていた印象はあるが、最後の合唱シーンで全部解決している感じ。シーン単体で強い。最終的には創作の喜びみたいなものに着地して後味の良い作品だった。福岡県立戸畑高校『私こしひかり』

  • ハイバイ『ワレワレのモロモロ2024』

    2024/8/9・四人の俳優がそれぞれ自分を題材にした脚本を書いてできた四本の短編を構成した作品。・ご縁あって招待していただく。・北八劇場は初めて。駐輪場が分散して設置されている。・納谷真大『恵比寿駅発札幌、仕方なき弁』。・出張先で便意とウンコに翻弄される話。・どんな創作でも自分を晒す要素が含まれているものけど、そこまで晒さなきゃダメなのかとしみじみする。・誰にでもわかる極めて敷居の低い話であり、企画趣旨をよく体現している、導入に最適な話だった。・こんなノリかと油断していたら、次の滝沢めぐみ『クローゼットのほとけさま』は、宗教三世の経験談。・西沢さんの演技は朗らかで屈託ない表情が魅力的なんだけど、自身の経験をもとにしている以上、安心できるような着地があるとは限らない。それが怖い。・新興宗教は必ずしも悪しき...ハイバイ『ワレワレのモロモロ2024』

  • 千葉県立松戸高等学校『ある海が見える丘の物語』

    2023上演⑧千葉県立松戸高等学校「ある海が見える丘の物語」2024/8/9精神科医が不調気味の患者に自身の学生時代の体験談を語る話。物語の大部分は医師の回想。1980年前後。前時代的な不良が他校に嫌がらせしたり、コンビニ普及以前の個人経営店を舞台に選んだり、令和の高校生が全力で昭和後期の田舎の片隅を再現している。不良チームのナンバー2が、今まで見た春フェス動画内で最も高校生に見えない。見た目もそうだし声質も迫力がある。今の感覚では非現実的なことでも、舞台を40年前に設定すれば組み込める。聞き手が犬として回想に参加するのもスマート。笑えるシーンも多く、娯楽作品としての完成度が高い。2023年の動画は総じて音質が悪いが、本作は安定している。本作から大会3日目なので何かセッティングに修正があったのかも。騒動の...千葉県立松戸高等学校『ある海が見える丘の物語』

  • 押山清高監督『ルックバック』

    2024/8/6・マンガ好きの藤野が、小学校の学級新聞から、商業誌に掲載される現在に至るまでマンガを描き続ける話。・藤野と相棒の京本が、直接的に間接的にお互いの背中を追い続ける話でもある。・原作も映画も絶賛している人が多いが、自分には原作があんまり刺さらず、ちょっと身構えながら見始める。・小学生藤野の描いた支離滅裂なマンガから始まる。・原作はもっと内省的な話だと記憶していたので、シュールでポップな絵柄と動きに、警戒心が解かれる。・とにかく背中を見せ続ける話。背中という主題への作り手の自信というか、信頼が伝わってくる。・たぶん作者お気に入りの背中のフォルムがあって、それは男子よりも女子のそれなんだろうなと思ったりする。・単純に絵を描き続ける描写が何度も繰り返される。・同じことの繰り返しに見えて、少しずつ遠い...押山清高監督『ルックバック』

  • 山形県立置賜農業高校『獅子は踊る』

    山形県立置賜農業高校『獅子は踊る』2024/8/5郷土特有の舞踏「獅子踊」に携わっている高校生がどのように伝統を継承していくか思い悩む話。主人公は郷土芸能に携わる一方、演劇部にも所属している。部員が少なく、他の文化系部活が統合されて総合文化部になってしまう。そして、それぞれの技能を生かして、各活動を助け合ったり、演劇作品を作ったりする。最初に少しだけ衝突はあるが、テンプレ的に文化伝統をバカにするような描写がなく、テンポがいい。セリフや転換演出、話の展開では取っ散らかっている感が否めないが、伝統芸能ベースと思われる個々の体の使い方が他とは一線を画している。見ていてずっと心地よい。郷土芸能という他では見ることのできない武器を活かして、唯一無二の作品を作っているのは確か。主人公が最終的にどう折り合いをつけたのか...山形県立置賜農業高校『獅子は踊る』

  • 愛知県立松蔭高等学校『フートボールの時間』

    2023上演⑤愛知県立松蔭高等学校「フートボールの時間」2024/8/2大正時代、フートボールに夢中になる女学生たちが、周囲の否定的な反応に苦しみつつ、遠い未来に思いをはせる話。2018年の総文祭で最優秀賞になった演目。そのときの上演映像を一度観ているので、話の内容は大体わかるものの、例によって録音環境から聞き取りにくいセリフが多い。そのせいもあって舞台美術と衣裳の華やかさに目が行く。高校生がこの規模で準備を整えるのはとても大変そう。袴姿の女学生たちがフットボールを楽しむ絵面のキャッチーさと、大正時代の露骨な女性差別。表面的な楽しさと重いテーマが両立している。根本的に題材が強い。差別克服の象徴としてのサッカーという捉え方もできるし、サッカーできるようになったくらいで差別を克服した気になるなよとという見方も...愛知県立松蔭高等学校『フートボールの時間』

  • 西山ももこ『インティマシー・コーディネーター 正義の味方じゃないけれど』

    インティマシー・コーディネーター--正義の味方じゃないけれど(論創ノンフィクション)西山ももこ論創社2024/8/1・筆者がインティマシー・コーディネーター(主に映像作品で、性行為のシーンなど、センシティブな撮影が行われる際に、各役割間の調整を行う人)として仕事するまでの過程と、その仕事内容などを記録した本。・本屋で見つけて、即買い即読み。・そもそも著者の来歴がおもしろい。・高2でアイルランド、二十代前半でチェコ。チェコの大学を卒業して日本でロケ・コーディネーターとしての経験を積む。主な守備範囲はアフリカ。・アイルランドで彼氏ができたこと、別れたこと、次の彼氏と結婚して離婚したこともさらっと書いてある。・仕事の見切り方。違うと思ったら辞める。そういう書き方をしているだけかもしれないけど、切れ味がいい。・必...西山ももこ『インティマシー・コーディネーター正義の味方じゃないけれど』

  • 神戸常盤女子高校『653-0824』

    2024年上演5神戸常盤女子『653-0824』2024/7/26放課後の教室、校内ファッションショーに向け、生徒たちがウォーキングの居残り特訓しているうちに、一人が外国人技能実習生と付き合っていることがわかって言い争いになる話。服飾系の話が昨年の春フェスから三作品目。流行っているのか、前年の鶴岡中央『明日は救世主』の影響があるのかないのか。ちゃんと演劇的に演出されたランウェイを見たいと思っていたのでよかった。最後のほうに出てくる先生もかっこよかった。高校生がああいう現場たたき上げ感のある先生を演じるのは大変だと思う。異性装やトランスジェンダーの話にはならず、本作ではストレートな人種差別が題材。差別意識と嫉妬がミックスしている友達。迷惑な友達には違いないが、100%悪意とも言えず、単なる悪役を作らないよう...神戸常盤女子高校『653-0824』

  • 茨城県立下妻第一高等学校『TABOO』

    2024年上演3茨城県立下妻第一2024/7/25高校の演劇部が、過労起因で療養している顧問の先生を題材にした作品を作って、葛藤しながら稽古を進めていく話。あえて前説から始めるドキュメンタリー調の語り口が新鮮。現実にもそれなりに似たような状況がありそうで、ちゃんと「どこまで本当なんだろう」と思える程度に臨場感がある。忌憚のない言葉選びも強く印象に残る。高校生に「教師は忙しすぎる」という内容の作品をやらせる構図はスリリングではある。ただ、作中では学校という業界全体がダメなのか、この職場限定でダメなのかがよくわからない。極端と思われるやりとりもあるので、たぶん後者だ思う。そうであってほしい。真に受けるのもそれはそれで教師に対して失礼な感じもするので、そこまで普遍的な話として捉えるべきではないのかもしれない。当...茨城県立下妻第一高等学校『TABOO』

  • intro『ハワイの地平線、テキサスの水平線』

    2024/7/27・109歳で大往生を迎えたスエ子のお葬式で、誰が喪主をつとめるか、孫の里子を中心に関係者間でモメる話。・豊平川の花火大会と重なったため、劇場外はものすごい人の数。早めに移動して開場時間ちょうどに到着。・花火大会の高揚感にあてられたのか、久々のintroだからか、初日だったからなのか、始まる前から客席の雰囲気がかなり温まっている印象。・前説の拍手から期待感が伝わってくる。・タイトルロールかわいい。こういう一工夫が楽しい。・自分自身、お葬式の運営に深く関わったことがないので、一般的な知識がないままに見始める。・個人的に「喪主をやりたい」という感覚自体が共感できず、立ち位置的には序盤の里子に近かった。・それでも、次々と頼りになるんだかならないんだかわからないライバルが現れるにつれ、里子に「喪主...intro『ハワイの地平線、テキサスの水平線』

  • 北海道余市紅志高校『被服室の変』

    北海道余市紅志高校『被服室の変』2024/7/25学校祭準備中、課題作成に取り組む男子生徒と、脚本を書きたい演劇部の女子生徒が、たまたま同じ部屋を割り当てられて、世間話を始める話。知り合いの男女ではあるが、恋人ではないし、恋人になりそうもない、友達ですらない、お互いに対してそこまで関心の無い者同士の気の抜けた世間話が楽しい。女子のほうの、プロの俳優だったら逆にできないような、独特のイントネーションもだんだんクセになってくる。舞台上で実際にカタカタとミシンを操作している様子が斬新。男子が延々と服飾の課題をやっていることで、どういう方向の話かはわかる。無意識の差別表現や、おそろしくへたくそな寸劇(でもシュールでちょっと笑った)で不和がウヤムヤになっていく様子に不快感がなく、シンプルでスマートにまとめられていた...北海道余市紅志高校『被服室の変』

  • 埼玉県立芸術総合高等学校『Midnight Girlfriend』

    2023上演④埼玉県立芸術総合高等学校「MidnightGirlfriend」2024/7/24中世の貴族風の男女が、幾多のすれ違い、障害を乗り越え、恋を成就させる話。例によって録音環境の影響か聞き取れないセリフ多く、細かいことはわからない。いきなりロミジュリ風のバルコニーが出てきてびっくりする。象徴的な場所、ドア、廊下、高級そうに見えるソファと椅子。デザインだけではなく、演劇としての機能性も高い舞台美術。加えて他校と一線を画する衣装の作りこみ。だてに校名に「芸術総合」をうたっていない。演技はだいぶん様式的で、型にはまった演技は好き嫌いのわかれるところだけど、演技の質だけでもしっかり作品の世界観が構築できているのは大きい。演者からも様式をつかいこなしてやろうという意思を感じるし、良い意味で個性の範囲だと思...埼玉県立芸術総合高等学校『MidnightGirlfriend』

  • 石川県立金沢商業『子どものままでいて』

    2024年上演1石川県立金沢商業2024/7/24演劇部の照明担当と脚本担当が、父親の介護で部活に来なくなった佐藤さんと語らい、そのエピソードを作品に反映させようとする話。最初の場面は、(たぶん)テクリハの作業中、調光卓の前。照明担当が、様子を見に来た佐藤さんと話をしている。演劇部が出てくる作品はたくさんあるが、照明担当を中心に据えるのは渋い。演者とは違うスタッフ目線での会話が生々しい。こういう会話、全国の調整室的な場所で行われている。会話のテンポも配慮されていて聞き取りやすい。中・後半は父親の介護とヤングケアラーの話。アスベスト被害という言葉は久しぶりに聞いたような気がする。石綿健康被害救済法の成立が2006年。思ったより最近だった。法律ができたから話題にのぼらなくなったとも言えるけど、恥ずかしながら、...石川県立金沢商業『子どものままでいて』

  • 山形県立鶴岡中央高等学校『明日は救世主』

    2023上演③山形県立鶴岡中央高等学校「明日は救世主」2024/7/23ヒーロー的なものにあこがれる男子高校生が、文化祭発表用に男子用ドレスを着せられてランウェイに臨むまでの話。だと思う。ジェンダー観、いじめ、ウクライナ情勢、ちょっと節操無い感じもするけど、色んな問題に目を向けている。ウクライナ情勢で声を上げるのはアリだと思うけど、本作では、自分の足元の見えていない理想主義者として描かれている。個人のリソースには限りがあるので、個々で興味のあることに声をあげるのは別にいいと思う。共感が得られるかは次の話。いじめられていた子は、あそこまで言えたならホントにあと一歩だったのに勿体ない。衣裳をすごく頑張っている。見せ場なので、もうちょっとしっかりランウェイ見たかった。演技の思い切りの良さはわかるし、テンション芸...山形県立鶴岡中央高等学校『明日は救世主』

  • エリザベス・バンクス監督『コカイン・ベア』(2023年)

    2024/7/19・密売人の事故でバラまかれたコカインで、アメリカクロクマがラリってしまい、様々な事情で森に入ってきた人たちを次々と襲う話。・こういうジャンルの90分ちょっとの作品にしては、登場人物が多い。・滝の絵を描きに来た子供たち、その子供たちを探す母親、コカインを回収しようとするマフィアたち、ただのチンピラ、森林レンジャー、刑事、医者。・いかにもB級っぽい話なのに、それぞれがそれなりのエピソードを抱えていて、群像劇の雰囲気がある。・普通、死ぬ役割の人は死んでも悲しくならないようにステレオタイプの人物設定にする。・死に方は、コミカルだったり、ゴアだったり、うっかりだったり、多岐に富む。もはやクマに襲われて酷い目に遭う大喜利大会みたいになっている。・早々に人が死ぬし、そのあともどんどん死んでいく。・事情...エリザベス・バンクス監督『コカイン・ベア』(2023年)

  • 香川県立高松桜井高等学校『Gifted』

    2023上演①香川県立高松桜井高等学校「Gifted」2024/7/19先天的に優秀な生徒が、安易なネット利用で大失敗している同級生たちを見て、友だちについて考えてしまう話。だと思う。滑舌なのか会場なのか録音環境なのか、だいぶん会話が聞き取りにくい。加えて専門用語が多く、動きが少ないため、あまり話についていけなかった。とりあえず、登場人物が全員ケンカごしで会話している。むかしむかし、寝室で毎晩両親が延々喧嘩していて眠れなかった幼児期の気持ちを思い出した。彼女を引き立たせるためなのか、彼女以外の登場人物が全員一般的な高校生よりもかなり頭が悪そうに描かれている。学校の先生も相当ひどい。セキュリティ上、生徒にパソコン渡したら絶対ダメだと思うんだけど、意外とそういうことやっている学校あるのかな。ギフテッドってもう...香川県立高松桜井高等学校『Gifted』

  • 精華高等学校『鵲の橋で二度と会わない』

    精華高等学校『鵲の橋で二度と会わない』2024/7/14夜の廃屋で関係性の定まらない高校生の男女二人などが語らう話。夜の廃屋という組み合わせが持つ雰囲気に、場所、話題、二人の声質、うまく調和していて、名前の話、恋愛の話、かつての友人の話、対立要素がほとんどない会話なのに、しっかり緊張感が続く。強いて言えば、一時間近くにおよぶ会話の積み重ねの果てに二人の淡い関係性がどこに行きつくのかという部分だけど、少なくとも見ている間は大きい要素ではない。抑制のきいた掛け合いは玄人好み。袖を使った唯一のギャグはおもしろかったけど、この雰囲気でよくこのギャグだけ残したなというくらいミスマッチではある。装置の建て込みもしっかり雰囲気を出している。全体として、夜と廃屋の掴みどころのないソワソワワクワクする感じをしっかり抽出し、...精華高等学校『鵲の橋で二度と会わない』

  • 福島県立あさか開成高等学校 『いとしのレイラ』

    「2022上演8」福島県立あさか開成高等学校『いとしのレイラ』2024/7/14援助交際グループに入っている女子高校生レイラが、同じ学校の男子に、お金を払うから友達になってほしいと頼まれる話。コロナ禍の影響で大阪大会では映像参加。「援助交際」という言葉を久しぶりに聞いた。露悪的な女子グループ描写は「女子同士はギスギスするもの」とか「女の敵は女」という古めのテンプレ表現に見えるので、どういう風に受け止めればいいのかよくわからない。ヤンキー漫画を見るような感覚で見ればいいんだろうか。高校演劇の往年の名作とされる『チェンジ・ザ・ワールド』のオマージュ的な作品らしい。※登場人物の行動や、エピソードのつなぎかたにちょいちょい違和感がある。同世代の高校生が見たら、ちゃんと受け止められるものなのかな。盗んだお金を受け取...福島県立あさか開成高等学校『いとしのレイラ』

  • 作新学院高等学校『Passion』

    作新学院高等学校『Passion』2024/7/14男女2グループが一緒に修学旅行の計画を立てているうちに、女性が直面する社会的な負荷があらわになっていく話。序盤の会話。ありがちな言葉選びが少なく、内容はどうでもいいのに聞き続けられる。世の中の男性から女子高校生がどう見えているのか、直接的に語られている。短い時間でエピソードを詰め込み過ぎな感じもするけど、個人ではなくて、社会を描こうとすると必要なのかもしれない。だいぶん物事をわかっていなさそうな彼は、姉の存在がなかったら、一生こういう問題に気づくことはなかっただろうし、実際そういう人は多いんだと思う。なので、設定上の都合の良さは感じるものの、「いつかわかりあえる」という希望を語るのも、あるべき立ち位置ではある。高校演劇だと展開上の都合で使われがちな恋愛の...作新学院高等学校『Passion』

  • 星稜高等学校『神様の放送室』

    「2022上演6」星稜高等学校『神様の放送室』2024/7/1放送法の理想を掲げて一人校内放送を続ける放送部員のもとに、有能で訳ありの生徒が入部する話。社会問題を学校生活に置き換える手法で、本作品は放送法の話。コンセプトがはっきりしていて見やすい。加えて、抽象表現も取り入れ、演劇として、うまく題材を表現しようとする意思を感じる。高校生活のフィルターをひとつ挟むだけで、政治と放送の関係を直接的に風刺している。普遍性のあるテーマなので、時代を問わず長く上演される可能性がある戯曲。本作は友情を着地として気持ちよく終わるんだけど、本当に現実に対して誠実に作ろうと思ったら、映画の『新聞記者』みたいな薄気味悪いラストにしかなりえないのが悲しい。現実に負けっぱなしの大人には作れない作品とも言える。客席から頻繁に手拍子が...星稜高等学校『神様の放送室』

  • OrgofA『父と暮せば』

    2024/7/6・終戦後の広島、原爆で親しい人たちを失った美津江が、自分だけ生き残ってしまった罪悪感と、芽生えてしまった恋心との板挟みに苦しむ話。二人芝居。・自分が観た回は飛世早哉香さんと松井真人さん。・劇団あおきりみかんの松井さんはたぶん初めて。・終始、早口かつ言葉が全部クリアに頭に入ってくる。・父親の竹造は存在自体がイレギュラーな役で、時には怒り、時には囃す、常に場を動かす立場。・緩急も声色も自由自在で役の高い要求に応えていた。・竹造は幽霊なのか娘の想像なのかどちらだっけと思いながら見ていたら、セリフ的に想像のほうだった。・幽霊は人の死を矮小化する側面もあるので、こういう題材にふさわしくないのはわかる。・美津江の頭の中に竹造の人格が生成されて、彼女自身の思考を通さずに勝手に話し出す感じなのかな。・美津...OrgofA『父と暮せば』

  • 宇根 駿人、田島 佑規『クリエイター六法 受注から制作、納品までに潜むトラブル対策55』

    クリエイター六法受注から制作、納品までに潜むトラブル対策55宇根駿人翔泳社2024/7/5・クリエイターが直面する様々なトラブルの事例と、その対応策、予防策を紹介していく本。・関連する本はいくつもあるけど、特に口コミ評価が高かった。・電子版。巻末の参考資料リンクが便利。・法律系の話なのでもう少しとっつきにくいのかなと心配していたけど、簡単に通読できた。・著者は法律に詳しくない人に説明する機会が本当にたくさんあったんだろうなとわかる。読みやすい。・たしかにトラブルの話が多いけど、著作権の知識がないために、創作の幅を自ら必要以上に狭めてしまうことのないようにしてほしいということも書かれている。・実際、どこまでがオリジナルなのか、引用なのか、やっていいことと悪いことの線引きができていないと、必要以上に安全策をと...宇根駿人、田島佑規『クリエイター六法受注から制作、納品までに潜むトラブル対策55』

  • 毎日新聞校閲センター「校閲力講座・入門編」

    毎日ことばPlus2024/6/27・毎日新聞の校閲部による校閲講座。・単元ごとに20回。全部合計しても2時間なので1回当たりの時間は短め。各回に簡単なテキストや例題もある。・一気に見ることもできる長さだけど、簡単な例文もあるし、しっかり向き合うと時間がかかる。・集中力も使うので何回かに分けてじっくり視聴する。・ふだんそんなに表に出ることのないであろう担当の方が一生懸命話してくれる。・どの人も見た感じ個性的で似顔絵を描きたくなる。・要注意の同音異義語の具体例、知識として入れておくと役に立ちそう。・「対抗/対向」「人手/人出」「人口/人工」。意味もそんなにズレていないので、文脈次第で紛れてしまいがち。・萩と荻も、覚えるのをあきらめるくらい混同する。・両方植物だけど、荻上チキや荻野目洋子のおかげで荻のほうがや...毎日新聞校閲センター「校閲力講座・入門編」

  • DDT「髙木三四郎 vs スーパー・ササダンゴ・マシン ワンマッチ興行」

    2024/6/27・無期限休業が間近に控える髙木三四郎がスーパーササダンゴマシンと戦うワンマッチ興行。・二人とも硬軟どちらの試合もできるイメージだけど、特に軟の方向では業界トップクラスの対応力だと思う。・そんな二人のワンマッチ興行なので、ただのプロレス興行で終わるはずがなく、見る前から期待値が高い。・席の種類が51種類ある。制作段階からしっかり独自色を出している。というか、やりすぎている。・普通の席や穏当な特典も多いし、スタッフ体験席、誕生日お祝い席くらいまでならわかる。・記者のフリ席、引退セレモニー席、蘊蓄言いたい古参席と蘊蓄聞きたいビギナー席も面白いなと思える。・ただ、わざわざパネルを立ててほぼリングの見えない見切れ席、笑うとケツバット席、目隠しで試合が全く見えない席くらいになると、難解すぎる。・いっ...DDT「髙木三四郎vsスーパー・ササダンゴ・マシンワンマッチ興行」

  • DDT 「路上プロレス in 東京ドーム」

    2024/6/22リング以外の様々な場所でプロレスをするシリーズ。東京ドームという大箱中の大箱でも、無観客配信のみ、ワンマッチにすることで、興行全体のサイズを軽くすることができる。頭いいなと思うし、頭おかしいなとも思う。世紀の一戦、アジャコングによる国家斉唱がある。結構うまい。東京ドームは広い。フィールドで土まみれになったり、一番高いスタンドから落とされそうになっていたり、ブルペンで硬球ぶつけられたりする。レスリング技術で勝る鈴木みのると、かけひきで不意をつこうとする髙木三四郎。もともと対戦相手としての相性がいい。加えて、様々なプロレスラーやそれ以外のひとたちが乱入してくる。なぜかいる狂猿がなぜかある脚立と長テーブルを使って大家健にボディプレスしている。どういう文脈なんだ。笑ってはいけないシリーズのノリに...DDT「路上プロレスin東京ドーム」

  • 『ラーメン赤猫』(先行劇場上映)

    2024/6/21・猫たちが運営する「ラーメン赤猫」が、初のにんげんを雇い入れ、新しい体制を迎える話。・テレビアニメの先行上映。上映時間は短く65分。・原作は、いま自分が一番読み込んでいるマンガ。・近いうちにテレビや配信で見られると思うけど、TOHOシネマのサービスデーに背中を押される。・来場者プレゼントは書き下ろし風の色紙。かわいい。・ステッカーが良かったなと思っていたら、もう少し待てばもらえたらしい。残念。・原作1巻の城崎君が出てくる「マスクドエンジニア」のところまで。・猫がラーメンを作ったり、接客したり、経営したりする、多めにファンタジーが入っている話なんだけど、猫ならではの言動や制約をうまく取り入れていて、虚実の塩梅が絶妙な作品。・アニメの場合、マンガより自然に見ていられる幅がかなり狭まるので、最...『ラーメン赤猫』(先行劇場上映)

  • ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』(2回目)

    2024/6/17・一回目はほとんど情報を入れずに見て、色んな感想や解説を見聞きしてから二回目。スクリーンX。・二回目は全体図がわかっている状態なので、一回目よりかなり短く感じる。・「デスロード」の前日譚らしく、若干マッドじゃない人たちが生き残っていることにも気づける。・穏当な人は、何もかも奪われて死んでいくけど。・母親にしてもジャックにしても自ら捨て駒になったんだから、ちゃんと意を汲んで行きなさいよとは思ったけど、見捨てることができないのがフィリオサという人間。・似たことを宇垣美里さんが言っていて共感する。たしかにディメンタスとは全く違う。・子供フィリオサの背後で母の背中が燃えているシーンと、後のバレットファームで鉄格子ごしに火炎放射をうけるシーンが似ているのも、あえて重ねているのかもしれない。炎を背負...ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』(2回目)

  • ナイロン100℃『ゴドーは待たれながら』

    2024/6/17・誰かに待たれているゴドーという男が、いつどこで誰と会えばいいのか思い出そうとするが、最後まで思い出せない話。・ゴドーを待つ人々を描いたサミュエル・ベケットの古典的名作『ゴドーを待ちながら』。本作は待たれる存在であるゴドー目線で作られた話。一人芝居。・アイディアだけなら誰でも思いつく範囲だけど、実際に104分の戯曲を書いて上演するところまで持っていけるのがすごい。・初演は1992年で東京シティボーイズのきたろうさんが演じたらしい。・本作は大倉孝二さん。・一人芝居なので、ごく一部に「声」との会話はあるものの、ほとんど全て一人で喋り続ける。・当然セリフの量は膨大になるんだけど、それ以上に、わかりやすいあらすじはなく延々と堂々巡りを続ける話なので、これほどセリフ覚えが大変な作品はないのではない...ナイロン100℃『ゴドーは待たれながら』

  • 川田利明『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える 「してはいけない」逆説ビジネス学』

    開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「...川田利明ワニブックス2024/6/15プロレスラーの川田利明が、運営するラーメン屋の苦労話を書いた本。本当に笑えない程度の現実的な愚痴を言いながらも、こだわりは捨てられないナルシシズム全開の内容。人には「絶対になるな」と言いつつ、自分は「今更やめられない」という矛盾。不器用キャラを演じていたと言っている。たしかに小さいスケールでみるととても器用なのにその生き方は不器用そのもの。世の中のあらゆる表現は発信者の人間性を見せるものだと思うけど、こんなにプロレスとラーメン屋の作風が一致していることがあるんだろうか。10年続いていると言っても、読めば読むほど次の一年が乗り越えられるかわからない。次に東京に行ったと...川田利明『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学』

  • 男色ディーノ『イロモノの野望 透明人間と戦ってわかった自分の商品価値の上げ方』

    イロモノの野望透明人間と戦ってわかった自分の商品価値の上げ方男色ディーノ徳間書店2024/6/14プロレスラー、男色ディーノの半生をビジネス書の体裁でまとめた本。商品としての自分を分析したり、自身の商品価値が上がることになった出来事や、観客からいただいたクレームの紹介と、執拗にビジネス書っぽい形式にこだわっている。構成の都合でそうしているのもあるけど、素でそういうことを書くことへの照れもありそう。そもそもプロレスラーなのに、こんなテクニカルな書き方で一冊作れてしまうのがすごい。「価値のズラし」という考え方。プロレスである以上、勝敗が本筋なのは当然として、他の軸を設けて見せ場を作る。演劇でも映画でも大体面白い作品は複数の軸で楽しめるものだけど、プロレスにその考え方を応用している。ゲイに対するクレームとそのリ...男色ディーノ『イロモノの野望透明人間と戦ってわかった自分の商品価値の上げ方』

  • ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』

    2024/6/7・文明崩壊後の世界、拉致された少女フィリオサが、支配者たちのもとで成長し、やがて故郷に帰ろうとする話。・前作「怒りのデスロード」のフィリオサはひたすら凛々しく強い存在だった。・逆にどんな半生を送ったらあんな感じになるのか、説得力を持って見せられるのか、期待半分不安半分。・最初に出てきたフィリオサは、文明崩壊後とは思えない、かわいらしい普通の見た目の少女。・いかにも危なそうな連中に近づき、いきなりならず者たちに拉致される。唐突にも思える。・母親がフィリオサを助けるため、単身ならず者一派のアジトに乗り込む。迷いがなくて見ていて気持ちいい。自分の命の使い方も含めて合理的すぎる。・敵のリーダーはディメントス。バイク三台を中世のチャリオット風に並べた乗り物を操る。運転しにくそう。・のちのフィリオサを...ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』

  • 「葛西臨海公園・葛西海浜公園・マクセル品川アクアパーク」

    2024/6/10・せっかく海のある土地に来ているのだから、それらしい水族館に行ってみたいと思って、葛西臨海水族園に行く。・コガタペンギンのレンタルなど、札幌のAOAOとの縁もある。・結構な時間をかけて電車を乗り継いで行ってみて驚く。水曜日は休園日。・仕方なく、葛西臨海公園→葛西海浜公園→花と外野の大観覧車、そして東京湾を眺めつつ、東京旅行最後の一日がこれでいいのかと悩む。・観覧車のスタッフさんがとてもハイテンションだった。平日昼間、他にお客さんいなかったので戸惑う。・このまま帰札はどうしても受け入れられず、急遽マクセル品川アクアパークに向かう。・屋内にバイキング船やメリーゴーラウンドの遊具があって水族館らしからぬ内部。・気になる展示もあったがいったんスルーしてぎりぎりペンギンショーに間に合わせる。・ケー...「葛西臨海公園・葛西海浜公園・マクセル品川アクアパーク」

  • 「鈴本演芸場 5月下席 夜の部」

    2024/6/7・初めての寄席。・宿が上野近辺かつ、33tabの音声ガイド「タッグ街上野公園編」でも触れられていたので、鈴本演芸場を選ぶ。・昼の部と夜の部がある。夜のほうに行く。・ステージがあり、固定椅子が並ぶ。寄席と言っても、会場の雰囲気は映画や演劇とそんなに変わらない。・ただ、折り畳み式の棚がついている。飲み物や軽食を置いたり、ちょっとしたメモを取るときに重宝する。・最初から最後まで休憩含めて3時間ちょっと。・落語と落語以外がほぼ交互に演じられる。・高座を返したり、立て看板をめくっている前座(おそらく)の人が、長身、細もて、メガネ、ちょっと神経質そうな風体で、あんまり落語家っぽく見えない。名前はわからないけど、印象に残った。・開演時間の17時前から始まっていた。・奇術のアサダ二世さんは「今日はちゃんと...「鈴本演芸場5月下席夜の部」

  • 「東京国立博物館・常設展」

    2024/6/4・いろんな人が勧めていたものの、具体的に見たいものがあるわけではないので、ちゃんと楽しめるのか心配。・平日の朝からたくさんの人が並んでいる。外国人観光客がほとんどだったと思う。暑い。・館内には修学旅行生もたくさんいて結構な人だかり。・どうしても特別展の法然に興味が持てるとは思えなかったので、常設展のみ。・それでも広すぎて、いまだに全容を理解できていない。・33tabアプリでいとうせいこうさんとみうらじゅんさんの音声ガイドがあったので、東洋館から順番に見ていくが、現在は展示されていない品の解説もあって、都度画面の説明を見ないと理解しにくい。・音声ガイドとの付き合い方は難しい。・まずはたくさんの如来三尊仏龕がお出迎えしてくれる。・8世紀の唐で作られた作品群。三尊並んでレリーフになっている。同じ...「東京国立博物館・常設展」

  • 「すみだ水族館」

    2024/6/4・東京国立博物館に行く予定だったけど、月曜日で休み。・どうしようと焦った結果、すみだ水族館に行くことにする。時間が中途半端になってしまい、同施設内にある東京スカイツリーは諦める。・ペンギンと水族館が好きなので、個人的にはスカイツリーよりも水族館の優先順位のほうが高い。・そんなにネットの前評判が良かったわけではないけど、札幌のAOAOに足しげく通っているので、ペンギンを売りにする都市型水族館とはどんなものなのか興味があった。自分なら楽しめるはず。・最初はクラゲコーナー。ビッグシャーレというクラゲを見下ろすことのできる大型の水槽がある。・いろんなクラゲがいて、AOAOとの規模の違いを予感させる。・小笠原の海コーナーでシロワニを見たり、金魚のコーナーもきれいだったけど、なんと言ってもマゼランペン...「すみだ水族館」

  • 青森県立青森中央高等学校演劇部『もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら』

    2024/6/4・青森にある高校の弱小野球部が、中途入部した熱血女子マネージャーと、東日本大震災で被災した元野球部と、イタコのおばあちゃんとともに甲子園を目指す話。・最初に出演者が舞台に集合してウォーミングアップするところから始まり、シームレスに本編に移行する。・出演者はおそらく30人弱。・完全素舞台、照明も最低限。小道具や舞台装置は肉体、音響効果は声ですべて表現する。・時々なんでそこにいるのかよくわからないモチーフの人たちもいたりするが、それも含めて楽しい。・演劇博物館の説明によると、被災地など、どんな場所でも上演できるようにこの形態になったとのこと。・実際、2011年~2020年5月時点で104ステージ上演されている。高校演劇史上、屈指の話題作であり、名作と言っていいと思う。・戯曲は読んでいたけど、や...青森県立青森中央高等学校演劇部『もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら』

  • 『酒と涙とジキルとハイド』(2014年)

    2024/6/1・真面目でつまらない博士が性格を反転(狂暴化?)させる薬の発明に失敗し、研究結果の発表前日になって、たまたま目に付いた舞台役者にサクラをお願いする話。・博士が片岡愛之助、その助手が迫田孝也、博士の婚約者が優香、サクラの舞台役者が藤井隆の四人芝居。・演者の存在感をしっかり感じることができて、それなりに複雑な話が作れるという、いいトコ取りの四人芝居。・博士と助手の関係性が不穏。博士のほうが地位的には上なのに助手のほうが主導権を握っている。・不穏な理由は特に明かされないはず。・人間関係がすっきりしていて、何が起きているのか全部わかるお話の中で、謎めいた助手の存在がいいアクセントになっていた。・藤井隆が登場から汗だく。顔がピカピカしている。何かの伏線のように見える。・薬によって人格が反転してしまう...『酒と涙とジキルとハイド』(2014年)

  • 「KING OF DDT~20th Anniversary~FINAL!!」東京・後楽園ホール ARCHIVE DDT 2024.5.26

    2024/6/1※勝敗に関するネタバレがあり。・初めての後楽園ホール。・やや後方、正面の席(客席はリングの四方を囲んでいるが、撮影の関係ではっきり正面にあたる方角がある)。・ダークマッチから盛り上がっている。ヤジみたいな金切り声で若手の須見和馬を応援しているお客さんがほほえましい。・全16名の選手が参加したトーナメントのベスト4と決勝戦を今日一日で行う。・出場四人のうち三人が優勝経験者。最近の活躍ぶりからいかにもMAOが初めて優勝しそうな雰囲気。・ただ、煽り映像で「樋口さんに勝ったら優勝できる」と言っていて、かえって嫌なフラグを立てていた。・その試合、MAOはフィジカルで押す樋口の土俵に乗って攻撃を受け続ける。胸が真っ赤。・自分は樋口推しなのにMAOを応援したくなるような展開をうまく作っている。・耐えて耐...「KINGOFDDT~20thAnniversary~FINAL!!」東京・後楽園ホールARCHIVEDDT2024.5.26

  • シッダールト・アーナンド監督『WAR ウォー!!』(2019年)と新文芸坐オールナイト上映「リティク・ローシャンと一夜を共に」

    2024/5/30・新文芸座のオールナイト上映のに三本目。・時間的には午前4時過ぎくらいの開始。・さすがに眠くなってきたが、前の二作が楽しかったこともあり、序盤のうちはまだ余裕があった。・主人公の尊敬する先輩が軍を裏切って敵になってしまう話、でいいのかどうかは自信がない。・本作ではもう一人メイン級の人がいて、リティク・ローシャンが敵役に回っている(ように見える)ため、やや出番が少ない。・オールナイト上映が始まるときに、スタッフさんが「いつ寝てもいつ起きてもリティク・ローシャンがいるから安心してほしい」と言っていた。・嘘ではないんだけど、本作の彼はすこしだけ出番が少なめだったと思う。・すっかりリティクが好きになっていたため、彼が出ていないシーンは緊張感が保てない。・加えて、敵と味方が激しく入れ替わる話なので...シッダールト・アーナンド監督『WARウォー!!』(2019年)と新文芸坐オールナイト上映「リティク・ローシャンと一夜を共に」

  • シッダールト・アーナンド監督『バンバン!』(2014年)

    2024/5/30・新文芸座のオールナイト上映の二本目。・深夜一時過ぎだったと思う。事前に普段より多く寝ていたわけではないけど、まだ頭はしっかりしている。・婚活で出会った男が大泥棒だったという話。・その大泥棒役がリティク・ローシャン。・巨大なダイヤを盗み出すが、報酬をめぐり、交渉先の犯罪組織との関係を悪くしてしまう。・一方で、婚活を始めた普通の若い女性。たまたま婚活サイトでアポを取った男性が遅刻してしまい、リティクを婚活相手だと勘違いしてしまう。・温度差が極端。・状況的に極めてうさん臭い人間のはずなのに、リティクの人間力だけで魅力的に見えてしまう。・何かのショーに紛れ込んだリティクが、迫力ある音楽ともに踊りだすシーン。割と序盤だけど、本作のピークだった。アナ雪のレリゴーに匹敵する。・演出効果もあるけど、彼...シッダールト・アーナンド監督『バンバン!』(2014年)

  • ゾーヤー・アクタル監督『人生は二度とない』(2011年)

    2024/5/30・新文芸座のオールナイト上映の一本目。・開演時間になるとインド映画の配給担当スタッフのかたが出てきてあいさつ。拍手が起きる。・いかにも映画好きが集っている雰囲気。・勝手に想像していた、たまたま宿が取れなくて仕方なくここで一晩過ごす、みたいな人は見られなかった。・確かにただ寝るだけならネカフェのほうが安い。・結婚を間近に控えた男性が、親友二人とともに、男同士、独身最後の旅行を楽しむ話。・旅行先はスペイン。旅行先の体験や出会いを通じて、少しずつ三人の過去のわだかまりや、現状の困難さと向き合えるようになっていく。・少なくとも結婚、長期の海外旅行ができる程度に裕福な三人なので、多少ひどい目にあっても生々しくならない。いい意味で他人事として見られる。・スカイダイビングのシーンが長くてハラハラした。...ゾーヤー・アクタル監督『人生は二度とない』(2011年)

  • 「早稲田大学演劇博物館」

    2024/5/24・早稲田大学自体に行くのも初めて。・演劇博物館では、毎週金曜13時からボランティアの方のガイドを受けられるということで行ってみる。・HPを見ても情報量が多すぎるので、詳しい人に聞いたほうが早いなと思った。・いかにも大学らしい直方体の建物の並びに、あきらかに異質な西洋風の建物がある。・シェイクスピア作品が多く上演されたイギリスのフォーチュン座を模して作られた建物。演劇の舞台としても使えるそうだ。・建物の近くに坪内逍遥像。右手の色が剥げている。握手をすると早稲田に縁ができるというゲン担ぎがある。受験生ではないが、とりあえず握手しておく。・受付でガイド希望の旨を伝え、ご年配の女性に対応していただく。ガイドさんと一対一で館内をまわる。・長期休暇明けの仕事が怖いので、今回の旅行では人と話せる機会が...「早稲田大学演劇博物館」

  • 国立映画アーカイブ「NFAJコレクションで見る日本映画の歴史」

    2024/5/28・映画に関する知識は中の下くらいなので33tabというアプリでライムスターの宇多丸さんの音声ガイドが聴く。自分にとってのモグタン的な存在。・しかし、説明文とアプリの解説が重複していたり、聞きながら文字が読めなかったり、音声ガイドと実際の展示が一致しにくかったり、うまく使いこなせない。・展示を見る前にガイドを聞いたほうが良かったのかも。・映画の発明は1895年頃。アメリカ系(エジソン)とフランス系(リュミエール兄弟)がある。・スクリーンで観客に見せる方式だったリュミエール兄弟が先と言われることが多い。・映画以前の日本最古の記録映像から見られる。水車を踏んで田んぼに水を送る様子や、何かの踊り。街の往来と犬。・映像は想像よりはきれいで、加工された映像作品ではなくて、当時の生活がそのまま映ってい...国立映画アーカイブ「NFAJコレクションで見る日本映画の歴史」

  • PARCO PRODUCE『ハムレットQ1』

    2024/5/24・映像では何度もPARCO劇場の作品を観ているが、現地での観劇は初めて。・わりと暑い日に長々歩いた上に、ちょうどいい感じに休めるところがなく疲労困憊状態だった。みんな、あんな坂をのぼっていたのか。・中段やや下手。見やすい席でほっとする。・舞台装置がシンプルで美しい。・下手奥に向かってせり上がっている。上手側には瓦礫に見えるオブジェ。玉座にも使う。・ハムレットが父親の仇である叔父に復讐する話(何度も書いているとだんだん雑になる)。・ハムレット役は吉田羊さん。男性として演じる。・演者が女性であることの違和感はなかった。・一昔前だったら「女性が演じる意味とは」が重要になりそうだけど、トピックの一項目程度だったと思う。・商業レベルでも、こういう性別違いが当たり前になる傾向は進みそう。いい流れ。・...PARCOPRODUCE『ハムレットQ1』

  • 伊勢朋矢監督『日日芸術』とCINEMA Chupki TABATA

    2024/5/24・こちらの映画館は、耳や目が不自由な人も楽しめるユニバーサルシアターとのこと。・小さい映画館であることは知っていたけど、実際現地に来てみると思っていたよりもかなり小さい。20席。・どの席にも音声解説用のジャックがある。・ここに来て普段通りに映画を観ても仕方ないかなと、イヤホンをお借りして音声ガイドのみ鑑賞を試みる。・映像がなく、音声のみの作品なら、ラジオドラマみたいなものかなという素朴な疑問。・実際に体験してみると、映像を言葉で説明する音声ガイドと、映像表現自体を想定していないラジオドラマは似て非なるものだった。・そもそも映画でしか見られない作品は山ほどあるので比較自体あまり意味のないことだった。・自分は目を閉じていたけど、頭の中には映像が浮かんでいる。中途失明した人はともかく、元々目の...伊勢朋矢監督『日日芸術』とCINEMAChupkiTABATA

  • 「岡本太郎記念館」

    2024/5/23・新国立劇場からちょっと歩くと(迷ったので実際には結構歩いた)、岡本太郎記念館がある。・もともとは自宅兼アトリエだったようなので、美術館というより人の家にお邪魔するような感覚。・入館する前から、庭に異形のものたちがたくさんいる。・写真撮影OKかわからなかったので、先に受付で確認してから庭を散策する。・ドアの取っ手も岡本太郎風の足形だった。・変なオブジェだなと思っていたら、育ち過ぎたショウブだった。あんなメカっぽくなるんだ。・『犬の植木鉢』と、ベランダのミニ太陽の塔が圧倒的にかわいい。・マティスは当時の評論家から「野獣のよう」と言われ、野獣派なんて呼ばれていたけど、本人は「人々を癒す肘掛け椅子のような作品」を目指していたらしい。・半面、岡本太郎は困難を選べ、楽をするなというようなことを言う...「岡本太郎記念館」

  • 「マティス 自由なフォルム」

    2024/5/23・晩年の切紙絵が多いんだろうと思ったら、ごく初期の習作レベルの油絵から展示されていた。・近い時期に行われた別のマティス展とのすみわけはあるようだけど、本展覧会だけ見ても全体の流れはわかるようになっている。・最大の見どころは、マティスの集大成である、ヴァンスのロザリオ礼拝堂を完全再現した展示。・事前に山田五郎さんのYoutube解説、当日は安藤サクラさんの音声ガイドと、迎え撃つ気満々で鑑賞。・五郎さんの「マティスは同じモチーフを繰り返し描く」という話がいい補助線になった。・彫刻の『横たわる裸婦像Ⅱ』がのちの『大きな横たわる裸婦』だし(順番は前後するかも)、『アンリエット』の連作も写実→極端なデフォルメ→それらのハイブリットと、繰り返し製作されている。・日本の漫画を想起させる作品も目に付く。...「マティス自由なフォルム」

  • 新国立劇場『デカローグ5・6』

    2024/5/24・ポーランドの映画監督キシェフロフスキーが旧約聖書の十戒をテーマに作成した10本の中編映像作品のうち、第5話と第6話を演劇に翻案した作品。・事前にドラマ版のDVD-BOXで全話視聴して予習十分。・知識ゼロの状態からだいぶん愛着は沸いているものの、第5話と第6話は、端的に言って話が嫌い。・舞台化したら印象が変わるかもしれないし、行きがかり上、見ない選択肢はない。・そんな心持ちもあり安価なテラス席を購入。下手側。・舞台に対して椅子が垂直方向に並んでいるのでずっと左横を向いて観劇することになる。・加えて左隣の人(舞台に対しては前方の人)が前傾姿勢。舞台の左側半分が見えない。アナウンスしていたのに。これは声掛け案件かと思っていたら開演10分位で姿勢を変えてくれた。・第5話は、無軌道な若者がタクシ...新国立劇場『デカローグ5・6』

  • TLPW「TJPW LIVE TOUR 2024 SPRING」

    2024/5/23・最初にアップアップガールズ(プロレス)のミニライブから始まる。・アイドル詳しくないけど、イベントの始めに唄うのは一種の景気づけのようなものなのかな。・演劇の場合、作中ならあるけど、開演の前に唄うのは聞いたことないかも。場合によってはアリかも。・原宿ぽむが気になる。名前も衣装もあんまり見たことない感じ。・前々から目には入っていたけど、あんなにはっちゃけた感じだったっけ。・対戦相手にリング上で551を貢ぐという浅はかすぎる作戦が楽しい。・妙に体が硬い感じとか、動きに変な癖があって面白い。・動きに関してはプロレスラーとして未熟な部分かもしれないので、今後変化していくのかもしれない。・一連のイベントの中で、かなり高度なことができる選手と、まだ初心者マークが取れていないような選手が共存している。...TLPW「TJPWLIVETOUR2024SPRING」

  • クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』キェシロフスキ監督に関する”100の質問”

    デカローグDVD-BOX/クシシュトフ・キェシロフスキ(監督)デカローグDVD-BOX/クシシュトフ・キェシロフスキ(監督)です。ノーブランド品2024/5/20『デカローグ』DVD-BOXの特典映像。マスコミが監督キェシロフスキーを囲んで質問漬けにする42分間の映像。本当に100問があったかどうかはわからない。最初から「あなたは賞を取っているが観客の関心を獲得していない」と指摘され、ピリッとした空気になっている。監督の「検閲の話をするのは好きだ」「機能している機関が好きだから」「検閲は嫌いだ」の流れがいかにも一筋縄ではいかない。フランスの批評家に比べてポーランドは…みたいなことを言ったりもする。同じヨーロッパの中でもやっぱり温度差がある。監督の「神は至高の存在だが仲介者は必要ない」もいい。もともとドキュ...クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』キェシロフスキ監督に関する”100の質問”

  • 『バベル 7.16』

    2024/5/19・2016年のアヴィニョン演劇祭で上演された、15国籍23人のダンサーとミュージシャンによるパフォーマンス。・女性の一人語りから始まる。AIのような無機質な語り口で言語としての身振りについて語る。手話のようにも見えるがだんだん複雑化していって、人間として見るには不自然な機械的な動きになっていく。・次に登場人物が集まってきて同じように動くんだけど、見た目も服装もバラバラで、同調性は強調せずに、同じ振り付けで動くことで違う部分をわかりやすく見せている感じ。・多国籍の演者たちが言葉、踊り、歌、それぞれの異なる見せ方で小さなシーンを作って、それらを組み合わせて構成している。・こういう作品だと、全体に対して今がどれくらいなのかわかりにくいので、どんなに高度なことをやっていても長く感じてしまいがち。...『バベル7.16』

  • DDT「KING OF DDT~20th Anniversary~2nd ROUND」

    2024/5/17・最初の3WAY、中盤からどんどんテンポが上がっていき、最終的には平田一喜の高速タップでフィニッシュ。・あのタップが許される選手ってなかなかいないような。・飯野雄基のセクシーエルボー不発の流れも、頭で考えると不自然なところがたくさんあるんだけど、動きのテンポ感でちょうど良い加減になっている。絶妙。・中村圭吾人気で相対的にヒールっぽくなってしまった上野勇希。実際、あんまりヒールっぽい動きが似合わない。反面、勝俣瞬馬はうまくハマっていた。・サウナカミーナはサウナでつながっているユニットだから、チーム内にベビーとヒールが共存していてもおかしくないのかもしれない。・ピンポイントで蛇界入りしたHARASHIMA。・あんまりこういうことするイメージ無かったけど、たぶん彼なりの蛇界的なムーブが徹底して...DDT「KINGOFDDT~20thAnniversary~2ndROUND」

  • エルンスト・ルビッチ監督『生きるべきか死ぬべきか』(1942年)

    2024/5/17生きるべきか死ぬべきか(字幕版)キャロル・ロンバード1939年ナチス占領下のポーランドで、舞台役者の夫婦とファンの空軍兵士が、劇団員の力を借りながら、ゲシュタボのスパイを退けようとする話。序盤、ウェルメイドなコメディが始まりそうなお膳立てをしておいて、ナチスの侵攻でぶち壊してくる。ほんと戦争は趣味が悪い。『ガザの美容室』はクライマックスがその感じだったけど、この作品では前振りに使っている。作中劇はタイトル通りの『ハムレット』。オフィーリアのセリフが少ないことを逆手にとって舞台裏の重要人物にしている。上手い。「TOBE~」でプロンプをもらっているのはホントどうかと思う。みっともない。逢引するための途中退席なのに、めちゃめちゃ目立ってしまうのおもしろい。中盤以降の何がどうなってそうなっている...エルンスト・ルビッチ監督『生きるべきか死ぬべきか』(1942年)

  • クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第10 話 ある希望に関する物語

    デカローグDVD-BOX/クシシュトフ・キェシロフスキ(監督)デカローグDVD-BOX/クシシュトフ・キェシロフスキ(監督)です。ノーブランド品2024/5/17父親の遺品から高額の切手が出てきたことをきっかけに、息子兄弟が取得条件の厳しいある切手を手に入れようとする話。兄は家庭を持つ会社員風で、弟は根無し草のミュージシャン。対照的兄弟は好み。お互い人生うまくいかないこともあるし、大した交流もなかったけど、兄弟仲は悪くない。お兄さんが時々板尾創路さんに見える。借金もあるし、切手なんてさっさと売ってしまうかと思ったら、兄弟は父のコレクションを売らない決意をする。不自然な感じはなかったけど、うまく理由を言語化するのが難しい。兄の常軌を逸した選択とその顛末は悲惨としか言いようがないのに、見ているとちょっとニヤニ...クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第10話ある希望に関する物語

  • DDT「KING OF DDT~20th Anniversary~1st ROUND」東京・後楽園ホール ARCHIVE DDT 2024.5.5

    2024/5/7・ダークマッチ。あの秋山準でこんなに笑えるのか。・秋山選手、DDTの正式所属になっていることを見た後で知ったけど、それにしても。・最初のところだけで止められてよかった・直前の札幌大会を見たばかりなので、松井レフリーのしらじらしさが際立つ。・ポイズンJULIE澤田選手ほんとに久しぶりに見た。・オーソドックスなプロレスの攻防に呪文を加えることで飛躍的にバリエーションが増える。・場外ダイブを呪文で自爆させるところ。・あんなにヒヤヒヤしない電流爆破バットはない。・人間換算の年齢的には信じられないくらい動いている。ほんとに人間ではないのではないか。・それなのにピュアな一面もあってかわいらしすぎる。・王者上野勇希と社長高木三四郎。勝敗より、どんな試合になるのか楽しみな組み合わせだった。・プロレスの会場...DDT「KINGOFDDT~20thAnniversary~1stROUND」東京・後楽園ホールARCHIVEDDT2024.5.5

  • ジョン・フォード監督『幌馬車』

    2024/5/8馬の売人をしていた男二人が、西部開拓をめざすモルモン教徒の一行の道案内を引き受け、一行の乗っ取りを企てる悪漢たちを退ける話。シンプルな構成。時間も86分しかない。砂漠ばかりの厳しい行程でも、彼らの案内と、踊り子の一行も合流し、結構楽しそうに見える。情熱のあるリーダーがすぐに声を荒げて仲間に注意されている。危うさもふくめて人間らしいかも。物腰が柔らかく怪我人なのに殺すときは殺す悪漢のリーダー。仲間たちも含めて、一目でならず者だとわかるのがおもしろい。馬の扱いがすさまじい。人を乗せたまま荒ぶっていたり、横転したり、下り坂を駆けおりたり、水に飛び込んだりする。自転車くらいの気軽さで馬に乗りこなしている。ここまでの馬描写は、もう現代ではできなくなってそう。馬映画として映画史に残りそうな作品だった。...ジョン・フォード監督『幌馬車』

  • 大阪御ゑん祭『夫人マクベス』

    2024/5/7・近藤芳正演じるマクベス夫人が、「マクベス」をモチーフにした4本の短編を渡り歩いていく話。・各話はそれぞれ起・承・転・結と銘打たれていて、それぞれ別々の団体が担当している。マクベス夫人だけ通しで登場する。・各話なんとなくマクベスの最低限の骨組みを拾いつつ作られている。・オープニング。各チームが狭い舞台上に密集しているなかマクベス夫人が前説を行う。期待感が煽られる。・最初は大阪万博のデザイナーの話。大型受注を受けたデザイン事務所のCEOをダンカン王になぞらえて、マクベス夫人がデザイナーの夫に彼を殺させる話。・時事ネタではあるけど特に批評性はなさそう。・LGBTのしつこいイジリは何の意味があるんだろ。・次の話はカラオケボックスみたいなところで王様ゲームしている若者たち。・マザコン息子マクベスが...大阪御ゑん祭『夫人マクベス』

  • クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第9 話 ある孤独に関する物語

    デカローグDVD-BOX/クシシュトフ・キェシロフスキ(監督)デカローグDVD-BOX/クシシュトフ・キェシロフスキ(監督)です。ノーブランド品2024/5/7夫が性的不能になってしまい、中年夫婦の関係性が危うくなってしまう話。自動車にガソリンを入れるときのノズルが意味ありげにアップになったり、夫が自転車に乗っているときに体を不自然にバウンドさせたり、ガタガタの下り坂から川に突入したり、真面目なのか滑稽さを出そうとしているのか、よくわからない描写が多い。妻は若い愛人を作って不倫している。自身で関係を清算しようとしているが、すでに疑心暗鬼になっていた夫にはバレてしまう。自分が性的不能だからと怒れない夫に対して、妻は怒っていいと伝え、関係性の回復に向けて一歩進む。それだけでは終わらず、もうひと展開あって、すっ...クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第9話ある孤独に関する物語

  • DDT「DRAMATIC DREAM TOUR 2024 in SAPPORO【DAY2】」

    2024/5/6・オープニング。どこかで聞いたことのあるようなマイクアピール合戦。そういうご当地感の出し方もあるのか。・もともと好きな人は楽しいし、今なら配信でいろいろ見られるから意外と間口は広いはずだし、全く知らない人でももはや古典化している掛け合いそのものの力強さで盛り上がれる。客を選ぶようで意外と強い。・男色ディーノという存在。世の中のセクハラに対する考え方とか、ヒールとか、人気ヒールのベビー化とか、下ネタの塩梅とか、ベテランレスラーとしての立ち位置とか、見れば見るほど思考を求められる。深い。・大社長の長期休業は寂しい。それすらネタにするのはさすがだった。・最後は謎に平田一喜と松井レフリーが入れ替わっておしりにはさまれていた。・試合中、ヨシ・タツの「おまえ喋りすぎだ」という指摘。たしかにみんな喋るん...DDT「DRAMATICDREAMTOUR2024inSAPPORO【DAY2】」

  • DDT「DRAMATIC DREAM TOUR 2024 in SAPPORO【DAY1】」

    2024/5/5・会場はホテルの宴会場。小さいながらも豪華なシャンデリアで高級感がある。客席とリングの距離が近い。・試合会場の近くに住んでいるし、チケット代もいつも通りだったし、仕事じゃなきゃ行ったのに。・会場に一人くらい知っているひといるかなと思ったけど、やっぱりいなかった。・小さい会場だからか、全体的に突飛な試合はあまりなく、シンプルで速く細かい攻防が多かったような。・それだけに男色ディーノの異物感が際立つ。入場時、挙手制で襲われる客を選んでいるところがちゃんとアップデートされている。・瞬間瞬間で、キスするなり、いたずらするなり、バリエーション変えてリアクションする反射神経。・ただし味噌は色んな意味でダメだと思う。・斗猛矢は10年以上前に一度見たっきりだったけど、上半身、特に胸回りがすごく分厚くなって...DDT「DRAMATICDREAMTOUR2024inSAPPORO【DAY1】」

  • シェイクスピア『ハムレット Q1』(光文社古典新訳文庫)

    ハムレットQ1(光文社古典新訳文庫)シェイクスピア光文社2024/5/4安西徹雄訳。解説を参照すると、ハムレットにはいくつかの底本があって、まずは1603年刊のQ1版と1604年刊行のQ2版、そのあと1923年に初めての全集に掲載されたF1版がある。Q1版は最初の出版物ではあるものの、海賊版扱いされがちで、オフィシャル色が強いのはQ2版とF1版。そんなに違うもんなのかなと、実際読んでみると、全然違う。マニアックな方向ではなく、ものすごくわかりやすくなっている。そもそも長さがQ2の半分ほどしかない。読みやすいし、たぶん演劇になればはるかに見やすい。Q1版は読んだことなかったのに、記憶にあるハムレットという物語は、こちらのバージョンのほうが近い。少なくとも、マンガの原作や子供向けバージョンを作るなら、こちらを...シェイクスピア『ハムレットQ1』(光文社古典新訳文庫)

  • シェイクスピア『ハムレット』(ちくま文庫)

    シェイクスピア全集(1)ハムレット(ちくま文庫)W.シェイクスピア筑摩書房2024/5/4松岡和子訳。初めて読んだわけではない、はず。近々、また演劇作品のほうを見に行くので予習がてら読んでみる。こういう古典はネタバレや先入観なしに見たいとか考えずに済む。名作という評価が定まっている作品だから言えるけど、戯曲で読むとあらためて登場人物が何を考えているのかよくわからず、とにかく冗長に感じる。過度な説明や言葉の装飾は、今ほどの照明や音響効果が期待できない当時のイギリスの演劇環境であれば、それほど違和感はなかったのかもしれない。あらすじを知っている状態で読んでいるからついていけるけど、まっさらの状態で読んでいたらたぶん理解できなかった。特に母であり、宿敵の妻でもあるガートルードがよくわからない。息子を愛しているの...シェイクスピア『ハムレット』(ちくま文庫)

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