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2014/10/06

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  • Jesse Vogelaar『僕とコウモリ』

    2025/7/12家が崩れて屋根の下敷きになった男が、電話で友人と短編映画の脚本会議をする話。一応、そういう話に見えるし、あらすじにもそう書いてある。でも、実際のところはよくわからない。というか、たぶん違う。会話が続いていても、登場人物の口は全く動いていない。劇中劇の作りに見せかけて、映像には劇中の話しか映っていないように見える。展開には特別意外なところはなかったけど、短編ならではのトリッキーな見せ方だった。脚本自体のアイディアはほんとしょうもない。失恋から立ち直ろうとする話で、なぜかファンシーなコウモリが訪ねてきて同居生活をする。本当に死ぬ間際にこんなしょうもない話をしていたんだったら面白いのかもしれない。壁パンチに、全然力が入っていない。たぶん物に当たらない良い人なんだろうけど、あれで家は崩れないと思...JesseVogelaar『僕とコウモリ』

  • カミュ『異邦人』

    2025/7/11・海辺の町に住む青年ムルソーが、殺人と母親の死を悼む様子を見せなかったことで、死刑判決を受ける話。・殺人よりも母親の死に悲しむ様子を見せなかったことが決定的だったらしい。よくわからん。・一方で、殺されたアラビア人のことには誰も関心がなさそう。かわいそう。・ムルソーは村上春樹作品の主人公感がある。・常に温度感が低く、母親が死んでも平然としているし、彼女にも性欲以上の興味はなさそう。・ただ、周りの人間からはわりと慕われている。自分から近づこうとしなくても、周りの人が勝手に近づいてくる感じ。こんな人、実在するのかな。・レエモンには都合のいい存在だったとも言えそうだし、他人に無関心だからこそ、ある種の人たちにとっては話しやすい相手だったとは言える。・「こんなことを話してしまって嫌われないだろうか...カミュ『異邦人』

  • Sacha Calame & Florian Dilloo『蘭』

    2025/7/10海辺の家で花を育てながら暮らしている女性に悪い虫がつく話。SAMANSAでアニメは初めて。動きはほとんどなく、登場人物も声を出さない。BGMだけ。アニメの技術としては最低限の短編だけど、単純化した線画と色彩の情報量が案外多く、眺めていて退屈しない。これだけ単純化されていても、花びらにたかる虫は気持ち悪い。花の構成要素もどことなく人体を感じさせる薄気味悪さ。男性の不潔そうな顔つきや女性の裸体描写が妙に生々しい。そんな具合に、デフォルメ加減はうまく調整されている。実際に何が起きているのか、はっきりはわからない。どうしても女性=花、男性=虫の隠喩と考えてしまうけど、どちらかと言うと、女性が男性と交わることで個人から女性という属性に変容していく話という解釈のほうがいいような気がする。北野武映画を...SachaCalame&FlorianDilloo『蘭』

  • カミュ『異邦人』(第二部/5)

    2025/7/7独房に戻ったムルソーは空の移り変わりや逃亡の可能性、刑罰、上訴について思いを巡らせる。司祭との問答で彼は激高するが、最終的には自分は幸福だったと悟る。これで終わり。ちょっとあっけなかった。解説のページ数が案外多かったこともあり、急に終わった印象。刑の執行までいかない。「結局、この人何だったの」という疑問が残る。そして、その疑問に、「こんな人だ」と言えたとしても、意味があるのかないのか。終始温度感の低いムルソーから怒りを引き出した御用司祭は案外優秀なのかもしれない。宗教としては定型句でも、他人から「我が子」呼ばわりされたら嫌な気持ちになる人がいるのはわかる。ただ、家族に対する意識も希薄なんだよなこの人、とも思う。そこで激高するということは、神に何かをゆだねるような生き方は嫌なんだろうか。おそ...カミュ『異邦人』(第二部/5)

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/4

    2025/07/03裁判が続く。検事は「ムルソーは犯罪を予謀した」と主張する。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ムルソーへ斬首刑の判決が下される。「予謀」は犯罪を前もって計画すること。購入したばかりの日本国語大辞典アプリで調べたが出てこなかった単語。がっかり。ムルソーは話している内容よりも、検事の熱量に興味を持っている様子。たしかに他人一人を死に追いやるという大事に気後れすることなく職務を全うしようとしている。彼の話には、創作や想像も結構含まれているし、職務熱心なあまり、むしろ人としての大事なものを失っているように見える。死罪一人いくらみたいなインセンティブでもあるのかな。もしかして、ムルソーはアラビア人に刃物で刺されそうになったことを周りに話していないのか。刃物は重要な物証にもなるはずなのに。あと、斬首刑っ...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/4

  • ジョナサン・デミ監督『羊たちの沈黙』(1991年)

    2025/7/7・FBIの実習生スターリングが、収監中の凶悪犯罪者レクターから助言を受け、連続猟奇殺人犯に迫る話。・サイコホラーの名作とは言え、最近こういう緊張感を煽ってきそうな作品は得意ではないので、楽しめるかどうか半信半疑で見てみる。・結論、そういう自分でも緊張感が途切れず楽しめた。・グロい描写もなくはないけど、思っていたよりはだいぶん気を遣われている感じ。・主演はジョディ・フォスター。FBIの見習い的な立場。学生らしい青臭さを感じる。大女優になった今では出せない雰囲気。・しっかり訓練は受けていても、いざ実戦になると、全く余裕がなくなる感じが初々しい。オーバーアクトとも感じたけど、実際、いきなりあれくらいの場面に遭遇したらああなるのかも。・名前のない警察たちのほうがやっぱり頼りになりそうに見える。レク...ジョナサン・デミ監督『羊たちの沈黙』(1991年)

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/3

    2025/07/03およそ一年の拘留期間を経て、ムルソーの事件の裁判が始まる。裁判長や陪審員たちの関心は彼と母親の関係に集中し、擁護側の証人の声は届かなかった。また暑い夏がやってきて、ようやく裁判が始まる。太陽や暑さに関する言及が多い。検事の、母親を大切にしない奴は凶悪犯罪を犯すのだという、よくわからない理屈とそれに同調する人々。殺されたアラビア人のことは忘れられているように見える。「彼は母親を埋葬したことで告発されたのでしょうか、それとも一人の男を殺害したことで告発されたのでしょうか。」(p103)という弁護人の精一杯の主張も、母親を大切にしない人と殺人には関係があるはずだという野蛮な理屈で覆される。万事他人事に思われたムルソーも、裁判に興味を持ったり、泣きたくなったり、セレストに対して抱きしめたくなっ...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/3

  • Avi Kaye『ランニング・アウト』

    2025/07/04帰省の準備や仕事に追われ、心にゆとりのない青年ジェイクが、ちょっとした出来事をきっかけに大きな気づきを得る話。彼は母親からの電話に対しても当たりが強くて見ていてちょっと嫌な気持ちになる。最後のアイラブユーすら言わせないのは、かなり意地悪に見える。母親に強く当たれるのは依存の裏返しでもある。それでも、今まで自分が似たようなことをしていなかったのかと顧みると自信ない。たぶん、世の中に似たような人はたくさんいる。いるはず。大きな事件は起きていないけど、心が動く小さな瞬間を逃さず切り取って短編作品に仕立てている。似たような構造の出来事は、現実にたくさん起きているだろうから、彼の変化に共感できる人は多いと思う。好きなアプローチ。小道具としてのパソコンの使い方が巧い。でも、約束したことだけはやった...AviKaye『ランニング・アウト』

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/2

    2025/6/29ムルソーは刑務所に入れられた。彼は数か月の独房生活にだんだん慣れていった。彼は少なくとも5か月独房に入れられている。本人の温度感も低かったし、人を殺しているものの正当防衛的なことを想像していたので、ちょっと意外だった。判事との雑なやり取りも影響しているっぽい。面会のシステムが独特に感じる。面会人とは二重の鉄格子で隔てられている。鉄格子間も8~10メートルくらい離れている。遠い。大きめの声を出さないと話ができないし、一対一ではないので他の人の声も邪魔そう。面接に来たのはマリイだったが、家族ではないため何度も来ることはできないらしい。昔少し読んだだけの印象だけど、村上春樹っぽさを感じてきた。言外にずっと主人公の「やれやれ」を感じる。作品名は忘れたけど、狭い穴の中に閉じ込められている描写があっ...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/2

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/1

    2025/6/29ムルソーは逮捕される。クリスト教徒の判事の機嫌を損ねつつ、尋問を受ける。彼の身柄は憲兵に託される。二部のはじまり。前章で彼は眼を斬られたと思ったんだけど触れられていない。違うんだろうか。ムルソーは相変わらず他人事感覚で尋問を受ける。心証をよくしようという意思が見えない。敬虔な判事は「神を信じるか」と聞くが「信じない」と答える。どうしてこんなにやる気がないんだろう。こういう淡々としている感じは作中人物としてあんまり好きではない。現実味がない。そう考えてみると、ちょっと何かあると周囲にキレ散らかしていたラスコーリニコフは、まだ人間臭かった。ただ、前章で、好きな浜辺の特殊な沈黙をうちこわしてしまったと感じてから、更に銃を撃ち込んでいるので、そこで少し苛ついていたなかなとは思った。「悔恨よりも倦...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第二部/1

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/5

    2025/6/29ムルソーとマリイはレエモンに誘われ、彼の友人の別荘に遊びに行く。レエモンは元恋人への暴行によりアラビア人に付きまとわれている。彼らとのいざこざのすえ、ムルソーはアラビア人の一人を射殺してしまう。第一部の最終章だからか急に長い。そして、派手ないざこざが発生する。急にピストルが出てきてビックリする。物としてはあるだろうけど、チンピラとしか思えないレエモンくらいでも持てるものなんだ。またムルソーとマリイが海でイチャイチャしている。読み飛ばしそうになる。マリイとの結婚話でも、相変わらず、他者に関心のなさそうなムルソー。謎の合席女も登場するが、いまのところ何者なのか不明。悪友と悪友の友人の別荘に恋人を連れて行くのは、嫌な予感しかしなかったけど、特に問題なかった。まだ油断できないけど。ここからムルソ...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/5

  • Benjamin Berman『スリムになる4つの簡単な方法』

    BenjaminBerman『スリムになる4つの簡単な方法』2025/6/30痩せるための4つのステップを、ある失恋した男をモデルケースにして紹介する話。いきなりビール1杯はパン7枚に相当すると言われる。どういう計算なんだろう。4ステップのうちの一つに失恋が出てくる。また失恋。短編動画の住人は、みんなよく付き合っているし、よくフラれている。まったく一般化できるものではないし、何で失恋なのかの理屈はよくわからなかった。前の恋人の前でうまくいっているように見せるのは大事。というか、未練ある前提なのか。内容はともかく、意味の異なる屋上からの景色を二回見せる構成はうまいというか、映像づくりが手馴れている感じ。参考にできる。たしかに主役の男性は当初だいぶぽっちゃりしているが、映像が進むにつれ、どんどんスリムになって...BenjaminBerman『スリムになる4つの簡単な方法』

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/4

    2025/6/27レエモンは恋人への暴力沙汰により警察に出頭することになる。彼はムルソーに証言を頼む。まだ序盤なのに、ムルソーが彼女と海でイチャイチャしているシーンが二回目。念入り。マリイに「愛しているか」と聞かれて、「愛していない」とそのまま答えているし、もしレエモンから「俺たち仲間だよな」と聞かれたら、彼は「仲間ではない」と答えるんだと思う。ドライ。興味がないあまり、レエモンの主張を鵜呑みにしているところは危うい。警察にろくに確かめもせずに証言をするのは、トラブルになる気しかしない。そんななか、サンテス老人の犬が行方不明になっている。悪態付きながら裏で泣いている。老人はかわいそうだけど、話が発展しそうにない。何がおもしろいのかよくわからないまま、四分の一が経過している。やはり短い。カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/4

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/3

    2025/6/26レエモンは貢いでいた女に騙されたので懲らしめたいとムルソーに協力を願う。ムルソーは彼のリクエストに応じて手紙を代筆する。彼の周辺の人間が色々出てくる。既出の上司、レストランを経営するセレスト、同じ職場で喪服一式を借りたエマニュエル。本パートでは更に、犬を飼っているサラマノ老人と、職業が倉庫係というレエモン・サンテスが登場する。老人は老人で犬を振り回しているのか振り回されているのかよくわからない。本人もだいぶんくたびれているので、犬が可哀そうとも思いにくい。この後、話に関わっていくんだろうか。レエモンははっきりと乱暴者で理由があるとはいえ、女に暴力をふるうだけでは飽きたらず、より精神的に追い詰めようとしている。「仲間」を強調するレエモンと、冷めた態度のムルソーとの関係性も気になる。12時過...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/3

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/2

    2025/6/26ムルソーは街に戻って残りの休暇を過ごす。海でマリイと会ってそのまま一晩を過ごす。母親が死んでも普段通りの日曜日だった。思ったより1章が短かった。とりあえず日本でいう昭和初期~中期くらいの時期で、場所はフランス(アンジェ)。主人公が男性だとわかった。海でブイと戯れる男女。球状のガラス玉を想像したけど、たぶん違う。わざわざ検索してしまった。ねばねばしている歩道も気になる。暑いからアスファルトが溶けているのかな。映画館で時間を過ごしたり、駅から何かの競技場帰りの観客や選手も出てきたり、活気のある街並みの描写。現代と比較して、すごく古くも新しくもない時期なので、かえって想像しにくい部分をたっぷり描写してくれる。どんなに大きな出来事があっても時間は経つし、生きている以上、生活は続くし、仕事もしなけ...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/2

  • ジュリアン・ジャロルド監督『キンキーブーツ』(2005年)

    2025/6/26・倒産寸前の靴工場を父から引き継いだ若き社長が、ドラァグクイーン仕様のブーツ開発で起死回生を狙う話。・舞台作品のイメージが強いけど映画が先だった。・古い文化と新しい社会の対立。色んな作品で描かれている根源的なテーマ。・ドラァグクイーンのローラ。体が大きくて舞台映えする。同時に靴選びに苦労しそうなのもすぐに伝わる。・チャーリーのローラに対する態度は、最初から最後のほうまでだいぶ失礼だったので、時代が進むと受け入れにくくなりそう。・20年前の映画だから今とは価値観も違うだろうし、近年の舞台版はバランスが変わっているはず。いつか見てみたい。札幌に来ないかな。・リストラは映画だとわかっていても見ていて辛い。・腕力が最善かどうかは状況次第。ちょっと調子に乗っているだけの力自慢ならそのまま勝ったんだ...ジュリアン・ジャロルド監督『キンキーブーツ』(2005年)

  • カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/1

    異邦人(新潮文庫)カミュ新潮社2025/6/26ムルソーは、母親が死んだので主人に休暇を願い養老院に行った。話好きの院長や守衛や入居者たちとともに時間を過ごし、お通夜と埋葬を終えて帰ってきた。二十年以上前に買ってずっと放置していた作品。短いのでいつでも読めると思って文庫を開いたら文字が小さい。目が疲れている夜にはもう読めない。それでも「罪と罰」ほど大変ではないので、章ごとに読んでみるつもり。1942年刊行の作品で、自分が読んでいるのは新潮文庫。こちらの初版は1953年。主人公「私」の一人称視点。今の時点では男性か女性かもわからない。母親が亡くなるというはじまり。自分も離れて暮らしているので、なんとも不快な共感を抱いてしまう。冒頭から人生の中の想像したくない部分を持ってきている。主人公は養老院で、親は親で交...カミュ『異邦人(窪田啓作訳)』第一部/1

  • Will Kindrick『ストーム』

    WillKindrick『ストーム』2025/6/25男性がマッチングアプリ的な端末を使って、なぜか瞬間移動を繰り返しながら、高相性のパートナーと対面する話。短編作品特有の甘めの世界設計で、マッチング機能の精度の怪しさとか、エラーと瞬間移動の関係とか、繰り返し時の人々の行動に無理があるとか、考えると色々気になるけど、11分しかないのでギリギリ逃げきっているのかもしれない。瞬間移動の理屈は全く分からない。水がきっかけになるところは『テルマエ・ロマエ』と同じで、こちらは時間も場所も遠く離れた風呂文化を強引につなげるおもしろさがあるけど、本作では男女が出会うだけなのでもう一押しほしくなってしまう。女性のほうはなんで裸だったんだろう。たまだま風呂に入っていたんだろうか。でも、裸であることで、同じ経緯をたどってきた...WillKindrick『ストーム』

  • 演者unit炊込飯『as i am』

    演者unit炊込飯『asiam』2025/6/23生まれ変わりのある世界で、生まれ変わろうとする男と、生まれ変わりを放棄しようとする男が語らう話。狭い演技スペースで動きのない二人。それを補うように雨やノイズ音のような音響演出がかなり凝っている。たまたまヘッドホンで聞いていたこともあって印象に残る。具体的な場所は名言されてないけど、バス停の小さな小屋の中で時間をつぶしている学生同士に見える。生まれ変わりのルールやこの世界における死の概念など、30分ずっと話をしているわりによくわからないところが多い。ただ、何かしらの感情が動いているのはたしかで、言葉ではなく感情のキャッチボールはできていたように感じる。ちょっと熱量は高すぎるけど。物語を見せるというよりも、お互いの感情をしっかりぶつけあうことを優先しようという...演者unit炊込飯『asiam』

  • シャロン・マグワイア監督『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)

    2025/6/23・酒にタバコに行きずりの恋にだらしない生活を送る32歳の独身ブリジット・ジョーンズが、心機一転して本当にベストなパートナーと結ばれようとする話。・タイトルになるだけあって、ヒロインのブリジット・ジョーンズの存在感がそのまま本作の魅力になっている。・演じているのはレネー・ゼルウィガー。・女優という人から見られる仕事をしている以上、どうしても小ぎれいに見えがちだけど、本作のヒロインは全体的に鍛えられてない感じの生々しい体型。・かと言って完全に見た目をあきらめている感じでもない。・変顔みたいな「あえてやってます」感のない、本当に追い詰められて顔が崩れる感じの表情。・心機一転と言いつつくじけがちで、見た目から行動からすごく身近にいそう。・英語だからよくわからないけど、そういうノリの人にしては日記...シャロン・マグワイア監督『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)

  • Ben Brand『リ・エントリー』

    2025/6/22事故で死んでしまった男性が、神のような存在と対話する話。対話している最中は、彼の回想と、彼の前世の記憶が断片的に並べられる。前世の記憶については、主人公の男性とのつながりがあまり感じられず、何かの資料映像を見ているような気持ちになる。やがて死後の世界のルールと、世界の真実が提示される。たぶん本作のポイントになるのはこの部分。言い方を変えると、この部分をネタバレしたら本作は別に見なくてよくなるような気がする。独特の宗教観でそういう考え方もあるよねとは思えないけど、思考実験的にいったん世界はそういうものだと考えることができれば、対人関係のストレスは微減するのかも。もう少し長い話だったら、具体例を挙げたり反証を入れたりして説得力を出せるのかもしれないけど、短編であることで、かえって薄味に感じて...BenBrand『リ・エントリー』

  • 大人の事情協議会『屋根の上の白い猫』

    2025/6/21・老人と二人の孫が、ヘンゼルとグレーテルの話の中に呼び寄せられ、それぞれの苦い過去と向き合う話。・「ヘンゼルとグレーテル」の知識は断片的にしかなかったので、青空文庫にて後追い。Wikiには子供の口減らしの話だと書いてあった。そうだったんだ。・席はほぼ満席。上手側の通路がないくらいの盛況。前説から温かい雰囲気でよく笑いが起こる。・ところどころのくすぐりは、おもしろいものでもそうでもないものでも、とにかく演者さんがやり切っている感がある。腕がしっかり振れている。・最初に猫が出てくる。猫の動き、特に足音の感じが非常に猫っぽく、期待感をあおる。・「異世界転生(転移)」に該当する作品は山ほど出ているし、今ではすっかり大喜利化しているので、今やるにはむしろハードルが高い。・本作では、転生、転移先の世...大人の事情協議会『屋根の上の白い猫』

  • ジョブキタ北八劇場『病は気から』

    2025/6/19・病気と地震におびえる男が、長女の結婚話をきっかけに孤独感を強めていく話。・道新プレイガイドでチケットを購入。指定席。・自動割り当てだったのか前後を間違えて指定したのか覚えてないけど、まさかの最前列。しかも色々あって真ん中。・出演者にリアクションを見られるのはイヤだなとマスクをする。たぶん自意識過剰。・花道もほぼ真横で、シーンによっては演者さんが前と横にいたりする。動きの多い芝居なので、フィールドレベルの野球観戦みたいな臨場感があった。・せっかくの古典なので、事前に戯曲を読んで臨む。・前説的なパートで、戯曲を読んだ人はいるか聞かれたけど、手を挙げる勇気はなかった。・原作をちょっと調整したくらいではしんどい話だと思うので、翻案の自由度は高い。実際、だいぶん違う話になっていた。・鈴木力衛によ...ジョブキタ北八劇場『病は気から』

  • モリエール『病は気から』(鈴木力衛訳)

    病は気からモリエールグーテンベルク212025/6/19自らを病気だと思い込んでいる男が、自分の面倒を見させるために、娘の婚約者に医者をあてがおうとする話。鈴木力衛(すずきりきえ)訳。最初から薬が高いだの原価だの値切ろうだの言っているし、内容も横暴な父親が子供の恋愛を邪魔する構造なので、『守銭奴』とまったく同じ印象を受ける。医者を筆頭に知識人とされる人たち全般に対する皮肉がテーマだと思われるけど、個人的には今の風潮と逆行していると感じる。どちらかと言うと、医者だって一生懸命やってるでしょという気持ち。こういうのは程度問題なので、上演する場合は提供側の価値観がわりと表に出やすい気がする。前に見たSPACの守銭奴では、原作を踏まえつつ、「今の価値観ではダメだよね、こいつ」みたいなまとめ方をしていたと思う。古典...モリエール『病は気から』(鈴木力衛訳)

  • Tamar Glezerman『フラれた女とフライドポテト』

    TamarGlezerman『フラれた女とフライドポテト』2025/6/17恋人にフラれた女性が家に帰りたくなくて、ちょくちょくフライドポテトを注文しつつ、ずっとファストフードのお店に居座る話。失恋はライトに危機的状況を作れるから便利な設定。ほんとによく出てくる。モラルのない連中が彼女を隠し撮りしてSNSにアップしていたりする。発端は店員。店員ほんとダメ。日本だったら店が炎上している。一方で、いくら注文していると言っても迷惑には違いない。映像だと気にならないけど、体を洗ってないから臭いもありそうだし。色んな人がかかわろうとしてくる。彼女がどうのこうのというより、彼女の存在を通してこのコミュニティにはどんな考え方の人たちが存在するのかが可視化される。どうやってまとめるのかなと思っていたら、ちゃんと優しくして...TamarGlezerman『フラれた女とフライドポテト』

  • ギンツ・ジルバロディス監督『Away』(2019年)

    2025/6/16たぶん飛行機事故で、ある島に不時着した少年が、巨人に追われながら人里を目指す話。木の枝にパラシュートが引っかかって宙づり状態の少年から始まる。絵としてきれいだし、巨人が現れて少年に迫ってくるところもよくわからない迫力がある。先に同じ監督の最新作『FLOW』を見ているので個人製作の本作はかなり絵がシンプルに感じる。セリフなし。少年の行動と表情のみ。人里を目指しているのはわかるけど、そんな目的とその過程を見せるような話ではなさそうで、74分の作品でも結構長く感じる。公式HPを見ると、巨人は「黒い影」と表現されている。影と言うからには、単に少年にとっての脅威というより、少年の中にある何かなのかななど考える。たぶんそうやって能動的に考えることを楽しむ話なんだと思うけど、白い鳥と黒い猫がtwitt...ギンツ・ジルバロディス監督『Away』(2019年)

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/五)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/6/16《あらすじ》ラスコは質入品のことでポルフィーリイに相談する。ラスコはラズをからかうことで真実味のある陽気さを演出する。ポルの家にはザミョートフもいた。ポルはラスコを歓迎する。最初にポルとラズの議論の話。社会における犯罪を引き起こすものという見地から二人の考え方は対立する。ポルの意見は、究極的に犯罪は環境が引き起こすというもの。ラズは人間の自然性が勘定に入っていないと反論。話題はラスコの論文に移る。ポルは人間を凡人と非凡人を大別するラスコの考え方に疑問を持つ。ラズは社会に進歩をもたらす人間であったとしても、流血を許すラスコの論旨を怖いと感じる。そして、ポルはラスコが自分のことをどう考えているのか質問する。ラスコは否定するものの、ザミョート...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第三篇/五)

  • 805『最初で最後のリクエスト』

    2025/6/14ファッションビルの空きフロアにラジオのサテライトスタジオを作って公開放送する話。たぶん50分強の中編。ルトロワ7階のイベントスペースで上演。他とパテーションで区切っているだけなので、基本外の音が入ってくることが前提の設定。公開放送を行うシーン。各役割ごとのキャラクターがしっかりしているし、放送の中の細かい作業を再現したり、目線だけの会話からも現場の緊張感が伝わる。チームの団結力も感じる。なので、『ラジオの時間』よりも『王様のレストラン』のほうが近い。演劇作品として、お客さんにどの言葉を聞かせ、何を聞かせないかのバランスが難しいところだけど、うまくいっていたと思う。困り顔の若手エンジニア、名物プロデューサーの非常にクセの強いキューもそれっぽい。幽霊もラジオやりたすぎて戻ってきてもおかしくな...805『最初で最後のリクエスト』

  • Wong Fu Productions『僕が大人になった方法』

    WongFuProductions『僕が大人になった方法』2025/6/14ある青年が、別れた彼女の今カレから刺激を受けて自己研鑽に励む話。最初にそのスタイリッシュな今カレがスタイリッシュなセンサー式の高性能のゴミ箱を使うところを見る。そのあと自分の家の薄ら汚いゴミ箱を思い出す。いい導入。「21歳みたいな生活を9年間も続けている」という、他人事でありたかった言葉。それから身だしなみを整えたり、食事に気を遣ったり、何度落とされても面接に挑んだり、どんどんステップアップしていく。短編にしても紆余曲線がなく、一直線に成長していくので、何かの自己啓発用のCMかと思った。素直に見ると、そんなにうまくいくわけないだろとは思ってしまうが、人間が成長するときというのは、必ずしも劇的な何かがあるわけでもない。彼にとっては、...WongFuProductions『僕が大人になった方法』

  • 「2025年6月12日 北海道日本ハムファイターズ対ヤクルトスワローズ」

    2025/6/12・今年からプロ野球観戦を再開して四回目のエスコン。・ユニフォームのプレゼント公募に当選。現地で受け取るシステムなので指定期間のエスコン観戦が条件になる。・過去三回が一塁側内野席三階だったので、そろそろ別の席で観たい&安い席でもいいかで、三階外野席ライト側。ホームラン飛んでくることをほのかに期待する。・チェックインチャレンジでヤクルト1000をもらう。・つば九郎神社が盛況だった。入場整理用の柵にかかっているエスコンコラボバージョンの幕も楽しい。・ユニフォームはフリーサイズだったので着てみる。・親の注文で田宮キーホルダーを購入。ついでにモスで田宮コラボのサングリアとチーズバーガーを購入。田宮の旗を入手。水谷の旗ももらったので頼まれてないけど一緒に送ることにする。・エスコンは何でも高いけど、田...「2025年6月12日北海道日本ハムファイターズ対ヤクルトスワローズ」

  • Tom Levinge『ミスター・ビスケット』

    2025/6/11失恋傷心中のおじさんが、知り合いからペットの犬おじさんの世話を任される話。ペットの犬をおじさんが演じる。たぶん演劇だったらこういう擬人化は珍しくないし、それなりに違和感なく観ることができるんだけど、映像作品特有の生々しさで絶妙に気持ち悪い。犬をおじさんが演じていると書いたけど、本当に犬っぽいおじさんが飼われているという解釈もできてしまう。この気持ち悪さをきちんと作品のなかに落とし込んで、笑いに変えている。犬おじさんはちゃんと人語を話すんだけど、その内容が犬っぽい。「今日は人生で最高の1日だ」と連呼しすぎて意味が解っているように思えない。役者の演技としてはすごいんだと思う。短編だからこそできる実験的な作品だった。たぶん撮影現場は笑い絶えなかったのではと想像した。TomLevinge『ミスター・ビスケット』

  • ビジネス能力検定サーティファイ「ビジネス著作権検定 上級」

    ビジネス能力検定サーティファイ「ビジネス著作権検定上級」2025/6/11・知財3級よりピンポイントの知識を得るべく、ビジネス著作権検定の上級を受ける。・初級と上級の二種類あって、過去問やサンプル問題を参照して上級を選択。・全40問の四択問題で合格ラインは70%。・結果、75%で合格。わりとギリギリだった。・公式テキストの『ビジネス著作権検定公式テキスト[初級・上級]第3版』と、『ビジネス著作権検定テキスト初級・上級瞬解テキストシリーズ改正著作権法(R2改正)対応版』を購入。・公式テキストは電子版を購入。ページの切り替えが思いのほか不便だったので、書籍版を買えばよかった。・そのあたりを差し引いても、解説は瞬解シリーズのほうがわかりやすく感じた。・他にもサイト上からサンプル試験のDLができたり、過去問を購入...ビジネス能力検定サーティファイ「ビジネス著作権検定上級」

  • 栃木県立真岡高等学校『伝説の脚本』

    栃木県立真岡高等学校『伝説の脚本』(OpenREC)2025/6/9弱小演劇部員たちが、部の存続のため、大会で好成績を狙う話。話の構造はテンプレそのもの。定型の強さで設定の荒っぽさを抑えこもうとしている感じ。最初から、すがすがしいくらいの説明ゼリフで、ものすごくわかりやすい。ギャグがうまくはまっていて、よく客席から笑いが起きる。おかしな声色、動き、どこかで見たようなギャグをリズムよく並べる。たぶん全員同じようなギャグだったので、演出の趣味なんだろうなと思う。安西先生がいまだにウケているのがすごい。そんななかでも主役の男子生徒の演技が頭一つ抜けている。言葉も聞き取りやすいし、動きのキレもある。見得を切るところも堂々としている。抜群の安定感だった。ツッコミどころは山ほどある作品だったけど、上演している側もそん...栃木県立真岡高等学校『伝説の脚本』

  • 岡崎雅子『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』(実業之日本社)

    寝ても覚めてもアザラシ救助隊岡崎雅子実業之日本社2025/6/9・紋別市のオホーツクとっかりセンターに勤務する飼育員がその仕事内容を紹介する本。・世の中に動物園や水族館はたくさんあるけど、アザラシに限定した施設は日本でここだけ。・紋別で実際に見たときに色々疑問に思ったこともあり、中の人の本を読んでみる。・もともとは1987年、民家の庭先に作られた小さなプールでアザラシを飼育したのが始まりだという。・現在、施設の職員は紋別市から業務委託を受けている民間会社の社員という立場になる。・アザラシの保護はもちろん、調査研究の場であるとともに、紋別の貴重な観光資源にもなっている。・予想はしていたけど、保護したアザラシは個体によって野生復帰か飼育継続かが異なる。飼育方法も違う。・このあたり、全て野生復帰させようとするオ...岡崎雅子『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』(実業之日本社)

  • Jorge Yudice『クロコダイル』

    2025/6/8ある中年女性がこそこそとゲーム実況者の動画を見続ける話。5分の短編。パソコンを起動して、チャンネルを開いて見ているだけ。動画(というかライブ配信)視聴中の出来事というのがちょっと新鮮なくらい。話の起伏もごくシンプル。自意識から動画にコメントができるタイプの人とそうでない人がいると思うけど、たぶんこの女性は後者のタイプ。それでも、どうしてもコメントをしたい。そんな葛藤をほぼ彼女の表情だけで見せる。細かい演技が巧い人なんだと思うし、人間の表情は思いのほか情報量が多いということもわかる。ほとんど語られてない(匂わせはある)けど、おそらく色んな事情があってこういう関係性になったんだろうということがわかる。たぶん彼女の夫も無関係ではない。人生や人間関係を劇的に変える5分間を無駄なく切り取った短編だっ...JorgeYudice『クロコダイル』

  • 『スティック』

    2025/6/6すごく犬を飼いたい女の子が、父親から2週間枝を世話すれば飼ってやると言われる話。いきなり生き物だと責任があるから、そのへんの枝を犬に見立てる。わかるようなわからないような条件だが、娘は真に受けて枝にひもをつけて毎日散歩に出る。不思議なもので、女の子が散歩を繰り返すほど、枝がかわいらしく見えてくる。枝なのに。散歩中に出会った少年もいい感じの距離感で好ましい。反面、大人は姑息。ただ、共感できる姑息さでもある。日常の雑務と、子育てのバランスの悪さ。子育てはしたことないけど、そんな自分でも想像できる難しさではある。終盤の汚物を見るかのような娘の顔。自業自得だけど、かわいそう。最後の落としどころも納得で、チャーミングな短編だった。『スティック』

  • 「歌川国芳展」

    2025/6/6・江戸末期の浮世絵師である歌川国芳の作品が、物語、歴史、美人画、役者絵、風刺画など、ジャンルごとに作品が展示されている。・水滸伝の武者絵が評判になって世に出てきた人。・水滸伝は横山光輝のあっさりした絵柄でしか知らないので、野性味のギャップがすごい。・これらの作品に影響されて刺青を入れる人も多かったよう。当時の職人が作業中肌を見せる機会が多かったり、身分証明など実用的な意味もあったらしい。・海外も普通に刺青文化あるし、タブー視されるのは今の日本くらいか。反社会的な人たちの影響力は強い。・巨大な髑髏に立ち向かう武者たちを描いた「相馬の古内裏」や、人間の体を組み合わせて大きな人の顔を形どる「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」など、知っている作品もちらほら。・平清盛討伐に失敗し斬首となった悪源太吉平...「歌川国芳展」

  • Eros V『ミート・パペット』

    ErosV『ミート・パペット』(SAMANSA)2025/6/4卒業式をサボっていたオタクの青年が、配送ミスで届いた呪いのパペット人形に人格を吸い取られてしまう話。海外は海外の文脈があるんだろうけど、日本人の感覚だと、オタク=アニメ=ドラゴンボールというのが、直線的すぎてピンと来ない。英語字幕だと「Gopufigurine」になってたけど、「Goku」でいいのかな。どこに取り柄があるのかわからないオタクなのに、しっかりと彼女はいる。ダメなオタクが考えたような設定。最終的な目的は自明でも、彼女と合流してから何がどうなってそういう行動をしているのかよくわからず、短い作品なのにうまく話に入り込めない。社会に適応できないオタクが成長する話なのかなと思ったら、全然そんな話でもなかった。最後のレントゲンは笑ったので、...ErosV『ミート・パペット』

  • Joost Reijmers『ポニープレイス』

    2025/5/26孫から馬の育成ゲームを預かった老夫婦が悪戦苦闘する話。小さな女の子がハマる程度のゲームなのに、おばあちゃんが操作すると馬がすぐ死ぬ。いくらゲームとは言え、だいぶアホ面気味にデフォルメされた馬たちがアホみたいな死に方で死ぬ。理不尽過ぎて笑ってしまう。このエスカレートぶりに既視感がある。だぶん、こち亀に似たような構造のエピソードがある。孫に嫌われたくないおばあちゃんというのは、万人に通じるシチュエーション。極端な状況でなくても、それなりに切迫感を醸し出すことができる。おばあちゃんがゲームに集中していく過程で夫との関係を描くのも巧い。やがて孫が帰ってくる。孫が何を見てどう思うのか、そしておばあちゃんは何を得るのか失うのかが見どころ。9分強と短いなかでしっかり前振りと回収がうまく機能した良作だっ...JoostReijmers『ポニープレイス』

  • 「温根湯旅行(北の大地の水族館ほか)」

    2025/6/2・札幌に戻る前に温根湯に寄り道する。・遠軽からJRで留辺蘂、バスで温根湯。小回りは聞かないが公共交通機関でも何とかなる。・世界最大級のハト時計「果夢林」に迎えられる。実際に見るとほんと大きい。中にも入れる。・道の駅に北の大地の水族館が併設されている。・淡水魚専門の水族館で小規模ながら評判がいい。・期待値をどのあたりに設定して良いのかわからず、妙に緊張する。・入口の前に小さな池があって(たぶん)ヤマメやオショロコマなどがいる。雰囲気がいい。・受付後、いきなり本館のシンボル的な滝つぼ水槽。頭の上を魚が泳いでいる。なるほど没入感がある。・屋外の池を横から見る展示。冬になると凍るらしい。たしかに他ではあまり見られなそう。・水量を一定間隔で増減させることでヤマメの遡上を再現しようとする展示。魚にも機...「温根湯旅行(北の大地の水族館ほか)」

  • 紋別旅行[4](氷海展望塔 オホーツクタワー)

    2025/5/26・長い堤防の上を歩いてオホーツクタワーに向かう。・両サイドは青と緑と灰色がまざったような濃い色の海面。見晴らしはいいがやや怖い。・近づくにつれ、タワーの巨大さが伝わってくる。よくこんなもの作ったなと感動する。・受付で海底階のミニ水族館のチケットを購入。なぜかシール形式。目立つところに貼るよう言われたが、どこが適切なのかわからず。半信半疑でスマホケースに貼る。・受付があるところが一階で、二階、三階、地下がある。・まずは海中観察窓だと、エレベーターで海面下7.5メートルのミニ水族館に移動する。階段もあるけど、一般的な建物で5~6階ぶんくらいあるらしい。・地下はブルーがかった照明で海底感を演出。・海底窓も並んでいる。この窓、清掃するのかなと思っていたら、ちゃんと清掃していない窓も用意されていた...紋別旅行[4](氷海展望塔オホーツクタワー)

  • 「2025年5月31日 北海道日本ハムファイターズ対千葉ロッテマリーンズ」[2/2]

    2025/5/31・先発山崎福也は4回までノーヒットで文句なし。打線も初回2回と連打で1点を先制。残塁の多さは気になるものの、投打ともに良い立ち上がり。・勝つと思い込んでいたし、実際わりと打っていたので、1点しかリードしていないという実感がなかった。・5回にエラー、不運な打球が続き、一気に3点を失う。・この日の山崎福也で勝てないならもう現地で勝ち試合は見られないのではないかとしょんぼりする。・守備の乱れ、打線も淡泊、客席はお通夜状態。応援団の訓練された声援だけが響く。ちょっと眠くなる。・これなら来なくて正解だったのかもと思いつつ、家族のグループラインで現場の雰囲気を報告する。・ロッテ応援団の声援が妙に響く。というか、ロッテ応援団の声援は滑舌が良くてすごく聞きやすい。・もちろん安全なんだろうけど、あの構造の...「2025年5月31日北海道日本ハムファイターズ対千葉ロッテマリーンズ」[2/2]

  • 「2025年5月31日 北海道日本ハムファイターズ対埼玉ロッテマリーンズ」(1/2)

    2025/5/31・本当なら母親と兄と一緒に観戦予定だったが、諸事情で親と兄が来られなくなって一人観戦。残念。・だからというわけではないが、新札幌から間違えて特急に乗ってしまい、千歳までオーバーランしてしまう。・駅員さんと相談しつつ、北広島に戻る。大幅なロス。駅から球場まで歩く。結構暑い。・「遠軽から来ました」タオルでテレビに映ったら実家の人たちが喜んでくれるかなとオフィシャルショップを覗いてみるが、遠軽が見つからず。ネットショップにはあったのに。・過去二回の現地観戦はいずれも敗北。首位とは言え、今の日ハムの調子はあまりよくない。特に打線がひどい。・ただ、昨日は珍しく良い流れで加点していたので復調の兆しはある。今日は勝つものとだと思い込む。・席はおなじみの内野一塁側三階席。同じブロック内の中では前のほうな...「2025年5月31日北海道日本ハムファイターズ対埼玉ロッテマリーンズ」(1/2)

  • 紋別旅行[3](アザラシランドなど)

    2025/5/26・頃合いを見てアザラシランドに移動。・こちらは餌やりタイムの見学のみ。餌やり体験なし。・実際間違える人が多いのか、入口のところに「餌やり体験はシーパラ」という貼り紙。実際まぎらわしい。・ランドのほうにはアザラシが20頭いる。にぎやか。晴れてきたので、多くのアザラシがプールの端にのぼって日向ぼっこをしている。そして、後ろの鰭を地面のつけないように持ち上げている。腹筋が疲れそう。・鰭部分は暑さ寒さに敏感だろうから、アザラシでも冷たいコンクリ部分には触りたくないのかも。・柵越しとは言え、すぐ近くにアザラシを見られるのはうれしい。向こうも慣れているのかそんなに気にした様子もなく、まどろんでいる。・総選挙企画があったようで、飼育されているアザラシの顔写真の一覧がキャッチコピーとともに貼りだされてい...紋別旅行[3](アザラシランドなど)

  • 紋別旅行[2](アザラシシーパラダイスなど)

    2025/5/26・雨も落ち着いてきたのでカニの爪のところまで行く。写真では見たことあるけど、あれを海に浮かべていたのは本当にどうかしていると思う。だからこそ紋別のシンボルとして機能している。・人工海水浴場ホワイトビーチを横目に移動。堤防で仕切られているように見えるのに波はある。風なのかな。・各施設の名称の関係性がよくわかっていなかった。・たぶん「とっかりセンター」は「アザラシシーパラダイス」と「アザラシランド」の二か所に分かれている。・どちらもアザラシの保護や飼育のための施設だが、どちらかと言うとシーパラのほうが展示、ランドは保護の比重が高い…ような気がする。違ったら修正するかも。・餌やり体験ができるのはシーパラ。役割的にはエンタメ寄りなのに、思いのほか敷地が狭く、アザラシは三頭のみ。プールも雄雌ひとつ...紋別旅行[2](アザラシシーパラダイスなど)

  • 紋別旅行[1](北海道立オホーツク流氷科学センターGIZAなど)

    2025/5/26・とっかりセンターが気になって帰省ついでに紋別。・中心部からはやや離れているものの、オホーツクタワー近辺は観光スポットが集まっていて一度で見られる。・早めに到着したし、小雨が降っていたので、予定になかったオホーツク流氷科学センターGIZAに入ってみる。・立ち上がる巨大シロクマの剥製に迎えられる。後ろのレリーフが迫力を強く後押ししている。・常設展とドームシアターのチケットで750円。高いのか安いのかよくわからない。・なぜか入ってすぐのところにメガネを乾かす機械があったので、雨でぬれたメガネに使ってみる。・流氷関連の展示が中心。流氷とは何か、流氷のできかた、ガリンコ号の仕組み、北極と南極の探索の歴史、マイナス20度の極寒体験。・稚内の時は南極だけだったし、南極に比べて北極はあまり意識してこな...紋別旅行[1](北海道立オホーツク流氷科学センターGIZAなど)

  • Al Loubher『ザ・ドールメーカー』

    2025/5/26死んだ人の魂を人形の移す仕事の人が、子供を失ったとある夫婦からの依頼を受ける話。ジャンルは、『笑ゥせえるすまん』や『アウターゾーン』あたりが近い。そのあたりの定型を利用にして、たった10分でうまくインパクトある展開を作っている。お約束と思われている要素が伏線にもなっていらところがうまい。生々しい人体と人形が瞬時に切り替わるシーンは、映像作品らしい効果を発揮している。マンガや演劇だと、抽象が多めに入ってくるのでたぶんここまで生々しくはならない。人形自体もいい感じに不快で、不快感をあおる食事シーンも効いている。一番頭のおかしいい人は誰なのか。二回見るとその人の頭のおかしいっぷりがいっそう際立ってくる話だった。AlLoubher『ザ・ドールメーカー』

  • College Humor『スカイプCEO』

    2025/5/26SkypeのCEOが自ら出演し、プロモーション映像を撮ろうとするが、後発の類似サービスにキレ散らかす話。話なんだろうかこれ。たぶん同型の似たようなコントはたくさんあるけど、題材の採り方がセンスなんだと思う。全然詳しくない自分でも、言われてみればたしかにコロナ禍の前後でskypeという言葉を聞かなくなったような気がするし、zoomやteamsのほうがより浸透している。あとで確認したらskypeもteamsも両方マイクロソフトだったので、そこまでいがみ合うような関係性でもないような。唐突に「ディカプリオ!」を連呼したり、諦めきったように「オレオだってパクリだった」とつぶやいたり、全体的にわりとテンション芸だった。いちいちやり直すBGMが意地悪。これくらいならニヤニヤしてみることができるんだけ...CollegeHumor『スカイプCEO』

  • 演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に 第七話『おばあちゃんへ』」

    演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第七話『おばあちゃんへ』」2025/5/22おばあちゃんへ手紙を書く女の子が母親に内容をチェックしてもらう話。一応、登場人物は二人。おそらく姉妹。手紙を書いた女の子がずっと喋っている。フレームの外に母親がいる設定なので、今までに比べ、実際に声を出すことへの不自然さがだいぶん目立たない。手書きで一通り書いたあとに、一番最初のところで間違えてたら凹むよね、というのもよくわかる。ちょっとだけ先生の話題が出てきたので二話の先生かなと思ったけど、そうではなかった。もう一人、妹と思われる画面の奥のほうで何やら手遊びをしている女の子がいる。話に一切絡んでくる気配がない。ほぼ舞台装置みたいな状態だったが、最後に「やだ」と言っているのがおもしろい。労力をかけずにいいところだけ持っていく。...演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第七話『おばあちゃんへ』」

  • 演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に 第六話『ウクレレパラダイス』」

    演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第六話『ウクレレパラダイス』」2025/5/18売れないミュージシャンが作曲の仕事を請け負うが、うまくオーダーどおりの曲が作れず悩む話。独り言が多かったり、その独り言と同じ内容が書いてある依頼書を音読したり、ウクレレの扱いが何気に雑だったり、だいぶ煮詰まっている様子。これから売れていくという感じでもなさそうで、それでも頑張って生きている感じの人というバランスに見える。コンスタントに何か作っているような人でも、ごく短いスパンで見れば、こういうことを繰り返しながら、なんだかんだで形にしていくんだろうなと思う。ウクレレでプログレの難易度が全く分からないので、検索してみたけど、やっぱりよくわからなかった。コロナ感は全くなく、結婚式もやるようなので、方向性をつかみかそこねている。...演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第六話『ウクレレパラダイス』」

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/三・四)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/5/19《あらすじ》母娘とラズはラスコの部屋に入る。ラスコは意外にも穏やかに三人を迎え入れる。部屋にはすでにズシーモフもいたが、経過が良好であることを伝えて早々に退室する。最初穏やかだったラスコだが、母娘が自分に対して緊張していること、昔の婚約者のこと、ルージンのことを話しているうちに徐々に情緒が不安定になる。あらためてルージンとの結婚を認めないとことを伝え、その根拠を彼の手紙から読み解いて説明する。ラスコはドーチャの望みに応じて、ルージンと同席することを了承する。ラスも同席することになる。マルメの娘ソフィアがおずおずと訪ねてくる。マルメの法事にラスコを招待する。ラスコがソフィアを紹介すると、母娘はそれぞれに彼女を見定める。母はソフィアのことを...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第三篇/三・四)

  • 演劇/微熱少年「第五話『メイクを落とすその前に』」

    演劇/微熱少年「第五話『メイクを落とすその前に』」2025/5/14若手の官僚が鏡の前でカラ元気を出す話。第三話と第四話は見つからず。話は繋がってないようだから気にせず続ける。ほぼ後ろ向きで顔の表情は鏡で見せる。解釈の余地もあっておもしろい構図。映像作品でも、少しフィルターがかかるので生々しさが減って、比較的演劇的な言葉遣いや演技が馴染みやすい。最初の半分の時間を使って泣いて見せる。シンプルな感情表現は簡単なようでしっかり見せようとすると難しいし、フィジカルに直結するので、うまくできればそれなりにリターンもある。「ひどい顔」の連呼も色々想像させるし、全体的に、もっと言葉の数が少なくても成立しそう。コロナ禍に関する直接的な表現は出てこなかったけど、五話まで進んでるんだから、あとは観ている側が補足していけばい...演劇/微熱少年「第五話『メイクを落とすその前に』」

  • Julia Aks & Steve Pnder『ジェーン・オースティンの生理ドラマ』

    2025/5/18プロポーズを受けている最中に生理で服を汚してしまった女性が、大怪我をしたと勘違いして大騒ぎする無知な相手に、きちんと説明するかごまかすか選択に迫られる話。年代的には中世というか近世というか、日本でいうと時代劇のような距離感で描かれているので、生々しさがだいぶ薄まっている。加えて姉妹それぞれやっていることが極端で、後ろめたい気持ちなく、笑うことができる。生理について語るのがタブー視されてきた歴史があることと、生理がどのようなものかある程度は理解しないと男性も女性も幸せになれないということを、短い時間でシンプルに楽しく描いている。肩の力の抜けた話だけど、意外とバランス取りが巧み。意味はわからなくても最初のステップとして子供に見せても大丈夫そう。慣れは大事。女性から見たら同じような感じで見られ...JuliaAks&StevePnder『ジェーン・オースティンの生理ドラマ』

  • 劇団WAO!『磯部家「ツリーハウス」』

    劇団WAO!『磯部家「ツリーハウス」』(観劇三昧)2025/5/16脚本家と作曲家が淡々と世間話をしているうちに少しだけ二人の間に距離ができる話。ふたりとも思い思いに本を読んでいる。ちょっとひとやすみ感覚で世間話が始まる。自分も小さい頃、裏山と言えるような場所で遊んだこともあるし、秘密基地にも心当たりがあるけど、今の人も同じように共感できるんだろうか。世間話の温度感そのままで、派手なことは何もなく、たった10分弱の会話でちゃんとおもしろいと思えるところまで持っていける。「山と丘の違いは何か」という、心底どうでもいいけど答えは知っておきたいというくらいの設問もいいところをついている。後々の展開から振り返ると、よくこんな設問を二つもひねり出したなと時間差で驚く。表面的な問いかけとその返しを繰り返していくうちに...劇団WAO!『磯部家「ツリーハウス」』

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/一・二)

    2025/5/5《あらすじ》ラスコは母のプリヘーリヤと妹のドーチャを歓迎しない。更にドーチャとルージンの結婚を反対すると宣言する。ラスコは三人を追い出そうとするが、息子の拒絶にショックを受けたプリヘーリヤはここに残ると言い張る。その場にいたラズは、自分と医師のズシーモフがラスコを見張って都度報告すると言って説得する。母娘は承諾し宿に戻る。まだ酔いが残っているラズはドーチャに夢中になっている。彼は宣言通りズシーモフに協力してもらいながら、宿とラスコの家を行き来し、母娘の信頼を得る。ラズはズシーモフが恋敵にならないか心配する。翌朝、ラズは母娘のところへ行く。彼はドーチャの婚約者に敵対的だったことを後悔しているが、二人とも歓迎する。ラズは二人がラスコの話を聞きたがるので自説を展開する。さらにルージンがラスコとの...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第三篇/一・二)

  • 演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に 第ニ話『みんなのイエーッ』」

    演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第ニ話『みんなのイエーッ』」(観劇三昧)2025/5/11中学校の教師が、(おそらく)自宅で生徒から届いた暑中見舞いの手紙を音読する話。自分は年賀状すら中学校の先生には送ったような送っていないようなという有様なので、暑中見舞いの文化がよくわからない。地域差なのか、コロナ禍のリモート環境ではそういう授業があったのか。よく見るとハガキに住所書いてない。一人芝居には、どうして登場人物が声を出すのかという問題が付きまとうけど、映像作品だと更に顕著になる。実際、どうして彼女は音読しているんだろう。たまには音読したい気持ちになることもあるだろうけど、どの程度、人に聞かせることを前提に話しているのかがよくわからない。教師が手紙をとても丁寧に音読しているので、見た感じ一話目のラジオパー...演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第ニ話『みんなのイエーッ』」

  • Rhys Chapman『文盲のライアン』

    2025/5/12労働意欲なく、福祉も止まりそうになっている文盲の青年ライアンが、友人の助けを借りながら更生しようとする話。ライアンのまったく絞られていない大きな体が生々しい。運動せず、栄養を気にする余裕もなく、カロリーだけ摂取している感じ。そんなキャスティングが謎。たった19分の短編に肉体改造もないだろうし。普通に観たら、皿洗いの仕事すら渋るどうしようもないニートなんだろうけど、自分も学生時代からこの年まで一貫して増量が続いているし、郵便物を雑に扱いがちなところも他人とは思えない。彼の友人が重要な役割を果たす。彼にとってトクなことは何もないのに、ライアンに付き合って色々世話を焼いてくれる。一言で言うと「いいやつ」。確かにそういうタイプの人は実社会にもいるけど、どういうモチベーションで応援しているのか自分...RhysChapman『文盲のライアン』

  • 演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に 第一話『ラジ子の時間』」

    演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第一話『ラジ子の時間』」(観劇三昧)2025/5/10ラジオパーソナリティーの女性が番組内でポール・マッカートニーの妻とのエピソードを紹介する話。3分から6分の作品が9話まであるようだ。そのうちの第一話。コロナ禍で公演中止になった作品の前日譚として製作されたとのこと。あんなに大変なコロナ自粛期だったのに、説明がないとどうしてこういう作品ができたのかがわかりにくくなっている。映像作品として作られているので、一人芝居と銘打たれているけど、あんまり演劇っぽさがない。カメラの切り取り方で見た目の印象がだいぶん変わる。たぶん背景との兼ね合いなんだろうけど、斜め下から見上げるようなアングルはちょっと高圧的な印象を受ける。色々手探りの状況で作られたであろうことは想像できる。大きな話の...演劇/微熱少年「縁側アロハ、その前に第一話『ラジ子の時間』」

  • 渡邊祐介監督『なにはなくとも全員集合!!』(1964年)

    2025/5/15・草津の駅員と新規参入してきたバス会社の社員たちがいがみ合いながら距離を縮めていく話。・ドリフターズ映画は初めて。シリーズが続いたということは一作目が良かったんだろうと最初の作品を選ぶ。・彼らはドリフターズとしてではなく、作中世界で生活する一般人として登場する。名前だけほぼ一緒。・今見るとコントのノリそのままで特に違和感はない。・1967年の作品なので、『8時だヨ!全員集合』が始まる前。当たり前だけど、みんなとても若い。・動きや喋り方にかなりクセはあるものの、加藤茶の顔が特にきれい。つるつるしている。・いかりやとハナ肇はバス会社側、加藤と仲本は鉄道側、高木ブーは中立的な立場の旅館職員と、各陣営にメンバーが分かれている。メンバー間で敵対関係ができているのがドリフっぽい。・ただし、話の中心は...渡邊祐介監督『なにはなくとも全員集合!!』(1964年)

  • Susan Bejar『ディスタンス』

    2025/5/9窮屈なバスの車内に不穏な雰囲気の男が乗り込んでくる話。スペインの作品。バスの車内は列車を狭くしたような感じで日本のバスより車内で多少動けるレイアウト。とは言え、それなりに人は密集していて息苦しい。その不快な雰囲気と、そんな車内に乗り込んでくる不穏な男。日本に住んでいる自分の日常の延長線上にもありそうシチュエーション。この空気を作れているのが大きい。不穏な男は精神的にだいぶんまいっているようで、一人で暴言を吐いたり挙動がおかしい。映し方も肌が無機質っぽく見えて、まともにコミュニケーションが取れそうにない。そんな彼に対して、誰がどう対応するのかが見どころ。そんなに凝った構成ではないけど、演者の演技と映し方を最大限に活かした作りだった。限定空間の作話としても参考になる。あと、13分と短い話のわり...SusanBejar『ディスタンス』

  • ダダ・センプチータ『海に流れるぼんやりの記憶』

    ダダ・センプチータ『(全景映像)海に流れるぼんやりの記憶』(観劇三昧)2025/5/9ペットの亡骸を抱えて海にやってきた二人がぎくしゃくした会話をする話。4分の掌編。ペットの亡骸は、二人が幸せだった頃の象徴と言えるのかもしれない。亡骸を海に流せば二人の関係性は終わるんだろうけど、流すところまでは見せない。もう死んだペットが生き返ることはないのに、それでも躊躇しているのは、合理的に割り切れない男女の関係と重なる。ただ、付き合うにしても別れるにしても、お互いそんなに執着はなさそうな会話。ペットの水葬自体はやりようがあるけど、死体をそのまま抱えてきたようだから不法投棄になりかねない。この二人はちゃんと調べてないっぽいし、実際そうなのかな。二人の関係はどうしてこんなに冷え切っているんだろうとか、なんで海に流そうと...ダダ・センプチータ『海に流れるぼんやりの記憶』

  • Devon Avery『1分間タイムマシン』

    DevonAvery『1分間タイムマシン』(SAMANSA)2025/5/10タイムマシンを発明した男が、公園にいる女性を口説くため、何度も時間を戻してチャレンジを繰り返す話。場所は公園のベンチ、目的はナンパという、舞台装置も登場人物の動機もごくシンプル。好みの女性がいたから仲良くなりたいだけ。ただ、いくら5分の話と言っても、単に女性を口説いて終わりということはない。途中から時間を戻すことに関する秘密が明らかになる。その秘密もそのあとの展開にしてもそこまで斬新な感じはしないけど、テンポの良さで押し切っている。彼はタイムマシンをずっと両手で抱えていて、ボタンを押せばいつでも時間を戻すことができる。ポンポン押すとポンポン戻る。ナンパから肉体関係まで進展が早い。なんでこの人たちはこんなにガッついているのかはよく...DevonAvery『1分間タイムマシン』

  • Dane Clark & Linsey Stewart『ロングブランチの街角で』

    『ロングブランチの街角で』(SAMANSA)2025/5/8若い女がワンナイトラブを決め込もうと男と出会うが、思いのほか彼の家が遠かった話。やろうと思えばもう少し極端にできただろうに、そこまでは遠くない。わりと現実にありうるかもしれないという範囲。今なら何やってるんだとは思うけど、彼らがおかしいと言えるほど、若い頃の自分が合理的に生きてきたかと言われると自信がない。そういう意味で、人生のテンプレというか、本作に描かれているようなおかしな行動は実生活でたくさんありそう。倫理的にはちょっと問題があるし、人に話すほど大したエピソードではないからみんな言わないだけで。愛や恋より性欲を上位に置くことで生まれる感覚のズレが楽しい。たぶん彼女が求めていたのは性欲でもないんだけど。少しだけ雪のなかバスが走るシーンが映る。...DaneClark&LinseyStewart『ロングブランチの街角で』

  • 「ザ・ドリフターズ展 発掘!5人の笑いと秘宝たち」

    2025/5/8ドリフターズ結成60周年の展示。最初の無音のモニタを眺めているだけですでに楽しい。こういう展示でお客さんがみんなニコニコしているのは珍しい。自分は、全員集合→ひょうきん族世代で、ドリフ大爆笑以降はそれほど熱心に見ていたわけじゃないけど、いま映像で見返すとほんと無茶苦茶やっていて面白い。リーダーのいかりや長介が風呂屋のセットで他のメンバーにモミクチャにされている。後輩たちが全く遠慮していない。たしかに親世代が眉をひそめていたというのもわかる。あの五人が横並びで前進してくるオープニングも久しぶりに見ると素直にかっこいい。ドリフ関連曲のジュークボックスがあったり、三人の雷様と一緒に写れるフォトスポットがあったり、思いのほか退屈しなかった。一番度肝を抜かれたのはバカ殿のほぼ実寸大人形。皮膚感までリ...「ザ・ドリフターズ展発掘!5人の笑いと秘宝たち」

  • 坪川拓史監督『ハーメルン(坪川拓史全作品上映)』(2013年)

    2025/5/8・文化施設として利用されてきた元小学校の校舎が取り壊されることになり、ゆかりのある人々がそれぞれの距離感で残りの時間を過ごしていく話。・実際にはもう少しはっきりしたあらすじがあるのかもしれないけど、うまく読み取れなかった。・シアターZOOで映画を観るのは初めてかも。・本当に全く前知識がない状態で映画を観るのは久しぶり。・監督も会場にいらして最初に挨拶。小劇場っぽい空気感。監督自ら機械を操作して上映を開始する。邪道ではあるけど裏話は素直に楽しい。・わかりやすいエンタメ作品としては作られていないし、時系列も結構前後している。・わりと難しいなと思いながら見ていたけど、他のお客さんはどんな風に楽しんだんだろう。・きれいに黄色に染まったイチョウの木をはじめ山々の紅葉が美しい。・監督によると気まぐれな...坪川拓史監督『ハーメルン(坪川拓史全作品上映)』(2013年)

  • Jobie Nam『ジェリーの庭』

    『ジェリーの庭』(SAMANSA)2025/5/8部屋の中に閉じ込められた「男」が、庭に現れた「不審者」と窓越しに対峙する話。4分弱の小品。ジャンルはお笑いコント。海外のコントは日本に比べて良くも悪くも距離を感じる。演者の人間性にあまり注目が行かないので、個人的には見やすい。現れた不審者が、不審者のサンプルとして辞書に載せたいくらいわかりやすい不審者で、ちょっと怖いくらい、ものすごく怖いわけではない塩梅が絶妙。視聴者として安全な立場で不審者を楽しむことができる。部屋から出られないという変な制約もあるし、短いわりにその後の展開が読みにくい。終わってみると「ああそういうことね」と理解できるんだけど、思い返してみるとやっぱり納得できないものも残る。下品だし。歴史に残るような傑作ではないし、作っているほうもそんな...JobieNam『ジェリーの庭』

  • Doug Roland『フィーリング・スルー』

    『フィーリング・スルー』(SAMANSA)2025/5/7今夜の寝床もままならないホームレスの若者が街中で盲目かつろう者の男をサポートする話。まだ4作品しか見ていないのに、また盲目の人と貧しい黒人若者の組み合わせ。欧米では定番の組み合わせなのかな。貧乏ゆえの問題はあるけど、基本的に優しい若者による人情噺。落語っぽさを感じる。日本と比べて治安が悪いと言われがちだけど、たまにびっくりするくらい無防備な人がいるようだ。ちゃんと現地の人が見ても説得力あるのかな。盲目くらいなら逆に話を作りやすいくらいだけど、耳も聞こえないとなると、急に作話の難易度が上がる。手のひらに文字を書くというのは言われてみれば。こういう作品を見ることで、実生活でもいざという時に戸惑わないようにしたい。短編らしく、こまごまと出てきた要素を全部...DougRoland『フィーリング・スルー』

  • 伊勢湾西岸水族館めぐり[1]

    ※不定期更新(もうだいぶん時間が経っているのでたぶん完走はできないと思います)2025年1月26日から29日まで、札幌から名古屋、伊勢、鳥羽をまわってきた。目的は水族館。最近、スタンプラリー感覚で水族館に行っている。道内で水族館と名の付く場所は大体行った。残るのは「北の大地の水族館」だが、冬場に札幌から留辺蘂にアクセスしたくない。暖かくなったら「北きつね牧場」とセットで行くつもり。それはともかく、今はラッコだ。現在、国内で飼育されているのは「鳥羽水族館」の雌の二頭のみ。その二頭もまあまあ高齢だし、ワシントン条約の規制が強化されて今後増える見込みがない。ラッコ自体はかなり前に札幌の「サンピアザ水族館」で見たことはあるものの、ずっと狭いプールで八の字遊泳を繰り返しているだけ。端的に窮屈そうだった。鳥羽水族館の...伊勢湾西岸水族館めぐり[1]

  • Emmanuel Tenenbaum『フリー・フォール』

    『フリー・フォール』(SAMANSA)2025/5/5911事件直後のアメリカ、緊急事態を目の当たりにしてトレーダーたちが勝負に出る話。19分。株価がどうなると良いのか悪いのかが素人目にはよくわからないけんだど、スタッフのリアクションや変化していくモニタを繰り返し見せるなど、最低限の説明でわかるようになっている。トレーダーという職業は、お金を右に左に動かして利益を得ている人なので、本質的にはコンビニの店員より社会への貢献度は低い仕事だと思っている。銀行みたいな金融業ともちょっと違うし。なので、彼らが成功しようが破滅しようがあまり興味はないけど、ちょっとした人間関係の変化、物語が盛り上がりやすいテンプレ要素を組み込んで感情移入させようとしてくる。だまされないぞと思いながら見ていると、そういう捻くれた視聴者を...EmmanuelTenenbaum『フリー・フォール』

  • Taso Alexander『スパディナハウス』

    『スパディナハウス』(SAMANSA)2025/5/4超能力家族のそれぞれの能力を開示していく話。わずか2分なので、話というより架空の映画のプロモみたいな感じ。各人それぞれの顔が持つ絵力と、音楽の合わせ方が好き。誰がどうやってもある程度おもしろくはなるんだろうけど、演出にしても演者にしてもプロが集まって真面目に作ったからこその面白さが生まれている。SAMANSAは月額490円だけど、この2分に50円くらいなら払ってもいいと思える。何を書いてもネタバレになるのでとりあえず見たらいいと思うけど、得体の知れない薄気味の悪い家族が、たった2分で妙に親しみやすく色んな想像を掻き立てさせる一家に変貌していくスピード感が見どころ。出オチのように見えて、悲哀に満ちたおじさんの表情も印象的で、うまくリメイクしたら長編映画に...TasoAlexander『スパディナハウス』

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/七)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/5/5ラスコが人だかりに近づくと、マルメラードフが馬車に轢かれて瀕死の状態だった。ラスコは手持ちの金をはたいて身元を引き取り、家族のもとに連れて行く。家では娘のポーレンカが他の子供たちの寝支度をしているところだった。妻のカチェリーナは咳き込みながら裕福だったころの思い出に浸っていたが、夫が瀕死という非常事態に直面すると、容体をチェックし、見物人を追い払うなどテキパキと動き出す。娼婦として離れて暮らしていた長女のソーニャも帰ってくる。マルメは娘の腕の中で死ぬ。絶望的な様子の妻を見かねて、ラスコは残りのお金をほとんど置いて立ち去る。ラスコはそのままウラズーミンの引っ越し祝いに出向く。喜んだラズはすぐに帰ろうとするラスコに同行して会を抜け出す。彼の部...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/七)

  • Tj O'Grady Peyton『空いている部屋』

    空いている部屋(SAMANSA)2025/5/2盲目の女性の家に路上生活者が忍び込む話。短編動画作品の配信サイトSAMANSA初視聴。「定番作品」ジャンルの一番最初に出ていた作品。たった20分で一話完結。実際、家で見るならこのくらいの作品がちょうどいい。裕福な白人と貧しい黒人、かなりしっかりした一戸建てと路上生活。過去に浸りながら疑うことを知らないかのような不用心な女性と、今まさに厳しい現実に晒されている男性。現実の厳しさを描こうと思えばいくらでも描ける対比ではある。ただ、現実とメルヘンがかなり高いところで拮抗していたりもする。サスペンスかなと思ったら、だんだん小人さんが出てくるタイプの作品に見えてくる。最後の会話もあえて聞かせないことで良い余韻を残す作品だった。TjO'GradyPeyton『空いている部屋』

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/六)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/25部屋から人々を追い出したラスコは、老婆殺しの決着を望んで外出する。前にリザヴェータを見かけた広場に行く。老婆殺しの事件について、酒場にいた役人のザミョートフを挑発する。偶然、ラズーミヒンとも出会う。彼は半病人のラスコが出歩いていることに腹を立てる。激しい言い合いになるが、最終的に自分の引っ越し祝いに来るように求める。一人になったラスコは橋の上から女が身投げしている現場に遭遇する。続けて、犯行現場の建物、部屋に戻ってリフォーム中の職人たちと話をする。往来に戻ると、馬車の近くに人だかりができている。・身綺麗にするとちょっと落ち着くのはわかる。・怒ったり、笑ったり、人と話をしたくなったり、相変わらずのラスコの情緒。・「僕はね、寒くて暗い湿っぽ...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/六)

  • ウィリアム・ワイラー監督『ベン・ハー 』(1959年)[2/2]

    2025/4/28・前半の海戦。海賊と兵隊と奴隷たちが入り乱れるわ火がもえあがるわで、わちゃわちゃ。・ガレー船のオールって外洋で役に立つんだろうか。動力としての費用対効果が悪すぎる気がする。・ジュダが自分は逃げられるのに、ギリギリまで残って他の奴隷たちを助けようとしている。まさに英雄というか、主人公の行動。・色んな意味で良くも悪くも野蛮。・2000年前の話だから当然なんだけど、罪人とされる人たちの扱いが本当に酷い。・岩がちの砂漠を長時間裸足で歩かす、ガレー船の動力扱い、年単位で牢獄に閉じ込めて食事だけ差し入れる、ただの洞窟でしかない「業病」の谷。死んだら捨てる。・平和ボケした現代人に、人間の悪い意味の可能性を見せつけてくる。世の中、人権の一皮を剥けば、このくらい退行しかねないというのは心に留めおきたい。・...ウィリアム・ワイラー監督『ベン・ハー』(1959年)[2/2]

  • ウィリアム・ワイラー監督『ベン・ハー 』(1959年)1/2

    2025/4/28・ユダヤ人のジュダ・ベン・ハーが、不運な事故により罪人としてエルサレムを追放されるが、獄中の母と娘を助けるため、どうにか帰還しようとする話。・いわゆる貴種流離譚。追放された英雄が艱難辛苦を乗り越えて故郷に凱旋する話。・前半が141分、休憩が10分、後半が80分。・誰もが知る古典だけど、これだけ長いと実際に観たことない人は意外と多いかも。・最初に無地のスクリーンのまま壮大な音楽だけ長々と流れる。あまりに長いので映像機器の故障を疑う。こんなことしているから4時間近くかかる。・解説によると西暦26年。場所はローマ帝国のエルサレム。キリストも出てきて重要な役割を果たす。・特別な存在であるキリストの顔は映さない方針で、遠近感で存在の大きさを示したりしていた。・寝不足もあり、最初の15分の間に30回...ウィリアム・ワイラー監督『ベン・ハー』(1959年)1/2

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/四・五)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/25若い医師ゾシーモフがラスコを診察する。特に大事はない様子。ラズは引っ越し祝いに二人を新居に招待するが、反応はあまりよくない。参加者の話から、活動家のザミョートフや警察批判、金貸しの老婆が殺された事件の話題になる。ペンキ屋のミコライに嫌疑がかかっているが、ラズはそれを否定し、自説を展開する。そんな中、ラスコの妹の婚約者ルージンが訪ねてくる。三人は彼を歓迎しない。不自然に着飾ったルージンと実際的精神が、特にラズの気持ちを逆撫でする。終始、ぐったりしていたラスコも、過去の妹への発言を持ち出してルージンを責め立てる。お互いに最悪な印象を残したままルージンは立ち去る。・四は急に登場人物が増えるので二周目でも理解が難しい。ペンキ屋のミコライとミトレ...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/四・五)

  • 西寺郷太『始めるノートメソッド』

    始めるノートメソッド西寺郷太スモール出版2025/4/25著者が様々な場面に作成したノートを紙面で紹介しながら、作成時のコツや練習の方法を説明した本。出演されているラジオやポッドキャストでよく話を聞いていて、そのたびに彼の守備範囲の広さとプレゼンのうまさに驚いている。一方で自分は学習ノートを取ったことがほとんどないまま大人になってしまったので、勉強しなきゃいけない時には毎回苦労している。ノート術の本を読んでも長続きしたためしはなく、西寺郷太さんの本ならもしやと思いながら読む。「学ぶ」「伝える」「生み出す」、何のためのノートか認識して書くことが大事。最近の番組のプレゼン用から、高校時代の世界史の授業まで、たくさんの実例とともに説明しているので説得力がある。積み重ねの大事さも伝わってくる。目次の大切さやイラス...西寺郷太『始めるノートメソッド』

  • 北海道帯広三条高等学校『お昼の放送』(春フェス2025)

    2025年上演2北海道帯広三条高等学校「お昼の放送」(OPENREC)2025/4/25放送部がお昼の放送を始めるが、アナウンサー役の生徒の病気が進行し放送を続けられなくなる話。ちょっとパワハラ気質の部長と、何を考えているのかよくわからないエンジニア系の後輩、進行性の病気を抱えるアナウンサー後輩の三人。ウザがらみする部長とエンジニア後輩の掛け合いは、見ていてわりと冷や冷やするけど、後輩も月日が経って対抗できるくらいに成長していく。病気(具体的な病名は不明)が進行するアナウンサーの生徒との残酷な対比も読み取れる。場面転換は、放送部という題材と既存曲の相性の良さで乗り切っていたけど、もう少し何かできそう。感動を呼び込むための病気要素という点が否めないところや、本人の希望だとしても事情を知らずあの放送を聞かされ...北海道帯広三条高等学校『お昼の放送』(春フェス2025)

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/二・三)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/22《あらすじ》ラスコは自分の部屋で盗品を確認し何もかも堀に投げ込む作戦を立てるが、堀のまわりは人が多く投げ捨てる隙がない。運よく、堀に囲まれた空き地に盗品を隠すことができた。自然と大学の知り合いだったラズーミヒンの家にたどり着き仕事の紹介を頼むが、すぐに気分が変わってそのままで出ていく。往来で通りがかりの母娘から20コペイカの施しを受けるが、河に投げ捨てる。部屋に戻ると、イリヤがおかみさんを暴行しているような音を聞くが、ナスターシャは否定する。4日ほど昏倒していたラスコが再び目を覚ますと、ナスタと知らない男がいる。すぐにラズが加わる。男は母親が借りたお金35ルーブリを届けに来た。精神不安定なラスコは受け取りのサインも渋る。ラズが説得してサ...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/二・三)

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第一篇/七、第ニ篇/一)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/17《あらすじ》ラスコはアリョーナと対峙する。ラスコの小細工が功を奏し、斧で彼女の頭をたたき割る。手間取りつつ財布と少量の金品を奪う。偶然、入ってきたリザヴェータも同様に殺す。階下から客が上ってくるが、たまたま空いていたペンキ職人の部屋でやり過ごすことで、鉢合わせを回避する。結果的に彼は誰にも気づかれず帰宅する。消耗したラスコは部屋で眠る。しばらくして目を覚ました彼はようやく証拠になりうるものをどうやって処分しようか思案する。ナスターシャと庭番がやってきて警察からの呼び出し状を渡す。疑心暗鬼のままラスコは警察署に出向くが、殺人の件ではなく、家主から家賃の滞納で訴えられたことを知る。安心して気が大きくなったラスコは署長や副署長を相手に身の上話...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第一篇/七、第ニ篇/一)

  • S.S.ラージャマウリ監督『RRR ビハインド&ビヨンド』

    2025/4/18・『RRR』のメイキング。名シーンの撮影裏や完成した作品が世界的に広がっていく様子を紹介している。・本編から時間が経っているので結構忘れている。・ラーマが暴徒と化した群衆に飛び込んでいくシーンから始まる。ああ、あったあったと気持ちが上がる。・殺陣と言うには泥臭い乱闘で一人一人に演技は付けられない。エキストラがとても興奮しているように見える。そういうノリの良さも作品の質に直結するんだと気づく。・総じて、主演二人の超人的な頑張りと、演者スタッフがこぞって指摘するS.S.ラージャマウリ監督のイメージの明確さによって成立している。・もともと親友の二人が主演でこんな映画が作られたら、役者人生のゴールなんじゃないかという気がする。・役者さんの名前をちゃんと認識していなかった。ビームは、N.T.ラーマ...S.S.ラージャマウリ監督『RRRビハインド&ビヨンド』

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第一篇/五・六)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/13《あらすじ》ラスコは本当に自分が人を殺せるのか、自問自答を続ける。精神が不安定になり、草の上で寝る。幼いころの馬を虐待する男たちの記憶が夢として現れる。起きて散策を続けると金貸しのアリョーナの妹、リザヴェータが立ち話している様子を見かける。安料理屋に入ると、大学生と将校が立ち話をしている。話題は、アリョーナの悪評とその彼女に搾取されているリザヴェータのこと。ラスコは家に帰って布切れを取り出し、斧を隠し持つための輪っかを作る。運よく斧を手にいれたラスコは、さっそく外套に斧を忍ばせアリョーナ・イヴァーノブナの住む部屋の前までやってくる。・もう明らかにラスコの情緒がおかしい。・嫌な夢の内容も凄惨だけど、寝るまでの過程も心配になる。藪を分け入っ...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第一篇/五・六)

  • 「2025年4月11日 北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズ」(2/2)

    2025/4/14・すぐに逆転できるような点差ではなくなったところで、席を外して施設内を見て回った。・試合中はお店があんまり混んでいないという利点がある。気になっていた電光石火でお好み焼きをいただく。・最初は北海道日ハムなんだから、道内のお店だけ入れればいいのにと浅はかなことを思っていた。・よく考えたらお客さんの大半は道内の人なので、道内チェーンはエスコンじゃなくても食える。・席を離れても至るところにモニターがあるので、試合展開がわからなくなることはない。・加えて、1階の客席の隙間からグランドが見える。長々とは留まれないけど、アングルが変わって楽しい。・席に戻ると、またちょっと点差が開いている。・今回はポケットラジオを持参した。周波数をHBCにあわせると、球場内でもちゃんと聴こえる。・音声ガイドとしてあり...「2025年4月11日北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズ」(2/2)

  • 「2025年4月11日 北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズ」(1/2)

    2025/4/13・シフト勘違いしていて、前日に明日は仕事が休みだと判明する。滅多にない日曜の休みで慌てる。・エフチケを見たらわりと席はある。チームの調子も悪くなさそうだし、今度こそ勝てるような気がする。・臨時出費で迷う。座席の選択と解除を繰り返すうち、試合後、MOSのライブがあることに気づく。・金管楽器は野球場に映えそう。チケットを購入。・当日。北広島駅から徒歩移動。天気はいいが、風と土ぼこりがひどい。開場後に到着したのですぐ入場する。・受付で万波選手のTシャツをいただく。ライブもあるし、これで元を取ったも同然と上機嫌になる。ちなみにサイズはLのみだそう。・席はスターレベル(3階)の中でもほぼ最後部。グランドまでの距離感は前と大差ないけど、二列後ろが壁。さすがにここまで上にくると、階段が結構怖い。・応援...「2025年4月11日北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズ」(1/2)

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第一篇/三・四)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/10《あらすじ》ラスコが部屋にいると、女中のナスターシャが様子を見に来て、母親からの手紙を渡す。母親からの手紙には、ラスコの妹ドーネチカが家庭教師先で雇い主スヴィドリガイロフからのセクハラと、その妻に疑われ苦しんでいたこと、濡れ衣が晴れたこと、ルージンという実務家と婚約することが書かれていた。ラスコは、ルージンの描写から彼の卑劣さを感じ、破断させる決意をするが、一方で自身の無力さを感じる。往来に出たラスコは、男に乱暴されたと思われる少女を助けたが、巡査にウザがらみして困惑させてしまう。彼は大学時代の旧友ラズーミヒンを訪ねようかと思う。・一昔前の大学生ってこんな生活だったなという感じがする。親の期待を背負って都会に出てきたはいいけど、身になる...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第一篇/三・四)

  • ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第一篇/一・二)

    罪と罰上(角川文庫)ドストエフスキーKADOKAWA2025/4/10《あらすじ》半病人で家賃の滞納を続ける元学生ラスコーリニコフが時計を質に入れる。彼には自身でも半信半疑ながら大きな計画を抱いている。気分を変えたくて初めて酒場に入る。退職管理風の男マルメラードフに出会う。ラスコはマルメの身の上話に付き合う。家から娘が体を売って作った金を持ち出して酒を飲んでいた。ラスコは泥酔したマルメを家に送る。マルメの妻カチェリーナは、激高してマルメの髪をつかんで引きずり回すが、なぜかマルメは嬉しそうだった。・新潮文庫を読み、『罪と罰を読まない』を読み、ちょっと訳が新しい角川文庫版を読み始める。相乗効果でだいぶん中身がわかりやすくなった。・アリョーナ・イヴァーノブナの部屋にあるゼニアオイにも意識を向ける余裕がある。・今...ドストエフスキー『罪と罰上(角川文庫)』(上巻・第一篇/一・二)

  • 岸本 佐知子・三浦 しをん・吉田 篤弘・吉田 浩美「『罪と罰』を読まない」

    『罪と罰』を読まない(文春文庫)岸本佐知子文藝春秋2025/4/9・ドストエフスキーの『罪と罰』を読んでいない四人が、断片的な情報から、おそらくこういう話だろうと想像して語り合う話。・『罪と罰』を読んでから読めばいいのか、読まず読めばいいのか迷う。ちょっと読んでみて、読んでから読んだほうがいいように感じたので先に読んだ。「隣の竹垣に~」みたいな文になってしまった。・世界的な名作なので、読まずとも全く情報がないわけではない。加えて、限定的にテキストを読んでもいいというルールが設けられる。・四人が即興的に話しながらルールを決めていく。高度な知的遊戯なのは間違いない。・それぞれがおぼろげな知識となけなしの情報から予想を立て、自らが勝手に予想した作品の内容に対して、それなりに感情が動かされているのがおもしろい。・...岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美「『罪と罰』を読まない」

  • 『野田版 鼠小僧』

    2025/4/6・芝居小屋の近くで棺桶屋を営むドケチの三太が、成り行きで鼠小僧のまねごとをする話。・平成15年に上演された作品。20年以上前。・映画館の客席は半分くらい埋まっていた。結構入っている印象。・本編開始直前にシネマ歌舞伎アプリで解説も聞けることを知らされる。慌てたけど、野田版なら大丈夫だろうと結局利用せず。でもお知らせはもう少し早いタイミングでほしい。・棺桶屋は中村勘九郎(当時)。舞台上はもちろん、客席も含めた会場の空気を一手にコントロールしている。場の支配力がすごい。・話は鼠小僧の劇中劇で始まる。屋根の上の殺陣。・歌舞伎特有の間の取り方がかっこいい。斬られ役が前宙しながら倒れている。派手。・町民たちが勝手な感想を言いながら芝居小屋からぞろぞろ出てくる。ここからの数分で何度か笑う。すでに楽しい。...『野田版鼠小僧』

  • ドストエフスキー『罪と罰』(新潮文庫)

    罪と罰上巻(新潮文庫)フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス新潮社罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/4/6・サンクトペテルブルクに住む青年ラスコーリニコフが質屋の老婆とその妹を殺して、自首するまでの話。・今年のテーマは「活字を読むこと」「とにかく書くこと」なので、古本屋で購入して長く本棚の肥やしになっていたのを引っ張り出す。・少し読んでは中断、内容忘れて最初から読み直しの繰り返しだったので、毎日ページ数を決めて読んでいく。・厚めの新潮文庫で上下巻。長い。登場人物も多く、メモを取りながらでないと完走できなかったと思う。・最後までなぜラスコーリニコフが人を殺してしまったのかがよくわからなかった。・本人も色々理屈こねていたけど、強いて言えば生活に行き詰って、運命(≒偶然)が自分に味方した...ドストエフスキー『罪と罰』(新潮文庫)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(450~485p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/4/2ラスコついに自首する。長かった。やっと決意を固めて警察署に出向いたのに、スヴィドリガイロフの話を聞いて、つい一回階段をおりてしまうところに人間味を感じてしまう。焦らしてくる。ソーニャがいてくれなかったらどうなったんだろう。火薬中尉(あだ名)の「帽子なんてプリンみたいなもの」という珍言が味わい深い。結局、ラスコがなぜこのような凶行に至ったのか、誰にもわからない。本人の分析ですら、一つの解釈に過ぎない。何かしらの精神疾患の類というのは疑いようもないけど。自首が精神の開放をもたらすというのは、なんとなく理解できる。よくわからないラスコの犯行動機よりも、エピローグでのソーニャの行動のほうに興味を引かれた。おそらく信仰の効果だけど、人生に対して謙虚になれ...ドストエフスキー『罪と罰』(450~485p)

  • ポケット企画『わが星』

    2025/4/11・とある家族に生まれた子どもと、星の一生を重ねて描いた話。・ままごとのホームページには「時報で奏でるラップ・ミュージカル」と紹介されている。戯曲も読める。・前説でワイヤレスマイク使用のため、スマホの電源を必ず切るよう言われる。劇場は久しぶりで何度も確認してしまう。・演劇に詳しくない人でも、見れば簡単に「そりゃ月単位で練習期間いるわ」と納得できるぐらい、セリフや動き、演奏との掛け合いが複雑かつタイト。・最初から等間隔の歩き、同時発話、文字単位の掛け合い。ミスがごまかせない。聞いているほうも緊張する。・時報にあわせたセリフ。単なる形式に留まらず、そのまま作品テーマに結びつく仕組み。相似形を成す人間と宇宙の時間進行を組み合わせて同時に見せる。・宇宙の100億年を引き合いにして、最終的に人間の一...ポケット企画『わが星』

  • 「2025年4月4日 北海道日本ハム対オリックス 」(3/3)

    2025/4/4・審判が出てきてアウトの判定。リクエスト実らず。・ため息が万単位の人間から漏れる。そんなプロ野球の試合会場は本当にすごい場所と思う。・このリクエストは判定への疑義だけでなく、投手の集中力を乱す効果もありそう。おもしろい駆け引きだった。・これが最後の見せ場だった。一点差で九回にもランナーは出るものの、下位打線で逆転の雰囲気はなく、最後の打者が打ち取られてゲームセット。・バファローズの先発宮城がヒーローインタビューのお立ち台に上がる。・わざわざ北海道に遠征してきたバファローズ応援団が見守るなか、しっかり受け答えしていた。・思い返すと、球場全体が異様に盛り上がっていた8回の裏、清宮のところから淡々と三つアウトを取っていたのは本当にすごいことだと思う。強い。敵チームなのにファンになりそう。・嫌な流...「2025年4月4日北海道日本ハム対オリックス」(3/3)

  • 「2025年4月4日 北海道日本ハム対オリックス 」(2/3)

    2025/4/4(2/3)・試合直前。正面から見て両サイド二か所の大型ビジョンで先発メンバ―が紹介される。アウェーのバファローズでも相当かっこいいけど、ファイターズの番になると気恥しいくらい盛ってくる。・巨大なスペースになるほどシンプルな光演出が強い。・試合はファイターズ山崎福也選手、バファローズ宮城大弥選手の先発で始まる。・と言っても、全然選手を知らないので、気になる選手がいたらスポナビで過去の成績を調べたり、「パワプロ」のアンド検索で、ステータスを見たりする。・山崎選手はコントロール重視で調子が極端とか、見た目の印象が打率2割4分本塁打40本のレイエスは意外と巧打者とか、だいぶん理解が進む。・その間、プレーから目が離れてしまうので、イヤホンでラジオ中継を並行して聞いたほうが楽しめたと思う。ラジコを試し...「2025年4月4日北海道日本ハム対オリックス」(2/3)

  • 「2025年4月4日 北海道日本ハム対オリックス 」(1/3)

    2025/4/4・来月、日ハム戦を見るために、まあまあ高齢の親が初めてエスコンにやってくる。自分も付き合うので、下見も兼ねて試合観戦してくる。・去年エスコンには行ったけど、エスコン観戦は初めて。試合時の混雑具合を体験したかった。・JRで北広島駅。先月オープンしたトナリエを覗く。日ハムのレプリカユニフォームを着たひとたちがたくさんいる。沼田ビールなるものを飲んでいる。美味しそう。・駅からなら徒歩でも行けるけど、今回はバス移動してみる。早くから誘導の人がしきりに声掛けしている。・エスコン到着が15時くらい。スタジアムに入れない。ナイターの日は10時から入れるが、試合準備のため14:30でいったん外に出なければいけない。次の開場が16時。・ゲート前にものすごい数の人が並んでいて、開場を待っている。トイレに行きた...「2025年4月4日北海道日本ハム対オリックス」(1/3)

  • ドストエフスキー『罪と罰』(410~450p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/4/1作者の視点は、まさかのスヴィドリガイロフに移る。彼も彼なりに苦しんでいることがわかる。善人が善人で在り続けるのが難しいように、悪人が悪人であり続けるのは難しいと言えるのかどうか。悪人のほうが欲望には近いだろうから、逆は真ならずのほうが多そうだとは思う。それでも、葛藤があって当然だし、ここまでの行動にも表れていたし、味わい深い男だったとは思う。そしてラスコは結局自首する方向に動く。世の中をよくするために殺したが、それを完遂できるほど優秀な自分ではなかった、というのが彼なりの結論らしい。「自分を過大評価していた」で殺される方はたまったものではない。ついでに殺されたリザヴェータは祟っていい。あいさつ回りはすっかり終わって、あとは自首するだけ。次のパー...ドストエフスキー『罪と罰』(410~450p)

  • モリエール『守銭奴』

    守銭奴(岩波文庫赤512-7)モリエール岩波書店2025/4/2ケチな資産家のアルパゴンが、息子の思い人と結婚しようとしたり、貯め込んだ金を隠されたりする話。彼がお金だけに執着しているならわかりやすいけど、自分が気に入った女と結婚しようともしている。欲望の方向性がちょっとブレている。金持ちならどんな女と結婚しても構わなさそうなのに。人間の多面性の表現なのだろうか。言い換えると、アルパゴンの欲望を何一つあきらめない姿勢は強い。娘と父のオウム返し的な掛け合いや、ある「宝物」をめぐるアルパゴンと執事のすれ違い、コメディっぽい掛け合いはあるものの、今のコメディとして見せるのは大変そう。実際、前に視聴した上演作品でも、そのあたりのコミカルなシーンも笑えるシーンとしては見せてはいなかったと思う。戯曲では、最後あっさり...モリエール『守銭奴』

  • SPAC『守銭奴 あるいは嘘の学校』(2022年)

    2025/3/31ケチな資産家の老人アルパゴンが息子の恋人と結婚しようとして、周囲を振り回す話。落語の小話みたいな内容だけど、2時間近く使ってじっくり見せる。戯曲の内容はほぼ忘れているけど、だいぶん現代向けに調整されているのはわかる。老人の息子と娘がチャラ男とギャルの組み合わせ。資産家の家族でも彼が金を使わせないので、その辺から拾ってきたような貧乏くさい布切れを身にまとっている。そんな雑多な組み合わせでも舞台上の色味をしっかりまとめている。そして、話の全ては、終盤の金以外すべてを失ったかのように見える彼の姿に集約されている。いい構図。実績のある演者さんが集まっていると思うけど、特にアルパゴンの娘が印象に残った。わりとごちゃごちゃしがちな舞台上で、自然と目が行く。姿勢なのか表情なのか動きのキレなのかな。古典...SPAC『守銭奴あるいは嘘の学校』(2022年)

  • ドストエフスキー『罪と罰(下)』(370~410p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/31ここのパートは、ほぼスヴィドリガイロフとドーチャの対決。「さあ、私たちもう角を曲がりましたわ」(下379p)何も見ずに「スヴィドリガイロフ」と書けるようになった。またすぐ忘れそうだけど。まさかここまでの重要人物になろうとは。金持ちで口が達者な彼は、ドーチャを籠絡しようとする。というか、ほぼ脅迫。彼のなかの一線はあるようだが、そんなことは彼女に関係ない。ここでようやく罪と罰のタイトルの意味みたいなことを考える。誰もが悪いと考える人殺しを行ったラスコと、法的には何にも悪いことはしていない(ルールを熟知しているだけとも言える)スヴィドリガイロフの対立。小説としてはラスコのほうに感情移入させるバランスで書かれている。実際のところは、ラスコ自身の悪行が...ドストエフスキー『罪と罰(下)』(370~410p)

  • ギンツ・ジルバロディス監督『FLOW』

    2025/4/1・陸地が水に沈みゆく世界で、生物たちが生き延びようとする様子を、一匹の黒猫を中心に描いた話。・水の表現にかなり力が入っているので、洪水に嫌な記憶のある人は気をつけたほうがいいかも。・(たぶん)鯨類も出てくるし、あれは海水でいいんだろうか。透明度の高さがちょっと違和感。・人間は一切出てこないのに、生活の痕跡は濃い。・たくさん動物が出てくる。喋らない。行動と環境の変化だけで進行する。・それがどれくらいの難易度になるかは、目的によって変わる。誰もが楽しめる長篇娯楽映画ならほぼ不可能。本作も基本アート映画として見る感じ。・ラジオ番組のアトロク2で言及されていた「神話的」というのは同感。・黒猫は、人が残した空き家を住処にしていたが、その家も沈み、たまたま流れてきた小舟に乗って漂流する。・人類が一切出...ギンツ・ジルバロディス監督『FLOW』

  • ドストエフスキー『罪と罰(下)』(330~370p)

    罪と罰(下)(新潮文庫)ドストエフスキー新潮社2025/3/30ポリフィーリイとラスコの会話が終わる。終始、ポリフィーリイのペースだった。逮捕しないのも温情ではなく、確実性を求めてのこと。犯罪者の心理を深く理解したような物言いに説得力を感じざるを得ない。そして、解放されたラスコは、よりによってスヴィドリガイロフに会いに行く。そして、スヴィドリガイロフから、女の落とし方とその実践を聞く。彼にとっての武勇伝らしいが、正直、気持ち悪い。ラスコの妹ドーチャの思考の流れまで見透かしているかのような物言い。経験値に基づく何かはあるんだろうけど、彼自身が見抜いたと思っているものと、現実はだいぶん乖離してそう。本作の登場人物は、それぞれ程度の差こそあれ、現実とは別のレイヤーでその人自身の仮想現実を持っている感じがする。身...ドストエフスキー『罪と罰(下)』(330~370p)

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