焼香師について
現在の曹洞宗では、「焼香師」という言葉が用いられている。しかし、この言葉は古い文献にさかのぼることが出来ず、『曹洞宗宗制』や『行持軌範』には用例はあるものの定義されていないらしい。よって、今回は定義的な問題を含めて検討したい。まず一般的な仏教辞典には、「焼香師」は立項されていない。これは、中国で編まれた漢訳仏典に「焼香師」が登場しないことを意味する。また、江戸時代の臨済宗の学僧・無著道忠禅師『禅林象器箋』にも、立項されていない。これは、江戸時代中期に、用例が存在しなかったと理解して良いのではなかろうか。ただし、『禅学大辞典』には「焼香師」が立項され、以下の意味を見出すことが可能である。①法会に際し香語を唱え香を拈ずる式師で、導師のこと。②本山などの大寺院の特別法要に、とくに外部から式師の役を勤めるもの。そ...焼香師について
2024/05/24 09:48