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冷たくなっていた、息子の額 ちょっと息子愛を爆発させてみる。つやつやと豊かな毛をまとった黒猫の息子クロスケは、プライド高く一筋縄ではいかぬ性格で、動物病院では「暴れん坊将軍」扱いだった。 だけれど、私に言わせれば反抗心旺盛でありながらも繊細で思いやりのある、今でいうところのツンデレ体質が「沼」ポイントでパーフェクト。普段は世話係の私を「ウザイ」と見向きもしない勢いだが、ガス器具の点検にキッチンに入ってきた作業員のおじさんに対しては、おもむろに私の前に立ちはだかり、ニャー!と一声威嚇する男気もある。 いやほんと、私を守る気満々としか見えなかった。男前だったな。 日常的にシャーっと怒られてばかりい…
愛する猫型息子、最期が近づく 猫は、その死の際に人の目から身を隠すと言う。一方で、具合が悪くなって物陰で体を休めているうちに、その生を全うすることになり、結果的にそうなる、とも言う。 本当はどうなのだろう。誰にも邪魔されず、静かに逝きたい気持ちもあるのかもしれない。 息子の場合は、こうだった。点滴を開始してごはんを食べなくなってすぐは、物陰ともいえる「納戸」に入るようになり、用意してあった猫ベッドに横になっていたので、本当は身を隠す方向を望んでいたのかもしれない。 人間と住んでいると、そうもいかない。用が無くても、しばしば私は納戸で身を横たえている息子の傍らに行き、並んで横になって息子を見つめ…
久しぶりに夢で再会 ゆっくり寝たのが久しぶりだったのだが、長時間寝てしまうと、私は大抵明け方に夢を見る。あまりいい内容でもない夢が多く、しかもグロテスクにクリアだったりすることもあって、どちらかというと夢を見たくない方だ。 だが、息子クロスケに会える夢ならば、いくらでも見たい。当然ながら。先日見たのも、起きて心がホカホカするような、楽しい夢だった。 夏の旅行。キャンピングカーの中か、アメリカのダイナーの中にいるかと一瞬思ったようなポップな飾りのある車中で、私は息子を抱き上げている。家族が車を運転していて、息子はそちらに行きたがって大変だ。 いつも、そうだった。ドライブが好きな息子は、後部座席で…
風の通り道 毎年夏になると、エアコンの掃除を依頼する。家をリノベーションした時の業者さんに色々な付帯サービスがある関係で、そのまま頼んでいる。その掃除に、先週晴れた日に来てもらった。 エアコンの掃除だから、エアコンは止める。普通なら暑い。夏らしい暑さも戻っていたから。 幸い、窓を開け放してしまうと、うちはすごく風通しが良い。「風が通りますねー」と、業者さんも口にしていた。風のある日だったから、尚更涼しかった。 その風通しの良い自宅の、最も風が気持ちよく吹く場所は、息子・クロスケに教えてもらった。いつも息子が夏にどーんと寝ころんでいたところだ。 通路の狭い場所は、風が集約されるのだろう。涼しいの…
焼酎に化けた息子 先日、育ちすぎてしまったベランダのユーカリを使い、お風呂に入れるチンキを作ろうと、焼酎に漬け込むことにした。ウォッカが良かったらしいのだが、焼酎でもいいらしいとYouTubeで知り、大き目の焼酎ボトルを買ってきた。その量4リットル。 ペットボトルなので、まあ4kgの重さ。刻んだユーカリ入りの焼酎ボトルを、朝晩振る。緩んだ腹筋のためにもいいよね、と思いながら振っていたとき、癌を発症する前の息子とちょうど同じくらいの重みなんだなと気づいた。 両手で持つと、ペットボトルの形状からも、まるで息子の両脇の下に手を入れて「高い高い」をしているような格好になった。抱っこもしてみる。 この重…
息子のジューサー この6月で、息子クロスケは20歳になるはずだった。猫の20歳。超えたら化け猫「猫又」になるんだったっけ?尻尾が2つに裂けて(痛そう!)、話ができるようになるんだったか。猫又になった息子とは、是非とも喋りたかったな・・・「子離れしろ」と一喝されただろうけど。 今日、息子の流動食を毎日作っていたジューサーで、バナナスムージーを作った。バナナを凍らせておいて、豆乳を流し込み、スイッチを入れる。ボトルからスムージーを飲み終えたら、ボトルやブレンダーの刃がついている部分を洗う。そうそう、穴に串の先端を入れてパッキンを外して洗わないといけなかったよね・・・。 こういった一連の簡単な動作が…
2人の獣医さんに見守られ、持ち直した12月 2019年11月30日から、鎮痛剤のメタカムに代わってステロイドを与えることになった。高齢猫である息子の腎臓が持つかどうか、心配だったからだったと思う。その変更は、手術を受けた動物クリニックのS先生も、ホメオパシー獣医も双方が賛同してそうなった。 鎮痛剤がそんなに腎臓に負担だとは。腎臓の寿命がその個体の寿命を決めると、確かNHKのスペシャル番組(タモリが出ていたような?)で見たような気がする。(探してみたら、ありました↓) DVD NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク 第1集 “腎臓”が寿命を決める価格: 4180 円楽天で詳細を見る 高齢…
息子が落としたガーベラの花 オリンピックの東京2020大会が始まった。今年はもちろん2021年、周知のとおり、コロナ禍がなければ、本来ならこの大会は昨2020年に行われていたはずだった。 息子と一緒に大会観戦をしようと、その前年に買い替えたテレビ。テレビ前にあるソファに今、息子は寝転がっているだろうか。夏だから、びろーんと全身思い切り伸び切って。 いや、ソファじゃないな、床ですよ床。風の一番通る涼しい床に、お腹を見せて広がって寝ていると思う。 こうやって書いている今も、姿が見えなくなった息子は一緒にいるはず。台風の風が吹き抜けた窓から外を見上げ、天を眺めていると信じたい。 ちょっと先走るが、息…
悲しみをせき止めない 2020年2月4日未明、息子は息をするのを止めた。翌日に火葬を予約してしまったから、その日は形ある息子との最後の1日になった。 明日には、全身愛らしさの塊である息子の姿形が失われてしまうと思うと、現実感が全くなかった。本当はずっと撫でていたいのに。 保冷剤を抱かせ毛布で巻いておくるみにした息子。安置したのは、以前はテレビ台として使っていた棚の一番下の段だ。そこは、家の作り付けの息子用ステップから息子が直接ぴょんと飛び移って上の数段を歩き回り、時にはびろーんと伸びて、休憩がてら高い位置からリビングなど部屋を一望できる場所として使っていた。 その棚は普段からの息子の居場所のひ…