『宝慶記』に於ける「沙弥」と「比丘」の話題について
『宝慶記』は、道元禅師が中国で天童如浄禅師から受けた教えをまとめた文献だとされるが、その中に「沙弥」と「比丘」に関する話題が見られる。伝統的には非常に有名な一節なのだが、拙僧自身一度この辺を考えておきたいと思ったので、まとめておきたい。それで、『宝慶記』の問答の数え方は様々だが、とりあえず今回見ておきたいのは「第43問答」である。堂頭和尚慈誨して云く。薬山の高沙弥は、比丘の具足戒を受けざりしも、また、仏祖正伝の仏戒を受けざりしにはあらざるなり。然れども僧伽梨衣を搭け、鉢多羅器を持したり。是れ菩薩沙弥なり。排列の時、菩薩戒の臘に依って、沙弥戒の臘に依らざるなり。これ乃ち正伝の稟受なり。你に求法の志操あること、吾の懽喜する所なり。洞宗の託するところは、你、乃ち是れなり。さて、こちらの内容を素直に読むと、天童如...『宝慶記』に於ける「沙弥」と「比丘」の話題について
2024/09/05 08:57