道元禅師による永平寺帰山の上堂について
宝治2年(1248)3月14日、道元禅師は永平寺にて帰山の報告をされた。宝治二年〈戊申〉三月十四日の上堂に云く。山僧、昨年八月初三日、山を出でて相州鎌倉郡に赴き、檀那俗弟子の為に説法す。今年今月昨日、帰寺、今朝陞座す。這一段の事、或いは人有って疑著す。幾許の山川を渉って、俗弟子の為に説法する、俗を重くし僧を軽んずるに似たり、と。又た疑わく、未曾説底の法、未曾聞底の法有りや、と。然而、都て未曾説底の法、未曾聞底の法無し。只だ、他の為に説く、修善の者は昇り、造悪の者は堕つ、修因感果、抛塼引玉のみなり。然も是の如くなりと雖も、這一段の事、永平老漢、明得・説得・信得・行得なり。大衆、這箇の道理を会せんと要すや。良久して云く、尀耐、永平が舌頭、説因・説果・無由。功夫耕道、多少の錯りぞ。今日、憐むべし水牛と作ることを...道元禅師による永平寺帰山の上堂について
2024/03/14 11:42