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10日間のショートストーリー 日々の体験を元にして書いていきたいと思います

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2024/10/31

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  • 第六話 花火を描くペン先 ひと夏の恋・再会

    第六話:花火を描くペン先 物語を書くのは、十年ぶりだった。 指はたどたどしく、頭の中は散らかっていたけれど、書くこと自体が、こんなにも心を温めるものだとは思わなかった。 ふと気づけば、窓の外は茜色。 一日中、ノートと向き合っていたらしい。 ペンを置き、肩をほぐしながら、澪のことを思う。 あの夏、彼女は何を思い、何を遺したくて、僕の前に現れたのだろう。 “ありがとう”——その言葉の重さが、…

  • 第五話 未来の夏を歩く ひと夏の恋・再会

    第五話:未来の夏を歩く それから数日、僕は静かに過ごしていた。 澪が遺してくれた言葉、ペンダント、少女の笑顔。すべてが柔らかく胸に残っている。 夏は、過去に引き戻す季節でもあるけれど、本当は前に進むための季節なのかもしれない。 そんなふうに思えたのは、彼女が最後に教えてくれた「別れ方」のせいだ。 週末、図書館へ本を返しに行った帰り、駅前の喫茶店にふらりと入った。 涼しげな風鈴が入口に下がっ…

  • 第四話 約束の座標 ひと夏の恋・再会

    第四話:約束の座標 「“あの約束”は、私の中でずっと生きてたよ」 杉村から受け取った紙片に書かれていたその言葉を、何度も読み返した。文字は滲みかけていて、彼女がどんな気持ちでこの一文を書いたのか、その筆圧までもが手のひらに伝わってくるようだった。 十年前の夏。 「来年も、いっしょに花火を見よう」 そう言って、僕たちは小指を絡めて笑った。子どもみたいだった。でも、たしかにそれは、約束だった。…

  • 第三話 君の秘密を知っていた人 ひと夏の恋・再会

    第三話:君の秘密を知っていた人 図書館を出た帰り道、日が落ちきった空には、月がぽっかりと浮かんでいた。 あの新聞記事は、何度読み返しても変わらなかった。 彼女は——もう、この世にいない。 それなのに、どうして僕の前に現れたのか。あの夜、手を取って、微笑んで、「ありがとう」と言ってくれたのは、幻だったのか。 疑問と空虚が胸にこびりついたまま、僕はかつての通学路を歩いた。校門の手前、小さなブ…

  • 第二話:風鈴の音が消えた夜に ひと夏の恋・再会

    第二話:風鈴の音が消えた夜に 朝倉澪と再会した夜。家に戻っても、頭の中では彼女の声が何度も何度も再生されていた。 「また、どこかで」 その一言が、まるで別れの挨拶のように響いた。再会だったはずなのに、心のどこかが妙にざわついていた。 眠れぬまま、押入れの奥を引っ掻き回して、古いアルバムを取り出した。ページをめくると、そこには高校時代の澪がいた。花火大会の日、撮ってもらったツーショット。浴…

  • 第一話 ラムネの瓶に浮かぶ記憶ひと夏の恋・再会

    ひと夏の恋・再会 夏祭りで再会した初恋の人。花火の下で語り合う、止まったままの時間——切なさとノスタルジーが交差する、一夏の物語 一日目:ラムネの瓶に浮かぶ記憶 今年もまた、あの夏がやってきた。 陽炎が揺れる舗装道を抜けて、商店街の一角にある懐かしい駄菓子屋の前で足を止めた。小さな冷蔵庫の中には、青い瓶のラムネが並んでいる。栓抜きの感触、ビー玉の音、それら全てが、あの夏の記憶を静かに呼…

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