Sさんから聞いた話。 Sさんは仕事終わりの日課として、いつも海沿いの遊歩道を歩いていた会社員だった。 日中は観光客やカップルで賑わう場所だが、夜遅くになると人通りはほとんどなくなる。 街の灯りも届かない暗い遊歩道で、波の音と潮風だけが、日々の仕事で疲れたSさんの心を癒してくれた。 ある晩、いつものように遊歩道を歩いていると、遠くから微かな音が聞こえてきた。 それは「パチャ、パチャ」と誰かが水面を叩くような音だった。
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Sさんから聞いた話。 Sさんは仕事終わりの日課として、いつも海沿いの遊歩道を歩いていた会社員だった。 日中は観光客やカップルで賑わう場所だが、夜遅くになると人通りはほとんどなくなる。 街の灯りも届かない暗い遊歩道で、波の音と潮風だけが、日々の仕事で疲れたSさんの心を癒してくれた。 ある晩、いつものように遊歩道を歩いていると、遠くから微かな音が聞こえてきた。 それは「パチャ、パチャ」と誰かが水面を叩くような音だった。
Tさんという人から聞いた話。 Tさんは夜間の警備員として、都心にある大きなデパートで働いている男性だった。 昼間のデパートは人で溢れかえり、喧騒に包まれているが、深夜になると照明も落とされシンと静まり返る。 非常灯の薄暗い光だけが通路をぼんやりと照らし、華やかな商品が並ぶ売り場は、どこか無機質な空気をまとっていた。 Tさんはこの深夜の静寂が嫌いではなかった。 いつものように、夜間の巡回業務をこなしていた時だった。
Hさんは、大学の友人たちと廃墟巡りをするのが趣味だった。 廃れた場所の持つ独特の雰囲気に惹かれ、カメラ片手に様々な場所を訪れていた。 ある日、Hさんはネットの掲示板で「地図から消えたトンネル」という古いトンネルの存在を知った。 それは、かつて使われていた鉄道のトンネルで、今は完全に閉鎖されているという。 危険だと忠告する書き込みも多かったが、Hさんの好奇心は抑えきれなかった。 Hさんは廃墟巡りの仲間である友人のFさんと二人で、そのトンネルを目指すことにした。 車で山道を奥へ奥へと進むと、やがて古びた標識が見え、その先に目的のトンネルの入り口が見えてきた。
Mさんが大学生だった頃の話。 都会の喧騒から離れたくて、Mさんは旅行雑誌で見つけた山奥の古い民宿を訪れることにした。 そこは車でもたどり着くのが困難なほどの山奥にあり、雑誌には「静寂に包まれた隠れ家」と紹介されていた。 民宿は想像以上に古く、黒光りする木材の柱や梁が時代を感じさせた。 独特の土埃と、何かが燻されたような匂いが混じり合ったような、古い匂いがした。 宿の女将は年配の女性で、物静かな人だった。 Mさんは二階の、庭が見える広々とした部屋に通された。
とある学校で教員をしているKさんが、学生だった頃に体験した話。 Kさんは地方の大学に進学するため、初めて一人暮らしをすることになった。 大学から少し離れた築年数の古いアパートの一室を借りることになったのだが、家賃が相場よりもずっと安く、広さも十分だったのでKさんは大満足だった。 部屋は日当たりもよく、静かで勉強するにはもってこいの環境。 ただ一つだけ気になったのは、備え付けのクローゼットだった。 クローゼットの扉はなぜかいつも少しだけ開いていて、閉めてもすぐにまた少し開いてしまう。 Kさんは、建付けが悪いのだろう、と特に気にせずに服をしまっていた。
地方に住むKさんが中学生の頃に体験した話。 その地域にある古いお寺は、鬱蒼とした林の中にひっそりと佇んでいた。 昼間でも薄暗く、どこか神秘的な雰囲気が漂っている。 お寺のすぐ隣には広い墓地が広がっており、夕暮れ時になると、ひんやりとした空気が漂ってくる場所だった。 ある日の夜、Kさんを含む仲の良い友人たち数名で、肝試しをしようという話になった。 怖いもの見たさという年頃特有の好奇心からだった。
小学生のHさんは、夏休みの宿泊体験で地域のお寺に来ていた。 ここは広く、古くからの言い伝えも多い場所だった。 お寺の敷地の隅には、苔むした小さな石のお地蔵様が、いくつも横一列に並べられていた。 どれも同じような大きさで、素朴な表情をしている。 肝試しではないが、Hさんは友達と「あのお地蔵様の数を数えてみよう」と話していた。
小学生のSさんは、夏休みに地域のお寺で宿泊体験に参加した。 これは地域の子供たちが集まって、お寺での生活を体験するという催しだった。 Sさんの他にも、地域の学校から集まった数人の希望者が、本堂に布団を並べて寝ることになっていた。 昼間、子供たちは住職からお寺の歴史や仏様の教えについて話を聞いた。 古びた本堂の柱や、使い込まれた畳、そして厳かな仏像に、Sさんは普段の生活では感じられない空気を感じていた。 住職は優しそうな人で、時折冗談を交えながら、子供たちにも分かりやすいように話をしてくれた。 その後は広大な境内を散策したり、庭の手伝いをしたりと、普段できない体験に子供たちは興奮していた。
大学生のMさんが住む築十年ほどのアパートは、都心へのアクセスも良く、静かな住宅街の中にあった。 隣の部屋に新しい住人が引っ越してきたのは、梅雨が明けたばかりの蒸し暑い日のことだった。 挨拶に来たのは痩せぎすで、どこか陰のある雰囲気の男性だった。 名前は確か、Sさんと言ったはずだ。 Sさんはとても物静かで、Mさんが生活音に気を遣う必要がないほど、物音を立てることがなかった。
これは、とある夫婦、夫のKさんと妻のYさんが経験した話。 都会の喧騒から離れ、少し古いが趣のある一軒家に引っ越してきた二人は、新しい生活を楽しみにしていた。 しかし、この家には一つだけ奇妙な点があった。 それは家の奥まった場所にある、決して開かない一室の存在だった。 管理人の人も「ずっと開かずの間だった」とだけ説明し、特に気にすることもなかったため、二人は特に深く考えることもなく、その部屋を「開かずのドア」と呼んで放置していた。 しかし、引っ越して数週間が経ったある夜のことだった。
これはとある社会人のKさんから聞いた話。 Kさんは、最近引っ越したばかりのアパートに住んでいた。 築年数はそれなりに経っていたが、立地も良く、何より家賃が手頃だったため、すぐに決めたのだ。 窓からは小さな公園が見え、日当たりも良く、Kさんは新生活に期待を膨らませていた。 引っ越してきて数日経った頃、Kさんは夜中にふと目が覚めた。 時計を見ると午前3時。
これは、Sさんという方が学生だった頃の話。 Sさんは大学で歴史学を専攻していた。 特に興味があったのは、郷土史。 地域の小さな図書館に通い、古い資料を読み漁るのが日課だった。 その図書館は町の中心部からは少し離れた、ひっそりとした場所にあった。 建物自体も古く、天井が高く、木製の書架がずらりと並び独特の埃っぽい匂いがした。 訪れる人もまばらで、静寂が常にその場所を支配していた。
夜勤のBさんは、いつものように仮眠を取るために休憩室へ向かったのだが、4つあるのベッドがすべて使用中だった。 仕方なく、誰かが起きてくるまで仕事を片付けることにした。 しばらくすると、3人の同僚が起きてきてBさんに声をかけた。 「あれ?Bさん、まだ仮眠取ってないんですか?」 Bさんは、仮眠室のベッドが4つ埋まっていたから使えなかったと説明した。 すると同僚たちは不思議そうな顔で言う。 「廊下側が1つ空いてたじゃないですか」 「そんなはずはない、確かに4つ埋まってたよ」
ある年の夏、Kさんはいつもの地方の無人駅のホームで、最終電車を待っていた。 残業で遅くなってしまい、疲れた体をひきずって辿り着いたこの駅には、最終の到着を待つ乗客はKさん一人だけだった。 深夜の駅のホームは、街灯の明かりがぼんやりと照らすだけで、物音ひとつしない。 普段なら虫の鳴き声がうるさいのだが、この日は虫の声すら聞こえず、ただただ静寂がKさんを包んでいた。 その時、背後のベンチから「きしり」という小さな音が聞こえた。 誰かが腰かけたような、そんな音だった。
今回この話は2つのバージョンを用意しましたので、お好きな方をどうぞ。 1つ目 Iさんは大学の登山サークルに所属していて、その日は仲間たちと連れ立って、少し険しい山を訪れていた。 新緑が眩しい季節で、鳥のさえずりが心地よく響く、ごく普通の登山になるはずだった。 しかし、途中で道を間違えてしまったのか、Iさんたちはいつの間にか、地図には載っていない谷間に迷い込んでいた。
Sさんは学生の頃から登山が趣味で、社会人になってからも週末になると、一人で山へ出かけることが多かった。 その日もいつものように単独登山を楽しんでいたのだが、予報にない悪天候に見舞われ、急遽、山中の避難小屋に泊まることになった。 小屋は古く、軋む音が不気味に響く。 Sさんは持参した食料を広げ、ラジオで天気予報を聞いた。 夜遅くになるとさらに荒れるらしい。 不安を覚えながらも、疲労からすぐに眠りについた。 深夜、ガタガタと窓が揺れる音で目が覚めた。
Nさんは、数年前から登山に没頭している。 普段から人の少ない、整備されすぎていない登山道を好んで歩く。 その日も、彼は地図には載っていないような古い山道を、気ままに探索していた。 鳥の声だけが響く静かな山の中、踏み固められた道は徐々に細くなり、やがて獣道へと変わっていった。 Nさんはそういった道を進むのが好きだった。 未知の風景に出会える期待感が、彼の好奇心を刺激する。 しばらく獣道を分け入って進むと、ふと、道の脇に不自然な空間があることに気がついた。
ある晴れた週末の午後、Yさんは小学生になる娘を連れて、山のふもとにある森林公園を訪れていた。 都会の騒がしい場所と違い、休日でも人がまばらで、静かに過ごしたい家族にはうってつけだった。 Yさんの目的は、娘がネットで見て興味を持った、園内奥にある木製遊具だった。 木製の滑り台やジャングルジムでしばらく遊んだ後、娘はふと、その奥にひっそりと佇むブランコを見つけた。 それは古びた木製のもので、使い込まれた座面はすっかり色褪せ、鎖は錆びついていた。
Mさんたち大学生グループは、休日を利用して近場の山に登山に来ていた。 新緑が眩しい季節で、道中も賑やかに談笑しながら、ゆっくりとしたペースで山を登っていく。 ちょうど昼食を終え、もう少しで頂上というあたりで、小さな観光展望台に立ち寄ることにした。 展望台は、山の景色を一望できる開けた場所にあり、頂上付近の少し手前に位置する。 小さな東屋が建てられ、中には木製の古びた望遠鏡と、休憩用のベンチがいくつか設置されていた。 普段なら観光客で賑わう場所だが、その日はあいにくの曇り空。 人もまばらでひっそりとしていた。 遠くの景色も霞んで見え、少し肌寒い風が吹き抜けていく。
夏も終わりに差し掛かった頃、Hさんは山の中腹で野営の準備を進めていた。 日はすでに傾き、周囲は急速に薄暗さを増していく。 湿った空気が肌にまとわりつき、あたりには濃い霧が立ち込め始めていた。 視界は悪く、わずか数メートル先も見通せないほどだ。 そんな中、Hさんの視界の先にぽつんと白い塊が浮かび上がった。 目を凝らすと、それはどうやら真っ白なテントのようだった。 こんな高地に他の登山者がいるとは珍しい。 Hさんは訝しく思いながらも、近くに誰かがいることにわずかな安堵を覚えた。 登山仲間だろうし、挨拶をしに行こうかな…と、Hさんは白いテントへと足を進めた。
Nさんという人から聞いた話。 Nさんは大学生で、試験近くに深夜まで図書館で勉強することが多かった。 大学の近くにあるその図書館は、24時間営業しており学生たちにとっては非常に便利な場所だった。 ある晩、図書館で勉強をしていたNさんは、深夜1時を過ぎた頃に休憩を取ることにした。 静まり返った図書館の中で、Nさんは飲み物を取りに行こうと席を立った。 自動販売機の前で飲み物を選んでいると、誰かの視線を感じた。 振り返ると遠くの書架の間に人影が見えた。 暗い中で見えるその影は、じっとこちらを見つめているようだった。 (こんな時間に他にも勉強している人がいるんだな) そう思ったNさんは特に気にせず席に戻…
Mさんは、毎晩遅くまで働く会社員だった。 仕事は次の日にまわしても良かったのだが、ついつい気になってやり続けてしまい、帰宅はいつも終電近くになってしまう。 そんな彼がある日、奇妙な体験をした。 その日は特に疲れていて、仕事が終わった頃にはもう午前0時を回っていた。 Mさんは駅に急ぎ、なんとか終電に間に合った。 車内はガラガラで、座席に腰を下ろしていつものように窓の外を眺めていた。 しばらくすると、次の駅で一人の女性が乗ってきた。 彼女は黒いコートを着て長い髪を下ろしている。 他に変わったところは無く、ただ静かにドアの近くに立っていた。 その姿に特に違和感を感じることもなく、Mさんは再び窓の外に…
知り合いのKさんが体験した話。 Kさんはその日、残業で帰りが遅くなってしまった。 帰宅してシャワーを浴び、ベッドに横たわるともう午前2時を過ぎていた。 スマホの画面を確認し、明日のアラームをセットして寝る準備をしていた。 するとその時、スマホが突然鳴り出した。 急いでスマホの画面を確認するが、着信画面には見知らぬ番号が表示されている。 こんな時間に誰だ?と不思議に思いながらも好奇心が勝り、Kさんは電話に出た。
社会人のAさんが登山をして体験した話。 久々にまとまった休みが取れたので、学生時代から好きだった登山をすることにした。 朝早くに車で山の麓に向かい、登山を開始。 静かな山道を歩きながら、新鮮な空気と山の景色を楽しんでいた。 しばらく山を登っていると突然霧が発生し、数メートル先が見えない程に視界が悪くなってしまった。
この話はとある寂れた港町にある、海のすぐ近くに佇む廃墟ホテルでの話。 そのホテルは、かつては多くの観光客で賑わっていたそうだが、今は見る影もなく朽ち果て、地元の人間ですら近寄らないと言う。 そんな誰も寄り付かなくなったホテルにまつわる、恐ろしい噂話がある。 それはこのホテルがまだ営業していた頃、宿泊客の一人が謎の失踪を遂げてからというもの、13号室にだけは決して入ってはならない…と、ホテルの従業員の間で囁かれるようになったというのだ。
廃墟巡りをしていた人が廃墟で見つけた日記。 7月1日 今日はこの村に引っ越してきた記念すべき日だ。 自然に囲まれた静かな場所で、都会の喧騒を離れて穏やかに暮らしていけると思うと、今から楽しみで仕方ない。 7月15日 この村の人々はどこかよそよそしい。 挨拶をしても目を合わせようとしないし、何かを隠しているような、そんな不気味さを感じる。
日本各地に存在する「いわくつきのトンネル」。 山の中にある○○トンネルもまた、そんな曰く付きスポットとして地元では有名な場所だった。 私が耳にしたのは、このトンネルで起こる奇妙な現象についてだった。 それは「赤いヘッドライトの車」の怪異。 「深夜、あのトンネルを走っていると、前から赤いヘッドライトの車が対向車線にはみ出してくるんだ。 で、ヘッドライトの光が強すぎて車種まではよく分からないんだけど、どうにも車の種類が古臭い、っていうか今時見ないような型の車なんだよ」
ある地方の山奥に一つの古びたトンネルがあった。 そのトンネルは長い間使われておらず、昼間でも薄暗い雰囲気を漂わせていて、地元の人々の間では、このトンネルにまつわる恐ろしい噂が広まっていた。 その噂とは、夜になると「白い少女」が現れるというものだった。 その少女は、かつてトンネル近くの村でトラブルにあい命を落とし、その怨念がトンネルに宿っていると言われていた。
深夜のコンビニで働くIさんは、いつものように夜勤に入っていた。 町外れにあるそのコンビニは、夜になると閑散として客足も途絶えがちだ。 時計の針が午前2時を指していた頃、店内はしんと静まり返っていた。 「休憩室に行こうかな…」 Iさんはレジのカウンターに肘をついて、うっすらとため息をついた。 その時だった。 自動ドアが開く音がし、冷たい夜風が一瞬店内に吹き込んだ。
山奥深くで炭焼きを生業とするFさんがいた。 炭焼きは孤独な作業。日が昇ると山に入り、窯の火を見守りながら日が暮れるまでただひたすらに時を過ごす。 ある年の夏の終わり、炭焼き小屋で一晩を明かしていたFさんは奇妙な物音で目を覚ました。 それは小屋の戸をゆっくりと叩くような音だった。 何事かと耳を澄ませていると、戸を叩く音は徐々に速さを増し、まるで何かが中に入ろうとしているかのようだった。 不安を感じ、意を決して小屋の戸を開けたが外には何もいなかった。 Fさんは首をかしげながらも再び戸を閉め、寝床に戻ろうとしたその時、背後からかすかな気配を感じた。 振り返ると小屋の中に一匹の奇妙な生き物がいた。 見…
※虫が苦手な方はこの話は読まない方がいいです。 夏の暑さが本格的になる少し前、古い一軒家で奇妙な出来事が起こった。 雨が降る中、OLのSさんが夜遅くに帰宅すると、玄関のドアの前に見慣れないものが置かれていることに気づいた。 直径10センチほどの泥でできた小さな球体だった。
久しぶりに大学時代の友人たちと再会し、登山をした日の事。 F、Y、Eの3人は、それぞれ社会人となり、忙しい日々を送っていたが、この日は特別な計画があった。 大学時代によく行っていた山に登るため、朝方に駅で待ち合わせしていた。 「久しぶりだな、みんな!」 Fが笑顔で声をかけると、YとEも嬉しそうに頷いた。 彼らは久しぶりの再会に興奮しながら電車とバスを乗り継ぎ、目的の山へと向かった。
東京より山側にある、とある町でのこと。 そこに一人暮らしをしていた大学生のAさんは、数日前から奇妙な現象に悩まされていた。 それは夜中の2時になると、決まって天井裏から「トトトトト」という足音のような音が聞こえてくるというものだった。 最初はネズミでもいるのかと思い、駆除剤を置いたり業者に依頼したりもしたが、効果はなかった。 それどころか「トトトトト」という音は日に日に大きく、そして不規則になっていった。
あれは確か、私がまだ駆け出しの怪談師だった頃の話でございます。 ある山奥の村に伝わる「赤い着物」の怪談を採集しに行った時のことでした。 その村は、古くから「赤い着物を着た女に出会ったら、決して目を合わせてはならない」という言い伝えがあるそうでして、興味津々の私は早速村人たちに話を聞いて回りました。 しかし、話を聞けば聞くほどその「赤い着物」の女の正体は謎に包まれ、得られる情報は 「夜中に山道で赤い着物を着た女を見た」 「女の顔は影になっていて見えなかった」 「女を見た者はその後、原因不明の熱病で死んでしまった」 といった断片的なものばかり…。
夏手前の蒸し暑い夜、大学の友人グループはKの家に集まっていた。 メンバーはK、M、Rの三人。彼らは怪談や都市伝説に興味を持っており、この夜も新たな冒険を企てていた。 「今日は少し変わった場所に行こうか」 とKが切り出した。 「川辺にある幽霊灯の話、知ってるか?」
梅雨が明けたばかりの初夏の夕方、大学生の3人組、M、T、Kは、ネットで見つけた廃村の墓地へと向かっていた。 Mの運転する車で、彼らは廃村があるという山奥へと進んでいった。 「本当にここに廃村があるのか?」 Tが後部座席から前の二人に問いかける。 「ああ、ネットで見た情報だとこの先にあるらしい。気味悪いけど興味あるだろ?」 Kがスマホの地図を見ながら答えた。 「まあな…肝試しにはうってつけだな。」 Mは運転しながら笑った。
梅雨の晴れ間、久しぶりに強い日差しが降り注いだ日のこと。 一人暮らしの女性Sさんが、引っ越しをしようと荷造りをしていた。 段ボールに荷物を詰め込みガムテープで封をしていると、ふと、部屋の奥に何か黒い影のようなものが見えた気がした。 「なんだろう?」 しかし家具の隙間から差し込む光の関係の錯覚だろうと思い、Sさんは気にせず作業を続けた。 箱詰めもあらかた片付いた時、ふと先程の黒い影が気になり壁に目をやった。 「な、何あれ?」 その影の正体に気づいた時、Sさんの顔から血の気が引いた。 それは奥の壁一面に、びっしりと描かれた無数の目だった。 黒く塗りつぶされたような楕円形の一つ一つが、まるでこちらを…
梅雨明けが待ち遠しい、ある蒸し暑い日の午後。 高校の美術部の生徒たちは、日没後の風景を描くため校舎の屋上に来ていた。 「先生、もうちょっとで沈みますね」 「ああ、茜色に染まる空をよく観察して描くんだぞ」 教師の言葉に、生徒たちは一斉にキャンバスに向き直る。 しかし、その中でひとりの女子生徒だけが、じっと西の空を見つめていた。 「先生……あれ、何ですか?」
梅雨の晴れ間、むしむしと暑い日が続いていた。 学校では教室の窓を開け放して授業を受けていたが、生ぬるい風は熱気を運んでくるばかりで、生徒たちの集中力は途切れがちだった。 午後の授業中、黒板に奇妙な影が映っていることに気づいたのは、窓際から少し離れた席に座っていた男子生徒だった。 「あれ?」 男子生徒は目を凝らした。 それは、まるで長い髪の女が立っているような影だった。
今からお話する怪談の登場人物をご紹介させていただきます。 語り部である「私、H」と、高校時代からの友人であるK、そしてS、Yの4人で肝試しに行った時の出来事でございます。 舞台は県外にあるYの実家の近くにある、通称「幽霊トンネル」と呼ばれる場所。 そこで私たちが目にしたもの、体験したものとは。 一体全体どんな恐怖が待ち受けていたのか。 それでは皆様、心の準備はよろしいでしょうか?