私にはスーパーお金持ちな知り合いがいます。まあ、お金だけでなく殆どありとあらゆるものを保有している男ですが、そいつはでも随分と変わり者であって吝嗇家でもあるのですね。いや、けちというか、自分の目的には全部差し出せても、それ以外のことに無頓着...
心とは金剛石のように頑なでなくても良い。別段飛沫すら含んだスポンジのように柔く感じたって構うまい。擦り切れて役に立たなくなるまでに使われるそのことにもし、愛があったのなら。蝶とはひどくぶよぶよとした腹を持つ生き物である。綺麗とされる色づきが...
どう読み上げようとも世界は終わる。なら、地平に立ってみようと彼女は決めました。これはどうあっても救われない神なし世の中での、ホラーの後に残った終末にて語られる愛のお話。
「ふぅ……」一人ぼっちには、ため息が似合う。だがキングの私がするようなことではないのに、と思いながらも止められなかったことが少女の疲れの証。本日はレース後の休養に充てられた日。平素はそこそこドライな自身のトレーナーにかけられた、今はまず身体...
硬質な材の廊下に降ろされるは、靴下に包まれた柔らかなつま先。よって特に忍んでおらずとも音も立てることなく彼女は残骸としたばかりの出入り口を背に進む。背負うコウモリの羽根が骨ばかりになっているとはいえ、空を行くことが出来る少女が階段へと伸ばす...
風はどこか冷たさを帯びていながら、日差しは熱そのもの。そんなこの頃の秋の天気のもとに、優駿ばかりがくつわではなく肩を並べて競い合う。炎天に長く伸びすぎたため刈られて整ったばかりの街路樹が風に撫でられざわめいた。良バ場で行われる9月20日、日...
「ウララ……起きて」「うう……――ちゃん。分かったよお……」柔らかで心地よい、ハスキーボイス。それを何時も明日の朝の楽しみにしながら少女は寝て、起きる。ぴこぴことピンクの耳はすぐ近くの彼女の心音をすら探ろうしているかのように動く。やがてここ...
百合は、町田百合ですぅ。ちょっと前までトップアイドルってのを目指してましたぁ。そして、ちょっと前になれたんですねぇ。らくしょー……ってわけじゃなくって結構頑張らなきゃだったのが悔しいですがぁ、でもなんとかなったのは嬉しかったですぅ。これで、...
紅魔館の地下には数多の書籍を蔵した図書館が広がっている。その中心、本の山を通り越して最早奇っ怪なオブジェと化したテーブルにて一冊の厚い本がまるで風の悪戯にさらされたかのようにさらさらと読み解かれていた。そう。そこにはいっそ幼気なまでの指先を...
――――という少女は一見とてもそれらしい、ウマ娘だ。愛らしい容貌には大きな栗色の瞳がぱっちりと。耳のてっぺんからよく梳かれた髪は、例え海水をまとい二つ別れていようとも目を惹いて離さない。その上で、節々の細さに合わぬ隆々とした筋がむっちりとす...
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私にはスーパーお金持ちな知り合いがいます。まあ、お金だけでなく殆どありとあらゆるものを保有している男ですが、そいつはでも随分と変わり者であって吝嗇家でもあるのですね。いや、けちというか、自分の目的には全部差し出せても、それ以外のことに無頓着...
私のお隣の埼東ゆきちゃんはポメラニアンのワンちゃんを飼っています。そして、私は一年ほど前から首狩りウサギのミリーちゃんを飼っているのですね。生の人参と採れたてのきゅうりを用いた冷や汁が大好物の、ふわふわ綿あめみたいな改造動物さんです。普通の...
なんだかイザナミだのテュポエウスだので拡張型人間や改造人間や魔法使いみたいなちょっと人間やめてる能力者が多い「錆色の~」シリーズ世界。まあ前世の私が読んでても誰が一番強いんだよ、いや、あんた強そうなのにここで負けるのかよとなっていたのですが...
私はこの世界の大本たるお話をテキスト方式で知っています。右も左も分かっていれば、横断歩道の確認も楽ちんであるのと同じように、私はだからこそ結構危ないこの「錆色の~」シリーズ世界を渡って来れたのでしょう。まあ、実のところは悪のトップをやってる...
この世界には【イザナミ】という組織があります。世間一般には正義の組織とされている、「錆色の~」シリーズ主役の海山宗二君が所属しているとある研究所を母体として発生した団体ですね。名前はあの国生みの【イザナミ】様から採ったのでしょう。随分大仰な...
私はこの世に生じる前、ずっと『ゴミ捨て場』を眺めていた。始められたのは、ミノタウロスの伝説と多少の混合があった私は、迷宮の主としての権能だって僅かに持っていたからのことである。だが、それを続けたのは私の意志だ。おかげで捨てるべき何もかもにだ...
あまり読者様方にこう言うのは自慢をしているようで気恥ずかしいのですが、実際私は前世そこそこの天才でした。一度勉強をすれば殆どを学びきりますし、以前の学びと結びつけるのだって得意な方で、強いて言うならば発展を望むのが少し苦手でしたね。むしろ、...
さて、私はこの世界の大本が読まれるためにあるひとつなぎであることを識っています。ならば、この二次派生的な世界、ひいては私も読まれていると考えるのが自然でしょう。ただどこが最初の切れ目なのか無知な私には分からないので、今日も再びに自己紹介を重...
単純で勧善懲悪な小説の世界にTS転生しちゃった主人公さんが、私全部知ってるよとうそぶきながらなんでか全体複雑にしっとりさせちゃうお話です!ギャグがメインの架空原作に入り込んだ原作ファンが織りなす原作ブレイクぶりをお楽しみ下さいー。
この世には昔『牛の首』という怪談があった。そして、それはもうない。何故なら、その怪談を聞いたもの全てがあまりの恐ろしさに直ぐ死んでしまうからだ。そして、私はそれそのもの。終わりと同義の存在だから、故に終末の今それを物語るために生まれてしまっ...
「……ほろ、ぶ……せ、かぃ」未熟にて生まれた私は、産声よりも先に必死になってこう伝えた。これで死んでしまっても本望だからと目も見えないままに発した私の『予言』は、しかし懸命に私を生かそうとする医療現場の人間たちの騒々しさにかき消されてしまう...
心とは金剛石のように頑なでなくても良い。別段飛沫すら含んだスポンジのように柔く感じたって構うまい。擦り切れて役に立たなくなるまでに使われるそのことにもし、愛があったのなら。蝶とはひどくぶよぶよとした腹を持つ生き物である。綺麗とされる色づきが...
どう読み上げようとも世界は終わる。なら、地平に立ってみようと彼女は決めました。これはどうあっても救われない神なし世の中での、ホラーの後に残った終末にて語られる愛のお話。
「ふぅ……」一人ぼっちには、ため息が似合う。だがキングの私がするようなことではないのに、と思いながらも止められなかったことが少女の疲れの証。本日はレース後の休養に充てられた日。平素はそこそこドライな自身のトレーナーにかけられた、今はまず身体...
硬質な材の廊下に降ろされるは、靴下に包まれた柔らかなつま先。よって特に忍んでおらずとも音も立てることなく彼女は残骸としたばかりの出入り口を背に進む。背負うコウモリの羽根が骨ばかりになっているとはいえ、空を行くことが出来る少女が階段へと伸ばす...
風はどこか冷たさを帯びていながら、日差しは熱そのもの。そんなこの頃の秋の天気のもとに、優駿ばかりがくつわではなく肩を並べて競い合う。炎天に長く伸びすぎたため刈られて整ったばかりの街路樹が風に撫でられざわめいた。良バ場で行われる9月20日、日...
「ウララ……起きて」「うう……――ちゃん。分かったよお……」柔らかで心地よい、ハスキーボイス。それを何時も明日の朝の楽しみにしながら少女は寝て、起きる。ぴこぴことピンクの耳はすぐ近くの彼女の心音をすら探ろうしているかのように動く。やがてここ...
百合は、町田百合ですぅ。ちょっと前までトップアイドルってのを目指してましたぁ。そして、ちょっと前になれたんですねぇ。らくしょー……ってわけじゃなくって結構頑張らなきゃだったのが悔しいですがぁ、でもなんとかなったのは嬉しかったですぅ。これで、...
紅魔館の地下には数多の書籍を蔵した図書館が広がっている。その中心、本の山を通り越して最早奇っ怪なオブジェと化したテーブルにて一冊の厚い本がまるで風の悪戯にさらされたかのようにさらさらと読み解かれていた。そう。そこにはいっそ幼気なまでの指先を...
――――という少女は一見とてもそれらしい、ウマ娘だ。愛らしい容貌には大きな栗色の瞳がぱっちりと。耳のてっぺんからよく梳かれた髪は、例え海水をまとい二つ別れていようとも目を惹いて離さない。その上で、節々の細さに合わぬ隆々とした筋がむっちりとす...
メモ代わりにチョコザップで何をやったほうがいいか、というものを他ブログを参考に書いたものとのなります。 リンクを辿ってどうか参考ブログ様へと向かってみて下さい!
イクスは光彦の家、白河家の屋根裏に住み着いてる。 いや、以前見た光景を思い出すに、屋根裏にて大量の漫画本の隙間にて過ごしているといった方が正しいのかもしれない。 千の次の単位は、確か万だったよな。きっとそれくらいは漫画の数はあったろうし、何
先生。 それはここ幻想郷の人里において小さな寺子屋などを運営する教師達の呼称としてよく用いられているものだ。 そして、この頃新たに先生と呼ばれるようになったのは、稗田の家お抱えの賢者とされる上白沢慧音。 里の中程に新設された寺子屋にて彼女は
抜けるような蒼穹。自然こそがこの世の美しさのベーシック。だがある日、それはナンバーツーに堕した。 「よくないよねー」 世界に天井があることがつまらないというのは、一般人杉山ゆずだからこそ考えることだろうか。 いや、それとも彼女が天を射抜かん
アリス・マーガトロイドは魔界生まれの少女である。 そのため生まれつき魔法使いである彼女には、本来衣食住に対する意識は希薄であっても良い筈だった。 だが、神綺という魔界の神を手本にした彼女曰く子供達同士の相互扶助により大いに学んだアリスは心に
親知らず後に鼻から口まで空気の流れを感じたならばどうすべきか。 それに対してまずは対応医への相談を自分はお勧めいたします。 その理由、結論に至った流れを羅列しますので、どうか判断の一助にして下さい。
町田百合というのは最低値、いやそれこそマイナスから開始した小さき命である。 実親ならまだしも余所人が愛するには些か地獄的に過ぎていた子。 踏みしだかれるべき最低値、哀れまれるべき地獄の蓋はだがしかし。 『トップアイドルになるですぅ!』 地獄
ウマ娘達がその速さを競うということは、人が薄氷を渡ることと似ているのかもしれないと、彼は思った。 そもそも遅ければ氷の下に堕ちてしまうだろうし、そしてほんのちょっと力を入れすぎただけで氷は脆くも砕け散って足を取られてしまう。 最悪没した先に
前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。 今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔に
百合は、ひゅ、と緊張に喉からよく分からない音が出たことを感じた。 それが唐突に乱入し楽曲を中断させた招かれざる客に向けられた、数多の視線の物理的に迫る程の印象の圧力によるものであるのは、語るまでもない。 沈黙の中知らずぎゅ、っと握ったマイク
幼少の妄想。人を殺めかねない不安。崇め立てるべき神聖。 それらは妖怪、怪人、神等など。彼ら発生が空想信仰に依る者どもは、空から生まれた単一であるからこそ、多くが親愛など知らない。 だからその存在が絶対であろうがなかろうが、殆どを対面のみで済
紅美鈴というよく分からない妖怪は、出自を辿ると神獣へと行き着く。 ドラゴン、龍。大いなる自然の具現で、混沌たる力の根源。少し傾けば善となり、反対に向いてしまえば悪となる。そんな、茫漠とした上澄み。 そこから誕生したのが、紅美鈴という妖怪だっ
夢幻。それは、創造に至らぬ想像。とりとめもない、不確か。 夢は消えるもので、幻だってそれと同じ。だがしかし、強度が違うばかりで、ひょっとしたら現実もそれらと変わらないものではないか。 胡蝶の夢。邯鄲の夢。主体は果たしてゆらゆらと、思考を待っ
蝶よ花よの言葉はあれども、誠に野花の生は辛いもの。 日に灼かれて虫にたかられ、水を蓄えることすら難儀する。そもそも、身を委ねた地に命を預けることすら生半可な生き物であっては出来ないこと。 だが、それでも花は咲く。歪であっても汚れていようが、
「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」 独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。 逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。 彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、
全てに見上げられるためにある輝き。何よりも美しく刺激的な、一つ星の形象。 それを計る数字になど欠片の意味もなく、どこまでも幻想的なその決めつけにこそ価値があった。 曰く、最強。 別段三千世界にて比べあったことすらないというのに、その個体はそ
人において分かりやすい証というものは、名前と立場であるだろう。 こと現世においては名刺にでかでかと書かれた名前と所属により、その人を信頼する場合も往々にしてあった。 しかし、幻想に捨てられた際全て忘却してしまった少女には何も存在せず、故にサ
時を止めてしまえば止めた人だって動けない。 そう、時間を止めてしまえば従属する空間だって凍る。そんな中を泳げる人間なんて果たして存在するのだろうか。 勿論、ただの人がそんなことを可能にするのはきっと難しい。また、粒ごと固定された全てを退かす
その銀の少女が人里に現れたのは、酷く暗ったい夜も更けた頃合いであったようだ。 少女は、幻想郷では珍しくもない木造の家屋の間をきょろきょろと驚きに怯えながら歩いていたらしい。 酔いに酔った、問屋の番頭が赤ら顔で目抜き通りを歩んでいたところ、そ
彼女、〇〇は己が稀なる血の先祖返りであるということは知っていた。 それもそうであるだろう、こんなシルバーブロンドの自毛を生やした日本人なんて、他にはいない。祖父が厳しく話すのを聞くまでもなく、自分が他と違うことくらい分かっていた。 「でも、