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2023/10/13

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  • 第十三話 高段

    ぱん。そんな音がした。「え、と」いつの間に弾けたのだろうか。魔物は瞬きの間に消失していた。あの存在の末期の証明が先の音色だとするのならば、何とも命として軽い。いいや、これはひょっとして。位すら弾けるほどの足し算があの合間に行われた証左ではな...

  • 第十八話 優しい魔法使いってなんですかい?

    夕日落っこちて、もう夜だ。結構暗いけど、そんなには暗くない。まあ、最低でも蘭を見逃してしまわないくらいには、この新月の夜もそこそこ明かりがあった。オレは結構夜目が利く。これでよく夜な夜な猫の会合に参加しににゃあにゃあ行っていたのだが、一度寝...

  • 第三十五話 私達のエッセンス

    レミリア・スカーレットは、愛によって生まれた。それに間違いはない。基本的に妖怪変化は木の股から生まれた訳ではなく、ただよからぬ噂怪談が転じて具体化したものばかり。コギト・エルゴ・スムではなく人間原理に連なる、あやかし。もっとも神域から堕っこ...

  • 第十九話 私の勝ちね

    混ざり合わない直線の交わりの永遠。チェック模様だらけの夢幻館。単色ばかりなんて許さない多色の綺麗をこそ容れるその器は、似たようなものばかりを秘めるようになっていた。天使の悪魔、メイドの悪魔、花の妖怪。彼女らはまるで、白と黒の組み合わせを言い...

  • 第十二話 魔物

    さて、オレは罪から逃げると決めた。皆を魔法少女にしたってのは、どうしようもないくらい悪いことだ。不可抗力、なんて言葉は救いにならない。オレは最悪死ぬほど酷い目に遭った大勢のために、同じくらいに酷い目に遭うべきだとは思う。「まあ、オレってそん...

  • ワガママなの

    「ふぅ……」灼熱が、己の中で燃える。走る者たちは夏を大体嫌うもの。辛いは耐えられても熱を堪えるのは難しいから、それも当然なのだろう。「いい、感じっ!」だが、そんな当たり前なんて――――のように突飛なウマ娘には関係ない。踏み込みに視界が揺れる...

  • 第十一話 謝罪

    「あむ」何時だって、プラセボは甘いだけ。でも白くて粉っぽいそれをもぐもぐしながらオレは蚊帳の外できゃっきゃうふふを見る。自罰の他所で花は咲くもの。ちょっと両方とも大ぶりで華美な感じがあるが、まあ綺麗所が仲良くしてる。「へー。おっきいゆきちゃ...

  • 番外話② 樋口結

    樋口結は、埼東ゆきの幼馴染みである。そして、ゆきに魔法少女を伝染された最初の被害者でもあり、政府公認の伝染なき魔法少女として俗に言うところの《《魔法少女パンデミック》》を防いだ英雄だった。「わたしなんて、怖いから他の子やっつけてただけなのに...

  • 第三十四話 友情なんて

    青が黒に至る隙間の時間。夕に焼ける黄昏に、赤は存外溶けない。そんなことを、一人博麗霊夢は知る。「趣味の悪い建物」思わず彼女が発したそれは、眼前に鎮座する紅魔館を目撃した大多数の感想の代弁。赤に朱に、紅。建物に塗布するには赫々と燃える炎のよう...

  • 第十話 差異

    色々と悩み尽きない身分であるが、それでも時が経てばさざ波治まるのは自然の理。自分が何だかは正直よく分からないが、それはそれとしてオレは居候をするのだと言い張る家なき娘である【埼東ゆき】をひとまず案内することにした。「ここが書斎だ」「わあっ、...

  • 第九話 自他

    「むぅ……」どうも寝心地が、悪い。オレはそこそこ鬱なので身体に余計な緊張が走りがちでその分疲れやすくはあるが、流石に寝るときくらいはマシだったのに。むしろ、全体に圧すら感じる動けなさがある。おまけになんか暑苦しい。布団の柔らかな拘束とは明ら...

  • 第八話 代入

    この世はプラスの生き物ばかり。何だかんだ互いに文句ばっかつけてるが、どんなものだって結局生み出して、創って壊してそんなのばっかって意外と輝きを帯びた素敵達なのだ。しかし、プラスの反対のマイナスだってひょっとしたらどこかにあるのかもなって、オ...

  • 第七話 犠牲

    魔法とは、過程を乗り越えて道理を欺瞞することで望ましき結果ばかりを得る、願いだ。全ては意思を超えた己に対する祈祷によって顕現する。オレから端を発した力は何時しか魔法と名付けられ、遍く全ての教えに対する反逆だと、宗教を含む様々な学者達から大い...

  • 番外話① マーガレット・モア

    マーガレット・モアはイギリス、コッツウォルズの田舎町に生まれた少女である。湖水地方の丘陵地帯。旧さに止まった村々にて、庭にしばしば現れるウサギやハリネズミを見つける度に笑顔で追い回していた、そんな自然に馴染んだ箱入り娘。大好きな父が撫でるに...

  • 第六話 乗算

    新島の誕生。それは初期の報道では日本近海にて海底火山の活発化、地盤の隆起等の複数の発生要因が奇跡的に重なったことで出来た火山島とされていた。名前の用意もなくひと月の短期で海上に突出したその地は、しばらく紅く燃え続けて範囲を広げた後に黒く治ま...

  • 第五話 母性

    実のところ、子供のオレに科せられた義務などそうはない。サンプルとしての血液の採取の必要と基本的に用意された家から出ないという契約は交わしている。すると、オレが魔法少女の世間への理解と埼東ゆきという少女の価値を認めて貰うために、見識深い教授へ...

  • 第四話 欺瞞

    オレの魔法を求める人は、過去沢山いたのは違いない。死から遠ざけることを得意とするそれを、オレも半ば無秩序に与え続けて、日々の終わりはぐったりしてた時期もあったのだ。だが、まあオレから伝染して魔法を得た少女たちが起こした問題が社会を揺るがして...

  • 第三話 最優

    『いたいのいたいの飛んでいけ』オレが初めて、つまりそれこそこの世界で初めて魔法を使ったのは友達の傷の手当てからだ。それは今思うと酷く単純で効果の弱いもの。膝小僧を擦りむいたお転婆な女の子の膝にいたいのいたいの飛んでいけ、と昔してもらった大人...

  • 第二話 感染

    「ふぅ」子供には広すぎる部屋を出れば、更に空虚なまでに長い廊下。飾り気も人気もなくただ清潔にばかり保たれたそれは決して好みではない。むしろオレには静けさが、最早耳に痛いくらいだ。だが、オレという魔法少女はいっそ辟易する程人から隔離されなけれ...

  • 第一話 夢見

    『……まだ、まだっ』これが夢だと分かるのは、世界の中心が《《オレ》》ではなく彼女であるからだろう。懐かしき高い視点、視界の端に映る大ぶりな身体的特徴。それがひらひらした衣類をまとっているからには、これがオレと違うと判断するのは自然だった。ま...

  • 救えない魔法少女・目次

    <最古の魔法使い>こと転生TS魔法少女埼東ゆきちゃんが、<最強の魔法使い>こと異世界の本来の埼東ゆきさんに出会い、大変に粘着されるお話です。魔法を伝染させた原初の魔法少女と、世界を救えなかった最強の魔法少女が揃った時、世界はどうなるのでしょうか?

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