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  • 都響第976回定期(5月29日)

    尾高忠明が珍しく都響に登場して、得意とするラフマニノフとエルガーを並べた演奏会だ。最初はラフマニノフの絵画的練習曲より第2曲《海とかもめ》作品39-2。今回はピアノ独奏曲をレスピーギが編曲したバージョンだ。静かな中にわずかな感情の昂りもある佳作で、レスピーギの手にかかると洗練された淡い色彩が美しい曲になった。続いてピアノ独奏にアンナ・ヴィニツカヤを迎えて「パガニーニの主題による狂詩曲」作品43。完璧なテクニックの美音で、いとも楽しげにこの難曲をサラリ弾く。オケも完璧に付くのでなんとも気持ちよさそうである。濃厚なロマンよりも爽やかな初夏の風を感じさせるような音楽だった。ソロアンコールは絵画的練習曲集Op.33より第2番ハ長調。そしてトリは気力十分で臨んだエルガーの交響曲第2番変ホ長調作品63だ。尾高は登場の...都響第976回定期(5月29日)

  • NISSAY OPERA「メデア」(5月28日)

    日生劇場開場60周年記念公演の一環としてケルビーニの「メデア」が日本初演された。今回はその二日目を聞いた。指揮の園田隆一は極めて高いテンションで新日本フィルを駆り立て、一刻たりとも弛緩のない流れで全体を劇的にリードした。その流れに乗って出ずっぱりのコルギスの女王メデア役中村真紀は絶唱。押し出しの強い歌はとりわけ後半に力を発揮した。フォルテでも決して汚くならないのは美点なのだが、多用する軽い高音のピアニッシモにはとても違和感があった。それに対する前夫の武将ジャンゾーネ役城宏憲の歌唱はクセはないのだが、メデアとの対比ではいささか軽くバランスを欠いた。この役にはメディアに対するだけの強靭な声が欲しい。その婚約者コリント王女グラウチェ役の横前奈緒の歌唱は素直で美しく磨かれた美声が心に響いた。その父クレオンテを歌っ...NISSAYOPERA「メデア」(5月28日)

  • 東響第710定期(5月20日)

    音楽監督ジョナサン・ノットのマーラー交響曲シリーズ、今回は6番イ短調「悲劇的」である。前座として小埜寺美樹のピアノ独奏によるリゲティの「ムジカ・リチェルカーレ第2番」。これは三つの音だけで構成されているピアノ独奏のための小品であるが、今回はマーラーと休みなしで続けて演奏されたので、「前座」というよりも「導入」という意味があったのだろう。まず指揮者が指揮台に立つと舞台照明が落とされ、右奥にあるピアノにスポットライトが当たり独奏が始まる、そして4分程のそれが終わると全体照明に変わってマーラーの弦の刻みが始まるという次第である。この一連の音場設計に音楽的意味を感じ取れたかどうかは個人的には微妙なところだが、決して不自然とは感じなかった。しかしさりとて特段の意味が発見できたかというと、そういうわけでもないというの...東響第710定期(5月20日)

  • 東響コンサートオペラ「エレクトラ」(5月14日)

    昨年の「サロメ」に続くジョナサン・ノットと東京交響楽団によるリヒャルト・シュトラウスの演奏会形式オペラ第二弾である。その二日目にあたるサントリー・ホールでの公演を聴いた。外題役エレクトラにクリスティーン・ガーキ、その母クリテムネストラにハンナ・シュヴァルツ、弟オレストにジェームス・アトキンソン、妹クリソテミスにシネイド・キャンベル=ウオレス、母親の不倫相手エギストにフランク・ファン・アーケン、更に実力派日本人勢と二期会合唱団で脇を固めた超華版キャストだ。そしていつものように演出監修には歌手としての名演が懐かしいサー・トーマス・アレンがクレジットされていた。舞台は通常のオーケストラ配置の前に椅子二つがあるだけで、あとは歌手達の演技に任された。演奏の方はとにかく東響音楽監督ノットの極めてテンション高いドライブ...東響コンサートオペラ「エレクトラ」(5月14日)

  • 読響第257回土曜マチネーシリーズ(5月13日)

    この4月から京都市響の常任指揮者に就任した沖澤のどかが、一昨年の10月山田和樹代演に引続いて再度読響に登場した。1曲目はソリストに三浦文彰を迎え、エルガーのバイオリン協奏曲ロ短調作品61という大作だ。エルガーにしては明るめの音色で明快なメリハリで音を紡いでゆく沖澤に対して、三浦のストラディバリの音色は豊かで美しく技巧も申し分ないものの、今ひとつ曲に入り込めずに感情が音楽にのりきれていないように聞こえた。それゆえタダでさえ長い曲が更に冗長に感じられる結果になった。休憩を挟んでワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲とR.シュトラウスの「死と変容」作品24。この二つの曲が間を置かずに続けて演奏され、あたかも「死と変容」が「愛の死」と入れ替わったような具合だった。連結部分は調性的にも音色的にも不自然さを感...読響第257回土曜マチネーシリーズ(5月13日)

  • 東京シティ・フィル第360回定期(5月10日)

    2023年度幕開きのシティ・フィル定期は何とも渋い選曲だ。しかもいづれも祈るように終わる共通点を持つ曲である。そこに込められたメッセージは誠に時節を反映した”平安の希求”ともいうべきものだろう。一曲目はブリテンのシンフォニア・ダ・レクイエム作品20。1970年の大阪万博記念演奏会で、来日直前に急逝したバルビローリの代役を務めたプリッチャード+フィルハーモニア管で聴いて以来、いったい幾度この曲を聴いてきたことだろう。その中で今回の高関建の作る音楽ほどこの曲に「動と静」のめりはりを与えた説得力のある演奏をこれまで聴いたことがない。さらに精緻に研ぎ澄まされたシティ・フィルの演奏が曲の神髄を見事に描き出した。続いては俊英山根一仁の独奏を加えてベルクのバイオリン協奏曲。山根の技巧と繊細な音色がガラス細工のように透明...東京シティ・フィル第360回定期(5月10日)

  • バーミンガム市響定期(5月3日)

    日本のゴールデンウイークに、ロンドンに次ぐ英国第二の都市バーミンガムを訪れたので、何かイベントは無いかなと前日に探していたら偶然に見つけたコンサートである。早速にウェブチケットを押さえて馳せ参じた。何とこの4月から首席指揮者兼芸術顧問となった山田和樹の指揮、そしてソロはベルリン・フィルのコンマス樫本大進である。まさに奇遇な出会いと言って良いだろう。街の中心、立派な公共図書館に隣接するシンフォニー・ホールという会場で開催された水曜日のマチネーである。曲目はブラームスのバイオリン協奏曲とリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェーラザード」という面白い組み合わせだ。(ブラームスは6月末の来日公演にも持って来ることになっているようだ)樫本のソロは滑らかで恰幅の良い音楽で、ことさら重厚を狙うわけでもなく、中庸に構えた...バーミンガム市響定期(5月3日)

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