父が入退院を繰り返しているうちに、いつのまにか春がやってきた。この3か月というもの、あっちに連絡をし、こっちからの連絡を待ち、通院に付き添い、入院のお迎えに行き……と綱渡りの日々を送ったためか、季節感などというものとは無縁。ただ「今日は寒いか、暖いか」だけが関心事であった。まさに「今日1日」。想定外のできごとが重なると、昨日のできごとがはるか昔のように感じられる。父は3月9日の退院以降、急に食がすすまなくなった。入院すると、原因の病気はそこそこ治癒して戻ってくるのに、体力は確実に落ちている。年齢までは治せないのだ。1番の気がかりは、固形物をほとんど食べなくなったことだ。「食べる?」と聞いても「後で」とかえってくるばかりで、その「後で」はずっとやってこない。時たま、喉が渇いたと水を飲むだけである。味には敏感...これってパワーゲームですか。