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2022/05/27

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  • これってパワーゲームですか。

    父が入退院を繰り返しているうちに、いつのまにか春がやってきた。この3か月というもの、あっちに連絡をし、こっちからの連絡を待ち、通院に付き添い、入院のお迎えに行き……と綱渡りの日々を送ったためか、季節感などというものとは無縁。ただ「今日は寒いか、暖いか」だけが関心事であった。まさに「今日1日」。想定外のできごとが重なると、昨日のできごとがはるか昔のように感じられる。父は3月9日の退院以降、急に食がすすまなくなった。入院すると、原因の病気はそこそこ治癒して戻ってくるのに、体力は確実に落ちている。年齢までは治せないのだ。1番の気がかりは、固形物をほとんど食べなくなったことだ。「食べる?」と聞いても「後で」とかえってくるばかりで、その「後で」はずっとやってこない。時たま、喉が渇いたと水を飲むだけである。味には敏感...これってパワーゲームですか。

  • あたりまえではなかった

    父の退院に備え、父本人と、母とともに病院で栄養指導を受けた。母曰く、「わたしは栄養士の資格をもってるんだし。偏食のお父さんは何を言っても食べたくないものは食べないんじゃ」と今さらの指導が気に入らない様子だ。しかし今回は腸の病気だ。五分粥がようやっと食べられるようになってからの退院なので、気をつけなくてはならない。お話によれば、繊維や刺激の多いもの、油っぽいものが避けたい食べ物に加わった。塩分の取り過ぎは心臓によくないと言われたばかりだ。どんどん食べられないものが増えていく。ただでさえ好き嫌いが激しくて食べられるものが少ないのに。しかし偏食のわりには90歳まで生き延びたことを栄養士さんに褒められた。栄養のバランスは大事かもしれないが、長生き体質というのか、寿命というのはかなりの部分、生まれもった体質によるも...あたりまえではなかった

  • ゴールなんてないのです

    3月になった。とはいえ、明日の最高気温は真冬並みと言っている。春の、胸を急にこじあけられるような生温かい風も苦手だが、全身縮こまるようなのも困る。わたしの勤務日数も残すところ、あと数日となった。この期場に及んで、あれもこれも片づけていってね、といった空気がみなぎっている。「猫の手も借りたい」というが、猫の手になりきってあっちからもこっちからも手を引っ張られている。若くない猫なので、おてやわらかにと言いたいが、容赦ない。令和8年度に事務所が移転するのだそうで、その準備で忙しいのだ。ずいぶん前に、今年度限りで閉鎖するという職場にいたことがあるが、それは大変な慌ただしさであった。役所の性質上、3月末日まで業務自体を休止することはできない。引っ越し業者がロッカーやキャビネットにぺたぺた張り紙をして外に持ち出したり...ゴールなんてないのです

  • 緊張感は続かない

    父が再び入院した。今度は腸閉塞である。腸の手術をしたことのある人のかなり高い割合で起こる症状のようだ。父も初めてではない。前日から痛みの波があったようだが、夜中あたりからしつこい痛みに変わった。普段めったなことで「痛い」と言わない父が「痛い」とはっきり言った。救急車を呼ぶ手順も、持っていく手荷物も、手慣れたものになった。午前5時前、119番。空はまだ暗い。赤色灯が、周囲の塀や門、木々を赤々と照らす。ピーポーピーポーという馴染みとなった音を背後に聞きながら、車内で、通報までの経緯を説明する。最後に固形物を食べた時間や、魚を食べたかどうかの質問については、正確に答えられずにどぎまぎとする。搬送先の病院までの道々、道路標識が一瞬赤く照らされては再び暗く陰る。今回は循環器の病気ではないので、何度か受診したことのあ...緊張感は続かない

  • 曜日の確認を繰り返す母

    実家に泊まった翌日、朝食をとっていると母が起きてきて必ずわたしに尋ねる。「今日は何日?」「何曜日?」「月曜日?」「金曜日?」。白髪頭は寝乱れ、寝ぼけ眼である。そのさまたるや鬼気迫るものがあり、単なる曜日確認とは思えない。日付や曜日は新聞で確かめればいいのだが、たいていわたしが読んでいる最中だ。「なんでそんなに曜日や日にちが気になるのだろう」とあまりにも何度も聞かれるので、いいかげんうんざりして、答える声もトゲトゲしてしまう。時には、自分で確認してくれとばかり、答えないこともある。そのたびに、イジワルな自分にうんざりもし、自虐的な快感さえ感じることもある。快感とさえ思える心理状態はよくわからないが、ストレス解消のひとつになっているのだとしたら、それも自虐的なら、あとできっと後悔するだけなのに、と思う。知らな...曜日の確認を繰り返す母

  • 受診も社会生活の一部

    2月6日は、父の受診日であった。心筋梗塞の発作が起きてから2か月。長かったのか短かかったのかよくわからない。とりあえず乗り越えた。90歳という年齢を考えると検査結果がどうあれ、手放しで喜ぶことはできない。病は治せても老化は防げないという当たり前の事実がいつも目の前にぶらさがっている。病院までの往路は、初めて介護タクシーを利用した。民間のタクシーの運転手さんも親切だが、介護専門のタクシーのほうが、手を貸してもらうのに気持ちが楽である。それでいて低料金。需要が多いらしく、ずいぶん前から予約が埋まってしまうということだ。車いすの操作のしかたも少し慣れた。不案内な院内を、車いすを押してやみくもに突き進む感じだったが、余裕ができた。移動時以外は、ブレーキをかけておくというきまりも頭にはいった。たたみ方も覚えた。コン...受診も社会生活の一部

  • 連ドラ再び

    現在放送中のNHK朝ドラも、残すところあと2か月ほど。前作品の重さに比べて、時代も雰囲気も軽めの展開に初めは違和感があったが、気づけば毎回録画して見逃さない。たぶんこうなるよね、心を閉ざしているあの人この人も、おいしい食物の力で、いずれ心を開くよね……というような「お約束ごと」が裏切られないので、見ていて安心である。ややこしい気分になりたくない1日の始まりのアクセントとしては、ちょうどいいかもしれない。さて、日曜日の大河ドラマ「べらぼう」。日本史がもともと苦手。ドラマの背景となる知識に疎いため、たとえ架空とはいえ、史実に基づいたドラマ展開は敷居が高く、この番組枠はずっと敬遠していたのである。しかし今回は、舞台が吉原という庶民の世界。しかも歴史の教科書にも書かれることのなかった裏側ともいえる世界だ。そこでの...連ドラ再び

  • 出会う

    再入院した父が先日退院した。今回の入院はウイルス性の腸炎に伴う脱水症状ということだった。この時期、珍しくない症状らしいが、高齢ともなると、あるあるな症状も「救急搬送」の対象となる。退院の手続きをふんで、病院の食堂で昼食を食べた。父曰く、「やっぱり娑婆の食事はうまいな」と、とんかつ定食をほぼ完食。今回はお腹の症状ということもあり、おかゆ状の食事ばかりだったのだそうだ。看護師さんがあまりにも親切に促すので、食べないとワルイと思って仕方なく食べたらしい。(偏食の患者をもつと、医療関係者も苦労する。)家に帰るためにタクシーを呼び、車いすから父をおろすと、思った以上に足腰が萎えているのに気がついた。あまりにも覚束ないのを見た運転手さんがわざわざ降りてきて、父のからだを支えながら乗車を手伝ってくれた。運転中の会話の中...出会う

  • 右往左往の巻

    再入院のきっかけとなった父の症状は、腸炎とそれに伴う重い脱水ということだった。病院への受け入れを要請してくれた訪問看護師さんに感謝。母と面会に行くと、父は相変わらず家に帰りたがっており、看護師さんに毎日のように圧力?をかけているらしい。今回は心臓疾患ではないので、早めに退院できるようだ。担当医がやってきて言った。「最初は点滴だったのが、最近は口から食べられるようになっていますので(ただし野菜以外)、今日明日にでも退院してもだいじょうぶですよ」。父の野菜嫌いは、この病院では”有名”になってしまったらしい。本人の「帰りたいコール」に圧された部分もあるかもしれない。この病院の専門である循環器系当に異状なければ早く退院してほしいというのも本音だろう。なんといっても90歳だし……。もしかして、最期をこの病院で迎えて...右往左往の巻

  • 初出勤

    昨日は、今年初めての出勤だった。本来なら6日からなのだが、父にまつわるあれやこれやで、先週まで2週間の短期介護休暇を取らせてもらっていたのである。が、いつなにがおきるかわからない、という銃口を向けられているような落ち着かなさは変わらない。あたりまえに出勤できる状況、仕事の算段をたてられる状況というのはありがたいことだったのだな、と思う。とはいえ、長期休暇のあとに出勤する時ほど、気が重いことはない。「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」というセリフをまず事務所にはいるなり、副所長のところに赴いてひと言、そしてその勢いのまま、その場にいる課員の皆さまを見回して同じセリフをひと言……、などと頭の中でシュミレーションする。通勤電車から見る車窓の景色も、イヤホンから流れる曲もうわのそらである。早くその段階に飛び...初出勤

  • 再入院で思うこと

    1月17日。退院して自宅療養中の父がお腹をこわした。もともとお腹の調子が良くない父であるが、ここ2,3日ほとんどなにも食べていない。少し移動するのにも大儀そうだ。本人は受診を嫌がっているが、主観と客観、どちらを優先するべきなのか素人にはわからない。24時間対応の訪問看護師さんが様子を見に来てくれた。血圧が60まで低下しているという。近所の消化器内科クリニックを受診するのが妥当だろうということになった。彼女に介護タクシーを手配してもらったが、配車にはそうとう時間がかかりそうだ。そうかと言って、座位を保つのがやっとな状態で普通のタクシーはむずかしい。折しもインフルエンザの流行中、クリニックは大繁盛の模様だ。そんなところで父を待たせたら、感染症までいただいて帰ってきそうである。結局、看護師さんが、先月まで入院し...再入院で思うこと

  • 記憶にございません

    夕方、宅食業者から食料品が届いた。配達員が驚くほどの大量のモノがドカドカと玄関先に積み上げられる。母曰く「頼んだ覚えがないのに届いた」らしい。ああ。またやられた。覚えていないのだから、母にしてみれば覚えがないものが勝手に届いたように思うのだろうが、ほぼ間違いなく、注文書には書いたのだろう。今回が初めてではない。母に言わせれば、注文もしないものをしょっちゅう届けてくるワルイ会社らしいが、もしもそれが事実なら、悪徳業者として、とっくに告発されているだろう。それにしても今回はすごい量だ。前回は、2ダースのお茶だけで済み返品したが、今回は、5キロのコメふた袋、カルピスソーダ6本、ご飯6パック、野菜ジュース1リットル、果物ジュース1ダース、缶詰3個、プリン6個入り、3連コーヒーゼリー、長持ち豆腐1ダース、冷凍うどん...記憶にございません

  • 車いすは走る

    父の退院2週間後の診察日がやってきた。じっと家に閉じこもった状態が続くと、病院であれ、外出できる用事ができるとどこかホッとする。10時の検査に間に合うよう早めに父を起こしたのはいいが、そのあとひと悶着が起きる。「さっさと用意をさせたい母」と、きちんと時間配分をして行動しているつもりの父との間で“主導権争い”になったのだ。はいて行くズボンひとつとっても父は譲らない。「何を着て行ってもいいじゃないの」と怒鳴る母。そう言われれば言われるほど、父が意固地になり声を荒らげる。彼がこんなに声を荒らげるのは初めてだ。自分の意志を無視されて無理強いされるのを嫌うたちだ。認知症の周辺症状は、こんなことの繰り返しで悪化するのではないか。時間に若干余裕があったので、とりなすつもりでわたしが父の主張するズボンとベルトを取りに和室...車いすは走る

  • 訪問看護再開

    1月4日から1泊2日でひとり住まいの部屋に戻ってきた。解放感半分、後ろめたさ半分。わたし自身が”ショートステイ”させてもらっている感じだ。6日から介護サービスが再開した。待ちに待った平日がやってきた。父の訪問リハビリが再開できるとは、ひと月前は思いもしなかった。もちろん入院中に足腰が衰え、退院後も寝てばかりなので、以前できていた動作も覚束なくなってはいるが。父のリハビリと、母の訪問看護の時間が重なったので、どんより沈んだ部屋の中がいっとき賑わった。リハビリスタッフのアドバイスに父が調子よく、「うん、そうだね」「わかった」と受け答えするのだが、あくまでも”お返事”だけであることはスタッフもお見通し。本人曰く、「返事だけはいいんだよ」とまるでひとごとのようにのたまう。「そういうところは入院前と変わらないなあ」...訪問看護再開

  • どうなることやら🐍の年

    父の入院、退院にまつわるできごとに追われるように12月があっという間に去った。もはや順序だてて思い出すことさえできない。合間にひとり住まいの家に戻り、パソコンに向かい、ここ数日のできごとを日記風に書くことで、気持ちを少しだけ冷静に戻すことができる。わたしのほうが、”ショートステイ”させてもらっている感じだ。大みそかには、父が風呂にはいりたがり、ひと悶着起きた。医者からは、危険だからと止められているのだ。初風呂は、年明けに、訪問看護師さん付き添いのもとでということになっている。「だいじょうぶだから」と頑として自分ではいろうとする父と「危ないじゃないの!何かあったらわたしたちが警察に捕まるのよ!」と叫ぶ母。湯船をつかむ父の手が、からだを支えるのに精いっぱいでプルプル震えているが、それでも彼にしてみれば、「だい...どうなることやら🐍の年

  • ワタクシの前にある介護ベッドとポータブルトイレと……

    25日夜7時。翌日の父の退院に備えて、福祉用具の事業所職員が、介護用ベッドと、ポータブルトイレ、シャワーチェアを届けてくれた。2メートルほどもありそうな背の高い男性と、がっちりタイプの男性である。まずはベッドの位置を決める。居間に据えるか、今までどおり寝室に置くかで検討したが、結局、いっしょに寝起きする母の居心地も考えて、今までどおり寝室に置いてもらうことにした。鉄でできたベッドの枠を、がっしりタイプの男性がひとり黙々と組み立ててくれた。ポータブルトイレはお試し版だそうで、木目調のがっしりタイプ。後輪がついてはいるが、移動させるのにはそうとう重く、場所もとる。それほど狭くない寝室が、これらの用具でいっぱいになる。これまで置いてあったごちゃごちゃしたものすべてを廊下に放り出して、ようやく収まった。病院内での...ワタクシの前にある介護ベッドとポータブルトイレと……

  • 退院に向けて

    19日午後2時から、父の入院している病院の地域連携室主催で、退院後支援についての話し合いが行われた。わたしと母が時間の10分ほど前に到着すると、小さな面談室に案内された。そこへ病棟の看護師さんが来て、「今日はちょっとたくさん来られるようなので……」と言いながら事務机のまわりに椅子を並べ始めた。なんでも、実習生を含めて10人ほどだとか。2時。普段お世話になっている地域包括センターのケアマネさんがふたり来られた。これまでのケアマネさんは今月いっぱいで退職である。新しいケアマネさんを伴ってやってきたのである。「顔見知りの方に来ていいただいて心強いです」と母。確かに、病院ではたくさんのスタッフがローテーションで働いているので、面会のたびに初対面の顔を拝見することになり、心細い思いがしていたのである。そして2時過ぎ...退院に向けて

  • 師走に走る

    12月初めに父が心筋梗塞で入院してから2週間。今日明日の命がどうなるかという段階を乗り越え、どうにか年末には退院のはこびとなった。最近は病院での治療を終えると、できるだけ早く退院へという方向に舵をとるようだ。この時期は例年、アッという間に月日が過ぎるが、今回は毎日が綱渡り、長い長い2週間であった。不在時の荷物の受け取りについて生協に電話をするという些細なことから、父のかかりつけ医との調整、本人との面会、ケアマネさんへの連絡、その合間に週3日とはいえ職場に出勤……と毎日なにかしらしなくてはならないことが沸き起こり、いったい今日が何曜日なのか、混乱するほどであった。勤務時間中にケアマネさんや病院スタッフからの電話を待つのは実に落ち着かなく、拘束時間を不自由に思いもしたが、反面、単純な事務作業を黙々とこなしてい...師走に走る

  • 『劇場版 ドクターX FINAL』

    『劇場版ドクターXFINAL』を観に行く。何か月も前からずっと楽しみにしていたのがようやくこのたび上映の運びとなったのである。ドラマ版は全て録画して見てきたので、登場人物にも懐かしさを覚える。入り組んだ事情や人間関係の脚本のみごとさはいつものことながら感心してしまう。劇場版でも、最後まで大門未知子は失敗しなかった。そして、病に倒れた神原晶ももしかしたら今後、蘇生することもあるかもしれない、という期待をもたせてくれる結末だった。西田敏行演じる蛭間会長が、この心臓移植手術を「隠ぺいするように。わたしはこのオペを見なかった」と言ったのは、病院の利益のためなんかではなく、初めて、大門ドクターをかばうための発言だったのだとわかった。実は父が先日心筋梗塞で入院した。救急搬送が早かったのでステント術を受け、4,5日間I...『劇場版ドクターXFINAL』

  • 謎のマイナ保険証

    かかりつけのクリニックの受付で、マイナ保険証のいわゆる紐づけ登録をしようとすると、「それは自分でアプリから登録しないとダメですよ」と言われた。「薬局でもできないですか」と聞くと、あくまでも自分で登録作業の必要があるという。さらに彼女は続けて、「カードを持っていると資格証を送ってももらえないらしいから、わたしはカードさえ作らないのよ」と言う。ちょっと得意げだ。わたしの不確かな記憶では、マイナンバーカードを作った人は、医療機関に直接行けば、そこで紐づけができてすぐさま保険証として使えると聞いたような気がしたが……。不審ながら、こちらもよくわかっていないので、そういうものかと思いつつ、幸い紙の保険証がまだ有効なので、今回はそちらで受診することができた。そして薬を受け取ろうと薬局に行くと、やはりアプリでの登録が必...謎のマイナ保険証

  • 音楽効果

    腰の精密検査のためにMRI検査を受けた。MRI検査は、遡ること20年ほど前だったか、脳ドックで受けたことがある。筒のような、カプセルのようなものにからだがスーッと入ったと思ったとたん、四方八方から工事中のような騒音が鳴り響いた。さらに密閉容器に閉じ込められたような感じが耐え難く、泣いてもわめいてもこのまま外に出られないのではないかと恐怖でいっぱいだったっけ。15分の長いこと。閉所恐怖症ではないのだが、この症状を持つ人にはとても耐えられないだろうと思われた。喉元過ぎればではないが、そうした思い出も今は昔。ある程度予測がついていればだいじょうぶなのではないかと本日は割と気楽に来院した。更衣室で湿布をはがし、金属製のベルトをはずし、スリッパにはきかえる。なんでもヒートテックの下着も、磁気に反応して発熱するので脱...音楽効果

  • 年賀欠礼に思うこと

    年賀状の季節がやってきた。郵便料金があがったせいで、年賀状終いをする人が増えたらしい。終わないまでも、こちらからは出さないでおいて、先方から来たら出すという“様子見”の人も増えるだろうとのこと。年賀状終い用のスタンプまで売り出された。わたしも数年前に、メールのやりとりをしている人限定で、年賀状終いをしたが、その文面には多いに迷った。スタンプがあったら買わないまでも、その文面を真似っこして多少アレンジして使ったかもしれない。とりあえず、自分の年賀状問題はこれですっきりした。結果、今年出すのは5枚きりである。これに入れ替わって発生したのが、親の年賀状問題である。父は住所録を作り、昔の会社関係、親戚、友人知人と律儀に毎年出している。ここ2,3年、視野が急激に狭くなり、届いた郵便物の文字があまり見えなくなっても、...年賀欠礼に思うこと

  • 本日は宅食なり

    11月の「介護者のつどい」は、趣向を変えて、宅食弁当の試食だった。そのまま召し上がるのではなく、ひと手間加えると、飽きも来ず、栄養のバランスがさらにアップしますよ、というデモンストレーションもある。無料試食会だの、おみやげ付きだのというと、とかく参加者が増えるもの。今回も御多分にもれず、初めてお見かけするかたたちもちらほら……。食事つきデイサービスの管理栄養士さんが講師として招かれて、栄養のバランスと運動の大切さをレクチャーする。その途中で、お弁当を届けに来た配達員が部屋をのぞいて声をかける。すると、レクチャーはもういいから、早く食べたいな~という雰囲気がみなぎる。(わたしがそう思っただけかもしれないけど)。レクチャーのあとは、調理室に移動して、”ひと手間”の実践である。そのまま食べるのでは能がないという...本日は宅食なり

  • プチ・ポイ活

    実家のトースターが壊れたので買いに行く。電化製品売り場は、見て歩くだけでも楽しい。めったに壊れるものではないので、買う機会があまりやってこない。今回は、そのあまりやってこない好機である。来店前はそれなりに楽しみにしていたのに、いざ、ずらりと並んだ製品を目の前にすると、たちまち気が重くなる。ひとつに決めるという作業が苦手なのである。予算の範囲内だけでも、それぞれに特徴がある。「焼ければなんだっていい」と思って軽い気持ちで望んでいるのに、あれもこれも見せられると、何を基準に選べばいいのかわからなくなる。置く場所や持ち運びを考えると、あまり大きくないほうがいい。高齢者ふたり暮らしで、食パン4枚も1度に焼ける必要はない。かといって、コンパクトさ重視のあまり、天板が低過ぎるのも、手を差し入れて焼き具合を調整したとき...プチ・ポイ活

  • ”ポイ活”難民

    実家からの帰りには、隣の駅ナカにあるパン屋さんに寄って朝食をとるのが習慣になった。そのココロは、いつもの店で変わりない朝が始まり、その日1日無事に過ぎますように……というおまじないのようなもの。で、そのおまじないモーニングのあと、予約の美容院に行った。常連だった美容院が閉店になって以来、近所の店をネット検索して通っている。初回だと格安なのだ。(これ、人呼んで、初回狙い、という)。本日は、駅前に新しくできたビルにはいる店舗である。限られたスペースにできた店らしく、急な階段を上り切ったすぐのところに受付がある。今風の華奢な若い女性が、愛想よく出迎えてくれる。そしてアンケート用紙を渡される。ひと昔前までは、(どういうわけか)年齢をさばよんで記入していたものだが、雑談の折に、不便と矛盾が生じることが判明したために...”ポイ活”難民

  • 新旧引継ぎ

    ケアマネさんが、新しいケアマネさんを伴ってやってきた。これまでのケアマネさんはご自身の親御さんの介護で多忙になり、今年いっぱいで退職することになったのだ。思い起こしても残念である。が、仕方のないこと。わたしなどに比べものにならないほど、仕事と介護の両立を、綱渡り状態でこなしてきたかたである。ざっくばらんで、いい意味でおおざっぱで、話しやすい女性だった。利用者が多いためか、最後までわたしの苗字を覚えてくださることなく、電話でも実家の面接でもいつもわたしのことを「娘さん」と呼んでいた。それが少しく残念ではある。彼女にとっては、たくさんいる利用者さんのそのまたキーパーソンに過ぎないのだな、という現実に直面もした。新しいケアマネさんは、わたしよりもひと回り近く年配かもしれない。本日は、初顔合わせということもあり、...新旧引継ぎ

  • 本音は?

    先日、来年度の働き方についての人事面接があったが、結果、非常勤職員として継続したいという申出書を提出した。すると、すぐさま副所長が席までやってきて曰く、「通勤時間が自宅からおおむね45分以内を希望だなんて、選択肢がすごく狭まってしまって、ことによると勤務先は見つからないかもしれないわよ。せめて60分ぐらいに書いてくれないと……」。そうした個人的なやりとりは、通常個室でするものだが、よほど忙しかったのか、それともせっぱつまっていたのか、はたまた敢えて周囲に聞こえるようにしてプレッシャーをかけたかったのか。狭くてシーンと静かなフロアである。皆さんに丸聞こえである。どうやら、職員を推薦する立場としては、是非とも再就職を成功させねばメンツがたたないのかもしれない。しかしわたしとしては、無理して通勤時間の希望枠を広...本音は?

  • 来し方行く末

    実家では、宅食便で食料を調達している。1週間先のお届けになっているせいか、「頼まないものが届いた」という母の発言が増えた。注文時と受取時の気が変わるのだろうか。加えて、単位がケース単位であるのを確認しないものだから、麦茶が1ケース、ドーンと届いてあたふたすることになる。そのたびに返品をしていたらたまらない。そこでわたしが電話で注文をして、〇日に届く商品の名前を書いて冷蔵庫に貼っておくことにした。自分で注文する楽しみを奪ってしまったようで気の毒でもあるが、しかたがない。こんなふうに、もの忘れを補うために、壁や冷蔵庫に大きな字で貼っておくメモが最近増えた。父に付き添って眼科に行くと、眼底・眼圧検査、網膜検査の結果、かなり視野が狭まってほとんど「真っ黒」だと言われた。出せる目薬はすでに処方済み、緑内障に加えて視...来し方行く末

  • 朝ドラだもの

    今月から始まった朝ドラ『おむすび』は、ネット情報によると不評である。年配の視聴者には、いきなりのギャル登場が受け入れ難いのだろう。自分と同じ栄養士の話と聞いて当初楽しみにしていた母も、このギャルの登場に抵抗を覚え、最近は見ていないようだ。初の朝ドラ離れである。わたしはというと、相変わらず、録画をして見ている。前回の『虎に翼』に比べれば軽いが、そうした重みは、北村有起哉さんの高校生姿で、すでに諦めた。ギャルという珍しい存在も、このように改めて目のあたりにすると新鮮である。父と娘、祖父と父の確執などなにやら思わせぶりなのも、遠からず明らかにされて溶けていくのだろうな、というのも想像できる。(だって朝ドラだもの)。幼馴染や野球部のヒーロー、書道部の部長……ヒロインに今後絡んでいくと思われる男性陣が早くも3人登場...朝ドラだもの

  • 「今日の日中はひんやりしそうです」という天気予報士のセリフを聞いて、ホッとする。寒いなら寒いで外に出たくないが、体力全部むしり取られるような暑さはもう御免である。先週の金曜日、両親の床屋に付き添った。駅前の格安な床屋である。父はひと月に1度ほどマメに通っている。ポヤポヤと生えている程度なのだから、通う間隔をもう少しあけてもいいのではないかと思うが、短いなら短いなりに、少ないなら少ないなりに、耳回りのボサボサ感が気になるらしい。カットだけではなく、シェービングや洗髪をしてもらったりすると、気持ちもさっぱりするようだ。母はここのところカットだけなので、前髪がほぼ真っ白である。自分の目に見える部分がことさら白いので、黒い布帽子をかぶって隠している。「誰に会うわけでもないんだから、別にいいんだけど」と言いつつ、内...杖

  • 健康診断

    年に1度の健康診断がやってきた。職場が契約した団体主催のために、会場は家から1時間以上かかる。朝8時、早めに家を出る。途中のターミナル駅、西と東を結ぶ連絡通路は、右から左、左から右へと人が行き交う。朝の通勤時間帯だ。皆さん、やけに猛スピードで、前から斜めからこちらに向かって突進してくるように感じられる。以前だったら無意識のうちに微妙にからだをずらして、それなりに流れに乗っていけていたのだろうが、最近では、そうした調整ができにくくなっている。我が道を行くとばかりにまっすぐ歩を進めるために、先方がよけることになる。「チェッ」と舌打ちが聞こえそうだ。いつものことながら、会場には早めに着いた。おそろいの、くたびれきった洗いざらしの検査着に着替えて、待合室に腰かける。ズボンのゴムがゆるゆるで、ずりおちるのではないか...健康診断

  • 大事なものそれは

    来年度の働き方について面接があった。週3日の非常勤勤務が始まったのがつい最近のように思われるのに、もう折り返しにはいったのだ。昨年度の面接がつい最近のように感じられる。わたしたちは、定年が延長される最初の年代だった。同じ職場で延長を選んだ人はひとり。いったん退職して非常勤の再任用になったのはわたしひとり。部署こそ違うが、現役時代と同じ職場だったために、馴染んだ環境、見慣れた景色に囲まれて、特段、喪失感もなく、退職したことを強く実感することなく過ぎた半年だった。60歳をゴールと決め、「あと1年なんて絶対、無理、無理」と思っていたのに、成り行きと勢いに押されて、週3日勤務で継続となり、職責が格段に軽くなったために、なんとか過ごすことができた。さて、来年はどうするか。体力気力はすでに枯渇している。実家と自分の家...大事なものそれは

  • 一泊二日でわかったこと

    リハビリに特化したデイサービスを見学した。3時間の半日コースである。1日のデイサービスでは待ち時間が多く、両親曰く、「座ってばかりでお尻が痛くなった」そうだ。彼らふたりが利用するのを前提に、2枠空いているところをケアマネさんにみつくろってもらい、見学のはこびとなった。サービスの利用についてあくせくするたびに、いったい誰のためのなんのための利用かわからなくなることがある。衰弱に向かう命の、自然の流れに抵抗しようとしているだけのような気がする。現在の訪問リハと訪問看護で落ち着いているところにわざわざ石を投げてかき混ぜようとしているような不安がある。そうした気持ちを抱きながらの見学であった。サービスの事業所は、駅近く、比較的交通量の多い場所にある。利用者さんのお迎えを終えた車がわたしたち3人を迎えにきてくれた。...一泊二日でわかったこと

  • 綱渡り

    部屋の蛍光灯が切れた。本来なら自分で取りかえなくてはいけないのだが、なにぶん背が低く届かない。大家さんに作業をお願いしている。仕事の隙間をぬって依頼の電話をかけようとしていたら、ケアマネさんから電話がはいった。先日両親がデイケア見学をしたその様子伺いである。「待ち時間も多くてずーっと座りっぱなしだったのでお尻が痛くなったらしいです」とわたし。「そうでしょう、あそこは1日いるだけでご両親様、疲れちゃうかもしれません」と彼女。「半日ぐらいのほうがいいと本人たちは言っているんですが、栄養も足りてないので食事つきのデイがいいかと……」とわたし。先日の介護者のつどいで、「半日デイサービス食事つき」の情報を仕入れてきたばかりだ。食事つき、とか、半日コースとか言っているうちに、なんだか旅行かなんかの打ち合わせをしている...綱渡り

  • デイサービス体験

    通所介護施設のデイサービスを両親が体験利用した。10時から15時半までの1日コースである。わたしが午後から見学に行くとちょうど自由時間だった。利用者数35人以上の大所帯の割には静かな空気が漂っており、スタッフが忙しそうに動き回っている。利用者さんはいくつものテーブルに分かれて湯呑を片手に座っている。主任スタッフ氏が、両親のいるテーブルまでわざわざ案内してくれたが、なんとなく照れくさい。父は新聞を広げ、母は色鉛筆片手にぬり絵をしている。たくさんの高齢者の中の両親、という身慣れない光景が新鮮で面食らう。週に1度の訪問看護もぬり絵が多い。ぬり絵は介護サービスの「定番」らしい。昼食はすでに終わっていた。ちなみにメニューは鶏きのこのあんかけ、ちくわのきんぴら、なます、わかめたっぷりの味噌汁で、偏食の父には予想通り食...デイサービス体験

  • 百閒さん

    内田百閒の日記帖を読み始めてずいぶん経つ。毎日毎日実に詳しく、今日の天気や起きた時間、何をしたかどこへ誰と行ったか、何時に就寝したかを綴っている。とりたてて代わり映えがしない日常だが、読んでいて飽きない。百閒さん30代前半の頃の話だが、士官学校と機関学校の先生を委託されており、人並み以上の収入を得ていながら、妻や子供たち、祖母、母を養うのにそうとうお金の算段に苦労している様子が、伝わってくる。あっちから借りたお金を返すために、こっちから借りようと奔走の毎日を過ごす日々。写真を見ると、いかにも孤高を保った風貌だが、実際にはそうではない。毎日連れ立って飲み歩く友達、お金を貸してくれる知人が何人かいる。そして借りる相手も、自分と同じく貧乏だ。同類ならば、こちらの気持ちがわかってくれるだろうということだろうか。知...百閒さん

  • 気のせい!?

    長年お世話になっている医師のグループカウンセリングに参加した。7月の個人面接以来、2か月ぶりである。気がかりなことがなにひとつ解決しないうちに、次の気がかりが発生する。集まったのは10人ばかり。それぞれ抱える問題や課題を順繰りに話す。それらに対して先生がコメントをする。参加者は原則、言いっぱなし聞きっぱなしである。つきあいが長いと自然、顔見知りができる。そのために、顔ぶれによっては、話しづらいなあと感じることもある。どういうわけかそう思っている相手とは偶然隣同士の席になることも多い。今回のわたしのテーマは腰痛。整形外科の集まりではないが、夏樹静子さんの『椅子がこわい』という本ひとつとってみても、腰の痛みは、心理的なこととは無縁ではないという説も多い。自分でもおおいに心当たりがある。「自転車や電車に乗ってい...気のせい!?

  • マイナカードの憂うつ

    医療機関や薬局の窓口で「マイナンバーカードはお持ちですか?」と聞かれることが多くなった。マイナンバーカードを保険証として利用するための準備が着々と進んでいる。職場からも、おススメの通知が届いた。カード1枚あれば、情報が一元化されて便利になるのだそうだが、そのありがたみがよくわからない。ネットで調べてみたら、あれも便利、これもできる、といいとこばかりが記載されているが、その裏で起こるであろう不具合や不便さについては不明だ。誰にとっての便利さなのかがピンとこない。保険証を出して診察を受けたり、薬を受け取ったりするのに、これまで全く不便を感じなかったのである。ゆくゆくは運転免許証もこのカードと一体化するらしい。転居による住所変更が警察署に行かなくても可能であること、更新手数料が「マイナ免許証」のほうがお安いとい...マイナカードの憂うつ

  • 明治から令和へ

    大相撲中継を見ていたら、マスクをしている人はほんのわずかだ。あの騒ぎはなんだったのだろうという感じだ。かといって消滅したわけでもなく、この時期は、熱中症との区別がつかず、診断に手間取るのだとか。電車の前の座席にずらりと居並ぶ面々も、ほとんどがマスク無しである。この暑さの中、感染予防のためのマスクで熱中症になっては元も子もない。皆さん、下を向いてスマホを凝視している。これはコロナ禍前から変わらない。今、明治生まれの作家の書いた日記を読んでいる。当時もインフルエンザ、いわゆるスペイン風邪が大流行して、日々、その心配をしながら暮らしていた様子がわかる。家族が発熱すると、医者を呼びに走ったり、毎日熱をはかったり、脈をとったりと、落ち着かなく過ごしていたようだ。情報も限られていただろうから、近所の町医者と、患者の体...明治から令和へ

  • 大捕り物帖

    先週、実家の2階トイレ付近に、10センチはあろうかというほどの大クモが現れた。足腰も太く、ヒトデほどのボリュームがある。「わ!クモ」というわたしの叫びに驚いたヤツが、開いていたトイレのドアから中にはいったのを見計らい、ドアを閉め、ヤツを閉じ込めた。そこまではいいが、以来、そのトイレが使えなくなった。さてどうしたものか。バルサンを焚いて中に差し込むか。ともかく折を見てどうにかしなくてはならない――。1週間ぶりにそのトイレの前を通るとなんと、ドアが半開きになっている。古い木造住宅のこと、建付けが緩くなり、風圧かなんかで開いたのだろう。果たしてクモは、そのまま中にいるのか、それとも脱出したのか。中を覗いて確認する勇気はない。不気味な気持ちをひきずったまま迎えた夜、食後なにげなく足元を見ると、黒いかたまりがススス...大捕り物帖

  • みんないいヒト

    平日午後12時半からのNHK朝ドラ『ちゅらさん』を録画している。2001年に放送されていたものの再放送である。堺正章さんやキャンディーズの田中好子さんなど、顔ぶれも懐かしい。ヒロイン恵理と文也が東京で出会い、結婚し、家庭を持ち、そしてそろそろ大団円を迎えそうである。この展開は、朝ドラの中の朝ドラ。おしまいには、すべての葛藤や仲たがいが解決されて、よかったね、となる。伯母は、「あんなにみんながうまくいくはずはない」と文句を言いつつ、それでも見ているらしい。姑と嫁、義理の親子、実の親子……。どんなに初めはもめていても、そのうちわかり合えるよね、朝ドラだもの、というような期待をもっている。朝ドラというくらいだから、キホン、1日の初めに見るのである。せめてドラマの中だけでも安心していたいのである。さて、再放送では...みんないいヒト

  • 早くも……

    実家に台風見舞いの電話をする。するとついでのように母曰く、「火曜日の〇〇さん、8月いっぱいでおしまいにしてもらうように、△△さんに電話しておいたわ」。〇〇さんとは、母を毎週火曜日に訪問してくれている看護師、△△さんはケアマネである。訪問看護ステーションの管理者、〇〇看護師、そしてケアマネさんが実家に勢ぞろいして、訪問看護の契約書を取り交わしたのは7月。母の体調に不安があったために、安否確認を兼ねて、わたしが依頼したのである。契約の説明中、母も、「そうね、そうね」と乗り気なお返事をしていたが、あとになって「何が始まるの」「何をしてくれるの」と、実は訪問看護について理解していなかったことがわかった。実際、訪問看護の時間は、バイタルチェック、脳トレや折り紙、軽いストレッチ、残りは専ら母のおしゃべりで過ぎるようで...早くも……

  • 椅子がきた

    台風接近による気圧低下のためか、何もしないのに(しないからか)、朝から腰が痛む。低気圧で頭が痛くなる現象を「台風頭痛」というらしいが、「台風腰痛」というのもあるかもしれない。「今日はお天気が悪いから神経痛が出てねえ」という高齢女性のセリフを、ドラマかなんかで見たような気がする。先日購入した椅子が届いた。11時から13時までにお届けします、と昨日ショートメールが届いた。台風接近の最中、到着が遅れるのではないかと思ったが、図ったように、11時2分ごろにインターホンが鳴った。(11時になるまでこの土砂降りの中、時間調整していたのではないかというほどのタイミングである)。あらかじめ組み立てまでをお願いしていたので、椅子の形を成した状態で狭い玄関先にそれは運び込まれた。梱包のビニールはびしょ濡れだが、しっかりと包ま...椅子がきた

  • 百閒先生ふたたび

    台風がうじうじといつまでも進まないので、天気図を見るたびにじれてしまう。後ろから背中を押したくなる。どっちに進むのかまだ決めていないらしい。このたびの台風はそうとう優柔不断なようだ。悶々と天気予報とにらめっこしていてもどうなるものでもなく、突如の大雨で電車が止まっても困るのでそれを言い訳に1日家にこもって本を読んで過ごした。内田百閒の『百鬼園戦後日記』を。百鬼園先生の作品に初めて出会ったのは『御馳走帖』だっただろうか。なにげなく書店で見つけて立ち読みして、買った。作家との出会いは不思議。誰かから勧められたというのでもなく、書店でなんとなく手に取って心惹かれて……というのが多い。きっかけについて記憶にも残らない。その時々のマイブームというのがあり、そのまま2冊目、3冊目と買い求め、ひととおり読み終わるとブー...百閒先生ふたたび

  • 夏の1日

    行きつけの美容院が閉店になったので、口コミの評判が良く、値段も安め、駅から近いという店を発見して行ってみた。駅前の新しくできたビルの中、階段を上った突き当りの店である。エレベーターに慣れていたのか、2階の階段がきつく感じられる。店の中には10席ほどあり、お客さんが老若男女合わせて6,7人ほど。それぞれにスタッフがついている。客層が若いので、少しいたたまれない。待っている間、あたりをきょろきょろ見回し、初めての客の雰囲気全開。今まで通っていた店が、ひとりかふたりのこじんまりとしたところだったせいか、賑やかに感じられる。真ん中の席に案内される。担当は若い女性である。初対面の挨拶がてら名前を教えてもらったが忘れてしまった。カラーの色だの、「前髪を切り過ぎないで」だの「髪の毛の量が多いうしろはボリュームをおさえて...夏の1日

  • たかが爪、されど爪

    父の両手の指が伸びている。訪問リハビリのスタッフがくると、「〇〇さん、爪が伸びてますねえ」と指摘するのだが、そのたびに父曰く、「うん。今日切ろうと思っている」。が、一向に切ろうとしない。もちろん家族にも切らせない。「身を切られそうで危なっかしい」のだとか。確かに以前、足の指を切ってあげたら、他人の爪は切りづらいことがわかった。だったら自分で切ればいいものを、「そのうちに切る」という身のない返事ばかりが返ってくるだけである。先日、訪問リハのスタッフに、「看護師さんに爪切りをお願いすることはできますか」と尋ねると、なんでも「爪切り」は医療行為なので、それをお願いするとなると、また別個に主治医の指示書が必要となるのだそうだ。現在、3か月に1度ほど来てくれる看護師は、あくまでも体調の聞き取りのために訪問するのであ...たかが爪、されど爪

  • ”あるある”な話

    「介護者のつどい」に参加した。先月は自分の居住地近くの地域包括センター主催のつどいに、今回は、両親のケアをお願いしている包括センター主催のつどいに参加してみた。長く住んでいた地域なので甘く見ていたらしく、駅を降りたとたん道に迷った。上り坂を無駄に歩くこと10分ほど。冗談ではなく、熱中症になるかと思った。駅に引き返してイオン飲料をがぶ飲みして体調を復活させてから再びセンターに向かう。ようやく着いたものの、今度は入口の場所がわからず、建物のまわりをぐるぐるまわったときなんか、もうこのまま帰ろうかと思った。で、ようやくたどり着いたつどいの場。前髪は汗で顔に張り付き、マスクの中はぐっしょり、メガネは熱気で曇り、必死の形相だったかもしれない。担当のスタッフは、以前、介護認定の契約の時にお世話になった男性だった。こう...”あるある”な話

  • 椅子と新札

    椅子を買いに行った。わたしの部屋には、椅子がない。1DKの部屋のこと、椅子なんぞ置いたら狭い空間がさらに狭く、足の踏み場がなくなりそうだからだ。食事は文机に置いて座布団に座って済ます。パソコンデスク用の椅子は、ベッドに腰かけて代用していた。が、ものの本や医師によると、腰痛にとっては、床に座るよりも椅子のほうがいいらしい。座面に深く腰かけて、背もたれに軽くもたれる感じが腰に負担をかけないとか。床座りでも、正座やあぐらなら悪くないらしいが、わたしはどちらも苦手。特に内またの人間は、あぐらが苦手どころか、全く不可能なのである。背に腹はかえられない。猛暑に足がすくんだが、電車に乗ってディスカウント家具屋に出かけたのである。お盆休みでさぞかし込み合っているかと思いきや、朝早い時間帯のせいか、意外にすいている。展示し...椅子と新札

  • 訪問看護その後

    8月。母の訪問看護が始まってひと月ほど経った。ことの発端は遡ること6月、それはエコー検査の日だった。夕食後、母が口をぽかんと開けたまま生あくびを繰り返している。「目の前が真っ暗になった」と言う口振りはろれつがまわらない。「これは絶対救急車でしょ!」と思ったものの、母は「救急車は呼ばんでいい」を繰り返している。様子を見ているうちに元に戻ったためその日は何事もなく終わったのだが、その様子に恐れをなしたわたしは、医師とも相談、安否確認と体調管理のためにケアマネさんに訪問看護の調整を依頼したのである。ケアマネさん曰く、「エコー検査のために食事を控えたりすると、時々そういうことがあるようですよ」。さすが、多くの事例を見聞きしている。全てが初体験のわたしは、何かおきるたびにおたおたする。様子見で構わないことと、急な対...訪問看護その後

  • はて?

    オリンピックのウェイトリフティングやスポーツクライミングの競技を見ると、ついつい「あんなに重いもの持って……」「足がめちゃくちゃ広がっているわねえ。可動域広くてうらやましい!」などと、腰に注目してしまう。というのも、数年来から徐々に痛み始めた腰の治療のために整形外科を受診したからである。「すべり症」と言われたのが数年前。その時から生活習慣を改めればよかったのだが、重い荷物を持ったり中腰で作業したりと、からだをいたわらなかったことを今さらながら悔いる。そういえば「腰」という字は月ヘンに「要」と書くではないの。その重要性に無頓着だった自分のうかつさに気がつく。一説によれば、内また・そり腰がすべり症の原因のひとつでもあるそうで、そういえば、子供のころからバリバリの内また・反り腰だったことに思いがいたる。「腰痛」...はて?

  • 逆上がり

    パリオリンピックも後半に差しかかった。テレビをつけると、メダルをかけた戦いが今まさに始まろうとしている場面にでくわすことがあり、そのまま結果が出るまで見続けてしまう。オリンピックにあやかったのか、小学校時代の体育の話に花が咲いている番組があった。出演していたゲスト曰く、「逆上がり、あれはなにかの役に立つんでしょうかね」そういえば、逆上がりは、「できるようになるまで何度も挑戦するべき課題」という位置づけにあった。今でも、スポーツの専門家が、逆上がりのできない子供に付き添ってみっちり指導する番組まである。くるりと回ったその瞬間をスローモーションで回想したりして、「たかが逆上がりなのに……」と思わないでもない。わたしは運動神経が鈍く、陸上、球技、水泳……ことごとく苦手だったが、遊び半分に馴染んでいたためか、鉄棒...逆上がり

  • 始まりました、パリ五輪

    パリオリンピックの開会式。さすがに夜中の2時過ぎに起きている元気はなかったので録画をして朝がた見た。段々空が暗くなっていく様子、最初は雨が降っていなかったのに雨音が聞こえるほどに雨量が増えていく様子など、外での開会ならでは。聖火を持った人が縦横無尽に走り回るので、彼とともに周囲の景色も変わり、いっしょにパリ市内を観光しているような気分にもなる。参加者はずぶ濡れになりながらも笑みを絶やさず、跳んだり跳ねたり歌ったりしているので、こちらは雨が降っていることを忘れるほど。よくよく見てみれば、髪の毛はぐっしょりと濡れ、ピアノもずぶぬれである。聖火の火が消えなかったのは不思議である。各国の選手団は船に乗っての入場である。(「入場」という言い方も、会場が固定されていないので少し違うかもしれないが)。小さなゴムボートが...始まりました、パリ五輪

  • 気づけば「介護者」になっていた。

    「介護者のつどい」なるものに初めて参加した。各地区の地域包括センターで月に1度程度実施されている。センターの職員がファシリテーターを務め、集まったかたたちが日々、介護していくうえでの困りごとや悩みをフリートークで話をする。医師が同席しており専門的な立場から助言したり、経験者がアドバイスしたりということもある。その日の参加者は男性3人、女性はわたしも含めて3人。登録している人は10人前後らしいが、家の事情などで参加できない人もいるらしい。その日わたしが、両親の状況や自分の立場などを自己紹介がてら話すと、ファシリテーターの職員が、馴染めるようにと気を使って話を振ってくださり、参加者のかたたちからはそれぞれの立場に基づいて感想や助言が返ってきた。皆さん、現在は配偶者の介護をしており、お年も60歳代から90歳まで...気づけば「介護者」になっていた。

  • いつ終わることやら

    非常勤職員として再就職してから約4か月。現在は、「災害時マニュアル」の改訂作業をしている。災害が起きたときの対応について、その手順や連絡先などが書かれたマニュアルである。どこから手をつけていいのかわからずに、ほぼ10年近く放っておかれたものらしい。いつ起きるかわからない災害よりも、目の前の用務が優先されるのである。実際に災害が起きたときに、この分厚いマニュアルをいちいち読んでいる暇や余裕があるかはともかくとして、あったほうが気持ちの拠り所にはなる。なにしろ、職場は陸の孤島のような場所にある。電車やバスがストップしてしまったら、頼みの綱は手持ちの防災倉庫、近隣の医療機関や、商店の類だろうから。この作業を、わたしのような週3日程度のお手伝い勤務の人間に任せるのは、業務量的にもぴったりだと踏んだようだ。さて、軽...いつ終わることやら

  • 再びマインドフル

    NHKの番組『あしたが変わるトリセツショー』を見る。以前この番組で、まぶたを5秒ほど温かいお湯でぴちゃぴちゃやるだけで目が潤うというのを教わり試したところ、目がすっきりとした。以来、興味のあるテーマの時に見ている。今回のテーマは「さらば!イライラ不安「新・めい想」」だった。新・めい想とは、近頃はやりのマインドフルネスである。めい想というと宗教っぽくて抵抗がある人もいるようだが、今や、企業や医療関係機関でも取り入れている手法らしい。わたしもかつて、関係の本を何冊も買って何度も挑戦した。それなのに、どういうわけか途中で挫折してしまう。雑念が湧くのはしかたがないらしいが、「今、ここ」に戻ってくるのが苦手なのだ。ついつい、先々の不安や考えに引っ張られてしまう。その方が自分にとっての「自然」なのだ。自分には向いてい...再びマインドフル

  • 訪問看護

    ケアマネさんと、訪問看護ステーションの管理者、担当看護師が実家の居間に集合した。母に対する訪問看護契約を結ぶことになっているのだ。時間的に、父の訪問リハとの入れ違いだったために、帰りがけのリハスタッフも入り混じって、部屋の中が一時騒然とした。管理者は男性看護師で、髪の毛を後ろに結んでいる。担当看護師はメガネをかけ、髪の毛を短く切りそろえた若い女性だ。偏見であるが、髪の毛を伸ばして後ろで結んだ男性に、「軽い」イメージを抱いてしまう自分がいる。初対面の挨拶のあと、名刺が渡される。母の体調の聞き取りにはいる。母のとりとめのない話が一段落ついたところで、わたしが最近の母の様子を要約して話し始めると、訪看管理者と担当看護師が一斉にメモを取り始める。脳梗塞の後遺症や、体重減少の話、ろれつがまわらなかったエピソードなど...訪問看護

  • 映画『九十歳。何がめでたい』

    映画『九十歳。何がめでたい』を観に行く。平日の昼間ということもあるが、ざっと見渡したところ、(ワタシも含めて)シニア料金対象の観客が多い。佐藤愛子さんの書かれた同名エッセイを、御年90歳の女優草笛光子さんが、愛子さんに扮して演じる話だ。エッセイを書くにいたった経緯を、唐沢寿明演じる編集者とのからみで描いていく。寝起きの白髪頭をそのままに「今さらどこにいくわけでもないのに」と美容院に行くのもためらい、人に会いたくない、どこにも行きたくない、何もやりたくない、と億劫がる姿は、実家の高齢親の姿と重なる。60歳を超えたわたしも、数年前までは、難なく腰が上がった行動や動作も今では考えるだけで億劫でげんなりとしてしまうことが増えた。ましてや90歳超えとなれば、それは想像すらできない。若い時にはさわやかさを絵に描いたよ...映画『九十歳。何がめでたい』

  • 朝ドラふたたび

    東京都知事選もあと1週間。候補者50人以上、経歴紹介を見ているだけでも時間が延々と過ぎて、誰が誰だかとても覚えていられるものではない。奇をてらった登場のしかたや主張も次から次へと続けば、もはや珍しくもない。それでも、今度はどんな人が出てくるんだろう、と興味が湧いて、つい見てしまう。しかしその中身たるや、都のボスを決めるものとはいいがたいものも多い。たぶん、あのおふたりの戦いになるのだろうな、と予測しながら、彼女たちを盛り立てる余興のように思えてしまう。「NHKにもの申す」の候補者たちも、当のNHKの政見放送に出演しているというおかしな具合になっている。さてNHKといえば、朝ドラ『虎に翼』も折り返し地点にさしかかった。毎回録画して見ているのだが、何度も繰り返して見てしまう場面がある。寅子の学校時代の友人梅子...朝ドラふたたび

  • 値上げ

    郵便料金が10月より値上げするらしい。単価は安いが、上げ幅はかなりなもの。ハガキが85円とは、いっきに今までの封書並みである。需要の落ち込みによるものだそうだが、これでは益々「郵便離れ」が進んで、かえって逆効果かもしれない。年賀状もしかり。数年前に年賀状仕舞いをしたものの、一部の親戚には送り続けていた。しかしこうなってくるとそれもおぼつかなくなる。あの人には出すか出すまいか、数枚の年賀状を前に、相手を値踏みしているような気分になりそうで、そして毎年来ていたものが来年度から急にこなくなると、相手からも値踏みされたような、ぎすぎすした心持になりそうでもある。値上げ

  • 映画

    退職したら好きな本を思い存分読んで、俳句の教本もまた初めから読み直して独学するぞ!といきまいていたものの、いざ時間ができても、目の力・集中力・持続力が気持ちに追いついていかない。目薬をさし、目を休めながらでも午前中の3時間ほどがいいとこ。かえって時間が限られているほうが、集中力が増すようでもある。2時間もののDVDをぶっ続けで視聴するのも、かなりハードルが高くなってきた。日本映画ならまだいい。外国ものだと、登場人物(特に男性)の見分けがつかない。名前の違いがわからない。よって、初めの15分ほどは、わけがからないうちに過ぎてしまう。ようやく話についていけるようになってくると、最初のあの場面に何か意味があったのだろうかと気になって巻き戻して観るものだから、時間がよけいにかかる。最近では、それがわかるものだから...映画

  • 閉店なり

    美容院に行く。カラーをしながらスタッフさん、言いにくそうに小声で曰く「実は7月いっぱいで閉店することになりまして……」本店のスタッフが足りなくなったので、ここを閉めてそちらに移るように要請があったそうだ。彼女たちにしても、それを知ったのが5月の連休頃らしい。「あまりに突然で……。お客さんにご挨拶のお知らせを送るのにてんやわんやなんですよお。こうしてお会いしてお知らせできてよかったです」と彼女。行きつけの店というのは、これからもずっと続いていくものだと思っていた。そこにはなんの根拠もない。ないのだから、こうした突然のできごと(っておおげさだが)は当然起きる。そして少なからず動揺する。いつもそうだ。美容院に限らず、かかりつけのクリニックや飲食店もしかり。彼女に付いて本店に行くお客さんもいるらしい。さて、どうす...閉店なり

  • 視野検査

    半年に1度の視野検査を受けた。痛くもかゆくもないが、緊張する検査である。1点を見つめたまま、周囲に白い光が見えたら手元のボタンを素早く押す、という理屈は簡単なものではある。が、白い光につい焦点がひきずられてしまう。なにより問題なのは、「あ、見えた」と思った瞬間、すぐさま手が動かずに押しそびれてしまうことがままあることだ。そうした誤差も考えて作られている検査だそうだが、「さっき、見えてたのに……」という思いをひきずってしまい、つい、次の光に対する反応まで鈍くなる。もぐらたたき、あるいは瞬発力をみる検査のようにも感じられる。聴力検査もしかり。ぴ、ぴ、ぴ、という音が聞こえたら手元のボタンを押すのだが、「ん?今のは」と思っているうちに音が途絶える。結果は異常なし。まあ、それがわかればひとまず安心だが、もう少し認知...視野検査

  • 朝ドラ

    午前8時から放送しているNHKの朝ドラ「寅に翼」と午後から放送の「ちゅらさん」を録画して見るのが習慣となった。いずれも途中からのエントリーだが、見ていると、それなりに筋が追えるようになってきた。「寅に翼」の主人公、伊藤沙莉さんは、テレビドラマ「女王の教室」で小学生役として出演していた。雰囲気やハスキーな声質は当時と変わらないが、あの時の小学生がもうこんなに大きくなったのね、と思う。石田ゆり子さんもしかり。はかなげな雰囲気はそのままに、お母さん役として登場するようになったことを思えば、こちらも年を取るはずである。描く時代が時代なら避けて通れないが、ドラマの最中に太平洋戦争がはいると、とたんに悲劇じみてくる。ある日突然、召集令状をもって玄関先に立つ男性。そのあとは、皆が家の前に並んで「ばんざーい」と叫ぶ。そう...朝ドラ

  • 朝ドラ

    午前8時から放送している「寅に翼」と午後から放送の「ちゅらさん」を録画して見るのが習慣となった。いずれも途中からのエントリーだが、見ていると、それなりに筋が追えるようになってきた。「寅に翼」の主人公、伊藤沙莉さんは、テレビドラマ「女王の教室」で小学生役として出演していた。当時と雰囲気やハスキーな声質は変わらないが、あの時の小学生がもうこんなに大きくなったのね、と思う。石田ゆり子さんもしかり。こんなに大きな娘さんを持つお母さん役として登場するようになったことを思えば、こちらも年を取るはずである。描く時代が時代なら避けて通れないできごとだが、ドラマの最中に太平洋戦争がはいると、とたんに辛気臭くなる。ある日突然、召集令状をもって玄関先に立つ男性。そのあとは、皆が家の前に並んで「ばんざーい」と叫ぶ。そういう光景が...朝ドラ

  • いざ鎌倉へ

    鎌倉へ行く。何か用事があったわけではないのだが、敢えていえば散歩。仕事にも慣れて、暖かくなったらいずれ……と思っていたらもうすでに夏も間近。いつでも行けると思っていると、なかなか腰があがらないのである。外の景色をぼおっと見ながら(時々考え事をしつつ)乗り物に乗るのが好きである。今日は40分ほどのバスの旅。着いたら、駅前すぐ左側にあるコーヒショップでモーニングセットを注文。薄焼きのトーストがとてもおいしい。トーストはシンプルだが(シンプル過ぎて)、これはおいしい!と思う店が意外に少ないように思う。平日とあってバスは空いていたが、鎌倉の町は修学旅行生や外国人の旅行者でぎっしり。修学旅行生をターゲットにしたと思われる食べ歩き専用の露店がそこかしこに出店している。中には、ひとつ600円以上のおまんじゅうまである(...いざ鎌倉へ

  • 倉庫整理

    近い将来、事務所が移転するということで、閉所に向けて少しずつ動き出している。新しい事務所内の配置の打ち合わせや、市役所との調整、現在ある物品の整理などなど。末端のわたしが受け持つのはもっぱら、不要物品や書物の廃棄である。昭和や平成の時代に発行された資料や年報などが、誰にも顧みられないまま、ただ並べられて、書棚はほぼ満杯状態である。昭和38年、40年発行などという年代ものもある。横浜博覧会の実行委員会が作成した冊子はずっしりと持ち重りがする。当時の写真や苦労話などが掲載されており、相当費用がかかったのだろうなあというような代物でもある。平成、というとつい最近のような気がするが、元年はすでに30年以上も前である。たまに、資料を職員に回覧した用紙がくっついたままになっていることがある。そこには、わたしが20年前...倉庫整理

  • マスクの話題再び

    大型連休後半。週3日勤務でもやはり休みはうれしい。とはいえ、どこもかしこも込み合っているご様子。近所に散歩に出てみると、ほとんどの人がマスク無しである。職場でも、新年度からマスクが「任意」となった。昨年度までは医療機関に準じるということで、マスクは必須アイテムだったのだ。とはいえ、実際にマスクをはずしている職員は見かけない。やはり皆さんが「一、二、の三」で足並み揃えてはずさないと、自分ひとりだけというのは、勇気がいるのだろう。夏場になって暑くなればひとり、ふたりと増えていくだろうか。わたしは今の職場にいる今年度はマスクをはずさないつもりである。皆がはずすから敢えてはずさないのである。ウイルスは消滅したわけではない。なんだかキョーフ心と習慣が身についてしまった。しゃれた型や色合いのマスクも増えた。さらに、皺...マスクの話題再び

  • 電話交換

    再就職してからひと月が経った。むずかしい仕事はないが、簡単な仕事ほど体力を使うことがわかった。コピーを取ったり、健康診断の希望項目を聞きに回ったり、福利厚生のパンフレットや郵便物を配ったりという、ひとつひとつの作業量はたいしたことではないものが、塵も積もればなんとやらで、1日の終わりにはちょっとした運動量になる。電話交換のスタッフが休みの日には、その業務も受け持つのだが、わたしはこの電話交換業務が好きであることにも気づいた。電話応対が好きなのではない。あくまでも「交換業務」。電話は何を差し置いても優先される。「〇〇さんお願いします」と受話器の向こうから声がする。遠くのほうで同僚と話している〇〇さんが見える。電話をつなぐ。すると〇〇さんは(当然のことながら)話をやめて電話に出てくれる。その優先性がどういうわ...電話交換

  • 口癖

    「どうせなら」。これは父の口癖である。それが母にとっては気に入らないらしい。どうせ、という言葉には、どこか投げやりなニュアンスが含まれている。弁護するわけではないが、これは、「どうせ、わたしなんか」のように、ひがんだ「どうせ」ではなく、「せっかくなら」という意味で言っていると思っていたので、母に言われるまでそのネガティブ性に気がつかなかった。しかし、母と同じように感じる人もいるだろう。親子の口癖は似る(と思う)。これまで、「どうせなら」という言葉が口を突いて出ようとするたびに、「せっかくなら」と言い換えるようにしていた自分にも気がついた。口癖というもの、本人は自覚しないで口にしていることが多い。相手がどう思うかについて、案外無頓着だ。人によって、受け取り方もさまざまである。年下の同僚に、「さっきも言いまし...口癖

  • 折り返し

    退職したという実感のないまま、今月も折り返し。3年連用日記の予定表欄。今年の3月の欄に「ゴール」の文字を書き、ひと月終わるごとにシールを貼って退職日までを待ち望んでいた。その3月ももうとっくに過ぎてしまったというのに、同じように生活は続いている。いったいなにをもってゴールとしていたのか、何を目指していたのか、こうなってくるとよくわからない。仕事内容は大幅に変わったものの、同じ庁舎に足を運び、弁当当番をこなしている。しかし見える景色は変わったかもしれない。部署が変わったのだから席から眺める景色が変わるのはあたりまえだが、回りを見回す余裕ができたというのだろうか。下っ端の立場上、とばっちりを受けることはあるが、振り回されることがなくなった。課どうしで繰り広げられる”責任”の押し付け合いにも巻き込まれることもな...折り返し

  • 2週間

    新たな職場で働き始めて2週目が終わった。たった6日働いただけだが、月の半分が終わったことになる。週3日勤務といえば少なく聞こえるが、体力的にはいっぱいいっぱいであることがわかった。来客があるたびに、席から立ち上がって窓口に向かう。たいした距離ではないのだが、積み重なればちょっとした運動量になる。郵便物を受け取る、庁舎案内をするといった程度のものならお安い御用だが、「どこそこの鍵を貸してください」となると、そうはいかない。じゃらじゃらとたくさんの鍵がぶらさがったキーボックスから、お目当ての鍵を探し出すのはことのほか難儀である。部屋の名前を書いてある文字も見づらい(というか、こちらの視力がおちているのである)。どこの鍵がどこらへんにぶら下がっているか、見当がつくようになる前に退職日を迎えるかもしれない。さらに...2週間

  • 1週間

    4月1日。辞令を受け取る。月・火・水の、週3日勤務である。ぎりぎりまで勤務先が決まらない役所の常としてやきもきとすることもあったが、結局、今までと同じ職場の、別の部署に席を作っていただいた。20年近く前に、常勤職員として在籍していた部署である。3月までは、感染症が起きるたびにバタバタと煽られたが、このたび配属になった部署は庶務課なので、比較的落ち着いてルーチンワークにいそしむことができるかもしれない。さらに職責が軽くなるというのは、実に気が楽であるということにも気がついた。新年度のフォルダのラベル張り、郵便物の仕分けと配布、レジ、マニュアルの校正作業など、こうした単純作業がわたしは好きなのである。まわりからは、引退した高齢女性がお手伝いに来ているような感じに見られているかもしれないが、職場も変わらず、(よ...1週間

  • 春の嵐

    29日は、退職式だった。なんの因果か、朝から暴風雨が吹き荒れ、雨は横殴り。傘をさして外に出るや否や、傘はおちょこに。電車が遅れては、と1時間ほど早く家を出たが幸い交通機関に影響はなく、会場の前の店で朝食をとりながら時間調整。店の大きな窓から外を見ていると、風雨ますます強まり、折れて無残になったビニール傘が、横断歩道を吹き飛ばされていく。植え込みの花が、半分ほど水没し、高いところに飾られた植木鉢の花も雨の勢いに押されてひしゃげている。目の前の会場が遠く感じられる。集合時間がせまっても雨風の勢いはいっこうに弱まる気配もないので意を決して外に出る。会場は、本庁舎3階の大会議場である。31年前に入庁式が行われた場所だ。外の嵐とは一転、静かな雰囲気が漂っており、式典の準備が着々と進められている。退職者もポツポツと集...春の嵐

  • ご褒美

    久しぶりに電車に乗って繁華街に行く。以前、たまに出かけていた店でモーニングセットを食べるためである。そこの朝食が特別おいしいというわけではないのだが、懐かしさと、「行ける」というのを確認するために、わざわざこんなふうに、訪れてみたくなることがある。来店前の期待が大き過ぎるために、「ふうん。まあこんなもんでしょ」という感想を抱いて店を出ることになるのだが、とりあえず「行った」ことでやや満足する。帰りにデパートの地下を徘徊する。ス―パーの品ぞろえに慣れていた目には、ちょっと高めのお菓子やケーキが目にまばゆい。いちごが旬を迎え、あっちにもこっちにも、つやつやとした苺の乗ったショートケーキが花盛りである。「ひとつ買っちゃおう……」3時のおやつにしてはちょっと値のはるお菓子を買う時には、自分を納得させる”言い訳”が...ご褒美

  • 最後の出勤

    今月末が退職日だが、せっかくなので(って何がせっかくなのだかわからないが)、年次休暇を消化すべく本日から休暇をとることにした。そのために、今日が常勤職員としての最後の出勤日である。ならわしとして、最後の日には、副所長が音頭を取って皆さんの前で、紹介をしてくださる。こちらも「お世話になりました」とかなんとか儀礼的な挨拶をする。今回のように中途半端な日には、ひとりだけの挨拶である。4月から、公の機関に週3日ほど、非常勤のような形で再就職するのだが、内示が出ていないので、はっきりと挨拶に盛り込むことができない。そのため、「4月以降、どこかでお会いするかもしれませんのでお願いいたします」などという、もったいぶったような、思わせぶりな挨拶となった。電話交換業務の職員からは、ハンドタオルを。同じ課の男性がたからは、チ...最後の出勤

  • 命の選択肢

    父がおなかを壊して救急病院に運ばれた。症状はたいしたことがなかったのだが、トイレに間に合わなかったことで母が動転してわたしに電話をしてきた。「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」という声を聞いて、わたしも思わず「救急車を呼んで」と言ったのが発端だった。病院に運ばれると、流れとしては検査となる。レントゲン、尿検査、血液検査、CT……。最近は、初めに、コロナかどうかも検査するので時間もかかる。搬送されたのが夕方だったせいか、帰宅したのは夜中になった。翌日、同じ病院の消化器内科に行くと、女医さんがはきはきとした口調で、「おそらく腸炎だと思いますが、確定診断とするためには、除外診断として、大腸内視鏡検査が必要です」ときっぱり。いろいろ質問する余裕もなく、てきぱきと話を前に進めていく。その勢いにおされて、同意書を書いて...命の選択肢

  • まくら投げ

    「まくら投げ」の全国大会が行われたそうだ。布団に寝た状態から始まるところや、「先生が来たぞー」というひと声で、散らばったまくらを自分の陣地にかき集める”タイム”を取れるところなど、見ていて笑ってしまうユニークなアイデアの競技だ。ドッジボールが正式種目になったのを見た時は、あまりのボールの速さ、真剣な表情に引いてしまったが、このまくら投げ競技は、是非「シニアバージョン」の大会を設けてもらって参加したいと思った。まくら投げをやったのは、高校の修学旅行。萩津和野から九州の長崎あたりまでの関西・九州方面への旅行だった。海底トンネルができたばかりの頃で、新幹線の窓から魚が泳いでいるのが見えると信じていた同級生がいたっけ。おしゃべりは苦手だったので、わたしの夜の楽しみは、まくら投げだった。同室の同級生の中には、もうそ...まくら投げ

  • 生き続ける

    若い職員に仕事の引継ぎを行った。退職まで秒読み。日記帳の、年間スケジュール欄にひと月に1枚ずつシールを貼って退職までの日を待ち焦がれていたが、あと1枚となった。となると、かなり名残惜しくもなってきた。コロナ禍の最中はあまりお役に立てなかったが、通常業務になって元の仕事がもどってきたとたん、わたしにも彼らに教えられる仕事がそれなりにたくさんあったのだな、と改めて思う(まあ、6年も同じ部署にいたのであたりまえだが)。本庁からは退職手続きに必要な書類が一括して送られてきた。3月20日からは有給休暇を取って少しのんびりしよう……。4月からは週3日ほど働きたいと思っているがそれもどうなることやら。職責は軽くなるが、反面、それ以外の気がかりなことはどんどん増えていき、ともすると、気持は重くなっていく。それでも生きてい...生き続ける

  • 映画鑑賞

    映画『PERFECTDAYS』を見る。役所広司さん演じる清掃業員の男性の日常を描いた作品である。「今、この瞬間が大事」、という最近はやりのテーマが込められているようだ。なにごともないような日々の繰り返しに見えても、全く同じ日はない、というようなメッセージも……。石川さゆりさんが出てきて急に歌いだしたり、三浦友和さんが役所さんと”影踏み”したりと、確かにキャストを見ると、それだけで十分変化に富んでいる。「今度はどうなるんだろう」と思って見ていると、エンドロールが流れ始めて、ちょっと拍子抜けがした。そうかといって、退屈というのでもなく、あっというまの2時間だったので、日常の、ちょっとした変化の演出に工夫があったのかもしれない。あまり起承転結を期待し過ぎてはいけない作品のようだ。映画鑑賞

  • エッセイ集

    懲りもせず、3冊目のエッセイ集に挑戦することになった。思いついたのは昨年11月末。12月には契約をして、完成原稿とは程遠いデータ原稿を送ること2か月。「本格校正」というオプションをつけてもらったら、これがまた細かいところまで表記の統一をチェックしてくださり、いかに自分が表記というものに無頓着だったかがわかった。さらに、言葉についての思い込みも多い。(メリーゴーランドは正しくは、メリーゴーラウンドなんですってね!)。朝4時に起きてせっせと校正。読み直すたびに修正箇所が見つかる。読み返すたびに、自分の生き方に向き合うことになり、逃げだしたくなる。モチベーションを上げ、どんより気分を盛り上げるために、控えていた珈琲に頼らざるをえなくなった。そして通勤時間になると、今日はここまで、と救われた気分になる。……の繰り...エッセイ集

  • 先日は天気予報が珍しく?当たり、久しぶりの雪となった。慣れない雪と風に、傘を持つ手に力がはいり、家に着くころには肩がガチガチに凝った。そんな中、自転車に乗っている人もいる。コワイコワイ。夜半には降り方も激しくなり、空の色も怪しく赤みを帯びて見える。なんといっても雪はぬくぬくとした部屋から眺めるのが一番いい。近所は車や人の通りが多い。翌日にはあっけなく溶けた。雪が純粋に楽しみだったのは小学生まで。雪の朝、「今日は雪合戦だってえ!」と職員室から伝令があると、歓声を上げて校庭に飛び出した。寒さなんか感じなかった。運動神経が鈍い割には、あのような”合戦もの”が大好きなのである。坂道の多い町に住んでいた頃は、雪の降った翌朝、「ドサッ」という音を背後に聞きながら凍った道を駅に向かった。足元に集中しないと自分も転びそう...雪

  • 確定申告

    医療費控除の申告をするために税務署に行った。大きな病気はしないものの、年々、医療費がなんだかんだとかさむようになってきた。特に、昨年はぎっくり腰やら眼科の定期診察で、大幅増となった。年を取ることはお金がかかること、というのはよく耳にするが、その手前にさしかかっている。この時期はまだ確定申告には早く、還付申請だけの受付なので、比較的空いている。これが本番を迎えると、説明を聞きながら申告書を作りたいという多くの高齢者で庁内はぎっしりと埋まる。なぜ税金の仕組みや申告書の書き方というのは、あんなにフクザツでわかりづらいのだろう。本格的に勉強しないからかもしれないが、その労力に見合うだけのメリットもなさそうだ。で、気がついた。今年までは職場で源泉徴収がされ、確定申告も職場経由だった。来年からはそれがなくなる。もしも...確定申告

  • 久しぶりのドラマ

    NHKドラマ『作りたい女と食べたい女』を見ている。1回が15分と短いのだが、最近はこのくらい短い方が気軽に楽しめる。(3時間スペシャルなんて番組もあるが、そんなに長い間テレビを見続ける気力根気はすでになくなった)。さて、このドラマは作るのが好きな女性と食べるのが好きな女性の話、と言ってしまえば身もふたもないが、”いいなあ、こういう関係”と思わせるものがある。それだけでなく、場面場面で、さりげなく「常識」というものに???を投げかけてくる。女性は定食屋さんでは小盛りを食べるのが普通?週末や、クリスマスを同性の友人同士で過ごすのはおかしい?年末年始は実家に戻るもの?一人前ってそもそも決まっているの?女性は愛想よく話さなくてはいけないもの?などなど。「普通」とされているものからはずれていても、自分(たち)が楽し...久しぶりのドラマ

  • 健康診断

    年に1度の健康診断に行く。受診項目ごとに、効率的な流れ作業になっていて、受診者も番号で呼ばれる。スタッフは皆忙しそうな早歩きで、もしかしたら、午前中に終わらせるというノルマがあるのかもしれない。健康診断の中で1番緊張するのが視力検査である。結果が悪いとわかっている検査ほど、憂鬱なものはない。筒(のようなもの)を覗くと、そこには大きさがさまざまな輪っかが並んでいて、明るく照らされた輪の切れ目を答えるというシンプルなものだ。大きい輪っかのうちはいい。自信を持って「右!」と答える。しかし輪が段々小さくなってくると、切れ目もおぼつかなくなってくる。「右?」と、つい尻上がりな疑問形の発音になる。そこでスタッフが無言だったりすると「左……」などと言い直してしまい、「左に見えますかあ」などと返ってくると、そこでまた「下...健康診断

  • 蛍光灯

    住んでいる部屋の蛍光灯が切れた。1本切れていたのは気づいていた。が、それほど暗さを感じなかったのでそのまま放置していたのだが、2本切れるとさすがに暗い。天井が高いので、脚立に乗り、上を向いたまま四角いカバーをはずし、中の蛍光灯を取り替え、そして再びカバーを取り付けるという作業は、チビで腕力がないわたしには無理というもの。まずはシルバー人材センターに電話をする。すると、「スタッフは70歳を超えているので、高所での作業はお断りしております」と言われた。高所っていったって部屋の天井なんですけど……。以前平塚に住んでいた時、シルバー人材センターに頼んだら「高齢なのでふたり体制で来させてください」と言われた。料金もふたり分かかったのは仕方がないとしても、脚立があるのに、汚い?靴下のまま、ベッドにずかずか乗っかって、...蛍光灯

  • いらっしゃい、辰年

    机の上に小さな12支の置物がある。うさぎ年を迎えるや否や、座布団の上に主役のうさぎを置いたが、その後、丸1年の間、ゆっくりと愛でる暇もなく、あっというまに「辰」にその座を譲ることになった。こんな調子で今年もあっけなく過ぎてゆくのだろう。平穏な時間、いつもと変わりのない日常が大切なのだろうな、というのは、テレビのニュースを見ていると感じることの多い昨今だが、なかなかそのありがたみを感じにくい自分がいる。「偶然そこにいた、いなかった」ということの重大性にも思いを馳せる年明けとなった。今日は近くのドラッグストアまで買い物。プチ、達成感とでもいうのだろうか。腰が痛い、寒そうだわ、となんだかんだいったって、わたしはショッピングカートいっぱいに食料品やら日用品やらを詰め込んで帰ってくるのが好きなようです。今年もどうぞ...いらっしゃい、辰年

  • さよなら、うさぎ年

    実家に頼まれて門松を買う。早いとは思ったが、昨年は30日にはすでに売り切れで手にはいらなかった。スーパーの入り口からは、クリスマス仕様の飾りつけがすっかり取り払われ、代わりに正月の和飾りやら、門松、しめ縄などがぎっしり並んでいる。今年は1月になるや否や、うさぎ年だ!年女だ!還暦だ!と勢いこんだものの、過ぎてみれば実にあっけなく、だからどうした!というように、尻すぼみに終わりそうだ。これがつまり、年賀状によく書く「穏やかな1年」だったということなのだろうか。だとしたら、穏やかな1年はありがたいかもしれないが、面白いものではない。日記の月間スケジュール欄に、ひと月に1枚ずつシールを貼って、卒業=退職の日までを待ち望んでいたのだが、半年を切るころから多少名残惜しくもなってきた。毎年あたりまえに用意されていた「居...さよなら、うさぎ年

  • 待ち合わせ

    先日、友人と忘年会を兼ねて食事をした時のことである。待ち合わせ場所は、地下鉄A駅のB側改札口に、午後6時である。いつものことながら早めに着いたわたしは、「どの店がいいかなあ」と改札口近くの飲食店街をぶらぶら物色した。5時40分。彼女も早めに来れそうだと言っていたので、改札口に立って待つ。電車が到着するたびに、大勢の人が吐き出されてくる。彼女がいないかと目を凝らす。なにしろ、メールのやりとりだけで、10年近く会っていない。しかも、マスクを付けている人も多く、人相がわかりづらい。5時50分着の電車も空振り。5時59分着の電車が到着しても彼女は現れない。代わりに、見知らぬ同年輩の女性がいきなり駆け寄って来て、「あら、ごめんなさい!友達とそっくりだから」と言われる。それなのに肝心のわたしの友人はやってこない。「こ...待ち合わせ

  • 顔が見えない

    コロナ禍が去っても、オンラインを利用した会議や研修、テレワークは継続中である。あまり機会がないせいか操作方法を覚える暇もなく、そのたびにオタオタとする。中でも苦手なのが、スカイプを使った会話。早いタイミングで、ついエンターキーを押してしまうので、未完成の文章が先方にとんでいってしまう。中途半端な漢字変換のままだったりして恥ずかしい思いをすることもある。先日は、年末年始の当番をどうするかのやりとりをしていたら、白熱してしまい、あっちが入力したらすぐさまこちらが入力し、そしてまたそれに応えて相手がすぐに入力するという言葉の応酬になり、まるでシューティングゲームをしているような雰囲気になった。言葉だけ見ると、まるで売り言葉に買い言葉のケンカをしているかのよう。相手の表情が見えないので、怒っているように思えてくる...顔が見えない

  • はまる

    たまに行く銀行のATMコーナーに、俳優織田裕二さんの警官姿を等身大のヒト型にして立てかけた看板がある。写真とはいえ、はいったとたん、視界の外に彼が映るといつもぎょっとする。誰もいないと思って入ると、なおさらである。サギ被害防止のためのようだが、さて、効果のほどはどれぐらいあるのだろうか。そういえば、彼の主演していた『外交官黒田康作』シリーズにはまったのは最近のこと。とっくにテレビ放送が終わり、DVDになってからそのシリーズの存在を知ったのである。それからは、TSUTAYAにせっせと通い、次から次へと借りまくった。『冬のソナタ』も、とっくにブームが去ってから冷やかし半分に借りてみたら、これもまたみごとに熱中した。ヨン様は特にどうということはなかったが、次はどうなるんだろう……というようなところでいつも終わっ...はまる

  • うろうろ

    何か月ぶりかの出張である。地下鉄の駅を出ると、「目印」だと教わった大きなビルがそびえたっている。やれやれ着いたと思ったのも束の間。目印のビルの周りには、たくさんの建物が建っている。え、いったいどれが目的の建物??結局、あっちにこっちにと歩き回り、やっと見つけた町内地図を頼りに見当をつけてたどり着いた。目的のビル名を見つけた時のうれしさといったら!あれほど心細くうろついたのに、「ちゃんと来れるじゃないの」と気分も復活。これが駅から10分も15分も歩くのだったらともかく、徒歩3分の距離なのである。以前、駅から徒歩2分で着くはずの場所に20分かかって到着したことがある。全く正反対の方に歩いていたのである。年々、初めての場所に行くのが億劫になってきた。団体旅行の自由時間で、時間いっぱい楽しめないのは、集合場所に無...うろうろ

  • そろりそろりと

    退職前6か月をきった。職場では、若い人への引継ぎを。実家では両親から引継ぎを。身辺が終わりに向けて動き始めた。コロナ禍以前の事業内容について知っている古株がわたしを入れて数人しかいないとなると、それなりに重宝されるようにもなった。かと思うと、電子決裁などという新たなやりかたにオタオタしてしまい、もう限界!などと思ったりもする。日記の月間スケジュール欄に、ひと月終わるごとにシールを貼って、退職を心待ちにしていたのだが、半年をきったあたりから、名残惜しい気持ちも湧き上がるようになった。自然に囲まれた職場の風景や、お気に入りの音楽を聴きながら通った通勤電車、人々が立ち働く事務所内の雰囲気、自分の席、そして抜かりなくこなしたお弁当当番^^……。3月末をもって、それらから、いっぺんに引き離されるというさみしさ。定年...そろりそろりと

  • 捨てられない

    わたしが衝動買いをしてしまう物には、その模様や柄に、目や鼻、つまり「顔」が付いているものが多い。先日、通りすがりにはいった店に置いてあった布製のトートバッグ。このテの袋はなにかしら持っているのだから必要もないのに、つい買ってしまったのは、目と口の付いた、おにぎりたちが描かれていたから。海老天やいくらを頭に乗せたり、梅干しが真ん中に書かれていたりするおにぎりがこちらを見て笑っている。スーパーに行くと、新発売のシーフードヌードル「イカまみれ」が目についた。文字通り、イカがいっぱいはいっているのだろうが、パッケージには、顔のついたイカの破片がぎっしり描かれている。顔といっても目と口だけなのだが、なんだかかわいい。カップの下のほうには注意書きとしてご丁寧に、「イラストはもちろんイメージで、実際とは異なります」と書...捨てられない

  • インスタントラーメン

    カップヌードル美術館に行く。チキンラーメンに始まって、歴代のインスタントラーメン、カップめんのパッケージがガラス戸越しに壁のように積み上げられた様子は圧巻である。スーパーの売り場に積み上げられていても、どうってこともないのだが、こうした場所ではつい写真を撮ってしまう。「すぐおいしい、すごくおいしい」のチキンラーメン創始者安藤百福さんの生涯について、パネルが展示がしてある。こうした”経歴もの”は読み飛ばしてしまいがちなのに、今回は興味深い内容だったので、じっくり読んだ。戦後の食糧難、一杯のラーメンに行列ができているところを見て、家でも手軽に食べられるインスタントラーメンを発明しようとしたらしい。20世紀に日本初で愛されるようになったモノの一位は、インスタントラーメンなのだそうだ。(ちなみに2位はカラオケ)カ...インスタントラーメン

  • 市役所

    横浜市役所が新しくなったというので、行ってみた。移転してもう3年ほどになる。場所は港のすぐそば、地下鉄の馬車道駅直結という。役所関係の用事は地元の区役所と保健センターで事足りるので、本庁に行くのはもしかして初めてかもしれない。せっかく駅直結とうたっているのに、降りる駅を間違えてしまい、関内駅から歩くことになった。日差しが強く散歩するには暑過ぎる中、道路の表示にしたがって進む。と、ここがその建物らしい、と知ったときには、驚いた。え?これが市役所ですか!!青空を背景に、シューッと空まで延びた建物が、光を帯びて建っている。それはまるで役所というよりは超豪華ホテルのよう。観光地のど真ん中にあるために、周囲のホテルと見まがうほど。30階以上あるのだとか。低層階には、今風の商業施設なみに、しゃれたカタカナのお名前もつ...市役所

  • おせち

    郵便局やスーパー、デパートでおせちの予約が始まった。実家では、もう何年も前から手作りはおしまいにして、こうしたところで予約している。どれがいいかとパンフレットをめくっても、どれもこれも同じに見える。ここのおせちがおいしかったから今年も是非、というのがない。年始のテレビを見ながら、しゃべりながら食べるので、味に関してはうわの空なのである。3年前の正月は、コロナ真っ盛りの時期で、出来合いのおせちを分けてもらって自宅でひとりもそもそと食べた。こんなによくよく味わいながら食べたのは初めてであった。味わうと、より一層味気なく感じられた。ひとりで正月を越す経験も初めてだった。紅白歌合戦も見ずに早々に床に就いた。除夜の鐘が遠くから聞こえてきた。おせちも紅白も、なんだかんだ文句をつけながら複数人で経験してこそのものだと知...おせち

  • あっちにこっちに行ったり来たり

    両親の通院に付き添う。車を持たない我が家はタクシー頼み。いっぺんに、あそこもここもとできるだけ多くの用事を済まそうとするので、ほとんど1日がかりである。最初は脳神経内科。母は脳梗塞の後遺症以来、足元や頭がふらついたり、重かったりするのが再発の前兆でないかと日々気にしている。「頭をなるべく動かさないほうがいいんでしょうか」「頭が重いので、なるべく寝転んでいたほうがいいのでしょうか」などと、姿勢次第で再発が防げると思っている。同じ質問にも、嫌な顔をせず朗らかに聞いてくれる医師だとわたしは思うのだが、「こうしなさい」と具体的なアドバイスをもらえないのが、母としては不服らしい。「先生」と名前のつく方がたに、絶対的な権威のようなものを求めているのかもしれない。長谷川式のスケール検査では、「野菜の名前を言ってください...あっちにこっちに行ったり来たり

  • にやにやする

    電車の座席に座ってぼんやり見るともなく周りを眺めていると、スマホを見ながらにやにやしている人が目につくようになった。これまでマスクの下に隠れていた笑顔が、表に出始めたようだ。動画か、ドラマか。それともメールの文面にウケているのか。または思い出し笑いか?あまりにも楽しそうに笑っているので、つい、じいっと相手の顔を見つめていると、ふと顔をあげ、こちらと目が合ったとたん、スッと真顔に戻る。こちらの視線は感じるものらしい。ずいぶん前に、同僚数人と出張の帰りに食事をした。「見ててごらん。あの女性、絶対こっちを見るから」同僚のひとりが自信ありげにそうおっしゃる。その女性は、わたしたちとは3つほど離れたテーブルに座って、友人らしきかたたちとおしゃべりをしていた。案の定、1分もたたないうちに、彼女は、くだんの同僚のほうを...にやにやする

  • よっこらしょ

    運転手さんへの飛沫感染を防ぐためか、長らく閉鎖となっていたバスの1番前の席が解禁となった。わたしはこの席が好きである。タイヤの上にあるので、ほかの席よりも一段高く、見晴らしがよい。背の小さいわたしが上から周囲を見下ろせる数少ない機会でもある。1,2段階段をのぼらなくてはならないので、お年寄りとお子様は御遠慮ください、と表示がある場合もある。先日、この席が空いていたので座ろうと、手をかけた。と、以前は易々と腰を掛けることができたのに、どうも難儀である。体全体が重い。両手で手すりをぎゅっと握り、足を踏みしめて、体をよっこらさと押し上げて、ようやく席にたどりつくといったような……。「よじ登る」という表現がふさわしい。なんと3年半のうちに、足腰が衰えていたのだ。そのうち、「おばあちゃん、そこ、危ないから後ろに座っ...よっこらしょ

  • 本末転倒

    6月からひと月に1度の割合で行っていた蚊のモニタリング調査が終盤を迎えた。何年か前のデング熱騒動をきっかけに始まった調査で、蚊を採取して、ウイルスの有無を調べるのである。今年は猛暑の日が多く、蚊の捕獲数も少ないのではないかと思っていた。しかし、意外にも、前回の令和元年の調査時(コロナ騒ぎで3年間行われていなかったのである)よりも、格段に多く採れた。3年ぶりの調査で、蚊も油断したのか??いやいや、そうではない。蚊を捕獲するための罠(トラップ)を仕掛ける藤棚の手入れがなおざりになっており、蔓や葉は伸び放題、蚊にとって恰好の生息地になっていたのである。うっそうとした茂みは、蚊を培養するのにちょうどいい環境だったということですね。調査する側としては、大変都合のいい結果だが、考えてみるとなんだかおかしい。藤棚周辺に...本末転倒

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