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月の爪痕 http://kurenai75.blog11.fc2.com/

「月の爪痕」は紅(くれない)が書いたオリジナルBL小説を掲載しているブログです。

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2022/05/07

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  • Calling Section2-24

    前回同様、近場のシティホテルへ入るのだろうと、相馬は思っていた。 だが薫はBMW Z4を停車させる素振りを見せず、朝比奈方面ではなく海老名方面を通るルートで、東京へ戻ってゆく。 昼過ぎまでの時間を自分の用事に振り回したのだから、後半は薫の好きにすればいい。と思って相馬は黙っていたが、車が八王子で高速を降りた後、都心とは反対方向へ向かうのを見て内心首を傾げる。 車窓の向こうが車よりも木の数の方が圧倒的に...

  • Calling Section2-23

    「何も、訊かないんだな」 沈黙を破って、相馬は言った。「訊いて欲しいなら、訊きますけど」 と、薫は言った。 再び、沈黙があった。 薫が開けた車の窓から、波が押し寄せ、引く音だけが聞こえてくる。「義妹の ―― さおりの居場所を、調べたんだ」 やがて、沈黙を破って、相馬が言う。「はい」 海の果てを見たまま、薫が言う。「あんたの言った通り、湖ではない水の近く・・・鵠沼海岸のそばで暮らしていた。結婚、していた...

  • Calling Section2-22

    猟奇的、宗教絡み、オカルトチックと、あまりにもセンセーショナルな事件だったため、年始の厳かさ、華やかさを吹っ飛ばす勢いでマスコミは連日派手に事件を報じた。 また、ここまで特徴的な事件であったにも関わらず5人もの被害者を出した警察への批判も強かった。 それが収まったのは松の内が明け、鏡開きが終った頃だ。 人気男優と人気女優の電撃入籍が発表され、世間の話題と注目は一気にそちらへと傾いていた。 その日...

  • Calling Section2-21

    薫に言われた通りに簑輪は車を走らせ、リストアップした病院を回っていった。 リストの最初の3軒の病院は、外周りを一周しただけで、「このまま次で」という一言で終わったが、4軒目、お茶の水にある病院まであと数十メートルというところまで来たとき、薫の表情が少し変わった。 相馬は助手席にいて、バックミラーに映る薫をずっと観察していたのだ。 相馬の予想通り薫は、車が病院を半周したあたりで、「駐車場に車を入れて...

  • Calling Section2-20

    アランに促されて先に部屋を出てゆく箕輪の姿が見えなくなってから、相馬はリビングの入り口ドア前に立つレオンの前で足を止めた。「彼は、大丈夫なんですか」 ベランダの方を見ながら相馬が訊くと、レオンもベランダの薫に視線を送る。 彼は再び長椅子に寝そべった状態で燦々と降り注ぐ太陽の光に晒されていた。「今日1日で完全復活するのは難しいでしょうね。ただ薫が、“満月に近い”というこの機を逃せば負担が増えると言う...

  • Calling Section2-19

    調査結果に関する話は翌日に、という予定だったが、昨夜の薫の様子から、相馬は翌々日以降になるかもしれないと考えていた。 しかし翌日の午前中、早い段階でレオンから、「神無月からご依頼の件に関して話をいたします。すみませんが、こちらまでご足労いただけますか?」 という連絡がきた。 それを受けて相馬と箕輪はすぐにホテル最上階にある特別室へと向かった。 奥の方の特別室前にアランが立っていて、ドアを開けてく...

  • Calling Section2-18

    3日前と同様、相馬は薫の乗ったポルシェ・マカンを先導する形で16時過ぎにホテルを出て、野間ひかりの実家へ向かった。 到着後、薫はいつも通り黒いコートに手袋、サングラス姿でゆっくりと車から降りたが、その日の薫はいつもと違い、マカンの脇に立って1分程、喉をそらすようにして空を見上げていた。 やはり今日も難しいのだろうか?と相馬は危ぶんだが、やがて薫は庭を抜けて玄関へと向かい、相馬が開いた玄関前で再び1分...

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