chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
chinorandom https://www.chinorandom.com/

躁鬱の会社員です。お散歩と旅行と読書、思考の記録など。

実績・寄稿記事一覧: https://www.chinorandom.com/archive/category/%E5%A4%96%E9%83%A8%E5%AF%84%E7%A8%BF%E8%A8%98%E4%BA%8B

千野
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2022/01/28

arrow_drop_down
  • 赤い服を着て白く長いひげを生やしたおじいさん

    大きな窓の上に穴を開け、そこに紐が通されたような商品を1つ買った。紐は赤、白、交互にねじられて、ステッキ型のキャンディを彷彿とさせる趣。口に入れたら甘いかも。深緑の針葉樹が茂る区域に設けられた柵の内側では、たっぷりとした赤い布の服をまとうおじいさんが大きな布袋(革袋、かもしれない)を両手で逆さにし、明かりが漏れる建物の中へと大量の小箱を注いでいる。翼を持つふたりの天使たちがその傍らで果物を抱え、もうひとりは地面に落とした幾つかを拾いながら、順番を待っている。右下に金で記されたA Joyful Yuletideの文字。少し、古めかしい語句だ。ア・ジョイフル・ユールタイド。

  • 黄金色をしたワームスプアーの模造品:P・A・マキリップ《ホアズブレスの龍追い人》

    先日クラフトコーラの原液を買ってきて、炭酸水で割ったら、きれいな金色になった。少しもアルコールの含まれていない、炭酸と各種香辛料だけがぱちぱちと刺激的な甘い飲み物だけれど、想像力を駆使して杯を傾ければちゃんとワームスプアーの模造品になる。精神を研ぎ澄まして、確かに黄金色のお酒なのだと念じて。勢いよく飲むとむせてしまうところなどは結構似ているのだから。100円ショップのグラスに、同じ100円ショップで見つけた、柄の末尾の方に水晶を思わせる飾りがついているスプーンをマドラー代わりに添えても、氷と鉱山の島ホアズブレスを連想させられるようになって楽しかった。

  • 切り分けた心を奪われる(または巧妙に、自分から差し出すように仕向けられる)ような

    もっとも厄介なのは、相手から要求されることではない。そう思う。厄介で恐ろしいのは、自発的に、心の一部ならすすんで差し出してもいいと思わされてしまうこと。加えて、そう思わされる状況に置かれることの方。だから、広義の恋は劇物なのだ。毒どころの話ではなく、文字通りに劇的に甚だしく、生物の息の根を止めてしまう。

  • 茉莉花茶とアイスクリーム

    私は熱いものを食べたり飲んだりするのが非常に苦手なのだけれど、思えば、いつもそのことを半分くらい忘れている。ぐらぐら煮立ったお湯から抽出したばかりのお茶を前にしている時であっても。今の季節のように室温が低いとなおさら油断が生じるのかもしれない。さっきも少し勢いよく液体を吸い込んでしまって、口内の上顎の方が腫れた。夜のあいだ何かを読むための用意として、でも一般的には眠る前に推奨されるようなノンカフェインの飲み物が全く好きではないので、用意したのはシンガポールのお茶屋TWG Teaのジャスミンクイーン。

  • 手に入れた瞬間、もうそれに意味はなくなる - ハガード王への哀歌|ピーター・S・ビーグル《最後のユニコーン》そして《旅立ちのスーズ》より

    ハガード王が治める街ハグスゲイトの住民たちも、彼と同じく「何物も永遠には続かぬ」を理由として何にも愛着を持てずにいる。魔女が城にかけた呪いの予言によって、いかなる事物もどうせ未来に失われることが分かってしまっているから、幸福な状態になることができないのだ。手に入れた喜びが、いつか確実に消えてしまう、と判明している状態で、どうしてそれに心を傾けることができるだろう? 確実なのは、ハガードがいる限り、現在いるハグスゲイトの民たちは他と違って何不自由なく良い暮らしができ、富むことができるというだけ。予言が成就する前ならば。

  • 喫茶店「珈琲 琵琶湖」梅の屋敷から広大な湖面を想像する11時|東京都・大田区

    滋賀から遠く離れた東京都にも「琵琶湖」があるらしい。それは喫茶店の姿をしていて、建物のように装っていながら、あの静かで広大な湖面に宿る心を内に秘めている。扉を開ければいつでも、あの場所の空気に包まれる……かもしれない。また近江八幡に行きたくなってきた。大田区、蒲田。

  • 黒い獣・魔法の系譜・姿を変える者たちの変奏 - パトリシア・A・マキリップの小説から

    先日読み終わった3部作「イルスの竪琴 (The Riddle-Master trilogy)」の余韻に浸りながら、さらにこれまで読んだ作品との関連も含めて、パトリシア・マキリップの描く物語に繰り返し登場するいくつかの要素を考えていた。特に「妖女サイベルの呼び声」と「オドの魔法学校」を並べてみながら……。私はマキリップの作品を読んでいて(もちろん、彼女の作品に限った話ではないのだけれど)複数の共通点を持つモチーフや登場人物、出来事などに出会うたび、それは「とあるひとつの物語が枝分かれした結果として生まれたもの」であるように感じる瞬間がよくあった。もしくは、同じ世界を舞台にした異なる時代の話が語られているのであったり、特定の場所で起こったはずのことや起らなかったはずのことが、別の作品として描かれていたりするのではないか……というような。

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、千野さんをフォローしませんか?

ハンドル名
千野さん
ブログタイトル
chinorandom
フォロー
chinorandom

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用