「社長、私、北海道を一人で旅してみて社長のやさしさがわかったんです私、ほんとうに社長は優しくて大好きです」「・・・」(北海道なんて行ってないだろ!)美智子が私の手を握って肩にもたれてきた私は肩越しに横目で美智子を見た、黒髪の隙間からやや高い鼻だけが見えたドキッとした私は美智子の術中に落ちそうになっている(美智子とはこういう女なんだ)わかっていても体と心は一致しない美智子の髪の香りに目が眩みそうだ美智子が私の顔を見つめたと思ったら、首に手をまわして唇を重ねてきた私は頭のてっぺんまでしびれたが、かろうじて美智子の手をほどいて逃げたそして「わかった、わかったきみの気持ちはありがたい」と言うのが精いっぱいだったさすがに、こんな場所を人に見られたらまずい、そのくらいの理性は残っている、外の廊下からは見ようと思えば見...美智子の失業28