オリジナル恋愛小説。O&O。H。となりに住んでるセンセイ。ワレワレはケッコンしません。など。
コツコツと執筆中。 北海道を舞台にしたものが多めです。
・「奥村さんて玉子好きだんだね。玉子、四つも食べてったよ」「ああ」「風邪薬ってさ、車運転するなら飲まないほうがいいんだよね。大丈夫なのかな、あの人」「ああ」 適当に相槌をうつ。 満腹だった。 それでいながら土鍋に残った板こんにゃくをおたまで掬う。器に移したこんにゃくは、煮汁に染められて薄茶色。濁った色。ガブリとかじると歯型がついた。 おでんはつい、多めに作ってしまうらしい。我が家は二人だけ。食べ...
家はすぐそこだ。五階建てのマンションは。 頭を傾げてフロントガラスから夜空を覗き込めば、ぽつぽつぽつと瞬く星たち。明日も晴れるのだろう。 例年ならば道路には雪が積もっている。けれど今年はまだそれがない。外の世界を包んでいるのは、冷たい空気だけだった。 狭い路地の面にヘッドライトがますます眩しい。自宅マンション前にすうと車が走りこんでいき、慌てて声をあげた。「あ。俺んちここ。停めて」「え、ここです...
シートに預けたままの身体がぶるぶると小刻みに揺れている。 いままで気にならなかったのに、停止中のエンジン音がうるさい。 彼女がいるのかと尋ねたら、運転手が大人しくなってしまったのはなぜか。 焦ってしまって話題を変える。「こ、この車さあ。高かったんじゃないの? ねえ? 新車でしょ」 あー。と運転手は生返事。「いや、新車でなくて中古なんです。綺麗なんでみんなそうなのかって聞きますけど。前の人が、なんぼ...
結局、車の鍵は見つからなかった。 (薬屋店員でありながら)朝から咳をしている男に、何十分も徒労をさせてしまった。それなのに奴は、家まで車で送ってくれると言う。「あのー。奥村。ウチに寄ってってあれだ。メシ、食ってきな」 そう誘ったのは奴が不憫に思えたからだ。 独身の一人暮らし。 どうせ、適当なものばかり食べているのだろう。不規則な生活をしているだろうから体調も崩しやすい。風邪をひいている今は大人し...
このお話は番外編となります。語り手は、いつもの主人公二人ではありません。それでも、二人に関わることも記してありますし、これからのストーリーにも関係する話題が出てきます。六章を読む前に是非、読んでいただきたいと思います。・・・ ええっ? と携帯電話の向こうで、困惑声。 大きく言われたものだからギョッとしてしまった。 隣を、気にしてしまった。 思わず声をひそめてしまう。「なにが『ええっ?』よ。いいべや...
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