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  • 夏の終わりはスリリング『変身ー消えた少女と昆虫標本ー』(佐藤 いつ子)

    今は幸せやけど。あのときのこと、後悔してんねん。あのとき、もっとやれることがあったのになぁって。だから、自分の子どもらには・・・・・・。(本文より) 頻出作家の6月の新作だがタイトル通り 不思議要素やミステリ色が強めに出てる。 ただし、驚かせて終わりみたいな話とは 全然違うのがやっぱ佐藤いつ子先生だわ。 ちゃ~んと考えさせられるテーマがあり エンタメ寄りでもバシッと響かせて来て 平易だって深読みする余地があるんだな。 素材文適性って点では、高1女子視点の 避けてきた旧友との再会シーンがアリ? 俺のレビューはこんな風にスタートする。 ちょっぴりホラーな物語に、子どもたちに届いて欲しい大切な要素が…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2024年8月前後)

    来春の入試を一つの区切りと捉えた場合、 今期の作問選書シーズンもそろそろ終幕。 殆どの作問者は8月までに選書を終える ゆえに後に行くほど採用率は下がってく。 8月は7~9日に新作がドカドカ来るな。 いつも言ってるが、以下は大部分が未読。 出題向きじゃない本も多分混じってるよ。 8/7発売 『常夏荘物語』(伊吹 有喜) 10歳で邸宅に引き取られた少女の未来。 8/8発売 ☆先行レビュー済☆ 『みかんファミリー』(椰月 美智子) 中1女子は自由すぎる母に振り回されて。 8/8発売 ☆先行レビュー済☆ 『いつか月夜』(寺地 はるな) 迷える青年の真夜中散歩が運命を変える。 8/8発売 『全校生徒ラジ…

  • 人生、凪いでる場合じゃない!『もしもわたしがあの子なら』(こと さわみ)

    発売即重版となったって触れ込みの新作。 ポプラズッコケ文学新人賞大賞受賞作だ。 ざっくりとワンフレーズで言っちまうと 普通女子が全然違うキャラの少女2人と 入れかわる体験を通して気づきを得る話。 なりたい相手になるって夢があるよな? ま、楽しい読書にピッタリの作品だろう。 本を読まない子にも取っつきやすそうだ。 他人のフィルターを通して見える世界や 外見違うことで変わる周囲の反応などは 大人視点でもなかなかに興味深かったよ。 子どもならなおさら惹かれるだろうな~。 以下は俺のレビューの真ん中あたりだわ。 チェンジ物ってたまに見ますが、三角パターンは珍しいかも?個性が増える分だけ、得られる経験や…

  • これも中学受験小説『息が詰まるようなこの場所で』(外山 薫)

    子供に残せる資産を持たないサラリーマン家庭の場合、学歴だけが頼りとなるため、小学校低学年から塾に通わせることが常態化している。(本文より) 中学入試の出題候補作品としてではなく 中学受験小説としてすすめたい一冊だよ。 タワマン文学とかカテゴライズされるが 描かれる葛藤はみんなにもお馴染みかと。 変にドロドロしたものを想像してたけど むしろ終盤なんてスッキリできる意外さ。 親たちの会話にはナルホド感もあるよ~。 「わかるー。女子の場合、MARCHの附属には入れたら一丁上がりって感じだよねー。」(本文より) 確かに、女子の早慶附属は割と無理ゲー。 子供達が通うのはサピックスらしき塾で 校舎トップの…

  • その強さの源は『明日、晴れますように 続七夜物語』(川上 弘美)

    そりゃね。簡単にイジメをやめさせることができるくらいなら、最初からイジメは受けないよね。(本文より) 芥川賞選考委員を務めるような大御所で 中学入試ではあまり見ない先生の新作だ。 成長過程の真っただなかで葛藤しまくる 小学四年生の少年と少女の日常を描くよ。 長編ファンタジーだった作品の続編だが 先にこちらを読んでも大丈夫ではあった。 中盤までは不思議要素はあんまりないよ。 もしも入試問題にするならって視点だと 自由に思考が跳ぶ少女視点のパートより 少年視点のパートの方が素材によさげだ。 素材文適性はゆるやかに上がって行って いじめ・犬が話題になるあたりが頂点で 不思議要素が濃くなる後半に下がる…

  • 人知れぬ葛藤と涙『わたしは食べるのが下手』(天川 栄人)

    友だちに人の悪口を言って欲しくないと 感じる少女の人間性が刺さりましたわ~。 児童ペン賞、日本児童文学者協会賞など この1年ほどで様々な賞の受賞歴がある 天川栄人先生の6月発売の新作2冊目だ。 この先生はここ数年で入試に出るように なってきていて界隈でも知られつつある。 今期も先生の本を何冊か紹介しているが、 その中では最も素材文にしやすそうだよ。 序盤から少女の苦しい心情で始まるけど、 出会いをきっかけに彼女は変わっていく。 心が晴れわたる場面が待ってると信じて つらい部分の先へと読み進めて欲しいな。 間違いなく得るものがあると思うからよ。 文章難易度は普通で中学入試標準レベル。 素材文適性…

  • 読みやすさが際立つ『すきなあの人』(神戸遥真, 令丈ヒロ子, 少年アヤ, こまつあやこ)

    わたしたちはいつだって、“みんな”の輪からはみでないように、気をつけているはずなのに。(本文より) 有力作家4人が好きをテーマに競作した 君色パレットシリーズのなかの一冊だよ。 2期の3作品の中では最も読みやすそう。 面白さって点では令丈先生の作品を推す。 あんなオチ、誰も予想できないっしょ! 神戸先生の作品は主人公の後ろめたさが どう転がっていくかに引き込まれたよ~。 ラストの青々とした気づきも良かったな。 こまつ先生の作品は表面からわからない 人間関係の可能性を教えてくれそうだわ。 難易度って点ではかなり平易になるかな。 どちらかと言うと女子向けな作風だろう。 以下、俺のレビューをちょっと…

  • 謎めく舞台の真相は?『六月のぶりぶりぎっちょう』(万城目 学)

    『八月の御所グラウンド』が頻出だった 万城目学先生の6月に発売された続編だ。 前作は1月の直木賞受賞効果が残るので 引続き要チェックということになりそう。 今作は不思議&ミステリ色が濃いぃので 素材文適性っていう面での注目度は低め。 ただ、登場人物の魅力はもんのすごいよ。 主人公の高校教師仲間の個性はその一例。 歴史こぼれ話にも惹かれるものがあった。 本能寺の変の渦中に黒人男性がいたとか。 難易度は難しいに分類されるこの作品に、 俺が書いたレビューの前半パートがこれ。 短編『三月の局騒ぎ』は、奇妙なしきたりのある女子寮に住むことになった大学生の人生を変えた経験。 中編の表題作は、歴史好き高校女…

  • 大人が教えてくれないこと『あるいは誰かのユーウツ』(天川 栄人)

    思いがけないドラマがとびっきり楽しい 天川先生の先月発売されたばかりの新作。 物語の舞台は共学の公立中高一貫校だよ。 題材はよくある物からそうでない物まで 実に多彩でしかも考えさせられるんだわ。 コンプレックスの闇に囚われる子供達に あるがままだって、いいんじゃない?と 優しく囁くようなストーリーがいいよ~。 読めば心が軽くなりそうな連作短編集だ。 素材文には扱いにくい題材も含んでるが 1話目と5話目等は作問に使えるかも? また俺のレビューの要約版を付けとくよ。 はた目にはたいしたことないように見える悩みでも、当人には切実ということ、ありますよね? そんな人にはわかって貰えない心の悲鳴を、優し…

  • 最頻出作家に会える!

    子どもにとって読んだことのある作品の 作家に会うのって特別な体験になるな~。 うちの娘は去年いとうみく先生に会って ますます作品の世界にのめりこんでたよ。 サイン本は嬉々として学校に持ってって とびきり仲良しの子に貸したりもしてた。 すると、お返しに何か貸してくれたりで 興味の輪がいい感じに広がってたんだな。 そういう土台は勉強に限らず活きてくる。 さて、中学受験界隈で脚光を浴びている 村上雅郁先生に会えるイベントの情報だ。 紀伊國屋書店新宿本店で7/14の午後 トーク&サイン会をやってくれるそうな。 詳細についてはコチラで確認するといい。 『かなたのif』刊行記念 村上雅郁さんトーク&サイン…

  • 先入観をぶっ飛ばせ『いつか、あの博物館で。: アンドロイドと不気味の谷』(朝比奈 あすか)

    人間みたいに行動して人間みたいに会話できるようになったら、そのアンドロイドは人間と何が違うというのだろう。(本文より) 人間に似せるよう作ったモノの好感度は リアルなほど上がるんだが、ある水準を 越えると不気味って声が増えるんだって。 その境界線を不気味の谷って呼ぶそうだ。 さて、7月の最注目作品の紹介をするよ。 著者は中学受験界隈では知られてるよな。 サブタイトルがちょっと紛らわしいけど ロボットが出てくる冒険小説じゃないよ。 個性がバラバラな中学生4人の群像劇だ。 博物館でのユニークな体験に感化されて 彼らが人間らしさを見つめ直していく話。 当初は想像もしなかったようなところに 太い絆が生…

  • 仰天、ミラクル小学校『6年2組なぞめいて』(吉野 万理子)

    別に好きじゃないことでもいっしょうけんめいやると、本当にすきなものが見えてくるのかもしれないな。(本文より) 短編小学校シリーズの先月発売の新刊は、 タイトルから連想できるように奇想天外。 現実の壁を軽々と蹴破る愉快な15短編。 それでいて学び要素も多分に含んでいる。 とはいえ、不思議要素が濃いもんだから 前作より素材文適性は控え目になるかな。 挑戦的な作品が多いこのアンソロジーに 俺が書いたレビューの前半部分がこれだ。 6年編2作目はSFテイストが濃厚。 タイムスリップあり、幽霊あり、超科学ありの自由自在ぶり。 とはいえ、軽いだけではなく戦争の哀しさや障害の苦悩のような重厚なテーマもきっちり…

  • 軽妙テイスト、ほんのり甘い『ひみつの相関図ノート』(望月麻衣, 如月かずさ, 神戸遥真ほか)

    読者を驚かせる楽しい罠が盛り込まれた 8人の児童文学の旗手による競作短編集。 トコトン子供の感性に寄り添う作風だし 胸の高鳴る作品との出逢いになるだろう。 不思議要素やびっくり要素が濃いぃから 問題文にはあまり向かないかもしれない。 とはいえ、娯楽作品としてはアリでしょ。 俺にはスランプの文芸女子を描き上げた 如月かずさ先生の短編が刺さりまくった。 学年トップの陽キャ女子とガリ勉男子の 交流を描いた神戸遥真先生の話も印象的。 ほかにも思わずニヤリとする作品が少々。 例によって俺のレビューの一部を以下に。 青春の甘酸っぱさがぎっしり。驚きの結末を約束する彩り豊かな短編集です。 いっそ清々しいほど…

  • わかり合えることの祝福『girls』(濱野 京子)

    自分のことをわかってほしいとか、相手をわかりたいとか、そういうのは必要ないと思ってきた。(本文より) わりと入試に出る作家の6月の新作だよ。 苦悩を抱え込んだ3人の少女たちの絆が お互いを知ることで深まっていく筋書き。 彼女達が前を向き困難に立ち向かう姿が たくさんの若者に力をくれそうですわ~。 女子の読者層を想定した小説ではあるが 何がハラスメントになるか等も学べるし 男子にも参考になる要素が多い気がする。 以下は俺のレビューのごく一部になるよ。 共学の中高一貫校が舞台。 男性にまつわるトラウマのある中3の少女たちが、思わぬ流れから親しくなり、心の距離を縮めるなかで、それぞれの悩みに自分なり…

  • 新米部長のステップアップ『凜として弓を引く 初陣篇』(碧野 圭)

    知ってる?弓道は高校から始めても全国に行ける、数少ない運動部なんだぜ。(本文より) 弓道モノは中学入試より高校入試の方で 出題されてるのを見るような気がするな。 今回紹介するのはシリーズ三作目だけど 前の作品は都立西高の入試で使われてた。 高校生が弓道に出会いのめりこんでいく ストーリーの中でついに対外試合が開幕。 緊張の舞台で素人集団はどうなる?って まぁ、こんな筋書きになっていくわけよ。 主人公の弟のアドバイスや顧問の先生の 奮闘ぶりってのもかなりの見どころだわ。 一応俺のレビューを少し貼っときまっせ。 経験の浅い主人公が、立ち上げたばかりの弓道同好会で初めての試合に臨むストーリー。 右も…

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