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  • 出題されるかもしれない新刊本(2024年7月前後)

    7月発売の本はちょっと少な目のようだ。 いつも言ってるが、大部分が未読なんで 多分出題向きじゃない本も混じってるよ。 7/1発売 『いつか、あの博物館で。: アンドロイドと不気味の谷』(朝比奈 あすか) 4人の中学生男女の3年間を描く群像劇。 7/18発売 ポプラ社小説新人賞奨励賞 『夏のピルグリム』(高山 環) 居場所も気力もなかった中1女子の旅路。 7/25発売 『6年3組さらばです』(吉野 万理子) 完結?卒業を迎える子どもたちの15編。 8/8頃発売 ☆先行レビュー済☆ 『みかんファミリー』(椰月 美智子) 中1女子は自由すぎる母に振り回されて。 8/8頃発売 ☆先行レビュー済☆ 『い…

  • 情熱よ、燃えうつれ『光の粒が舞いあがる』(蒼沼 洋人)

    つらいときは、今までもたくさんあった。そのたびに息を吸って、歯をくいしばって、がまんしなきゃ、って自分にいいきかせてきた。(本文より) 前作のクオリティはハンパじゃなかった。 作問後の8月末に出たため中受界隈では 注目されなかったが2ヶ月早く出てれば 今年の入試で使われまくっていたはずだ。 その点、明日発売の今作はオッケーだよ。 受験界に蒼沼先生の名を轟かせるかもな。 そんだけパンチのある作品が来ちまった。 母の勝手に振り回される少女達の物語だ。 ボクサー女子のキャラがもの凄く強烈で そのカッコいい生き様に主人公の少女が めちゃめちゃ影響されていくんですわ~。 家でも学校でも窮屈に感じていた少…

  • 疎外感と生きてゆく『あの空の色がほしい』(蟹江 杏)

    ママは私をユニークな子だって言ってたけど、私だって本当は自分が仲間はずれにされるのが怖いんだ。(本文より) 頻出作家を追っていては気づけない新作。 画家が初めて描いた小説ってことなんで あんま期待してなかったが、超いいわ~。 所謂発達グレーゾーンとおぼしき少女の 心のゆらめきがめっちゃ胸に迫って来る。 気づけば完全に物語の虜になっていたよ。 半分は実話というのがリアルさの肝かも。 素材文適性は好奇心に負けて手に汗握る 展開となる4章から急上昇していく印象。 委員会トラブルに胸が詰まる6章だとか 親友の話に揺れる13章も適性は高そう。 あとは7章、8章、16章も使えるかな。 ま、問題文に使えると…

  • エピソードに宝あり『女の子たち風船爆弾をつくる』(小林 エリカ)

    「ごきげんよう」は伝統あるこの学園発祥の挨拶なのだから。(本文の跡見学園を描いたパートより) 麹町学園の歩みを紹介する公式ページに 戦時中、雙葉や跡見の生徒たちとともに 風船爆弾の製造に従事したと書かれてる。 何を作っているのか知らされないままで 勤労奉仕という名の労働をしてたんだな。 そういう話を掘り下げてるのが今回の本。 雙葉、跡見、麹町学園と、宝塚歌劇団に かかわる少女たちの人生を紐解いてゆく。 多視点で語る文体があまりに独特なので 正直、小学生にはあまり薦められないが 興味深い史実に触れられる作品ではある。 特に戦時中の話は未知のネタが多かった。 男は大学に入らないと召集されるからと …

  • 未来を照らしてくれる『いつか月夜』(寺地 はるな)

    なんでわたしが親の都合で住む家をここまでコロコロ変えられなあかんの。(本文より) 『タイムマシンに乗れないぼくたち』や 『水を縫う』で有名な著者の8月の新刊。 ひとことで言うと、煮え切らない青年が 出会いをきっかけに変貌を遂げる物語だ。 道に迷ったとき決断を後押ししてくれる このうえない地図が得られる本だと思う。 大人に振り回される中学生の嘆きだとか 心にズシリとくる部分もあったんだけど そういうのがあるからこそ終盤がキラリ。 面白かったのは、女子は好きな人の話が 仲良しのファストパスになるってネタだ。 例の難易度分類では難しいになるだろう。 以下は出版社に送ったレビュー全文だよ。 「善く生き…

  • 終末のドラマ『それでも私が、ホスピスナースを続ける理由。』(ラプレツィオーサ 伸子)

    人生は作者のいない物語だ。(本文より) 教師だった母は志願して病院内の学級に 赴任したが長くは持たず異動を願い出た。 教え子の命の灯が次々と消えていくのが 繊細な俺の母にはつらすぎたんだろうな。 さて、今回紹介する本は、死にゆく人に 向き合い、その願いを叶える職を求めて 渡米したナースの実体験を元にしている。 描かれるのは過酷で生々しい命の現場だ。 これでよく続けられると何度も思ったわ。 病人だけでなく家族のケアでも前に出る。 ほんっとどこまでも頭が下がるお人だよ。 何が彼女をそうさせるかは本で確かめて。 日本では7割の人が家で最期を迎えたい のに8割が病院で亡くなってるそうだよ。 ホスピスナ…

  • 救いの泉『あなたの言葉を』(辻村 深月)

    学校のテストと違って、実は世の中には「正解」がないことがほとんどです。(本文より) 毎日小学生新聞に連載されたエッセイ集。 子どもたちに上からではなく同じ目線で 語りかけるから共感を呼びまくりそうだ。 つらい気持ちを救ってくれるさまざまな エッセンスがぎゅっと詰まってるんだわ。 綺麗ごとに終始しないところもGOOD。 注目したいのは自分自身に向き合う話が 生きていくため指針になりそうな第1章。 しょっぱなから、これいいな!と感じて 2話目で技アリ選書になると思ったわ~。 2章以降にも興味深いネタが山盛りだし 著者のファンでなくてもそそられそうだ。 以下、オレが書いたレビューの一部だよ。 最初の…

  • 『きみの話』の快記録

    『きみの話を聞かせてくれよ』といえば、 今年の入試で話題をさらった作品だよな。 現在わかっているだけで出題校数20校。 これは今年だけでなく、過去に遡っても 出題件数の新記録になるんじゃないかな。 【2024年中学入試出題リスト】 駒場東邦中学校 海城中学校(2回目) 学習院中等科(2回目) 立教女学院中学校 横浜雙葉中学校(1期) 大妻中学校(2回目) 日本女子大学附属中学校(2回目) 昭和女子大学附属昭和中学校(A) 足立学園中学校 国立音楽大学附属中学校 栄東中学校(A2) 武南中学校 専修大学松戸中学校(2回目) 土浦日本大学中等教育学校 同志社女子中学校(前期) 関西大倉中学校(A2…

  • 家族の絆が沁みてくる『みかんファミリー』(椰月 美智子)

    割と入試で見る作家の8月に出る新作だ。 近年のこの先生の作品の中では多分最強。 中1女子の困惑に満ちた新生活ってのに 引き込まれ、家族の気持ちの移ろいには もう完全にノックアウトされちまったよ。 テーマも文章難易度も素材にピッタリで、 それでいて面白さって点でもバッチシだ。 作問選書シーズン終盤の発売ではあるが これは選んでほしいとオレは感じたわ~。 同い年の少女との物理的・心理的な壁が なくなる場面や母に感情をぶつける場面 などなど素材によさげなシーンは多めだ。 脇役だけど、まっすぐで偏見を持たない 主人公の友人の立ち回りもよかったわ~。 変わった家族のカタチに触れられる本作。 いちおう俺の…

  • そこかしこに人生訓『6days 遭難者たち』(安田 夏菜)

    こんな山、どうってことないって思ってたのに・・・・・こんなことになるなんて。(本文より) 安田夏菜先生の先月発売された新作だよ。 現実に折り合いをつけることに悩んでた 3人の女子高生が山で絶体絶命に陥る話。 追い込まれた彼女たちがどう変わるかが この作品のいちばんの見どころだろうな。 終盤にかけてはもう圧巻というしかない。 友のため動く決意、メソメソからの脱却、 確固たる意志への目覚めなどが響く響く。 手厳しいことでもズケズケと言ってくる 教師の根っこに透ける優しさもいいわ~。 弱さを受け入れてこそ強くなれるという 言葉には普遍的な価値があると感じたよ。 勉強だって何だって、自分の至らなさを …

  • 葛藤が心を射抜く『王様のキャリー』(まひる)

    この俺が、わざわざお前のために嫌なこと我慢すると思うか?(本文より) 講談社児童文学新人賞の大賞受賞作だよ。 発売日は2ヶ月以上先の8月下旬ですわ。 eスポーツをめぐる友情を描いた新作だ。 ふだんは本に見向きもしない子たちさえ 振り向かせるような題材を扱ってるのに 頭の固い大人にも響くような物語だわ~。 やっぱ大賞作品ともなるとダテじゃない。 問題文には主人公が自分自身の想像力の 足りなさを思い知る部分が特に使えそう。 場面的には、病院の前や教室での会話で 思わぬ流れになるところもいいだろうな。 親がかかわる会話にも注目シーンがある。 ネタバレ禁止なんでぼかして書いてるが 素材文適性はかなり高…

  • その印象はどう変わる?『きらいなあの人』(工藤純子, 蓼内 明子, 花里真希, 黒川裕子)

    傷を治すためには、痛くても怖くても、ほんの少しだけ勇気を出さなきゃ。(本文より) 入試でおなじみの作家さん達が揃い踏み。 君色パレットシリーズ2期の注目作品だ。 タイトル通り嫌な誰かが登場するんだが もちろんそのままで終わらないんだな~。 各話でおこる変化のトリガーが何なのか、 主人公がどう成長するかが見どころだよ。 収録作品 『パーフェクトじゃないオレたち』(工藤 純子) 『妖怪オレ様』(蓼内 明子) 『帰国子女』(花里 真希) 『まひるは絶滅することにした』(黒川 裕子) 難易度は普通と平易の間に収まる感じで 素材文適性は多分2期3作品の中で最強。 以下は俺のレビューのほんの一部ですわ。 …

  • 令和のクラスメイツになるか?『6年1組すきなんだ』(吉野 万理子)

    大人になるというのは、自分のすきなものにお金を使えるようになる、ってことだと思うな。(本文より) 一話10ページあまりでサラリと読める 6年男女15人の視点で描かれた短編集。 ここではあえて紹介してこなかったけど、 この短編小学校シリーズは5年版もある。 そっちは4年生の模試に合いそうな感じ。 6年版は微妙にレベルアップしているよ。 今のところ3冊出る予定のようなんだが 後に続く作品しだいでは、森絵都先生の 『クラスメイツ』ばりに注目されるかも。 いや、悪ぃ、さすがにこれは言い過ぎか。 もうちょい難度が上がるといいんだけど。 登場人物が多いせいかよく解らない子も。 逆に誰かに似ていて解りすぎる…

  • あきらめない、くじけない『浅草蜃気楼オペラ』(乾 緑郎)

    帝劇でも、ローヤル館でもない。自分が一番輝ける場所は浅草だった。(本文より) かつて大正の頃、活動写真が流行る前に 浅草で歌劇ブームがあったってハナシだ。 大衆の中で燃え広がったオペラへの熱は 時代や世相に流されつつ冷めてくんだな。 その浮き沈みの中にドラマが詰まってる。 大人向けで、時代背景的にも難しいゆえ 普通の小学生には全く薦められないけど 当時の文化を知る意味でも面白い作品だ。 華やかな世界の舞台裏には驚かされるよ。 並の学校での出題は考えにくいんだけど 少女の成長&友情の物語っていう路線は 作問者の目に留まってもおかしくはない。 俺のレビューの一部だけ以下につけとく。 主人公は劇団に…

  • 脇役が舞台に!『なんでもないあの人』(濱野京子, 林けんじろう, 椰月美智子, 昼田弥子)

    人間は、わからないことがそこにあるなら、わからないまま向き合うしかない。(本文より) 多様性をみつめるショートストーリーが うたい文句の君色パレットシリーズ2期。 豪華な作家陣がズラリと並ぶ凄い企画だ。 3~4年生に丁度良い難度だった1期も ほんの少しとはいえ一応中学入試に出た。 2期のレベルは微妙に上がっている印象。 特に『異ロンナ』は出題標準級の難度だ。 こき下ろされてもヘラヘラする人を見た 中学二年生の心の揺らぎを描いた短編で 主人公や新米作家の優しさが沁みるよ~。 『レッドさん』など他の作品は割と平易。 どの話にも驚きと気づきがあふれてるよ。 楽しくて読みやすいこのアンソロジーに オレ…

  • こんな爽快なのアリ?『夜と跳ぶ』(額賀 澪)

    そう、スケートボードはストリートで生まれたスポーツなのに、街では邪魔者なわけ。(本文より) 割と入試に出る作家の来月発売予定の本。 スケートボードって珍しい題材を扱うよ。 パリ五輪に無関心すぎる金メダリストと 五輪を撮りたくて仕方ないカメラマンが ストリートを舞台に駆け回る筋書きだわ。 読めば熱いものがこみ上げてきそうだよ。 かつ間違いなく未知の世界を感じられる。 アウトローのイメージが付きまとうから 普通の作問者は避けるかもしれないけど こういうのを出せたらある意味すごいよ。 お行儀がいいと魅力が伝えきれないから 思いっきり弾けたレビューを書いてみた。 奴らはスケボー界のバンクシーだ! 華麗…

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