子供たちは、毎日、必ず、モノを壊す。 少しでも、その片付けの負担を減らす目的で、 引き出しに、外からは見えない鍵を取り付けた。 その結果、以前は開いた引き出しが、 開かなくなったことに、U一郎が激し怒り、 U一郎も部屋も、悲惨な状態となって、 作りかけの夕食まで、台無しにしてしまった。 引き出し 開き戸 ICカードキー 後付け 自閉症のU一郎は、環境の変化に弱い。 だから、鍵がなかった引き出しに、 途中から鍵をつけるのではなく、 「鍵で開け閉めできる引き出し」というのを 最初から、U一郎によく見せて理解させ、 その後。鍵を閉めて利用する方が 良かったのではないだろうか。 そんなことが、頭をよぎった。 でも、それより、もっと大事なことは、 鍵を閉めて開かなくなった引き出しを、 また、開けておいておくのか、 それとも、二度と、..
カナシミ ・さようなら、みんな。ありがとう。 ・私が深める私のカナシミ ・どうしてこんなに運が悪いのか ・往生際の悪い母親 ・「でんでんむし」のその後 ・「でんでんむしのかなしみ」
U一郎とO次郎は、放課後デイサービス(放デイ)に通っている。 そこは、学齢期の障害のある子供の学童みたいなものだけれど、 「療育機能」も持っている点で、普通の子供が行く学童とは違う。 療育とは、「治療+教育」という意味で、 障害のある子どもが、より自立した生活を送るためのもの。 具体的に、何をするのかというと、 例えば、会話とか、コミュニケーションの練習や 日常の生活動作(着替え、スプーン、他)の練習など。 たいてい、その子供にとって、必要で苦手なことが選ばれ、 「療育」として教わることが多いんじゃないかな。 そして、多くの放デイが、そのホームページで、 「療育をしている」ことを強調しているように見える。 でも、この「療育」だけれど、 子供を放デイに通わせるお母さん達との会話では、 こんな話が出ることも、結構ある。 「本当に療育でき..
小学校へ入学して、間もなく、 学校の階段から、転げ落ちてしまったO次郎。 クラスのみんなより、少し早めに夏休みに入り、 階段での記憶も、日々、薄れているように見えた。 ところが、放課後デイサービスに行こうとした日、 階段での体験から、新たな問題が生まれたことを知った。 小雨が降りかかけっていたため、傘をさして歩くのはやめて、 放課後デイサービスの近くまで、バスで行こうとした時のこと。 O次郎は、バス停で、U一郎とともに、 久しぶりにバスに乗ることを、ウキウキして待っていた。 バスが止まってドアが開き、まず、U一郎がステップを上った。 次は、O次郎が乗る番。それなのに、じっとして動かない。 「どうしたの?早く行きなさい?」 先にバスに乗ったU一郎が気になり、つい、O次郎をせかす。 「ィイヤダァー!イヤダーァッ、乗らないぃぃーっ!」 お..
●午後4時半 そろそろ、夕食にしようと思ったら、 床に、鈍く光る小さな銀色の玉が落ちていた。 「これ、なんだろう?」 親指と人差し指でつまんで拾い、よく見てみる。 指先で押してもつぶれない。匂いはなさそう。 とりあえず、子供たちが、口にいれたりしないように 他にも何か落ちていないか、床を見て回る。 すると、ポツリ、ポツリ、とあちこちに転がっている。 銀の玉を拾いながら進むと、だんだん数が多くなり、 とうとう、洗面所にたどりついた。 そこには、大量の銀の玉が転がり、布の残骸が落ちていた。 それは、変わり果てた「洗濯まぐちゃん」達の姿だった。 毎日、洗濯があまりに多いため、 洗剤の使いすぎによる肌荒れを防いだり、 洗剤などの費用を少なくするために この洗剤グッズを使っている。 銀の玉は、「洗濯まぐちゃん」の中身の マグネシウムだったのだ。 ..
子供達が、毎日、家のモノを壊すことで、 日々の生活も、破壊されてしまうため、 引き出しに鍵をかけてみることになった。 引き出し 開き戸 ICカードキー 後付け 療育で紹介されたこの鍵は、後付けできて、 しかも、鍵がついていることもわからない。 もちろん、本当に大事なものは、 子供たちに絶対わからないところに 厳重に隠してある。 でもそれは、普段、簡単には出せない。 だから、今回、この鍵がうまくいったら、 家中の引き出しや開き戸などに、 少しずつ取り付けていく予定。 そして、U一郎やO次郎に モノを壊されることを減らし 後片付けの手間を減らそうというのが、 療育の先生の考えだ。 その後、鍵を取り付けて一週間経っても、 鍵をつけた引き出しには、何も起きなかったし 子供たちも、いつも通り、別のモノを壊していた。 ..
歩き始めるのが遅かったO次郎だが、 足のことは、就学相談で問題にもならず、 O次郎は、小学校の支援学級に通うことになった。 O次郎の教室は、校舎の1階ではなかった。 また、図書室や体育館、ランチルームなど 学校生活では、ずいぶんと移動が多く、 毎日、どれほど階段を使うのか不安だった。 私が、子供たちを学校までお迎えに行くと、 O次郎は、おでこ、指先やひざなどに、 よく、かすり傷や打撲などを作って戻ってきた。 どうも、何もないところでも、転ぶらしい。 忙しい学校生活に、疲れ始めていたのかもしれない。 学校では、中学年にもなると、 すごい速さの2段とび、3段とびで、 階段を駆け上ったり下りたりする子もいた。 もし、O次郎が、そういう子に少しあたってしまったら、 バランスを崩したまま、大きく転ぶだろう、と思った。 近いうちに、学校..
U一郎とO次郎は、障害をもって生まれてきた。 発達はゆっくりで、特徴的な面もいろいろある。 子供たちは、どちらも、 将来、自分で働いたお金だけで生活したり、 福祉に頼らずに生きていける可能性は、低い。 だから、障害者施設やグループホームなどへ 子供たちを入所させることになるかもしれない。 私は、自分の子供たちが何歳になったら、 施設に入所させても良い、と思えるかな。 世間では、高校生や大学生になると、 学生寮に入ったり、下宿したりする子がいる。 それは、前向きで、明るいイメージがある。 でも、同じくらいの年の障害のある子供を 親が、障害児施設へ入所させることには、 私の中では、親を、高齢者施設に入れるイメージに近い。 世の中には、自分の親の介護が、どんなに大変でも 高齢者施設に入れることに、踏み切れない人もいる。 私の気持ちも、それ..
子供達に、毎日、モノを壊されてしまうため、 平穏な生活のための対策と、療育をかねて、 引き出しに鍵をつけ、2人の行動をみることにした。 子供たちを寝かしつけ、寝息を確認した後、 鍵の説明書を読み、取り付け方法を理解する。 引き出し 開き戸 ICカードキー 後付け 鍵がちゃんと閉まるか、確認したりするうちに、 思ったより時間がかかり、お茶を飲んで一服する。 ふと、子供たちの様子が気になって寝室に行くと、 珍しく、2人とも、ぐっすり寝込んでいる。 なんとか取り付け、カードキーで開閉を試す。 「今は、こんなのがあるんだなー、すごいなー」 と感心しながら、取り付け終了。 見た目にも、鍵がついていることすらわからないし カードキーでの開閉もスムーズだ、 ちょっとした達成感で、気分が上がる。 わけもなく明るい気分で布団に入っ..
U一郎とO次郎は、小さい頃からずっと、 毎日、モノを壊して生きてきた。 そのことを、療育などで相談すると、 だいたい、こんな回答がくる。 1「いつか終わるから、それまで好きにさせてみなさい。」 2「壊していいものを、毎日決めて、与えなさい。」 3「壊されて困るものは、全部しまって鍵かけて。」 4「くせがつくと困るから、部屋の中にモノを出さないで」 5「どうしたら、いいでしょうねぇ。むずかしいですね。」 つまり、相談する相手によって、回答は異なる。 4と6の回答は、話にならなかったので、 1~3の中で、どれを選ぼうか、考えたことがある。 初めは、教育的な気持ちもあって、 2の回答を、家で実践してみた。 チラシや不要の箱などを入れた段ボール箱を用意する。 「これは、壊していいよ。でも、他は壊さないよ。」 と繰り返し教える。 そして、壊し..
就学相談が近づくにつれ、 自分自身の受験の時とは、比較にならないほど 私は、暗闇へと追い詰められていった。 O次郎は、全体的に発達が遅かったため、 自然と、支援学級への入学を考えていた。 でも、足の問題が長引くにつれて、 足が原因で、支援学校に行かされるのではないか という心配が出てきたからだ。 O次郎を、支援学校に行かせたくなかった理由は、 U一郎が、先に支援学級に入っていたことが大きい。 支援学校は、U一郎の学校とは反対方向で、 さらに、家からは、とても遠い場所にある。 スクールバスはあるが、毎日、バス停までの送迎が必要だ。 毎日、U一郎を学校まで送迎しているのに、 さらに、O次郎をバス停まで送迎なんて、時間的に無理だった。 「でも、皆さん、なんとかやりくりしてやってますよ」 「そこをなんとかするのが、お母さんの力でしょう」 「..
●午後4時半 食事の下ごしらえが終わり、リビングに行くと ずいぶん寒いな、と思った。 しばらして、ふとエアコンのリモコンを見ると 冷房になっていた。しかも、17度だった。 O次郎を呼びつけて、イタズラを叱ると、 「ちがうよー、最初にクソU一郎がやったんだよー」と言う。 「でも、その後、リモコンのボタンを押したでしょ?」 「勝手にやらないで。わからない時は、ママに言ってよ」 O次郎の顔を、私に向けさせるようにして、注意する。 「わかったよぉー、でもねー、U一郎はバカだからさぁ」 とO次郎は、目をそらしながら妙な答え方をした。 その時、後ろでコソッと音がしたので、振り返ると 下だけ、サーフパンツをはいているU一郎がいた。 「どうして それ、はいてるの!?」 思わずイスから立ち上がり、大声でどなった。 「キャヒィィッ、ウクククーゥ」 おか..
最近の私は、思うところがあって、 医療や療育などに、過剰に期待するのはやめて 今後は、自分を頼りに進もうと思い始めていた。 今までとは違う、その気持ちは、 自然に、自分の言葉や行動に現れた。 いつの頃からか、私は 子供の後始末に追われ、 探しモノ、修理、そして膨大な掃除、洗濯と料理で 毎日が手一杯で、いつも小言を繰り返していた。 これでは、永遠にどうにもならないと思い始め、 子供に、モノを壊されたり、失くされたりする前に、 私から、強引に2人に関わっていくようにした。 以前、子供達といる時間は、なぜか苦痛で 寄ってこられると、なぜか家事を始めたくなり、 時々、物理的に、子供と距離を置こうしがちだった。 でも、今は、目的があるせいか、 自分から子供に寄っていくことができる。 そして、昨日、U一郎を軽く抱きしめながら、 ベラ..
新型コロナウィルスの感染拡大で 再び、緊急事態宣言が出されていても 学校や放課後等デイサービスなどは、 今までどおり、あまり変わりなくやっている。 重症者数が過去最大とか、入院できないとか そんなの、まるで、別の世界の話みたいで、 そこでは、「子供は大丈夫」という信仰を、 みんなで信じているような雰囲気がある。 「みんな、来てますよ。誰も感染してません。」 「前回の緊急事態宣言とは違いますから。」 「これは、不要不急ではありません。そうですよね。」 「どういう感染症対策をしたら、信用できるんですか?」 「子供は、滅多に重症化しません。世界中で確認されてます。」 「ニュースを見て、正しい情報と知識を持って下さいね。」 「子供にとって、感染より怖いのは、学びが遅れることですよ。」 そんな言葉を、強い口調で言う人もいるらしい。 医師の「コロナ感染は..
生まれた時から、足の関節がとてもゆるくて、 普通は曲がらない方にも曲がりそうだったO次郎。 のっぺりした偏平足で、全く土踏まずがなく、 ひんやりした感触と、横に広がる皮膚の感じから 「まるで何か違う生き物の足みたい」 とよく思ったことがある。 複数の保育園に入り、週に数回通っただけで、 自然と活発になり、自分で動き回ることで 足がずいぶん鍛えられたと思う。 でも、それだけでは不十分に感じたので、 家や外で、ずいぶん練習を繰り返した。 その頃、O次郎は、 私の支えなしでジャングルジムには登れなかったし、 少し高いすべり台も、階段をのぼる途中で 足を変な方向にまげてひっくり返って落ちそうになったりした。 また、車道と歩道に間にある縁石に、登りたがったが、 1人で登り降りすることは、自分では絶対しなかった..
●午後1時半 U一郎の爪切りをしていると、 「ビーッ、ビーッ、ビーッ・・・」 突然、けたたましく、警報音が鳴った。 あわてて、音の鳴る方へ行くと、 インターホンに取り付けられた警報機が 赤く点滅しながら、警報音を発していた。 急いで、点滅ボタンを押して、警報音を止める。 そして、そばにいたO次郎を、質問攻めにする。 「どうしたの?何かしたの?これ、どうして鳴ったの?」 すると、O次郎は、頭と目をキョロキョロさせながら答えた。 「ちゃんと作動するかどうか、確認してみたんだよ」 その時、インターホンから声が聞こえた。 「〇〇〇警備会社です。緊急通報がありましたが何かありましたか?」 私は、動揺しながら答えた。 「すみません。子供が間違って押しました。大丈夫です。すみません。」 安全確認の質疑応答の後、何とか事なきを得た。 どの一部始終を聞き..
U一郎とO次郎の問題行動が、大きくなるにつれ、 私の毎日も、私自身も、以前とは全く変わった。 多少、療育を続けていたり、病院には行っているけれど、 たぶん、子供たちが、普通に就職したり結婚したり、、 そんなことは、もうないだろう、と思っている。 死ぬまでに、1人で、或いは主人と、 1拍2日の国内旅行を、安心して楽しめる日がくるかどうか そんなところかもしれない。 子供たちは、主人の葬儀も、私の葬儀もできないだろう。 自分の親族の子供などに頼むのは、とても気が引ける。 だから、主人も私も、どこかの無縁仏にと思っていて、 全ての手続きを、なるべく早めに依頼するつもりだ。 少しずつ、いろいろと調べ始めてみると、 私達夫婦とは異なり、本当に人それぞれの事情で、 若くても、人生の最期を考えている人達もいた。 自分達だけが、同情され過ぎることはなさ..
●午後4時 ベランダで、植木鉢を片付けていたら、 丸い黒いものが、土の上から飛び出していた。 「なんだろう?」とよく見ると、鉄玉のドラえもん! ドラえもん 南部鉄器 鉄玉 以前、発達障害の子供に、鉄分が多少効果あると聞き、 わざわざ購入して 料理などで使っていたものだ。 最近、キッチンで見当たらず、探していたところだった。 土をはらうと、かなり黒ずんでさびていた。 肥料も入れていた土だったこともあり、 これは処分し、新しい鉄玉を購入することにした。 部屋に戻り、O次郎を呼びつけて、問いただす。 「この鉄玉を、植木鉢の土に埋めた?」 O次郎は、片足立ちで、もう片方の足を何度もふり、 両手はバラバラに円を描くように回しながら答えた。 「それはねー、バカ死あほのU一郎だよーん」 こういう時のO次郎は、あまりウソをつかない。..
コロナ禍での、初めての年賀状。 年末に書いていた時、 相手の状況を想像して、どう書いたらよいのか、 いろいろ考える機会があった。 その時、思いついたことがある。 最近は、とても高齢の上司や先生などが、 「年もとってきたため、年賀状はこれで失礼します」 と書かれた賀状もあったので、 「私も、この年賀状で、みんなとさよならしよう」 とひらめいたのだった。 子供たちの障害のことは、友人や知人に全く話していない。 どうしようかな、なんて言おうかな、と思う中で 同窓会や、家族連れで食事会などが、 昔の仲良しメンバーもいる様子で開かれていた。 どれに参加するにしても、 みんなに、気を遣わせてしまうかな、とか 向こうも、きっと困るだろうな、とか あれこれ考えるだけでなく、 実際問題、U一郎とO次郎を連れて行くことは ほとんど不可能に近い状態だった..
U一郎とO次郎は、毎日、あらゆるものを壊し続ける。 私は、自分が十代のころに比べると はるかに、気が回るようになり、 できることも、とても増えたと思う。 でも、そのくらいでは、全く太刀打ちできないほど 子供達は、毎日毎日、飽きもせずに 私が、家族のために、2人のために、準備したものを 全て打ち砕いていく。 「賽(さい)の河原って、こんな感じなのかな」 そんなことを。何度も思うようになった。 怒る気力も、叱る勢いも、どんどん先細りし、 ダイエットの必要が全くないほどの体型にまで痩せ、 何か買いたいとか、何か欲しいとかの気力がなくなった。 欲望がなくなるのは、楽だけれども あちこちにできているケガが、いつも痛み 若い頃には感じなかった体の不調が、影を落とす。 潰されても、潰されても、潰されても 這い上がって、立ち上がり、前を向く人もいる..
異なる時期に生まれたU一郎とO次郎なのに、 2人とも同じことで、問題を起こすことがある。 その一つが、おむつ替えだった。 小さい頃、U一郎とO次郎は、 おむつ替えの時に、どちらも本当によく泣いた。 その泣き方は、普通の泣き方ではなく、 近くにいる人達が、みな一斉に振り返ったり、 「どうして、こんなに泣いているんですか?」と 知らない人に、怪しまれたりした。。 また、泣いている子供のそばに、いろいろな人がやってきては、 歌を歌ってくれたり、笑ってあやしてくれることもあったが、 どれもこれも、逆効果だった。 子供たちは、火災報知器のようにもっと激しく泣き出し、 結局、泣きやまそうとしてくれた人が 私の育て方に問題があるような言い方をして立ち去ったりして。 私は、時々、体にじんましんが出てしまうようになった。 今でも、その時のことを思い..
2度目の緊急事態宣言が出たものの、 すぐに収束するような気配は見えないし。 医療関係者は、とても大変そうだ。 そんな不安が続く中で、 コロナ患者に対する「トリアージ」が提案されている と、報道で知った。 「トリアージ」とは、 軽傷の患者や助かる見込みのない患者よりも、 処置すれば助かる見込みのある患者を優先するものだ。 その結果、平時なら助かった人が、死ぬ場合もある。 「命の選択」などと書かれていたりもする。 昨年の春頃、イタリアでは、 「80才以上の高齢者に対する治療を断念した」 というニュースを聞いたように思う。 誰かの「死」と引き換えに 自分の命を、つなぎとめる、というのは あまりにも、重くてしんどい。 子供は感染しにくいし、重症化しにくいと聞く。 でも、もしも感染して、運悪く重症化して トリアージの対象となり、 誰..
障害のある子供が、 自宅、学校や施設から、或いは、外出先で 行方不明になってしまうことはある。 障害児の行方不明(見失い)は、 放課後等デイサービスや移動支援に限ったことではない。 日本全国で考えると、 週に2~3人以上は、そういう子供が行方不明になり 警察に通報されているのではないか、という話も聞く。 行方不明の子供を見つけるまでに、長い時間がかかると 最悪の結果を招く可能性も高くなるだろう。 少し前にも、報道された事件がある。 2015年、東京都八王子市にある障害者の福祉施設から 重度の知的障害者の少年(15才)が行方不明になった。 この少年は、その2カ月後、 高尾山麓の沢で、帰らぬ人となって見つかった。 この施設は、少年が行方不明になった責任を認め、 慰謝料として、2200万円を払う姿勢をみせたらしい。 でも、この..
新型コロナウィルスの感染者が爆発的に増え、 2度目の緊急事態宣言が出ると報道があったため、 子供たちが通っている放課後等サービスに 「今週の金曜日は、お休みします」と連絡した。 欠席の理由に、こんなことを話した。 もちろん、子供たちを、感染させたくないのが一つ。 2人ともアレルギーがあり、どういう症状がでるか怖い。 それに、昏睡状態などでなく、動き回れる状態だと、 子供だけで入院など、できるとは思えない。 こんな時に、病院のスタッフや患者さんに、 一体どんな迷惑をかけてしまうのだろうか。恐ろしい。 結局、鎮静剤などを打たれて副作用で苦しむのではないだろうか。 また、もし親に感染した場合、子供を見てくれる人がいない。 いろいろ問題を起こす子供たちだし、もう幼児ではないから とても自分の兄弟や親せきには、とても頼めない。 そういう場合、..
私が、もう疲れ切ってしまった原因は、 U一郎とO次郎のそれぞれのことだけでなく、 問題を次々に生み出す2人が合わさって 毎日の生活を圧迫するせいだと思う。 「世界中の物は、全て自由に使っていい」 U一郎とO次郎は、生まれた時からずっと なぜかそんな風に思い込んでいて、 何度言っても、その考えを改めない、 2人とも、基本的に「人」に関心がなく、 モノの所有者や、その所有者の気持ちなんて 考えが及びもしないのかもしれない。 毎日毎日、O次郎は、 自分の思うままに、あらゆる物を勝手に使い、 自分の目的のために別の場所に移動させ、それを壊し、 最終的には、置きっぱなしにして紛失する。 そして、そのことで叱られて泣くことになっても その数秒後には、もう平気でケロッと笑っていて、 それが、さらに相手を激怒させてしまう。 そして、毎日毎日、U次..
●午前6時 ADHDのO次郎が、朝から騒ぎ立てる。 「ママー、布団が濡れてるー!U一郎のおねしょだー!」 その大声に眠気も吹き飛び、飛び起きる。 ぐっすり眠ってるU一郎の布団に手をあてると ・・濡れてる!!しかも、あちこちだ! どうしてこんな広範囲に?と思うほどに 敷布団や掛布団などが、ぐっしょりだった。 寝る前に何度もトイレに行かせてるのに、どうして? 気が滅入って、しばらく動けなくなっていたが、 「うゎぁ、ここもだ、ここっちもだー」と O次郎が嬉しそうに騒ぎ立てる声を聞き、 いい年をして泣きべそをかきそうな自分を立ち上がらせる。 敷布団をあげると、下のマットレスまでしっかり濡れていた。 「もうダメだ。こんなに大量に洗えない。」 もう、何度もおねしょもしているので、 いくつかの布団がこの機会に処分することにする。 寝ぼけているU一..
自分が今までになく、疲れている原因は、 U一郎だけでなく、もちろんO次郎のこともある。 O次郎は、とにかく大声でしゃべり続ける。 相手に話す間を与えないばかりか、 相手が返事をしたり、何か話し出しても、 それにかぶせるように、話し続け 結局、相手を怒らせて退散させてしまう。 その言葉の多さと勢いは、あまりにも凄すぎて 心理士さんや放課後デイサービスの指導員などに 「ねぇ、もう、ちょっと黙ってて!」 と大声で叫ばれるほどだ。 また、O次郎は、興味の対象に集中する力も普通ではなく、 一度のめり込み始めると、 名前を呼んだり肩を叩くくらいでは全く反応せず、 何か臭いにおいがしても、ものすごく寒くても、 その興味の対象から簡単に離れたりはしない。 なお、集中している時でも、 独り言をマシンガンのようにしゃべり続ける時もあれば、 沈黙して、体のどこ..
自分が今までになく、疲れていると感じる。 その大きな原因は、子供たちのこと。 まず、U一郎は、一日に何十回も同じ単語を大声で叫び、 さらに、その言葉を何十回も私に復唱させる。 私が復唱しなかったり、U一朗の気に入る言い方をしないと 大音量で奇声を発し、大騒ぎして、壁に体当たりしたりする。 もちろん、間違いなく近所迷惑のレベル。 最近は、それが特にひどくなって、 私が、料理、洗濯、そうじ、その他何をしていようと U一郎が思い立ったときに、突然始まる。 そして、思い通りになるまで、体をおしつけてきて 私の手をひっぱって、私の用事を止めさせ、 私の耳のそばで、大声で何度も叫ぶのだ。 私は、自分が今、どこまでやっていたのか、 これから、何をしなければならなかったのか、 わからなくなってしまうことは、しょっちゅうある。 それだけでなく、耳がワンワン..
年明け早々なのに、また「緊急事態宣言」なのかと思ったら、 今度は、「緊急事態行動」だとか。 どちらにしても、私と子供たちの生活は コロナ以前とは、たいして変わらない。 不要不急の外出は、する気もないし、できないし、 買い物とかを長時間するようなチャレンジは、絶対嫌だし、 三密みたいなトラブルの元は、怖くて参加できないし、 コロナが収束しても、しなくても、 私達のこの生活は、今まで通り、別に何も変わらない。 きっとコロナの問題以前から、 様々な場所で、いろんな緊急事態にはまった人達はいて、 それに巻き込まれてしまった人の中で、 そこから抜け出せる人と、ずっと取り残される人に別れるのだろう、 多くの人が、このコロナ禍から解放されて、 皆が外に出て、好きなように過ごせるようになっても 私達は、ずっと人目を避けて家に閉じこもるような 「取り残され..
●整理整頓 いつも私は、夕方頃から「お片付けを始めなさいね。」と O次郎に、何度も繰り返し優しく促す。 優しく言うのは、O次郎のためではなくて、 大きな声を出すとか、余分なエネルギーを使って疲れることで、 自分が今日中にすべきことができなくなることを防ぐため。 真面目な部分もあるO次郎は、一瞬だけ言うことを聞くけれど 「お片付け」が終ったことは一度もない。 そもそも、O次郎は、同時に複数のことに手をつけて どれもやりっぱなしで投げ出して、さらに次に手を出すため、 どの物も、本来あるべきでない場所にあることの方が多くなる。 たとえば、トミカの車やハサミがトイレにあったり、 本が洗濯かごの上にあったり、歯みがきが食卓の上にあったり。 だから、お片付けの前に、 あちこちに置きっぱなしにした物を集めてくる必要があるのだけれど 別の場所で物を見つける..
●お絵かき お絵かきが好きなU一郎は、特にクレヨンを好んで使いたがる。 私は、U一郎のお絵かき中、 絶対に、そばで見守らなければならない。 なぜかというと、 U一郎は、クレヨンでのお絵かきに飽きると、 必ず、クレヨンの側面を、別のクレヨンで塗りたくり そのうち、クレヨンを爪で壊して、粉々にし、 しまいには、それらを歯や皮膚、床や壁などに塗り始めるからだ。 私は、U一郎がクレヨンで遊び始めるのを見て、 それをなんとか思い止まらせ、その後片付けをするのが、 本当に本当に大嫌いな時間で、いつも息が苦しくなる。 療育では、U一郎のこの行動について、 「クレヨンを何に使うかわかっていないから」 「物には役割があることが、まだ理解できない段階にいる」 と説明していた。 私には、そうは思えないのだけれど、 何にしても、どうしたら止めさせられるのか..
体が弱い子供をコロナから守るために 学校を休ませ続けている母親が 学校から虐待の疑いをかけられた、という話を聞いた。 なお、その子供は実際に体調不良だったようで 本当に濡れ衣だったらしい。 「虐待される子供」が増えているというのは聞いている。 でも、小動物や大きめの昆虫であっても、 傷つけたり殺したりっていうのは、 なかなかできない人のが多い気がする。 だから、人間の子供みたいに、体が大きくて しかも、言葉で、自分と意思が通じ合うような生き物を 何らかの形で、虐待し続けたりできるっているのは、 その虐待している人自身が、どこか壊れているんじゃないのかな。 学校は、その母親に虐待を疑うような事柄が本当にあって 「虐待」という言葉を持ち出したのかな。 深く考えずに、ちょっと言っただけかも。 保護者の間では、そういう話も出ていた。 因..
●整理整頓 O次郎は、物をため込むだけでなく、片付けることもできない。 もはや、将来、ゴミ屋敷の主人となるのは疑いない。 そこで、まず、本棚から片付けさせようと思った。 部屋に散らかる大量の本や図鑑を、本棚に入れさせると、 本の上下や背表紙の向きをめちゃくちゃに入れるだけでなく、 本を横向きや斜め向きに、ただ、本棚に突っ込み始める。 他の棚が空いているのにも関わらず、 とりあえず、目の前の棚にただ押し込むので、本が大きく変形するが、 O次郎は全く気にするそぶりもなく、 「ママ、終わったよ!」と笑顔で胸をはる。 「これは、もうダメだ」と思い、 100均のかごに、ドラえもんのマンガを雑然と入れ、 「これをきれいに並べてみて」と言ってみる。 すると、2,3冊傾きを直しただけで 「できたよ、ママ!早いでしょ!」とまたもや笑顔で自慢する。 仕方がな..
●午前7時 朝食の準備をしていると、O次郎がやってきて 「あっちの部屋に、フンみたいなものがあるよ」という。 「何?なんか嫌だなぁ。」と思いつつ、一緒に行くと 部屋に、丸くて黒いものが、いくつか散らばっており、 U一郎は、「ウンチ、ウンチー!」と笑い転げている。 人の大便にしては、小さいと思い、近づいて見ると おせち料理の黒豆だった。 「O次郎!何してるのよ!」とO次郎を叱ると、 「違うよ、U一郎だよー、バーカバーカ」と走り去る。 黒豆を拾ってぺろぺろ舐めるU一郎から黒豆を取り上げ、 さらに床をくまなく探して、黒豆を拾い集め、処分する。 ●午前8時 朝食に、おせち料理を少しだけわけて食べさせる。 「ニシンの昆布巻き」が気に入らなかったO次郎が 「こんなの美味しくなーい!」と不平を言うので、 「だったら、あとは、お箸をつけないで残しなさい」..
●絵本の音読 U一郎は、言葉の理解はある程度できるのに、発語が少ない。 自閉症で、自分から人に寄っていくこともほとんどないため、 言葉を使う機会もほとんどない。 そこで、まず「しゃべる機会」を作ろうと思って、 気に入っている絵本の音読をさせた。 気に入っているだけあって、 たどたどしいけれど、文章をしゃべる。 しばらく、いろいろ試してみようと思う。 ●漢字 小学校1年生の漢字を少し書かせてみる。 形がかなり歪んでいて、大きさもふぞろい。 でも、一応「字をわかっている」ことはわかる。 ●髪の毛をとかす練習 鏡の前に立たせ、自分の姿を見せながら U一郎の手をもって、一緒に、ブラシで髪をとかす。 何かが面白かったらしく、抱きついてくる。 やはり、上手にできないので、時々やらせようと思う。
U一郎とO次郎は、小さい頃から 児童発達支援サービスや放課後等デイサービスに通い、 個別療育や集団療育をずい分受けてきた。 「お母さんが療育すると、子供が休む場所がないから、家で療育はしないで。」 「私達は、専門知識を持ったプロだから、信じて預けて」 療育のスタッフに何度もさとされ、 出産から出生後の発育状況、家族や夫婦関係、仕事内容まで ことあるごとに、細かく質問されたあげく、 療育の支援計画や、療育での指導内容は、 私の要望よりも、ほぼ施設側の言うとおりに、進めてきた。 そして、ここまで来た結果、思うこと。 「療育なんて、行かなくても良かったのかも」 オムツ外しにしろ、着席にしろ 「どの子供にも、できるようになる時期」があり、 たぶん育児をしている親なら、それがわかると思う。 もちろん、療育で教えれば、多少時期が早ま..
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