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  • 銀色の奏 皐月編 10

    旭が、服はよく分からないって言うから、適当なショップに入って俺が選んだ。 そんなに買うの?って、旭が笑って、そんなに買うんだよって、俺も笑った。 旭は眠らせ…

  • 銀色の奏 皐月編 9

    いつも俺が行く美容院の店長に無理を言って、開店前に店を開けてもらった。 店長は、長い不揃いな髪の旭を見ても何も言わず、どんな髪型がいいですか?って旭に聞いた…

  • 銀色の奏 皐月編 8

    それから3日。旭は俺にべったりだった。 とにかく離れない。 すがるように俺の首や腰に腕を絡めてじっとしている。 時に耳の後ろに鼻先を埋めて、いいにおいって言…

  • 銀色の奏 皐月編 7

    ガンってすごい衝撃に、一瞬全部が吹き飛んだ。 頭がぐわんってなって回って、それから。 痛みは………なかった。倒されたはずみで床に頭をぶつけた痛み、というより…

  • 銀色の奏 皐月編 6

    躊躇うことも迷うこともなく、旭が居るベッドに近づいた。 旭は逃げるみたいに壁に背中をくっつけた。 あんた、何なの?って。 呼吸が荒い。 それでも近づいた。 …

  • 少年は天狗山で死んだ 6 光

    鴉って人のあったかくて大きい手に泣きそうになったけど、手はすぐばって離れて鴉って人は僕から離れてった。それを合図みたいにして、よしもう行こう。ここから出て行こ…

  • 銀色の奏 皐月編 5

    着ていた服を全部脱いで、頭からシャワーを浴びた。 俺につけてあるにおいを落とすために。 髪を洗って、身体を洗った。 危険、なのかもしれない。 部屋のにおいを…

  • 銀色の奏 皐月編 4

    それって結局オレを信じてないってことでしょ?おれを病人じゃなくてバケモノ扱いしてるってことでしょ? 部屋に充満させてるにおいを少し弱めて、目を覚ました旭に一…

  • 銀色の奏 皐月編 3

    目を覚ましてすぐ、旭は吐いた。 気持ち悪いって、言って。 在眞の身長、体重と旭のおよその身長、体重から、においの調整をしたはずだったのに。 それより少し強め…

  • 銀色の奏 皐月編 2

    まさかここに在眞以外の誰かを連れてくることになるなんて。 研究所内の、俺の部屋。 そのベッドで眠る、眠らせて連れて来た三好旭という少年を見て俺はため息を吐い…

  • 銀色の奏 皐月編 1

    部屋の内線が鳴ったから、出た。 新たな発症者でも出たのかと。 在眞が………毎日ずっと一緒に居た在眞が、つがいとなった月皇くんと異国の地に旅立ってどれぐらいか…

  • 少年は天狗山で死んだ 6 鴉

    イヤな視線を感じてはって見たら、天狗が天狗のくせに和じゃなく洋なその顔ににやあああああってイヤな笑みを浮かべて俺を見てて、思わず反射的に光の頭に乗せてた手をば…

  • 銀色の奏 最終話

    「………アル、お前なあ」「………」 響さんがやれやれって感じで言って、やれやれって感じで苦笑いをしてる。 ごめんなさいって、さすがに思ったけど、僕もびっくりし…

  • 銀色の奏 139

    それから。 月皇さんの留学までの間。一緒に行くまでの間、僕は月皇さんと英会話の練習をしながら、ごく普通に。すごく普通に、月皇さんとふたりきりの毎日を過ごした…

  • 銀色の奏 138

    月皇さんはなかなか帰って来なかった。 どうしたんだろうって思いつつもテレビを見てた。 上品なフォーマルスーツ、きちんとセットされた髪。 インタビューまで、さ…

  • 銀色の奏 137

    「………うわ」 次の日から僕たちをっていうか、月皇さんを取り巻く現実がすごい変わってて、びっくりした。 昨夜、激しすぎるぐらい激しく、僕たちは、シた。月皇さん…

  • 少年は天狗山で死んだ 5 光

    背の高い金ピカのお兄さんが、にっこり笑って片手をひらひらしながらずんずん僕の方に来た。こわい。昨日の今日で、男の人が。僕は男だから、昨日、あんなことがあるまで…

  • 銀色の奏 133

    予想って何? 溢れた涙は月皇さんの唇に掬われ、そのままペロリと舐められた。 だからすぐに涙は止まって、月皇さんの勝手な予想って何だろうって。「全部、敢えて、…

  • 銀色の奏 132

    繰り返されるキスに、月皇さんのにおいが強くなる。だんだんと。どんどんと。 だから、そのにおいにつられて、僕のにおいも多分強くなってて。 脱げって言われて、服…

  • 銀色の奏 131

    皐月さんと最後に、玄関のところでさよならのハグをした。 皐月さんの、あの研究所のあの研究室のにおいじゃない、皐月さんの本当のにおいを最後に嗅いだ。 耳の後ろ…

  • 少年は天狗山で死んだ 5 鴉

    カアアアアアアッ………カアアアアアアッ………顔を洗ってたらカラスの声がした。聞こえた。2回。ってことは。注意喚起。急いで顔を拭いてタオルをぽいって洗濯機に放り…

  • 少年は天狗山で死んだ 光 4

    うーん。うまくコピペが貼れないあのまま、外で倒れたままだったら、僕は今頃どうなってたんだろう。今は5月だから凍死はしないと思う。でも寒いかもしれない。山だし。…

  • 銀色の奏 130

    「皐月さんはこれから、どうするの?」 その深い声に、僕は月皇さんから腕を離して、でも月皇さんは僕を抱き寄せてる腕を離さないでそのままだったから、少しだけ月皇さ…

  • 銀色の奏 129

    皐月さんが立ち上がって向こうに行ってすぐ、月皇ですって声が聞こえた。 どきんって、僕は、なった。 月皇さん。 その声だけで思うよ、月皇さん。月皇さんは、月皇…

  • 銀色の奏 128

    その日僕は、そのまま皐月さんの、皐月さんと僕の部屋に泊まった。 泊まって、コイビトみたいに、過ごした。ううん。その日、その時。 僕と皐月さんは確かにコイビト…

  • 銀色の奏 127

    破れてくっついてるだけの服は、あっという間に取られた。 皐月さんも、全部脱いだ。 知ってるのに。 知られてるのに。 されたことがないってことが何もないんじゃ…

  • 銀色の奏 126

    胸の。 胸の奥がきゅって、なった気がした。 触れた唇に。キスに。皐月さんの、さつきの。 皐月さんと、こんなキスはしたことない。 皐月さんとのキスは、快楽に向…

  • 少年は天狗山で死んだ 4 光

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  • 銀色の奏 125

    そろそろ着替えろって。 皐月さんが僕の身体を離して言った。「在眞は丈夫にできてるけど、そんな恰好でずっと居たらさすがに風邪引く」 僕をベッドに座らせて。服を…

  • 銀色の奏 124

    「ごめんなさい」「………何が?」 皐月さんがせっかく色んなことをしてくれたのに。してきてくれたのに。 僕は皐月さんじゃなく月皇さんを選ぶ。そのことに。 それも…

  • 銀色の奏 123

    「皐月さんと月皇さんは、どこでどうやって知り合ったの?」 皐月さんに撫でられて、気持ちよくて。 僕は皐月さんに身体を預けて目を閉じてた。 ちょっとうとうともし…

  • 銀色の奏 122

    「いいことないだろ」「………そうだね」 やっぱり僕は月皇さんと同じで、狼に変わるんだ。 はっきりした意識で、そう思った。 皐月さんのキレイな銀色だって言葉もそ…

  • 銀色の奏 121

    好きだよ。好きだった。愛しいと思ってた。ずっと。………ずっとだ。在眞。 それを聞いた瞬間に、もういいんだって、思った。 もういい。 今までの全部が、もういい…

  • 少年は天狗山で死んだ 4 鴉

    「おっはよ〜、鴉」「………おかえり」「ただーいま」朝6時半。ここ数年、ホストの仕事をしてる天狗は、夕方から夜に居なくて朝起きると居る。台所に。朝飯。いつも天狗…

  • 銀色の奏 120

    ほら、もう泣くなって。 さつきが指で涙を拭ってくれる。 でも、止まらない。止まらなかった。だって。止まるはずないよ。だって。皐月さんが。さつきが。「どうして…

  • 銀色の奏 119

    在眞のベッドに動物の毛らしきものが落ちてたと聞いた次の日から、俺は職員が在眞を起こすより先に施設に行って在眞の部屋に入るようになった。 俺が確認するよ。して…

  • 銀色の奏 118

    「どうした?」 皐月さんが、さつきが、僕を見て笑った。 何で泣いてる?って。在眞はもう病気の、発症の心配をしなくていいんだ。泣くのはおかしいだろ?って。 在眞…

  • 銀色の奏 117

    僕が、泣くのを我慢しながら皐月さんを見てたら、皐月さんは肩にかけたタオルをぎゅって握って、こっちに、僕の方に来た。 ふわりにおう、におい。 あの部屋のあのに…

  • 銀色の奏 116

    おかわりした分も全部食べ終わって、皐月さんがシャワーを浴びに行った。 僕は落ち着かなくて、好きにしてていいって言われたから、部屋の中をうろうろしてた。 広い…

  • 少年は天狗山で死んだ 3 光

    何で。もういいやって。母さんが死んじゃって、父さんが帰って来なくなって、入ったばかりの高校で何人もの先輩に無理矢理おかされて、先生も分かってて黙認で黙殺。もう…

  • 銀色の奏 115

    皐月さんの車に乗せられて連れて来られたのは、研究所からそんなに離れてない、高層マンションの一室だった。 皐月さんはよれた白衣のポケットからスマホを取り出して…

  • 銀色の奏 114

    「在眞⁉︎」 翌日。 次の日がコンクールの月皇さんの邪魔はしちゃいけないって、まだ早い時間に研究室の部屋に戻った僕を、何故か部屋に居た皐月さんが見つけた瞬間、…

  • 銀色の奏 113

    「ちゃんと、話してないだろ」「………え?」「日下さんと」 月皇さんが、すごく優しい目で僕を見下ろして。 でも、日下さんって言ってからは、ちょっと悲しそうな、寂…

  • 銀色の奏 112

    行為は激しさを増した。 月皇さんは容赦がなかった。 快楽は、快感は振り切れ、僕は月皇さんに貫かれて声をあげて時々落ちた。 解放はなかなかされず、長い間そのま…

  • 少年は天狗山で死んだ 3 鴉

    夕飯を作った。天狗は夜はホストの仕事で居ないから、自分の分だけど、ついでに光の分も。食べないだろうなとは思ったけど、一応。カラスに言われて、天狗に言われて、で…

  • 銀色の奏 109

    「今寝てます。はい」 身体が、重い。 瞼も、重い。 月皇さんの声が、近いけど遠くに聞こえて、においが、月皇さんの、においがすごいしてて、僕はもっとそのにおいを…

  • 銀色の奏 106

    月皇さん。月皇さん、月皇さん。 しがみついて僕は泣いた。 泣きながら月皇さんの耳の後ろに鼻先を埋めた。 泣いてて鼻が詰まってにおいが分かんない。 けど、そう…

  • 少年は天狗山で死んだ 2 光

    目の前に、カラス。もう鼻のすぐ先にカラスが居て、うわあああって思わず叫んで身体を捻って逃げようとした。その瞬間、身体の中心に駆け抜けた痛みに、うっ。て。僕。カ…

  • 銀色の奏 105

    インターホンを、押した。 辿り着いた、月皇さんが住んでるマンション。 インターホンを押して、もうそのまま、膝から崩れ落ちそうだった。 偶然にも奇跡的にも、僕…

  • 銀色の奏 104

    足音を忍ばせて、でも、走った。 どこで誰に見られるか分かんない。 見られても、別に大丈夫なのかもしれない。 僕は別に外出を禁止されてる訳じゃないから。 だか…

  • 銀色の奏 103

    スマホを探した。 手に持ってクローゼットを開けた。 早く。 早く、しないと。 身体が言うことを聞かなくなる前に。 身体が皐月さんとの快楽を求め始める前に。「…

  • 銀色の奏 102

    入って来た皐月さんの手には、見慣れた、でも見たくなかった銀色のトレイがあった。「起きてるならちょうどいい。注射だ、在眞」 唇の端だけを歪めて、笑う。ニヤリ。…

  • 銀色の奏 101

    在眞。 誰かが呼んでる。 呼んでる気がする。 そしてふわりふわりと髪を撫でられてる。 小さい頃、さつきと遊んで遊び疲れて、ベッドでごろごろしながらこんな風に…

  • 少年は天狗山で死んだ 2 鴉

    「カラス」呼びながら、部屋に入った。天狗の家は『天狗』らしく和風な古民家。天狗がいつから住んでいて何年住んでるのか分からないけど、見た感は相当古い。けどそれは…

  • 銀色の奏 100

    皐月さんがこわいんだ。 長くふたりで黙った後に、その沈黙から逃げるみたいに僕は言った。 皐月さんが何を考えてるのか分かんなくてこわい。皐月さんは何をしようと…

  • 銀色の奏 99

    何かあったか? 月皇さんが穏やかな声で僕に言った。聞いた。 その声で、声が、すごく変わったって、思った。 最初の頃と同じ、低い声。 僕は男のわりに声は高いん…

  • 銀色の奏 98

    『………はい』 繰り返すコールに、出ないかもって諦めかけたその時だった。 不機嫌そうな、訝しむような短い声が、スマホから聞こえた。「月皇さん‼︎」『………アル…

  • 銀色の奏 97

    皐月さんが出て行って静かになった部屋。 僕はスマホを持ったまま、動けないでいた。 皐月さんが言い残していった言葉がぐるぐるしてる。 ぼんやりする頭で必死に考…

  • 銀色の奏 96

    もう少しだ。 在眞。 もう少しだから。 浮上していく意識の向こうで、そんな声と、髪を撫でる手のぬくもりを感じたような気がした。 誰? 優しい優しい。声。 知…

  • 少年は天狗山で死んだ 1 光

    気づいたら真っ黒な場所に立ってた。見えるのは黒。右も左も上も下も前も後ろも黒。暗いんじゃなくて黒。だって、自分は見える。でも光源はない。不思議なところ。そこに…

  • 銀色の奏 95

    え? 今、何て。 ゆう、かい。 ゆうかい? 誘 拐。 皐月さん。何。 何を言ってるの。誘 拐って何。 僕。を?僕が? 頭がその一言で真っ白になった。 心臓が…

  • 銀色の奏 94

    皐月さんは黒ぶちのメガネをいつもかけてる。 前髪は少し長くて、だから、本来の顔がよく見えない。 その下に隠れてる、隠されてる顔が、恐ろしく整ってると気づいた…

  • 銀色の奏 93

    チクンって腕に痛みを感じて、目が覚めた。 注射⁉︎って身体が強張らせたら、動くなって皐月さんに言われて。 見たら。 ………点滴、だった。 何の、これは。点滴…

  • 銀色の奏 92

    月皇さんの部屋から研究所のこの部屋に帰って来てから、何故か僕は注射をされなくなり、抱かれることもなくなった。 ただ、においは少し、きつめのような気がする。 …

  • 銀色の奏 91

    抵抗した。『嫌なことは嫌って言え』 月皇さん。 そう言った月皇さんを。 皐月さんを、今僕が思ってるような皐月さんじゃないって言った月皇さんを、信じて。僕は。…

  • 少年は天狗山で死んだ 1 鴉

    「うっ………うわあああああっ」夜。いつもは静かな家に悲鳴が響いた。起きたのか。起きたというか、気づいたというか。悲鳴の主は少年。昨日カラス………この天狗山に住…

  • 銀色の奏 90

    「採取をしようか、在眞」 皐月さんが一度部屋から出て行って、白衣を羽織って戻って来た。 その手に、銀色のトレイを持って。 トレイには、見慣れた紙コップと。 ……

  • 銀色の奏 89

    「ずいぶん楽しんだようだね、在眞」 いつものジャズバー。 月皇さんと手を繋いで、月皇さんに引っ張られて、僕は皐月さんが座るテーブル席に連れて来られた。 …………

  • 銀色の奏 88

    「アル」 月皇さんに呼ばれた僕は、僕の心臓は、ものすごい勢いでどきんって、なった。 1週間ぶりに僕は自分の服を着てた。 皐月さんが準備してくれた鞄を、結局、一…

  • 銀色の奏 87

    月皇さんとの1週間は、あっという間だった。 何をする訳でもなく、どこに行く訳でもなく。 時間があればにおいを嗅ぎ合い、舐め合い、甘噛みし合い、抱き合った。 …

  • 銀色の奏 86

    これでいいか?って。 月皇さんはシャワーを浴びて腰にタオルを巻いて出て来て、ヘッドボードに凭れて月皇さんの枕に顔を埋めてた僕のすぐ側に座った。 シャンプーと…

  • 少年は天狗山で死んだ ゼロ

    はじめに。今回のお話にはイラストを担当してくださる方がいらっしゃいます✨ひろみnecoさん💕16031necoのブログ16031necoさんのブログです。最…

  • 銀色の奏 85

    ギシってベッドが軋んだ気がした。 そしてふわって鼻を掠めたにおい。「………っ⁉︎」 一気に目が覚めて、僕はぼんやりする頭と身体で逃げようとした。いやって。 …

  • 銀色の奏 84

    ご飯を食べる以外何をするでもなく、僕たちはべったりくっついてた。 くっついて、マーキングしあって、ピアノを弾いてもらって、くっついて。 今は、ピアノ。 服は…

  • 銀色の奏 83

    ………くっくっくっくっく。 月皇さんが笑ってる。 笑ってて。僕はちょっと、恥ずかしくなる。「………お前って、何もできないのな」「………うん。そうみたい」 僕…

  • 銀色の奏 82

    においを嗅いで嗅がれて舌 を絡 めて。 ほんの僅かな時間そうしてたら、月皇さんは狼のその大きな身体を一瞬かたくして、そして。 ………戻った。「………」「………

  • 銀色の奏 81

    狼姿の月皇さんは、しばらくそのままじっとしてて、そしてくんくんと今にも鼻を鳴らしそうな勢いで僕のにおいを嗅ぎ始めた。 濡れた鼻が冷たくてくすぐったくて、僕は…

  • 天に還るとき 最終話

    「お疲れさま、『つんちゃん』」「………ん?………ああ」お疲れさまって何だっけ。頭が少しぼんやりしてる。閉じてた目を開けば、俺は眩しいぐらい白の世界に居て、白以…

  • 銀色の奏 80

    これ。 この曲。 静かに流れ出した曲に、僕は耳を澄ました。 聞いたこと。ある。何だろう。 分かんない。 けど。 少し悲しい感じが、する。してくる。 キレイな…

  • 銀色の奏 79

    前に月皇さんが弾くクラシックを聞いた時、月皇さんは途中から様子がおかしくなって、曲も途中から原形をとどめては、いなかった。 あの時は何故だろう。どうしたんだ…

  • 銀色の奏 78

    僕はそのままベッドに潜り込んだ。 シーツが剥がされた、そこに。 月皇さんのにおいをもっと嗅ぎたくて。纏いたくて。においを。月皇さんの。 鼻から大きく息を吸う…

  • 銀色の奏 77

    丸めたシーツを持つ月皇さんを玄関まで見送って、行ってらっしゃいって言ったら、月皇さんは肩越しに僕を見て。 笑った。 何か………いいもんだな。こういうのって。…

  • 銀色の奏 76

    お風呂の準備ができたって月皇さんに言われたけど、僕は全身が怠くて動きたくなくて、ベッドの上に突っ伏してた。 多分ちょっと寝ちゃってた。 伸びてる僕に月皇さん…

  • 天に還るとき 149

    原は、何を思ってるのか謎な真顔で、今抜いた俺の白い羽を見てた。で、俺を見た。「思い出したんだ?全部」「思い出した」聞いて俺の答え聞いて、視線はまた羽。真ん中の…

  • 銀色の奏 72

    「大丈夫か?」 ベッドの上。 もう恥ずかしいとか、だらしないとか、そんなの全部どうでもいいぐらいに、僕はぐったりと全身を投げ出して仰向けに転がってた。 月皇さ…

  • 銀色の奏 71

    狼の姿で『僕』を舐めていた体勢のまま、月皇さんはヒトの姿に戻った。 戻ったのに、月皇さんは。 自分の右手を顔の高さまで持ち上げて、目を見開いて凝視してた。 …

  • 天に還るとき 148

    148息止まってね?って。しいから手を離して原の方を見た。目がまん丸。で、ぱちぱち。『あ』で止まってた口がぱくぱく。手は、指差し。俺の羽を。ま、そうだよな。そ…

  • 銀色の奏 69

    「今日もだけど、僕を待たせてシャワー浴びながら、月皇さん何してたの?シャワーだけ?」 立て続けの僕の質問に、マジ勘弁してって、月皇さんは僕に突っ伏したまま言っ…

  • 銀色の奏 68

    「ねぇ、月皇さん」「………ん?」 何を考えても何も考えられなくて、僕はただただ月皇さんに身体を委ねてた。 月皇さんは飽きることなく、飽きちゃわない?って心配に…

  • 銀色の奏 67

    「………月皇さん」「ん?」「………僕」 月皇さんにしがみつくみたいに腕を絡めて僕は。 前に月皇さんの髪の毛を持って帰って、それが皐月さんの手に渡ったことを正直…

  • 銀色の奏 66

    月皇さんはまるで何かを探るように僕をじっと見た。 獰猛な獣の目でじっと。 そして。 ふわって重なって。月皇さんが。 僕は、抱き締め、られた。 そのまま月皇さ…

  • 天に還るとき 147

    ごめん、ちょっとツレ連れて来たって、リビング、休日モードの父さん母さんに言うだけ言って、原を2階の俺の部屋に連れてった。部屋入ってエアコン、暖房のスイッチを入…

  • 銀色の奏 65

    「背中、痛いだろ。ベッド行こう」「え?あ、ひゃああっ」 しばらく何も言わないまま、黙ったままじっとしてて、ふいに月皇さんはそう言った。 言いながら起き上がって…

  • 銀色の奏 64

    『俺もお前を好きになった』 月皇さんから聞こえた小さな声に、僕はどきんって、なった。 しかも在眞じゃなくて、アルって。 初めての呼ばれ方。それがすごく特別に聞…

  • 銀色の奏 63

    「お前は、今居るところにずっと居なきゃいけないのか?」「………え?」 好きって月皇さんに言ったら。 月皇さんはしばらく黙ってて。 答えが欲しくて言ったんじゃな…

  • 銀色の奏 62

    「月皇さん、今日仕事は?」 お腹いっぱい食べて、苦しいよーってラグの上に転がったら、月皇さんがふわって僕の上に重なった。 また僕の頭の両側に肘をついて、僕のほ…

  • 銀色の奏 61

    ケータリングでいい?って。 とにかく僕とくっついてたいらしい月皇さんが、僕を片手で抱き締めながら、スマホで何かを注文した。 俺がよく食ってるとこのやつ。出か…

  • 天に還るとき 146

    時々変な原の視線を感じつつ、夜まであっちこっち行って飯食って家まで送ってもらった。けど原は、じゃあって言ってんのに俺を見て全然行こうとしない。「朝になっちまう…

  • 銀色の奏 60

    月皇さんは寡黙な人だし、僕も喋ってるより黙ってる方が良くて、部屋は穏やかな沈黙に包まれてた。 乱れたベッドの上に僕たちは転がって、月皇さんは僕を離そうとはし…

  • 銀色の奏 59

    気づいたら、ベッドだった。 気づいたら僕は月皇さんに凭れるみたいに座ってて、月皇さんは後ろから僕を抱き締めて、僕の耳の後ろに鼻先を埋めて、そこを舐めていた。…

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