はじめに 民法では、後見人が欠けたとき、辞任したとき、解任されたとき、家庭裁判所が必要があると認めるときには新たな後見人が選任されることになっています。したがって、これらの事態が生じない限り後見人を務めるということなので、結局、原則的には本人が死亡するまで後見が行われるということです。 【1】後見事務の終了 後見が終了するのは、被後見人が死亡したとき及び本人の判断能力が回復したとき、とされています。 死亡すれば後見は終了といっても、現実的にはさまざまな死後の事務手続きがあります。家族関係が複雑であったり、親族がいない場合には、死亡時の立ち合い、遺体の引き取り、死亡届の提出、葬儀、医療費や施設使…
はじめに 行政書士に限らず、成年後見制度について相談された場合には、民法をはじめとする関連知識を十分に有していることが必要です。 その上で、本人の利益を最優先に考えることが大切です。 制度利用の判断 成年後見制度を利用しようとする場合には、本人の利益となる財産管理及び身上監護に寄与するかどうかを見極めることが重要です。 成年後見制度だけが、本人の利益にとっての解決策ではありません。 他の福祉制度や社会資源の活用によっても本人の利益を保護することも可能なので、成年後見制度ありきではなく、様々な方策を十分に検討することが大切です。 家族・親族からの相談 家族や親族からの相談があった場合も、十分に検…
はじめに かつて田舎では、自宅で葬儀を執り行うことが一般的でしたが、現在は、葬儀会館での葬儀が広く行われるようになってきたことから、自宅で葬儀をすることはほとんどないのが現状ではないでしょうか。 もしもの時に、葬儀会館でどのように葬儀が執り行われているか、仏式での流れについて記してみました。 【1】もしもの時 一般的には病院で亡くなることが多いと思います。もし病院で亡くなった場合、どこかの葬儀社にすぐに連絡することとなります。連絡を受けた葬儀社は、遺体を搬送するための寝台自動車で病院にまで迎えに来てくれます。寝台自動車にて遺体は葬儀会館にまで運ばれることとなります。 人がいつ亡くなるかは分から…
はじめに 成年後見人等は、被後見人の身上監護及び財産管理といった、被後見人が生活をする上での重要な部分を担うこととなります。被後見人に対する重大な職責を負っていますが、残念ながら、不正な財産管理といった問題が発生することがあります。このような不正が行われた場合、成年後見制度そのものに対するイメージが悪化し、何よりも不正によって被害を受けた被後見人が重大なダメージを被ってしまいます。 このため成年後見人等は高い倫理観をもって、、誠実に職務を遂行する必要があります。 【1】行政書士の責務 行政書士法第10条には行政書士の責務について、次のように記されています。 第10条 行政書士は、誠実にその業務…
はじめに 年金を受給している人が死亡したとき「受給権者死亡届(報告書)」を提出して、年金の受給を停止します。 年金の支給については後払いがルールとなっているので、亡くなってから支給される年金は未支給年金として遺族が受け取ることができます。 【1】未支給年金とは 未支給年金は、死亡した人と生計を同じくしていた遺族が、次に記した年金を受け取ることができます。 ①年金受給者が死亡していた時に、まだ受け取っていない年金。 ②死亡した日より後に振り込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金。 【2】未支給年金を受け取ることができる遺族 年金受給者が死亡した時に、生計を同じくしていた人で、次の順位の早い…
はじめに 農業人口が減少し、耕作されていない農地が増加しています。このような耕作されていない農地を「荒廃農地」「遊休農地」「耕作放棄地」といった呼び方をしているようです。 それぞれどのような意味を有しているのかを検討します。 【1】「耕作放棄地」 ①耕作放棄地とは 一般的に耕作されていない農地のことを「耕作放棄地」と呼んでいる場合が多いと思います。「耕作放棄地」というのは農林業センサスにおいて、「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する考えのない土地」とされ、農家等の意思に基づき調査把握したものです。 農林業センサスという聞きなれない用…
はじめに 人が死亡した場合、親族への連絡や葬儀の段取りなど、大変あわただしく事態が進行していきます。そのような死後の葬祭とともに、行政的な手続きもしていかなければなりません。 死後2週間以内にする手続きにどんなものがあり、どのようにすればよいのかを考えてみます。 ①死亡届 用紙はA3サイズで、1枚の用紙の左側が死亡届、右側が死亡診断書(死亡検案書)となっています。 死亡診断書は、病院で亡くなった場合に担当医が記入しますが、死因がはっきりしない場合は、検視がおこなわれた後に発行されます。 死亡届に必要事項を記入して、亡くなったことを知った日から7日以内に役所に提出します。期限内に提出され倍場合、…
Ⅰ.後見制度支援信託について 【1】後見制度支援信託とは 後見制度によって支援を受ける本人の財産のうち、日常的支払いの金銭を後見人が管理し、通常は使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みです。 信託された財産は、払い戻したり、信託契約を解約したりするには家庭裁判所の指示書が必要であり、信託銀行等が金銭の管理をしているので信託された財産が損なわれることはありません。 【2】利用できるのは? 後見制度支援信託を利用できるのは成年後見と未成年後見の場合で、保佐・補助及び任意後見では利用できません。 【3】信託できる財産 後見制度支援信託で管理される財産は金銭に限られており、不動産・動産・金銭債権・…
はじめに 成年後見には次の2種類があります。 1,法定後見とは、裁判所の手続によって後見人が選ばれて後見が開始されます。裁判所が申し立てによって、保護を必要とする人に対して成年後見人・保佐人・補助人を選任するものです。 2,任意後見とは、制度を利用しようとする人で、本人が後見人を選任するものです。 任意後見については、1999(平成11)年、新たに「任意後見契約に関する法律」(任意後見法)が制定されました。 第一条 この法律は、任意後見契約の方式、効力等に関し特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めるものとする。 任意後見制度の仕組み 判断力が低下した時に備えて、…
はじめに 成年後見人等の財産管理について、民法第858条には「成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮」として規定されています。 (成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮) 第858条 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。 本人の財産は、本人の意思を尊重しながら、本人の状況を見て、本人の利益となるように管理することが大切です。 ただ、本人の判断能力が十分でないことから、成年後見人等は本人の生活状況に関わる事情を十分に把握しながら、本人のために適切に財産管理を…
はじめに 成年後見制度は、自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーションといった新しい理念のもと平成12年の民法改正によって導入されました。 成年後見制度には、任意後見制度と法廷後見制度があります。 【1】成年後見制度の概要 (ア)任意後見制度 任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、本人自らが選んだ人に、代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく制度です。契約は公正証書で結ぶものとされ、公証役場で手続きをします。本人の判断力が低下した場合に、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて契約の効力が生じます。 (イ)法廷後見制度 法廷後見制度は、本人の判断能力が不十分になっ…
はじめに 今後、高齢者人口の増加が予想される状況にあって、低年金・無年金者も増加すると考えられています。このため高齢者の生活保護受給者が増えることが見込まれ、そのような高齢者を支援する成年後見人等が選任されるケースの増加も予想されます。 生活保護制度がどのようなものであり、成年後見人等がどのような役割を担っていくのかをみていきます。 【1】生活保護制度の目的 1950(昭和25)年に成立した生活保護法によると、生活困窮者の健康で文化的な最低限度の生活を保障することと、自立の助長を目的としています。 第1条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対…
はじめに 知的障害のある人は109万4,000人とされています。(令和2年、障害者白書) 知的障害のある人は、親亡き後にどうするかということがあり、なかなか解決しない大きな問題とされてきました。このような悩ましい問題を解決するための一助となるのが成年後見制度の活用です。 このため成年後見人として、知的障害とはどのようなものであるかを理解することは重要です。 【1】知的障害とは 知的障害者に関しては知的障害者福祉法がありますが、知的障害者の定義があるわけではなく、社会通念上知的障害と考えられるという解釈がなされています。 一般的には、読み書き、計算などの知的機能に制約があること、その場に応じた行…
はじめに 障害のある人に対する支援として、成年後見制度の活用が考えられます。 後見人として障害のある人を支援する場合、障害について理解しておくことは重要です。 今回は、精神障害について考えてみます。 【1】精神障害とは 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」において、精神障害者は次のように定義されています。 第5条 この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。 「精神障害者」とは、統合失調症や急性中毒&依存症、双極性感情障害、てんかんといった精神疾患がある人ということのようです。 【2】精神障害者処…
はじめに 高齢化が進展するに伴って、認知症の高齢者が増加することが予想されています。認知症によって判断能力が低下した高齢者を支援するために成年後見制度の整備が急がれています。 【1】認知症とは 認知症という病気があるわけではなく、何かの病気によって脳の神経に障害が生じたことで起きる症状の総称です。脳の病気が悪化すると認知症が進行し、理解力や判断力が低下して社会生活や日常生活に支障をきたすようになります。 【2】物忘れと認知症の違い 加齢により物忘れをすることがあります。これは脳の生理的な老化現象であり、日常生活に特段の支障があるわけではありません。例えば、結婚式に出席はしていたことは覚えている…
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