はじめに 民法858条において「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と定められています。 成年後見人の事務は、「生活、療養看護」に関する事務と「財産の管理」に関する2つの分野ということです。 Ⅰ.身上監護について 【1】身上監護とは 身上監護とは、法律上の言葉ではありませんが、民法にある「生活、療養看護」に関する行為を意味するものとされており、身上保護という場合もあります。 【2】身上監護の範囲について 身上監護とは、契約の締結や解除、契約の実行状況の確…
1,相続税のしくみ 財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合に、その超えている課税遺産総額に対して課税されます。財産の価額の合計額には、債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。 2,相続税申告・納税の期間 被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内です。 3,相続税の計算 ①各人の課税価格の計算 相続や遺贈及び相続時精算課税の適用を受ける贈与によって財産を取得した人ごとに、課税価格を計算します。 相続又は遺贈によって取得した財産価額から債務額や葬儀費用を差し引いたり、相続開始前3か年以内の贈与財産の価額を加えたりして算出したものです。 ②相続税の総…
はじめに 相続が開始して相続人が相続放棄をする場合、家庭裁判所にその旨の申述をすることになります。その際、次のような手続きがあります。 ①申述人 相続放棄は相続人が申述しますが、申述をする人のことを申述人といいます。 ②申述期間 申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。 ③申述先 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所になります。 ④申述に必要な費用 申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手も必要となります。 ⑤申述するときに必要な書類 「相続放棄の申述書」と添付書類があります。審理のために必要な場合、追加書類の提出を求められることが…
はじめに 人が死亡した場合、相続が発生します。死亡した相続される人のことを被相続人といい、財産等を相続する人のことを相続人といいます。 (1)誰が相続人? 相続の場合、配偶者は常に相続人となります。さらに第1順位が子ども(胎児を含む)、第2順位が父母などの直系尊属、第3順位が兄弟姉妹となります。 相続人のパターンとしては①配偶者と子ども②配偶者と直系尊属③配偶者と兄弟姉妹④配偶者のみ⑤配偶者と子ども⑥直系尊属のみ⑦兄弟姉妹のみ、が考えられます。 (2)代襲相続 親よりも子どもが先に亡くなってしまう場合や相続欠格、廃除によって相続権を失ったような場合に孫が相続人となることです。 (3)相続人にな…
はじめに 社会が高齢化するとともに、医療の発展に伴う終末期医療の在り方に深く関係する「尊厳死」について、どう考えて、どう対応していくか、が課題となってきています。この「尊厳死」を巡っては、医療・福祉・法制度といった各方面で議論が深められてきました。 【1】「尊厳死」とは 自分の病気が治る見込みがなく死期が迫ってきた時に、自分の意思で延命治療を拒否するなど、死のあり方を選ぶ権利があるとする考え方です。 「安楽死」という言葉がありますが、「安楽死」には「積極的安楽死」と「消極的安楽死」の2種類があるとされ、「消極的安楽死」を「尊厳死」と呼んでいるようです。 ちなみに「積極的安楽死」とは、死期の迫っ…
はじめに 高齢社会を迎えて、老後における介護問題に対応するために2000(平成12)年4月より介護保険制度がスタートしました。 被保険者が介護を必要としたときにサービスが提供される介護保険は、健康保険・年金保険・雇用保険・労災保険と同じく公的社会保険のひとつです。 保険者は市町村であり、被保険者が市町村に対して介護保険給付の申請をします。申請をした人のうち、要介護・要支援の認定を受けた人だけがサービスを受けることができます。一定の年齢になればサービスを受けられるというわけではなく、誰でもというわけではありません。 認定では、介護が必要な要介護は1~5,要介護ほどではない要支援1・2の区分がなさ…
はじめに 戦後、核家族化が進展し、さらに高齢社会となっていている現在、親族と離れて一人暮らしをしている高齢者も増えてきています。 親族が近くに住んでいれば、時々は様子を覗いに行くこともできますが、遠く離れていたり、それぞれの家庭の事情によって、ままならないことが多々あるのではないでしょうか。 そのような場合に、全国的なネットワークを有し、日々、地域の中で住民と接触している強みを生かした郵便局が「みまもりサービス」を提供しています。 「郵便局のみまもりサービス」は次のようなものです。 【1】みまもり訪問サービス 月額2,500円(税込)で次のサービスの提供を受けることができます。 ①毎月訪問 郵…
(1)特別受益とは 相続人が、被相続人から生前贈与や遺贈(遺言によって財産を送ること)によって受けた利益のことをいいます。特別な利益を受けた相続人がいた場合に不公平な相続にならないようにする仕組みが民法に規定されています。 (特別受益者の相続分) 第903条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とす…
贈与税とは 国税である贈与税は、個人から財産を貰った時にかかる税金です。 会社などからの法人からもらった場合には、贈与税ではなく所得税がかかります。 贈与に対する課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。 (1)暦年課税について ①暦年課税とは 贈与税の課税方式で、1月1日から12月31日までの1年間に貰った財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して税をかける方式です。110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要です。 ②税率 平成27年以降の贈与税の税率は「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の2つに区分されています。 (ア)一般贈与財産 「特例贈…
【Ⅰ】これまでの経緯 2016(平成28)年 成年後見制度利用促進法が成立 2017(平成29)年 成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定 〈期間5年間2017(平成29)年4月1日~2022(令和4)年3月31日まで〉 2021(令和3)年 中間とりまとめ 2022(令和4)年 4月1日より次期基本計画の実施予定 【Ⅱ】中間とりまとめの基本的な考え方 本人を中心とした共通基盤となる権利擁護支援の考え方でもって、地域連携ネットワークを充実させ、地域共生社会の実現を目指していきます。 *共生社会とは 住み慣れた地域で、人と人、人と社会が繋がり、すべての住民が障害の有無にかかわらず、その人らしい生…
①遺留分とは 被相続人は遺言によって自分の財産を自由に処分できますが、相続人の相続期待利益を保護し、遺族の生活も保障する必要があります。 そこで、相続財産の一定部分を遺族に残すという仕組みが遺留分制度というものです。 ②遺留分権利者 兄弟姉妹を除く、配偶者、子、直系尊属です。 ③遺留分割合 *配偶者と子がいる場合は、相続財産の1/2 *配偶者と直系尊属がいる場合は、相続財産の1/2 *子どものみの場合は、相続財産の1/2 *直系尊属のみの場合は、相続財産の1/3 《例》 相続人が配偶者Aと子B、Cの3人であったとすると、 配偶者Aは1/2(法定相続分)×1/2(遺留分)=1/4 子Bは1/4(…
~前回の「配偶者居住権について」からの続き~ 【Ⅰ】仮払い制度について 背景(遺産分割前の預貯金債権について) 平成28年、最高裁は預貯金債権について、相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるとしました。 それまでは、相続分に応じて相続開始と同時に法律上当然に共同相続人に分割されるものでした。 この判決によって、相続人が金融股間から預貯金を引き下ろす際に、共同相続人の同意を求められるということになりました。 自らの相続分を遺産分割が成立するまで引き下ろすことができなくなると、共同相続人の同意がない場合、当面の生活費や葬儀経費の支払いに困難が生じる恐れがあります。…
相続法改正の経緯 平成25年、最高裁大法廷において婚外子相続分の違憲が決定したことで、民法が改正され「嫡出でない子の相続分を嫡出子相続分の2分の1とする」という900条4号ただし書き前段が削除されました。 「嫡出でない子」のことを非嫡出子といい、それまでの民法では、法定相続分が婚姻関係にある男女から生まれた子である「嫡出子」の2分1とされていたというものです。 民法改正によって嫡出子と非嫡出子の法廷相続分については平等になりました。 また、このことを契機として相続法制の見直しが議論されていきます。 相続法改正の概要 平成30年に民法一部改正法、遺言書保管法が公布・施行されたことによって、新たに…
はじめに 成年後見には次の2種類があります。 1,法定後見とは、裁判所の手続によって後見人が選ばれて後見が開始されます。裁判所が申し立てによって、保護を必要とする人に対して成年後見人・保佐人・補助人を選任するものです。 2,任意後見とは、制度を利用しようとする人で、本人が後見人を選任するものです。 任意後見については、1999(平成11)年、新たに「任意後見契約に関する法律」(任意後見法)が制定されました。 第一条 この法律は、任意後見契約の方式、効力等に関し特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めるものとする。 任意後見制度の仕組み 判断力が低下した時に備えて、…
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