【Ⅰ】成年後見制度創設の経緯 旧制度 現在の制度が創設される前は、禁治産・準禁治産制度でした。この制度は、言葉に差別的な表現があるため負のイメージがありました。また、資格制限が数多くあり支援に柔軟性が欠け、利用しにくいといわれていました。宣告を受けると戸籍に記載されてもいました。 新制度 2000(平成12)年に、本人の自己決定権を尊重する理念のもと、成年後見制度が施行されました。民法に基づく法定後見と、任意後見契約に関する法律に基づく任意後見とがあります。 法定後見制度においては、後見・保佐に加えて補助という新しい類型が創設されました。資格制限が減少されると共に、柔軟に支援が出来るようにして…
はじめに 近年、終活という言葉をよく聞きます。 団塊の世代が75歳を迎えてきており、人生の終盤について関心を寄せる方が増加してきたことも背景にあるのではないでしょうか。 エンディングノートは終活を考える場合に、家族への思いや遺産について書き記しておくものです。 エンディングノートとは 自分の死後の事柄について書き残しておくものには遺言書があります。エンディングノートも自分の死後のことについて書き記しておくものなのですが、エンディングノートと遺言書の決定的な違いは、法的効力があるかないかです。 どちらも遺産相続などについて書き記しておくことができますが、遺言書は法的な効力がありますが、エンディン…
はじめに 建設業においては建設業法において、その目的が定められています。 第1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 第1条の目的を達成するために、建設業の許可制度が確立されています。 許可制度の概要 ①建設業許可の新規取得 (ア)2種類の許可・・・大臣許可と知事許可があります。 A、大臣許可とは、2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて建設業を営む場合です。 B、知事許可とは、1つの都道府県の区域内に営業…
はじめに 国土交通省は、狭あい道路整備等促進事業として、狭あい道路の解消による安心・安全な街づくりのために地方公共団体が実施するセットバックに要する費用の支援事業を行っています。 狭あい道路とは 建築基準法においては、建物の敷地は、幅4m以上の道路に2m以上接することとされています。ただし、幅4m未満であったとしても特定行政庁が指定したものは道路とみなされており、いわゆる2項道路と呼ばれています。 狭あい道路整備等促進事業というのは、このような2項道路をはじめとした幅4m未満の道路を狭あい道路として国が支援しようとするものです。 セットバック 建築基準法では、道路に面して建築しようとした場合、…
はじめに 裁判所が「成年後見制度―利用をお考えのあなたへー」と題したパンフレットを発行しています。 HP「裁判所 - Courts in Japan」にも掲載されていますが、直接、裁判所へ行って紙のパンフレットをいただいてきました。 成年後見制度について分かりやすく記されていたので、まとめてみました。 1,成年後見制度の利用すると 成年後見制度を利用すると、次のようなサポートを受けることができます。 《ケース1》 私はお金の管理が苦手で、全部、母親に任せていたのに、ある日、突然、母親が病気で倒れてしまったような場合。 ⇓ 成年後見人等が、私の代わりに銀行で手続きをしてくれます。 《ケース2》 …
はじめに 高齢になって身体や意思が不自由になった場合にどのように備えておけばよいのか、をあらかじめ考慮するようになります。 そのために高齢者の心身や意思判断の状況に応じて段階的に想定される、次のような制度があります。 ①見守り契約 見守り契約というのは、一人暮らしの高齢者などを対象として、支援者が報酬を得て、本人の健康状態や生活状況を確認しながら日常の法的支援を行うものです。月に少なくとも1回以上、電話をしたり面談訪問を行ったりして、本人の現状を継続的に見守っていくことになります。 常日頃から、介護や福祉サ-ビス、医療機関といった関係機関と連携しながら対応する必要があります。 ②任意後見契約 …
はじめに 遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「危急時遺言」がありますが、主には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」が使用されています。 自分で書き記して残しておく遺言は「自筆証書遺言」であり、「公正証書遺言」とは、公証役場で遺言者が遺言を公証人に伝えて、公証人がその内容を文章にまとめて作成するものです。 公正証書遺言のメリット ①公証人のチェック 遺言の内容や要件について不備がないかどうか、公証人によって次の点がチェックされることで遺言の執行がスムーズに行われます。 ・相続に関すること ・財産処分に関すること ・身分に関すること ・遺言執行に関すること ・配偶者居住権に関する…
裁定制度と登録制度 【1】裁定制度とは 他人の著作物、歌手の歌唱・演奏・俳優の演技などの実演、CDといったレコード、放送又は有線放送を利用する場合には、著作権者や著作隣接権者の許諾を得る必要があります。 ところが、権利者が誰か分からない、どこにいるか分からない、権利者の相続人が誰でどこにいるか分からないなどの理由で許諾を得ることができないことがあります。 このような場合に、権利者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定によって、補償金を供託することで適法に著作物を利用できるようにする制度です。 裁定申請の要件 ①公表されているもの又は相当期間にわたり公衆に提供されている事実が明らかである著作物です…
著作権の制限について 著作権法では、書籍などを複製することは原則著作権者の許諾を必要としている上で、公益や社会慣行等によって著作権者の利益を不当に害さない場合は自由に利用することを認めています。 著作権を制限する場合の根拠については、ベルヌ条約のスリー・ステップ・テストという制限のためのルールがあります。 ア、特別な場合 イ、著作物の通常の利用を妨げない場合 ウ、権利者の正当な利益を不当に害さない場合 以上の場合には著作権の制限もやむを得ないとされています。 著作権の権利制限の種類 ①私的使用のための複製 個人的に又は家庭内等で使用する場合には、著作権者による権利制限は出来ないとされています。…
著作物の利用について 著作権というのは、他人が創造したものをかってに利用できない権利です。したがって、他人が創造した著作物を利用する時には著作者の許諾が必要です。 第63条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。 著作権の集中管理制度 多くの著作権者から、いちいち許諾を得ることは大変です。そこで著作権等集中管理事業法が制定され、著作権の集中管理制度が設けられました。 著作権等管理事業者が著作権者の権利を預かり利用の許諾を与えることで利用料を徴収し、権利者に分配するという制度です。 文化庁に著作権等管理事業者として登録し、業務の監督を受けます。例えば「日本複製権センター…
著作隣接権について 実演、レコード、放送、有線放送に関して、著作隣接権というのがあります。 ①実演 著作物を演じることで権利が生じます。著作物を演じる訳ではありませんが、手品とかサーカスといった芸能的性質を有するものも含まれます。 2条1項3号 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。 ②レコード 音を固定したもので、音は自然のものでも録音すればレコードとしての権利となります。 例えば、レコードの音源については、作詞家・作曲家の著作権、歌手・演奏家の著作…
③著作権について 財産権としての著作権は、譲渡や相続ができます。 このため著作者と著作権者の関係においては、著作物が創出された時点で、通常は著作者と著作権者は同じですが著作権は譲渡・相続ができるので著作者と著作権者は別々になる場合があります。 著作権は権利の束といわれていて、複数の小著作権(支分権)からなっています。支分権を束ねたものが著作権ということです。 概ね、次の4つのグループに分けられるようです。 ア、有形的に再製する複製権 イ、無形的な利用の上演権・演奏権、上映権、公衆送信権、公の伝達権、口述権、展示権 ウ、複製物を利用する頒布権、譲渡権、貸与権 エ、二次的著作物の創作権と利用権 (…
著作者について ①著作者とは 著作者には自然人と法人等があります。 ア、自然人 「著作者とは誰であるのか」ということですが、著作物を創り出した自然人ということです。 イ、法人等 次の要件を満たした場合、著作者は法人ということになります。 〇法人の企画である 〇法人の業務に従事している者が創作する 〇職務上の行為として創作する 〇法人等の名義で公表する 〇契約などで著作者は職員とするといった定めがない 第15条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下…
「美術の著作物」について 2条2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。 美術の範囲に属するものが著作物とされており、美術工芸品が含むものとされていますが、意匠法との関係で曖昧な部分があります。 著作権法では観賞目的の純粋な美術品が保護の対象となりますが、意匠法では実用目的の応用的な美術品が保護の対象となっています。 そのため実用的ではあるけれども観賞目的の美術工芸品といったものをどう扱うかは、結論が出ていない曖昧なままのようです。 例えば、Tシャツのデザインは実用的なTシャツとプリントされている絵柄は分離して考えることができるため、著作権法の保護対象になります。 知…
はじめに 著作権は、さまざまにある知的財産権の一つです。 知的財産権には文化庁が管轄する著作権の他に、特許庁が管轄する産業財産権があります。産業財産権には①発明を保護する特許権、考案を保護する実用新案権、工業デザインを保護する意匠権、マーク等の営業標識を保護する商標権があります。 この他に、経済産業省が管轄する、半導体の回路デザインを保護する回路配置利用権や不正競争防止法による事業者間の競争秩序を維持するための営業の秘密や類似商品の販売規制、農林水産省が管轄する種苗法によって規定された、新種の植物を保護する育成者権といったものがあります。 著作権法 1899(明治32)年、文学的及び美術的著作…
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