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ぼくのワイフは美人ロボット http://marya71.blog.fc2.com/

世界初のSF経済小説。美人ロボットと結婚した男の冒険を通じて、200年後の日本を大胆に予想します。 毎週日曜日に連載予定。ご期待ください。

marya71
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2020/04/02

  • = 経 済 の な い 世 界 =

    第1章 ダーストン星 ≪6≫ ノアの方舟 ウラノス博士の話は続いた。「実は、われわれの祖先も300年ほど前に、同じような経験をしたんじゃ。君の星、地球は海底のメタン・ハイドレードを掘り過ぎて、メタン・ガスの噴出を止められなくなったことが原因だったね」よく知っているなあ。UFOで集めた情報なのか。それとも、ぼくの頭脳から記憶を抽出したんだろうか。もしそうなら了解も得ないで、他人の記憶を勝手に取り出すなどと...

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    第1章 ダーストン星 ≪5≫ UFOの正体 そのウラノス博士は、大きな声をあげながら両手を前に突き出した。そう、この星では両手を重ね合わすことが挨拶だと、車のなかでマーヤに教わったばかり。ぼくも慌てて両手を差し伸べる。「元気になったようじゃね。結構、結構。まあ、そこに座ってくれたまえ」白髪で丸顔、広いおでこに鋭い眼。でも声は柔らかい。小太りの身体を黄色いローブのような衣服で覆っていた。まるでギリシャ時代...

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    第1章 ダーストン星 ≪4≫ プレート 卵型の小型車に、マーヤと乗っている。病院の玄関から幹線道路に出て、8車線の高速道路へ。すべて自動運転だ。だいいち、この車には運転席がない。きょうは科学院長に会いに行くのだ。高速道路では300キロぐらいのスピードで走った。だから100キロほど離れた隣町の科学院に、アッという間に到着する。それでも、マーヤにいろいろ質問する時間はあった。まずはきのう受けた手術で、ぼく...

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    第1章 ダーストン星 ≪3≫ ブルトン院長 本当にびっくりした。たしかにロボット的な感じもしなくはなかったが、すました顔の愛くるしい目。それに健康そうな小麦色の肌は、とてもロボットとは思えない。喋るときには、表情さえ変わる。「きょうの午後は、貴方の手術をされたブルトン院長の回診があります。とてもいい方ですから、何でも聞いてみてください。私が完全に通訳しますので、ご安心を」と、マーヤがにこやかに告げた。...

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    第1章 ダーストン星 ≪2≫ マーヤ あくる日の朝、ぼくは車いすに乗せられた。きのう見た胸番号「71」の女性看護師が、車を押してくれている。廊下に出ると、風景は日本の大病院とそう変わらない。患者とおぼしき人や女性看護師、それに医師らしい白衣姿の男性も廊下を歩いていた。気が付いたのは、男性の左胸につけられた青いプレート。そこには「48」と書かれていた。「外へ出てみましょうか」と、女性看護師「71」が言...

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    第1章 ダーストン星 ≪1≫ 出会い 気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。疲れている。頭が少し痛い。再び意識がかすんでしまった。次に目が覚めると、白衣の女性看護師の顔が見えた。卵型で整った顔立ちの美人だ。白衣の左胸に黄色のネーム・プレートを付けている。名前を見ようとしたが「71」という数字しか書いてなかった。 「もう大丈夫ですよ。気分はどうですか」と、やや甲高い声で聞いてくる。やっぱり...

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    プロローグ②ぼくはずっと家に閉じこもったままだ。本を読んだり、パソコンの前に座っていることが多い。でも飽きると広大な敷地内をドーベルマンと一緒に走ったりするから、運動不足にはならない。ゴルフ・ボールなど、いくらひっぱたいても敷地の外に飛び出すことはない。一方、摩耶の方はよく外出する。3キロも離れた町に買い物に出かけたり、ときには電車に乗って東京まで足を伸ばす。その事件は、摩耶が東京から終電で帰って...

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    プロローグ①ぼくのワイフは、女性ロボットだ。でも、このことは誰も知らない。見た目は人間そっくり。やや地味目のスーツを着たり、たまには和服姿のこともある。道ですれ違った人には、30代の後半で顔立ちの整った美人に見えるだろう。標準語もちゃんと話す若奥さま風のこの女性が、ロボットだとは決して気が付かない。その彼女が、ぼくのカミさんなのである。ぼくたち夫婦が住んでいるのは、山梨県の小高い丘の上。東京ドーム...

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    エピローグ≪67≫ かぐや姫 = その年の秋。夜半の満月を見上げた人は、びっくり仰天した。明るい月面から地上に一条の光が射し込み、その光に沿って和服姿の女性がゆっくりと登って行く。奇妙なことに女性は大きな黒い荷物を両手で抱えており、3-4分もすると見えなくなってしまった。 この天体ショーはSNSですぐに拡散。あくる日の新聞、テレビでも大きく報道された。見出しは「天に昇る美女」「かぐや姫の現代版」・・・。...

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    第7章 終 局≪66≫ 2100年 = 地球は22世紀を迎えた。早いもので、ぼくが地球に帰還してから、もう39年の歳月が流れたことになる。マーヤのおかげもあって元気に暮らしているが、御年なんと80歳だ。それに気になることがある。それは左胸のプレート。地球では着衣に隠れて見えないようになったが、裸になれば緑色の≪14≫という数字がくっきり。マーヤの黄色の数字は≪19≫だ。どうやらダーストン国の滞在期間と帰り...

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    第7章 終 局≪65≫ 記録 = 近ごろは朝のうち、パソコンの前に座っていることが多くなった。ダーストン国では数多くの人に会い、いろいろな施設を見学した。その都度メモをしたが、そのノートは帰りの宇宙船に持ち込ませてくれなかった。地球人にダーストン星のことを知られたくなかったからだろう。だが、あの5年間の経験は強烈だっただけに、ぼくはメモがなくても全部覚えている。ただ歳をとれば、記憶が薄れるかもしれな...

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    第7章 終 局≪64≫ 日本 = 2090年ごろになると、日本経済は完全に再生した。輸出が増加し、国内の消費も順調に伸び続けている。企業の利益は拡大し、株価は上昇した。なによりも街を歩く人が元気を取り戻し、世の中がひところより格段に明るくなっている。ぼくが地球を飛び出したのは、ちょうど50年前。あのころが、いちばんひどかった。異常な寒冷化が収まったあとも日本は回復が遅く、世界でも二流国に没落してしま...

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    第7章 終 局 ≪63≫ 世界 = けさのテレビ・ニュースは、中東で起きたテロと報復爆撃の様子を生々しく伝えていた。地球の異常な寒冷化で人類の存続が危ぶまれたとき、世界各国は一致して対応策の構築に努力した。だが脅威が去ると、状況は元へ後戻り。宗教的な色彩の強い地域的な戦争が、しばしば勃発。米中ロの3大強国は残り少なくなった資源の取り合いに狂奔。みな自国第一主義に走って、リーダーの風格を有する国は全...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪62≫ SEX = 「医療技術がダーストン並みに向上しないと、医療や介護、教育や家事型のロボットは造れないわけなのね」と、マーヤがつぶやく。――そう。いまの機械的ロボットでも補助的な役割は十分に果たすけれど、人間の代わりにはならない。200年後にダーストン並みのロボットが出来るかどうか。それは子孫に任せるしかないだろう。「でも貴方の気持ちの奥底には、私のような人間的ロボッ...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪61≫ 迷い = 山梨県の工場敷地内に小さな家を建て、近ごろはそこに引きこもっている。都内にいるとマスコミの攻撃に曝され、疲れてしまうからだ。いつも「あの“神の粉”は、誰がどこで造っているのか」と「貴方は宇宙で5年間なにをしていたのか」という質問ばかり。「お答え出来ません」「記憶がありません」と答える虚しさにも、耐えられなくなっていた。当然、マーヤもここに住んでいる。マ...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪60≫ 自給率 = 「スーパーに行けば、肉でも野菜でも店頭にあふれかえっているじゃない。それなのに何で農水産用ロボットを造るのかしら」と、マーヤが真剣な顔をして聞いてきた。――ぼくの若いころ、日本の食糧自給率は38%ぐらいだった。それが、いまでは30%前後まで落ちている。若い人が農業を敬遠し、多くの働き手が高齢化した結果だ。この傾向は今後もずっと続き、自給率はもっと下...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪59≫ 3つの目標 = マーヤと並んで寝ながら、こんどはぼくの方から話しかけた。――ちょうどいい機会だから、ぼくが考えている日本再生の方法論を説明しておこうか。こう言った途端に、マーヤはすっくと立ち上がり照明を明るくした。「そんな大事なことを寝ながら言ってはダメ。いまコーヒーを持ってくるから、ちゃんと起き上がって説明してください」マーヤはテーブルに2つのカップを持って...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪58≫ 大活躍 = 名古屋の銀行に3人組の強盗が拳銃を持って押し入り、人質を取って立てこもった。ところが、この銀行のフロアには、マヤ工業製のガードマン型ロボットが配置されていた。強盗が「床に伏せろ」と威嚇しても、ロボットは言うことをきかない。そこで犯人の1人がロボットに向けて拳銃を発射。その瞬間、ロボットの頭から光線が出ると、強盗団はみな意識を失って倒れてしまった。...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪57≫ 使命感 = マーヤはJRリニア新幹線会社と協力して、相変わらず寝食を忘れて働いていた。と言って、ぼくが遊んでいたわけではない。ダーストン星での経験を活かして、どうしたら日本をもっと素晴らしい国に変えられるか。最近はそれがぼくの天職だと、ひしひしと考えるようになった。まず手を着けたのは、ヒト型ロボットの量産化だ。山梨県の実験工場の隣に、ロボット製造工場を建設した...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪56≫ 神の粉 = ある日、JRリニア新幹線会社のお偉方がやってきた。革命的な新素材の話はあっという間に海外にも広まり、共同生産したいという申し込みが相次いでいるのだと言う。そこで海外にも、あのダーストニウムを供給してもらえないかと頼みに来たのである。その辺のことになると、ぼくには何とも言えない。同席したマーヤの方を見ると、彼女は「結構です」ときっぱり返事した。ただ「...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪55≫ 主婦業 = マーヤは完全に、日本の主婦になった。ぼくの食事を作るために、町へ買い物に行く。そのために車の運転も始めた。自動運転車だが、まだ人間の補助が必要だ。ダーストン星のように、道路と側壁が車を誘導するシステムにならなければ、完全自動車にはならない。そうなるまでには、200年ぐらいかかるのだろう。ときにはマヤ工業の専務として、ビジネス相手とも付き合っている。...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪54≫ 救世主 = 地球は人間が自ら生み出した氷河期を抜け出し、かつての春夏秋冬を取り戻していた。しかし人々を取り巻く政治的・経済的な環境は、暗くて重苦しかった。アメリカと中国が覇権を競い合い、国連は機能を停止した状態。核兵器のおかげで軍事衝突こそ免れているが、2つの大国は重要な資源の獲得に血道を上げている。その結果、金属や食料などの価格が高騰。企業も個人も、物価高...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪53≫ 無償供与 = 机の向こう側にずらりと並んだJRリニア社の重役たちは、びっくり仰天。しばらくは開いた口が塞がらなかった。真ん中に座っていた副社長が「それでいいのですか」と、何度も何度も念を押した。JR側の技術者がマヤ社製の新しい路床を入念にテストした結果、その優れた性能が完全に確認された。このためJRリニア社は、新製品の購入を決定。その最終的な契約交渉の席で、ぼくと...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪52≫ マヤ工業 = マーヤが帰ってきたとたん、ぼくは急に忙しくなった。市役所に結婚届を出し、宝くじを買うため都内にもたびたび出かけた。そして会社の設立と工場の建設。会社名は前々から「マヤ工業」に決めていた。リニア新幹線に近い山梨県の土地は、予想外に安い値段で手に入れることが出来た。不況と人口減少が、地価を下落させていたのだろう。この土地に、全長80メートルほどの細...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪51≫ 再会 = 2062年3月1日の夜10時すぎ、ぼくは駅から家へ向かって歩いていた。まだ肌寒いが、おぼろ月夜。街なかを抜け小さな公園に差しかかったとき、後ろからハイヒールの足音が迫ってきた。直感的にマーヤではないかと思ったが、振り返るわけにもいかない。追い付いてきた女性が、低い声で囁いた。「ただいま」ああ、やっぱりマーヤだ。幸い人通りもなかったので、二人はそのま...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪50≫ 二流国 = 地球はすっかり昔の姿を取り戻していた。10年前のあのどす黒い雲は、まったくない。2月の日本はまだ寒いが、青空の下で桜の芽が確実にふくらんできている。だが人々は、どうして上空のメタンガスが急に取り除かれたのか。だれも知らない。 ところが街を歩いてみると、どうにも活気がない。最大の理由は人口の減少だ。日本の総人口はすでに1億人を割り込んでいる。しかも4人...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪49≫ 奇跡の生還 = 気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。どうやら眠っていたらしい。4年間も眠り続けたのに、どうしてまた眠ってしまったんだろう。宇宙船が大気圏に突入する前、マーヤが差し出した黒い丸薬。地上の重力に早く慣れるための薬だと言っていたが、睡眠薬も含まれていたに違いない。ここは病院だ。その証拠に、女性の看護師が歩いてきた。でも残念ながら、マーヤ...

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