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ぼくのワイフは美人ロボット http://marya71.blog.fc2.com/

世界初のSF経済小説。美人ロボットと結婚した男の冒険を通じて、200年後の日本を大胆に予想します。 毎週日曜日に連載予定。ご期待ください。

marya71
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2020/04/02

1件〜100件

  •  = 経 済 の な い 世 界 =

    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪42≫ ダーストン人 = それから半年あまり、ぼくは精力的に人々と付き合い、集会などへも積極的に参加した。この国の人たちを、もっと知りたいと考えたからである。まるで世論調査をしているようだと感じながら、毎晩メモしたノートは20冊を超えた。おかげでダーストン人の思考や生活態度も、ずいぶん判ってきたように思う。エネルギー研究所のシュベール博士から聞いたダーストニウム合金と太陽...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪41≫ 道路革命 = 帰りの車では、改めて高速道路の状態を観察した。もう何回となく走っているが、これまでは遠くの景色を眺めていたことが多い。車の上半分は強化ガラスで造られているから、外はよく見える。でもスピードが速いので、近くのモノには焦点が合わない。高速道路は片道3車線で、幅は20メートルほど。両側には高さ1メートルぐらいの壁が続いている。その壁には点滅する小さなライ...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪40≫ 人工の光線 = 「この話は絶対にオフレコだぞ。マーヤも承知しておけ。本当は話したくないんだが、賢人会の議長から『話しておくように』と、わざわざ指示があった。なんで、あのウラノス博士がこんなことを言うのか、私には解らない」不満そうな口ぶりで、シュベール博士が訥々と喋り始めた。名指しされて、マーヤも緊張の面持ちで聞いている。「われわれが発見した新金属ダーストニウムは...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪39≫ シュべール博士 = この星では大勢の人と出会ったが、シュベール博士ほど変わった人はいない。胸のプレートは≪20≫だ。長身でやせ形、長く伸びた白髪の間からギロリと目が睨む。まるで仙人のようだ。ニコリともせず、こう言った。「君がうわさの地球人かね。われわれと、そんなに変わらないんだな」マーヤが賢人会のウラノス議長に連絡すると、折り返し手紙が届いた。すべて無線で用が足り...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪38≫ 国家機密 = また1ブロック先のレストランに来ている。落ち着いた間接照明で、高級感と居酒屋的な気安さが同居している住民の集会所だ。いつかマーヤに名前を尋ねたら「満足」という意味だという。人々は人生に満足しているからここへ来るのか、していないから来るのか。よく解らない。よく一緒になるSさんとMさんの夫婦が、今夜も酒を飲んでいる。そこで隣に座ってもいいかと聞いたら、4...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪37≫ ダーストニウム = 東京ドームに似た巨大工場の天井から見下ろした光景は、圧巻だったがグロテスクでもあった。直径が3メートルもありそうな太い金属パイプが、大蛇のようにとぐろを巻いている。そのパイプには数百本の細いパイプが突き刺さり、電線が蜘蛛の糸のように張り巡らされていた。音はほとんどしない。歩き回ったり、計器を見ているロボットたちが、小人のように見えた。ロボット...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪36≫ 純金の家 = ずっと考えてきたけれども、まだ解らないことがいくつかある。その1つは、人々が望んだモノをロボットたちはすべて造れるのかという疑問だ。どんな材料でも入手できるのだろうか。食料品や家具などは、たしかに工場で生産されていた。しかし、たとえば純金の家が欲しいと言ったら・・・。その晩、この疑問をマーヤにぶつけてみた。するとマーヤは首をかしげながら、こんな話を...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪35≫ 200年後の地球 = この星で暮らし始めてから、早いもので2年が経過した。といってもダーストン星の公転周期は168日だから、地球の時間で言えばまだ1年に満たない。それでも生活にはすっかり慣れ、この国の人々ともずいぶん仲良くなった。見聞きしたことについては毎日メモを付けているが、この辺で2年間のまとめを書いておこう。そう思って、ノートに書き始めると・・・。いつの間にかマ...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪34≫ブルトン二世 = 続いて、ブルトン病院長の息子さんにも聞いてみた。金髪で目のくりっとした11歳の少年です。名前はレノン君。――いま何年生ですか?「9年生です。近くの小学校へ、週に2回ぐらい行きます。学校といっても、決まった授業はありません。友達としゃべったり、遊んだりするために行くんです」――9年生というと?「ダーストン国には、小学校と大学校しかありません。小学校へは3歳で...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪33≫子どもたちの意識 = きょうは公園に、中学生ぐらいの子どもたちが6人集まっている。男女3人ずつ。あのガーシュおばあちゃんが、連れてきてくれた。さっそく質問してみる。――きょうは学校へ行ったの?すると「はい」と言って手を上げたのは、女子の2人だけ。あとは行っていないという。学校へ行くのは、週に1-2回の人が多いようだ。友達と会って話をしたり、遊んだり。先生になにか相談する...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪32≫ 爆発した議論 = ぼくが女性たちにこんな質問をし、マーヤがそれをダーストン語に通訳したとたん、会場は騒然となった。――いま話題になっているロボットとの結婚問題について、みなさんはどう思いますか?Aさんが立ち上がり、大声で喋り始めた。Cさんも負けていない。内容は解らないが、どうやら賛成論と反対論をぶつけ合っているようだ。ほかの女性たちも一斉に何か叫んでいる。ぼくはあっけにと...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪31≫ 子どもの教育 = どんな物でも頼めば手に入るから、この国の人々には虚栄心も劣等感もなくなったという。すると競争心もないのだろうか。聞いてみると・・・。薄緑色のローブをまとったCさんが立ち上がった。プレートには≪65≫とある。小柄だが気の強そうな感じ。2児の母親で、ボランティアで中学校の講師をしていると自己紹介した。「競争心は人間の本能ですから、なくなりませんよ。たとえば...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪30≫ 貧富の概念なし = ぼくの部屋が、きょうは珍しく華やかな社交場になった。中央に長いテーブルが置かれ、卓上にはきれいな花とケーキや飲み物が。いろいろな色のローブを身にまとった女性ばかりが、7人も座っておしゃべりしている。マーヤの発案で、あのショッピー館長とガーシュおばあちゃんが、近所の女性たちを招集してくれたのだ。ガーシュおばあちゃんが立ち上がると、おしゃべりはピタリと...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪29≫ ロボット博士 = 広大な歴史博物館を歩き回ったものだから、少々くたびれた。まだ明るさが残っている前庭に出ると、冷たい空気が心地いい。ショッピー館長は71歳のはずだが、平気な顔をしている。と、そのときラフマが館長に何かささやき、館長はすぐ反応した。マーヤが「誰かを見付けたようですね」と説明してくれる。「ラフマがいい人を見付けてくれました。リストン博士と言って、ロボット工...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪28≫ 人間を超える? = 次の部屋に入ると、壁際にロボットが100体あまりも整列していた。その壮観に目を奪われる。隣のマーヤも息を呑んでいた。ショッピー館長が、いちばん手前のロボットを指して説明を始める。「これは350年ほど前、チャイコ星で造られた初期のロボットです。ご覧のように、背が低く動物に似ているでしょう。体は金属製で真っ白に塗られています。前に立った人間に『こんにち...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪27≫ ロボットの実力 = 「初代の賢人会議長に選ばれたのは、バックさんという人でした。ほら、ここに肖像画が飾ってあります。この人はとても評判のいいお医者さんであると同時に、ロボット工学の専門家でもありました。このため議長に就任すると、ロボットの能力を人間並みに引き上げることに全力を挙げたのです。科学者や技術者、医者を集めて、ロボットの人間化を研究させました。ロボットの頭脳は...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪26≫ 貧富の格差  = ショッピー館長の熱心な講義が続く。ラフマはうっとりした表情で聞き入っているが、マーヤは大忙し。いろんな経済用語が出てくるから、大変なのだろう。「マネー経済領域にある株式とか貴金属の価格は、どんどん上がりました。中央銀行が大量のおカネを放出したからです。コンピューターに任せておいても、莫大な利益が転がり込む時代でした。でも、この流れに乗ってお金持ちにな...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪25≫ マネー全盛期  = 再び動く歩道に乗って、いちばん奥の部屋に戻る。そこでラフマが天井の一角を指さすと、部屋の雰囲気ががらりと変わった。展示されていたコン棒や弓矢が美しい色の貝殻や石に変わり、壁の大きな絵も古代人がウサギと貝殻を交換する図柄に一変した。「こんどは通貨の歴史です。貝殻や石などの自然物から、人間が鋳造した金属のコイン。さらに近世に入ると、中央銀行が発行する紙...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪24≫ コン棒からコンピューターへ = 歴史博物館は石造りの宏大な建物だ。天井が高い真ん中のホールは、運動会が開けるほどの広さ。そこから四方に幅広の廊下が突き出しているから、空から見ると大きな十文字型をしているはずだ。その1つの廊下の左側に経済資料館の部屋が並び、右側は科学資料館になっている。相変わらずラフマと腕を組んだままのショッピー館長と一緒に、動く歩道に乗っていちばん奥...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪23≫ ボランティア = 銀色のローブに身を包んだショッピー館長とロボットのラフマは、ぴったり身を寄せてテーブルの向こう側に座っている。こちら側のぼくとマーヤの間は、やや離れている。距離を詰めようかと迷ったが、思いとどまった。――でも館長、働いている人の給料はどうしているのですか。病院のブルトン院長や科学大学院のメンデール教授、それに貴女も。「この国では約3割の人たちが、たし...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪22≫ ピカピカの歴史博物館長 = 玄関前で出迎えてくれた館長は、陽の光に照らされて輝く銀色のローブを着た女性だった。すらりとした体形で、顔立ちはすこぶる整っている。全く同じ背格好の女性ロボットと腕を組んだまま、微笑みながらお辞儀をしてくれた。こちらも慌ててお辞儀をする。「よくいらっしゃいました。私が館長のショッピーです。このロボットはラフマ。生まれたときから一緒で、一心同...

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    第3章 なんでもタダの国 ≪21≫ 97歳のおばあさん = この星に来てから半年も経ったが、ちかごろ心配なことがある。けさも美味しい朝食を食べたけれど、ぼくの部屋代や食事代は、いったい誰が払ってくれているんだろう。急に払ってくれと言われても、ぼくは無一文だ。これだけ科学が発達している国だから、支払いはカードとか電子マネーで済ませているのだろう。最初のころは、そう思って深くは考えなかった。しかし6か月分...

  • ◇ これまでの あらすじ ◇

    1) 200年先の科学技術を持つダーストン国 = 2050年、種子島から打ち上げられた宇宙船で、ぼくは4年半後にダーストン星に着いた。島国のダーストン国は、人口1000万人。驚いたのは、科学技術が地球人よりも200年ほど進歩していること。まず医療技術は完璧で、どんな病気でも怪我でも治してしまう。このため人口が増えないように、すべての国民の寿命を100歳と決めている。人々の胸には名刺より少し大きいぐらい...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪20≫ 賢人会の裁定 = ある朝、マーヤが青い顔をして駆け込んできた。いや、マーヤの顔は赤くなったり、青くなったりはしない。ただ、とても慌ててやってきたことに違いはない。「困ったことが起こりました。あのロージが『ロボットたちに、人間の女性と闘うように指令を出した』という噂が広がっているんです。本当だとすると、ロージはお仕置きされるかもしれません。どうしたら、いいでしょう」――お...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪19≫ とっさの忠告 = このところ、連日のように工場や農場の見学に出かけている。機械や日用品、それに食品を造る工場。みな完全に自動化されており、広い工場の要所要所にロボットが立って働いている。人間が1人か2人いる工場もあったが、全く人影のない工場の方が多い。マーヤに聞いてみると、何か難しい判断が必要になる工場には、人間が配置されているのだそうだ。不思議なことに気が付いた。最初...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪18≫ ジェラシー? = 「宇宙空間バリアは暴風雨の制御だけではありません。これによって、この星の気象全般をコントロールできるようになりました。この島にも四季はありますが、夏は暑くても25度ぐらいまで、冬は寒くても10度以下にはなりません。いくつかのバリアを操作して、ベートンから来る光線を調節しているからです。それどころか毎日、毎時間ごとの気象も、われわれが決めています。だか...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪17≫ バリアの技術 = きょうは郊外にある科学大学院のメンデール学長を再び訪ねた。市中の建物はだいたい20-30階建てだが、このビルは40階建て。群を抜いて高い。屋上に通信用のアンテナ類が林立している。車が正面玄関に着くと、女性ロボットが出迎えていた。マーヤをみると、とても嬉しそうにしている。ぼくには聞こえないが、何やら通信を交わしているように思われた。40階の広大な機械室...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪16≫ マーヤの決断 = 数日後、マーヤが急に元気を取り戻した。以前のように話しかけてくるようになったし、動作も活発になった。こんなことを聞いたら怒るかなと思ったが、やっぱり聞いてしまった。――ねえ、マーヤ。君はメンデール教授の話を聞いてから、何か考え込んだようだね。もしかして、人間の男性に結婚したい人でもいるのかい。マーヤは珍しく大笑いをして、こう答えた。「どこの星の男性も考...

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    第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 ≪15≫ 人間との結婚 = このところ、マーヤの様子がおかしい。なんだか緊張しており、ときどき考え込んでいるようだ。メンデール教授が別れしなにつぶやいた一言が、どうやら影響しているように思われる。メンデール教授は、こう言ったのだ。「いま賢人会では、ロボットと人間の結婚について議論しているらしい。人間の同性婚はずっと昔に認められたのだから、いいんじゃないかという声が強いそ...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪14≫ 女性ロボット = 250年前に起こったロボットによるクーデター未遂事件。この計画がマスコミによってすっぱ抜かれると、世の中は大混乱に陥った。政府は緊急に議会を召集したが、「責任者は誰だ」とか「和解の道を探れ」とか、議論は一向にまとまらない。そうしているうちに、ロボット側は食料や飲料水の生産拠点を占領してしまった。もしワーグネル博士らが敏速に動いて蓄電所を掌握しなかった...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪13≫ クーデター = メンデール教授の講義は淡々と続いた。「ダーストン星には、この島以外に陸地はありません。つまり、バカげた領土争いをするような相手国がないのです。このため私たちの祖先は武器や弾薬をいっさい作らないことに決めました。それでロボット戦争も、工事用の鉄棒を短く切って振り回すだけでした。この様子を見て、当時の人々はロボットがちゃんと働いてくれる限り、放置しておいても...

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    第2章 ロボットの反乱 ≪12≫ 関ヶ原の合戦 まるで子どものときテレビで見た関ケ原の合戦のようだった。手に手に棒のようなものを振りかざした無数の戦士たちが、広い草原を埋め尽くし殴り合っている。初めは人間だとばかり思ったが、よく見ると敵も味方もロボットだ。殴り倒されたロボットが、次々と草原に横たわる。音は消してあるが、怒号や悲鳴が聞こえてくるようだ。5分ほどで壁に映された戦闘場面は消え、室内が明るくなっ...

  • ◇ これまでの あらすじ ◇

    1) 地球が寒冷化の危機 = 21世紀の半ば、地球は厚いメタン・ガスに覆われ、冷え込んでしまった。食料不足に見舞われた人類は、移住できる星を探るために、宇宙船を飛ばした。ぼくはその宇宙飛行士の1人。4.2光年離れたダーストン星にたどり着く。着陸時に事故が起こり、ぼくは重傷を負った。しかし、この国の医療技術は完璧で、1週間のうちに歩けるようになる。どんな病気でもケガでも治してしまうので、この国の人た...

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    第1章 ダーストン星 ≪11≫ マーヤの激励 あくる朝、ぼくはまだ憂鬱な思いを引きずっていた。宇宙船が壊れてしまったから、もう地球には帰れないだろう。地球は、日本はどうなっているのだろう。凍り付いてしまったのかしら。ほかの4人の宇宙飛行士は、ここよりずっと遠くの星を目指したのだから、まだ飛んでいるはずだ。いろんな思いが、頭のなかで交錯する。そのときドアが開いて、マーヤが朝食を持って現れた。「お早うござい...

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    第1章 ダーストン星 ≪10≫ 天涯孤独 実を言うと、ブルトン夫人の「子どもを残して病気や事故で死んでしまう親の悲劇」という言葉は、ぼくの胸にぐさりと突き刺さった。忘れようとしていた25年前の記憶が、一気によみがえったからである。そんな悲劇が起こる世界よりは「100年間を確実に生きられる方がいい」という夫人の主張にも、説得力を感じてしまった。その夜、ぼくはその日の出来事をノートにメモしながら、物思いに沈ん...

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    第1章 ダーストン星 ≪9≫ 幸せな人生 「私たちは物心がついたときから、お前の寿命は100年だと教えられてきました。そのとき子どもたちは『100年しか生きられないから悲しい』なんて、誰も思いませんよ。みんな『100年も確実に生きられるんだ』と喜びます。その喜びを、大人になっても持ち続けているんです。だから昔の賢人たちが決めたことに疑問を持ったり、反対を唱える人は誰もいません。もっと昔の人は、病気や怪...

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    エピローグ≪65≫ かぐや姫 = その年の秋。夜半の満月を見上げた人は、びっくり仰天した。明るい月面から地上に一条の光が射し込み、その光に沿って和服姿の女性がゆっくりと登って行く。奇妙なことに女性は大きな黒い荷物を両手で抱えており、3-4分もすると見えなくなってしまった。 この天体ショーはSNSですぐに拡散。あくる日の新聞、テレビでも大きく報道された。見出しは「天に昇る美女」「かぐや姫の現代版」・・・。だ...

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    第7章 終 局≪64≫ 2100年 = 地球は22世紀を迎えた。早いもので、ぼくが地球に帰還してから、もう39年の歳月が流れたことになる。マーヤのおかげもあって元気に暮らしているが、御年なんと80歳だ。それに気になることがある。それは左胸のプレート。地球では着衣に隠れて見えないようになったが、裸になれば緑色の≪14≫という数字がくっきり。マーヤの黄色の数字は≪19≫だ。どうやらダーストン国の滞在期間と帰り...

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    第7章 終 局≪63≫ 記録 = 近ごろは朝のうち、パソコンの前に座っていることが多くなった。ダーストン国では数多くの人に会い、いろいろな施設を見学した。その都度メモをしたが、そのノートは帰りの宇宙船に持ち込ませてくれなかった。地球人にダーストン星のことを知られたくなかったからだろう。だが、あの5年間の経験は強烈だっただけに、ぼくはメモがなくても全部覚えている。ただ歳をとれば、記憶が薄れるかもしれない...

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    第7章 終 局≪62≫ 日本 = 2090年ごろになると、日本経済は完全に再生した。輸出が増加し、国内の消費も順調に伸び続けている。企業の利益は拡大し、株価は上昇した。なによりも街を歩く人が元気を取り戻し、世の中がひところより格段に明るくなっている。ぼくが地球を飛び出したのは、ちょうど50年前。あのころが、いちばんひどかった。異常な寒冷化が収まったあとも日本は回復が遅く、世界でも二流国に没落してしまう...

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    第7章 終 局≪61≫ 世界 = けさのテレビ・ニュースは、中東で起きたテロと報復爆撃の様子を生々しく伝えていた。地球の異常な寒冷化で人類の存続が危ぶまれたとき、世界各国は一致して対応策の構築に努力した。だが脅威が去ると、状況は元へ後戻り。宗教的な色彩の強い地域的な戦争が、しばしば勃発。米中ロの3大強国は残り少なくなった資源の取り合いに狂奔。みな自国第一主義に走って、リーダーの風格を有する国は全く姿を...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪60≫ SEX = 「医療技術がダーストン並みに向上しないと、医療や介護、教育や家事型のロボットは造れないわけなのね」と、マーヤがつぶやく。――そう。いまの機械的ロボットでも補助的な役割は十分に果たすけれど、人間の代わりにはならない。200年後にダーストン並みのロボットが出来るかどうか。それは子孫に任せるしかないだろう。「でも貴方の気持ちの奥底には、私のような人間的ロボット...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪59≫ 迷い = 山梨県の工場敷地内に小さな家を建て、近ごろはそこに引きこもっている。都内にいるとマスコミの攻撃に曝され、疲れてしまうからだ。いつも「あの“神の粉”は、誰がどこで造っているのか」と「貴方は宇宙で5年間なにをしていたのか」という質問ばかり。「お答え出来ません」「記憶がありません」と答える虚しさにも、耐えられなくなっていた。当然、マーヤもここに住んでいる。マ...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪58≫ 自給率 = 「スーパーに行けば、肉でも野菜でも店頭にあふれかえっているじゃない。それなのに何で農水産用ロボットを造るのかしら」と、マーヤが真剣な顔をして聞いてきた。――ぼくの若いころ、日本の食糧自給率は38%ぐらいだった。それが、いまでは30%前後まで落ちている。若い人が農業を敬遠し、多くの働き手が高齢化した結果だ。この傾向は今後もずっと続き、自給率はもっと下が...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪57≫ 3つの目標 = マーヤと並んで寝ながら、こんどはぼくの方から話しかけた。――ちょうどいい機会だから、ぼくが考えている日本再生の方法論を説明しておこうか。こう言った途端に、マーヤはすっくと立ち上がり照明を明るくした。「そんな大事なことを寝ながら言ってはダメ。いまコーヒーを持ってくるから、ちゃんと起き上がって説明してください」マーヤはテーブルに2つのカップを持ってき...

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    第6章 ニッポン : 2070年代≪56≫ 大活躍 = 名古屋の銀行に3人組の強盗が拳銃を持って押し入り、人質を取って立てこもった。ところが、この銀行のフロアには、マヤ工業製のガードマン型ロボットが配置されていた。強盗が「床に伏せろ」と威嚇しても、ロボットは言うことをきかない。そこで犯人の1人がロボットに向けて拳銃を発射。その瞬間、ロボットの頭から光線が出ると、強盗団はみな意識を失って倒れてしまった。オ...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪55≫ 使命感 = マーヤはJRリニア新幹線会社と協力して、相変わらず寝食を忘れて働いていた。と言って、ぼくが遊んでいたわけではない。ダーストン星での経験を活かして、どうしたら日本をもっと素晴らしい国に変えられるか。最近はそれがぼくの天職だと、ひしひしと考えるようになった。まず手を着けたのは、ヒト型ロボットの量産化だ。山梨県の実験工場の隣に、ロボット製造工場を建設した。...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪54≫ 神の粉 = ある日、JRリニア新幹線会社のお偉方がやってきた。革命的な新素材の話はあっという間に海外にも広まり、共同生産したいという申し込みが相次いでいるのだと言う。そこで海外にも、あのダーストニウムを供給してもらえないかと頼みに来たのである。その辺のことになると、ぼくには何とも言えない。同席したマーヤの方を見ると、彼女は「結構です」ときっぱり返事した。ただ「海...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪53≫ 主婦業 = マーヤは完全に、日本の主婦になった。ぼくの食事を作るために、町へ買い物に行く。そのために車の運転も始めた。自動運転車だが、まだ人間の補助が必要だ。ダーストン星のように、道路と側壁が車を誘導するシステムにならなければ、完全自動車にはならない。そうなるまでには、200年ぐらいかかるのだろう。ときにはマヤ工業の専務として、ビジネス相手とも付き合っている。...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪52≫ 救世主 = 地球は人間が自ら生み出した氷河期を抜け出し、かつての春夏秋冬を取り戻していた。しかし人々を取り巻く政治的・経済的な環境は、暗くて重苦しかった。アメリカと中国が覇権を競い合い、国連は機能を停止した状態。核兵器のおかげで軍事衝突こそ免れているが、2つの大国は重要な資源の獲得に血道を上げている。その結果、金属や食料などの価格が高騰。企業も個人も、物価高に...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪51≫ 無償供与 = 机の向こう側にずらりと並んだJRリニア社の重役たちは、びっくり仰天。しばらくは開いた口が塞がらなかった。真ん中に座っていた副社長が「それでいいのですか」と、何度も何度も念を押した。JR側の技術者がマヤ社製の新しい路床を入念にテストした結果、その優れた性能が完全に確認された。このためJRリニア社は、新製品の購入を決定。その最終的な契約交渉の席で、ぼくとマ...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪50≫ マヤ工業 = マーヤが帰ってきたとたん、ぼくは急に忙しくなった。市役所に結婚届を出し、宝くじを買うため都内にもたびたび出かけた。そして会社の設立と工場の建設。会社名は前々から「マヤ工業」に決めていた。リニア新幹線に近い山梨県の土地は、予想外に安い値段で手に入れることが出来た。不況と人口減少が、地価を下落させていたのだろう。この土地に、全長80メートルほどの細長...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪49≫ 再会 = 2062年3月1日の夜10時すぎ、ぼくは駅から家へ向かって歩いていた。まだ肌寒いが、おぼろ月夜。街なかを抜け小さな公園に差しかかったとき、後ろからハイヒールの足音が迫ってきた。直感的にマーヤではないかと思ったが、振り返るわけにもいかない。追い付いてきた女性が、低い声で囁いた。「ただいま」ああ、やっぱりマーヤだ。幸い人通りもなかったので、二人はそのまま...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪48≫ 二流国 = 地球はすっかり昔の姿を取り戻していた。10年前のあのどす黒い雲は、まったくない。2月の日本はまだ寒いが、青空の下で桜の芽が確実にふくらんできている。だが人々は、どうして上空のメタンガスが急に取り除かれたのか。だれも知らない。 ところが街を歩いてみると、どうにも活気がない。最大の理由は人口の減少だ。日本の総人口はすでに1億人を割り込んでいる。しかも4人...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪47≫ 奇跡の生還 = 気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。どうやら眠っていたらしい。4年間も眠り続けたのに、どうしてまた眠ってしまったんだろう。宇宙船が大気圏に突入する前、マーヤが差し出した黒い丸薬。地上の重力に早く慣れるための薬だと言っていたが、睡眠薬も含まれていたに違いない。ここは病院だ。その証拠に、女性の看護師が歩いてきた。でも残念ながら、マーヤ...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪46≫ 2061年12月 = まだ学生だったころ、真夏の日本アルプスを縦走したことがある。家に帰ると疲れ果てて、まる1日眠りこけた。そのときと同じ感覚で熟睡し、パッと目覚めたら可愛いマーヤの顔があった。ぼくの手首を握りながら「お早うございます。血圧も正常です」と言い、にっこり笑う。「もう起きてください。あと1時間で地球の大気圏に突入します。すべて予定通りですから、何も...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪45≫ 帰国へ = ぼくとマーヤを乗せた宇宙船は11月11日の早朝、この島の北端にある発射場から打ち上げられた。船内は日本製の宇宙船よりやや広く、ベッドと椅子が固定されている。ダーストン星は瞬く間に見えなくなった。もう、この星に来ることはないだろう。ちょっと悲しかった。それにしても、いい人たちだった。みんな異星人のぼくを気持ちよく受け入れ、歓迎してくれた。マーヤに淋し...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪44≫ 結婚 = 朝からそわそわしているが、気持ちはきょうの秋空のように澄み切っている。いま、ぼくは薄黄色のローブ、隣のマーヤは薄桃色のローブに身を包み、例の完全自動車に乗っている。でも高速道路で遠くに行くわけではない。街なかを時速10キロぐらいで、ゆっくりと走っている。道路の両側には多くの人とロボットが集まり、何か叫びながら手を振っている。この街には約1万人の人間と...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪43≫ 絶対条件 = 「君の帰国は、これで本決まりじゃ。ただ1つだけ、絶対に守ってもらわなければならないことがある。それは地球に帰ったら、このダーストン星のことはいっさい口外しないこと。君がこの国で5年過ごしたことも、話してはならない。地球人にはダーストン国の存在を知られたくないからね。君は例のダーストニウム合金を地球に持ち帰り、太陽光発電を各国に広める仕事を始める。...

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    第5章 ニッポン : 2060年代≪42≫ 驚愕の提案 = 「やあ、元気そうだね。きょうは大事な話をするから、よく聞いてくれたまえ」ウラノス博士は開口一番、こう切り出した。白髪に丸顔、低くて柔らかい声。最初に会ったときと、ぜんぜん変わっていない。ただ変わったのは胸のプレート番号。≪12≫から≪07≫に変わっている。ああ、あれから5年もたったんだ。「以前に『君にはやってもらいたいことがある』と言ったのを覚えて...

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    第4章  錬 金 術 と 太 陽 光≪41≫ 別世界、それとも? = たしかに、この国は住みやすい。だいいち働かなくても、結構な暮らしができる。おカネの心配もない。病気やケガは完全に治してくれて、100歳までの健康が保障されている。喧嘩や犯罪もない。人々は自分の好きな道を選んで、生きがいを感じているらしい。でも、それだけに刺激というものが全くない社会でもある。最初のうちは「他人と競争しようなんて思わない」と...

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    第1章 ダーストン星 ≪8≫ 胸番号の秘密 快適な20階建てマンションの最上階。今夜はぼくの手術をしてくれた医師ブルトン氏の招待を受けている。ぼくがこの国のことを理解できるようにと、ウラノス科学院長が配慮してくれたのだそうだ。テーブルの上には、肉と野菜の料理。グラスには、ワインに似た液体も注がれている。電燈のようなものはいっさいないが、天井や四方のカベそのものが発光していた。40畳ほどの部屋には、戸棚...

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    第1章 ダーストン星 ≪7≫ 寿命100歳制 帰りの車のなかで、ぼくは目を閉じてウラノス博士の話を反芻していた。隣のマーヤも黙りこくっている。そっと腕をつつくと「私も初めてあんな話をお聞きしました」と言って、うなだれてしまった。ロボットなのに、人間的な感情を持っているのかしら。博士は最後に、ダーストンの建国にまつわる話をしてくれた。声が低くなり、顔つきも悲しげになったのが印象に残っている。そして、そ...

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    第1章 ダーストン星 ≪6≫ ノアの方舟 ウラノス博士の話は続いた。「実は、われわれの祖先も300年ほど前に、同じような経験をしたんじゃ。君の星、地球は海底のメタン・ハイドレードを掘り過ぎて、メタン・ガスの噴出を止められなくなったことが原因だったね」よく知っているなあ。UFOで集めた情報なのか。それとも、ぼくの頭脳から記憶を抽出したんだろうか。もしそうなら了解も得ないで、他人の記憶を勝手に取り出すなどと...

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    第1章 ダーストン星 ≪5≫ UFOの正体 そのウラノス博士は、大きな声をあげながら両手を前に突き出した。そう、この星では両手を重ね合わすことが挨拶だと、車のなかでマーヤに教わったばかり。ぼくも慌てて両手を差し伸べる。「元気になったようじゃね。結構、結構。まあ、そこに座ってくれたまえ」白髪で丸顔、広いおでこに鋭い眼。でも声は柔らかい。小太りの身体を黄色いローブのような衣服で覆っていた。まるでギリシャ時代...

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    第1章 ダーストン星 ≪4≫ プレート 卵型の小型車に、マーヤと乗っている。病院の玄関から幹線道路に出て、8車線の高速道路へ。すべて自動運転だ。だいいち、この車には運転席がない。きょうは科学院長に会いに行くのだ。高速道路では300キロぐらいのスピードで走った。だから100キロほど離れた隣町の科学院に、アッという間に到着する。それでも、マーヤにいろいろ質問する時間はあった。まずはきのう受けた手術で、ぼく...

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    第1章 ダーストン星 ≪3≫ ブルトン院長 本当にびっくりした。たしかにロボット的な感じもしなくはなかったが、すました顔の愛くるしい目。それに健康そうな小麦色の肌は、とてもロボットとは思えない。喋るときには、表情さえ変わる。「きょうの午後は、貴方の手術をされたブルトン院長の回診があります。とてもいい方ですから、何でも聞いてみてください。私が完全に通訳しますので、ご安心を」と、マーヤがにこやかに告げた。...

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    第1章 ダーストン星 ≪2≫ マーヤ  あくる日の朝、ぼくは車いすに乗せられた。きのう見た胸番号「71」の女性看護師が、車を押してくれている。廊下に出ると、風景は日本の大病院とそう変わらない。患者とおぼしき人や女性看護師、それに医師らしい白衣姿の男性も廊下を歩いていた。気が付いたのは、男性の左胸につけられた青いプレート。そこには「48」と書かれていた。「外へ出てみましょうか」と、女性看護師「71」が言...

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    第1章 ダーストン星 ≪1≫ 出会い  気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。疲れている。頭が少し痛い。再び意識がかすんでしまった。 次に目が覚めると、白衣の女性看護師の顔が見えた。卵型で整った顔立ちの美人だ。白衣の左胸に黄色のネーム・プレートを付けている。名前を見ようとしたが「71」という数字しか書いてなかった。 「もう大丈夫ですよ。気分はどうですか」と、やや甲高い声で聞いてくる。やっぱ...

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    プロローグ②ぼくはずっと家に閉じこもったままだ。本を読んだり、パソコンの前に座っていることが多い。でも飽きると広大な敷地内をドーベルマンと一緒に走ったりするから、運動不足にはならない。ゴルフ・ボールなど、いくらひっぱたいても敷地の外に飛び出すことはない。一方、摩耶の方はよく外出する。3キロも離れた町に買い物に出かけたり、ときには電車に乗って東京まで足を伸ばす。その事件は、摩耶が東京から終電で帰って...

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    プロローグ①ぼくのワイフは、女性ロボットだ。でも、このことは誰も知らない。見た目は人間そっくり。やや地味目のスーツを着たり、たまには和服姿のこともある。道ですれ違った人には、30代で顔立ちの整った美人に見えるだろう。標準語もちゃんと話す若奥さま風のこの女性が、ロボットだとは決して気が付かない。その彼女が、ぼくのカミさんなのである。ぼくたち夫婦が住んでいるのは、山梨県の小高い丘の上。東京ドームほどの...

  • 経済のない世界

    ☆ 4月5日から、SF経済小説の改訂版を連載します。     毎週日曜日に掲載します。   ぜひ読んでください。 ...

  • SF経済小説「プレート」の ささやかな検証

     ☆SF経済小説「プレート」について、読者のみなさんから多くの感想や疑問を頂きました。そのうち重要ないくつかの点を取り上げて、いろいろ考えてみたいと思います。(12) 5万キロに及ぶ太陽光発電装置 最初は高速道路を走るのが、とても怖かった。ふつうの高速道路は片側3車線で、いちばん右側に乗ると時速300キロで飛ぶように走ります。対向車が来ても、目にとまらない。これでも事故は一度も起きていないというから凄いも...

  • SF経済小説「プレート」の ささやかな検証

     ☆SF経済小説「プレート」について、読者のみなさんから多くの感想や疑問を頂きました。そのうち重要ないくつかの点を取り上げて、いろいろ考えてみたいと思います。(11) 300キロで走る完全自動運転車 ダーストン国では、自動車が唯一の交通手段です。鉄道も汽船もありません。国が狭いから、航空機も必要ないのです。人々は近いところへ行くにも遠いところへ行くにも、自動車で移動しています。その自動車は卵型をしていて、2...

  • SF経済小説「プレート」の ささやかな検証

     ☆SF経済小説「プレート」について、読者のみなさんから多くの感想や疑問を頂きました。そのうち重要ないくつかの点を取り上げて、いろいろ考えてみたいと思います。(10) 学校はあるけれど・・・続けて、ブルトン病院長の息子さんに聞いてみました。金髪で目のくりっとした11歳の少年です。――いま何年生ですか?「9年生です。近くの小学校へ、週に2回ぐらい行きます。授業はありません。友達としゃべったり、遊んだりするため...

  • SF経済小説「プレート」の ささやかな検証

     ☆SF経済小説「プレート」について、読者のみなさんから多くの感想や疑問を頂きました。そのうち重要ないくつかの点を取り上げて、いろいろ考えてみたいと思います。(9) おカネは人間を狂わせた麻薬ダーストン星では、おカネが存在しません。ロボットたちが何でも作って届けてくれるので、モノを買ったり売ったりする必要がないからです。そんな世界をどう思っているのか。病院長ブルトン氏の息子に尋ねてみました。金髪で目のク...

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