脳外傷(traumaticbraininjury,TBI)にともなって神経変性が進行し、Alzheimer病(AD)のリスクが高まることは以前から知られています(Johnsonetal.,Nat.Rev.Neurosci.2010;11:361-370)。またNFLプレイヤーやサッカー選手のように頭部にダメージが加わるリスクの高いスポーツ選手においても認知機能低下が見られます(Mackayetal.,NEnglJMed.2019Nov7;381(19):1801-1808)。病理組織の検討などからこのメカニズムとしてTBI後のtauタンパクのK274,K281アセチル化の関与が指摘されています(Lucke-Woldetal.,JNeurolNeurosurg.2017;4(2):140)。この論文で著者らは、T...アセチル化tauが脳損傷後の認知機能低下に関与する
ピッチャープレートからホームベースまでの距離は18.44mなので、150km/h以上のボールを投げる投手の場合、単純に計算してもボールが届くまでの距離は0.4秒程度です。心理学者によると、人間は刺激が加わってから反応するまでに、何をするかわかっている場合でも少なくとも0.25秒かかり、どのような動きをするかを決定しなければならない場合には反応時間は2倍になるそうなので、理論的には投手の手を離れてから反応するのでは、ボールを打つのは不可能です。という訳で、一流打者は投手の体幹や腕などの動きである程度ボールが来る場所を予測してバッティング動作を始めているそうです。確かにバドミントンの国際大会などを観ていても、レシーバーはスマッシュが打たれる前に移動を始めているように見えます。最近ではバーチャルリアリティ(VR)を使...一流打者はスピードボールをどうやって打つか?
治療薬などの臨床試験では、通常厳密な組み入れ基準(適格基準eligibilitycriteria)が決められているので、その薬が実際に使われるようになっても、臨床試験の適格基準から外れた患者は治療適応にならないことがしばしばあります。例えばeGFR<30の患者は通常骨粗鬆症の臨床試験から除外されるので、実臨床でそのような患者に対してどのような治療を行うかは悩むところです。この論文では肺小細胞癌に対する過去の臨床研究データを用いて、適格基準を緩和した時にどのような効果が得られるかをAI(TrialPathfinder)を用いてシミュレートしたというものです。その結果適格とされる患者プールは平均で2倍以上になり、全生存期間のハザード比は平均0.05減少しました。適応を拡大するために臨床試験を行うことについてはお金も...AIを用いた適格基準拡大の試み
新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチンの有効性は間違いなさそうですが、1年以上が過ぎようとしているのに治療薬としてはステロイド、レムデシビル、トシリズマブくらいしか有効性が示されておらず、特に初期のウイルス血症後に生じる致死的な全身炎症に対しては中々有効な治療法が出てきません。血中IL-6濃度高値が予後不良因子であることから、抗IL-6受容体抗体であるアクテムラには重症化予防効果が期待されていますが、これまでの臨床試験の結果は劇的な効果とは言いがたいものです。この理由としては、IL-6pathway以外のシグナル系も重症化に関与していることが考えられます。この論文ではウイルス感染によって生じる「感染誘発遺伝子プログラムinfection-inducedgeneprogram」に注目し、クロマチン構造の変化の...COVID-19の重症炎症に対する治療標的としてのTOP1
会社に過度な忠誠心をもつヒトのことを社畜と呼んだり、「最近の若いもんは飼いならされている」などと言ったりしますが、実はヒトは自ら家畜化への道を選択したのかもしれません。野生の動物が家畜化されると、小さな歯と頭蓋骨などの顔貌の変化が生じますが、これはneuralcreststemcell(神経堤幹細胞)を失うことで生じる変化です。ヒトの遺伝病であるWilliams-Beurensyndromeは「妖精様顔貌」と呼ばれる親しみやすい顔貌を特徴とする遺伝性疾患で、BAZ1Bというチロシンキナーゼ遺伝子の機能障害が見られます。ミラノ大学のGiuseppeTestaらは、BAZ1Bは顔面および頭蓋の発達を制御する多くの遺伝子発現に関与しており、ネアンデルタール人やデニソワ人などと比べて現代人ではBAZ1B遺伝子の変異が蓄...現代人はみずから家畜化を選んだ?
長期間のストレスにさらされると脱毛が生じることが知られており、新型コロナウイルス感染症患者の1/4に脱毛が見られることが報告されています。この論文で著者らは、ストレスによって副腎皮質から分泌されるコルチコステロンが毛乳頭細胞(dermalpapillacell)に発現するグルココルチコイド受容体に作用し、細胞増殖因子GAS(Growtharrest-specific)6の分泌を抑制することで毛包幹細胞(hairfolliclestemcell,HFSC)の増殖を抑制するとともに休止期(telogen)のHFSCを増加させ、毛の脱落を促進させることを報告しています。アデノ随伴ウイルスベクターによるGAS6発現によってストレスによってHFSCの増殖が促進することも明らかになりました。GAS6投与がストレスによる脱毛...ストレスによる脱毛のメカニズムが解明された
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