和歌山県有田川ダム上で鮎釣りの遊漁券とオトリ鮎を販売しています。 いつでもお気軽にお立ち寄りください(*‘ω‘ *)
馬路村は全国屈指の林業の村だった。 明治四十年には安田川沿いに軌道が敷かれ、人力トロリーによる原木の搬送が行われていた。 大正十二年には、アメリカのポーター社の蒸気機関車によって本格的な森林鉄道時代が幕開けし、良質な杉が馬路の山から都会へと切り出されて
「これよこれ、鮎釣りの醍醐味はなんと言っても荒瀬のもんよ」 そう言って隆人は道具箱を担ぐと、慎也の後を追った。 慎也はまるで忍者のように素早く岩を飛び跨ぎ、柳の木を掴んでポイントにたどり着く。 隆人はその後を無様に転びながらついていく。 荒瀬にたどり着い
曳舟から囮鮎を掴み出すと素早く鼻カンを通した。掴んだ手を囮鮎を送り出すようにゆっくりと開く。囮鮎は鼻カンに繋がれていないかのように右に左に泳ぎながら流心へと走った。石裏のよどみに到達した囮鮎は動きを止めた。と、細糸に付けた真っ赤な毛糸の目印が輪を描くよう
翌朝、隆人は慎也よりも早く起きてスケジュールの打ち合わせをした。 この日は一日中、雑誌やテレビのための撮影だ。 慎也がゆっくり釣りを楽しめるのは金曜日だけで、土曜日は下流域での鮎釣り教室が企画されている。 打ち合わせが終わると隆人は慎也を起こして朝食を
「まぁとにかく、明日は撮影で早いから風呂にでも入って寝ようや」 隆人は慎也の笑いを遮るように言った。 二人は黙ってログハウスへと足を進めた。 部屋に戻ると隆人は直ぐに温泉へと向かう。 風呂場でしばらく待ったが慎也は温泉には現れなかった。 きっと備え付けの
ウエイトレスは一寸首を傾けて怪訝そうな顔むをしたが直ぐに口元で笑顔を作った。 その様を見た中村が「あれ、舞ちゃんのこと知っちゅうがぜすか?」と訊く。「誰かに似てましたか?」 そう言って、久米が隆人に顔を振った。「舞ちゃんはこの村で一番の美人ながぜす。タ
午後六時、一行は馬路村に到着した。 宿泊所は安田川に面した馬路温泉の施設内のログハウスだった。 中村ら地元の数人が出迎える。「初めまして中村です。だい、この度は馬路村に来てもらいましてありがとうございます。今日はお疲れでしょうから温泉でもつかってゆっく
七月末、慎也ら一行は大阪を出発して高知県の馬路村へと向かった。 「明石の橋が出来てから四国もずいぶん近くなりました。今、左手に見えているのがジャパンフローラの花博の会場です。有名な建築家の安藤忠夫さんが設計されたそうです」 道中、久米はガイド役を勤めた
「よくご存じで。中村からは連載の鮎百河川を見て是非とも安田川に高瀬名人に来てほしいとの連絡があったんです」「いやー、あのポン酢醤油は美味しいですわ。うちの家族も大好きで鮎の素焼きにかけても最高やし。行きたいなー」 横で慎也もにっこりと頷く。「で、どのくら
隆人は公務員試験には受からずそのまま叔父の宅配会社で働きながらも、いつの間にか慎也のマネージャーとしての仕事の方が忙しくなっていた。 慎也が四連覇を達成した年、釣り雑誌「スーパーアングラー」がある企画を持ち掛ける。 それは「鮎釣り百河川の旅」として全国
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