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ブログタイトル
小市民のイージーライフ
ブログURL
http://sasurai921.livedoor.blog/
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興味津々に日常の様々な話題を綴っています。
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45回 / 365日(平均0.9回/週)

ブログ村参加:2020/02/16

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ガバチャさんの新着記事

1件〜30件

  • 安田川 その37

    「ほう、なるほど、その針で先週八十一匹も掛けたんですね」  久米が問う。「銀治の研いだ針は刺さりがちがうがよ」 純太は満足げにコップ酒を一気に飲みほした。 「おいっ、おんしゃらあワシのハリもたまには研ぎに来いよ」 長く伸ばした白髪に赤いバンダナを巻いた初老

  • 安田川 その36

    「純太、この前平瀬でようけ掛けたらしいなぁ。万作爺さん、純太に酒注いじゃってや」 万作爺さんと呼ばれる老人が純太に酒を注いだ。「純太、おまんは仕事もようやる。鮎もようやる。後は嫁だけながよ」 万作爺さんは注ぎ終えてそう言うと今度は舞のそばに腰を下ろして「

  • 安田川 その35

     純太と呼ばれる小柄な男が大男の銀治に言い付けた。「おぉ、おまんらあ鮎の味噌焼きやるがか。そらたまらんぜよ」 純太の持った味噌袋にさっきよさこい節を歌っていた老人が喜んで手を二、三度叩いた。 銀治は直ぐに平らな大石を担いで戻ってくると炭火の横に立てかけた

  • 安田川 その34

    「どうぞ」 舞が皿に盛ったお寿司を隆人に差し出した。 隆人は礼を言いながら舞の顔を間近ではっきりと見た。 雅との違いを見つけようとしたのだがどこにも見あたらない。 本当にこれは雅なのではないのか。 自分は夢を見ているのではないだろうか。 雅なら今三十のは

  • 安田川 その33

     隆人は舞を見つけるとすぐさま慎也の顔を伺った。 慎也は舞に視線を向けるでもなく平然としたままだ。 村長の乾杯で宴会が始まった。 テーブルの上には土佐の皿鉢料理が幾皿も並び、大きな炭火の周りには沢山の串刺しの鮎が並べられている。 鮎は、ジュウジュウと肉汁

  • 安田川 その32

     馬路村は全国屈指の林業の村だった。 明治四十年には安田川沿いに軌道が敷かれ、人力トロリーによる原木の搬送が行われていた。 大正十二年には、アメリカのポーター社の蒸気機関車によって本格的な森林鉄道時代が幕開けし、良質な杉が馬路の山から都会へと切り出されて

  • 安田川 その31

    「これよこれ、鮎釣りの醍醐味はなんと言っても荒瀬のもんよ」 そう言って隆人は道具箱を担ぐと、慎也の後を追った。 慎也はまるで忍者のように素早く岩を飛び跨ぎ、柳の木を掴んでポイントにたどり着く。 隆人はその後を無様に転びながらついていく。 荒瀬にたどり着い

  • 安田川 その30

    曳舟から囮鮎を掴み出すと素早く鼻カンを通した。掴んだ手を囮鮎を送り出すようにゆっくりと開く。囮鮎は鼻カンに繋がれていないかのように右に左に泳ぎながら流心へと走った。石裏のよどみに到達した囮鮎は動きを止めた。と、細糸に付けた真っ赤な毛糸の目印が輪を描くよう

  • 安田川 その29

     翌朝、隆人は慎也よりも早く起きてスケジュールの打ち合わせをした。 この日は一日中、雑誌やテレビのための撮影だ。 慎也がゆっくり釣りを楽しめるのは金曜日だけで、土曜日は下流域での鮎釣り教室が企画されている。 打ち合わせが終わると隆人は慎也を起こして朝食を

  • 安田川 その28

    「まぁとにかく、明日は撮影で早いから風呂にでも入って寝ようや」 隆人は慎也の笑いを遮るように言った。 二人は黙ってログハウスへと足を進めた。 部屋に戻ると隆人は直ぐに温泉へと向かう。 風呂場でしばらく待ったが慎也は温泉には現れなかった。 きっと備え付けの

  • 安田川 その27

     ウエイトレスは一寸首を傾けて怪訝そうな顔むをしたが直ぐに口元で笑顔を作った。 その様を見た中村が「あれ、舞ちゃんのこと知っちゅうがぜすか?」と訊く。「誰かに似てましたか?」 そう言って、久米が隆人に顔を振った。「舞ちゃんはこの村で一番の美人ながぜす。タ

  • 安田川 その26

     午後六時、一行は馬路村に到着した。 宿泊所は安田川に面した馬路温泉の施設内のログハウスだった。 中村ら地元の数人が出迎える。「初めまして中村です。だい、この度は馬路村に来てもらいましてありがとうございます。今日はお疲れでしょうから温泉でもつかってゆっく

  • 安田川 その25

     七月末、慎也ら一行は大阪を出発して高知県の馬路村へと向かった。 「明石の橋が出来てから四国もずいぶん近くなりました。今、左手に見えているのがジャパンフローラの花博の会場です。有名な建築家の安藤忠夫さんが設計されたそうです」 道中、久米はガイド役を勤めた

  • 安田川 その24

    「よくご存じで。中村からは連載の鮎百河川を見て是非とも安田川に高瀬名人に来てほしいとの連絡があったんです」「いやー、あのポン酢醤油は美味しいですわ。うちの家族も大好きで鮎の素焼きにかけても最高やし。行きたいなー」 横で慎也もにっこりと頷く。「で、どのくら

  • 安田川 その23

     隆人は公務員試験には受からずそのまま叔父の宅配会社で働きながらも、いつの間にか慎也のマネージャーとしての仕事の方が忙しくなっていた。  慎也が四連覇を達成した年、釣り雑誌「スーパーアングラー」がある企画を持ち掛ける。 それは「鮎釣り百河川の旅」として全国

  • 安田川 その22

     二人はまた休みごとに鮎釣りへと通い始めた。 慎也が天才鮎釣り師に戻るまでに時間はかからなかった。が、慎也は以前の慎也に完全に戻ったわけではなかった。 あの出来事以来、慎也は極端に口数の少ない男になってしまった。 慎也が自分から口を開くことはまずない。 

  • 安田川 その21

     隆人は自分の責任を感じていた。 雅は気の多い女だったのだ。 そのことは釣具店の若い店員からも聞いたことがあったし、彼女が何度か違う男と歩いているところを見かけたこともある。 慎也に早い段階で忠告しておくべきだった。  慎也は建設会社を辞めて寮を出た。 田

  • 安田川 その20

     慎也は日に日に痩せ細り、仕事も鮎釣りも手につかなくなった。「オレもう駄目かもしれん・・・・・・」 電話の向こうで慎也の弱々しい声が隆人に届いた。 すぐに大学病院の看護士が電話を替わる。 看護士の話では、慎也はナツメグを大量に摂取して自殺を図り病院に搬送された

  • 安田川 その19

     隆人も雅に好意を持っていたが、慎也が相手なら仕方がない。 ただ、一方の隆人にも彼女が出来ていた。 叔父の宅配会社に勤める同い年の女だ。 実はその女も慎也に一目惚れをして隆人が相談に乗っていたのだが、慎也の方がいっこうに取り合わなかった。 雅にぞっこんな

  • 安田川 その18

     鮎釣りでの諍いは鮎釣りの釣果で解決をするという理屈を慎也は冷静に考えていたのである。  ただ、その事がわかっていても確実に相手の理不尽な行動を制止できるほどの圧倒的な釣りを見せつけられるかどうかは、よほどの技量と自信がないかぎりは行動には移せない。 隆

  • 安田川 その17

     男らは釣れる場所を五人で占拠して、大声で冗談を言ったり笑ったりしながら騒いでいた。 隆人には直ぐに細川囮店の連中だとわかった。細川達也本人の姿はない。 鮎釣りには暗黙のルールがある。 それは、他人の釣っている場所を横取りしないと言うことだ。 ある場所で

  • 安田川 その16

     慎也は照れながら会釈をしている。 隆人は、荒川名人のその様を見逃さなかった。 荒川名人は慎也の顔を見て誰かを思い出したに違いない。 それは恐らく慎也の父親なのではないだろうか。 刹那、荒川名人に後で訊いてみたいという気も起こったが、やはり鮎釣り界の重鎮

  • 安田川 その15

     慎也も気付いたようだ。 近畿地区大会で優勝した細川達也だった。 同じ有田川町出身で、慎也の実家から五キロほど下流で囮店を営んでいた。 歳は慎也より二十歳程も上だ。 細川は予選で敗退し既にティシャツに着替えていた。 細川は全国大会に四回も出場した腕前だが

  • 安田川 その14

     瞬く間に二時間が過ぎた。 慎也は十二匹釣って同数で二十五位にくい込んでいる。「十二匹で二十五位タイの選手が六人います。ただいまより重量判定で一番目方の重い選手を勝上がりとします」 審判からアナウンスがあると会場からどよめきが漏れた。 暫く時間が経って放

  • 安田川 その13

    「慎也、お前もそろそろ着替えなあかんで」「ああそうやな」 二人は急いで車に戻った。 出場選手らが続々と鮎釣り姿になって河原に出てくる。「慎也見てみいっ。あれ中村名人やで」「うん、その横は津本名人やな」 慎也も興奮気味だ。 雑誌でしか見たことのない名人がそ

  • 安田川 その12

     馬瀬川に到着したのは夜中の三時だった。 真っ暗な河原に目を凝らすと沢山の車が止まっていた。「すごい車の数やで」 そう言って、隆人は車から降りた。「全部で百人ぐらい参加者がいるって案内には書いてたな」「オレは地区大会でも勝てんのに、例えまぐれで地区大会で

  • 安田川 その11

     隆人は、母と祖母が話していたことを思い出した。 大阪から囮鮎を買いに来た常連客の中の誰か。 やはり慎也の父は鮎釣りをしている人なのだ。 だが、有名になったらわかるとはどういう意味なのか。 隆人が疑問に思うと慎也が続けた。「俺はその時はお母ちゃんの言って

  • 安田川 その10

     高校を卒業すると、慎也は和歌山市内の建設資材を取り扱う会社に就職した。 社員寮も完備された大きな会社だった。 隆人は公務員試験に合格できずに就職浪人の身となっていた。 しばらくはそのまま叔父の家に下宿して宅配を手伝うことになった。  同じ和歌山市内に住む

  • 安田川 その9

     慎也は祖父母や先生からの説得で、何とか高校受験をすることになった。 ただし、それは第一志望の和歌山市内の工業高校ではなかった。 実家からバスで通える有田市内の普通高校だ。 家計のことを気遣ったのだろう。 和歌山市内となると下宿代など何かと経費が嵩む。 

  • 安田川 その8

     自分とて幼い頃から慎也と一緒に囮鮎を購入する釣り人達のことをずっと見てきた。 大阪から車で乗りつけた釣り客には、若い大人もいたし年配者もいた。 まさか、あの中に慎也のお父さんがいたのだろうか。 隆人は思いもしなかったことを聞いて我が事のように動揺した。

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